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資料3

財団法人大学基準協会の実施する法科大学院の評価に関する主な論点(案)

〔書面評価及び実地視察の体制について〕

1  書面評価及び実地視察を担当する法科大学院認証評価分科会(以下「分科会」という。)の委員は5名とされているが、委員の作業負担を考慮すると、大規模校の評価に当たっての増員など定員規模に応じた評価体制の調整が必要ではないか。

 大学基準協会においては、法科大学院の定員規模に関わらず委員5名の体制で書面評価及び実地視察を行うことを想定していたが、分科会委員の作業負担と評価の精度、また、本年6月に実施した中規模校の試行評価における実地視察の状況等を踏まえ、定員規模に応じて委員を増員する方向で規程を整備する予定としている。

法科大学院認証評価に関する規程
  第3章  法科大学院認証評価分科会
  第14条  認証評価委員会の下に、書面評価および実地視察を行うために、法科大学院認証評価分科会(以下、「分科会」という。)をおくものとする。
  第15条  分科会は、原則として、主査1名と委員4名で構成する。

2  実地視察は何日間の予定か。また、1つの分科会が担当する法科大学院の数はどの程度か。

 実地視察については、1泊2日を予定している。また、1分科会が担当する法科大学院数は、最大で2校である。

〔評価に係る手数料について〕

3  大規模校と小規模校では作業負担が異なると考えられるが、評価に係る手数料を一律315万円としているのはどのような考えによるのか。

 大学基準協会の法科大学院基準は10項目から構成されており、法科大学院の理念・目的の適切性・妥当性に関する評価など、定員規模によって作業負担が左右されない項目も含まれている。このため、大学基準協会としては、現時点では、実務的な作業量の多寡をもって評価に係る手数料を変えるのではなく、すべての法科大学院に対して一律の手数料としたいとしている。
ただし、今後の認証評価を通じて、定員規模によって大幅に評価に係る費用の負担が異なる場合は、手数料の改定を検討することもあり得るとしている。

〔評価のプロセスについて〕

4  例えば授業をどの程度双方向で行うかなど、各大学がそれぞれの考えに基づいて実施しているような項目については、一律の基準をもって評価することになるのか。それとも大学側の考えを聴取した上で、最終的に結論を出すのか。

 大学基準協会としては、まず当該法科大学院から提出された自己点検・評価の結果を踏まえた上で、疑義のある点について大学側の考えを聴取し、その上で分科会委員が協議して最終的な結論を出すこととしている。

〔適格認定について〕

5  【レベル1】のまるとして整理されている評価の視点について、個々の評価の視点では重大とまではいえないが問題はあるという程度のものが多数見られた場合、総合的に判断して適格認定を行わないという選択肢もあり得るのか。

 大学基準協会としては、個々の評価の視点における問題の程度が重大でなくとも、そのような項目が多数見受けられる場合は総合的な判断として適格認定を行わないこととしている。

【レベル1  法科大学院に必要とされる最も基本的な事項
    まるは大学基準協会が法令に準じて法科大学院に求める基本的な事項である。この事項に問題がある場合は、勧告を付す。また、重大な問題がある場合や、多くの点で問題がある場合は、認定しない。

〔評価基準 2 教育の内容・方法等 評価項目「成績評価および修了認定」について〕

6  評価の視点「2−25」「2−26」に関し、ここでは、成績評価・修了認定の基準が予め明確に示され、それに基づいて厳格に評価・認定されているかを問題にしているが、前提として、「成績評価・修了認定の基準」の内容をなす授業の到達度の認定の適否については、問題としないのか。

 大学基準協会としては、「成績評価・修了認定の基準」の内容をなす授業の到達度の適否については、1シラバスに明示された各授業の到達目標の妥当性、2実地視察におけるシラバスに明示された到達目標と実際の授業内容の比較、3使用する教材の適切性等から評価を行うこととしている。

7  成績評価・修了認定が厳格に行われていることについては、誰が、どの資料に基づいて、どのような基準で評価するのか。

 成績評価・修了認定が厳格に行われているか否かについては、当該大学を担当する分科会が、当該大学から提出された自己点検・評価報告書、シラバス等に明示された成績評価基準、進級・修了要件基準を前提に、実地視察において、試験問題及び答案の水準・妥当性のチェック、成績分布に関する資料、教員との面接により評価を行うこととしている。
なお、成績評価に当たって、定期試験の結果に加えて、レポートや小テストの結果を考慮する場合は、全てのレポートや小テストを確認することが困難であるため、サンプル的な調査を行うことを検討している。

評価項目 成績評価および修了認定
  評価の視点2−25  学修の成果に対する評価、単位認定および課程修了の認定の基準および方法が、学生に対してシラバス等を通じてあらかじめ明示されているか。
(「専門職」第10条第2項)〔レベル1二重丸
  評価の視点2−26  学修の成果に対する評価、単位認定および課程修了の認定は、明示された基準および方法に基づいて客観的かつ厳格に行われているか。
(「専門職」第10条第2項)〔レベル1二重丸

