司法制度改革

仲裁法制に関するアンケート集計結果




本資料は、平成13年11月に実施したアンケートの回答を事務局においてとりまとめたものである。


仲裁法制に関するアンケート
目  次

第1 総則
第2 仲裁合意
第3 仲裁人及び仲裁廷
第4 仲裁廷の管轄(権限)
第5 仲裁手続
第6 仲裁判断及び仲裁手続の終了
第7 仲裁判断に対する不服申立て
第8 仲裁判断の承認及び執行
第9 その他
【回答に当たっての留意点について】

1 選択肢が設けられている設問については、適切な回答と考える肢の数字に○を記し、又はワープロソフトファイルに直接記入する場合には適当と考える肢のみを残して他の肢を抹消した上、理由欄に理由を適宜記載してください。
また、「その他」と回答した場合には、意見欄があるときは、同欄に意見の具体的内容を記載してください。意見欄がないときは、理由欄に意見の具体的な内容を理由とともに記載してください。

2 選択肢が設けられていない設問については、意見欄に意見の具体的な内容を理由とともに記載してください。

【略語】
模範法=UNCITRAL模範法(1985年(昭和60年))
試案 =仲裁法試案(仲裁研究会。1989年(平成元年))
ニューヨーク条約=外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約(1958年(昭和33年))

第1 総則

1 検討の基本的視点について

 模範法をベースとして、我が国の事情、現代の社会経済への対応、UNCITRALにおける近時の検討等に照らし、どの部分について修正、変更等を施すかという観点から議論することはどうか。

  1. 賛成(72人)

  2. 反対(1人)
  3. その他(2人)
2 立法形式等について

 仲裁は、対象となる紛争の種別の観点から、国内仲裁と国際仲裁、民事仲裁と商事仲裁とに分類されるが、立法形式として、例えば、「仲裁法」という名称の単行法を設け、国内又は国際であるか、民事又は商事であるかを問わず、これらを統一的に規律するものとすることはどうか。

  1. 賛成(63人)
  2. 反対(2人)
  3. その他(11人)



第2 仲裁合意

1 仲裁適格(仲裁可能性)について

 仲裁による解決の対象(仲裁付託の対象)となる紛争について、次のいずれの考え方が妥当か。

  1.  一定の法律関係についての現在の又は将来生ずべき紛争(契約に基づくものであるか否かを問わない。)について仲裁可能性を認めるものとする考え方(模範法7条(1)参照)(16人)
  2.  仲裁による解決が可能である事項に関する一定の法律関係についての現在の又は将来生ずべき紛争(契約に基づくものであるか否かを問わない。)について仲裁可能性を認めるものとする考え方(ニューヨーク条約2条(1)参照)(9人)
  3.  すべての財産上の請求が仲裁契約の対象となるとし、非財産上の請求については、当事者が和解することができるものについてのみ仲裁適格を認めるものとする考え方(ドイツ法1030条(1)参照) (9人)
  4.  当事者が和解をすることができる権利又は法律関係についてのみ仲裁可能性を認めるものとする考え方(試案6条(1)、(2)参照) (27人)
  5.  その他 (10人)

2 仲裁契約の独立性について

 仲裁契約は、主たる契約が無効であり、又は取り消された場合においても、当然にはその効力を失わないものとする旨の規定を設けるものとすることはどうか(模範法16条第2、3文、UNCITRAL仲裁規則21条2.第2、3文、試案8条参照)。

  1.  賛成(73人)
  2.  反対(3人)
  3.  その他(1人)

3 仲裁契約の書面性について

(1) 書面によることの要否について

 仲裁契約は、書面によることを要するものとすることはどうか(模範法7条(2)、試案7条(1)参照)。

  1.  賛成(74人)
  2.  反対(1人)
  3.  その他(4人)

(2) 書面性の内容について

 仲裁契約について書面によることを要するとした場合、書面としての要件に関し、次のアからエまでについて、どのように考えるべきか。

ア 郵便、ファクシミリその他の通信手段によって交換され、合意の記録となるものも書面としての要件を満たすものとすることはどうか(模範法7条(2)第2文参照)。

  1.  賛成(75人)
  2.  反対(1人)
  3.  その他(1人)

