■國岡啓子編「任解日録DBver.2.2」を発信します

 鹿児島大学司法政策教育研究センターでは、日本近代官僚史研究を革新する画期的な資料「任解日録」をデータベース化した、國岡啓子編「任解日録DBver.2.2」を発信します。
詳しくは、こちらから==>>https://forms.gle/F7Cx3k8cxdKXspvT6
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 当センターでは、日本近代官僚史研究を革新する画期的な資料「任解日録」をデータベース化した、國岡啓子編「任解日録DBver.2.2」を発信します。
 このデータベースの原典である「任解日録」は、式部寮が明治期に作成したものですが、官報が発行される以前の時期に、奏任官人事情報を網羅した画期的な史料です。明治期の官僚の人事を調べる際には、官報が最も信頼できる史料です。しかし官報が発行されるのは明治16年7月からであり、これ以前の人事異動は網羅的には調べられないとされてきました。しかし明治時代に式部寮が作成した「任解日録」はこの課題を克服しており、大江志乃夫先生は「現在となっては入手しうるもっとも精密な資料であることは疑うことはできない」(『任解日録(特定研究「日本近代化」資料(研究報No.4))』解説参照)と評価なさっています。
 原典である「任解日録」は宮内省書陵部所蔵で、明治2年7月から同17年12月末までの期間、22690件、実人数7614人の辞令情報を時系列に並べています。現在、(書陵部所蔵資料目録・画像公開システム)のサイトで、Web公開がなされています。是非ご覧ください。このうち明治16年7月から同17年12月末までに出された辞令を、官報の人事記載と比べたところ、「任解日録」の方が精度は高いと判断できました。(「「任解日録」の史料としての意義」國岡啓子著「法学論集」59-1 参照)原典には該当日付の辞令情報だけでなく、さらに該当者の前職やその後に異動した役職、各々の着任日付から本籍地や別名などの情報も記載されています。
 任解日録データベースver.2.2(以下、日録DB2.2)には、宮内省書陵部所蔵の原本をもとに、記載内容をExcel化したAブックと一つ一つの役職の在職期間を分析したBブックがあります。Aブックでは時系列で記載された辞令を、各個人別、各役職別に表示、検索することができます。Bブックの(任解整理シート)では、各個人の各役職の在職期間を分析し、検索したい日付や期間で選択できる機能を組み込みました。次の(名簿表示シート)では検索したい日付に在職した人物を、「職員録」のような各省庁での名簿形式で表示できます。さらにこの内容を今度は官等表に表示させて、特定日付の各役職の在職者数を表示させたのが、(在職者数 中央シート)と(在職者数 地方シート)です。
 それぞれのデータには、出典をたどれる情報を添付し、さらに注釈などの文章で製作者が判断した内容を明確にしました。今後、人事史料として重要な位置を占めるであろう「任解日録」ですが、日録DBでもその内容に触れてみて頂ければ幸いです。
 なお、「任解日録」の制作意図や複数存在する写本について、原本と写本がどの時期に作成され、どのような史料的限界をもつのかなどの論点を、データベース製作者が記述した論考、國岡啓子著「「任解日録」の史料としての意義―「日録DB」の作成作業をふまえて―」(「法学論集」59-1 1~20頁)https://ir.kagoshima-u.ac.jp/records/2000684が発行されております。ご参照ください。

【問合わせ先】
  鹿児島大学司法政策教育研究センター
  (担当:おおぐち)
   099-285-7569/3905
   elen_support@ls.kagoshima-u.ac.jp


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