【参考】  専門職大学院設置基準(平成15年文部科学省令第16号)
第10条  専門職大学院は、学生に対して、授業の方法及び内容、1年間の授業の計画をあらかじめ明示するものとする。
2  専門職大学院は、学修の成果に係る評価及び修了の認定に当たっては、客観性及び厳格性を確保するため、学生に対してその基準をあらかじめ明示するとともに、当該基準にしたがって適切に行うものとする。

〔評価基準 3 教員組織 評価項目「専任教員としての能力」について〕

8  評価の視点「3−4」に関し、「教員は…専門分野に関し高度の指導能力を備えているか。」とあるが、
   誰が、どの資料に基づいて、どのような基準で評価するのか。
   第1回目の評価で、全教員を評価するのか。

 専任教員としての能力については、当該大学を担当する分科会が、当該大学から提出された自己点検・評価報告書、教員個別表、教員の教育研究業績一覧、教員の募集・任免・昇格の手続規程及び基準等、実地視察時の面談による確認をもとに評価を行うこととしている。これらの資料等をもとに、主に当該教員が担当する科目にふさわしい教育研究業績を有しているかとの観点から評価を行うこととしている。
また、一連の評価は、すべての専任教員について行うこととしている。

評価項目 専任教員としての能力
評価の視点3−4  教員は、以下のいずれかに該当し、かつ、その担当する専門分野に関し高度の指導能力を備えているか。
  1  専攻分野について、教育上または研究上の業績を有する者
  2  専攻分野について、高度の技術・技能を有する者
  3  専攻分野について、特に優れた知識および経験を有する者
  (「専門職」第5条)〔レベル1二重丸

【参考】  専門職大学院設置基準(平成15年文部科学省令第16号)
第5条  専門職大学院には、前条に規定する教員のうち次の各号のいずれかに該当し、かつ、その担当する専門分野に関し高度の教育上の指導能力があると認められる専任教員を、専攻ごとに、文部科学大臣が別に定める数置くものとする。
 
1  専攻分野について、教育上又は研究上の業績を有する者
2  専攻分野について、高度の技術・技能を有する者
3  専攻分野について、特に優れた知識及び経験を有する者
2  (略)
3  第1項に規定する専任教員のうちには、文部科学大臣が別に定めるところにより、専攻分野における実務の経験を有し、かつ、高度の実務の能力を有する者を含むものとする。

〔評価基準 3 教員組織 評価項目「実務家教員」について〕

9  評価の視点「3−5」(実務家教員)に関し、「高度の実務能力を有する教員を中心として構成されているか。」とあるが、誰が、どの資料に基づいて、どのような基準で評価するのか。

 上記3と同様、専任教員としての能力については、当該大学を担当する分科会が、当該大学から提出された自己点検・評価報告書、教員個別表、教員の教育研究業績一覧、教員の募集・任免・昇格の手続規程及び基準等、実地視察時の面談による確認をもとに評価を行うこととしている。これらの資料等をもとに、主に当該教員が担当する科目にふさわしい実務経験・実績を有しているかとの観点から評価を行うこととしている。

評価項目 実務家教員
  評価の視点3−5  法令上必要とされる専任教員数のおおむね2割以上は、5年以上の法曹としての実務の経験を有し、かつ高度の実務能力を有する教員を中心として構成されているか。
    (「告示第53号」第2条)〔レベル1二重丸

【参考】  専門職大学院に関し必要な事項について定める件(平成15年文部科学省告示第53号)
第2条  前条第1項の規定により専攻ごとに置くものとされる専任教員の数のおおむね3割以上は、専攻分野におけるおおむね5年以上の実務の経験を有し、かつ、高度の実務の能力を有する者とする。
2  (略)
3  法科大学院に対する前2項の規定の適用については、これらの項中「おおむね3割」とあるのは「おおむね2割」と読み替えるものとする。
4  法科大学院においては、第1項に規定する実務の経験を有し、かつ、高度の実務の能力を有する専任教員は、法曹としての実務の経験を有する者を中心として構成されるものとする。

〔「法科大学院認証評価に関する規程」第8条(法科大学院認証評価委員会)について〕

10  第3項に、裁判官、検察官、弁護士はそれぞれの所属機関等からの推薦に基づき委嘱するとされているが、ここでいう「所属機関」とは、裁判官及び検察官の場合、具体的には何を指すのか。

 大学基準協会においては、「所属機関」とは、裁判官については最高裁判所、検察官については法務省からそれぞれ推薦される適任者に参画いただくことを前提として規定している。ただし、所属機関等からの推薦を要することを規程上明記することが適当でない場合は、検察官、裁判官、弁護士各1名の適任者に参画いただく旨、規程の改正を検討したいとしている。