イ 電子メール、磁気ディスク等を用いて作成保存された電磁的記録及びこれに準ずる方法により一定の事項を記録したものも書面としての要件を満たすものとすることはどうか。
  • UNCITRAL仲裁作業部会においては、模範法の仲裁合意の書面性の要件を緩和する方向での検討が進められており、例えば、第34会期部会においては、次のような条項について、肯定的議論がされている(ドラフティングに関する点を除く。)。
  • 模範法修正案7条(2)
    「(第2文)書面には、合意の記録を提供する形式その他後の参照の用に供することのできるすべての形式(電子的、光学的又はその他のデータメッセージを含む。)を含む。」
    また、次のような条項についても議論がされている。
  • 模範法修正案7条(3)
    「〔疑義の回避のため、次の場合には、前項の書面要件を充たすものとする。〕〔次の場合には、仲裁合意は書面によるものとする。〕
    〔第1案〕契約又は分離した仲裁合意が〔書面によらずに〕〔口頭、行為又は書面以外の手段により〕締結された場合においても、〔第2案〕当事者が仲裁に付託することを合意した形式にかかわらず、〔仲裁条項、仲裁の条件(terms and conditions)又は仲裁合意により引用される仲裁規則が〕〔署名されているかにかかわらず、仲裁条項が〕書面によるとき。」
    (注:〔 〕内は、ドラフティング又はワーディングがまだ確定しない語句や文言の記載である。)

  1.  賛成(61人)
  2.  反対(3人)
  3.  その他(11人)

ウ 仲裁申立書において申立人が仲裁契約のあることを主張し、相手方がこれを争わないとき、又は訴訟において被告が答弁書で仲裁契約のあることを主張し、原告がこれを争わないときも、書面による仲裁契約があるものとすることはどうか(模範法7条(2)第2文、試案7条(2)2.参照)。

  1.  賛成(69人)
  2.  反対(3人)
  3.  その他(4人)

エ 主たる契約において仲裁合意条項を含む他の文書を引用する場合について、どのような規律を考えるべきか(模範法7条(2)第3文、試案7条(3)参照)。

4 仲裁契約の準拠法について

(1) 仲裁契約の準拠法規定の要否について

現行法上、仲裁契約の準拠法については、法例7条説、条理説、ニューヨーク条約ルール依拠説等があるが、仲裁契約の準拠法に関する規定を仲裁法の中に新たに設けるものとすることはどうか。

  1.  賛成(56人)
  2.  反対(8人)
  3.  その他(4人)

4 仲裁契約の準拠法について

(2) 仲裁契約の準拠法の内容について

仲裁契約の準拠法を設けるとした場合、次のアからエまでについて、いずれの考え方が妥当か。

ア 仲裁契約の成立及び効力について

  1.  当事者の指定する法律によるものとし、その指定がないときは、日本の法律によるものとする考え方(模範法34条(2)(a)(i)、ドイツ法1059条(2)1(a)参照) (24人)
  2.  当事者の指定する法律によるものとし、その指定がないときは仲裁地の法律により、仲裁地が定まっていないときは仲裁契約が締結された地の法律によるものとする考え方(試案42条参照) (35人)
  3.  その他(5人)

イ 仲裁契約締結能力について

  1.  行為能力の問題として、法例3条によるものと解し、規定を設けないものとする考え方(22人)
  2.  仲裁契約の準拠法の問題として扱うものとする考え方(模範法34条(2)(a)(i)参照) (35人)
  3.  その他(6人)

ウ 仲裁契約の方式について

  1.  仲裁契約の方式は、法律行為の方式の一局面として、法例8条によって決せられるものとし、仲裁法には規定を設けないものとする考え方(11人)
  2.  仲裁契約の方式は、法例第8条の規定にかかわらず、仲裁法の規定(仲裁契約について書面によることを要求する規定。試案7条)の定めるところによるものとする考え方(試案43条参照) (49人)
  3.  その他(3人)

エ 仲裁可能性について

  1.  仲裁可能性の準拠法は、法廷地法によるものとする考え方(模範法36条(1)(b)(i)、(ii)、34条(2)(b)(i)、(ii)、ニューヨーク条約5条2(a)、(b)参照)(22人)
  2.  仲裁契約は、仲裁契約の準拠法及び日本の法律がともに仲裁による解決を禁じていない事項を対象とする場合に限り、有効であるとして、仲裁契約の準拠法と法廷地法との累積的適用によるものとする考え方(試案44条参照)  (25人)
  3.  その他(15人)

