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司法アクセス検討会(第14回) 議事録

(司法制度改革推進本部事務局)



1 日時
平成15年4月15日(火) 13:30〜17:00

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第2会議室

3 出席者
(委 員)
高橋宏志座長、亀井時子、始関正光、西川元啓、長谷川逸子、長谷部由起子、飛田恵理子、藤原まり子、三輪和雄、山本克己(敬称略)
(説明者)
林勝博(日本司法書士会連合会副会長)、大貫正男(埼玉司法書士会副会長、
社団法人成年後見センター・リーガルサポート理事長)
津川博昭(日本弁護士連合会前副会長)
(事務局)
松川忠晴事務局次長、古口章事務局次長、小林久起参事官、小林徹参事官

4 議題
(1) 司法の利用相談窓口・情報提供について、民事法律扶助の拡充について
(2) 弁護士報酬の敗訴者負担の取扱いについて
(3) 今後の日程等

5 配布資料
資料 1ADRの拡充・活性化のための関係機関等の連携強化に関するアクション・プラン(平成15年4月10日 ADRの拡充・活性化関係省庁等連絡会議)
資料 2司法書士によるリーガルサービスの実状(日本司法書士会連合会)
(2- 1)司法書士によるリーガルサービスアクセス状況
(2- 2)司法書士の所在状況
(2- 3)裁判所管轄・司法書士会支部別司法書士数
(2- 4)全国各司法書士会における法律相談窓口の開設状況及び実績
(2- 5)平成14年度「全国一斉司法書士法律相談」
(2- 6)司法書士会が設置した地域司法拡充のための相談センター
(2- 7)少額裁判サポートセンター関連資料
(2- 8)災害時における司法書士無料法律相談件数
(2- 9)中・高校生に対する法律教育への会員派遣
(2-10)書類作成援助件数(法律扶助協会支部別)
(2-11)(社)成年後見センター・リーガルサポートが実施する「全国一斉無料成年後見相談会」
資料 3弁護士報酬の敗訴者負担の取扱いについて
資料 4第13回検討会(3/10)資料4についての補足(日本弁護士連合会)

6 議事

(1) 司法の利用相談窓口・情報提供について、民事法律扶助の拡充について

【高橋座長】 それでは、第14回になりますが、司法アクセス検討会を開会いたします。初めに、事務局から、本日の議題と配布資料についての説明をお願いいたします。

【小林久起参事官】 本日の議題につきましては、お手元の議事次第の3に記載してありますように、「司法の利用相談窓口・情報提供について、民事法律扶助拡充について」と「弁護士報酬の敗訴者負担の取扱いについて」、この御検討をお願いしたいと考えています。
 議事次第の2枚目の別紙に配布資料が記載してあります。資料1は、「ADRの拡充・活性化のための関係機関等の連携強化に関するアクション・プラン」です。また、日本司法書士会連合会から、「司法書士によるリーガルサービスの実状」と題する資料を提供していただいておりますので、これを資料2としております。それから、資料3は事務局で用意した資料で、「弁護士報酬の敗訴者負担の取扱いについて」と題する資料です。さらに、日本弁護士連合会から前回の説明の補足資料を提出していただいておりますので、これを資料4としております。
 議題と資料は以上です。

【高橋座長】 どうもありがとうございました。御確認していただけましたでしょうか。それでは、続きまして、平成15年通常国会に提出されました法案の概要について、事務局から御説明をお願いいたします。

