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司法アクセス検討会(第1回) 議事録

(司法制度改革推進本部事務局)



1 日時
平成14年1月30日(水)14:00〜16:00

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委 員)亀井時子、高橋宏志、西川元啓、長谷川逸子、長谷部由起子、原田晃治、飛田恵理子、三輪和雄、山本克己
(事務局)山崎潮事務局長、松川忠晴事務局次長、大野恒太郎事務局次長、小林久起参事官

4 議題
  1. 座長の選任等
  2. 検討の進め方についての協議
  3. 今後の日程等

5 配布資料
資料1 司法アクセス検討会名簿
資料2 司法アクセス検討会での主な検討事項
資料3 関係基本法令
資料4 裁判所データブック2001
資料5 民訴費用制度等研究会報告書
資料6 法律扶助制度研究会報告書
資料7 日本弁護士連合会報酬等基準規程
資料8 (財)法律扶助協会平成12年度事業報告書

6 議事
(□:座長、○:委員、●:事務局)

(1) 事務局長あいさつ
 司法アクセス検討会の開催に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げたいと思います。
 委員の皆様方には、大変御多忙の中、この検討会への参加を御快諾いただきまして、誠にありがとうございます。心から御礼申し上げます。
 皆様方、御存じのことでございますけれども、昨年の12月1日に内閣総理大臣を本部長といたしまして、司法制度改革推進本部が内閣に設置されたわけでございます。司法制度改革審議会の意見の趣旨にのっとりまして、司法制度改革とその基盤の整備を総合的、集中的に推進することとなり、3年以内を目途に関連法案の成立を目指すということになったわけでございます。
 具体的な立案作業等は、私ども事務局が中心になって行っていくことになりますが、その際には、司法アクセス検討会を始めといたしまして、主要テーマごとに有識者等による検討会、これは10ございますけれども、これを開催いたしまして、意見交換を行いながら、事務局と一体となって作業を進めるという方式を取らせていただいているところでございます。
 したがいまして、この検討会の性格として、いわゆる一般の審議会の答申のようなものをまとめいただくことは予定しておりませんが、立案作業に関しまして、皆様方の忌憚のない御意見をお聞かせいただきまして、その立案の中に反映をしていきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 司法アクセス検討会では、「裁判所へのアクセスの拡充」という観点からの立法課題に関して、主に御検討をお願いしたいと考えております。具体的な検討課題としては、国民が裁判所に訴えを提起する際の手数料、この手数料を含む訴訟費用額の確定手続、弁護士報酬の敗訴者負担の取扱い、簡易裁判所の管轄の拡大などがございます。また、これらの立法課題と関連する事項といたしまして、民事法律扶助の拡充なども検討課題となるものと考えておるわけでございます。
 当検討会のテーマである「裁判所へのアクセスの拡充」という点につきましては、国民にとって、より利用しやすい司法制度の実現を目的とするものでございまして、民事司法制度の改革の重要な柱の一つとなるものと考えております。
 委員の皆様方には、大変お忙しい中、大変恐縮ではございますけれども、このような司法制度改革を推進する意義の重要性を御理解を賜りまして、当検討会を実りのあるものになるようお願い申し上げたいと思います。
 大変簡単ではございますけれども、以上で私からの冒頭のあいさつとさせていただきます。
(報道関係者退室)
(2) 座長の選任
 委員の互選により、高橋委員が座長に選出された。

(3) 議事の公開
 協議の結果、議事の公開について、当面、次の取扱いとすることとなった。
  • 毎回の会議の議事概要及び議事録を作成し、公表する(発言者名は記載しない。)
  • 報道機関に会場における議事の傍聴を認める。
(報道関係者入室)

(4) 検討事項及び検討の進め方

□ 今日の議題の(2)「検討の進め方についての協議」ということになるわけですが、
 全体として、先ほど事務局長から御説明いただきましたが、もう少し我々が一体何をなすべきなのかということにつきまして、事務局の方から説明をお願いしたいと思います。

● それでは、司法アクセス検討会の検討事項について御説明させていただきます。
 お手元に配布しております資料2「司法アクセス検討会での主な検討事項」と題した1枚紙のペーパーを御覧いただきたいと思います。これは、当検討会の主な検討事項と考えられるものをまとめたものでございます。
 当検討会は、「裁判所へのアクセスの拡充」という課題につきまして、主に検討をお願いすることを目的としております。「裁判所へのアクセスの拡充」に関しましては、司法制度改革審議会の意見書では、お手元に抜粋がございますが、「利用者の費用負担の軽減」、「民事法律扶助の拡充」、それから、「裁判所の利便性の向上」などの観点から意見が出されておるところでございます。
 これらのいろいろな課題につきまして、当検討会で検討をお願いする主要な立法課題として当面事務局で考えておりますものは、資料2にございますように、第1に提訴手数料に関する問題、第2に訴訟費用額確定手続に関する問題、第3に弁護士報酬の敗訴者負担の取扱いに関する問題がございます。
 なお、「利用者の費用負担の軽減」という観点から、これらの立法課題と関連する問題としまして、「民事法律扶助の拡充」につきましても御検討いただくことになろうかと考えております。
 また、そのほかに、司法制度改革審議会の意見書では、「裁判所へのアクセスの拡充」の項目だけではなく、「家庭裁判所・簡易裁判所の機能の充実」という項目で取り上げられている「簡易裁判所の管轄拡大」についても、国民により身近な簡易裁判所の特質を十分に生かし、裁判所へのアクセスを容易にするとの観点」から審議会の意見が述べられておりますので、併せて当検討会で検討をお願いすることを考えております。
 司法制度改革審議会の意見におきましては、「裁判所へのアクセスの拡充」に関しまして、「裁判所の利便性向上」という観点から、「司法の利用相談窓口・情報の提供」、「裁判所等への情報通信技術の導入」などの意見が述べられているところでありまして、これらの問題は、主として裁判所や弁護士会などの自主的な取組みによるべきものではありますけれども、裁判所へのアクセスの拡充という観点から重要な問題でありますので、必要に応じてこの検討会において御検討をお願いすることになろうかと思います。
 次に、検討会のおおよそのスケジュールでございますが、原則として、1か月ないし2か月に1回程度検討会を開催させていただきたいと思っております。検討の期間につきましては、1年程度の期間をかけまして、当面の立法課題である提訴手数料の問題、訴訟費用額確定手続の問題、弁護士報酬の敗訴者負担の取扱いに関する問題、簡易裁判所の管轄の問題等を中心にいたしまして、司法制度改革審議会の意見の趣旨にのっとった改革に向けての検討を進めてまいりたいと考えておりますが、今後の検討の進捗状況を踏まえて見直しをすることも考えられます。
 以上が、検討事項とスケジュールについての大まかな考え方でございます。

□ 今の時点で何か御質問はありますか。

○ 配布された司法制度改革審議会意見書の抜粋の最終ページに「イ 少額多数被害への対応」として記載があります団体訴権の導入については、今の事務局の説明では触れられていませんでしたが、団体訴権の導入というのは、個別の実体法において検討されるべきであると書かれているがゆえに、この司法制度改革審議会の意見書を踏まえて、司法制度改革推進本部で取り上げるべき事項ではないと、こういう整理をされているという理解でよろしいですか。

● 基本的には、各個別実体法の方で検討が進められるものと承知しておりますので、そういった動きを見守っていくというか、ウォッチしていくというような形を取らせていただきたいと考えております。