5 多数当事者仲裁手続について

(1) 多数当事者仲裁手続についての規定の要否について

多数当事者仲裁手続について、何らかの規定を設けるべきか否か。

  1.  規定を設けるべきである。(32人)
  2.  規定を設けない。(32人)

(2) 多数当事者仲裁手続の規定の在り方について((1)で1.を選択した場合のみ回答してください。)

多数当事者仲裁手続について規定を設けるとした場合、どのような規定とすべきか。




第3 仲裁人及び仲裁廷

1 仲裁人の資格について

 仲裁人の資格については、自然人に限るものとする以外、他に制限規定を設けないとすることはどうか(試案13条(1)参照)。

  • 外国人、法人、破産者、禁錮以上の刑に処せられた者、裁判官等に仲裁人資格が認められるかどうかが問題となる。
  • 仲裁人については、弁護士資格を有することを必要とするかも問題となる(弁護士法72条参照)。
  1.  賛成(48人)
  2.  反対(21人)
  3.  その他(5人)

2 仲裁人の人数について

 当事者の合意がない場合の仲裁廷を構成する仲裁人の人数について、原則としてどのように考えるべきか。

  1.  1人とする考え方(12人)
  2.  3人とする考え方(模範法10条(2)、試案14条(2)参照) (49人)
  3.  その他(14人)



第4 仲裁廷の管轄(権限)

1 仲裁廷による暫定的保全措置について

(1) 仲裁廷による暫定的保全措置に関する規定を設けることについて

 当事者の別段の合意がある場合を除き、仲裁廷は、仲裁のため必要があると認めるときは、当事者の申立てに基づき、申立ての相手方に対し、給付その他の行為を命じ、又はこれを禁じることその他暫定的な保全措置を執ることができるものとする規定を置くことはどうか(模範法17条、試案24条(1)参照)。

  1.  賛成(72人)
  2.  反対(3人)
  3.  その他(2人)

(2) 仲裁廷による暫定的保全措置の執行力について

仲裁廷による暫定的保全措置は執行力を有するものとすべきか。

  • ドイツ法1041条は、仲裁廷の暫定的保全措置の執行力を認め、次のような規定を置いている。
    (1)当事者が異なる合意をしている場合を除き、仲裁廷は、当事者の申立てに基づいて、係争物について必要と認める暫定的又は保全的な措置を命ずることができる。仲裁廷は、当事者に対して、このような措置に関連して適当な担保の提供を求めることができる。
    (2)裁判所は、当事者の申立てに基づいて、第1項の措置の執行を許可することができる。ただし、これに相当する仮の権利保護の措置が裁判所に申し立てられている場合は、この限りでない。裁判所は、この措置の執行に必要ならば、命令を変更することができる。
    (3)申立てに基づいて、裁判所は、第2項の決定を取り消し、又は変更することができる。
    (4)第1項の措置の命令が当初から不当であることが明らかなときは、その執行を求めた当事者は、相手方に対して、この措置の執行又は執行を阻止するためにした担保の提供によって生じた損害を賠償する義務を負う。損害賠償請求権は、係属する仲裁手続において主張することができる。
  • UNCITRAL第34会期仲裁作業部会においては、仲裁廷による暫定的保全措置の執行について検討がされている。部会においては、執行力を有するとの意見が大勢を占め、これを前提に、具体的な執行の在り方(手続的要件、拒絶事由等)が議論されている。
  • 仲裁廷による暫定的保全措置については、次のような問題もある。
     保全措置の種類及び内容
     保全措置の要件
     手続(申立て及び審理の在り方、要件の証明の要否等)
     仲裁廷の裁量の範囲
     司法裁判所の保全処分等との関係

  1.  執行力を有するものとすべきである。(44人)
  2.  執行力は認めるべきではない。(25人)
  3.  その他(4人)

(3) ((2)で1.と回答した方のみお答えください。)仲裁廷による暫定的措置に執行力を認める場合に考慮すべき事項について

仲裁廷による暫定的保全措置が執行力を有するものとする場合、どのような点について考慮すべきか。

(4) ((2)で2.と回答した方のみお答えください。)仲裁廷による暫定的保全措置に執行力を認めない場合に考慮すべき事項について

仲裁廷による暫定的保全措置に執行力を認めない場合、その実効性を確保するため、どのような点について考慮すべきか。

(5) ((2)で1.と回答した方のみお答えください。)仲裁廷による暫定的保全措置に関する担保の在り方について

仲裁廷による暫定的保全措置に関する担保の在り方について、どのように考えるべきか。

2 付託事件に関する仲裁廷による仲裁判断権限についての判断について

(1) 付託事件に関する仲裁廷の仲裁判断権限についての判断権について

仲裁廷は、付託された事件について仲裁判断をする権限を有するか否かをみずから判断することができるとする明文の規定を設けるものとすることはどうか(模範法16条(1)、試案20条(1)参照)。