【瀧澤参事官補佐】 それでは、現在開かれております通常国会に提出しております法案の概要について御説明させていただきます。
 司法制度改革推進本部提出法案は、「裁判の迅速化に関する法律案」、「司法制度改革のための裁判所法等の一部を改正する法律案」、「仲裁法案」、「法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律案」、この4件です。当検討会で御検討いただいた簡易裁判所の事物管轄の拡大、提訴手数料、訴訟費用額確定手続につきましては、「司法制度改革のための裁判所法等の一部を改正する法律案」の中で必要な法改正をさせていただくことになりました。
 「司法制度改革のための裁判所法等の一部を改正する法律案」は、司法制度改革の一環として、民事訴訟事件についての簡易裁判所の管轄の拡大、訴えの提起の手数料の額の定め方等の改正、弁護士から任命される民事調停官及び家事調停官が裁判官の権限と同等の権限を持って調停手続を主宰する制度の導入、司法試験合格後に所定の法律関係事務に従事し、かつ所定の研修を終了した者に対する弁護士資格の付与、弁護士の綱紀懲戒手続の整備等の弁護士制度の整備、弁護士の報酬規定を会則の必要的記載事項と定めていた弁護士法の規定の削除、外国法事務弁護士についての弁護士の雇用及び弁護士との協働事業等に関する規制の緩和等の所要の法整備を行うことを目的とするもので、裁判所法、民事訴訟法、民事訴訟費用等に関する法律、民事調停法、弁護士法などの法律の一部改正を内容としています。そのうち、当検討会で御検討いただいたテーマに関しましては、裁判所法、民事訴訟法、民事訴訟費用等に関する法律の一部を改正するという内容になっています。
 具体的に内容を御説明させていただきたいと思います。初めに、簡易裁判所の管轄拡大についてですが、軽微な事件を簡易迅速に解決することを目的とし、国民により身近な簡易裁判所の特質を十分に活かし、裁判所へのアクセスを容易にするとの観点から、簡易裁判所の管轄に属する民事訴訟事件の訴訟の目的の価額を、現行の90万円から140万円に引き上げることにしており、このために裁判所法の一部改正を予定しています。また、これに伴って、民事訴訟法の関連規定の改正を予定しています。民事訴訟法は、訴訟の目的の価額を算定することができないとき、または極めて困難であるときは、その価額は90万円を超えるものとみなしていますが、これを140万円を超えるものとみなすと改めることとしています。さらに、民事訴訟費用等に関する法律の関連規定の改正も予定しています。同法では、財産権上の請求でない請求に係る訴え及び財産権上の請求に係る事件で、訴訟の目的の価額を算定することが極めて困難なものにつきましては、これらの訴訟を提起する際の手数料の額は、訴訟の目的の価額を95万円とみなしています。この95万円というのは、簡易裁判所の事物管轄を超える額で最も低い額ということです。これを簡易裁判所の管轄の拡大及び訴えの提起の手数料の額の定め方の見直しに合わせまして、160万円とみなすものと改めることにしています。
 訴えの提起の手数料につきましては、訴訟の目的の価額が200万円以上の部分について手数料の額を引き下げるとともに、全体として手数料の額の定め方を簡素化することとしています。改正内容について具体的に御説明いたします。お手元に「訴えの提起の手数料の低額化・簡素化」という1枚の資料を用意してありますので、これを御覧いただければと思います。この表を御覧いただきますと、まず、訴訟の目的の価額が100万円を超えて300万円までの部分は、従来は手数料率が0.7%でした。同じく300万円を超えて1,000万円までの部分は0.5%、1,000万円を超えて1億円までの部分は0.4%とされていました。これらを、訴訟の目的の価額が100万円を超えて500万円までの部分は手数料率を0.5%、500万円を超えて1,000万円までの部分は手数料率を0.4%、1,000万円を超えて10億円までの部分は手数料率を0.3%とそれぞれ改めています。また、訴訟の目的の価格が1億円を超えて50億円までの部分については変更はありませんが、50億円を超える部分につきましては、従来0.2%とされていた手数料率を0.1%に改めております。 さらに、訴訟の目的の価額が100万円までの部分につきましては、従来は、訴訟の目的の価額が30万円までの部分は手数料率1%、30万円を超えて100万円までの部分については手数料率0.8%というように区切りを設けて手数料率を変えるとともに、訴訟の目的の価額5万円ごとに手数料の額を加算するという算出方法を採用していました。今回の改正法案では、この部分の手数料の額の定め方を簡素化するため、訴訟の目的の価額が100万円までの部分の手数料率は一律に1%としまして、訴訟の目的の価額10万円ごとに手数料の額を加算するという方法に改めることとしています。
 手数料の算出方法は、全体として簡素化することにしています。
 訴えの提起の手数料の額の定め方を改めるのと合わせまして、いわゆるスライド制が採用されている民事調停の申立て等の手数料の額の算出方法なども改めることとしています。また、額が一定とされている手数料につきましては、その額が定められた昭和55年以降の経済変動等を考慮し、一定の引上げを行うこととしています。家事事件については、引上げ幅がほかより低くなるよう配慮するなどしております。
 手数料額の見直しに加えまして、従来、印紙の貼付に限定されていた手数料の納付方法を多様化し、最高裁判所規則で定める場合には、最高裁判所規則で定めるところにより、現金で納付することも可能にすることにしています。具体的には、日本銀行の本店、支店、代理店等で手数料を現金で納付していただき、その領収証書を裁判所に提出していただくという方法を可能にするということを考えています。
 民事訴訟等の費用の額の算定方法の簡素化につきましては、当事者等の旅費、日当及び宿泊料、書類の書記料及び提出の費用について、額の算定方法の見直しを行うこととしています。当事者等の旅費につきましては、我が国の中での旅行の場合には、資料の提出がなくとも旅費を認める制度を設けることとしております。具体的には、当事者の住所地等を管轄する簡易裁判所と、出頭した場所を管轄する簡易裁判所との間の直線距離を基準にしまして、最高裁判所が定める額を旅費と認めるという制度を設けることとしています。また、通常の経路及び方法により旅行した場合には、旅行に使用した乗車券等の文書を提出することにより、現に支払った交通費の額を認めるということにしています。日当及び宿泊料については、我が国の中での旅行の場合は、1日あるいは1夜当たりの額を定額化することとしています。書類の書記料及び提出の費用については、これを書類の作成及び提出の費用として一体化し、事件の種類、当事者の数、書類の種類及び通数を基準として、最高裁判所が定める額としています。通常の訴訟事件の多くでは、できるだけ定額化して、当事者の数が多いなど特別な事情がある場合につきましては、それを考慮した額とするものです。
 詳細につきましては、各委員のお手元に「司法制度改革のための裁判所法等の一部を改正する法律案関係資料」という冊子を配布させていただいておりますので、こちらの方を御参照いただければと思います。

【高橋座長】 ありがとうございました。私どもの検討会で検討した事項も入っていますので、何か御質問がございましたらどうぞ。簡易裁判所の管轄の上限は、我々としては幅を持って議論をいたしましたが、140万円ということに落ち着いたようです。よろしいですか。
 それでは、続きまして、先ほど御説明いただきました議題の最初ですが、「司法の利用相談窓口・情報提供について、民事法律扶助の拡充について」に移りたいと思います。初めに、事務局から、検討事項などについて説明をお願いいたします。

【小林久起参事官】 司法の利用相談窓口・情報提供等につきましては、本日、先ほど御説明しました資料1のアクション・プランを示しております。これについては、担当の小林徹参事官から御説明をさせていただければと思います。それから、日本司法書士会連合会からも資料が提出されておりますので、日本司法書士会連合会からも御説明をいただければと思います。

(各委員了承)