□ それでは、もう少し内容に踏み込んだと申しますか、そういう説明を事務局の方からお願いいたします。

● 司法アクセス検討会の検討事項の概要と検討の進め方に関しまして、先ほどの説明に補足して御説明を申し上げたいと思います。
 まず第一に、この検討会を開催した経緯について、概要を御説明したいと思います。
 私どもが事務局を務めております司法制度改革推進本部は、司法制度改革推進法に基づき、司法制度改革を総合的かつ集中的に推進するため、平成13年12月1日に内閣に設置されたものであります。その組織は、内閣総理大臣を本部長、内閣官房長官及び法務大臣を副本部長、それ以外のすべての国務大臣を本部員として組織されているわけでございます。
 司法制度改革推進法によりまして、本部の所掌事務は、1つには、司法制度改革の推進に関する総合調整をすること、2つには、司法制度改革推進計画の作成及び推進に関すること、3つには、司法制度改革の総合的かつ集中的な推進のために必要な法律案及び政令案の立案に関すること、4つには、司法制度改革の推進に関する関係機関及び関係団体との連絡調整に関すること、以上の4つの事務をつかさどることとされております。
 司法制度改革推進法に言う司法制度改革とは何かということでございますが、法律では、平成13年6月12日に内閣に述べられた司法制度改革審議会の意見の趣旨にのっとって行われる司法制度の改革と基盤の整備のことを言うと規定されております。
 事務局では、司法制度改革に必要な法令等の立案等に関しまして、司法制度改革推進本部事務局と一体となって議論し、その成果を法令案等に反映させることを目的として、この検討会を事務局長が開催することとした、こういう次第でございまして、この司法アクセス検討会は、「裁判所へのアクセスの拡充」を主要な検討課題として開催することとしたものでございます。
 この検討会の主要な検討課題である「裁判所へのアクセスの拡充」とは何かということでございますが、「裁判所へのアクセスの拡充」という検討課題を、先ほど申し上げた司法制度改革審議会の意見における位置づけから御説明を申し上げたいと思います。
 そもそも、この司法制度改革審議会というのは、21世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにし、国民がより利用しやすい司法制度の実現、国民の司法制度への関与、法曹の在り方とその機能の充実強化その他の司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策について調査審議することを目的として、平成11年の7月に内閣の下に設置されたものであり、平成13年6月12日に内閣に述べられた審議会の意見は、事前に各委員のお手元にお届けした意見書のとおりでございます。
 司法制度改革審議会の意見の総論部分のところに基づいて御説明を申し上げますが、この意見は、今般の司法制度改革の基本理念の方向としまして、内外の経済社会情勢が大きく変容している中で、我が国において司法の役割が重要性を増していることを踏まえ、司法制度の機能を充実強化することが緊要な課題であることにかんがみ、次の3点を基本的な方針として各般の施策を講じることにより、我が国の司法がその役割を十全に果たすことができるようにし、もって自由かつ公正な社会の形成に資することを目標として行われるべきものであるとして、司法制度改革の3つの柱というものを立てております。第1が、国民の期待に応える司法制度とするため、司法制度をより利用しやすく、分かりやすく、頼りがいのあるものとすること、第2は、司法制度を支える法曹の在り方を改革し、質量ともに豊かなプロフェッションとしての法曹を確保するということ、第3は、国民的基盤の確立のために、国民が訴訟手続に参加する制度の導入等により司法に対する国民の信頼を高めること、この3つの基本的方針を示したわけです。そして、この審議会の意見は、「21世紀の司法の姿」として、「国民の期待に応える司法制度の構築(制度的基盤の整備)」と意見書には書いてありますが、そういう観点から、国民にとって、より利用しやすく、分かりやすく、頼りがいのある司法とするため、国民の司法へのアクセスを拡充するとともに、より公正で、適正かつ迅速な審理を行い、実効的な事件の解決を可能とする制度を構築するとして、ここにアクセスという概念が、「国民の期待に応える司法制度の構築(制度的基盤の整備)」という文脈で出てくるわけでございます。
 民事司法については、国民が利用者として容易に司法にアクセスすることができ、多様なニーズに応じた適正・迅速かつ実効的な救済が得られるような制度の改革が必要であるとしまして、先ほど大きな項目として挙げました司法へのアクセスを拡充するため、利用者の費用負担の軽減、民事法律扶助の拡充、司法に関する総合的な情報提供を行うアクセス・ポイントの充実等を図るとの意見が総論で述べられているわけでございます。
 司法へのアクセスの拡充という観点からの改革の具体的な方策やその方向性という部分での審議会の意見は、これはお手元に配布した抜粋にありますように、意見書の「II 国民の期待に応える司法制度」のうちの「第1 民事司法制度の改革」という項目におきまして、「裁判所へのアクセスは、弁護士へのアクセスと相まって、司法へのアクセスという課題の中核に位置する。平成10年に施行された新民事訴訟法により、少額訴訟の導入等、裁判所へのアクセスを容易にする工夫がなされてきたが、なお、利用者の費用負担の軽減、民事法律扶助の拡充、利用相談窓口の充実等裁判所の利便性の向上、被害救済の実効化等、裁判所へのアクセスの拡充のための課題は少なくない」と指摘しておりまして、その上で、お配りした抜粋の「7.裁判所へのアクセスの拡充」という項目でその意見をまとめて述べておられるところでございます。
 そこで、この主要な検討課題「7.裁判所へのアクセス拡充」の中で、主な検討事項と考えられるところを御説明しますと、審議会の意見にのっとって行われる改革のうち、私どもが行う法令等の立案に関わる事項を中心としてお願いしたいと考えているわけでございまして、先ほど事務局から御説明しました資料2の「司法アクセス検討会での主な検討事項」に列記をしたような事項が考えられるところでございます。
 司法制度改革審議会の意見書の趣旨にのっとって行う検討事項の第1に、これは順次意見書の趣旨に沿って説明をしたいと思いますが、主な検討事項として資料2の1に書かれた「提訴手数料」の問題についてまず御説明します。提訴手数料に関しましては、お手元の意見書の抜粋も参照していただきながら御覧いただきたいと思いますが、審議会の意見は、「(1)利用者の費用負担の軽減」という項目の「ア 提訴手数料」という項目の中で取り上げております。審議会の意見の内容は、そこに枠で囲んだ部分がございまして、その中に○がございまして、「提訴手数料については、スライド制を維持しつつ、必要な範囲でその低額化を行うべきである」という意見を述べ、次の○において、「簡易裁判所の少額訴訟事件の提訴手数料については、定額制の導入を含め検討を加え、必要な措置を講じるべきである」という意見を述べております。その枠の外の下のところで、その意見の趣旨の説明がされておりまして、趣旨については、「国民が裁判所に訴えを提起するに際しては、提訴手数料(申立手数料)を納付しなければならないが、その手数料の額は、訴訟の目的の価額(訴額)に応じて順次加算して算出するいわゆるスライド制によって定められている。現行のスライド制の下における提訴手数料は、案件によってはかなり高額になることもあることから、利用者の費用負担の軽減を図るため、提訴手数料については、スライド制を維持しつつ、必要な範囲でその低額化を行なうべきである。また、簡易裁判所の少額訴訟事件の提訴手数料については、国民がより利用しやすくするため、定額制の導入を含め検討を加え、必要な措置を講じるべきである」、こういう意見が述べられています。資料2の1に書かれた「提訴手数料」は、この意見に該当する検討事項でございます。
