「制度を活かすもの,それは疑いもなく人である」。平成13年6月に内閣へ提出された司法制度改革審議会意見(以下「審議会意見」という。)はこのように説き起こして,司法試験という「点」のみによる選抜ではなく,法学教育,司法試験,司法修習を有機的に連携させた「プロセス」としての法曹養成制度を新たに整備し,その中核を成すものとして法科大学院を設けるべきことを宣言した。政府においても,同月,この審議会意見を最大限尊重して司法制度改革に取り組む旨が閣議決定されている。
文部科学大臣の諮問機関である中央教育審議会は,以上のような流れを受けて,大学分科会に法科大学院部会を設置し,審議会意見で平成16年4月からの学生受入れ開始を目指して整備されるべきであるとされた法科大学院に関し,大学院としての制度設計に直接かかわる設置基準,学位,入学者選抜等の課題を中心に検討を行ってきた。この間,司法制度改革推進法が公布・施行され,昨年12月には司法制度改革推進本部が発足した。平成14年からは,同推進本部を中心として,法科大学院の第三者評価(適格認定)の在り方や新たな司法試験・司法修習の設計など,審議会意見の内容を踏まえた法曹養成制度の具体的な検討が進められている。また,本年3月19日には,司法制度改革と基盤の整備に関し,措置内容,実施時期等を定めた司法制度改革推進計画が閣議決定された。
このような中にあって,当審議会としては,これまでの審議の結果を本年4月18日に「中間報告」として取りまとめて公表し,国民各位の御批判,御叱(しっ)正を仰ぐとともに,法科大学院の設立に向けた準備や制度設計に関する論議の参考に供することとした。本年半ばごろには中央教育審議会答申として文部科学大臣へ提出することを目指し,今後,当審議会においても更に審議を深めたいと考えている。
その後の更なる審議により,ここに「中間報告答申」をとして公表するに及んで,法科大学院の実りある実現のためには未(いま)だ道半ばとはいえ,当審議会として些(いささ)かの感慨を禁じ得ない。というのも,法科大学院構想は,大学改革と司法制度改革に関するそれぞれの関係者の長い努力と労苦の積み重ねが,司法制度改革審議会という「時」と「場」を得て交錯し,実を結んだものと捉えることができるからである。
21世紀の司法を担う法曹に必要な資質としては,審議会意見が端的に指摘するように,「豊かな人間性や感受性,幅広い教養と専門的知識,柔軟な思考力,説得・交渉の能力等の基本的資質に加えて,社会や人間関係に対する洞察力,人権感覚,先端的法分野や外国法の知見,国際的視野と語学力等が一層求められる」。このような資質を備えた人材を数多く養成するために,「点」のみによる選抜から,「プロセス」としての新たな法曹養成制度への転換が求められたのは必然的とも言える。
一方,人々の知的活動・創造力が最大の資源である我が国にとって,優れた人材の養成と独創的な学術研究の推進等の役割を担う大学における教育研究の振興は,今後の発展に欠くことのできない「未来への先行投資」である。内閣総理大臣の諮問機関である臨時教育審議会の提言を受けて昭和62年に大学審議会が設置されて以来,高度化・個性化・活性化を柱として高等教育制度の大綱化・弾力化が進められ,教養教育改革,大学院の整備充実,自己点検・評価の導入など,様々な取組がなされてきた。その中で,我が国高等教育の国際的な通用性の向上を視点とする「競争的環境の中で個性が輝く大学」の一つの姿として,高度専門職業人養成に特化した実践的教育を行う大学院(プロフェッショナル・スクール)の設置促進が提言された。その後,教育改革国民会議(内閣総理大臣の私的諮問機関。平成12年)の提言でも,ロー・スクールなどの高度専門職業人養成型大学院の整備が新しい大学・大学院システムとして位置付けられている。
以上のような文脈の中で法科大学院構想を見ると,その意義も自(おの)ずから明確に浮かび上がってくるように思われる。ここで,審議会意見に掲げられた法科大学院の目的・理念を,長くはなるが引用したい。
「 |
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ア |
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目的 法科大学院は,司法が21世紀の我が国社会において期待される役割を十全に果たすための人的基盤を確立することを目的とし,司法試験,司法修習と連携した基幹的な高度専門教育機関とする。
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イ |
教育理念 法科大学院における法曹養成教育の在り方は,理論的教育と実務的教育を架橋するものとして,公平性,開放性,多様性を旨としつつ,以下の基本的理念を統合的に実現するものでなければならない。
- 「法の支配」の直接の担い手であり,「国民の社会生活上の医師」としての法曹に必要とされる専門的資質・能力の習得と,かけがえのない人生を生きる人々の喜びや悲しみに対して深く共感しうる豊かな人間性の涵養,向上を図る。
- 専門的な法知識を確実に習得させるとともに,それを批判的に検討し,また発展させていく創造的な思考力,あるいは事実に即して具体的な法的問題を解決していくため必要な法的分析能力や法的議論の能力等を育成する。
