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刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成十六年法律第六十二号) (刑事訴訟法の一部改正) 第一条 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。 目次を削り、題名の次に次の目次を付する。 目次 第一編 総則(第一条) 第一章 裁判所の管轄(第二条—第十九条) 第二章 裁判所職員の除斥及び忌避(第二十条—第二十六条) 第三章 訴訟能力(第二十七条—第二十九条) 第四章 弁護及び補佐(第三十条—第四十二条) 第五章 裁判(第四十三条—第四十六条) 第六章 書類及び送達(第四十七条—第五十四条) 第七章 期間(第五十五条・第五十六条) 第八章 被告人の召喚、勾引及び勾留(第五十七条—第九十八条) 第九章 押収及び捜索(第九十九条—第百二十七条) 第十章 検証(第百二十八条—第百四十二条) 第十一章 証人尋問(第百四十三条—第百六十四条) 第十二章 鑑定(第百六十五条—第百七十四条) 第十三章 通訳及び翻訳(第百七十五条—第百七十八条) 第十四章 証拠保全(第百七十九条・第百八十条) 第十五章 訴訟費用(第百八十一条—第百八十八条) 第十六章 費用の補償(第百八十八条の二—第百八十八条の七) 第二編 第一審 第一章 捜査(第百八十九条—第二百四十六条) 第二章 公訴(第二百四十七条—第二百七十条) 第三章 公判 第一節 公判準備及び公判手続(第二百七十一条—第三百十六条) 第一節の二 争点及び証拠の整理手続 第一款 公判前整理手続 第一目 通則(第三百十六条の二—第三百十六条の十二) 第二目 争点及び証拠の整理(第三百十六条の十三—第三百十六条の二十四) 第三目 証拠開示に関する裁定(第三百十六条の二十五—第三百十六条の二十七) 第二款 期日間整理手続(第三百十六条の二十八) 第三款 公判手続の特例(第三百十六条の二十九—第三百十六条の三十二) 第二節 証拠(第三百十七条—第三百二十八条) 第三節 公判の裁判(第三百二十九条—第三百五十条) 第四章 即決裁判手続 第一節 即決裁判手続の申立て(第三百五十条の二・第三百五十条の三) 第二節 公判準備及び公判手続の特例(第三百五十条の四—第三百五十条の十一) 第三節 証拠の特例(第三百五十条の十二) 第四節 公判の裁判の特例(第三百五十条の十三・第三百五十条の十四) 第三編 上訴 第一章 通則(第三百五十一条—第三百七十一条) 第二章 控訴(第三百七十二条—第四百四条) 第三章 上告(第四百五条—第四百十八条) 第四章 抗告(第四百十九条—第四百三十四条) 第四編 再審(第四百三十五条—第四百五十三条) 第五編 非常上告(第四百五十四条—第四百六十条) 第六編 略式手続(第四百六十一条—第四百七十条) 第七編 裁判の執行(第四百七十一条—第五百七条) 附則 第三十一条の次に次の一条を加える。 第三十一条の二 弁護人を選任しようとする被告人又は被疑者は、弁護士会に対し、弁護人の選任の申出 をすることができる。 弁護士会は、前項の申出を受けた場合は、速やかに、所属する弁護士の中から弁護人となろうとする 者を紹介しなければならない。 弁護士会は、前項の弁護人となろうとする者がないときは、当該申出をした者に対し、速やかに、そ の旨を通知しなければならない。同項の規定により紹介した弁護士が被告人又は被疑者がした弁護人の 選任の申込みを拒んだときも、同様とする。 第三十六条の次に次の二条を加える。 第三十六条の二 この法律により弁護人を要する場合を除いて、被告人が前条の請求をするには、資力申 告書(その者に属する現金、預金その他政令で定めるこれらに準ずる資産の合計額(以下「資力」とい う。)及びその内訳を申告する書面をいう。以下同じ。)を提出しなければならない。 第三十六条の三 この法律により弁護人を要する場合を除いて、その資力が基準額(標準的な必要生計費 を勘案して一般に弁護人の報酬及び費用を賄うに足りる額として政令で定める額をいう。以下同じ。) 以上である被告人が第三十六条の請求をするには、あらかじめ、その請求をする裁判所の所在地を管轄 する地方裁判所の管轄区域内に在る弁護士会に第三十一条の二第一項の申出をしていなければならない。 前項の規定により第三十一条の二第一項の申出を受けた弁護士会は、同条第三項の規定による通知を したときは、前項の地方裁判所又は当該被告事件が係属する裁判所に対し、その旨を通知しなければな らない。 第三十七条の次に次の四条を加える。 第三十七条の二 死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁に当たる事件について被疑者に 対して留状が発せられている場合において、被疑者が貧困その他の事由により弁護人を選任すること ができないときは、裁判官は、その請求により、被疑者のため弁護人を付さなければならない。ただし 、被疑者以外の者が選任した弁護人がある場合又は被疑者が釈放された場合は、この限りでない。 前項の請求は、同項に規定する事件について勾留を請求された被疑者も、これをすることができる。 第三十七条の三 前条第一項の請求をするには、資力申告書を提出しなければならない。 その資力が基準額以上である被疑者が前条第一項の請求をするには、あらかじめ、その勾留の請求を 受けた裁判官の所属する裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内に在る弁護士会に第三十一 条の二第一項の申出をしていなければならない。 前項の規定により第三十一条の二第一項の申出を受けた弁護士会は、同条第三項の規定による通知を したときは、前項の地方裁判所に対し、その旨を通知しなければならない。 第三十七条の四 裁判官は、第三十七条の二第一項に規定する事件について被疑者に対して勾留状が発せ られ、かつ、これに弁護人がない場合において、精神上の障害その他の事由により弁護人を必要とする かどうかを判断することが困難である疑いがある被疑者について必要があると認めるときは、職権で弁 護人を付することができる。ただし、被疑者が釈放された場合は、この限りでない。 第三十七条の五 裁判官は、死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる事件について第三十七条の二第一 項又は前条の規定により弁護人を付する場合又は付した場合において、特に必要があると認めるときは 、職権で更に弁護人一人を付することができる。ただし、被疑者が釈放された場合は、この限りでない。 第三十八条第一項中「基いて裁判所又は裁判長が附すべき」を「基づいて裁判所若しくは裁判長又は裁 判官が付すべき」に改め、同条の次に次の三条を加える。 第三十八条の二 裁判官による弁護人の選任は、被疑者がその選任に係る事件について釈放されたときは 、その効力を失う。ただし、その釈放が勾留の執行停止によるときは、この限りでない。 第三十八条の三 裁判所は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、裁判所若しくは裁判長又は 裁判官が付した弁護人を解任することができる。 一 第三十条の規定により弁護人が選任されたことその他の事由により弁護人を付する必要がなくなつ たとき。 二 被告人と弁護人との利益が相反する状況にあり弁護人にその職務を継続させることが相当でないと き。 三 心身の故障その他の事由により、弁護人が職務を行うことができず、又は職務を行うことが困難と なつたとき。 四 弁護人がその任務に著しく反したことによりその職務を継続させることが相当でないとき。 五 弁護人に対する暴行、脅迫その他の被告人の責めに帰すべき事由により弁護人にその職務を継続さ せることが相当でないとき。 弁護人を解任するには、あらかじめ、その意見を聴かなければならない。 弁護人を解任するに当たつては、被告人の権利を不当に制限することがないようにしなければならな い。 公訴の提起前は、裁判官が付した弁護人の解任は、裁判官がこれを行う。この場合においては、前三 項の規定を準用する。 第三十八条の四 裁判所又は裁判官の判断を誤らせる目的で、その資力について虚偽の記載のある資力申 告書を提出した者は、十万円以下の過料に処する。 第五十八条中「引」を「勾引」に改める。 第八十九条中「左の」を「次の」に改め、同条第一号中「禁」を「禁錮」に改め、同条第二号及び第 三号中「あたる」を「当たる」に改め、同条第五号中「畏怖」を「怖」に改め、同条第六号中「判らな い」を「分からない」に改める。 第百八十一条に次の一項を加える。 公訴が提起されなかつた場合において、被疑者の責めに帰すべき事由により生じた費用があるときは 、被疑者にこれを負担させることができる。 第百八十三条に次の一項を加える。 