司法制度改革

平成13年12月19日

法科大学院(仮称)の設置に関する検討状況の調査結果について

司法制度改革推進本部事務局




 この資料は、平成13年10月15日付け(11月15日締切り)で法学関連の学部・研究科を設置する大学を対象に実施した法科大学院(仮称)の設置に関する検討状況の調査の結果について、まとめたものである。
 調査対象の大学数は、117大学(国立29、公立 3、私立85)で、全ての大学から回答を得た。
1 法科大学院の設置予定
 大学数うち国立大学うち公立大学うち私立大学
設置予定あり7324247
検討中252122
設置予定なし193016
*調査対象大学の8割強(98大学)が法科大学院の設置を予定又は検討している。

2 設置予定年度
 大学数うち国立大学うち公立大学うち私立大学
2004年7624349
2005年005
2006年001
未定・無回答16 2 014
*設置を予定(検討)している大学の約8割(76大学)が2004年度の設置を予定(検討)している。

3 設置形態
(重複あり)
 大学数うち国立大学うち公立大学うち私立大学
昼間制6520 243
夜間制 1 0 7
昼夜開講制33 4 128
通信制 0 0 2
未定・無回答 2 0 3
*設置を予定(検討)している大学の約4割(39大学)が昼夜開講制など社会人等の受入れに配慮した設置形態を予定(検討)している。

4 毎年度の入学者数

(1)入学者数の規模別大学数

(重複あり)
 大学数うち国立大学うち公立大学うち私立大学
30人以下23 5 018
31人〜 50人4011 326
51人〜100人20 6 014
101人〜150人 1 0 1
151人〜200人 1 0 2
201人〜250人 0 0 1
251人〜300人 0 0 1
未定・無回答 3 0 6
*設置を予定(検討)している大学の約3分の2(63大学)が50人以下の入学者数を予定(検討)している。

(2)地域別入学者数
 予定あり検討中
札幌高裁管内 90〜 140 10100〜 150
仙台  〃230 50280
東京  〃2,455〜2,565365〜3852,820〜2,950
名古屋 〃240〜 290 30 270〜 320
大阪  〃1,120〜1,150 401,160〜1,190
広島  〃 230 40 270
高松  〃 110 0 110
福岡  〃 340〜 360 125〜135 465〜 495
  計 4,815〜5,075 660〜690 5,475〜5,765

5 開設予定科目(基本六法を除く)
(91大学回答・重複あり)
 大学数
・行政法86
・実務関連科目85
・法曹倫理82
・知的財産権法78
・労働法78
・倒産法78
・租税法72
・執行・保全法72
・金融・証券取引法68
・国際私法68
・国際取引法68
・国際公法67
・環境法67
・外国法65
・消費者法62
・社会保障法61
・法哲学57
・刑事政策53
・法制史53
・法社会学41
・政治学38
・行政学28
・会計学20
・経済学20
・財政学14
・その他36

6 他大学との連携
 大学数
予定(検討)している27
予定(検討)していない61
無回答11

連携形態についての自由記述要旨(27大学回答・重複あり)
○単位互換を検討している(12大学)
○他大学と連携・連合して法科大学院を設置することを検討している(9大学)
○海外のロースクールとの連携を検討している(3大学)
○具体的方法は検討中である(5大学)

7 実務家との連携
(93大学回答・重複あり)

実務家との連携方策についての自由記述要旨
<実務家教員の確保策に関するもの>
○地元弁護士会と連携する(59大学)
○日弁連による弁護士派遣制度に期待している(8大学)
○個別の弁護士事務所と連携する(2大学)
○裁判所・検察庁との連携、派遣制度の整備等を期待している(14大学)
○企業と連携する(4大学)
○行政官庁と連携する(3大学)
○大学OBの法曹の協力を得る(7大学)
○個別に実務家に協力を依頼する(8大学)
○退職した法曹を採用する(5大学)
○公募する(2大学)

<実務家教員の採用形態に関するもの>
○専任教員として採用する(15大学)
○学内行政負担を軽減した専任教員として採用する(1大学)
○客員・非常勤教員として採用する(15大学)
○任期付教員として採用する(5大学)
○兼業できる形態で採用する(2大学)

8 多様性の拡大
(93大学回答・重複あり)

多様性の拡大のための方策についての自由記述要旨
○枠を設けるなどして社会人を一定割合受け入れる(24大学)
○枠を設けるなどして非法学部出身者を一定割合受け入れる(28大学)
○3年制を原則とし、あるいは3年制の枠を設けることにより、社会人・非法学部出身者を受け入れる(11大学)
○夜間制、昼夜開講制等を設けることにより社会人を受け入れる(10大学)
○社会人入試など入試方法を工夫する(6大学)
○出身学部等を区別せず受け入れる(6大学)
○自大学出身者を優先しない、あるいは制限する(3大学)
○社会人枠・他学部枠の設置は逆差別のおそれがあり、慎重に考える(4大学)
○具体策は未検討、あるいは検討中(16大学)

9 教育方法
(92大学回答・重複あり)

(1)教育方法についての自由記述要旨
○ソクラティック・メソッド、対話方式等を取り入れる(29大学)
○ケース・メソッド、事例研究等を取り入れる(19大学)
○プロブレム・メソッド、問題解決学習等を取り入れる(11大学)
○レポート、文書作成を行わせる(10大学)
○予習・復習等を重視する(9大学)
○ロールプレイを取り入れる(4大学)
○TA(ティーチング・アシスタント)の活用、個別指導を行う(4大学)
○OA機器を利用する(3大学)
○研究家と実務家の協働を図る(3大学)