- 先端的な法領域について基本的な理解を得させ,また,社会に生起する様々な問題に対して広い関心を持たせ,人間や社会の在り方に関する思索や実際的な見聞,体験を基礎として,法曹としての責任感や倫理観が涵養されるよう努めるとともに,実際に社会への貢献を行うための機会を提供しうるものとする。
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ウ |
制度設計の基本的考え方 法科大学院の制度設計に当たっては,前記のような教育理念の実現を図るとともに,以下の点を基本とする。
- 法科大学院の設置については,適正な教育水準の確保を条件として,関係者の自発的創意を基本にしつつ,全国的な適正配置となるよう配慮すること
- 法科大学院における教育内容については,学部での法学教育との関係を明確にすること
- 新しい社会のニーズに応える幅広くかつ高度の専門的教育を行うとともに,実務との融合をも図る教育内容とすること
- 法科大学院における教育は,少なくとも実務修習を別に実施することを前提としつつ,司法試験及び司法修習との有機的な連携を図るものとすること
- 以上のような教育を効果的に行い,かつ社会的責任を伴う高度専門職業人を養成するという意味からも,教員につき実務法曹や実務経験者等の適切な参加を得るなど,実務との密接な連携を図り,さらには,実社会との交流が広く行われるよう配慮すること
- 入学者選抜については,他学部,他大学の出身者や社会人等の受入れにも十分配慮し,オープンで公平なものとすること
- 資力のない人や社会人,法科大学院が設置される地域以外の地域の居住者等にも法曹となる機会を実効的に保障できるよう配慮すること
- 法科大学院における適正な運営の確保及びその教育水準の維持,向上を図るため,公正かつ透明な評価システムを構築するなど,必要な制度的措置を講じること 」
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当審議会としても,このような法科大学院の目的・理念に全面的に賛意を表するものであり,以下に掲げる中間報告答申の内容もこれに沿って理解されるべきものであることを確認しておきたい。
以上のような意義と内容を有する法科大学院は,中央教育審議会からすれば,大学(大学院)が社会との対話の中で自らを変革し,国民の期待に応(こた)えて「知の再構築」を図っていくことができるか,今後の大学改革の行方を展望する上でも重要な試金石と言うことができる。まして,そのような取組が,社会科学分野の教育研究における「理論と実務の架橋」を目指す法科大学院構想として結実しつつあることの意義は計り知れない。
このように考えれば,法科大学院構想が従来のままの法学部の在り方を所与の前提とするものでは決してないことは,容易に理解されよう。大学関係者にあっては,法科大学院での教育が従来の法学教育の単なる延長ではないことを,十分に認識しなければならず、各大学には,厳しい自己改革の努力の上に立ち,その個性や特色を生かした法科大学院を設立されるよう,強く期待したい。とりわけ,我が国がグローバル化の進展や社会経済状況等の変化に即応していく上で重要な国際渉外,企業法務,知的所有権等の分野で国際的にも活躍できる法曹の養成を期待するものである。
その前提の上で,現在,政府においては,規制改革の観点から,高等教育における自由な競争環境の整備に関する検討が進められつつあるところでもあり,以下に列挙する設置基準関係の事項のうち,設置基準に盛り込むべき事項は最小限に絞って主なものを枠内に記載した。また,設置審査自体にかかわる事項,第三者評価(適格認定)で考慮されるべき事項,その他補足的事項は枠外に記載してある。特に,第三者評価(適格認定)で考慮されるべき事項も含まれており,評価基準の策定にかかわる国の関与の在り方などとの関連において,設置基準と第三者評価基準との関係について整合性を確保することが必要である。当審議会においても,関係機関と連絡を密にしながら,引き続き,整合性ある制度設計に向けて審議を深めていきたい。(P:本段落の第三者評価に関係する部分)
我が国の大学改革及び司法制度改革の歴史の中でも特筆すべき壮挙とも言える法科大学院が実現段階に差し掛かった今こそ,国民の信頼と期待に応(こた)え得る新たな法曹養成制度を構築するために,教育関係者と司法関係者が相互に信頼しあい,共感に満ちたパートナーシップを築くことが不可欠であることを,改めて確認しておきたい。
この「中間報告答申」の取りまとめに至るまでの,またこれまでの長い改革の歩みの中で努力を傾注してきたすべての関係者及び関心を寄せていただいた国民各位に対して,深く感謝を申し上げる。また,法科大学院の実りある実現のために,関係者の今後なお一層の尽力と,国民各位の御理解と御支援を衷心より期待する。当審議会も微力ながらその一翼を担うことができれば,これに過ぐる喜びは無い。
2 設置基準関係
(1) |
課程(P:大学分科会の議論を踏まえて記述)
○ |
法科大学院は,「高度で専門的な職業能力を有する人材の養成」を目的とする専門職学位課程(仮称)を置く専門職大学院(仮称)の一つとして位置付ける。 |
○ |
法科大学院の修了者には,社会的・国際的通用性も勘案し,適切な名称の新たな専門職「法務博士(専門職)」あるいは「法務博士(専門職学位)」などの学位を授与する。 |
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 |