告訴、告発又は請求があつた事件について公訴が提起されなかつた場合において、告訴人、告発人又 は請求人に故意又は重大な過失があつたときも、前項と同様とする。 第百八十七条の次に次の一条を加える。 第百八十七条の二 公訴が提起されなかつた場合において、訴訟費用を負担させるときは、検察官の請求 により、裁判所が決定をもつてこれを行う。この決定に対しては、即時抗告をすることができる。 第二百三条第二項の次に次の一項を加える。 司法警察員は、第三十七条の二第一項に規定する事件について第一項の規定により弁護人を選任する ことができる旨を告げるに当たつては、被疑者に対し、引き続き勾留を請求された場合において貧困そ の他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは裁判官に対して弁護人の選任を請求する ことができる旨並びに裁判官に対して弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならな い旨及びその資力が基準額以上であるときは、あらかじめ、弁護士会(第三十七条の三第二項の規定に より第三十一条の二第一項の申出をすべき弁護士会をいう。)に弁護人の選任の申出をしていなければ ならない旨を教示しなければならない。 第二百四条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同条第一項の次に次の一項を加える。 検察官は、第三十七条の二第一項に規定する事件について前項の規定により弁護人を選任することが できる旨を告げるに当たつては、被疑者に対し、引き続き勾留を請求された場合において貧困その他の 事由により自ら弁護人を選任することができないときは裁判官に対して弁護人の選任を請求することが できる旨並びに裁判官に対して弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨及 びその資力が基準額以上であるときは、あらかじめ、弁護士会(第三十七条の三第二項の規定により第 三十一条の二第一項の申出をすべき弁護士会をいう。)に弁護人の選任の申出をしていなければならな い旨を教示しなければならない。 第二百五条に次の一項を加える。 前条第二項の規定は、検察官が、第三十七条の二第一項に規定する事件以外の事件について逮捕され 、第二百三条の規定により同項に規定する事件について送致された被疑者に対し、第一項の規定により 弁解の機会を与える場合についてこれを準用する。ただし、被疑者に弁護人があるときは、この限りで ない。 第二百七条第二項中「前項」を「第一項」に、「但し」を「ただし」に改め、同条第一項の次に次の二 項を加える。 前項の裁判官は、第三十七条の二第一項に規定する事件について勾留を請求された被疑者に被疑事件 を告げる際に、被疑者に対し、弁護人を選任することができる旨及び貧困その他の事由により自ら弁護 人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨を告げなければならない。 ただし、被疑者に弁護人があるときは、この限りでない。 前項の規定により弁護人の選任を請求することができる旨を告げるに当たつては、弁護人の選任を請 求するには資力申告書を提出しなければならない旨及びその資力が基準額以上であるときは、あらかじ め、弁護士会(第三十七条の三第二項の規定により第三十一条の二第一項の申出をすべき弁護士会をい う。)に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨を教示しなければならない。 第二百二十七条第一項中「取調」を「取調べ」に改め、「圧迫を受け」を削り、「異る」を「異なる」 に、「虞」を「おそれ」に、「且つ」を「かつ」に改める。 第二百六十七条の次に次の一条を加える。 第二百六十七条の二 裁判所は、第二百六十六条第二号の決定をした場合において、同一の事件について 、検察審査会法(昭和二十三年法律第百四十七号)第二条第一項第一号に規定する審査を行う検察審査 会又は同法第四十一条の六第一項の起訴議決をした検察審査会(同法第四十一条の九第一項の規定によ り公訴の提起及びその維持に当たる者が指定された後は、その者)があるときは、これに当該決定をし た旨を通知しなければならない。 第二百七十二条に次の一項を加える。 裁判所は、この法律により弁護人を要する場合を除いて、前項の規定により弁護人の選任を請求する ことができる旨を知らせるに当たつては、弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければな らない旨及びその資力が基準額以上であるときは、あらかじめ、弁護士会(第三十六条の三第一項の規 定により第三十一条の二第一項の申出をすべき弁護士会をいう。)に弁護人の選任の申出をしていなけ ればならない旨を教示しなければならない。 第二百七十八条の次に次の一条を加える。 第二百七十八条の二 裁判所は、必要と認めるときは、検察官又は弁護人に対し、公判準備又は公判期日 に出頭し、かつ、これらの手続が行われている間在席し又は在廷することを命ずることができる。 裁判長は、急速を要する場合には、前項に規定する命令をし、又は合議体の構成員にこれをさせるこ とができる。 前二項の規定による命令を受けた検察官又は弁護人が正当な理由がなくこれに従わないときは、決定 で、十万円以下の過料に処し、かつ、その命令に従わないために生じた費用の賠償を命ずることができ る。 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 裁判所は、第三項の決定をしたときは、検察官については当該検察官を指揮監督する権限を有する者 に、弁護士である弁護人については当該弁護士の所属する弁護士会又は日本弁護士連合会に通知し、適 当な処置をとるべきことを請求しなければならない。 前項の規定による請求を受けた者は、そのとつた処置を裁判所に通知しなければならない。 第二百八十一条の二の次に次の四条を加える。 第二百八十一条の三 弁護人は、検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧又は謄写の機会を与 えた証拠に係る複製等(複製その他証拠の全部又は一部をそのまま記録した物及び書面をいう。以下同 じ。)を適正に管理し、その保管をみだりに他人にゆだねてはならない。 第二百八十一条の四 被告人若しくは弁護人(第四百四十条に規定する弁護人を含む。)又はこれらであ つた者は、検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧又は謄写の機会を与えた証拠に係る複製 等を、次に掲げる手続又はその準備に使用する目的以外の目的で、人に交付し、又は提示し、若しくは 電気通信回線を通じて提供してはならない。 一 当該被告事件の審理その他の当該被告事件に係る裁判のための審理 二 当該被告事件に関する次に掲げる手続 イ 第一編第十六章の規定による費用の補償の手続 ロ 第三百四十九条第一項の請求があつた場合の手続 ハ 第三百五十条の請求があつた場合の手続 ニ 上訴権回復の請求の手続 ホ 再審の請求の手続 ヘ 非常上告の手続 ト 第五百条第一項の申立ての手続 チ 第五百二条の申立ての手続 リ 刑事補償法の規定による補償の請求の手続 前項の規定に違反した場合の措置については、被告人の防御権を踏まえ、複製等の内容、行為の目的 及び態様、関係人の名誉、その私生活又は業務の平穏を害されているかどうか、当該複製等に係る証拠 が公判期日において取り調べられたものであるかどうか、その取調べの方法その他の事情を考慮するも のとする。 第二百八十一条の五 被告人又は被告人であつた者が、検察官において被告事件の審理の準備のために閲 覧又は謄写の機会を与えた証拠に係る複製等を、前条第一項各号に掲げる手続又はその準備に使用する 目的以外の目的で、人に交付し、又は提示し、若しくは電気通信回線を通じて提供したときは、一年以 下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 弁護人(第四百四十条に規定する弁護人を含む。以下この項において同じ。)又は弁護人であつた者 が、検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧又は謄写の機会を与えた証拠に係る複製等を、 対価として財産上の利益その他の利益を得る目的で、人に交付し、又は提示し、若しくは電気通信回線 を通じて提供したときも、前項と同様とする。 第二百八十一条の六 裁判所は、審理に二日以上を要する事件については、できる限り、連日開廷し、継 続して審理を行わなければならない。 訴訟関係人は、期日を厳守し、審理に支障を来さないようにしなければならない。 第二百八十九条第二項中「出頭しないとき」の下に「若しくは在廷しなくなつたとき」を加え、「附し なければ」を「付さなければ」に改め、同条に次の一項を加える。 