  1.  賛成(73人)
  2.  反対(1人)
  3.  その他(1人)

(2) 仲裁廷による付託事件について仲裁判断権限を有するとの判断に対する不服申立てについて

仲裁廷による付託事件について仲裁判断権限を有するとの判断に対する不服申立てについて、どのように考えるべきか。

  1.  仲裁判断後の仲裁判断取消しの訴え又は執行許否の裁判における抗弁によってのみ不服を申し立てることができるものとする。(22人)
  2.  仲裁判断権限を有するとの判断が中間的判断の形式でされたときは、司法裁判所に対する独立の不服申立てを認めるものとする。(7人)
  3.  仲裁判断権限を有するとの判断については、直ちに司法裁判所に対して不服申立てをすることができるものとする(模範法16条(3)参照)。(34人)
  4.  その他(4人)



第5 仲裁手続

1 仲裁申立ての形式的要件(書面性)について

仲裁申立ては、書面によるものとすることでよいか。

  • 仲裁合意の書面性については、UNCITRAL仲裁作業部会において、これを緩和する方向での模範法の改正が検討されており(前記第2の3(2)(4頁)参照)、仲裁申立てについても、書面性にどのような内容を盛り込むか、仲裁合意における議論との整合性はどうかといった点に留意する必要がある。
     
  1.  賛成(65人)
    〔紙媒体に限る意見〕
    〔電子媒体等も許容する意見〕
  2.  反対(13人)
    〔書面性を不要とする意見〕
  3.  その他(0人)

2 仲裁手続の規律について

(1) 仲裁手続の総則規定について
仲裁手続は、原則として、当事者の合意により、又は仲裁廷において自由に定めることができるとした場合、証拠調べについて準則的な規定を置くべきものはあるか。特に、試案25条1項のような職権探知主義の規定を置くべきか。

  • 試案25条(1)
    「仲裁人は、当事者の別段の合意がある場合を除き、職権で事実関係を探知し、証拠調べをすることができる。」

〔職権探知主義に賛成する意見〕  
〔職権探知主義に反対する意見〕  
〔その他〕

(2) 職権鑑定について

 仲裁廷は、職権で鑑定を行うことができるものとする規定を置くべきか(模範法26条(1)参照)。

  • 仲裁人が専門家の鑑定による専門的知見の補充がされることを予想して就任したが、当事者から鑑定の申立てがされなかった場合への対応について検討する必要がある。

  1.  賛成(61人)
  2.  反対(7人)
  3.  その他(5人)

3 司法裁判所の援助について

(1) 援助の対象について

 仲裁人は、証人及び鑑定人の尋問について、司法裁判所に対し、援助(援助の内容は、後記(2)参照)を求めることができるものとすることはどうか。

  1.  賛成(67人)
  2.  反対(4人)
  3.  その他(3人)

(2) 援助対象の証拠調べの在り方について

 援助が求められた証拠調べの在り方については、どのように考えるべきか。

  • 証拠調べについては、仲裁廷が証人等に対して宣誓させることができるかどうかも問題となる。

  1.  援助を求められた司法裁判所は、証人及び鑑定人に対し、仲裁廷の面前への出頭を命じ、証拠調べは、仲裁人が行うものとする考え方(試案25条(3)参照)(27人)
  2.  援助を求められた司法裁判所は、証人及び鑑定人に対し、裁判所への出頭を命じ、裁判所が証拠調べを行い(模範法27条参照)、仲裁人は証人らに対する発問の機会を与えられるものとする考え方(15人)
  3.  1.及び2.の双方を認めるものとする考え方(18人)
  4.  その他(7人)

4 仲裁手続の準拠法について

 仲裁手続の準拠法については、次のいずれの考え方が妥当か。

※ 「仲裁地」の概念には争いがあり、1.と2.の「仲裁地」が必ずしも同一概念であるとはいえない。
※ 3.にあっては、当事者の黙示の意思の探求について、当事者の黙示の意思の名の下に合理的な準拠法を決定すべきであるとする立場と、当該仲裁手続と密接なつながりがあると認められる地の法を準拠法とする立場が考えられる。