 次に、主な検討事項の2に挙げました「訴訟費用額確定手続」につきましては、意見書では次の「ウ 訴訟費用額確定手続」という項目で取り上げているところでございまして、この意見は「訴訟費用額確定手続を簡素化すべきである」、こういう意見でございます。その下に書かれている意見の趣旨でございますが、「民事訴訟に要した費用のうち、法が訴訟費用と定める範囲のものは、原則として訴訟の敗訴当事者が負担すべきものとされている。したがって、勝訴当事者は、その支出した訴訟費用の償還を敗訴当事者に請求しうるはずであるが、その手続が煩雑なため、実際にその請求をする例は少なく、結局、各自負担となっている。このことは、結果として、勝訴当事者に不当に費用の負担を課していることになると考えられることから、訴訟費用額確定手続を簡素化すべきである」という意見でございます。これが、資料2に書かれた検討事項の2に当たるものでございます。
 検討事項の3は、1つ戻っていただきまして、意見書の「イ 弁護士報酬の敗訴者負担の取扱い」という項目に書かれている事項でございます。この意見を御覧いただきますと、「勝訴しても弁護士報酬を相手方から回収できないため訴訟を回避せざるを得なかった当事者にも、その負担の公平化を図って訴訟を利用しやすくする見地から、一定の要件の下に弁護士報酬の一部を訴訟に必要な費用と認めて敗訴者に負担させることができる制度を導入すべきである」という意見を述べた上で、更に続きまして、「この制度の設計に当たっては、上記の見地と反対に不当に訴えの提起を萎縮させないよう、これを一律に導入することなく、このような敗訴者負担を導入しない訴訟の範囲及びその取扱いの在り方、敗訴者に負担させる場合に負担させるべき額の定め方等について検討すべきである」、こういう意見が述べられております。その下の枠の外の趣旨を敷衍いたしますと、「訴訟当事者がその依頼した弁護士に支払う弁護士報酬は、敗訴当事者負担の適用対象となる訴訟費用に原則として含まれず、訴訟の勝敗に関わりなく、各自負担とされている。(なお、判例により、不法な訴えに応ずるため弁護士に委任した場合、及び不法行為に基づく損害賠償請求権の行使のため弁護士に委任して訴えを提起することを余儀なくされた場合には、勝訴当事者が支払った弁護士報酬は、相当と認められる額の範囲で、損害の一部として相手方に請求できるものとされている)」とされております。更に、「弁護士報酬の一部を敗訴当事者に負担させることが訴訟の活用を促す場合もあれば、逆に不当にこれを萎縮させる場合もある。弁護士報酬の敗訴者負担の制度は、一律に導入すべきではない。このような基本的認識に基づき、勝訴しても弁護士報酬を相手方から回収できないため訴訟を回避せざるを得なかった当事者にも、その負担の公平化を図って訴訟を利用しやすくする見地から、一定の要件の下に弁護士報酬の一部を訴訟に必要な費用と認めて敗訴者に負担させることができる制度を導入すべきである。ただし、同時に、敗訴者に負担させる金額は、勝訴者が実際に弁護士に支払った報酬額と同額ではなく、そのうち訴訟に必要と認められる一部に相当しかつ当事者に予測可能な合理的な金額とすべきである。また、敗訴者負担制度が不当に訴えの提起を萎縮されるおそれのある場合には、このような敗訴者負担を適用すべきではないと考えられる。このような見地から、このような敗訴者負担を導入しない訴訟の範囲及びその取扱いの在り方、敗訴者に負担させる場合に負担させる額の定め方等について検討すべきである。なお、この検討に当たっては、訴訟救助、法律扶助などの他の制度の関連や弁護士報酬の負担の在り方に関する国民の理解にも十分配慮すべきである」とされているわけでございます。
 以上が、「弁護士報酬の敗訴者負担の取扱い」に関する意見の趣旨でございます。
 検討事項の4の「民事法律扶助の拡充」でございますが、これは、意見書の「(2) 民事法律扶助の拡充」という項目で取り上げているところでございます。意見書は、枠の中を見ていただくとゴシックで書いてあるところですが、「民事法律扶助制度については、対象事件・対象者の範囲、利用者負担の在り方、運営主体の在り方等について、更に総合的・体系的な検討を加えた上で、一層充実すべきである」という意見を述べておりまして、その趣旨は、その下のところに書いてありますように、「民事法律扶助制度の拡充については、民事法律扶助法(平成12年法律第55号)が、同年10月1日より施行されたことにより、法律上の根拠が与えられ、また国の責務として、その適正な運営を確保し、その健全な発展を図るべきものとされた。しかし、欧米諸国と比べれば、民事法律扶助事業の対象事件の範囲、対象者の範囲等は限定的であり、予算規模も小さく、憲法第32条の「裁判を受ける権利」の実質的保障という観点からは、なお不十分と考えられる。また、刑事司法における被疑者・被告人の公的弁護制度の在り方との関連をも踏まえて、運営主体等についても総合的に検討する必要がある。このような視点から、民事法律扶助制度については、対象事件・対象者の範囲、利用者負担の在り方、運営主体の在り方等について更に総合的・体系的な検討を加えた上で、一層充実すべきである」という意見が述べられたものでございます。
 次に、検討事項の5の「簡易裁判所の管轄の拡大」は、項目が違うものですから、一番前の方に戻っていただく必要があります。審議会の意見書は、「5.家庭裁判所・簡易裁判所の機能の充実」というところで取り上げているわけでございます。「(3) 簡易裁判所の管轄拡大、少額訴訟手続の上限の大幅引上げ」という表題の下に意見が述べられておりまして、検討事項との関連では、意見の2つ○がある方の上の方の部分、「簡易裁判所の事物管轄については、経済指標の動向等を考慮し、訴額の上限を引き上げるべきである」、この意見の部分が、検討事項の5としているものでございます。この意見の趣旨ですが、その下にございますように、「簡易裁判所の事物管轄は、訴額が90万円を超えない事件とされており、また、より簡易迅速な手続である少額訴訟手続の対象となるのは、そのうち訴額が30万円以下の金銭請求事件とされている。簡易裁判所の事物管轄を定める訴額の上限が90万円と定められたのは、昭和57年の裁判所法改正によるが、軽微な事件を簡易迅速に解決することを目的とし、国民により身近な簡易裁判所の特質を十分に活かし、裁判所へのアクセスを容易にするとの観点から、簡易裁判所の事物管轄については、経済指標の動向等を考慮しつつ、その訴額の上限を引き上げるべきである」というものでございます。すなわち、先ほどの事務局からの説明にありました「裁判所へのアクセスを容易にする観点から」とというのは、この部分でございます。
