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(1) |
法科大学院における教育の目指すべき姿 |
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○ |
法科大学院制度創設の理念、特に法科大学院において養成しようとする法曹像を関係者が常に意識し、それをしっかりと堅持しつつ教育に当たることが重要。
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○ |
特に、いわゆる予備校的な知識偏重や司法試験対策のための教育にならないようにすることが大事。 |
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(2) |
法科大学院制度創設の理念の実現 |
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○ |
司法制度改革の一環として、法曹養成のための新たな仕組として「法科大学院」の制度を創設した理念を堅持し、関係者の協力により確実に実現するよう努力を重ねていくことが最も重要。
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○ |
このためには、やや中長期的な視点を持って法科大学院を見守り、発展させていくという姿勢が必要。
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○ |
法科大学院制度は、新しい法曹養成システムとして動き出したばかりであり、現時点での課題や不十分な面のみに焦点を当てた議論にならないよう留意すべき。 |
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(1) |
法科大学院としてのあるべき教育内容(「理論と実務の架橋」の実現) |
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○ |
法科大学院において養成しようとする法曹像を明確化し、そのために「理論と実務の架橋」を意識した教育内容・方法の充実を図るべき。
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○ |
全体の時間が限られている中で、教育内容に重複や漏れが生じないよう工夫することも必要。
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○ |
教育指導に当たる教員間で、同一科目内だけでなく、関係科目間(例えば民法と商法等)においても教育内容、進度等に関する情報の交換や意思疎通を図るなど連携を密にすることが重要。(このような取組みにより、個々の学生の到達度や弱点等をより的確に把握しつつ指導に当たることが可能となる。)
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○ |
「リーガルクリニック」「エクスターンシップ」をはじめ、実務系科目、展開・先端科目等の教育の充実を図ることが重要。 |
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(2) |
各科目の在り方について |
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【法律基本科目】
○ |
法律基本科目については、実務につながる基礎的な知識・原理をしっかりと身に付けさせることが大切。 |
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【法律実務基礎科目】
○ |
例えば「法曹倫理」のように、司法試験科目ではないが、法曹として身に付けておくべき資質(責任感、倫理観等)を涵養するための科目の充実を図ることが重要。
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○ |
実務を遂行する上での理論の重要性を理解させるため、入学後の早い時期から実務教育を実施する効果についても検討すべき。
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○ |
実務自体の理論化に努めるとともに、実務科目が理論科目の裏付けとなるよう工夫が必要。(実務教育における最後の拠り所は理論。)
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○ |
個別事例を通じて、事案分析力、論理的思考力、コミュニケーション能力等を涵養することが重要。 |
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【基礎法学・隣接科目】
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【展開・先端科目】
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(1) |
法科大学院の目指すべき教育についての研究者教員、実務家教員間の認識の共有
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(2) |
研究者教員、実務家教員それぞれの指導力の一層の向上
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4.FD(ファカルティ・ディベロップメント)の充実 |
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○ |
FD(ファカルティ・ディベロップメント)の充実
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○ |
各大学において、授業内容の検討(教材、レジュメ等の共同作成、交換等)、教員相互の授業見学、個々の学生への指導等に関する研究協議等を進めることが重要。 |
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(1) |
日常的な学生への指導 |
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○ |
法科大学院制度の趣旨に鑑み、各学生に対し日常的に、自ら考える努力、主体的な学習への取組を促す指導が不可欠。
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○ |
法律実務基礎科目については、学生に対して、これらの科目の重要性を常に意識付け、動機付けるよう留意すべき。(学生の意識や学習意欲を司法試験対策のみに偏らせない。)
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○ |
教員が、授業終了後やオフィスアワー等の時間を活用し、学生の主体的な学習への努力、取組を支援することが有効。
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○ |
教育内容・方法、成績評価、教育環境等に関する学生からの相談や意見に十分対応できる体制を整えておくことが必要。
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○ |
学生に対する情報提供の充実。 |
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(2) |
多様なバックグラウンドを有する学生の受入れと指導 |
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○ |
多様なバックグラウンドを有する者を法曹人材として養成するという制度のねらいを実現できるよう、入学者選抜の工夫(例:面接の重視等)により、法曹としての資質をできるだけ見極めるよう留意すべき。
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○ |
法学未修学者に対しては、3年間を見通した適切な指導を行うことが大切。
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○ |
特に純粋(法学)未経験者については、例えば希望者に対し法律基本書に関する指導を行うなど、きめ細かい指導が重要。
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○ |
法学未修者への配慮として、例えば2年次の教育は、法学未修者(2年目)と法学既修者(1年目)の法律知識に開きがあることを踏まえ、クラス編成や指導方法を工夫することが考えられる。(他学部出身者や社会人等多様なバックグラウンドを有する者が多い法学未修者と、既に一定の法律知識を有している法学既修者の、それぞれの特徴を踏まえるべき。) |
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○ |
法科大学院制度が「厳格な成績評価と修了認定」を前提とするものであることについての関係者の共通理解が重要。
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○ |
成績評価基準については、目標とする達成度、科目の性質、配当年次、同一科目内の公平性等を十分検討した上で設定することが重要。
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○ |
成績評価基準や評価の方針の事前周知を徹底することが重要。
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○ |
平常点(授業への出席、授業態度、レポート提出状況・内容等)、試験の成績、進級制、GPA(Grade Point Average)等、それぞれの評価方法の長所を活かしつつ、効果的に活用すべき。
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○ |
具体的には例えば、所定の科目あるいは単位数を修得できない場合は原級留置とする、GPAを学生の総合力を見る際に利用する、実務科目の評価については(平常点のみによる評価は成績評価の基準が明示的とならない面もあることを考慮し、)試験の成績と併用する、等。
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○ |
法科大学院によっては、成績評価基準に基づき厳格かつ適正に評価を行い、学期ごとの試験の不合格者に対し再試験を実施しないという方針で効果を挙げている例もある。(この結果、当然、修得科目や単位数により進級できないこともある。)
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○ |
法学未修者の1年次の成績を法律知識の習得状況のみによって機械的に評価することには注意が必要。特に法学未修者については、3年間を通じた適切な教育により、法曹としての素養を身に付けていく可能性に留意すべき。 |
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