法科大学院の課程(専門職学位課程) 大学院の目的・役割として,学術研究の推進及びそれを通じた研究者の養成とともに高度で専門的な職業能力を有する人材の養成が挙げられるが,特に近年においては,学術研究の進展や急速な技術革新,社会経済の高度化,複雑化,グローバル化等により,大学院における社会的・国際的に通用する高度専門職業人養成に対する期待が高まっている。 このため,中央教育審議会においては,現在,従来の修士課程・博士課程に加え,「高度で専門的な職業能力を有する人材の養成」を目的とする大学院の課程として専門職学位課程(仮称)を新たに設け,この課程を置く大学院として専門職大学院(仮称)の制度を創設することを検討している。 法科大学院は,審議会意見において「法曹養成に特化した実践的な教育を行う学校教育法上の大学院」として位置付けられているとおり,高度専門職業人としての法曹の養成を目的としているものであるため,このような趣旨を踏まえると,法科大学院もまた専門職大学院(仮称)の一つとして位置付けることが適当である。 なお,このように法科大学院は法曹養成に特化した教育を行うものであり研究者養成を直接の目的とするものではないが,その修了者が,研究者養成を目的とする課程などに進学することも考えられる。このような法科大学院の修了者の受入れの在り方等については,今後検討していく必要がある。博士課程(後期)への進学を認めることとし,その場合の博士課程(後期)における修了要件としての在学期間は,学生の法科大学院での履修内容を学生を受け入れる大学院において適切に評価することにより,最低2年とすることも可能となるよう考慮することが適当である。
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法科大学院の学位(専門職学位) 既存の大学院の課程の修了者については,修士又は博士の学位が授与されることとなっているが,法科大学院は,既存の課程とは異なる目的・要件の下で設置されるものとして位置付けることから,その修了者には,社会的・国際的通用性も勘案し,適切な名称の新たな専門職「法務博士(専門職)」あるいは「法務博士(専門職学位)」などの学位を授与する。 |
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(2) |
標準修業年限・修了要件
○ |
標準修業年限は3年とする。 |
○ |
課程の修了要件は,3年以上の在学,93単位以上の修得。 法学既修者については,1年以下(30単位以下)を短縮する(2年以上在学し,63単位以上修得での修了)。 |
※ |
法学既修者:法科大学院において必要とされる法律学の基礎的な学識を有すると認められる者 |
○ |
入学前の既修得単位認定及び単位互換等については,合計30単位まで認める。 |
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標準修業年限 審議会意見の趣旨を踏まえ,標準修業年限は3年とすることを設置基準上明確に位置付けることが必要である。その上で,夜間大学院など教育研究上の必要があると認められる場合には,研究科,専攻又は学生の履修上の区分に応じて,3年を超えることができるものとすることが適当である。 また,従来の大学院修士課程において認められている標準修業年限を1年以上2年未満とするコース(いわゆる1年制コース)など短期の標準修業年限を可能とする制度は,法的思考力を鍛える場であり,教育方法も少人数教育を基本として双方向的,多方向的で密度の濃いものとされている法科大学院については,その必要単位数を勘案すれば当面制度化すべきでないと考えられる。 なお,標準修業年限と関連して,法科大学院において必要とされる法律学の基礎的な学識を有すると認められる者(以下「法学既修者」という。法学部出身者であると否とを問わない。)については,2年以上3年未満での短期修了を認めるものとするが,全体としての多様性を確保する見地からは,審議会意見において「経済学や理数系,医学系など他の分野を学んだ者を幅広く受け入れていくことが必要である」とされている趣旨を十分踏まえることが必要である。また,標準修業年限は3年である以上,法科大学院において2年以上3年未満の教育課程のみを編成することは制度上認められない。 修業年限を超えて在学することが予定される正規学生である長期履修学生については,中央教育審議会において,職業や家事等に従事しながら大学等で学ぶことを希望する人々の学習機会を一層拡大する観点から,学生が個人の事情に応じて柔軟に修業年限を超えて履修し学位等を取得する仕組みとして,その導入について答申が出され,これを受けて本年3月に大学設置基準等の改正が行われたところであり,法科大学院における公平性,開放性,多様性の確保を図る観点からも,各法科大学院の判断により適切に対応していくことが期待される。
※「長期にわたる教育課程の履修」(大学設置基準 第30条の2)
大学は,大学の定めるところにより,学生が,職業を有している等の事情により,修業年限を超えて一定の期間にわたり計画的に教育課程を履修し卒業することを希望する旨を申し出たときは,その計画的な履修を認めることができる。