  1.  仲裁手続は、仲裁地のある国の法律が適用されるものとして属地主義によるものとする考え方(模範法1条(2)参照) (33人)
  2.  1.の考え方を基本としつつ、仲裁地が定まっていない段階では、日本と密接な関係のある仲裁について裁判所が援助又は協力をするとの規定を置くものとする考え方(試案45条参照) (21人)
  3.  当事者自治を認めた上、当事者による明示の指定がない場合には当事者の黙示の意思を探求して準拠法を決すべきものとする考え方(8人)
  4.  その他(7人)



第6 仲裁判断及び仲裁手続の終了

1 仲裁判断における申立事項と判断事項(処分権主義の限度)について

 仲裁判断の判断事項は、当事者が申し立てた範囲のものに限定されるかどうかについては、次のいずれの考え方が妥当か。

  1.  仲裁判断の判断事項は、当事者の申立ての範囲内のものに限られるとする考え方(37人)
  2.  1.の考え方を基本としつつ、手続の経過や当事者の主張全体を勘案し、申立ての範囲か否かを弾力的に解することにより処理するものとする考え方(34人)
  3.  仲裁廷は、当事者の申立てについてのみ判断すべき拘束は受けず、紛争全体の解決のため種々の事情を参酌して公平の見地から判断事項を決することができるものとする考え方(1人)
  4.  その他(2人)

2 仲裁判断書原本の預け置きについて

 仲裁判断原本の預け置き制度について、ドイツ法にならい、これを廃止するものとする考え方についてはどうか。

  • ドイツ法について
    旧法1039条3項では、管轄裁判所の書記課に預け置くことが必要であったが、新法ではその必要はなくなった(春日偉知郎「ドイツの新仲裁法について(下)」(JCAジャーナル第46巻8号・1999年8月))。

  1.  賛成(38人)
  2.  反対(18人)
  3.  その他(11人)



第7 仲裁判断に対する不服申立て

1 仲裁判断の取消原因について

 ニューヨーク条約5条の執行拒絶理由と同様の事由を仲裁判断の取消原因とすることはどうか(模範法34条(2)(a)(i)、試案41条(2)参照)。

  • ニューヨーク条約5条
    (1) 判断の承認及び執行は、判断が不利益に援用される当事者の請求により、承認及び執行が求められた国の権限のある機関に対しその当事者が次の証拠を提出する場合に限り、拒否することができる。 a 第2条に掲げる当事者の合意が、その当事者に適用される法令により無能力者であったこと又は前記の合意が、当事者がその準拠法として指定した法令により若しくはその指定がなかったときは判断がされた国の法令により有効でないこと。
    b 判断が不利益に援用される当事者が、仲裁人の選定若しくは仲裁手続について適当な通告を受けなかったこと又はその他の理由により防禦することが不可能であったこと。
    c 判断が、仲裁付託の条項に定められていない紛争若しくはその条項の範囲内にない紛争に関するものであること又は仲裁付託の範囲をこえる事項に関する判定を含むこと。ただし、仲裁に付託された事項に関する判定が付託されなかった事項に関する判定から分離することができる場合には、仲裁に付託された事項に関する判定を含む判断の部分は、承認し、かつ、執行することができるものとする。
    d 仲裁機関の構成又は仲裁手続が、当事者の合意に従っていなかったこと又は、そのような合意がなかったときは、仲裁が行われた国の法令に従っていなかったこと。
    e 判断が、まだ当事者を拘束するものとなるに至っていないこと又は、その判断がされた国若しくはその判断の基礎となった法令の属する国の権限のある機関により、取り消されたか若しくは停止されたこと。

    (2) 仲裁判断の承認及び執行は、承認及び執行が求められた国の権限のある機関が次のことを認める場合においても、拒否することができる。 a 紛争の対象である事項がその国の法令により仲裁による解決が不可能なものであること。
    b 判断の承認及び執行がその国の公の秩序に反すること。

     証人が虚偽の証言をした場合(民事訴訟法338条1項7号参照)や判例変更等で仲裁の存立基盤に問題が生じた場合などへの対応を考える必要がある。
  1.  賛成(65人)
  2.  反対(1人)
  3.  その他(5人)