 以上が、「裁判所へのアクセスの拡充」という検討課題についての法令等の立案、それからこれに密接に関係する問題として当検討会の主要な検討事項として考えている問題でございますが、そのほかにも審議会の意見は、重要な意見をいろいろと「裁判所へのアクセスの拡充」という観点から述べているところでございます。例えば、先ほどの民事法律扶助の欄の次のところでございますが、「(3) 裁判所の利便性の向上」という観点から、「ア 司法の利用相談窓口・情報提供」ということについて意見が述べられております。ここの枠の中の意見の内容を御紹介しますと、「司法の利用相談窓口(アクセス・ポイント)を裁判所、弁護士会、地方公共団体等において充実させ、ホームページ等を活用したネットワーク化の促進により、各種の裁判外紛争解決手段(ADR)、法律相談、法律扶助制度を含む司法に関する総合的な情報提供を強化すべきである」という意見を述べておりまして、その趣旨として、枠の欄の下に説明がありますように、「現在、裁判や裁判外の紛争解決手段(ADR)など紛争解決手続に関する総合的情報をワン・ストップで取得することができる相談窓口(アクセス・ポイント)が十分に用意されていない。このため、裁判所、弁護士会、地方公共団体、ADR機関などにおいては、現在、既に相談窓口を設置している場合には、その一層の充実に努めるべきであり、また、そのような窓口のない場合には、その早急な設置を図るべきである。また、ホームページ等を活用し、各窓口のネットワーク化・情報の共有を図るべきである。具体策として、例えば、裁判所においては、自らの受付相談機能を拡充し、相談窓口において、裁判手続はもとより弁護士会の法律相談、法律扶助の仕組みのほか、ADRを含む司法に関する総合的な情報提供を行うとともに、国民が地方公共団体など裁判所外の相談窓口に行っても、裁判所の受付相談に関する情報、裁判手続に関する情報を入手できるように所要の措置をとるべきである。弁護士会においても、同様に措置を講じるべきである。さらに、地方公共団体においても、消費生活センターなどの相談窓口で、上記のような司法に関する総合的な情報を提供し、あるいは弁護士会と連携して弁護士の紹介を行うなどの方策を実施することが期待される」という意見を述べておるところでございます。これは、先ほどの総論部分でも紹介されている重要な内容の一つでございまして、このようなそのほかの事項にも、具体的な改革の方策や方向性を述べておりますので、こうした問題についても、その他の事項として御検討をお願いすることになろうかと考えているわけでございます。
 今、申し上げた検討事項との関係で、配布資料に基づいて若干の制度の概要を御説明したいと思いますが、先ほど御紹介した資料3「関係基本法令」というものがあろうかと思いますが、これは、検討事項に関係する基本法令を掲載したものでございまして、「裁判所法(抄)」、「弁護士法(抄)」、「民事訴訟法(抄)」、「民事訴訟規則(抄)」、「民事訴訟費用等に関する法律」、「民事訴訟費用等に関する規則」、「民事法律扶助法(抄)」が掲載されております。
 主な検討事項の関係で、この資料3の中から御説明を申し上げますと、検討事項の1の「提訴手数料」に関しましては、この資料3の「民事訴訟費用等に関する法律」、これは、資料の26ページから始まっているわけであります。この「提訴手数料」に関しましては、27ページの左の上の欄にございますが、民事訴訟費用等に関する法律の第3条第1項に、「申立ての手数料」という見出しの下に、「別表第一の上欄に掲げる申立てをするには、申立ての区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる額の手数料を納めなければならない」というように規定されているわけでございます。そこに書いてある別表第一というのは33ページになりまして、別表第一の第1項を見ていただきますと、上の欄の方に「訴え(反訴を除く。)の提起」、下の方に「訴訟の目的の価額に応じて、次に定めるところにより算出して得た額」と書いてありまして、例えば、(一)から(七)まであるわけですが、一番下の「訴訟の目的の価額が三十万円までの部分 その価額五万円までごとに 五百円」、一番高い方は(七)というところで、「訴訟の目的の額が十億円を超える部分 その価額五百万円までごとに 一万円」という形で決めてある、これが、訴え提起の手数料を定めた規定でございます。
 次に、検討事項の2に掲げました「訴訟費用額確定手続」に関しましては、民事訴訟法第61条、これは資料3の9ページの上から10行目辺りに「第四章 訴訟費用」と書いてありまして、「第一節 訴訟費用の負担」ということが書いてあります。この「訴訟費用の負担」という第一節全体が訴訟費用について規定しているわけですが、簡単に原則を御紹介しますと、第61条で「訴訟費用の負担の原則」という見出しの下に、「訴訟費用は、敗訴の当事者の負担とする」と指定されております。
 具体的に何が訴訟費用かということは、資料3の26ページから27ページになりますが、民事訴訟費用等に関する法律の第2条で、柱書きの「当事者その他の者が負担すべき民事訴訟等の費用の範囲及び額」という見出しの下に書いてありますが、「民事訴訟法(平成八年法律第百九号)その他の民事訴訟等に関する法令の規定により当事者等(当事者又は事件の関係人をいう。以下同じ。)又はその他の者が負担すべき民事訴訟等の費用の範囲は、次の各号に掲げるものとし、その額は、それぞれ当該各号に定めるところによる」、ちょっとわかりにくい条文ですが、簡単に御説明しますと、この中で、民事訴訟費用の範囲として、第2条の第1号から第19号までがあるわけです。これらの中には、強制執行に関する部分の費用もあるものですから、訴えの提起に関する訴訟費用を簡単に御紹介しますと、第1号は、「次条の規定による手数料」と、先ほど御紹介した第3条が提訴手数料の規定ですので、つまり訴えの提起の際に納めた提訴手数料、これが訴訟費用に入るということでございまして、第2号に「第11条第1項の費用」と書いてあるのは、これは裁判所が証拠調べ、書類の送達その他民事訴訟等における手続上の行為をするために必要な給付その他の給付に相当する額で、この第11条というのは、資料3の29ページの右側の下の欄に書いてあります。つまり、証拠調べや書類の送達等に要した費用でございます。
 第3号は、これは執行官の規定ですので、強制執行に関する部分だったと思いますので、第4号の方にまいります。第4号と第5号を見ていただきますと、要するに当事者、それから代理人が口頭弁論または審問の期日その他裁判所が定めた期日に出頭するための旅費と日当と宿泊料、これが訴訟費用に入るという規定でございます。
 次に第6号、第7号、第8号、第9号、これらが書面の関係の費用の規定でございまして、これらは、訴状その他の申立書、準備書面、書証の写し、それらの訳文等の書類について、それを書いた費用、つまり書記料です。それが第6号の規定でございまして、第7号はその書類を提出する費用、第8号がその書類を官庁その他公の団体又は公証人から交付を受けるために要する費用、第9号というのが、それらの書類を翻訳した訳文の翻訳料というものでございます。
 次に第10号というのがありまして、文書または物を裁判所に送付した費用、これも訴訟費用に入るということになっております。