【高橋座長】 では、お願いいたします。

【小林徹参事官】 それでは、お手元に「ADRの拡充・活性化のためのアクション・プラン(ポイント)」という2枚の資料を用意してありますので、こちらを御覧いただきながら、アクション・プラン本体、資料1の方を御説明してまいりたいと思います。
 まず、本アクション・プランの趣旨及び基本的な考え方ですが、1ページ目の中ほどに、今回の司法制度改革におきますADRの拡充・活性化の課題として、司法制度改革審議会意見でいただいた宿題2点を掲げてあります。その1つが、「関係機関等の連携強化の促進」でありまして、まさに、これから御説明するテーマです。もう1つが、「共通的な制度基盤の整備」ということで、こちらにつきましては仲裁検討会におきまして仲裁法の検討を行い、今の通常国会に法案を提出していますし、それから、仲裁を含みますADR全般につきましては、現在、ADR検討会において検討を行っているという状況です。
 今回のアクション・プランにつきましては、関係機関等の連携強化の促進の一環として、昨年6月に設置しましたADRの拡充・活性化関係省庁等連絡会議におきまして、当面、関係省庁等が横断的・重点的に取り組むべきと考えられる施策を取りまとめたものです。これから中身の御説明に入りますが、御覧いただくとわかりますように、具体的な施策のほかに、その施策を実施するタイミング、あるいは特に関係が深いと考えられる省庁名なども明記しております。
 資料1の2ページ目を御覧いただきたいと思います。今申し上げましたように、このアクション・プランそのものは、関係省庁等が講ずべき施策をまとめたものですが、当然、この施策の実現につきましては、国のみならず、地方公共団体あるいはADR機関、あるいは利用者である国民の皆さんの御協力をいただきながら進めていく必要があるわけです。したがいまして、このアクション・プランにつきましては、昨年の11月に骨子案というものを取りまとめまして、この検討会においても御説明を申し上げたかと思いますが、その後、関係機関あるいは地方公共団体の御意見を伺うということで、昨年12月に東京、それから本年1月には大阪において説明会を開催するとともに、関係すると思われる機関につきましては資料を送付し、御意見を募集したところです。この御意見の内容につきましては、前回のこの検討会でも御紹介があったと伺っておりますが、そういった御意見も踏まえながら、今回の取りまとめに当たったということです。
 今後の予定ですが、先ほど申しましたように、司法制度改革推進本部の中では、別途ADR検討会におきまして、法制度整備を中心に議論を行っております。また、司法制度改革の一環としましては、全国のどのまちでもあまねく市民が法的な救済を受けられるようにするための司法ネット、仮称ですが、その整備を目指した具体的な仕組みの検討も進められているところです。したがいまして、今回のアクション・プランは、現時点で早急に講ずべきものを取りまとめたものですが、こういった諸般の検討状況も踏まえまして、アクション・プランの内容については、必要に応じて見直しを検討することにしております。
 また、2ページ目の最後のパラグラフですが、このアクション・プランは、言わば、国、行政機関とそれから裁判所が中心になってとりまとめたものですが、司法制度改革審議会の意見書におきましては、国のみならず、民間のADR機関なども含みました大きな連絡協議の場である関係諸機関等連絡協議会、こういったものの整備もうたわれているわけです。これにつきましては、国が音頭を取って取りまとめるということよりは、むしろ、民間の方の自発的な動きを促進していくということが私どもとしては望ましいのではないかと考えておりますが、さはさりながら、なかなかきっかけのないところで、これまで余り交流のなかった機関が集まっていくというのは難しかろうということで、今回のアクション・プランの中では、幾つか官民合同で行うような協議の場を設けることを提言しておりますが、こういった各種の共通の関心事項に基づく官民の話し合いの場が発展的に大きくなっていくことによって、この関係諸機関の連絡協議会ができるということを私どもとして期待しておりますし、そのために必要な支援も行っていきたいと考えております。以上、ちょっと長くなりましたが、全体の総論です。
 各論につきましては、先ほどの2枚紙の1枚目を御覧いただきますと、幾つかの柱があります。1つは、「ADRに対する国民の理解の促進」ということでありまして、2番目が「ADR機関等へのアクセスの向上」、3番目が「担い手の確保・育成等」ということですが、当検討会の検討項目との関係では、2番目の「ADR機関等へのアクセスの向上」が特に関連が深いと思われますので、その点を中心に、御説明をしていきたいと思います。資料1で申し上げますと、4ページからになります。アクセスの向上につきましても、幾つか柱がありますが、1つは「アクセス・ポイントの整備の促進」ということです。これにも幾つかの項目がありますが、1つは、「インターネット上のポータル・サイトの機能の充実」ということです。こちらについての具体的な施策ですが、まず、「具体的な施策」のアのところにありますように、ポータル・サイトの関係者、これは具体的には、今、幾つか民間のポータル・サイトが立ち上がりつつありますので、こういったポータル・サイトの運営者、あるいはADR機関等の利用者、それからADR機関など、こういった関係者から成る意見交換の場を設置しまして、ポータル・サイトの利便性を高めるための方策について検討したいということです。平成15年度早期に、こうした場を設置したいと考えております。その場でどういったことを議論していくのかということですが、これは例えば、利用者の観点からどういった内容が掲載されることが望ましいのか、あるいはADR機関の方からの情報がポータル・サイトに積極的、効果的に提供される仕組みはどのようなものがあるのか、あるいはポータル・サイトには場合によっては利用者からADR機関に対する評価、あるいは苦情といったものが寄せられることも考えられるわけですが、これをADR機関にどのようにつないでいくのか、検討項目例としてお示ししてありますが、こういった内容について議論する場を設けて検討を進めていきたいと考えております。また、イですが、先ほどの情報提供とも関連してくるわけですが、少なくとも行政型ADR機関、あるいは裁判所における情報提供の担当部署を明らかにするなどの措置を講じたいと考えております。
 5ページにまいりますが、エですが、ポータル・サイトへのアクセスを容易にするために、例えば、各府省等のホームページからポータル・サイトへのリンクを設定するなど、必要な措置を講ずるということも考えております。中ほどの留意事項ですが、今、申し上げたように、このアクション・プランにおきましては、現在民間機関のポータル・サイトが幾つか立ち上がりつつあるという状況も踏まえまして、こういった民間団体等の活動の充実に向けた環境整備を中心に掲げてありますが、ポータル・サイトの整備の方向性そのものとしては、例えば、民間のみならず、公的機関が何らかの形で作成、運営することも選択肢としては考えられると思っております。具体的には、国民生活センターなどにおいて、こういったことを検討されていると伺っております。
 次が「総合的相談窓口の充実」ですが、これは当然のことではありますが、ポータル・サイトのみならず、具体的な案内サービスを提供できるアクセス・ポイントが可能な限り国民に身近なところに存在することが望ましいわけでありまして、こういった紛争解決手段に関する幅広い情報提供や、あるいは他機関の紹介などを行う総合的相談窓口につきまして、既存の各相談窓口、あるいはADR機関などにおいて、そういった機能が充実強化できるような施策を掲げてあります。まず、こういった総合的相談窓口の候補としましては、5ページの最後のアのところですが、1つは各府省の消費者窓口、あるいは国民生活センターなどにおきまして、こういった機能の強化についての検討及び措置を講じたいと考えております。
 6ページですが、裁判所におきましても、その中立・公平性を損なわないような配慮をしつつ、同種の趣旨で措置を講じていきたいと考えております。また、ウのところですが、これ以外に地方公共団体、これは具体的には消費生活センター、あるいは警察も含めてですが、あるいは弁護士会の仲裁センター、あるいは法律相談窓口などにおきましても、私どもとしては、こうした総合的相談窓口としての機能が充実されるよう期待しているところでありますので、これらの団体機関との連携強化を図っていきたいと考えております。このうち、国民生活センター、あるいは消費生活センターにつきましては、別途国民生活審議会の方で議論が進んでいるということが注として挙げさせていただいております。また、これ以外に、では、具体的な情報提供機能の充実を図るためにどういったことが考えられるのかということが幾つかありまして、まず、エにおいては、a)ですが、各種ADR機関等が一覧で紹介されたリーフレットの作成を、平成15年度中に行いたいと考えております。また、総合的相談窓口に対する情報提供の体制につきましても、b)にありますように、行政型ADR機関、あるいは裁判所における担当部署を明らかにしたいということを考えております。カですが、総合的相談窓口と申しましても、具体的な窓口機能を果たすためには、それぞれほかのADR機関がどのようなことを行っているのかということについての情報をきちんと理解していただく必要がありますので、ADR機関などの御協力を得つつ、総合的相談窓口として期待される各機関の相談担当者あるいは事務局職員を対象としました研修会を、平成15年度中に開催したいと考えております。
 7ページにまいりますが、以上のように、総合的相談窓口につきましても、基本的には、既存の機関における相談機能の強化に焦点を当てておりますが、これも意見照会の過程でいろいろ御意見をいただいたわけですが、方策としては、国が新たな機関を整備することも選択肢としては考えられるのではないかと思っております。
 次が、「個別機関へのアクセス方法の改善」です。具体的な施策としては、例えば、アのところにありますように、ITの活用による照会、あるいは申込書のダウンロードができるようにするとか、そういったような内容が考えられるわけですが、これについては、速かに検討を開始するということを考えております。
 以上がアクセス・ポイントの整備の促進ですが、次に、相談機関あるいはADR機関等の相互紹介の体制整備の促進です。これまで御説明したアクセス・ポイントの整備というのは、基本的には、アクセス・ポイントにアクセスできないと利用できないわけですが、できるだけ多数のアクセス・ポイントを用意するとしても、直接一発でその場所に行けるとは限らないということになりますと、他の機関に行った場合でも、より適切な機関に紹介、連絡されるようなシステムづくりというものも併せて必要ではないかということで、2番目の項目を検討したわけです。具体的には、8ページの一番上にありますように、いろいろなケースが考えられるわけですが、いずれにしても、当初受け付けたところからより適切な機関へ紹介、引継ぎということが望まれるわけです。ただ、これは口で言うのは容易ですが、具体的には、引き継ぐ方と引き継がれる方の間に相当の信頼関係がないと難しい問題であるということは、具体的な実務に携わる方からも御指摘を受けているところでありますので、とりあえずは、アのところにありますように、こういった引継ぎについてのシステムの在り方についての検討を、先ほど申しましたように、官民の方々に集まっていただきまして、検討を進めていきたいと考えております。具体的な検討項目としては、そこに例がいろいろ掲げてありますが、利用者に「たらい回し」感を与えないようにするにはどのように円滑に引継ぎをするか、あるいは費用負担の問題、あるいは引継ぎ後のフォローアップの問題、こういった問題についてのモデル的なシステムについての検討をしていきたいと思いますし、そこで信頼関係ができれば、具体的なシステムとして動かしていきたいと考えております。
 それから、3番目が、ADR機関による利用者に対する情報提供の促進ということですが、例えば9ページですが、アのところですが、特に国の行政型ADR機関、あるいは裁判所等におきましては、情報開示コーナーの設置、あるいはホームページへの掲載など、必要な措置を講じていくということなどがあります。ただ、この情報提供につきましては、実は、ADR検討会におきまして、法制整備の一環としても、ルールとして今決めるか決めないか、決めるとすればどういった内容が考えられるかということについての検討が進められております。いずれにしても、すべて法律で決めるということは考えにくいわけでありまして、それを補完するものとして、例えば、ウにおけるような情報提供に関するガイドラインといったものについては、引き続きこの連絡会議において、ADR検討会の検討状況を踏まえつつ検討を続けていきたいと考えております。
 その他、幾つかの項目がございますが、時間の関係で、当検討会と関連の深い事項を中心に御説明をいたしました。

