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資料3
中央教育審議会大学分科会
法科大学院部会(第25回)平成16年12月1日

大学評価・学位授与機構の実施する法科大学院の評価に関する主な論点(案)

〔評価基準 第2章 教育内容「2−1 教育内容」等について〕

 「幅広い教養と豊かな人間性を基礎に十分な職業倫理を身に付け,社会の様々な分野において厚い層をなして活躍する法曹を獲得する」という司法制度改革の趣旨から,法科大学院においては,「法律基本科目」以外の科目についても適切に修得する必要があり,評価を通じてこのような方向へ法科大学院を誘導していくことが重要である。この点について,大学評価・学位授与機構としては,どのように考えているのか。

 司法制度改革審議会の意見書(平成13年6月)においては,法科大学院における法曹養成教育の在り方は,1豊かな人間性の涵養・向上,2専門的な法知識の確実な習得,3先端的な法領域についての基本的な理解と,法曹としての責任感や倫理観の涵養,といった基本的な理念が統合的に実現するものでなければならないとしている。
大学評価・学位授与機構としては,この趣旨を踏まえ,まず,評価基準2−1−1において,教育課程が法曹としての実務に必要な専門的な法知識を修得させるとともに,豊かな人間性並びに法曹としての責任感及び倫理観を涵養するよう適切に編成されていることとしている。
また,評価基準2−1−2(3)及び(4)において,「基礎法学・隣接科目」及び「展開・先端科目」の開設を規定し,解釈指針2−1−3−3及び解釈指針2−1−3−4において,「基礎法学・隣接科目」4単位以上,「展開・先端科目」12単位以上を必修又は選択必修とすることを規定している。
修了要件としても,評価基準4−2−1(2)において,それぞれの科目について当該単位数以上の修得を求めている。また,評価基準4−2−1(3)に,「法律基本科目」以外の単位を修了要件単位の3分の1以上修得していることを求めることとしている。

評価基準2−1−1
   教育課程が,理論的教育と実務的教育の架橋に留意しつつ,法曹としての実務に必要な専門的な法知識,思考力,分析力,表現力等を修得させるとともに,豊かな人間性並びに法曹としての責任感及び倫理観を涵養するよう適切に編成されていること。
評価基準2−1−2
  次の各号に掲げる授業科目が開設されていること。
 ( 1)法律基本科目
(憲法,行政法,民法,商法,民事訴訟法,刑法,刑事訴訟法に関する分野の科目をいう。)
 ( 2)法律実務基礎科目
(法曹としての技能及び責任その他の法律実務に関する基礎的な分野の科目をいう。)
 ( 3)基礎法学・隣接科目
(基礎法学に関する分野又は法学と関連を有する分野の科目をいう。)
 ( 4)展開・先端科目
(応用的先端的な法領域に関する科目,その他の実定法に関する多様な分野の科目であって,法律基本科目以外のものをいう。)
解釈指針2−1−3−3
   基礎法学・隣接科目については,学生がそれぞれの関心に応じて効果的な履修を行うために十分な数の科目が開設され,そのうち,4単位以上が選択必修とされていること。
解釈指針2−1−3−4
   展開・先端科目については,各法科大学院の養成しようとする法曹像に適った内容を有する科目が十分な数開設され,かつ,これらの科目のうち,12単位以上が必修又は選択必修とされていること。
評価基準4−2−1
   法科大学院の修了要件が,次に掲げるすべての基準を満たしていること。
 ( 1)略
 ( 2)次のアからカまでに定める授業科目につき,それぞれアからカまでに定める単位数以上を修得していること。
ただし,3年未満の在学期間での修了を認める場合には,当該法科大学院において,アからウまでに定める授業科目について合計18単位以上並びにエからカに定める授業科目についてそれぞれエからカに定める単位数以上を修得していること。
   公法系科目 8単位
   民事系科目 24単位
   刑事系科目 10単位
   法律実務基礎科目 6単位
   基礎法学・隣接科目 4単位
   展開・先端科目 12単位
 ( 3)法律基本科目以外の科目の単位を,修了要件単位数の3分の1以上修得していること。