 第11号は弁護士報酬に関する規定ですが、資料3の27ページの右上の一番上にございます。第11号を見ていただきますと、民事訴訟等に関する法令の規定により裁判所が選任を命じた場合において当事者等が選任した弁護士または裁判所が選任した弁護士に支払った報酬及び費用は訴訟費用となるという規定になっているわけでございます。
 第12号以下の規定は、これらは通常強制執行の場合に費用となるものですので、通常の訴訟で訴訟費用になるものというのは、今申し上げた第11号の弁護士の報酬及び費用というところまでと御理解いただければと思います。
 以上が、関係する法令の御紹介です。
 次に資料4の「裁判所データブック2001」がございますが、御覧いただければわかりますように、最高裁判所の事務総局で作成してくださっているものでございまして、公開の資料だと聞いております。この資料を見ていただきますと、裁判所の概要が一覧の下におわかりいただけるのではないかと思いまして、本日の資料としてお示ししております。この資料を見ていただきますと、第1部として、「裁判所の組織」、「裁判所の職員」、「報酬及び給与」、「裁判所の予算」の記載がございまして、「その他の参考事項」として法曹人口等の記載がございます。
 第2部として、31ページ以下に「事件の統計」がございます。非常にわかりやすく裁判所の概要を御理解いただけるのではないかと思います。
 付録を見ていただきますと、2ページ以降に全国の裁判所の所在地図がございまして、これは非常にわかりやすいのではないかと思いますので、御参考にしていただければと思います。
 裁判所の組織はどうなっているかというと、御参考までに裁判所データブックの1ページのところを見ていただきますと、目次を2枚めくった3枚目のところに、「第1部 組織関係」、「1 裁判所の組織」と書いてありまして、非常にわかりやすくまとめられておりますので御紹介しますと、憲法76条1項では、「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する」と定められております。この規定を受け、裁判所法が、下級裁判所として高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所及び簡易裁判所の4種類の裁判所を設け、これが裁判所法の2条1項でございますが、それぞれ裁判所が扱う事件を定めています。そして、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律により、具体的な下級裁判所の名称、所在地及び管轄区域が定められているということでございます。その下のセクションの1というところで、「裁判所の種類及び数並びに検察審査会の数」というところがございまして、平成13年の5月1日現在で、最高裁判所は当然1つ、高等裁判所が本庁8、支部6、地方裁判所が本庁50、支部203 、家庭裁判所が地方裁判所と同じ本庁と支部があるほかに出張所が77、簡易裁判所が、地方裁判所の本庁または支部に併設された簡易裁判所が253 、その他の簡易裁判所、これは「(独立簡易裁判所)」と書いてありますが、そのように一般に呼ばれているようですが、独立簡易裁判所が185 、合せて438 の簡易裁判所があるということが、この表でわかるわけでございます。
 そのほかに、「裁判所データブック2001」というのをわかりやすく解説したパンフレット、「What is 『裁判所』?」というものと「What is 『簡易裁判所』?」というものもお手元に配布しておりますので、これも御参照いただければと思います。
 次に資料の5になるわけですが、これは、民訴費用制度等研究会の平成9年1月31日の報告書でございます。これはどういう趣旨の研究会であるかということを申し上げますと、この報告書の第1ページ、3枚目の裏側になりますが、ここを御覧いただきますと、「第1 緒言」というところの民訴費用というのは、民事訴訟費用というのを法律家の世界では民訴費用というのでこうなっているわけですが、「1 民訴費用制度等研究会発足の経緯及びその目的」と書いてありまして、「(1)民事訴訟費用制度等研究の発足」として、民事訴訟費用等に関する法律に関しては、平成4年に高額部分の提訴手数料の算定基準を引き下げる旨の改正が行われたが、その後、法制審議会民事訴訟法部会による民事訴訟法改正の審議に当たり、提訴手数料の在り方を始めとして、民事訴訟費用制度に関して検討されたものの、提訴手数料の見直し、弁護士費用の訴訟費用化等については最終的に答申に盛り込まれるには至らなかった。そこで、法務大臣官房司法法制調査部、これは現在の司法法制部ですが、法制審議会民事訴訟法部会の審議を引き継ぎ、平成7年12月、民訴費用制度等研究会を発足させたというものでございます。
 「(2) 研究会の目的及び研究事項」は、研究会は、法制審議会民事訴訟法部会の審議を受けて民訴費用制度等の在り方に関する調査・研究を行うことを目的とし、そのために、A 現行の提訴手数料等の見直しの要否、B 弁護士費用の訴訟費用化の当否、C その他民訴費用制度に関する事項について、諸外国の民訴費用制度の実情等をも参考としつつ、おおむね1年間の予定で、調査、研究、検討を行うこととされたというものでございます。
 この報告書は、目次を見ていただきますとわかりますように、目次の「第2 訴訟費用に関する考え方(総論)」「第3 提訴手数料について」、下の方にいきまして「第4 送達費用について」、目次の次のページに移りまして「第5 訴訟費用額確定手続について」、「第6 弁護士費用の訴訟費用化について」、目次の3ページ目の右側の方になりますが、「第7 その他」として「1 訴訟費用に関する保険の実情」等について研究して報告がされております。ちなみに、座長になっていただいた高橋委員は、この研究会の委員もされておられたわけでございます。
 資料の6でございますが、これは法律扶助制度研究会の平成10年3月23日の報告書でございます。法律扶助制度研究会の発足の経緯、目的、研究事項というのは、この報告書の4枚目のところの1ページにあるとおりでございまして、ここでは法律扶助制度の概要も非常に簡単にまとめてありますので、そのまま御紹介しますと、研究会発足の経緯といたしまして、「我が国の法律扶助事業は、昭和27年の財団法人法律扶助協会(以下「法律扶助協会」という。)の設立以来、法律扶助協会と日本弁護士連合会(以下「日弁連」という。)、全国各地の弁護士会及び弁護士の努力によって発展してきたものであり、国(法務省)においても、昭和33年以来、民事訴訟事件を対象として、法律扶助協会に対し、補助金を交付し、その後、これを法律相談等に拡大するなどして、その充実が図られてきた。近年、我が国の司法制度の見直しが進められる中で、憲法第32条の裁判を受ける権利を実質的に保障する制度である法律扶助制度の重要性が再認識されるに至り、昭和63年11月から、法務省関係部局と法律扶助協会との間で民事事件を中心とした法律扶助制度についての勉強会が開始され、その後、日弁連もこれに加わり、平成6年6月までに50回開催された。この間、国(法務省)は、法律扶助制度の充実を図る見地から、平成元年度以降、計画的に補助金の大幅増額に努め、日弁連においても、平成5年10月、「法律扶助制度改革推進本部」を設置して積極的な活動を展開し、また、衆議院法務委員会理事会においては、平成5年6月2日、「法律扶助制度の一層の充実、発展を図るため、我が国の司法制度に適合した望ましい法律扶助制度の在り方等について、本格的な調査・研究に取り組むこととし、そのために必要な予算措置を講じられたい。」旨の申し合わせが行われた。このような状況から、法務省は、我が国の司法制度に適合した望ましい法律扶助制度の在り方等について本格的に研究するため、所要の予算措置を講ずるとともに、最高裁判所、日弁連、法律扶助協会及び諸外国の訴訟制度にも詳しい学者の参加を得て、平成6年11月、法律扶助制度研究(以下「研究会」という。)を発足させた」。こういうものでございます。
