資料2 中央教育審議会大学分科会 法科大学院部会(第15回)H14.6.10 |
「法科大学院の設置基準等について」(中間報告)
に関するパブリックコメントの結果の概要
○ | 全提出件数 9件 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
○ | 意見提出者
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||
○ | 意見提出者の内訳
|
(課程について)
○ | アメリカの大学院においても医科、歯科、薬科等とともに法科が第一専門職学位とされていることを考慮し、さらにわが国における専門職大学院を国家資格など職業資格の取得にかかわるものに限定するのであれば、法科大学院を専門職大学院のひとつとして位置づけることは国際共通性の点からみても妥当である。(日本私立大学団連合会) |
(標準修業年限・修了要件について)
○ | 3年標準型を選択した法学部卒業者が法学既修者であるにも拘わらず必ずしも「法学既修者」の扱いを受けないことから、一般に、言葉から受けるイメージとのズレを生じ、誤解をうむ可能性が高い。(広島大学・男性・49歳・大学教員) |
○ | 学位授与機構または類似した機関を設置し、科目等履修生として単位を取った者は、その審査に合格すれば法科大学院の修了資格を得ることが可能な制度にすべき。(新潟県・男性・34歳・大学教員) |
○ | 新司法試験が法科大学院の教育内容を踏まえたものになるとされているが、試験形式が、例えば論文形式の重視等に変わったとしても、その水準が現行程度であるとすれば、中間報告にも記載されているような「経済学や理数系、医学系など他の分野を学んだ者を広く受入れていくことが必要である」ことに応えることは、3年の標準修業年限をもってしては、ほとんど不可能ではないか。さらに、今後の法曹としては豊かな教養とともに語学力、法律以外の分野における高度の専門性を有する人材を必要とすることから、法科大学院の標準修業年限・修了要件等教育内容はこの趣旨に適合したものでなければならない。(日本私立大学団体連合会) |
(教員組織等について)
○ | 実務家教員の専任教員の定義について、「専任」と「常勤」の関係がわかりにくい。また、法科大学院への実務家教員の関与が必要であり、制度的にしばりをかけねばならないという趣旨は十分理解するものであるが、ポストとの関係について、もう少しわかりやすい表現と教員数に応じた標準的人数を示していただきたい。また、現役の弁護士については、「専任教員」ではなく、「客員教授」という位置付けも可能ではないか。(広島県・男性・49歳・大学教員) |
○ | 「年間6単位以上の授業を担当し・・・(以下略)」とあるが例えば、研究者教員と実務家教員が共同で2単位の授業を担当する場合、実務家教員は1単位の授業を担当したと計算するのか、それとも2単位を担当したとするのかという点が明確でない。(福岡県・男性・68歳・大学教員) |
○ | 実務家教員の役割に関連し、アメリカには日本の司法研修所に相当する機関はなく、LawSchool卒業生は法律事務所で実務研修をするのに対し、日本では司法研修所で実務訓練がされるとはいえ、判事補が司法研修所修了後直ちに採用されるのは、今回の法曹養成の改革の理念に鑑みるといかがなものか。(日本私立大学団体連合会) |
○ | 実務教員の派遣について、日弁連や各裁判所の協力を十分得られるようにする必要がある。(日本経済団体連合会) |
(教育内容・方法について)
○ | 日本の学校教育は1方向の授業に終始し授業の理解をテストで評価することを繰り返しているため、自己の意見を戦わす事になれていない学生に対して2方向や3方向の授業をするためには20人から30人程度の講義が望ましく、50人以上のクラスになると従来どおりの1方向の授業になってしまうだろう。(広島県・男性・45歳・弁護士) |
○ | 夜間及び通信制の法科大学院については、簡単な記述があるだけだが、社会人入学を実現可能ならしめるためには、簡単に諦めることなく引き続き検討すべきである。(鹿児島県・男性・41歳・司法書士) |
○ | 現在の科目等履修制度は、例えば、書類審査のみの大学もあれば直接教官の許可を得なければならない場合など各大学によって違いがあり、後者の場合などはかならずしも万人にオープンな制度になっているとは言えない。法科大学院の科目等履修制度をオープンな制度とするためには、大学間で共通の科目等履修生募集に関する要項を定めるべき。(新潟県・男性・34歳・大学教員) |
○ | 社会のトラブルに対する紛争解決への説得という法律実務家の業務内容から考えれば、今までの早熟な学生が優秀とする教育評価の在り方は問題であり、2年短縮案はあまり評価すべきではない。卒業判定の在り方について議論が必要。(広島県・男性・45歳・弁護士) |
○ | 働きながら司法試験合格者を目指す人のために、法科大学院が、夏期休業中等に地区ごとに当番で集中講義を開講し、学外から一定数の科目履修生も聴講を認めることを望む。(新潟県・男性・34歳・大学教員) |
○ | 法曹人口が拡大し、将来的には、卒業生が多数企業に入ることも想定される。企業は、倒産法、知的財産法、独占禁止法、金融関連法、税法、契約実務、国際取引等の知見を備えている人材を必要をしており、これらの選択科目を取り入れた幅広いカリキュラムが準備されることが期待される。特に、知的財産技術と法律の双方の分かる人材や国際感覚の備わった人材の育成に力を入れてほしい。(日本経済団体連合会) |
(施設及び設備について)