《参考》
  【専門職大学院に関し必要な事項について定める件(文部科学省告示)】
(法科大学院の教育課程)
条 法科大学院は,次の各号に掲げる授業科目を開設するものとする。
   法律基本科目(憲法,行政法,民法,商法,民事訴訟法,刑法,刑事訴訟法に関する分野の科目をいう。)
   法律実務基礎科目(法曹としての技能及び責任その他の法律実務に関する基礎的な分野の科目をいう。)
   基礎法学・隣接科目(基礎法学に関する分野又は法学と関連を有する分野の科目をいう。)
   展開・先端科目(先端的な法領域に関する科目その他の実定法に関する多様な分野の科目であって,法律基本科目以外のものをいう。)

〔評価基準 第3章 教育方法 「3−3 履修科目登録単位数の上限」について〕

 評価基準3−3−1及び解釈指針3−3−1−4によれば,学生の履修科目登録の上限は,
修業年限が3年の場合は,36たす36たす44イコール116単位
例えば,修業年限が4年の場合は,27たす27たす27たす33イコール114単位
となる。
このように標準修業年限の違いにより,履修科目登録上限の合計値が異なるが,これについてどのように考えるか。

評価基準3−3−1
   法科大学院における各年次において,学生が履修科目として登録することのできる単位数は,原則として合計36単位が上限とされていること。
在学の最終年次においては,44単位が上限とされていること。
解釈指針3−3−1−4
   研究科,専攻又は学生の履修上の区分に応じ,3年を超える標準修業年限を定める場合は,基準3−3−1及び解釈指針3−3−1−1において「36単位」とあるのは,「36を当該標準修業年限数で除した数に3を乗じて算出される数の単位」と,基準3−3−1及び解釈指針3−3−1−2において「44単位」とあるのは,「44を当該標準修業年限数で除した数に3を乗じて算出される数の単位」と読み替えるものとする。
事務局(注)  これによれば,修業年限が4年の場合は
36単位かけるわるイコール27単位により,原則として,上限は27単位となる。また,在学の最終年次においては,44単位かけるわるイコール33単位が上限となる。

 評価基準3−3−1では,法科大学院の学生が在学期間中その課程の履修に専念できるよう過剰な科目登録を防ぐため,各年次の履修科目の登録の上限を36単位としつつ,最終年次においては,それまでの履修実績や選択科目の履修可能性の拡大等を考慮し44単位を上限としている。
また,3年を超える標準修業年限を定めている場合には,職業を有している等学生個人の事情に配慮し,計画的な教育課程の履修がなされるよう,標準修業年限3年の場合の履修科目登録単位数の上限を基に,修業年限に応じた比率で各年次の履修科目の登録の上限について算出する旨解釈指針3−3−1−4において示している。
このような計算方法から,結果として,標準修業年限の違いにより履修科目登録上限の合計値が異なることとなるが,大学評価・学位授与機構としては,この差は,最終年次における増加単位数を,標準修業年限3年の場合との整合性をとって,同じ比率で算出することにより生じる差であって,3年を超える標準修業年限の場合であっても,それまでの履修実績や選択科目の履修可能性の拡大等について配慮されており,計画的な履修登録による履修科目の学習時間の確保の観点を考慮すると,妥当であると考えている。

 最終年次における増加単位の比率
  【修業年限が3年の場合】44単位わる36単位イコール1.22...
  【修業年限が4年の場合】33単位わる27単位イコール1.22...