弁護人がなければ開廷することができない場合において、弁護人が出頭しないおそれがあるときは、 裁判所は、職権で弁護人を付することができる。 第二百九十二条中「証拠調」を「証拠調べ」に改め、同条に次のただし書を加える。 ただし、次節第一款に定める公判前整理手続において争点及び証拠の整理のために行う手続について は、この限りでない。 第二百九十五条に次の二項を加える。 裁判所は、前二項の規定による命令を受けた検察官又は弁護士である弁護人がこれに従わなかつた場 合には、検察官については当該検察官を指揮監督する権限を有する者に、弁護士である弁護人について は当該弁護士の所属する弁護士会又は日本弁護士連合会に通知し、適当な処置をとるべきことを請求す ることができる。 前項の規定による請求を受けた者は、そのとつた処置を裁判所に通知しなければならない。 第三百十三条の次に次の一条を加える。 第三百十三条の二 この法律の規定に基づいて裁判所若しくは裁判長又は裁判官が付した弁護人の選任は 、弁論が併合された事件についてもその効力を有する。ただし、裁判所がこれと異なる決定をしたとき は、この限りでない。 前項ただし書の決定をするには、あらかじめ、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければな らない。 第二編第三章第一節の次に次の一節を加える。 第一節の二 争点及び証拠の整理手続 第一款 公判前整理手続 第一目 通則 第三百十六条の二 裁判所は、充実した公判の審理を継続的、計画的かつ迅速に行うため必要があると認 めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴いて、第一回公判期日前に、決定で、事件の争点 及び証拠を整理するための公判準備として、事件を公判前整理手続に付することができる。 公判前整理手続は、この款に定めるところにより、訴訟関係人を出頭させて陳述させ、又は訴訟関係 人に書面を提出させる方法により、行うものとする。 第三百十六条の三 裁判所は、充実した公判の審理を継続的、計画的かつ迅速に行うことができるよう、 公判前整理手続において、十分な準備が行われるようにするとともに、できる限り早期にこれを終結さ せるように努めなければならない。 訴訟関係人は、充実した公判の審理を継続的、計画的かつ迅速に行うことができるよう、公判前整理 手続において、相互に協力するとともに、その実施に関し、裁判所に進んで協力しなければならない。 第三百十六条の四 公判前整理手続においては、被告人に弁護人がなければその手続を行うことができな い。 公判前整理手続において被告人に弁護人がないときは、裁判長は、職権で弁護人を付さなければなら ない。 第三百十六条の五 公判前整理手続においては、次に掲げる事項を行うことができる。 一 訴因又は罰条を明確にさせること。 二 訴因又は罰条の追加、撤回又は変更を許すこと。 三 公判期日においてすることを予定している主張を明らかにさせて事件の争点を整理すること。 四 証拠調べの請求をさせること。 五 前号の請求に係る証拠について、その立証趣旨、尋問事項等を明らかにさせること。 六 証拠調べの請求に関する意見(証拠書類について第三百二十六条の同意をするかどうかの意見を含 む。)を確かめること。 七 証拠調べをする決定又は証拠調べの請求を却下する決定をすること。 八 証拠調べをする決定をした証拠について、その取調べの順序及び方法を定めること。 九 証拠調べに関する異議の申立てに対して決定をすること。 十 第三目の定めるところにより証拠開示に関する裁定をすること。 十一 公判期日を定め、又は変更することその他公判手続の進行上必要な事項を定めること。 第三百十六条の六 裁判長は、訴訟関係人を出頭させて公判前整理手続をするときは、公判前整理手続期 日を定めなければならない。 公判前整理手続期日は、これを検察官、被告人及び弁護人に通知しなければならない。 裁判長は、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で、公判前整理手続期日を変更する ことができる。この場合においては、裁判所の規則の定めるところにより、あらかじめ、検察官及び被 告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。 第三百十六条の七 公判前整理手続期日に検察官又は弁護人が出頭しないときは、その期日の手続を行う ことができない。 第三百十六条の八 弁護人が公判前整理手続期日に出頭しないとき、又は在席しなくなつたときは、裁判 長は、職権で弁護人を付さなければならない。 弁護人が公判前整理手続期日に出頭しないおそれがあるときは、裁判所は、職権で弁護人を付するこ とができる。 第三百十六条の九 被告人は、公判前整理手続期日に出頭することができる。 裁判所は、必要と認めるときは、被告人に対し、公判前整理手続期日に出頭することを求めることが できる。 裁判長は、被告人を出頭させて公判前整理手続をする場合には、被告人が出頭する最初の公判前整理 手続期日において、まず、被告人に対し、終始沈黙し、又は個々の質問に対し陳述を拒むことができる 旨を告知しなければならない。 第三百十六条の十 裁判所は、弁護人の陳述又は弁護人が提出する書面について被告人の意思を確かめる 必要があると認めるときは、公判前整理手続期日において被告人に対し質問を発し、及び弁護人に対し 被告人と連署した書面の提出を求めることができる。 第三百十六条の十一 裁判所は、合議体の構成員に命じ、公判前整理手続(第三百十六条の五第二号、第 七号、第九号及び第十号の決定を除く。)をさせることができる。この場合において、受命裁判官は、 裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。 第三百十六条の十二 公判前整理手続期日には、裁判所書記官を立ち会わせなければならない。 公判前整理手続期日における手続については、裁判所の規則の定めるところにより、公判前整理手続 調書を作成しなければならない。 第二目 争点及び証拠の整理 第三百十六条の十三 検察官は、事件が公判前整理手続に付されたときは、その証明予定事実(公判期日 において証拠により証明しようとする事実をいう。以下同じ。)を記載した書面を、裁判所に提出し、 及び被告人又は弁護人に送付しなければならない。この場合においては、当該書面には、証拠とするこ とができず、又は証拠としてその取調べを請求する意思のない資料に基づいて、裁判所に事件について 偏見又は予断を生じさせるおそれのある事項を記載することができない。 検察官は、前項の証明予定事実を証明するために用いる証拠の取調べを請求しなければならない。 前項の規定により証拠の取調べを請求するについては、第二百九十九条第一項の規定は適用しない。 裁判所は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴いた上で、第一項の書面の提出及び送付並びに第 二項の請求の期限を定めるものとする。 第三百十六条の十四 検察官は、前条第二項の規定により取調べを請求した証拠(以下「検察官請求証拠 」という。)については、速やかに、被告人又は弁護人に対し、次の各号に掲げる証拠の区分に応じ、 当該各号に定める方法による開示をしなければならない。 一 証拠書類又は証拠物 当該証拠書類又は証拠物を閲覧する機会(弁護人に対しては、閲覧し、かつ 、謄写する機会)を与えること。 二 証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人 その氏名及び住居を知る機会を与え、かつ、その者の供述録取 書等(供述書、供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるもの又は映像若しくは音声を 記録することができる記録媒体であつて供述を記録したものをいう。以下同じ。)のうち、その者が 公判期日において供述すると思料する内容が明らかになるもの(当該供述録取書等が存在しないとき 、又はこれを閲覧させることが相当でないと認めるときにあつては、その者が公判期日において供述 すると思料する内容の要旨を記載した書面)を閲覧する機会(弁護人に対しては、閲覧し、かつ、謄 写する機会)を与えること。 第三百十六条の十五 検察官は、前条の規定による開示をした証拠以外の証拠であつて、次の各号に掲げ る証拠の類型のいずれかに該当し、かつ、特定の検察官請求証拠の証明力を判断するために重要である と認められるものについて、被告人又は弁護人から開示の請求があつた場合において、その重要性の程 度その他の被告人の防御の準備のために当該開示をすることの必要性の程度並びに当該開示によつて生 じるおそれのある弊害の内容及び程度を考慮し、相当と認めるときは、速やかに、同条第一号に定める 方法による開示をしなければならない。