第1 | 民事訴訟事件についての簡易裁判所の管轄の拡大及び訴えの提起の手数料の額の定め方等の改正 |
1 | 簡易裁判所の管轄の拡大(裁判所法等の一部改正) |
| 簡易裁判所の管轄に属する民事訴訟事件の訴訟の目的の価額の上限額(現行は90万円)を140万円に引き上げる。 |
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2 | 訴えの提起の手数料の見直し等(民事訴訟費用等に関する法律の一部改正) |
| (1) | 訴えの提起の手数料の額の引下げ |
| 訴訟の目的の価額が200万円以上の訴訟について,手数料の額を引き下げる。 |
| (2) | 訴えの提起の手数料の額の定め方の簡素化等 |
| ○ | 現行の手数料の額の算出方法が定められた後の経済変動等を考慮し,訴えの提起等の手数料の額の算出方法を簡素化する。 |
| ○ | 額が一定とされている申立ての手数料については,その額が定められた昭和55年以降の経済変動等を考慮し,一定の引上げを行う。 |
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3 | 民事訴訟等の費用の額の算定方法の簡素化(民事訴訟費用等に関する法律の一部改正) |
| 民事訴訟等の費用の額の算定方法については,可能な限り,記録上明らかな事実関係に基づき算定することができ,疎明資料を提出する必要がないものとなるように改正する。 |
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4 | 施行日 |
| 1については平成16年4月1日、2及び3については平成16年1月1日 |
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第2 | 民事調停官及び家事調停官制度(いわゆる非常勤裁判官制度)の創設(民事調停法、家事審判法等の一部改正) |
1 | 趣 旨 |
| 弁護士が,民事調停事件及び家事調停事件に関し,裁判官の権限と同等の権限をもって調停手続を主宰することができる制度を創設する。 |
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2 | 概 要 |
| (1) | 任 命 |
| 民事調停官及び家事調停官(以下「民事調停官等」という。)は,5年以上の経験を有する弁護士から最高裁判所が任命する。 |
| (2) | 職 務 |
| 民事調停官等は,調停事件に関し,裁判官の権限と同等の権限をもって,調停事件の処理に必要な職務を行う。 |
| (3) | 任 期 |
| 民事調停官等の任期は2年とし,再任されることができる。 |
| (4) | 勤務の形態 |
| 民事調停官等は,非常勤とする。 |
| (5) | 身分保障 |
| 民事調停官等は,法定された解任事由に該当する場合を除いて,その意に反して解任されることはない。 |
| (6) | 職権の行使 |
| 民事調停官等は,独立してその職権を行う。 |
| (7) | 民事調停官の主な権限 |
| ○ | 調停委員会により又は単独で,調停手続を主宰すること |
| ○ | 調停に代わる決定をすること |
| (8) | 家事調停官の主な権限 |
| ○ | 調停委員会により又は単独で,調停手続を主宰すること |
| ○ | 合意に相当する審判をすること |
| ○ | 調停に代わる審判をすること |
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3 | 施行日 |
| 平成16年1月1日 |
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第3 | 弁護士制度の整備(弁護士法の一部改正) |
1 | 弁護士となる資格の特例の拡充 |
| (1) | 企業法務の担当者や地方議会議員を含む公務員等であって,司法試験合格後,裁判手続等所定の法律関係事務に7年以上従事し,かつ,その後に所定の研修を修了した者に対して弁護士資格を付与する。 |
| (2) | 司法試験合格後,5年以上国会議員の職に在り,かつ,その後に所定の研修を修了した者に弁護士資格を付与する。 |
| (3) | 政令で定める試験を経て検事に任命され(いわゆる特任検事),検事を5年以上経験し,かつ,その後に所定の研修を修了した者に弁護士資格を付与する。 |
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2 | 弁護士法上の公務就任の制限の撤廃と弁護士の営利業務従事の制限の緩和 |
| (1) | 弁護士法上の公務就任の制限を撤廃する。 |
| (2) | 弁護士が営利業務に従事する場合につき,許可制から届出制に移行する。 |
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3 | 弁護士の報酬規定の会則記載事項からの削除 |
| 弁護士の報酬規定を日本弁護士連合会(以下「日弁連」という。)・弁護士会会則の必要的記載事項から削除する。 |
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4 | 弁護士の綱紀・懲戒手続の整備 |
| (1) | 弁護士会の綱紀委員会の委員 |
| ○ | 弁護士のみで構成されている弁護士会の綱紀委員会の委員に弁護士以外の委員(裁判官,検察官及び学識経験者)を加える。 |
| (2) | 日弁連の綱紀委員会 |
| ○ | 日弁連に法律上の機関として綱紀委員会を設置する。 |