《参考》
   文部科学大臣が認証を行う際の基準(以下「認証基準」という。)においては,以下の事項について認証評価を行うものとなっている。
 学生が一年間又は一学期に履修科目として登録することができる単位数の上限の設定に関すること。(学校教育法第六十九条の四第二項に規定する基準を適用するに際して必要な細目を定める省令(以下「細目省令」という。)第4条第1項第1号ヌ)

  【専門職大学院に関し必要な事項について定める件(文部科学省告示)】
(法科大学院の履修科目の登録の上限)
七条 法科大学院の学生が履修科目として登録することができる単位数の上限は,一年につき三十六単位を標準として定めるものとする。

〔評価基準 第4章 成績評価及び修了認定「4−1 成績評価」について〕

 評価基準4−1−3において,「進級制が原則として採用されていること」とされているが,進級要件の妥当性については評価するのか。

評価基準4−1−3
   一学年を終了するに当たって履修成果が一定水準に達しない学生に対し,次学年配当の授業科目の履修を制限する制度(以下,「進級制」という。)が原則として採用されていること。
解釈指針4−1−3−1
   進級制を採用するに当たっては,対象学年,進級要件(進級に必要な修得単位数及び成績内容),原級留置の場合の取扱い(再履修を要する科目の範囲)などが,各法科大学院において決定され,学生に周知されていること。

 評価基準4−1−3における進級制(履修成果が一定水準に達しない学生に対し,次学年配当の授業科目の履修を制限する制度)については,単に進級制を採用しているか否かを問うものではなく,厳格な成績評価及び修了認定の実効性を担保し,段階的履修を可能とする仕組としての進級制が採用されているかどうかを評価することとしている。
また,解釈指針4−1−3−1において,進級要件(進級に必要な修得単位数及び成績内容)や原級留置の場合の効果等が,各法科大学院において決定され,学生に周知されていることと規定しているが,これは単に進級制の内容が決定・周知されていることのみで足りるものではなく,基準4−1−3で求める進級制の趣旨に適合するものかどうかについても評価するものであるとしている。

〔評価基準 第5章 教育内容等の改善措置「5−1 教育内容等の改善措置」について〕

 評価基準5−1−1等において,教育内容等の改善措置についても評価することとしているが,教育内容等の改善を図るための研修及び研究が,組織的かつ継続的に行われているだけでなく,その成果が適切に改善に反映されるようにすることが重要である。この点について,大学評価・学位授与機構としては,どのように考えているのか。

評価基準5−1−1
   教育の内容及び方法の改善を図るための研修及び研究が,組織的かつ継続的に行われていること。
解釈指針5−1−1−1
   「教育の内容及び方法の改善」とは,いかなるトピックがどのような観点からどの程度の質と量において教育課程の中で取り上げられるべきか等(教育内容),及び学生に対する発問や応答,資料配付,板書,発声の仕方等(教育方法)についての改善をいうものとする。
解釈指針5−1−1−2
   「組織的かつ継続的に行われていること」とは,改善すべき項目及びその方法に関する方針を決定し,改善に関する情報を管理し,改善のための諸措置の実施を担当する組織が,法科大学院内に設置されていることをいうものとする。
解釈指針5−1−1−3
   「研修及び研究」の内容として,例えば次に掲げるものが考えられる。
 (1 ) 授業及び教材等に対する学生,教員相互,又は外部者による評価を行い,その結果を検討する実証的方法。
 (2 ) 教育方法に関する専門家,又は教育経験豊かな同僚教員による講演会や研修会の開催等の啓蒙的方法。
 (3 ) 外国大学や研究所等における情報・成果の蓄積・利用等の調査的方法。

 大学における教育研究の質の向上を図るためには,組織的なマネジメントサイクルが適切に機能していることが重要であり,教育内容等の改善を図るための研修や研究を実施し,その成果を適切に改善措置に結びつけていく必要がある。
このため,評価基準5−1−1は,「教育の内容等の改善を図るための研修及び研究が,組織的かつ継続的に行われていること」とし,その趣旨を踏まえ,解釈指針5−1−1−2においては,「改善のための諸措置の実施を担当する組織が,法科大学院内に設置されていること」としており,単に研修及び研究を実施していることのみで足りるものではなく,その成果を改善措置に適切に反映されるようにしているかどうかを含めて評価されるものであるとしている。
なお,当該基準を設けた趣旨の明確化については,今後検討したいとしている。