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修了要件 課程の修了要件として,既存の大学院の課程(修士課程と博士課程)については,一定期間の在学及び必要単位の修得に加え学位論文の作成等に対する指導(以下「研究指導」という。)を受け,論文の審査(又は特定の課題についての研究の成果の審査)及び試験の合格が必要であるが,法科大学院の課程については,法曹養成に特化した実践的な教育を行うことにかんがみ,修了要件としては研究指導はを要しないこととし,一定期間の在学及び必要単位の修得のみで足りるとすることが適当である。 すなわち,法科大学院の課程の修了要件として,必要在学期間については,標準修業年限に即して3年以上(標準修業年限が3年を超える場合には,当該標準修業年限以上)とし,必要修得単位数については,法律基本科目群,実務基礎科目群,基礎法学・隣接科目群,展開・先端科目群の標準的なカリキュラムを想定し,93単位以上とすることが適当である。ただし,法学既修者については,審議会意見において短縮型として2年での修了を認めることとすべきとされていることを踏まえ,30単位を超えない範囲で単位を既に修得したとみなすとともに(すなわち,63単位以上の修得が必要),在学期間を1年以下短縮できるもの(すなわち,2年以上在学が必要)とする。
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入学前の既修得単位の認定等 入学前の他の大学院における既修得単位の認定や及び他の大学院との単位互換については,現行制度上,大学院修士課程においては,修了に必要な30単位のうちそれぞれ10単位を超えない範囲(3分の1を超えない範囲。ただし,転学,編入学等の場合を除く。)で認めることができることとされている。 法科大学院においてもは,カリキュラム編成等において独自の運営が確保されることが必要であるが,各法科大学院間の交流と協力を促進し,教育内容の充実を図り,また,入学前の学習成果を適切に評価する観点から,法科大学院が教育上有益と認めるときは,同様の取扱いをすることができるもの入学前の既修得単位の認定及び単位互換を認めることとすることも考えられるが,法科大学院制度の趣旨をも踏まえ,更に検討する必要があるのが適当である。なお,多様なバックグラウンドを持った法曹を養成する観点から,法科大学院以外の大学院や海外の大学院において履修した単位についても,同様に法科大学院における単位の修得として認めることが適当である。
また,修了に必要とされる93単位に算入することのできる単位数の上限は,学生に対する教育を各法科大学院が責任を持って実施すべきであることを重視する観点から,入学前の既修得単位の認定及び単位互換に係る単位数並びに法学既修者について既に修得したとみなされる単位数も含め,合わせて30単位とすることが適当である。
なお,法学既修者等についても他の法科大学院において幅広い教育を受けることを確保するなどの観点から,各法科大学院において93単位を超える単位数を修了要件としている場合は,その93単位を超える部分について,上記の30単位という上限にかかわらず,単位互換を認めることとするのが適当である。 |
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(3) |
教員組織等
○ |
教員は,高度の教育上の指導能力があると認められる者を必要数置く。 ・最低限必要な専任教員数は12人。 ・専任教員1人当たりの学生の収容定員は15人以下。 |
※ |
このほか,各大学院毎に開設授業科目に応じた必要な担当教員を置く。 |
○ |
法科大学院の専任教員(必要数分)は,他の学部等において必要とされる専任教員の数に算入しないものとする。(ただし,10年以内を目途に解消されることを前提に,当面,その3分の1を超えない限度で,他の学部等の専任教員の必要数に算入できるものとする。) |
○ |
専任教員(必要数分)のうち,相当数を実務家教員とする。(・相当数は概ね2割程度以上。) |
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教員資格 法科大学院は,法曹養成に特化した実践的な教育を行う新しい大学院であり,また研究指導を行わない修了要件とはしないものとするとなど従来の大学教育を前提としないものであり,このような法科大学院の理念を実現するためには,教員資格に関する基準についてはも,従来とは異なる法科大学院独自の観点からのものが必要となる。具体的には,教育実績や教育能力,実務家としての能力・経験を大幅に加味したものとするとともに,その資格の審査に当たっては,現行の大学院設置審査基準における研究指導教員(いわゆる「○合」)と研究指導補助教員(いわゆる「合」)の区別は設けないこととすることが適当である。なお,このような教員資格の内容を踏まえると,資格審査手続においては,法曹関係者など実務に精通した者の参加が必要である。 その際,後出の実務家教員については教育に係る研修を行ったり,それ以外の教員については実務に接する機会を設けるなどの工夫をすることが適切である。