 この研究会の研究事項、報告書の内容でございますが、これは目次の方を見ていただきますと、「第2 法律扶助の理念」、「第3 法律扶助に関連する民事訴訟制度等現行諸制度」、「第4 諸外国の法律扶助制度」、「第5 法律扶助の需要」、「第6 我が国の法律扶助制度の歴史と現状」、「第7 法律扶助制度の改革」、「第8 事業内容」、「第9 運営組織」というところについて研究報告がされているわけでございます。ちなみに、当検討会の亀井委員と長谷部委員は、この研究会の幹事をされたわけでございます。
 ただし、先ほど審議会の意見の内容としても御紹介しましたし、資料3の関係基本法令にも掲載してございますが、民事法律扶助法というのが、平成12年4月28日、法律第55号として制定されまして、平成12年の10月1日から施行されているわけです。これは、法律扶助制度研究会の報告書が作成された後になるわけでございます。
 民事法律扶助法も、資料3の関係基本法令の後から2枚目のところにあるわけですが、第1条の「目的」というところで、「この法律は、民事法律扶助事業が司法制度の充実に寄与する公共性の高いものであることにかんがみ、その整備及び発展を図るため必要な事項を定め、もって国民がより利用しやすい司法制度の実現に資することを目的とする」とされておりまして、具体的な法律扶助事業とは何かということについては、第2条で、「この法律において「民事法律扶助事業」とは、裁判所における民事事件、家事事件又は行政事件に関する手続」、これは、この法律では「民事裁判等手続」というわけですが、そのような手続において、「自己の権利を実現するための準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない国民若しくは我が国に住所を有し適法に在留する者」、つまり国民と我が国に住所を有し適法に在留する者とを併せて以下「国民等」と言っておるわけですが、「又はその支払により生活に著しい支障を生ずる国民等を援助する次に掲げる業務を行うものをいう」とされておりまして、その業務は、第2条の第1号で、「民事裁判等手続の準備及び追行(民事裁判等手続に先立つ和解の交渉で特に必要と認められるものを含む。)のため代理人に支払うべき報酬及びその代理人が行う事務の処理に必要な実費の立替えをすること」というようにされております。第2号では、「依頼又は嘱託を受けて裁判所に提出する書類を作成することを業とすることができる者」、これは司法書士も含まれるわけですが、そういう者に対し、「民事裁判等手続に必要な書類の作成を依頼し又は嘱託して支払うべき報酬及びその作成に必要な実費の立替えをすること」、第3号として、「法律相談を取り扱うことを業とすることができる者による法律相談(刑事に関するものを除く。)を実施すること」というふうにされているわけでございます。
 先ほど意見書の中でも御紹介しましたように、民事法律扶助法の第3条は、「国の責務等」とありまして、その中で地方公共団体の協力についても規定がされております。また、第4条で「日本弁護士連合会等の責務」について規定がされているわけでございます。
 法務省の人権擁護局で民事法律扶助制度を解説したパンフレットがございますので、御参考までにお手元にお配りしておきました。御参照ください。
 資料の7は、これは日本弁護士連合会の「報酬等基準規程」でございます。なぜ報酬等基準規程があるのかと申しますと、資料3の関係基本法令に弁護士法が載っていますが、その5ページの上から10行目辺りに「会則」という項目がありまして、第46条の第1項で「日本弁護士連合会は、会則を定めなければならない」、第2項で「日本弁護士連合会の会則には、左の事項を記載しなければならない」と規定し、その第1号として、これは少しわかりにくいのですが、「第33条第2項第7号ないし第11号」というもののうち、第8号が入るわけですが、左の4ページに戻りますと、第33条が真ん中から下の部分にありまして、第33条の第2項の第8号のところで「弁護士の報酬に関する基準を示す規定」というものを設けなければならないということになっているわけでございます。その規定に基づいて、日本弁護士連合会が「会則」として定めた「報酬等基準規程」というのが、お手元にお配りした資料でございまして、これは現行の規程でございます。
 「報酬等基準規程」の内容ですが、3枚目を見ていただきますと、「報酬等基準規程」という標題のあるところですが、「第1章 総則」として、「目的」、第1条という項目がございまして、「この規程は、弁護士法に基づき、弁護士会が定める弁護士の報酬に関する標準を示す規定の基準を定めることを目的とする」とされておりまして、第2条で、「弁護士会の弁護士報酬規定」という標題の下に「弁護士会は、この規程を基準とし、所在地域における経済事情その他の地域の特性を考慮して、弁護士の報酬に関する標準を示す規定を適正妥当に定めなければならない」とされているわけでございます。
 弁護士の報酬とは何かということになりますと、第3条「弁護士の報酬は、法律相談料、書面よる鑑定料、着手金、報酬金、手数料、顧問料及び日当とする」ということになっていて、第2項でその用語の意味が規定されているわけでございます。
 これが、弁護士の報酬に関する標準を示す規定という弁護士法の規定に基づいて、日本弁護士連合会が定めている「報酬等基準規程」になるわけでございます。
 最後になりますが、資料の8、これは、財団法人法律扶助協会の「平成12年度事業報告書」でございます。法律扶助協会は、先ほどの民事法律扶助法に基づきまして、平成12年10月18日に、法務大臣から民事法律扶助事業を行うものとして指定を受けた法人でございます。そこで法律扶助事業を行っている事業の概要の報告が、この報告書に記載されているわけでございます。
 長くなりましたが、最後に簡単に検討の進め方について御説明をさせていただきますが、これまでに御説明した審議会の意見の内容、それから法令等の立案等の課題との関係、それからこれまで御説明したように検討事項の法律的な性質や論理的な関連性等を考慮いたしまして、事務当局としては、資料2の「司法アクセス検討会での主な検討事項」に掲げた順序、すなわち、1番に「提訴手数料」、2番に「訴訟費用額確定手続」、3番に「弁護士報酬の敗訴者負担の取扱い」、4番に「民事法律扶助の拡充」、5番に「簡易裁判所の管轄拡大」、6番に先ほどの司法のアクセス・ポイントという話がありましたけれども、そういったその他の検討事項に関する問題、そういった順序で御検討をお願いしてはいかがと考えている次第でございます。検討のスケジュール等については、最初に事務局から御説明したとおり、当面は1〜2か月に一度のペースで1年程度を考えて進めて、また進み具合いに応じて考えていきたいと考えている次第でございます。
 少し長くなりましたけれども、以上で私の説明を終わらせていただきます。