第8 仲裁判断の承認及び執行

1 仲裁判断執行許否手続について

(1) 仲裁判断取消の訴えとの関係について

 執行判決の阻止事由と仲裁判断取消原因とをパラレルなものとする(同一内容とする)ことはどうか。

  1.  賛成(59人)
  2.  反対(3人)
  3.  その他(3人)

(2) 仲裁判断執行許否手続と仲裁判断取消しの訴えの在り方について

 仲裁判断執行許否手続について、次のいずれの考え方が妥当か。

オランダ法1062条

(1) 第二の仲裁廷への不服申立てが認められていないか又は仮執行宣言を付された終局的全部若しくは一部の仲裁判断、又は仲裁上の不服申立てに対する終局的全部若しくは一部の仲裁判断のオランダにおける執行は、第1058条第1項により仲裁判断の原本が預け置きされなければならない事務局が帰属する地方裁判所の長が、一方当事者の申立てにより、執行を許可した場合にのみ、これをすることができる。
(4) 地方裁判所の長が執行を許可したとき、相手方は、第1064条第1項の定める方法によってのみ不服申立てを行うものとする。仲裁判断の取消しまたは破棄は、全ての執行の許可を法律上無効とする。

同法1063条 (1) 仲裁判断の執行は、仲裁判断もしくは判断の方法が明らかに公序良俗に反するとき、第1055条に反して仮執行が命ぜられたとき、または、不服従に対する過料が第1056条に反して課されたときに限り、地方裁判所の長がこれを拒否できる。最後の場合、過料の執行に限り拒否されるものとする。
(3) 申立人は、判決の日から2か月以内に、執行拒否に対し控訴裁判所に不服申立てをすることができる。

  1.  仲裁判断執行許否の裁判は、常に決定手続とし、仲裁判断取消しの訴えとの連続性を認めないものとする考え方(オランダ法1062条参照) (4人)
  2.  仲裁判断執行許否手続と仲裁判断取消しの訴えとの連続性を認めることを前提とし、仲裁判断執行許否の裁判は、原則として決定手続とし、裁判所が特に必要と認めるときは、判決手続によるものとする考え方(試案38条(3)参照)(32人)
  3.  仲裁判断執行許否手続と仲裁判断取消しの訴えとの連続性を認めることを前提とし、仲裁判断執行許否の裁判は、原則として決定手続とし、取消原因が問題となるときは、判決手続によるものとする考え方(ドイツ法1063条(1)、(2)参照) (15人)
  4.  仲裁判断執行許否手続と仲裁判断取消しの訴えとの連続性を認めることを前提とし、仲裁判断執行許否の裁判は、判決手続によるものとする考え方(現行公示催告・仲裁法802条参照) (4人)
  5.  その他(3人)



第9 その他

1 仲裁手続と弁護士法72条について

 仲裁人となるためには弁護士資格を要しないものとすることはどうか。

  1.  賛成(74人)
  2.  反対(1人)
  3.  その他(2人)

2 仲裁と公開について

(1) 仲裁手続について

 当事者の合意のない限り、仲裁手続は、非公開とする旨の規定を設けるものとすることはどうか。

  1.  賛成(67人)
  2.  反対(8人)
  3.  その他(2人)

(2) 仲裁判断について

ア 仲裁判断は、原則非公開とし、一定の要件の下で仲裁廷又は仲裁機関がこれを公開することができるものとすることはどうか。

  1.  賛成(66人)
  2.  反対(10人)
  3.  その他(3人)

イ アで1.と回答した場合、一定の要件についてはどのように考えるか。

(3) 仲裁手続の記録の閲覧・謄写について

ア 仲裁手続の記録の閲覧・謄写の可否については、原則これを非公開として、一定の要件の下に仲裁廷又は仲裁機関が公開することができるものとすることはどうか。

  1.  賛成(51人)
  2.  反対(19人)
  3.  その他(5人)

イ アで1.と回答した場合、一定の要件についてどのように考えるか。

(4) 仲裁判断執行許否の裁判及び仲裁判断取消しの訴えについて

 仲裁判断執行許否の裁判及び仲裁判断取消しの訴えの公開の是非については、どのように考えるべきか。特に、証人尋問についてはどうか。

〔訴訟である限り公開〕

〔裁判公開原則を再検討すべき〕

〔原則非公開とすべき〕

〔その他〕

以 上