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専任教員数等(参考資料1) 必要専任教員数等の算定に当たっては,次のとおりとすることが適当である。 a 最低限必要な専任教員数は12人とする。 これは,法科大学院に最低限必要な授業科目を勘案したものである。 b 学生の収容定員は,入学定員に3(標準修業年限が3年を超える場合には,当該標準修業年限の数)を乗じて算出するものとする。(各年度毎に入学定員が異なる場合は直近3か年分の総和。) これは, ア 法科大学院の標準修業年限は3年であり,3年の課程の教育を実施するものであること, イ 現実にどの程度の数が2年で修了するかはあらかじめ確定し難いこと, 等を勘案したものである。 c 専任教員1人当たりの学生の収容定員は15人以下とする。 これは,法科大学院は,従来の専門大学院と同様に高度専門職業人養成を行うが,必ずしも研究指導を要しないこととする研究指導は修了要件とはしないことから,専門大学院に必要とされている比率(教員1人当たり10人の学生)と同じ比率である必要はないこと,及び,米国の主要ロースクールの例等を勘案したものである。
(参考資料2)
- 算出例1(入学定員50人の場合)
- 収容定員:50人×3年=150人
- 専任教員数:150÷15=10人→12人
※最低限必要な専任教員数を12人とすると,収容定員180人(12×15)まで適用される。
- 算出例2(入学定員100人の場合)
- 収容定員:100人×3年=300人
- 専任教員数:300÷15=20人
さらに,このほかにも,各大学院毎に開設授業科目に応じた必要な担当教員を置くことが必要となる。 また,専任教員の在り方に関し,現行制度上は,大学院には,研究科及び専攻の種類及び規模に応じ,教育研究上必要な教員を置くものとされており,教育研究上支障を生じない場合には,学部・研究所等の教員等がこれを兼ねることができることとされている(大学院設置基準第8条)が,法科大学院の独立性の確保の必要性にかんがみ,専任教員(必要数分)は,他の学部等の専任教員の必要数に算入しないものとすることが適当である。(法科大学院の教育に支障を生じない場合には,法科大学院の専任教員が他の学部等の授業の一部を担当することが妨げられるものではない。) ただし,制度発足当初は,他の学部等における教育との関連性を考慮し,優秀な教員を確保する観点から,専任教員のうち,3分の1以内については,法科大学院及び他の学部等の教育研究上支障を生じない場合には,他の学部等の専任教員の必要数に算入できることとすることが適当である。この措置は,10年以内を目途に解消されることを前提に,当面の措置として認めるものとすることが適当である。(専任教員の数の3分の1以内を他の学部等の専任教員の必要数に算入する場合であっても,飽くまでも上記 により算定される教員数が法科大学院に必要な専任教員数であることに変わりはない。) なお,このような措置を認めるものではあるが,法科大学院の運営においては相対的な独立性を確保することが必要であり,その際,カリキュラムや人事等で法科大学院としての独自の運営ができるようにするとともに,大学院レベルにおける法曹以外の人材養成との関係や,学部教育との関係にも留意することが重要である。
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実務家教員(参考資料1) 法科大学院は,法曹養成に特化して法学教育を高度化し,理論的教育と実務的教育との架橋を図るものであるから,狭義の法曹や専攻分野における実務の経験を有する教員(「実務家教員」)の参加が不可欠である。このため,専任教員のうち相当数は,実務家教員とすることが必要である。
実務家教員の具体的範囲について,実務を離れてからの期間や実務家として認められる具体的な職種を一律に定めることは技術的に困難であるばかりでなく,一律に定めることが逆に法科大学院における多様性の排除につながることも考えられることから,少なくとも当面は個別に判断することとし,その判断の積み重ねを待つことが望ましい。 実務家教員の数については,法科大学院は,法曹養成の「プロセス」の一環として,その修了後に(新司法試験を経て)控えている行われる新司法修習との間で適切な役割分担が期待されており,高度専門職業人として直ちに活動を開始するために必要な知識・技能のすべてを教育するものではないことなどを踏まえ,専任教員(必要数分)のうち概ね2割程度以上とすることが適当であると考えられる。 実務家教員としては,5年以上の実務経験を求めることとし,必要とされる専任の実務家教員のうち,少なくとも3分の1程度は常勤とするが,その余は,年間6単位以上の授業を担当し,かつ,実務基礎教育を中心に法科大学院のカリキュラム編成等の運営に責任を持つ者とすることで足りるものとする。ただし,この措置は,将来的に法曹資格を持つ担当教員が増えるなどにより実務家教員とそれ以外の教員の区別が相対化していくのに応じて,適宜見直すことが適当である。
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教員の質の確保等
法科大学院は,法曹に求められる高度の専門的知識の習得など実践的な教育を行うことから,その教育水準を確保する上で,直接の教育活動を行う教員の質を確保することが重要であることは言うまでもない。このため,法科大学院においては,学生による授業評価やピアレビューなどを通して,それぞれの教員が切磋琢磨して互いに授業内容及び方法の向上に努めることができるような取組を行うことが望ましい。