この場合において、検察官は、必要と認めるときは、開示の時 期若しくは方法を指定し、又は条件を付することができる。 一 証拠物 二 第三百二十一条第二項に規定する裁判所又は裁判官の検証の結果を記載した書面 三 第三百二十一条第三項に規定する書面又はこれに準ずる書面 四 第三百二十一条第四項に規定する書面又はこれに準ずる書面 五 次に掲げる者の供述録取書等 イ 検察官が証人として尋問を請求した者 ロ 検察官が取調べを請求した供述録取書等の供述者であつて、当該供述録取書等が第三百二十六条 の同意がされない場合には、検察官が証人として尋問を請求することを予定しているもの 六 前号に掲げるもののほか、被告人以外の者の供述録取書等であつて、検察官が特定の検察官請求証 拠により直接証明しようとする事実の有無に関する供述を内容とするもの 七 被告人の供述録取書等 八 取調べ状況の記録に関する準則に基づき、検察官、検察事務官又は司法警察職員が職務上作成する ことを義務付けられている書面であつて、身体の拘束を受けている者の取調べに関し、その年月日、 時間、場所その他の取調べの状況を記録したもの(被告人に係るものに限る。) 被告人又は弁護人は、前項の開示の請求をするときは、次に掲げる事項を明らかにしなければならな い。 一 前項各号に掲げる証拠の類型及び開示の請求に係る証拠を識別するに足りる事項 二 事案の内容、特定の検察官請求証拠に対応する証明予定事実、開示の請求に係る証拠と当該検察官 請求証拠との関係その他の事情に照らし、当該開示の請求に係る証拠が当該検察官請求証拠の証明力 を判断するために重要であることその他の被告人の防御の準備のために当該開示が必要である理由 第三百十六条の十六 被告人又は弁護人は、第三百十六条の十三第一項の書面の送付を受け、かつ、第三 百十六条の十四及び前条第一項の規定による開示をすべき証拠の開示を受けたときは、検察官請求証拠 について、第三百二十六条の同意をするかどうか又はその取調べの請求に関し異議がないかどうかの意 見を明らかにしなければならない。 裁判所は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴いた上で、前項の意見を明らかにすべき期限を定 めることができる。 第三百十六条の十七 被告人又は弁護人は、第三百十六条の十三第一項の書面の送付を受け、かつ、第三 百十六条の十四及び第三百十六条の十五第一項の規定による開示をすべき証拠の開示を受けた場合にお いて、その証明予定事実その他の公判期日においてすることを予定している事実上及び法律上の主張が あるときは、裁判所及び検察官に対し、これを明らかにしなければならない。この場合においては、第 三百十六条の十三第一項後段の規定を準用する。 被告人又は弁護人は、前項の証明予定事実があるときは、これを証明するために用いる証拠の取調べ を請求しなければならない。この場合においては、第三百十六条の十三第三項の規定を準用する。 裁判所は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴いた上で、第一項の主張を明らかにすべき期限及 び前項の請求の期限を定めることができる。 第三百十六条の十八 被告人又は弁護人は、前条第二項の規定により取調べを請求した証拠については、 速やかに、検察官に対し、次の各号に掲げる証拠の区分に応じ、当該各号に定める方法による開示をし なければならない。 一 証拠書類又は証拠物 当該証拠書類又は証拠物を閲覧し、かつ、謄写する機会を与えること。 二 証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人 その氏名及び住居を知る機会を与え、かつ、その者の供述録取 書等のうち、その者が公判期日において供述すると思料する内容が明らかになるもの(当該供述録取 書等が存在しないとき、又はこれを閲覧させることが相当でないと認めるときにあつては、その者が 公判期日において供述すると思料する内容の要旨を記載した書面)を閲覧し、かつ、謄写する機会を 与えること。 第三百十六条の十九 検察官は、前条の規定による開示をすべき証拠の開示を受けたときは、第三百十六 条の十七第二項の規定により被告人又は弁護人が取調べを請求した証拠について、第三百二十六条の同 意をするかどうか又はその取調べの請求に関し異議がないかどうかの意見を明らかにしなければならな い。 裁判所は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴いた上で、前項の意見を明らかにすべき期限を定 めることができる。 第三百十六条の二十 検察官は、第三百十六条の十四及び第三百十六条の十五第一項の規定による開示を した証拠以外の証拠であつて、第三百十六条の十七第一項の主張に関連すると認められるものについて 、被告人又は弁護人から開示の請求があつた場合において、その関連性の程度その他の被告人の防御の 準備のために当該開示をすることの必要性の程度並びに当該開示によつて生じるおそれのある弊害の内 容及び程度を考慮し、相当と認めるときは、速やかに、第三百十六条の十四第一号に定める方法による 開示をしなければならない。この場合において、検察官は、必要と認めるときは、開示の時期若しくは 方法を指定し、又は条件を付することができる。 被告人又は弁護人は、前項の開示の請求をするときは、次に掲げる事項を明らかにしなければならな い。 一 開示の請求に係る証拠を識別するに足りる事項 二 第三百十六条の十七第一項の主張と開示の請求に係る証拠との関連性その他の被告人の防御の準備 のために当該開示が必要である理由 第三百十六条の二十一 検察官は、第三百十六条の十三から前条までに規定する手続が終わつた後、その 証明予定事実を追加し又は変更する必要があると認めるときは、速やかに、その追加し又は変更すべき 証明予定事実を記載した書面を、裁判所に提出し、及び被告人又は弁護人に送付しなければならない。 この場合においては、第三百十六条の十三第一項後段の規定を準用する。 検察官は、その証明予定事実を証明するために用いる証拠の取調べの請求を追加する必要があると認 めるときは、速やかに、その追加すべき証拠の取調べを請求しなければならない。この場合においては 、第三百十六条の十三第三項の規定を準用する。 裁判所は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴いた上で、第一項の書面の提出及び送付並びに前 項の請求の期限を定めることができる。 第三百十六条の十四から第三百十六条の十六までの規定は、第二項の規定により検察官が取調べを請 求した証拠についてこれを準用する。 第三百十六条の二十二 被告人又は弁護人は、第三百十六条の十三から第三百十六条の二十までに規定す る手続が終わつた後、第三百十六条の十七第一項の主張を追加し又は変更する必要があると認めるとき は、速やかに、裁判所及び検察官に対し、その追加し又は変更すべき主張を明らかにしなければならな い。この場合においては、第三百十六条の十三第一項後段の規定を準用する。 被告人又は弁護人は、その証明予定事実を証明するために用いる証拠の取調べの請求を追加する必要 があると認めるときは、速やかに、その追加すべき証拠の取調べを請求しなければならない。この場合 においては、第三百十六条の十三第三項の規定を準用する。 裁判所は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴いた上で、第一項の主張を明らかにすべき期限及 び前項の請求の期限を定めることができる。 第三百十六条の十八及び第三百十六条の十九の規定は、第二項の規定により被告人又は弁護人が取調 べを請求した証拠についてこれを準用する。 第三百十六条の二十の規定は、第一項の追加し又は変更すべき主張に関連すると認められる証拠につ いてこれを準用する。 第三百十六条の二十三 第二百九十九条の二の規定は、検察官又は弁護人がこの目の規定による証拠の開 示をする場合についてこれを準用する。 第三百十六条の二十四 裁判所は、公判前整理手続を終了するに当たり、検察官及び被告人又は弁護人と の間で、事件の争点及び証拠の整理の結果を確認しなければならない。 第三目 証拠開示に関する裁定 第三百十六条の二十五 裁判所は、証拠の開示の必要性の程度並びに証拠の開示によつて生じるおそれの ある弊害の内容及び程度その他の事情を考慮して、必要と認めるときは、第三百十六条の十四(第三百 十六条の二十一第四項において準用する場合を含む。)の規定による開示をすべき証拠については検察 官の請求により、第三百十六条の十八(第三百十六条の二十二第四項において準用する場合を含む。) の規定による開示をすべき証拠については被告人又は弁護人の請求により、決定で、当該証拠の開示の 時期若しくは方法を指定し、又は条件を付することができる。 裁判所は、前項の請求について決定をするときは、相手方の意見を聴かなければならない。 