【高橋座長】 何か御意見、御質問がございましたらどうぞ。

【亀井委員】 質問です。これは誰が主宰してやるのですか。最初に、関係諸機関等連絡協議会が整備されると書いてあるので、どこかが主宰してやらないといけないのだと思いますが。

【小林徹参事官】 主宰といいますか、ここで掲げられている施策については、冒頭にちょっと申し上げましたが、それぞれ括弧の中に、関係する府省、中心になって実施していく府省が挙げられておりますので、ここが措置を講じていくということになります。また、それぞれ検討の場を明記したものなどもありますので、そういったものについては、具体的には、その場において検討するということになります。

【亀井委員】 誰かが促したり、やるように要請するのか。括弧の中に挙げられている府省だけに自主的に任せるという、そういう意味ですか。どこかが促したり求めたりするのかなと思ったのですが。

【小林徹参事官】 まず、行政庁が自らやる部分もありますし、それから、同じような趣旨で、関係の民間のADR機関にお願いをするものもあります。それから、幾つかのテーマについては、民間のADR機関の方にも御参加いただいて、協議の場において検討を進めるというものもあります。

【亀井委員】 そういう具体的なことが一つ一つについて設定されているわけですか。

【小林徹参事官】 はい。それは、私どもとしては、できる限り明確にしたつもりです。

【亀井委員】 例えば、行政型ならば、行政独自で自主的にやれと思うんです。多分、これは、民間型ADRがかなり入っていると思うんです。そういう場合については、どこか掛け声をかけるところがないと、何も動かないのではないかという気がするのが一つ、それから、民間型ADRは、それこそ自主性を持って始められた各種いろいろなものがあるので、余り行政が注文を付けるのもどうなのかなという気もしましたので、質問をしました。