また,ファカルティ・ディベロップメントについては,大学は,当該大学の授業の内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究の実施に努めなければならない(大学設置基準第25条の2)こととされている。法科大学院については,実務家教員とそれ以外の教員との協力による教材選定・作成や教育能力を高めるための研修を行うことなどが重要であり,ファカルティ・ディベロップメントを義務として位置付けることが必要である。例えば,教員の教育能力を高めるため,実務家教員については法曹関係者・大学関係者が協力して研修を行ったり,それ以外の教員については実務研修の機会を設けるなどの取組が重要であり,これらについて,関係者等において具体的な検討が急務である。 |
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(4) |
教育内容・方法等
○ |
法曹として備えるべき資質・能力を育成するために,法理論教育を中心としつつ実務教育の導入部分をも併せて実施することとし,実務との架橋を強く意識した教育を行う。そのために必要な授業科目を開設し,体系的に教育課程を編成するものとする。 |
※ |
授業科目の種類としては,法律基本科目群,実務基礎科目群,基礎法学・隣接科目群,展開・先端科目群が考えられる。 |
○ |
教育方法については,少人数教育を基本として,事例研究,討論,調査,現場実習その他の適切な方法により授業を行うものとし,双方向的・多方向的で密度の濃いものとする。 |
※ |
法科大学院の学生が在学期間中その課程の履修に専念できるよう,授業方法・計画,成績評価方法を明示した上で,厳格な成績評価及び修了認定を行うことが必要である。 |
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教育課程等 法科大学院では,法理論教育を中心としつつ,実務教育の導入部分をも併せて実施することとし,実務との架橋を強く意識した教育を行うべきとされていることを踏まえ,法曹養成に特化した教育を行うという法科大学院の理念を実現するのにふさわしい体系的にな教育課程を編成すべきことを基準上明確にする必要がある。
(主な科目の例)
- 法律基本科目群
- 公法系(憲法,行政法などの分野に関する科目)
- 民事系(民法,商法,民事訴訟法などの分野に関する科目)
- 刑事系(刑法,刑事訴訟法などの分野に関する科目)
- 実務基礎科目群
- 法曹倫理,法情報調査,要件事実と事実認定の基礎,法文書作成,模擬裁判,ローヤリング,クリニック,エクスターンシップなど
- 基礎法学・隣接科目群
- 基礎法学,外国法,政治学,法と経済学など
- 展開・先端科目群
- 労働法,経済法,税法,知的財産法,国際取引法,環境法など
なお,既存の大学院の教育は,授業科目の授業(講義,演習,実習等)及び研究指導によって行うものとされているが,法科大学院の教育は,法曹養成に特化した実践的な教育であるため,授業科目の授業によって行うものとし,研究指導は,修了要件としては要しないこととすることが適当である。
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単位制度等 授業とそれに必要な学習時間との関連で,単位制度上は,「教員が教室等で授業を行う時間」及び「学生が事前・事後に教室外における準備のための学習(以下「準備学習」という。)を行う時間」の合計で,標準45時間の学修を要する教育内容をもって1単位とすることとされており(例えば,「講義及び演習については,15時間から30時間までの範囲で大学が定める時間の授業をもって1単位とする」とされている。(大学設置基準第21条)),教員は学生に対して適切に準備学習の指示を与えるなどにより,教室外の学習時間を確保することが必要である。 また,1年間の授業を行う期間は,定期試験等の期間を含め,35週にわたることを原則とする(大学設置基準第22条準用)。さらに,各授業科目の授業は,10週又は15週にわたる期間を単位として行うものとし,教育上特別の必要があると認められる場合は,これらの期間より短い特定の期間において授業を行うことができることとする(大学設置基準第23条準用)。なお,特定の期間において行う授業として,法科大学院の場合は,例えば,夏休みなど学期外の実務家教員による集中講義,クリニック,エクスターンシップなどの実施が考えられる。
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授業を行う学生数 授業を行う学生数については,法科大学院において少人数で密度の濃い教育が基本とされていることに鑑み,授業方法や施設・設備その他の教育上の諸条件を考慮して,教育効果を十分にあげられるような適当な人数とするものとする。この点に関し,授業科目や授業方法に応じた考慮が必要であるが,例えば,法律基本科目群の授業であれば,概ね50人程度を基本とすべきである。
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授業方法等 法科大学院における教育方法(授業方式)としては,講義方式や少人数の演習方式,調査・レポート方式などを適宜組み合わせ活用するものとし,双方向的・多方向的で密度の濃いものとすべきとされていることを基準上明確にする必要がある。また,理論と実務を架橋した教育にふさわしい教材の整備も必要であり,例えば,実務家教員とそれ以外の教員とが協力して事例式のケースブックや演習書を作成したり,司法修習の内容も参考にした適切な教材を作成したりなどの工夫が期待される。