第一項の請求についてした決定に対しては、即時抗告をすることができる。 第三百十六条の二十六 裁判所は、検察官が第三百十六条の十四若しくは第三百十六条の十五第一項(第 三百十六条の二十一第四項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)若しくは第三百十六条の二 十第一項(第三百十六条の二十二第五項において準用する場合を含む。)の規定による開示をすべき証 拠を開示していないと認めるとき、又は被告人若しくは弁護人が第三百十六条の十八(第三百十六条の 二十二第四項において準用する場合を含む。)の規定による開示をすべき証拠を開示していないと認め るときは、相手方の請求により、決定で、当該証拠の開示を命じなければならない。この場合において 、裁判所は、開示の時期若しくは方法を指定し、又は条件を付することができる。 裁判所は、前項の請求について決定をするときは、相手方の意見を聴かなければならない。 第一項の請求についてした決定に対しては、即時抗告をすることができる。 第三百十六条の二十七 裁判所は、第三百十六条の二十五第一項又は前条第一項の請求について決定をす るに当たり、必要があると認めるときは、検察官、被告人又は弁護人に対し、当該請求に係る証拠の提 示を命ずることができる。この場合においては、裁判所は、何人にも、当該証拠の閲覧又は謄写をさせ ることができない。 裁判所は、被告人又は弁護人がする前条第一項の請求について決定をするに当たり、必要があると認 めるときは、検察官に対し、その保管する証拠であつて、裁判所の指定する範囲に属するものの標目を 記載した一覧表の提示を命ずることができる。この場合においては、裁判所は、何人にも、当該一覧表 の閲覧又は謄写をさせることができない。 第一項の規定は第三百十六条の二十五第三項又は前条第三項の即時抗告が係属する抗告裁判所につい て、前項の規定は同条第三項の即時抗告が係属する抗告裁判所について、それぞれ準用する。 第二款 期日間整理手続 第三百十六条の二十八 裁判所は、審理の経過にかんがみ必要と認めるときは、検察官及び被告人又は弁 護人の意見を聴いて、第一回公判期日後に、決定で、事件の争点及び証拠を整理するための公判準備と して、事件を期日間整理手続に付することができる。 期日間整理手続については、前款(第三百十六条の二第一項及び第三百十六条の九第三項を除く。) の規定を準用する。この場合において、検察官、被告人又は弁護人が前項の決定前に取調べを請求して いる証拠については、期日間整理手続において取調べを請求した証拠とみなし、第三百十六条の六から 第三百十六条の十まで及び第三百十六条の十二中「公判前整理手続期日」とあるのは「期日間整理手続 期日」と、同条第二項中「公判前整理手続調書」とあるのは「期日間整理手続調書」と読み替えるもの とする。 第三款 公判手続の特例 第三百十六条の二十九 公判前整理手続又は期日間整理手続に付された事件を審理する場合には、第二百 八十九条第一項に規定する事件に該当しないときであつても、弁護人がなければ開廷することはできな い。 第三百十六条の三十 公判前整理手続に付された事件については、被告人又は弁護人は、証拠により証明 すべき事実その他の事実上及び法律上の主張があるときは、第二百九十六条の手続に引き続き、これを 明らかにしなければならない。この場合においては、同条ただし書の規定を準用する。 第三百十六条の三十一 公判前整理手続に付された事件については、裁判所は、裁判所の規則の定めると ころにより、前条の手続が終わつた後、公判期日において、当該公判前整理手続の結果を明らかにしな ければならない。 期日間整理手続に付された事件については、裁判所は、裁判所の規則の定めるところにより、その手 続が終わつた後、公判期日において、当該期日間整理手続の結果を明らかにしなければならない。 第三百十六条の三十二 公判前整理手続又は期日間整理手続に付された事件については、検察官及び被告 人又は弁護人は、第二百九十八条第一項の規定にかかわらず、やむを得ない事由によつて公判前整理手 続又は期日間整理手続において請求することができなかつたものを除き、当該公判前整理手続又は期日 間整理手続が終わつた後には、証拠調べを請求することができない。 前項の規定は、裁判所が、必要と認めるときに、職権で証拠調べをすることを妨げるものではない。 第二編中第三章の次に次の一章を加える。 第四章 即決裁判手続 第一節 即決裁判手続の申立て 第三百五十条の二 検察官は、公訴を提起しようとする事件について、事案が明白であり、かつ、軽微で あること、証拠調べが速やかに終わると見込まれることその他の事情を考慮し、相当と認めるときは、 公訴の提起と同時に、書面により即決裁判手続の申立てをすることができる。ただし、死刑又は無期若 しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる事件については、この限りでない。 前項の申立ては、即決裁判手続によることについての被疑者の同意がなければ、これをすることがで きない。 検察官は、被疑者に対し、前項の同意をするかどうかの確認を求めるときは、これを書面でしなけれ ばならない。この場合において、検察官は、被疑者に対し、即決裁判手続を理解させるために必要な事 項(被疑者に弁護人がないときは、次条の規定により弁護人を選任することができる旨を含む。)を説 明し、通常の規定に従い審判を受けることができる旨を告げなければならない。 被疑者に弁護人がある場合には、第一項の申立ては、被疑者が第二項の同意をするほか、弁護人が即 決裁判手続によることについて同意をし又はその意見を留保しているときに限り、これをすることがで きる。 被疑者が第二項の同意をし、及び弁護人が前項の同意をし又はその意見を留保するときは、書面でそ の旨を明らかにしなければならない。 第一項の書面には、前項の書面を添付しなければならない。 第三百五十条の三 前条第三項の確認を求められた被疑者が即決裁判手続によることについて同意をする かどうかを明らかにしようとする場合において、被疑者が貧困その他の事由により弁護人を選任するこ とができないときは、裁判官は、その請求により、被疑者のため弁護人を付さなければならない。ただ し、被疑者以外の者が選任した弁護人がある場合は、この限りでない。 第三十七条の三の規定は、前項の請求をする場合についてこれを準用する。 第二節 公判準備及び公判手続の特例 第三百五十条の四 即決裁判手続の申立てがあつた場合において、被告人に弁護人がないときは、裁判長 は、できる限り速やかに、職権で弁護人を付さなければならない。 第三百五十条の五 検察官は、即決裁判手続の申立てをした事件について、被告人又は弁護人に対し、第 二百九十九条第一項の規定により証拠書類を閲覧する機会その他の同項に規定する機会を与えるべき場 合には、できる限り速やかに、その機会を与えなければならない。 第三百五十条の六 裁判所は、即決裁判手続の申立てがあつた事件について、弁護人が即決裁判手続によ ることについてその意見を留保しているとき、又は即決裁判手続の申立てがあつた後に弁護人が選任さ れたときは、弁護人に対し、できる限り速やかに、即決裁判手続によることについて同意をするかどう かの確認を求めなければならない。 弁護人は、前項の同意をするときは、書面でその旨を明らかにしなければならない。 第三百五十条の七 裁判長は、即決裁判手続の申立てがあつたときは、検察官及び被告人又は弁護人の意 見を聴いた上で、その申立て後(前条第一項に規定する場合においては、同項の同意があつた後)、で きる限り早い時期の公判期日を定めなければならない。 第三百五十条の八 裁判所は、即決裁判手続の申立てがあつた事件について、第二百九十一条第二項の手 続に際し、被告人が起訴状に記載された訴因について有罪である旨の陳述をしたときは、次に掲げる場 合を除き、即決裁判手続によつて審判をする旨の決定をしなければならない。 一 第三百五十条の二第二項又は第四項の同意が撤回されたとき。 二 第三百五十条の六第一項に規定する場合において、同項の同意がされなかつたとき、又はその同意 が撤回されたとき。 三 前二号に掲げるもののほか、当該事件が即決裁判手続によることができないものであると認めると き。 四 当該事件が即決裁判手続によることが相当でないものであると認めるとき。 第三百五十条の九 前条の手続を行う公判期日及び即決裁判手続による公判期日については、弁護人がな いときは、これを開くことができない。 第三百五十条の十 第三百五十条の八の決定のための審理及び即決裁判手続による審判については、第二 百八十四条、第二百八十五条、第二百九十六条、第二百九十七条、第三百条から第三百二条まで及び第 三百四条から第三百七条までの規定は、これを適用しない。 即決裁判手続による証拠調べは、公判期日において、適当と認める方法でこれを行うことができる。 