| ○ | 日弁連の綱紀委員会は,弁護士,裁判官,検察官及び学識経験者である委員で組織する。 |
| ○ | 日弁連の綱紀委員会の機能 |
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- 弁護士会の綱紀委員会が懲戒委員会に審査を求めないことを相当とする議決をした場合等において,懲戒請求者が異議の申出をしたときに,異議の審査を行う。
- 日弁連が懲戒の事由があると思料するときに,その求めにより,日弁連の懲戒委員会に審査を求めることが相当か否か,事案の調査を行い議決をする。
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| (3) | 綱紀審査会 |
| ○ | 日弁連に綱紀審査会を創設する。 |
| ○ | 綱紀審査会は,学識経験者(弁護士,裁判官及び検察官である者又はこれらであった者を除く。)11人で組織する。 |
| ○ | 綱紀審査会の機能 |
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- 弁護士会の綱紀委員会が懲戒委員会に審査を求めないことを相当とする議決をし,懲戒請求者が異議の申出をしたが,日弁連の綱紀委員会の審査により,日弁連がこれを棄却・却下した場合に,綱紀審査会に更なる審査の申出ができる制度とする。
- 綱紀審査会が出席した委員の3分の2以上の多数をもって,弁護士会の懲戒委員会に事案の審査を求めることを相当と認める旨の議決をしたときは,弁護士会の懲戒委員会の審査に付される。
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5 | 弁護士法第72条の明確化 |
| 非弁護士による法律事務の取扱いを禁止する弁護士法第72条の例外には弁護士法以外の法律において定められるものがある旨を,同条ただし書を改正して明確化する。 |
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6 | 施行日 |
| 平成16年4月1日 |
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第4 | 弁護士と外国法事務弁護士との提携・協働の推進(外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部改正) |
1 | 外国法事務弁護士による弁護士の雇用禁止規定の削除等 |
| (1) | 外国法事務弁護士(以下「外弁」という。)による弁護士の雇用を禁止する規定を削除する。 |
| (2) | 外弁と弁護士又は弁護士法人(以下「弁護士等」という。)との共同事業及び収益分配を禁止する規定を削除し、特定共同事業制度を廃止する。 |
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2 | 弁護士を雇用する外弁が権限逸脱行為を行うことの防止措置 |
| (1) | 弁護士を雇用する外弁が、当該外弁が行うことのできる業務の範囲を超える法律事務(以下「権限外法律事務」という。)の取扱いにつき、被雇用弁護士に対し、雇用関係に基づく業務上の命令をすることを禁止する。 |
| (2) | 上記(1)に違反してされた命令を受けて当該外弁が権限外法律事務を行うことに関与した被雇用弁護士は、雇用関係に基づく業務上の命令に従ったことを理由として、懲戒その他の責任を免れることができない旨規定する。 |
| (3) | 弁護士を雇用する外弁が、被雇用弁護士が自ら行う法律事務であって当該外弁の権限外法律事務に当たるものの取扱いにつき、不当に関与することを禁止する。 |
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3 | 弁護士等と外国法共同事業を営む外弁が権限逸脱行為を行うことの防止措置 |
| 組合契約等により弁護士等と法律事務を行うことを目的とする共同事業(以下「外国法共同事業」という。)を営む外弁が、相手方である弁護士等が自ら行う法律事務であって当該外弁の権限外法律事務に当たるものの取扱いにつき、不当に関与することを禁止する。 |
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4 | 外国法共同事業の表示 |
| 外国法共同事業に係る届出をした外弁については、5に掲げる特例の適用がある場合を除き、その事務所名称に外国法共同事業を営む旨及び相手方である弁護士等の事務所名称を付加することを義務づける。 |
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5 | 一定の要件を満たす外国法共同事業を営む事務所の名称についての特例 |
| 一定の要件を満たす外国法共同事業を営む外弁の事務所については、「外国法共同事業」との文字を用いて相手方である弁護士等の事務所の名称と同一の名称を使用することができるものとする。 |
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6 | 施行日 |
| 公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日(司法制度改革のための裁判所法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令(平成16年政令第193号)により平成17年4月1日) |
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第5 | その他所要の改正 |