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教育内容等の改善のための教員の組織的な研修等(ファカルティ・ディベロップメント)
ファカルティ・ディベロップメントについては,大学は,当該大学の授業の内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究の実施に努めなければならない(大学設置基準第25条の2)こととされている。法科大学院については,実務家教員とそれ以外の教員との協力による教材選定・作成や教育能力を高めるための研修を行うことなどが重要であり,ファカルティ・ディベロップメントを義務として位置付けることが必要である。例えば,教員の教育能力を高めるため,実務家教員については法曹関係者が協力して研修を行ったり,それ以外の教員については実務研修の見学の機会を設けるなどの取組が重要である。
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成績評価等 法科大学院の課程を修了した者のうち相当程度の者が新司法試験に合格できるような充実した教育を行うためには,その前提として,法科大学院の学生が在学期間中その課程の履修に専念できるよう,授業方法・や年間の授業計画,科目毎の授業内容,成績評価方法をシラバスにより詳細に明示した上で,厳格な成績評価及び修了認定を行うことが必要である。 単位の授与に関し,大学は,一の授業科目を履修した学生に対しては,試験の上単位を与えるものとする(大学設置基準第27条)とされているが,学期末の試験のみならず学生の授業への出席状況,授業での発言,課題への対応状況その他日常の学生の授業への取組と成果を考慮して,多元的に成績評価を行った上で単位を与えることが望ましい。 また,単位制度の趣旨にかんがみ,大学は,学生が各年次にわたって適切に授業科目を履修するため,卒業要件として学生が修得すべき単位数について,学生が1年間又は1学期に履修科目として登録することができる単位数の上限を定めるよう努めなければならない(大学設置基準第27条の2)とされている。法科大学院においては,学生の準備学習を前提とした双方向,多方向的な密度の濃い授業を行うことが要求されていることや,法科大学院の学生が在学期間中その課程の履修に専念できるような仕組みを設けることが肝要であるとされていることを踏まえ,過剰な科目登録を防ぐために,履修科目の登録の上限を設定するものとすることが適当である。 さらに,成績評価及び修了認定の実効性を担保する仕組みとしては,例えば,各法科大学院において,あらかじめ学生に望まれる到達度を明示し,ある段階(例えば初年度修了時)において履修状況及び学業成績から見て一定のその水準に達していない限り場合にはその段階以降に配当される授業科目の履修を認めないこととすることや,学生の卒業時における学業成績が一定の水準を満たすことを修了要件とすることなどが考えられる。
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科目等履修生 大学は,大学の定めるところにより,当該大学の学生以外の者で一又は複数の授業科目を履修する者(科目等履修生)に対し,単位を与えることができると定められており(大学設置基準第31条),法科大学院においても,社会人等に対する学習機会の確保のみならず,現に実務に携わる法曹に対し,先端的・現代的分野や国際関連,学際的分野等を学ぶ機会が与えられるよう,科目等履修生として単位を認めることが適当である。
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夜間大学院,通信制大学院等 自宅や職場等から通学できる範囲に必ずしも希望する法科大学院がないことや,職場環境によって通学可能な時間帯が限られることなど,地理的・時間的な制約などがある社会人等のニーズに応(こた)えるため,公平性,開放性,多様性の確保を図る必要がある。 そのため,インターネットや衛星通信等を活用したテレビ会議方式などの遠隔授業のような授業方法や,教育上特別の必要があると認められる場合の夜間その他特定の時間又は時期において授業を行う等の適切な方法による教育(いわゆる14条特例)などの工夫が考えられるほか,夜間大学院についても,法科大学院として十分な教育効果があげられる場合には,教育方法や学生に対する学習指導体制について十分に配慮しつつ,各大学の判断により認められることとすべきである。 なお,通信制法科大学院については,高度情報通信技術の発展等を視野に入れると,これらの技術の積極的活用によりレポート指導や討議,双方向・リアルタイムで行う授業の展開などが今後期待されるものの,他方で,学生に対して法科大学院にふさわしい十分な学習指導を行える体制が確保できるかどうかなどの課題も残っている。したがって,通信制法科大学院については,通常の法科大学院の発足後の教育の展開状況も見定めつつ,その在り方について引き続き検討する必要がある。 |
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(5) |
施設及び設備
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専用の施設及び設備は,法科大学院の目的に照らし十分な教育効果をあげることができると認められるものとする。 |