第三百五十条の十一 裁判所は、第三百五十条の八の決定があつた事件について、次の各号のいずれかに 該当することとなつた場合には、当該決定を取り消さなければならない。 一 判決の言渡し前に、被告人又は弁護人が即決裁判手続によることについての同意を撤回したとき。 二 判決の言渡し前に、被告人が起訴状に記載された訴因について有罪である旨の陳述を撤回したとき。 三 前二号に掲げるもののほか、当該事件が即決裁判手続によることができないものであると認めると き。 四 当該事件が即決裁判手続によることが相当でないものであると認めるとき。 前項の規定により第三百五十条の八の決定が取り消されたときは、公判手続を更新しなければならな い。ただし、検察官及び被告人又は弁護人に異議がないときは、この限りでない。 第三節 証拠の特例 第三百五十条の十二 第三百五十条の八の決定があつた事件の証拠については、第三百二十条第一項の規 定は、これを適用しない。ただし、検察官、被告人又は弁護人が証拠とすることに異議を述べたものに ついては、この限りでない。 第四節 公判の裁判の特例 第三百五十条の十三 裁判所は、第三百五十条の八の決定があつた事件については、できる限り、即日判 決の言渡しをしなければならない。 第三百五十条の十四 即決裁判手続において懲役又は禁錮の言渡しをする場合には、その刑の執行猶予の 言渡しをしなければならない。 第四百三条の次に次の一条を加える。 第四百三条の二 即決裁判手続においてされた判決に対する控訴の申立ては、第三百八十四条の規定にか かわらず、当該判決の言渡しにおいて示された罪となるべき事実について第三百八十二条に規定する事 由があることを理由としては、これをすることができない。 原裁判所が即決裁判手続によつて判決をした事件については、第三百九十七条第一項の規定にかかわ らず、控訴裁判所は、当該判決の言渡しにおいて示された罪となるべき事実について第三百八十二条に 規定する事由があることを理由としては、原判決を破棄することができない。 第四百十三条の次に次の一条を加える。 第四百十三条の二 第一審裁判所が即決裁判手続によつて判決をした事件については、第四百十一条の規 定にかかわらず、上告裁判所は、当該判決の言渡しにおいて示された罪となるべき事実について同条第 三号に規定する事由があることを理由としては、原判決を破棄することができない。 第五百条の次に次の三条を加える。 第五百条の二 被告人又は被疑者は、検察官に訴訟費用の概算額の予納をすることができる。 第五百条の三 検察官は、訴訟費用の裁判を執行する場合において、前条の規定による予納がされた金額 があるときは、その予納がされた金額から当該訴訟費用の額に相当する金額を控除し、当該金額を当該 訴訟費用の納付に充てる。 前項の規定により予納がされた金額から訴訟費用の額に相当する金額を控除して残余があるときは、 その残余の額は、その予納をした者の請求により返還する。 第五百条の四 次の各号のいずれかに該当する場合には、第五百条の二の規定による予納がされた金額は 、その予納をした者の請求により返還する。 一 第三十八条の二の規定により弁護人の選任が効力を失つたとき。 二 訴訟手続が終了する場合において、被告人に訴訟費用の負担を命ずる裁判がなされなかつたとき。 三 訴訟費用の負担を命ぜられた者が、訴訟費用の全部について、その裁判の執行の免除を受けたとき。 第五百三条第一項中「前三条」を「第五百条及び前二条」に、「申立」を「申立て」に改め、同条第二 項中「前三条」を「第五百条及び前二条」に、「申立」を「申立て」に、「取下」を「取下げ」に改める。 第五百四条中「第五百条乃至第五百二条」を「第五百条、第五百一条及び第五百二条」に、「申立」を 「申立て」に改める。 第二条 刑事訴訟法の一部を次のように改正する。 第三十七条の二第一項中「短期一年以上の」を「長期三年を超える」に改める。 (検察審査会法の一部改正) 第三条 検察審査会法(昭和二十三年法律第百四十七号)の一部を次のように改正する。 題名の次に次の目次を付する。 目次 第一章 総則(第一条—第四条) 第二章 検察審査員及び検察審査会の構成(第五条—第十八条) 第三章 検察審査会事務局及び検察審査会事務官(第十九条・第二十条) 第四章 検察審査会議(第二十一条—第二十九条) 第五章 審査申立て(第三十条—第三十二条) 第六章 審査手続(第三十三条—第四十一条の八) 第七章 起訴議決に基づく公訴の提起等(第四十一条の九—第四十一条の十二) 第八章 建議及び勧告(第四十二条) 第九章 罰則(第四十三条—第四十五条) 第十章 補則(第四十五条の二—第四十八条) 附則 第一条第一項中「反映せしめて」を「反映させて」に、「但し、検察審査会の数は、二百を下つてはな らず、且つ」を「ただし」に、「少くとも」を「少なくとも」に改める。 第六条第八号中「官吏」を「職員」に改め、同条第十五号から第十七号までを削り、同条第十八号を同 条第十五号とし、同条第十九号を同条第十六号とし、同条第二十号を同条第十七号とする。 第八条中「左に」を「次に」に改め、同条第一号中「六十年」を「七十年」に改め、同条第二号中「但 し」を「ただし」に改め、同条第三号中「国会職員、官吏、公吏」を「前号本文に掲げる者以外の国又は 地方公共団体の職員」に改め、同条第五号を同条第八号とし、同条第四号の次に次の三号を加える。 五 過去五年以内に検察審査員又は補充員の職にあつた者 六 過去五年以内に裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成十六年法律第六十三号)の規定によ る裁判員又は補充裁判員の職にあつた者 七 過去一年以内に裁判員候補者として裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第二十七条第一項に規 定する裁判員等選任手続の期日に出頭したことがある者(同法第三十四条第七項の規定による不選任 の決定があつた者を除く。) 第十七条を次のように改める。 第十七条 次の各号のいずれかに該当する検察審査員は、その職務の執行を停止される。 一 禁錮以上の刑に当たる罪につき起訴され、その被告事件の終結に至らない者 二 逮捕又は留されている者 第二十五条の次に次の一条を加える。 第二十五条の二 補充員は、検察審査会の許可を得て、検察審査会議を傍聴することができる。 第二十七条ただし書を削る。 第五章の章名を次のように改める。 第五章 審査申立て 第三十七条第四項中「刑事訴訟法」の下に「(昭和二十三年法律第百三十一号)」を加える。 第三十九条の次に次の四条を加える。 第三十九条の二 検察審査会は、審査を行うに当たり、法律に関する専門的な知見を補う必要があると認 めるときは、弁護士の中から事件ごとに審査補助員を委嘱することができる。 審査補助員の数は、一人とする。 審査補助員は、検察審査会議において、検察審査会長の指揮監督を受けて、法律に関する学識経験に 基づき、次に掲げる職務を行う。 一 当該事件に関係する法令及びその解釈を説明すること。 二 当該事件の事実上及び法律上の問題点を整理し、並びに当該問題点に関する証拠を整理すること。 三 当該事件の審査に関して法的見地から必要な助言を行うこと。 検察審査会は、前項の職務を行つた審査補助員に第四十条の規定による議決書の作成を補助させるこ とができる。 審査補助員は、その職務を行うに当たつては、検察審査会が公訴権の実行に関し民意を反映させてそ の適正を図るため置かれたものであることを踏まえ、その自主的な判断を妨げるような言動をしてはな らない。 第三十九条の三 検察審査会は、委嘱の必要がなくなつたと認めるとき、又は審査補助員に引き続きその 職務を行わせることが適当でないと認めるときは、これを解嘱することができる。 第三十九条の四 審査補助員には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに政令で定めると ころにより旅費、日当及び宿泊料を支給する。 第三十九条の五 検察審査会は、検察官の公訴を提起しない処分の当否に関し、次の各号に掲げる場合に は、当該各号に定める議決をするものとする。 一 起訴を相当と認めるとき 起訴を相当とする議決 二 前号に掲げる場合を除き、公訴を提起しない処分を不当と認めるとき 公訴を提起しない処分を不 当とする議決 三 公訴を提起しない処分を相当と認めるとき 公訴を提起しない処分を相当とする議決 前項第一号の議決をするには、第二十七条の規定にかかわらず、検察審査員八人以上の多数によらな ければならない。 第四十一条を次のように改める。 第四十一条 検察審査会が第三十九条の五第一項第一号の議決をした場合において、前条の議決書の謄本 の送付があつたときは、検察官は、速やかに、当該議決を参考にして、公訴を提起すべきか否かを検討 した上、当該議決に係る事件について公訴を提起し、又はこれを提起しない処分をしなければならない。 