(2)少人数教育についての自由記述要旨

<入学者数50人以下の大学>
○1クラス10人程度で行う(7大学)
○1クラス20〜30人程度で行う(7大学)
○授業の形態別に10〜30人程度で行う(2大学)
○講義は50人程度、演習は25人程度で行う。(3大学)

<入学者数51人以上の大学>
○基本科目については1クラス50人程度で行う(10大学)
○基本科目については1クラス20人程度で行う(2大学)
○基本科目については少人数に限定して行う(2大学)
○1クラス10人程度で行う(1大学)

10 厳格な成績評価、修了認定
(89大学回答・重複あり)

厳格な成績評価、修了認定の方策についての自由記述要旨
○複数教員・評価委員会により評価を行う(25大学)
○外部専門家等の参加により評価を行う(13大学)
○進級判定を厳格に行う(12大学)
○統一の評価基準を策定する(8大学)
○平常点(授業・レポート等)の評価を行う(7大学)
○成績不振者への退学勧告等を行う(6大学)
○GPAを導入する(5大学)
○各教科の成績分布を作成する(3大学)
○「優」の割合など各評価の割合を設定する(2大学)
○具体策は未検討、あるいは検討中(21大学)

11 法科大学院の授業料(年額)(国立大学を除く)
 大学数うち公立大学うち私立大学
100万円以下 1 4
101万〜150万円 0 6
151万〜200万円20 020
201万〜250万円13 013
251万〜300万円 0 3
未定・無回答25 223
*回答した公私立大学(47大学)の約3分の1(16大学)が200万円を超える授業料を予定(検討)している。

12 法科大学院制度の実現に伴う課題
(91大学回答・重複あり)

(1)法学部の在り方についての意見要旨

○法学部を存続する必要はあるが、教育内容の在り方等を見直す必要がある(46大学)

<上記のうち>
・法律的素養を備えた幅広い人材(ジェネラリスト)を養成する(21大学)
・他の分野を含め、幅広い教育を行う(14大学)
・法学教育を減少する、基礎的なものとする(5大学)
・基本的内容に絞りながらも、法学専門教育を行う(2大学)
・少人数・双方向的教育を導入する(2大学)
・副専攻制を導入する(1大学)
○法学部で法科大学院への進学を意識した法学教育も行うべきである(10大学)
○(将来的には)人文社会科学の学際的・横断的教育体制、あるいは、社会科学教養学部に移行する(2大学)
○法学部と法科大学院の継続性が必要である(1大学)
○地方において法的専門知識の学習機会を提供している地方大学法学部の存在意義は軽視されるべきではない(1大学)

(2)司法試験の在り方についての意見要旨

○司法試験の在り方を大きく見直す必要がある(49大学)
<上記のうち>
・法科大学院教育の成果を試すものとすべきである(14大学)
・知識のみでなく、思考力、問題発見・解決能力等を試すものとすべきである(12大学)
・法科大学院の教育内容を反映したものとすべきである(8大学)
・基本六法以外の分野も問うべきである(選択科目等)(4大学)
・法曹の基礎的知識・能力を試すものとすべきである(3大学)
・法科大学院の専門性・多様性・独自性の理念に合致する試験とすべきである(3大学)
・法科大学院の成績を合否判定に組み込むべきである(2大学)
・実務の基礎能力も問うべきである(1大学)


○法科大学院を修了していれば司法試験に(比較的容易に)合格することができるようなものにすべきである(19大学)
○新司法試験の具体的内容を早く示す必要がある(7大学)
○司法試験のレベルを安易に低下させるべきではない(2大学)
○法科大学院を経ない「バイパス」コースについては、可能な限り限定すべきである、あるいは否定すべきである(2大学)
○法科大学院の教育に大きな影響が及ばないような時期に実施すべきである(2大学)
○年に2回実施することが望ましい(1大学)

(3)司法修習の在り方・役割分担についての意見要旨

○法科大学院との役割分担を考慮すべきである(21大学)
○存続する必要がある(12大学)
○実務修習を中心としたものにすべきである(6大学)
○(将来的には)期間を短縮すべきである(短縮が可能である)(4大学)
○(将来的には)不要である(3大学)
○地域単位で司法修習を実施すべき(司法研修所を全国複数箇所に設置すべき)である(3大学)
○法科大学院と司法修習の役割分担の具体的内容を早期に示す必要がある(2大学)
○修習期間は従前の2年間でもよい(1大学)
○現行の司法修習の教育を段階的に法科大学院に取り入れるべきである(1大学)

(4)その他の意見要旨

○設置基準、第三者評価基準等の具体的内容を早期に示す必要がある(14大学)
○大学に対する財政的支援が必要である(13大学)
○奨学金制度等、各種の支援制度を整備・充実すべきである(10大学)
○法科大学院は、地方も含め、全国にバランスよく設置すべきである(3大学)
○教員の研究、研究者養成も考慮すべきである(2大学)
○教育を充実させるため、入学定員は可能な限り少なくすべきである(1大学)
○既存の法学系大学院との役割分担等を検討すべきである(1大学)
○地元の法曹関係機関との恒常的な連携・協力体制を構築する必要がある(1大学)