□ それでは、ただいまの御説明を受けまして、何か御意見、御質問がございましたらどうぞ。

○ 先ほどの少額訴訟手続の部分で、限度額引き上げでしたか、対象額拡大でしたか、これは取り扱わないというふうに御説明をされたのですか。

● 少額訴訟手続については、意見書では、上限の引き上げという形で、簡易裁判所の事物管轄の次の○で書いてあるわけですが、これについては、法制審議会の方で現在検討が進められているところでございますので、当検討会では検討をする予定はございません。

○ 今の御説明の中には、意見書の方のアクセス・ポイントは、その他でとおっしゃって、これは是非お願いしたいと思いますが、あと夜間休日サービスとか、裁判所の配置というのは、やはり立法課題ではないのかもしれませんが、司法へのアクセスということでは、かなりポイントがあるのかなと思いますので、その他の中で、これも御一緒に検討したいと思いますが。

● その点は、除外するという趣旨ではなくて、意見書の一番の総論部分でも指摘されていたことから、特に重要と思われたので、例示として御紹介したということでございます。

○ 第1回でございますので原則論みたいなことになってしまうのかもしれませんが、私どもは市民の立場と言いましょうか、生活者の立場で意見を述べなさいということだろうと思いまして、今回臨ませていただいておりますけれども、特に消費者問題なども日ごろの活動の中では熱心に取り組んでおりまして、そういう問題を考える場合に、昨今では規制緩和の流れがございまして、事前規制から事後へというように状況が変わってきております。そういう中で制度変更、事後認証ということがかなり広範に採用されるようになってきておりますので、新たな消費者トラブルというのが心配されているという状況が一つございます。
 消費者と事業者の間には、大変情報の格差がございまして、特に最近ではハイテク化が進んできておりますので、その傾向は一層大きくなってきているというのが現状で、私どもは圧倒的に事業者の方が持っていらっしゃる情報というのをなかなか知り得ない中で、いろいろなトラブルに遭遇しております。そういう意味で考えてまいりますと、そのほかにも最近ではボーダーレス化しておりますので、電子商取引などを通じてということもありますし、また外国の事業者さんの商品やサービスというものを購入する機会なんかも多くなってきておりまして、大変複雑に一般の市民の生活を取り巻く状況ではトラブルも複雑化しておりますし、環境全般が変化してきているということがあるんではないかと思います。今回のアクセスを考えていく上では、是非私も忘れずに気がついたことは御提案申し上げなければいけないなと思っている次第でございます。
 そのほか、悪徳商法なんかも大変後を絶たない、更にクレジットの問題などを含めまして、新たなもので昨今の経済情勢を反映して、仕事を紹介するかのように言いながら高額の物品を売りつけて仕事は紹介しないというような新手のものも出てきておりますし、また経済情勢を反映したという意味におきましては、事業者さんの中で、修理点検、あるいは保守整備等の費用、そういったものを見直しして、コストを掛けないようとしようとする、例えば、今まで1年に1回部品交換していたものが1年半に1回になるとか、そういったインターバルが長引くような状況も出てきております。
 そういうことを全般的に考えていきますと、大変消費者、生活者を取り巻いている日常的な環境というのは、自分たちの自己責任ということが問われてきておりますだけに厳しいものがあります。そういう点と、本来法によって解決しなければならない問題を十分それがわからない場合もありますけれども、まず裁判にはお金と手間が掛かって、特にここに傍聴に臨んでいらっしゃる方には、専門家の方が多くいらして、一生懸命やっていただいているとは思うんですが、自分が生きている間には結論が出ないんではないかというような長期化している裁判もありますし、専門化していて、到底私たちが及びもつかないから、最初から裁判というものに対する意欲を失っているケースも出てきているのが現状ではないかと思っています。
 今回、このように司法改革ということで、総合的かつ多面的にかなり広範な視点から取り上げていただけるということで、私どもも一生懸命取り組ませていただきたいと思っているんですが、消費者や一般の人たちが、大変裁判所というものを敷居の高いものとしてとらえていまして、極端に言いますと関わりたくない、文言もなかなか難しいし通じないんではないんだろうかというふうに考えているところが多々ございます。
 私どもの団体で、実は冷凍庫の裁判を支援したことがありまして、それはある生活者の人の冷凍庫から自然発火しまして、大手さんを相手に大変苦しい裁判の結果、幸いにも勝訴することができましたんですけれども、その手続の煩雑さとか、いろいろ証拠をそろえていかなければならない難しさというのは、その人は大変意欲的に取り組んで、また支援してくださる仲間もありましたし、私どもも傍聴にみんなで行ったりしたので幸いなケースだったんですけれども、よほどでない限り、そういう訴訟に持ちこたえられる人はいないんではないかと思えるような歳月も掛かったわけでございます。そういうこともありますものですから、私は、先ほども出てきておりましたけれども、憲法32条の何人も裁判所において裁判を受ける権利を有するという、その原点というものを見据えながら、私たちが持っている感覚というのは、言わばバリアーを感じているわけで、今の世の中ではユニバーサルデザインということが取り上げられ、私どももそういうことに関わってきておりますけれども、司法におけるバリアフリーというのを何とか実現しなければならないんではないかというふうに思っております。
 誠に素人でございますが、私どもがバリアーに感じていることを、これから先の討議の中でもお伝えしながら、みんなにとってバリアーは何かということを広く考えて、今回の改革推進本部の持っていらっしゃる目的に沿うような形で、私どもも誰でも自分たちが裁判を受ける権利を持っていて、問題が何であるかを、先ほどもアクセス・ポイントのお話がございましたけれども、認識しやすいような環境、裁判に臨めるような費用の問題や、手続の問題などを検討していく場であってほしいと願っております。
 大変散漫な意見で申し訳ございませんけれども、述べさせていただきましたので、よろしくお願いいたします。

□ 先ほどの御説明も、難しい文言が飛びかっておりましたが、今日は第1回目ですので、この検討会でこういうことをやってほしいという希望など、御自由に御発言いただければと思いますが。

○ 今の発言を大変ありがたくお聞きしました。裁判の現場に携わっている者として、外からの意見というのは必ずしも直接的には耳に届かないこともありますので、今、○○委員から言われたような問題を抱えているとすれば、こちらも大いに考えなければいけない問題だろうと思った次第です。
 ただ、裁判所が現行の制度を設備、人的・物的の限界はある中で、いろいろ工夫をしておるところでありまして、例えば相談窓口がどういうような運営をしているかとか、少額訴訟がどういうふうに運営されているかということを是非一度ご覧いただいて、そのやり方にどういう問題があるのかないのか、また、基本的にいいんだとして、それが必ずしも十分世間に伝わっていないとしたら、ではどういうアプローチの仕方、こうしていただけるのかとか、あるいはそういったような問題についていろいろ意見を聞かせていただけると大変ありがたいと思います。大変参考になりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○ 私が日ごろ少し感じていることを述べさせていただきます。
 建築の設計をしているものです。こういう司法というものは素人でございまして、先ほどから伺っていても建築の法律は読めるんですけれども、なかなか日ごろ聞かない言葉が伝わってきているような感じがして、できるだけわかりやすいものであってほしい。司法というのは、私たちの生活を横断してあるものですから、一般の人にわかりやすくするものになってほしいものだなと思う。法律というのは歴史があるので大変複雑なものですからこそ、簡潔に一般の人に伝える必要があるのではないかと、感想を抱きながら伺っておりました。
 日ごろ感じていることの中で、建築というと非常にテクノロジカルなことやエンジニアリングあるいはサイエンスとか、専門的なことに関わるわけですが、そうしたことというのは、常の発展に関わることですけれども、やはり、裁判所というのは遠く、時間も掛かって、瞬時に解決していかなければいけないと考えてしまう。そのため、企業も、ときには行政も何か密室で和解というような感じでやっているようなケースが多く、公開されないという感じがするんです。建築ですと、いろんな事故とかですけれども、事例が公開されないと、先の解決に結びつくことにならないという気がいたします。非常な変化の中にあるテクノロジーなどもスピードアップしてスムーズに扱えるようになっていただきたいです。いつまで経ってもどうも内々でやってしまっていては進歩に結びつかない。できる限り社会的に公開した方が良いと思うことが多くある。そのうらに、裁判で扱ってもらえるだろうか専門的に扱えるだろうかとか、あるいは裁判に掛けたら高いだろうとか、本当に公正なジャッジが受けられるんだろうかとか、そんな疑問を抱いているからだと思う。私はつくる論理だけを優先させないで利用側の論理をくみとって設計している、つくる側と使う側とのコミュニケーションというのを大変大切にしているわけです。行政は、なかなか高いところにいるので、私たちは共同して理想をかかげても実現の拒否に合う、そういう時に法律というのもどういう立場の人が担ってこの理想に近づけてゆけることになるのかというのもある、もう少し生活の関わりの中にある司法というものとして生活者にどうやって近づいたものにしてゆくかを考えたい。こういうパンフレットも私は今日初めて見ているわけで、いつもこういうものはなかなか手に入ることはないのですが、わかりやすい、広く公開する広報のこともあるんでしょう。しかし、行政も立法も含め、公共建築をつくっていくプロセスを通して、普通の生活者の距離の遠いことを日ごろ感じております。一般人の言語との違いも感じております。ですから、司法というのもそういう努力をなさっていると思うのですが、惜しまず努力してほしいと感じております。感想でございます。

