| ○ |
法務省の意見について、文部科学省はどのように考えているのか。 |
| ● |
評価基準自体は第三者評価機関が定めるべきものと考えるが、実質的に適切な評価基準かどうかを判断するための事項や内容について、第三者評価機関を認証するための基準として規定することは可能である。一般的な評価基準を法令で規定するとなると、それは設置基準に属するような内容のものとなるのではないか。設置基準は、設置時だけに問題となるのではなく、大学として継続的に存在するための枠組みを定めたものだからである。 |
| ○ |
文部科学省の言う「適切な評価基準」かどうかを判断するための実体的な基準は、法令上どのような位置付けとなるのか。評価基準を法令で規定しようとすると設置基準に属するようなものになると言うが、事後的に設置認可時よりも厳しい基準を適用することによって、遡って設置認可を取り消すことができるのか。そのような考えは、設置基準を緩やかにするという規制緩和の方向性と矛盾するのではないか。また、法務省の言う「法令」とは、どのような位置付けなのか。 |
| ● |
第三者評価の根拠は学校教育法等に規定する必要があるが、具体的な評価システムの法令上の位置付けは検討中である。また、成績評価の厳格性等を抽象的に設置基準に盛り込むことは考えられる。適格認定を得られない法科大学院は、法科大学院として存続する要件を欠くことになるので、設置基準の中に、適格認定を受けなければならないこと、あるいは、これを受けなければ学位を授与できないことを包括的に規定することも考えられるのではないか。 |
| ▲ |
評価基準の法令上の位置付けについては、基準違反の場合に行政処分が可能となるのであれば、広い意味の法令でよいと考えている。 |
| ■ |
文部科学省の案は、第三者評価機関を大臣が認証することを前提としていると思われるが、大学評価を行うすべての第三者評価機関を文部科学大臣が認証するのか、それとも、法科大学院等公的な資格に結び付くものに限って認証するのか。また、独立行政法人を評価機関とするのであれば、文部科学大臣の認証は不要となるのではないか。 |
| ● |
第三者評価機関については社会に様々なものがあってよいが、大学の質の保証に関わるものは認証の対象とすべきと考えている。資格に関わる特定の分野については別途考慮することも考えられる。 |
| ○ |
不適格認定がなされた場合の対応について、文部科学省案では、文部科学大臣が行政処分を行うこととなるのか。 |
| ● |
中教審でこれから検討する問題である。本検討会の議論も踏まえて検討したい。 |
| □ |
法科大学院の第三者評価は、法務省と文部科学省の所掌事務がオーバーラップする部分があり、本検討会での検討を踏まえ、推進本部において両省と調整しながら検討していくべき課題であると考える。 |
| ○ |
法科大学院の第三者評価について、大学全体の第三者評価や専門職大学院の第三者評価に関する中教審の検討を待たなければならないのか、それとも、法科大学院については本検討会で議論を進めてよいのか。 |
| ● |
国家資格に関わる分野については、本検討会での議論も踏まえて、今後検討していきたい。 |
| □ |
中教審の検討を待たなければ法科大学院の第三者評価について議論できないというのでは、検討が遅れることになりかねない。法科大学院については、本検討会の検討をベースにすべきと考える。 |
| ○ |
大学全体の第三者評価の検討を待っていては、本検討会の検討は間に合わない。専門職大学院といっても、分野ごとに特色があると思われ、法科大学院の第三者評価を考えるに当たっては、法曹三者の意見を反映させる必要がある。また、第三者評価機関が多数できてもよいが、受験資格という法的効果を与えるものは別であり、第三者評価機関が必ず存在しなければならず、数も一つに限るべきである。法科大学院の第三者評価については、本検討会で検討を進めるべきである。 |
| ● |
法科大学院の第三者評価については、本検討会で検討していただき、それと整合するようなトータルのシステムを検討したい。 |
| ○ |
法務省は、不適格認定(適格認定取消し)の場合の行政処分として、どのようなものを考えているのか。 |
| ▲ |
一つの例として、学位授与権限の停止等が考えられる。 |
| ○ |
文部科学省案と法務省案では、法科大学院の適格認定と司法試験の受験資格付与はそれぞれどのように関連するのか。 |
| ● |
司法試験の受験資格付与は文部科学省の所掌ではないが、教育水準の担保のための第三者評価の結果を司法試験の方でうまく取り入れていただきたい。 |
| ▲ |