○ | 平成16年4月より学生受入れを開始するとすれば、すでに準備期間は2年を割っており、新たに施設を設けることは困難が予測される。一定の数量的基準を設けるものではないとしても、全施設の完備は、開校時より暫時行われていくことを認めるべき(日本私立大学団体連合会) |
(第三者評価(適格認定)について)
○ | 適格認定が新司法試験における合格率競争をもたらし法科大学院における教育を歪めないよう配慮すべきである。(日本私立大学団体連合会) |
○ | 司法試験との結びつきがあるミニマムスタンダードであることから、各法科大学院がこれに適合しているかどうかを認定する機関を一つとする点は理解できる。ただし、法科大学院の競争を促す視点が必要であり、教育の質の維持・向上を図るという視点で評価する自主的機関の立ち上げを容認・督励することが必要であり、そのためにも各法科大学院の情報公開が必要である。(日本経済団体連合会) |
(複数の大学が連合して設置する大学院(連合大学院)等について)
○ | 「国立・公立・私立の枠を越えた連合大学院の在り方については、国立大学の法人化の検討状況等も踏まえつつ、大学院制度全体の中で更に検討を進める必要がある」とされている点に関しては、私立大学としては重大な関心を持っている。(日本私立大学団体連合会) |
(奨学金、教育ローン、授業料免除制度等の各種支援制度について)
○ | 法曹養成の公益性に鑑み、特に高額の教育経費がかかることにより法科大学院への入学者層を歪めることのないように、法科大学院の学生に対する各種の公的支援が必要。しかし、他の学生の納付金を原資とする奨学金、授業料減免に関しては、学校法人毎に慎重に決められるべき。(日本私立大学団体連合会) |
(入学者選抜について)
○ | 多様性・開放性を旨としていることから、自大学の学部で教鞭を執っている教員は、入試に一切関与すべきではない。また、入試の選考委員として、実務家や他学部等の外部委員の導入についても検討されるべき。(広島県・男性・45歳・弁護士) |
○ | 「法学未修者の選抜において、法律科目試験を実施することは認められない」とされていることは、法学未修者も3年の標準修業年限で法科大学院を修了することができ、法学既修者と同等の学力を持つことができるように法科大学院の教育内容が決まり、それを踏まえて新司法試験の内容が決まることを意味するとすれば、法科大学院において幅広い教養を身につけることが可能になることを意味し、極めて重要な点である。(日本私立大学団体連合会) |
○ | 卒業者の7割程度が司法試験に合格するということになれば、法科大学院の入試が逆に狭き門となることはないか。これによって法曹人口の増員幅を制限することのないようにしてほしい。また、法科大学院の併設する大学の卒業生と他大学の卒業生を同等に扱う入試制度とすべきであるとともに、法曹の多様性をはかる観点から、法学部以外の学生の入学を促進するような設計をしてほしい。(日本経済団体連合会) |
(法学部教育との関係について)
○ | 「法科大学院での3年未満での短期修了を一般的に認めると、学部段階において法曹に必要な幅広い教養を身につけることがおろそかになるおそれがあり、適当ではない」としているのは、法学部が法科大学院の予備校化するのを避けた重要な指摘である。(日本私立大学団体連合会) |
(その他)
○ | 今回の法科大学院の設立構想は、従来の日本における学校教育や試験制度の反省から、新しく法科大学院制度の設立を検討しているはずであるのに、現在議論されている法科大学院構想は、これまでの学校教育や大学における教育の在り方について十分な反省や検討がされていない。(広島県・男性・45歳・弁護士) |
○ | 法科大学院は、法曹実務を養成するために教育機関として設置されようとしていることから、法曹実務家が法科大学院の設立運営に強い関心と関与を持たせるために、各地の弁護士会に対して十分な取組を働きかけるべき。また、現在の大学の教授の大半は実務経験がなく実務家養成のための教育としては素人である事を自覚し、実務家集団である弁護士会等に法科大学院運営についての協力体制を作ることが必要。(広島県・男性・45歳・弁護士) |
○ | 法科大学院の在り方をウj検討するにあたっては、まず学生への教育の在り方が中心にあるはずであり、毎年3000名の法曹供給のために、法科大学院の卒業生を何人にしなければならないとか、法科大学院の運営経費を賄うためなどの定員決定が行われるのであれば本末転倒である。(広島県・男性・45歳・弁護士) |
○ | 国民の多様なニーズに応える法律家としての将来像を広い視野で捉え、狭義の法曹三者以外の司法書士・弁理士・税理士のいわゆる隣接法律専門職種に対しても新たな養成機関となる「専門職大学院」(仮称)の創設を検討すべきであり、その内容としては、修了者の7〜8割が資格試験に合格を果たす等、資格取得制度と連動した養成課程とすべきである。(日本司法書士会連合会 司法書士養成制度推進委員会) |
○ | 法科大学院などの専門職大学院は、学部の上に変形大学院を継ぎ足すのではなく、学部段階から一貫した修業年限と新たな専門職学位を前提とした新しい高等教育機関の創設(学校教育法に明確に根拠を設ける)として位置付けるべきであろう。(千葉県・男性・61歳・教育問題研究会編集委員) |
○ | 現行の法曹養成プロセスと比べると、法科大学院の期間と司法試験受験年(合計3〜4年間)分だけ、法曹資格を取得するまでの年限が長くなっている。これから検討される司法修習も含めてプロセス相互間のやりくりをして、できるだけ修学期間の短縮を図るべき。(日本経済団体連合会) |