【小林徹参事官】 まさにその両方を勘案しつつ、お願いをするものについてはお願いをすると書いてありますし、お願いするだけではなくて一緒に相談しましょうというものについては一緒に相談しましょうということで書いてあります。

【長谷部委員】 別の質問ですが、お話を伺っていますと、関係機関等の連携強化というときに考えられておられるのは、例えば、ある案件が来たときに、どこが一番適切な機関かというのは一応想定されていて、そこに割り当てられるようにというような、何というか、調整のようなイメージでお話を伺ったのですが、その場合に、例えば、ある1つの案件について、幾つかのADR機関なり、あるいは行政なりが共同して処理できるのだけれども、その間の競争を促進するというようなことは考えておられないのでしょうか。つまり、利用者の側から見れば、どこかに行けば必ず受けてもらえるということも大事だろうとは思いますが、ある1つの問題についていろいろな機関があって、そこで選べる、競争することによってサービスが向上されるという、そちらも重要だと思うのですけれども、余りそういった競争という感じはうかがわれないのですが、そこまでは考えておられないということでしょうか。

【小林徹参事官】 非常に難しい問題ですが、ADRの発展のためには、これはむしろADR検討会の方で議論がありましたが、キーワードとしては、「競争と連携」ということであろうと考えておりまして、決して、競争的側面といいますか、利用者の選択を活かしていこうという視点を忘れているわけではありませんが、ここで申し上げているのは、むしろ、本来、相談ではなくてあっせん・調停が必要だったものについて相談機関に行ってしまうとか、あるいは、もうちょっと専門的な機関でやった方がいいものについては、より専門的な機関に御紹介をするとか、そういう部分での引継ぎなり御紹介ということです。当然、同じレベルのものについて、それぞれの特色を活かしながら競争していただくということを否定しているわけではありません。

【長谷部委員】 たらい回しはよくないというようなことがいろいろ出てくるものですから、そういう現状を想定しておられるのかなと思ったもので、ちょっと質問させていただきました。むしろ、ある事件について、自分のところがやりたいやりたいという、取合いみたいな状況であった方が、利用者としてはいいのかなと思った次第です。

【小林徹参事官】 前提としては、できるだけ多くの特色を持った機関が、それぞれ特性を活かしつつ競争していただくということが質の向上につながるというのは、これはまだ検討中ではありますが、ADR振興の基本的な考え方だとは思っています。ただ、そうは言っても、特に行政型もあるものですから、そういう面が出てくるのだと思いますが、やはり、協力なり連携を図るべきところは図っていくということで、むしろ、このプランは、そこの部分に焦点を意図的に当てているということです。

【飛田委員】 お話をお伺いしておりまして、1つは、行政の中に公正取引委員会が入っていないんですけれども、それには何か理由があるのかということが1点です。
 それから、問題を抱えている人は、特に行政型のADR機関の場合などについて懸念されることなんですが、例えば、食品の場合でも、衛生面は厚生労働省、そして表示面、品質表示等については農林水産省というように、同じ問題が縦割行政の中でどう処理されていくのかという、その辺の問題の解決にマイナスになるようなことがないかどうか、本来でしたら、例えば、その分け方やくくり方というのはいろいろあるかもしれませんけれども、消費者保護ADRというような大くくりのものを設けて、もちろん、専門でやっておられる、それこそ経産省だとか農水省、それぞれの分担があると思うんですが、その辺のところを統合調整して、最終的には相談者にとってプラスになるような形に持っていくADRとするというようなことは、御検討の過程ではなかったのかということが1点でございます。
 それからもう1つは、ここでポータル・サイトで運営されていって、先ほどたらい回しのお話はございましたけれども、たらい回しの問題、別の角度から見ますと、同じ人が抱えている問題についての情報が、どのように送られていくかということなんですが、昔の伝聞で行きますと、最初スタートしたところから今度最後のところに行きますと大分ニュアンスが変わって、尾ひれが付いたり、問題が生じてくる場合があると思うんですが、例えば、もちろん、相談者の秘密やいろいろなことがありますが、カルテみたいなものですね。それを共有化するとか、そういったことをお考えになっていらっしゃるのかということ。
 それから、いろいろいなADRの方が、同じような問題を受けたときに、AのADRの受け止め方、解決の仕方と、Bのところに行った場合では、全く違う、そんなに大きく違わないかもしれませんが、つまり質的な標準化、あるいはもちろん特色があってもいいんですが、一定限度の標準化はどのようにして図られるかということですね。
 それからもう1つが、こういうところで判例等の紹介がさなれるかどうか。もし、解決がつかなければ、司法へのアクセス、最終的なアクセスにつなげることをこれらの機関の間で、これから協議されるプログラムの中にはそういったことの橋渡しが入っているかどうかという、以上ですが、お願いいたします。

【小林徹参事官】 まず、公正取引委員会の関係ですが、先ほどの2枚紙の2枚目の一番下を御覧いただきますと、構成員の中に2番目、公正取引委員会が入っております。そして、構成員として議論にはすべて参加していただいているのですが、具体的な個々の施策については、関連性の有無、公正取引委員会という性格もありまして、余り名前が出てこなかったのかもしれませんが、議論にはすべて参加していただいております。
 縦割りのものの統合のお話ですが、行政の縦割についての問題をすべてお答えするのは私にはとても無理ですが、趣旨としては、そういった縦割りの弊害ができるだけ少なくなるように連携を図っていきましょうということでもありますので、そのためのいろいろな施策を掲げているということです。組織の統合については、それが望ましいかどうかもいろいろありますから、趣旨としては、利用者にとって利用勝手のいいように、そういう連携を図っていきましょうということです。