11  第3項は、委員に委嘱をする前提として、所属機関等からの「推薦」を受けることを要件とする(必ず推薦しなければならない)という趣旨か。弁護士の場合、日本弁護士連合会からの「推薦」が必要なのか。所属機関等は、誰かを「推薦」する義務があるのか。義務があるとすれば「推薦」してもらうことにつき、所属機関等から了解を得ているか。そもそも「推薦」に関する言及は必要なのか。

 大学基準協会においては、法科大学院認証評価システム構築の中心委員会である法科大学院適格認定検討委員会の設置に当たって、最高裁判所、法務省、日本弁護士連合会から各委員1名を推薦いただき審議を行ってきたことから、認証評価を実施するに当たっても、これまでの手続きを踏襲した規程を策定したとしている。
ただし、大学基準協会としては、法曹三者に実質的に参画いただくことが重要と考えており、したがって、「推薦」の手続きが適切でない場合は、規程を改正することを検討したいとしている。

12  第3項において、法曹三者からの委員はいずれも「原則として現職とする」とされているが、ここでいう「現職」とはいかなる意味か。また、原則を守ることができない場合には、「現職でない」裁判官、検察官、弁護士に委嘱するという趣旨と思われるが、ここで「現職でない」裁判官、検察官、弁護士とはどのような者を想定しているのか。

 大学基準協会としては、「現職」とは、法曹養成教育の現場に携わっているという点から、具体的には裁判官については司法研修所の教官を、検察官については法科大学院への派遣検察官を、弁護士については法科大学院において教育活動を行っている弁護士を想定しているとのことであるが、これらの者に限定しているわけではなく、広く適任者に参画いただきたいとしている。

法科大学院認証評価に関する規程
  第2章  法科大学院認証評価委員会
  第8条  認証評価委員会は、15名の委員をもって構成する。
  2  前項の委員のうち、10名については、法科大学院を設置する正会員が当該法科大学院の教員から推薦する被推薦者の中から理事会が選出し、会長が委嘱する。ただし、10名のうち3名は実務家教員を充てるものとする。
  3  第1項の委員のうち、3名については検察官、裁判官、弁護士各1名とし、検察官および裁判官についてはそれぞれの所属機関からの推薦に基づき、弁護士については日本弁護士連合会からの推薦に基づき、理事会の承認を経て、会長が委嘱する(検察官、裁判官および弁護士は原則として現職とする。)。

〔「法科大学院認証評価に関する規程」第15条(法科大学院認証評価分科会)について〕

13  第2項によれば、分科会委員のうち原則2名が「現職の裁判官、検察官、弁護士」とされているが、ここでいう「現職」とはいかなる意味か。

 大学基準協会としては、「現職」とは、法曹養成教育の現場に携わっているという点から、具体的には裁判官については司法研修所の教官を、検察官については法科大学院への派遣検察官を、弁護士については法科大学院において教育活動を行っている弁護士を想定しているとのことであるが、これらの者に限定しているわけではなく、広く適任者に参画いただきたいとしている。

14  第3項で、分科会委員は法科大学院を設置する正会員が推薦する当該法科大学院の教員の中から認証評価委員会の推薦を受けて委嘱するとされているが、第2項の「分科会委員のうち、原則2名は現職の裁判官、検察官、弁護士」とされていることとどのような関係になるのか。

 大学基準協会としては、分科会委員を構成する法曹及び実務の経験を有する者は、正会員が推薦する当該法科大学院の教員であると否とを問わず、広く人材を得たいと考えており、本来の趣旨を反映できるよう適切に規程を整備したいとしている。
なお、法曹及び実務経験を有する者以外についても、正会員に限らず、広く法科大学院を設置する大学から評価委員を得られるよう、規程を整備したいとしている。

15  分科会委員5名のうち、原則として2名が法曹三者又は法曹としての実務の経験を有する者とされているが、裁判官、検察官、弁護士の人数比についてはどのように考えているか。2名のいずれも弁護士である場合についてどのように考えるか。

 大学基準協会としては、2名のうちいずれも弁護士になる場合は、1名は裁判官又は検察官の職務の経験のある者を委嘱することを検討している。

法科大学院認証評価に関する規程
  第3章  法科大学院認証評価分科会
  第15条  分科会は、原則として主査1名と委員4名で構成する。
  2  主査および委員のうち、原則として2名は、法曹三者(現職の検察官、裁判官、弁護士)または法曹としての実務の経験を有する者とする。
  3  主査および委員は、第8条第2項に規定する法科大学院を設置する正会員が推薦する当該法科大学院の教員の中から認証評価委員会が推薦し、理事会の承認を経て、会長が委嘱する。

〔今後の委員確保の見通しについて〕

16  今後の委員確保の見通し如何。

 大学基準協会としては、法曹三者委員以外については、機関別認証評価の方式を採用して、法科大学院を設置する大学に推薦を依頼する予定である。
なお、現在、機関別認証評価で大学からの推薦によって約1,200人の評価委員を確保しており、平成8年からの10年間に及ぶこれまでの経験と実績から、相当数の評価委員の推薦は確保できると考えているとしている。


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