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施設及び設備については,法科大学院の目的に照らし,第三者評価(適格認定)を受けつつ十分な教育効果をあげるためにふさわしいものとして整備されていることが必要である。その内容については,各法科大学院の創意工夫によることを基本とし,一律の数量的基準を設けるものではないが,例えば,自習室や模擬法廷などの施設の設置,図書館の夜間開館,コンピュータやマルチメディア教材などの情報機器や参考図書等の充実などが期待される。
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(6) |
自己点検・評価,情報公開
○ |
法科大学院は,その教育水準の向上を図り,当該法科大学院の目的及び社会的使命を達成するため,当該法科大学院における教育活動等の状況について自ら点検及び評価を行い,その結果を公表するものとする。 |
○ |
自己点検・評価を行うに当たっては,その趣旨に則し適切な項目を設定するとともに,適当な体制を整えて行うものとする。 |
○ |
自己点検・評価の結果について,当該法科大学院を置く大学の職員以外の者による検証を行うよう努めなければならない。 |
○ |
法科大学院は,当該法科大学院における教育活動等の状況について,刊行物の掲載その他広く周知を図ることができる方法によって積極的に情報を提供するものとする。 |
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自己点検・評価の実施,結果の公表等については,現行制度上,大学院の義務として位置付けられているところ(大学院設置基準第1条の2)であり,法科大学院についても,その教育水準の一層の向上を図る観点から,各法科大学院自らが教育の質的充実を進める責任があることを明確にするとともに,教育活動の透明性を高めるため,自らの教育活動の点検・評価の実施と評価結果の公表を義務として位置付けることが必要である。 また,上記の自己点検・評価の結果の公表とともに,日常的な教育活動等の状況について,刊行物への掲載その他広く周知を図ることのできる方法によって積極的に情報を提供することが重要である。
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(7) |
第三者評価(適格認定)(P)
○ |
大学関係者や法律実務に従事する者,法的サービスの利用者等で法科大学院に関し広く高い識見を有する者で構成される機関による第三者評価(適格認定)を受けるものとする。 |
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大学の評価の今後の在り方に関しては,大学の個性化と教育研究の不断の改善に向け,自己評価,外部評価,第三者評価(適格認定)を適切に組み合わせた多元的な評価システムを確立することが必要である。法科大学院に関しても,新たな法曹養成制度の中核的機関としての水準の維持・向上を図るため,設立時の設置認可の審査とともに,大学関係者や法律実務に従事する者,法的サービスの利用者等で法科大学院に関し広く高い識見を有する者で構成される機関による継続的な第三者評価(適格認定)を行うことが重要である。 その検討に当たっては,現在,中央教育審議会において,大学の質の保証に係る新たなシステムの構築に向けて設置認可の弾力化と大学設置後のチェック体制の整備について検討がなされており,一方,司法制度改革推進本部においても,第三者評価(適格認定)基準等についての検討が進められていることを踏まえ,両者の検討の整合性を確保する必要がある。 すなわち,法科大学院が学校教育法上の大学院として専門職大学院(仮称)の一つとされることにかんがみ,その第三者評価(適格認定)の在り方についても大学院評価制度全体の枠組みの中において位置付けられることが基本となるが,他方で,第三者評価(適格認定)の結果が新司法試験の受験資格の付与とも連動することも踏まえつつ,制度設計を行う必要がある。 その際の具体的な留意点としては,例えば,第三者評価(適格認定)の基準の内容及びその策定に係る国の関与,第三者評価(適格認定)機関の在り方,法科大学院創設時における第三者評価(適格認定)の取扱い,適格認定されなかった法科大学院に対する国の措置,第三者評価基準と設置基準との関係,などがあるが,今後,審議会意見の趣旨を損ねることの無いよう配慮しつつ,各方面における検討状況を見定め,更に検討する必要がある。
(注)司法制度改革審議会意見抜粋(審議会意見書P.70) 法科大学院における入学者選抜の公平性,開放性,多様性や法曹養成機関としての教育水準,成績評価・修了認定の厳格性を確保するため,適切な機構を設けて,第三者評価(適格認定)を継続的に実施すべきである。 法科大学院の第三者評価(適格認定)の仕組みは,新たな法曹養成制度の中核的機関としての水準の維持,向上を図るためのものであって,大学院としての設置認可や司法試験の受験資格とは,密接に関連しつつも,独立した意義と機能を有するものであり,評価(適格認定)基準の策定や運用等に当たっては,それぞれの意義と機能を踏まえつつ,相互に有機的な連携を確保すべきである。
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3 その他