【飛田委員】 共同で行うような、そういう話は出ていなかったのですか。例えば、省庁間で共同で行うような、そのときに応じて臨機応変にチームを組むとかですね。

【小林徹参事官】 そこまではまだ至っていないわけですけれども、より適切な機関に引き継いでいくというのは、その1つのステップだとは思っております。
 それから、カルテの共有化ということですが、関連するものとしては、8ページのところで、先ほどちょっと触れましたが、引継ぎシステムの在り方の検討の中で、1番目に相談メモの作成というのもありますし、2番目に引継ぎ方法として、個人情報の保護や利用者の意向に配慮した事案の引継ぎ手続などについて議論することになっていますので、具体的にカルテというスタイルがいいのかどうか別として、そういった問題については検討していきたいと考えております。
 それから、質的な意味での標準化というのは、これはまた非常に難しい問題でして、特に、民間ADRも含めて考えますと、それぞれ特色を持ったADR、先ほど御指摘いただいたような、ADRが、むしろその特色を活かしながら切磋琢磨していくのが望ましいという考え方もありますし、それから、ADRの解決方法は、11月のときに少し御議論になったかもしれませんが、判例などの法的紛争解決が少なくとも唯一のものではないだろうという御意見もありますので、この辺りはちょっと根本的な問題として、なかなか統一化というのは、むしろ望ましいことではないというのが、今の議論ではないかと思います。他方、ADRを利用することによって、司法救済を受ける道が閉ざされるということはあってはいけないことではあるので、これは、当然、大前提として考えております。また、ADR検討会の議論においても、一方では、そういった多様性を重視していくということは言われているわけですが、他方、もう1つの論点としては、信頼性の確保ということは重要であるということは問題意識としてありまして、この信頼性を確保するために、多様性を阻害しないように、どのように信頼性を確保していったらいいのかという議論は行っているところです。

【高橋座長】 御説明を伺って、我々同士で意見交換する時間をまた後ろに設けておりますので、我々の方からこうすべきだという議論は、また出していただければと思います。
 それでは、先ほど事務局から御説明がありましたもう1つの、大部の資料を出していただきました日本司法書士会連合会から、司法の利用相談窓口・情報提供に関する御説明をいただければと思います。日本司法書士会連合会の林副会長においでいただいておりますので、お願いいたします。