法務省としては、適格認定を受けた法科大学院の修了者について出願を受理することとなろう。評価基準について、文部科学省案のように、文部科学大臣が第三者評価機関を認証する基準にすぎないものとする場合は、基準違反の場合の行政処分の対象は法科大学院ではなく、第三者評価機関のみとなってしまい、法務省の考えとは異なる。 |
| ● |
法科大学院の存続要件としての設置基準と位置付ければ、基準違反と受験資格の認定とを関連させることができると思われる。 |
| ○ |
不適格認定を理由として設置認可の取消しや学位授与権限の停止がなされれば、当該法科大学院の修了者には司法試験の受験資格が付与されないことになろう。 |
| ○ |
法文としては「適格認定を受けた法科大学院の修了者」が司法試験を受験できるという規定になるのか。 |
| ■ |
条文上「適格認定を受けた法科大学院の修了者」とすると、評価機関が存在しないような事態となった場合には、受験資格を認められる者が存在しないことになる。また、「適格認定」の定義や、評価機関が複数存在する場合の問題もある。受験資格をめぐる不服申立を考えても、主務大臣の行政処分を介在させる必要があると思われる。第三者評価のスキームについては、法制面の問題もあるので、事務局においてさらに検討したい。 |
| ○ |
第三者評価機関が存在しないという究極的な事態を想定すると、第三者評価は国が自ら責任をもって適格認定を行うべきであるということになり、そうなると、第三者評価機関が純粋な民間機関でよいのかという問題も生じるのではないか。 |
| ▲ |
御指摘のような事態を考えると、純然たる民間機関を認証するだけというのでは不安がある。 |
| □ |
第三者評価には、司法試験の受験資格と結び付くミニマム・スタンダードの面と、質の向上を目的とする面とがある。前者については、法制面も含め、早急に検討する必要がある。 |
| ○ |
最低限の基準とは別に実際に第三者評価機関が定める基準があり、最低限の基準を満たせば適格と認定されるが、当該機関の基準に照らして改善命令が出されるという場合もあるのか、それとも、最低限の基準だけを判断する第三者評価機関を一つだけとするのか。 |
| □ |
最低限の基準を満たしているかどうかという判断のほかに、質の向上のための改善勧告のようなものもあってよいのではないか。受験資格との関係では、最低限の基準を満たすこととすべきである。 |
| ○ |
受験資格との関係では、評価基準を一本化し、全国統一のものとしないと、不公平を生じるおそれがある。文部科学省案の第三者評価システムは、大学の自己点検評価に由来するものと思われるが、法科大学院についても協会のようなものが複数でき、そこで質の向上のための評価を行うことになるのではないか。これに対して受験資格と結び付く最低限の基準による第三者評価は、全国統一的に行うべきである。 |
| ○ |
法科大学院については、最低限の基準により評価する機関が存在しないと不都合が生じることは分かるが、法科大学院のレベルアップも目指すべきではないか。一つの機関が、最低限の基準による評価と、より高度なものを目指す評価の双方を行うべきではないか。 |
| ○ |
同感である。評価機関は実際には数多くはできないと思うが、一つの機関しかできなかった場合でも、そこでは、より高度なものを目指すための評価も行うべきである。 |
| ○ |
文部科学省の大学改革のフレームは、合理的な判断をする学生と企業を前提とし、第三者評価機関が適切なシグナルを大学に送れば、大学はより良い学生を受入れ、より良い卒業生を出すように努めるというものであろうが、これを法科大学院に当てはめることが適当なのかという問題がある。法科大学院のアウトプットは、司法試験の受験資格であり、企業側が選択するというものではなく、また、第三者評価機関が複数存在して評価が異なるということもこれと整合しないと思われる。 |
| ● |
「トータルシステム」では、機関別の第三者評価のほか、専門分野別の第三者評価も行うことを想定しており、後者については分野に応じた多様性が認められる。技術者教育に関するJABEEは、技術士の資格制度とも結び付いている。一定の職業能力の育成を目的とする大学院については、これにふさわしい評価制度を一般の評価システムに付加することも可能と思われる。 |
| ● |
適格認定について、不適格なものの排除を目的とするのか、法科大学院の質の向上を目的とするのかについて、ご検討いただきたい。 |
| □ |
本日の議論も踏まえ、次回には、法科大学院の第三者評価(適格認定)スキームの在り方について、意見を整理したい。 |