検察審査会が第三十九条の五第一項第二号の議決をした場合において、前条の議決書の謄本の送付が あつたときは、検察官は、速やかに、当該議決を参考にして、当該公訴を提起しない処分の当否を検討 した上、当該議決に係る事件について公訴を提起し、又はこれを提起しない処分をしなければならない。 検察官は、前二項の処分をしたときは、直ちに、前二項の検察審査会にその旨を通知しなければなら ない。 第六章中第四十一条の次に次の七条を加える。 第四十一条の二 第三十九条の五第一項第一号の議決をした検察審査会は、検察官から前条第三項の規定 による公訴を提起しない処分をした旨の通知を受けたときは、当該処分の当否の審査を行わなければな らない。ただし、次項の規定による審査が行われたときは、この限りでない。 第三十九条の五第一項第一号の議決をした検察審査会は、第四十条の規定により当該議決に係る議決 書の謄本の送付をした日から三月(検察官が当該検察審査会に対し三月を超えない範囲で延長を必要と する期間及びその理由を通知したときは、その期間を加えた期間)以内に前条第三項の規定による通知 がなかつたときは、その期間が経過した時に、当該議決があつた公訴を提起しない処分と同一の処分が あつたものとみなして、当該処分の当否の審査を行わなければならない。ただし、審査の結果議決をす る前に、検察官から同項の規定による公訴を提起しない処分をした旨の通知を受けたときは、当該処分 の当否の審査を行わなければならない。 第四十一条の三 検察審査会は、前条の規定による審査を行う場合において、同条に規定する議決が第二 条第二項に掲げる者の申立てによる審査に係るものであつて、その申立てをした者(その者が二人以上 であるときは、そのすべての者)が、検察審査会に対し、検察官が公訴を提起しないことに不服がない 旨の申告をしたときは、当該審査を終了させることができる。 第四十一条の四 検察審査会は、第四十一条の二の規定による審査を行うに当たつては、審査補助員を委 嘱し、法律に関する専門的な知見をも踏まえつつ、その審査を行わなければならない。 第四十一条の五 検察審査会は、第四十一条第一項の公訴を提起しない処分については、第四十一条の二 の規定による場合に限り、その当否の審査を行うことができる。 第四十一条の六 検察審査会は、第四十一条の二の規定による審査を行つた場合において、起訴を相当と 認めるときは、第三十九条の五第一項第一号の規定にかかわらず、起訴をすべき旨の議決(以下「起訴 議決」という。)をするものとする。起訴議決をするには、第二十七条の規定にかかわらず、検察審査 員八人以上の多数によらなければならない。 検察審査会は、起訴議決をするときは、あらかじめ、検察官に対し、検察審査会議に出席して意見を 述べる機会を与えなければならない。 検察審査会は、第四十一条の二の規定による審査を行つた場合において、公訴を提起しない処分の当 否について起訴議決をするに至らなかつたときは、第三十九条の五第一項の規定にかかわらず、その旨 の議決をしなければならない。 第四十一条の七 検察審査会は、起訴議決をしたときは、議決書に、その認定した犯罪事実を記載しなけ ればならない。この場合において、検察審査会は、できる限り日時、場所及び方法をもつて犯罪を構成 する事実を特定しなければならない。 検察審査会は、審査補助員に前項の議決書の作成を補助させなければならない。 検察審査会は、第一項の議決書を作成したときは、第四十条に規定する措置をとるほか、その議決書 の謄本を当該検察審査会の所在地を管轄する地方裁判所に送付しなければならない。ただし、適当と認 めるときは、起訴議決に係る事件の犯罪地又は被疑者の住所、居所若しくは現在地を管轄するその他の 地方裁判所に送付することができる。 第四十一条の八 検察官が同一の被疑事件について前にした公訴を提起しない処分と同一の理由により第 四十一条第二項の公訴を提起しない処分をしたときは、第二条第二項に掲げる者は、その処分の当否の 審査の申立てをすることができない。 第九章を第十章とする。 第四十三条第一項中「左の」を「次の」に、「一万円」を「十万円」に改める。 第四十四条を次のように改める。 第四十四条 検察審査員、補充員又は審査補助員が、検察審査会議において検察審査員が行う評議の経過 又は各検察審査員の意見(第二十五条第二項の規定により臨時に検察審査員の職務を行う者の意見を含 む。以下この条において同じ。)若しくはその多少の数(以下この条において「評議の秘密」という。 )その他の職務上知り得た秘密を漏らしたときは、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 検察審査員、補充員又は審査補助員の職にあつた者が、次の各号のいずれかに該当するときも、前項 と同様とする。 一 職務上知り得た秘密(評議の秘密を除く。)を漏らしたとき。 二 評議の秘密のうち各検察審査員の意見又はその多少の数を漏らしたとき。 三 財産上の利益その他の利益を得る目的で、評議の秘密(前号に規定するものを除く。)を漏らした とき。 前項第三号の場合を除き、検察審査員、補充員又は審査補助員の職にあつた者が、評議の秘密(同項 第二号に規定するものを除く。)を漏らしたときは、五十万円以下の罰金に処する。 第四十四条の次に次の一条を加える。 第四十四条の二 検察審査会が審査を行い、又は審査を行つた事件に関し、その検察審査員若しくは補充 員若しくはこれらの職にあつた者又はこれらの親族に対し、面会、文書の送付、電話をかけることその 他のいかなる方法をもつてするかを問わず、威迫の行為をした者は、二年以下の懲役又は二十万円以下 の罰金に処する。 第四十五条中「一年」を「二年」に、「二万円」を「二十万円」に改める。 第八章を第九章とする。 第四十二条に次の一項を加える。 前項の建議又は勧告を受けた検事正は、速やかに、検察審査会に対し、当該建議又は勧告に基づいて とつた措置の有無及びその内容を通知しなければならない。 第七章を第八章とし、第六章の次に次の一章を加える。 第七章 起訴議決に基づく公訴の提起等 第四十一条の九 第四十一条の七第三項の規定による議決書の謄本の送付があつたときは、裁判所は、起 訴議決に係る事件について公訴の提起及びその維持に当たる者を弁護士の中から指定しなければならな い。 前項の場合において、議決書の謄本の送付を受けた地方裁判所が第四十一条の七第三項ただし書に規 定する地方裁判所に該当するものではなかつたときも、前項の規定により裁判所がした指定は、その効 力を失わない。 指定弁護士(第一項の指定を受けた弁護士及び第四十一条の十一第二項の指定を受けた弁護士をいう 。以下同じ。)は、起訴議決に係る事件について、次条の規定により公訴を提起し、及びその公訴の維 持をするため、検察官の職務を行う。ただし、検察事務官及び司法警察職員に対する捜査の指揮は、検 察官に嘱託してこれをしなければならない。 第一項の裁判所は、公訴の提起前において、指定弁護士がその職務を行うに適さないと認めるときそ の他特別の事情があるときは、いつでもその指定を取り消すことができる。 指定弁護士は、これを法令により公務に従事する職員とみなす。 指定弁護士には、政令で定める額の手当を給する。 第四十一条の十 指定弁護士は、速やかに、起訴議決に係る事件について公訴を提起しなければならない 。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。 一 被疑者が死亡し、又は被疑者たる法人が存続しなくなつたとき。 二 当該事件について、既に公訴が提起されその被告事件が裁判所に係属するとき、確定判決(刑事訴 訟法第三百二十九条及び第三百三十八条の判決を除く。)を経たとき、刑が廃止されたとき又はその 罪について大赦があつたとき。 三 起訴議決後に生じた事由により、当該事件について公訴を提起したときは刑事訴訟法第三百三十七 条第四号又は第三百三十八条第一号若しくは第四号に掲げる場合に該当することとなることが明らか であるとき。 指定弁護士は、前項ただし書の規定により公訴を提起しないときは、速やかに、前条第一項の裁判所 に同項の指定の取消しを申し立てなければならない。この場合において、当該裁判所は、前項ただし書 各号に掲げる事由のいずれかがあると認めるときは、その指定を取り消すものとする。 前項の裁判所は、同項の規定により指定を取り消したときは、起訴議決をした検察審査会にその旨を 通知しなければならない。 第四十一条の十一 指定弁護士が公訴を提起した場合において、その被告事件の係属する裁判所は、当該 指定弁護士がその職務を行うに適さないと認めるときその他特別の事情があるときは、いつでもその指 定を取り消すことができる。 前項の裁判所は、同項の規定により指定を取り消したとき又は審理の経過その他の事情にかんがみ必 要と認めるときは、その被告事件について公訴の維持に当たる者を弁護士の中から指定することができ る。 第四十一条の十二 指定弁護士は、公訴を提起した場合において、同一の事件について刑事訴訟法第二百 六十二条第一項の請求がされた地方裁判所があるときは、これに公訴を提起した旨を通知しなければな らない。 (少年法の一部改正) 第四条 少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)の一部を次のように改正する。 第四十二条に次の一項を加える。 2 前項の場合においては、刑事訴訟法の規定に基づく裁判官による被疑者についての弁護人の選任は、 その効力を失う。 第四十五条第五号中「但し」を「ただし」に改め、同条に次の一号を加える。 七 第四号の規定により第十七条第一項第二号の措置が裁判官のした勾留とみなされた場合には、勾留 状が発せられているものとみなして、刑事訴訟法中、裁判官による被疑者についての弁護人の選任に 関する規定を適用する。 第四十五条の二中「第四号まで」の下に「及び第七号」を加え、同条の次に次の一条を加える。 (訴訟費用の負担) 第四十五条の三 家庭裁判所が、先に裁判官により被疑者のため弁護人が付された事件について第二十三 条第二項又は第二十四条第一項の決定をするときは、刑事訴訟法中、訴訟費用の負担に関する規定を準 用する。この場合において、同法第百八十一条第一項及び第二項中「刑の言渡」とあるのは、「保護処 分の決定」と読み替えるものとする。 2 検察官は、家庭裁判所が少年に訴訟費用の負担を命ずる裁判をした事件について、その裁判を執行す るため必要な限度で、最高裁判所規則の定めるところにより、事件の記録及び証拠物を閲覧し、及び謄 写することができる。 附 則 (施行期日) 第一条 この法律は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行す る。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。 一 第一条(刑事訴訟法第三十一条の次に一条を加える改正規定、同法第三十六条の次に二条を加える改 正規定、同法第三十七条の次に四条を加える改正規定、同法第三十八条第一項を改め、同条の次に三条 を加える改正規定、同法第五十八条及び第八十九条の改正規定、同法第百八十一条に一項を加える改正 規定、同法第百八十三条に一項を加える改正規定、同法第百八十七条の次に一条を加える改正規定、同 法第二百三条第二項の次に一項を加える改正規定、同法第二百四条第二項を改め、同条第一項の次に一 項を加える改正規定、同法第二百五条に一項を加える改正規定、同法第二百七条第二項を改め、同条第 一項の次に二項を加える改正規定、同法第二百七十二条に一項を加える改正規定、同法第三百十三条の 次に一条を加える改正規定、同法第二編中第三章の次に一章を加える改正規定、同法第四百三条の次に 一条を加える改正規定、同法第四百十三条の次に一条を加える改正規定、同法第五百条の次に三条を加 える改正規定並びに第五百三条及び第五百四条の改正規定に限る。)、第四条、次条並びに附則第三条 及び第九条の規定 公布の日から起算して二年六月を超えない範囲内において政令で定める日 二 第一条(刑事訴訟法第二百六十七条の次に一条を加える改正規定に限る。)、第二条、第三条(検察 審査会法第八条第四号の次に三号を加える改正規定を除く。)並びに附則第七条(附則第三条の規定を 読み替えて準用する部分に限る。)及び第八条の規定 公布の日から起算して五年を超えない範囲内に おいて政令で定める日 三 第三条(検察審査会法第八条第四号の次に三号を加える改正規定に限る。)の規定 裁判員の参加す る刑事裁判に関する法律(平成十六年法律第六十三号)の施行の日 (第一条の規定による刑事訴訟法の一部改正に伴う経過措置) 第二条 前条第一号に掲げる規定の施行の際現に裁判所に係属している事件の被告人については、第一条の 規定による改正後の刑事訴訟法(以下「新法」という。)第三十六条の二及び第三十六条の三並びに第三 十八条の三の規定は、適用しない。 第三条 司法警察員は、附則第一条第一号に掲げる規定の施行の際現に新法第三十七条の二第一項に規定す る事件について逮捕されている被疑者(附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日前に検察官に送致する 手続をした者を除く。)に対し、速やかに新法第二百三条第三項に規定する事項を教示しなければならな い。ただし、被疑者に弁護人があるとき又は被疑者が釈放されたときは、この限りでない。 2 検察官は、附則第一条第一号に掲げる規定の施行の際現に新法第三十七条の二第一項に規定する事件に ついて逮捕されている被疑者(前項に規定する被疑者を除く。)及び同条第一項に規定する事件以外の事 件について逮捕され附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日前に同項に規定する事件について送致され た被疑者(次項に規定する被疑者を除く。)に対し、速やかに新法第二百四条第二項に規定する事項を教 示しなければならない。ただし、被疑者に弁護人があるとき又は被疑者が釈放されたときは、この限りで ない。 3 検察官は、附則第一条第一号に掲げる規定の施行の際現に新法第三十七条の二第一項に規定する事件に ついて勾留状が発せられている被疑者に対し、速やかに貧困その他の事由により自ら弁護人を選任するこ とができないときは裁判官に対して弁護人の選任を請求することができる旨並びに裁判官に対して弁護人 の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨及びその資力が基準額以上であるときは、 あらかじめ、弁護士会(新法第三十七条の三第二項の規定により新法第三十一条の二第一項の申出をすべ き弁護士会をいう。)に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨を教示しなければならない。た だし、被疑者に弁護人があるとき又は被疑者が釈放されたときは、この限りでない。 第四条 検察官又は司法警察員は、附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日前においても、死刑又は無期 若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる事件について逮捕され、又は勾留状が発せられている 被疑者に対し、附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日を告げ、その日以後、勾留を請求され、又は勾 留状が発せられている被疑者が貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは裁判 官に対して弁護人の選任を請求することができる旨並びに裁判官に対して弁護人の選任を請求するには資 力申告書を提出しなければならない旨及びその資力が基準額以上であるときは、あらかじめ、その勾留の 請求を受けた裁判官の所属する裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内に在る弁護士会に弁護 人の選任の申出をしていなければならない旨を教示することができる。 2 検察官又は司法警察員が前項の規定による教示をした被疑者については、当該事件について重ねて前条 の規定による教示をすることを要しない。 第五条 新法第二百八十一条の五の規定は、この法律の施行の日前に検察官において被告事件の審理の準備 のために閲覧又は謄写の機会を与えた証拠に係る複製等については、適用しない。 第六条 犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律( 平成十六年法律第 号。以下「刑法等一部改正法」という。)第二条の規定の施行の日がこの法律の 施行の日後となる場合には、刑法等一部改正法第二条の規定の施行の日の前日までの間における刑事訴訟 法第百五十七条の四第二項の規定の適用については、同項中「以下同じ」とあるのは、「第三百十六条の 十四第二号を除き、以下同じ」とする。 (第二条の規定による刑事訴訟法の一部改正に伴う経過措置) 第七条 附則第三条及び第四条の規定は、第二条の規定による改正後の刑事訴訟法第三十七条の二第一項の 規定により新たに同項の請求をすることができることとなり、又は引き続き勾留を請求された場合におい て同項の請求をすることができることとなる被疑者について準用する。この場合において、これらの規定 中「附則第一条第一号」とあるのは、「附則第一条第二号」と読み替えるものとする。 (検察審査会法の一部改正に伴う罰則に関する経過措置) 第八条 第三条の規定の施行前にした行為に対する検察審査会法の罰則の適用については、なお従前の例に よる。 (証人等の被害についての給付に関する法律の一部改正) 第九条 証人等の被害についての給付に関する法律(昭和三十三年法律第百九号)の一部を次のように改正 する。 第二条第三項中「又は裁判長が被告人」を「若しくは裁判長又は裁判官が被告人又は被疑者」に改める。 |