【林副会長】 日本司法書士会連合会の副会長の林でございます。この検討会におかれましては、司法制度改革の中にございまして、非常に重要な課題に真摯に取り組んでおられるということでありまして、連合会としても非常に感謝をし、敬意を表しているところでございます。今日、このような機会を設けていただきまして、本当にありがとうございます。私の方から日本司法書士会連合会を代表しまして、司法書士のリーガル・サービスの現状と、今後の司法のアクセス・ポイントの整備ということについて少しお話をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 私の方からは、今日お示しをしております「司法書士によるリーガルサービスの実状」という資料に基づいてお話しさせていただきますけれども、資料2-1から2-10については私の方から、資料2-11に書いてございます社団法人成年後見センター・リーガルサポートが実施する「全国一斉無料成年後見相談会」、これに関しては、本日、社団法人成年後見センター・リーガルサポートの大貫理事長が同行しておりますので、この部分については大貫理事長から説明をさせていただき、最後に、このアクセス・ポイントの在り方について少し意見を述べさせていただくということにさせていただきたいと思います。
 まず、説明をする前に、司法書士の現在の業務ということについて若干お話をさせていただきたいと思います。司法書士は、現在、約1万7,000有余名がくまなく全国に存在しておりまして、これまでに、特に国民生活と強く結び付いた不動産や商業登記、そして、裁判所に提出する書類の作成や相談業務を主要な職務として、国民に身近な法律家として国民と同じ目線で職務を遂行していると思っております。登記につきましては、不動産や商業登記、法人登記があるわけですけれども、こういった中で、司法書士としては、当事者に説明や助言をするなどして、当事者の利害を調整しながら、実体関係と当事者の意思を法律的に整理をし、後々の争いが生じない正しい登記を実現しようという形で、予防司法という観点から、国民に対し一定の役割を果たしてきたものと考えております。司法書士というのは、こういった登記の代理という法的手続について、これまで職能として比較的中立性、公正性といった特性を熟成してきた歴史がございまして、国民の権利を保護するとともに、不動産取引の安全についても重要な役割を果たしており、また、会社登記というものを通して、中小事業者にとっての法務部的役割というのも果たしてきていたのではないかと考えているところでございます。
 一方、裁判事務に関しましては、依頼者の困り事の相談に始まり、事情の聴取を通じて紛争の争点を抽出し、法律要件や事案の整理を、証拠の点検とともに行いながら、訴状などを作成してまいりました。司法書士の業務としての裁判所に提出する書類の作成というのは、単なる書面を作成するというだけにとどまらず、依頼者の求めに応じて訴訟などの裁判手続全般について説明・助言を行っているというのが実態であります。こういった依頼者に対して、作成した書面の趣旨や内容や手続上の位置付けなどを説明して理解を得るという、いわゆるインフォームド・コンセントというのは、司法書士の裁判事務では必須の作業でありまして、こういった作業を通しまして、国民の裁判を受ける権利を、書類を作成、いわゆる本人訴訟支援という形でサポートしてきた職能であります。また、司法書士は、相続や土地・建物の売買とか、賃貸借、高齢者の財産管理を中心とする成年後見問題などの国民の誰もが遭遇する身近な問題を始め、消費者の生活再建にかかわる問題など、幅広い相談に応じております。これは、これからお示しする資料によって御覧いただけるのではないかと思っております。また地域によって、自治体や消費者センターなどの相談や、苦情窓口相談員としての役割についても参加をし、その法的解決に向けて連携活動を行っております。更に、この4月1日に、改正司法書士法が施行されました。これに基づきまして、司法書士に簡裁の事物管轄を上限としました訴訟、和解、調停の代理や、裁判外の和解の代理が新たに権限として認められるようになり、今後、少額な紛争や、生活に関わる紛争について、まさに専門家として活動することができるようになりました。この代理権の付与とともに、これまでは弁護士しか認められなかった法律相談権というものが、司法書士にも、簡裁の範囲ではありますが認められることになり、今後は、司法書士を通じて、国民の司法へのアクセスの拡充が一層図られるものと考えているところでございます。ちなみに、現在、訴訟代理権行使のための研修というものを4月26日から開始することになりまして、その準備を進めているところですけれども、第1回の特別研修は、全国で4,000名弱の受講が今のところ予定されておりまして、今年度中では1万人程度の会員が受講するものと考えているところでございます。
 このように、国民が、日常生活の中で法的問題に遭遇した場合の気軽な相談や、現実の紛争の内容、程度、段階に応じました多様な解決方法を示すということは、我々個々の司法書士や司法書士会が今までに実践していたことでありまして、つまり、司法へのアクセス・ポイントということについては、専門家としての司法書士の特性は活かし得るものと考えている次第でございます。
 それでは、資料に基づきまして説明をさせていただきたいと思います。まず、資料の2-1、2-2、2-3についてでございます。資料2-1については、全国の50の司法書士会における様々な相談窓口とアクセスの状況を図にまとめたものでございます。ここにあります青い円と棒線でつながれている部分、青い楕円というのは、各司法書士会が独自の活動を行っているものでして、緑の円というのは、対外の活動に司法書士会が参画をしているものであります。まず、青い大きな円内の各支部というものを御説明をしたいと思います。私どもは、その所属する各司法書士会に、各地域ごとに支部という組織を設けておりまして、各支部において相談活動を行っております。資料の2-3、ちょっと細かい資料ですけれども、御覧をいただきたいと思います。これは、地裁や家裁、簡裁の管轄地域における司法書士会の支部の分布と司法書士の数をまとめたものでございます。既に同じような内容については、最高裁の方から資料提供をしていただいておりますけれども、この資料2-3は、司法書士会の支部という形で加えてございます。これを見ていただきますと、簡易裁判所の管轄内においても、司法書士会は、その中に地域的に細分化した支部という組織を実は持っておりまして、会員というのは、その支部のどこかの支部に所属しているという形になっております。このように、司法書士会としては、地域というものを組織的、網羅的にカバーをしている、そして、地域での国民の司法へのアクセス機能の一端を担っていると考えております。ちなみに、前ページに戻っていただきまして、資料2-2を御覧いただきますと、これには、司法書士の所在状況が示してございます。昨年の7月9日のデータですけれども、全国市区町村の3,241のうちの2,007市区町村、61.9%の市区町村に、司法書士は事務所を構えております。また、簡易裁判所のレベルで申し上げますと、全国簡裁数438について433か所、98.9%の簡裁管轄地域に、司法書士は事務所を構えているというのが御覧いただけると思います。
 続きまして、資料2-4を御覧いただけますでしょうか。ちょっと細かい資料で申し訳ございません。これは平成13年度ですけれども、全国の司法書士会や各支部がどういった場所で相談を行ってきたかという窓口の内容を示したものでして、その開催日時や具体的な開催場所、そして、その相談件数が示してございます。これを見ていただきますと、例えば、開催場所では、司法書士会館や会員の事務所は当然としましても、それ以外にも、市区町村や福祉センター、その他様々な公共機関、更には、デパートとか、スーパーマーケットなどでも、いろいろな場所で、これらの相談会を開催をしております。これを御覧いただきますと、単なる司法書士会の会館や市区町村の場所以外にも、アクセス・ポイントとして利用できる場所というのは、いろいろ考え得るのではないかということが示唆されているのではないかと考えております。これらの相談会を実際に開催する場合に、どのようにPRをしているかということですけれども、新聞や市区町村の広報は当然ですけれども、それ以外にも、ラジオやケーブルテレビなどでも実際に取り扱っていただいておりまして、そのため、相談件数も相当数上がっております。ただ、全体的な合計件数をお示しするとよろしいのですが、まだ全体として集計ができていない部分がございまして、全国の合計数をお示しすることができませんので、この資料2-4の中で、カラーで色付けがされている会の細かな内容について、12ページ以降に少し細かいデータを載せさせていただいております。これは、札幌、神奈川、京都、兵庫、沖縄県会における具体的な相談の内容、その件数等を示してございます。これを見ていただきますと、どういった内容の相談を受けることがあるかということがわかると思いますけれども、全般的な傾向としましては、やはり、相続に関する問題がかなり多いということと、これは昨今の状況かと思いますけれども、多重債務関係、いわゆるクレ・サラ関係の相談というのが、現在の相談項目の中では圧倒的に上位を占めているということが、各県の相談内容からもおわかりいただけるのではないかと思っております。ちなみに、これらの司法書士会の相談活動というのは、すべて無料相談でございまして、相談者には、金銭の負担というものは一切いただいておりません。どのようにやっているかとお思いかもしれませんけれども、こういったものについては、各司法書士会で予算を組んで、相談担当者の旅費や日当を支給しているというのが実情でございます。この内容については、各会に応じて実は異なっておりますので、今日の段階ではお示しできませんけれども、そういった形で対応しておりまして、また、町村からこういった相談活動をやってくれと頼まれた場合、例えば、神奈川県会などのデータは、市町村の方からお願いをされたケースですけれども、こういった場合については、神奈川県の役所の方から費用が出るわけですけれど、これについては、司法書士1人当たり2,000円から大体5,000円程度の予算を組んでいただいて対応をしていただいているということです。