○ 何回も申し訳ございません。私も弁護士を35年やって、かなりの時間を法律扶助に関わってきています。そうすると、本当に生活に困っている人から弱い女性、年寄りの方などが、やはり司法にたどり着くことの困難さ、知らないということです。やっと最近扶助という言葉が日の目を見るようになって、国の予算もかなり大幅に付いたことも間違いない事実です。そういう方が窓口に来て、本当にやっとたどり着いて、司法的な解決ができたということでひと安心するというのは、最近切実に考えられます。特に、今朝も新聞に出ていましたけれども、自己破産が16万件、これは年々2万件ずつぐらい増えています。それのかなりが法律扶助の窓口に来ています。そこで弁護士が付いて解決することによって、無理心中が少なくなったり、強盗がなくなったりというような、生活苦が少しでも緩和されるというようなことで、やはり司法の役割というのは、最近少しずつ大きくなってきているということを感じております。こういうときに、司法へのアクセスというのを、今までは多分法曹三者だけでひそかに考えてきたということで何十年も経ってきた。ところが、このところそれは法曹三者だけでなくて、国民の前に開いて、皆さんの意見を聞いて、そして新しい司法アクセスを考えていきたいという、こういう会議を開いていただいて本当にありがたいことだと思っております。この機会に、本当に国民の前に開いて、国民の方の意見を聞きながら、何が本当に国民に期待されているのかということを真剣に考えていきたいと思いまして、皆さんとここで違う職種の方と初めて会って、いろんな御意見を聞いていくということは本当にありがたく楽しみにしております。

○ 今まで、いろいろな御意見を伺いまして、確かに今まで裁判所あるいは司法が一般市民から遠い立場にあったという御指摘は本当にそのとおりだと思います。これで現状が変わっていくというのは大変望ましいことだと思います。
 それとともに、裁判に対する正しい理解を広めるということも大変大事なことだと思います。例えば時間が掛かる、あるいは費用が掛かるということも、確かに一部の事件については妥当することですけれども、すべての事件についてそういうことが言えるかと言いますと、そうでもない部分もあるにもかかわらず、そういったことが正確に伝わっていないためにアクセスを阻害している。情報の偏在というのは、そういったところにもあるかと思いますので、裁判の実情を明らかにしていく場になったらよろしいのではないかというふうに期待しております。

□ 私も30年ぐらい研究者をやっているんですが、司法に限らずいろんな日本の制度全体の見直しを迫られているんでしょうが、司法に関しては、突然座長になりまして、官僚的なことを申し上げていることになるんですが、いろんなところでやっているようですね。私の知っている限りでも、例えば消費者契約法ができましたが、その実効化というのを今別のところでやっているようですし、先ほど来話がありましたように、少額裁判の拡充は法制審議会でやっている。団体訴訟などもそういうところで。
 建築家を始めとして専門家の知見を民事裁判に導入してもっとスピードアップしようというのもどこかでやっていると伺っております。そういう全体の中で司法がどんどん改善されていくこと、また、先ほど○○委員が言われたように、司法に対する正しい認識も広まっていくことは勿論大事なことですが、我々はその一翼を担っているということなんでしょうね。すべて我々が扱うわけではない。我々はアクセスという角度から、しかしそのアクセスでも少額裁判のところは別なところで、なぜあれが外れたのか私もよくわからないところがあるんですが、それはいろいろな事情があるんでしょう。枠をはめるわけではありませんが、順番から言うと、今日いただいた主な検討事項は、これは我々がやらなければいけないこと、6は、余力があればやると、こういうことになるんでしょうね。
 こういう機会ですから、いろんなチャンネルから、いろんな声が司法制度改革推進本部に伝わることはいいことですから、どんどん御意見をいただければと思いますが、余り座長はしゃっべってはいけないわけですから、努力をさせていただこうと思っております。ただ、この委員会そのものは、立派な報告書のようなものは別に義務ではない。それは先ほどの御説明にもありました。また、報告書をつくるだけで、このところの文章がおかしいからという話になりまして時間が足りなくなる。そういう形のあるものではなくて、内容、実質なんだということです。それを検討していく。

○ せっかくですから、一言発言だけさせていただきたいと思います。
 司法へのアクセスということで、実は法務省でも、現在、経済活動に関わる民事、刑事の基本法制整備というのを5か年間、これは法務大臣を座長として推進本部みたいなものをつくってやっているんです。その中で、一番大きなテーマと言いますか、方向性を示すものとして、どなたかおっしゃったかと思うんですが、これまでは事前規制、本当に針の穴を通すようなコントロールでいろんな事態を予測して、事前に規制をしてしまうという法制が主流だったわけです。ところが、これだけ世の中が複雑になりまして、経済がグローバル化して、いろんな人が知恵を出し合うと、とても事前規制では対応し切れない。むしろ、それは逆にいろんな経済活動の自由を奪うようなことになってしまっている。そこで、基本法整備はどういうことを考えるかというと、なるべく事前規制は少なくしていきましょう。その代わり、先ほどあった事後救済型、勿論情報を徹底して開示します。それから、何か事が起こって責任を取る必要があるときには、責任規定をきちんと明確にしましょうと、これが一つの基本的な方向性でございます。
 この検討会との関わりですが、どういうことかと言いますと、要は、開示と法律の責任規定だけをきちんとしても、それを現実に責任追及ができる制度、これがきちんとできないと、結局法律だけできましたというだけの自己満足になってしまう。そういう意味では、司法へのアクセスというのは、今、我々がやっております基本法整備と車の両輪みたいな形で、これからの社会に非常に役に立つことを検討していく機会だと思っております。そういう観点から我々もいろいろ意見を述べさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

(5) 今後の日程等

● 今日の説明は非常に堅かったということで、次回は、もう少しわかりやすくというところで、2月27日の水曜日の午後3時から皆さんの御予定をいただいておりまして、午後3時から午後5時までの2時間程度、これは、実は裁判所の方の御協力をいただきまして、話題にも出ておりました少額訴訟について、もし事件が入れば法廷を傍聴していただこうかと思っております。それから、いろんな意見の中にも出ておりましたが、受付相談の窓口がどうなっているかというところを、少額訴訟は簡易裁判所ですので、東京簡易裁判所の現実の受付窓口を見ていただこうかと思っております。また、弁護士会の御協力、それから法律扶助協会の御協力もいただきまして、その後で弁護士会の相談窓口も見ていただこうかと思っておりまして、法律扶助協会の扶助の受付相談、そういった現状を見ていただこうかということで、今、お願いをしているところでございます。多分御協力がいただけるのではないかと思いますので、まず、そういった現実を見ていただいて、その後で、3月の機会に、今回の順序でいきますと、提訴手数料のところについてわかりやすく御説明をさせていただきたいと思っております。3月27日も水曜日の午後3時からとなります。今日は午後2時からですが、次回の2月27日は午後3時、3月27日も午後3時からでございますので、お間違いのないようによろしくお願いしたいと思います。場所は、多分、東京簡易裁判所に御集合願うことになろうかと思いますが、後日御案内いたしますので、間違いなようにお越しいただければと思っております。

□ 次回の日程、時間、何か御質問、御意見がございますか。それでは、第1回はこれで終了ということで、どうもありがとうございました。