〔評価基準 第7章 学生の支援体制「7−4 職業支援(キャリア支援)」について〕

 学生が法科大学院で修得した高度で専門的な職業能力を,法曹をはじめとする社会の幅広い分野で活かすことができるよう,各法科大学院において,個々の学生の状況に応じた適切な職業支援が求められる。こうした取り組みについても,適切に評価することが求められるのではないか。

評価基準7−4−1
   学生支援の一環として,学生がその能力及び適正,志望に応じて,主体的に進路を選択できるように,必要な情報の収集・管理・提供,ガイダンス,指導・助言に努めていること。
解釈指針7−4−1−1
   学生がそれぞれの目指す進路の選択ができるように,その規模及び教育目的に照らして,適切な相談窓口を設置するなど,支援に努めていること。

 法科大学院は,司法が21世紀の我が国社会において期待される役割を十全に果たすための人的基盤を確立することを目的としており,各法科大学院においては,その実現を図るための教育内容や方法を実践するとともに,学生がその成果を十分に活かすことができるよう,様々な支援を行う必要がある。
このため,学生支援の一環として,評価基準7−4−1においては,学生がその能力及び適性,志望に応じて主体的に進路を選択できるように,必要な指導・助言等に努めていることとしている。
また,解釈指針7−4−1−1においては,学生がそれぞれの目指す進路の選択ができるように,必要な学生支援策の例示として,「適切な相談窓口を設置するなど,支援に努めていること」としているが,単に相談窓口を設置していることのみで足りるものではなく,評価基準7−4−1で求める趣旨に適合しているかどうかを含めて評価されるものであるとしている。
なお,当該基準については,上記のように,実質的に適切な支援となっているかを評価するものであるが,その趣旨の明確化については,今後検討したいとしている。

〔評価基準 第8章 教員組織「8−5 教員の教育研究環境」について〕

 基準8−5−1の解釈指針8−5−1−1では,専任教員の授業負担を「多くとも年間30単位以下」としているが,一つの授業に十分な準備をしなければならない教員の現状を鑑みると,年間30単位は多すぎるのではないか。

評価基準8−5−1
   法科大学院の教員の授業負担は,各年度ごとに,適正な範囲内にとどめられていること。
解釈指針8−5−1−1
   各専任教員の授業負担は,他専攻,他研究科及び学部等(他大学の非常勤を含む。)を通じて,多くとも年間30単位以下であることとし,年間20単位以下にとどめられていることが望ましい。

 教員が授業を行うにあたって十分な準備を可能とし,質の高い授業の確保を図るという趣旨から,評価基準8−5−1において,「教員の授業負担は,各年度ごとに,適正な範囲内にとどめられていること。」としている。また,同趣旨から,この解釈指針8−5−1−1において,専任教員の授業負担は「年間20単位以下にとどめられていることが望ましい。」としている。
一方,法科大学院の教員数の現状や,教員が当該大学の学部において,あるいは他大学の非常勤講師として授業を担当することがあることを考慮して,「多くとも30単位以下であること」として,最低限満たしていなければならない範囲を定めたものであるとしている。

〔評価の体制について〕

 訪問調査では,具体的に何名の評価員が訪問し,何日間にわたって調査を行うのか。

 大学評価・学位授与機構としては,訪問する評価員の人数及び日程については,これまでに実施してきた評価を参考に,評価員7〜8名で3日間程度を考えている。なお,実際の各法科大学院ごとの評価員の人数及び日程については,自己点検・評価書の分析・調査の状況等も踏まえて,評価作業を行う「評価部会」において決められることとなる。
また,具体的な調査内容は,法科大学院関係者(責任者)との面談,教員・学生・修了生との面談,授業の視察,学習環境(図書館,施設や設備)の状況等としている。

《参考》
   認証基準においては,以下の事項が規定されている。
   評価方法に,大学が自ら行う点検及び評価の結果の分析並びに大学の教育研究活動等の状況についての実地調査が含まれていること。(細目省令第1条第1項第4号)


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