 続きまして、資料の2-5を御覧をいただたければと思います。この資料の2-5は、今お示ししましたデータの中の、平成14年10月1日から10月7日までに実施した平成14年度全国一斉司法書士法律相談の全国データを集計をしたものでございます。1ページ目を見ていただきますと、これもやはりどういった相談内容が多いかということが、このグラフでおわかりいただけるかと思いますけれども、ここでもやはり、相続関係の問題とか、クレジット・サラ金関係の相談を始め、誰でも起こり得る身近な相談が多いのではないかということが御覧をいただけるかと思います。次のページでございますけれども、これは、この相談会のときにお越しになりました相談者の職業、それから、年齢別をグラフで表わしたものであります。次の3ページ目をめくっていただきますと、これは、何でこの相談会を知ったかというデータを取りましたら、ここにも書いてございますように、やはり、新聞とか市町村広報、ポスターといった形で、こういった媒体を通じて、国民の方は相談会にお越しになっていることが御理解いただけるのではないかと思っております。
 次に、資料2-6に入らせていただきます。これについては、地域司法拡充ということで、司法書士会で相談センター設置をする活動を開始しました。この活動は、司法書士が国民の身近な法律事務家として全国あまねく地域に根差し、国民の権利擁護等、救済の担い手として、現在全国5か所に設置をしております。まだ活動を始めたばかりですけれども、この目的とするところは、国民の司法へのアクセスの障害を緩和し、更には取り除くということを目的にしております。また、後ほど説明します消費者教育ということも、このセンターでは範囲としまして、総合的に、地域住民が司法に関心を持てるような形で、予防司法から裁判に至るまでの相談活動を行うという形で考えております。なお、このセンターについては、各司法書士会が主宰して設置をしまして、司法書士会独自にそれぞれ運用しているという実情がございます。
 次に、資料2-7でございます。これは、少額裁判サポートセンターの関連資料ということで提示をさせていただきます。少額裁判サポートセンターは、昨年、当検討会で当連合会が御紹介をさせていただいたもので、昨年7月から設置をしたものでございまして、現在、全国50か所の司法書士会で開設をしております。このセンターでは、市民が直面している少額の紛争の解決に向けて司法書士が相談を無料で行って、様々な裁判手続について市民の裁判をサポートしているのが現状でございます。この資料の中の後段部分、3枚目、4枚目を御覧いただきたいと思います。これは、少額サポートセンター利用者アンケートということで、短期間ではありますけれども、このセンターを利用した方にアンケートを取ってみました。実際、そのセンターを利用してよかったかどうか、どういうところが問題点なのか、少し整理をするためのアンケートを取ったものでございます。短期間ですけれども、まずは、このセンターをどういう形で利用したかということを見ますと、やはり、裁判所や市区町村等の機関から紹介を受けて、このセンターにお見えになったということがわかるのではないかと思います。それから、相談員は司法書士ですけれども、相談員が専門家であるからという答えも見られると思います。相談の満足度とその理由ということで、少し細かく書いてございますけれども、概ね満足をいただいており、特に、その結果の満足については、よく話を聞いてくれたとか、今後の方針を立てることができたというようなことが見られております。また、センターにお見えになる前に、やはりいろいろな機関で相談をして利用されているというケースが多いものですから、これらの機関の比較をしてどうかということを聞いてみました。これについては、やはり、相談者の方は、よく話を聞いてくれたということで、満足であるとの回答が多いということがわかるのではないかと思います。要するに、相談者である国民と、相談員である専門家が直接面談をして、悩みや困り事について丁寧に対応するといったことによって、国民の悩みというものが解決できている、そういった実情があるのではないかというのが、この利用者アンケートからうかがえるのではないかと思っております。
 次に、資料2-8でございます。これは、災害時における司法書士無料法律相談件数ということで、阪神・淡路大震災と東海豪雨のデータを示してあります。災害時においては、司法書士が、そのときどきの国民の求めに応じまして、社会的な問題にも取り組んでまいったわけでございます。未曾有の被害に見舞われました阪神・淡路大震災には、被災住民の抱える切実な問題を対処するために、被災者である地元司法書士会員ばかりではなく、全国会員の有志が被災地域に入り、約2年間で2万7,000件の相談活動に当たりました。私もこのとき、リュックサックを担いで阪神に行った記憶がございます。また、私は愛知県の出身ですので、この東海豪雨災害についても経験をしております。私の事務所も水につかりましたけれども、こういった中で、愛知県の司法書士会では、洪水が引いた翌日から直ちに相談会を開催して、約1週間で183 件の相談を受け、迅速に対応したということが、このデータでおわかりいただけるかと思います。
 次に、資料2-9を御覧いただきたいと思います。これは、先ほどADRの説明の中でも若干説明がありましたけれども、法律教育の関連の資料でございます。中・高校生に対する法律教育への会員派遣を、当連合会としては積極的に考えております。当連合会としては、司法の重要性ということを考える場合に、この司法教育というのは、自己責任を求められる社会の中で正しい自己決定、自己判断をするために必要な基礎教育だという認識を持っておりまして、とりわけ、リーガルマインド、人権感覚の養成というものは、公平・公正な国民生活の上で最も重要であると考えて、10年前頃からこの活動を実施しております。とりわけ、近年、弱年層の消費者問題解決ということが急務になっておりまして、私どもとしては、社会に巣立つ前に、社会生活に必要な基本的な法律知識や法的な考え方の習得というものが求められているのではないかと考えております。要するに、問題が起こってから、紛争が起こってからという対応だけではなく、問題が起こらないようにする予防司法の観点や、被害に遭わないということを超えまして、司法と国民を結び付ける観点というものも求められるのではないかと考えているところです。この事業につきましては、各高校等では、多くは、公民や家庭科の授業の一環として取り上げられておりまして、この中で、大体はクレジットやカード契約といったものの理解を中心に、場合によっては寸劇なども取り入れて、わかりやすい授業を行っております。私ども司法書士は、日常のそういった相談を受けていることから司法教育、生きた司法教育というのは可能だろうと考えておりまして、これに取り組むことは、社会に対する司法書士の役割だという認識を持っているところであります。この資料2-9を御覧いただきますと、様々な学校に派遣をしております。とりわけ、高等学校を中心に進めております。特に平成13年度は340校を数えまして、今年度、平成14年度については400校を超えるのではないかと推定しております。こういった法教育というのは、これから司法とのアクセスということを考える上において、今後も検討する必要があるのではないかと考えているところで、この資料を提供させていただきました。
 私の説明させていただきます資料の中の最後としましては、資料2-10でございます。資料2-10は、民事法律扶助事業において、司法書士の関わりのある書類作成援助についての資料でございます。これは、財団法人法律扶助協会からの資料提供に基づいて作成をしております。平成12年10月に施行されました民事法律扶助法において、新たに書類作成援助というものが法律扶助事業として認められまして、司法書士が、この法律サービスの提供者に加わることになりました。この書類作成援助というのは、開始後2年を経過しておりますけれども、司法書士による書類作成というのは、平成13年度で約1,000件、平成14年3月18日現在で約1,750件と、着実にその援助件数を増やしていることが御覧いただけるかと思います。また、先ほど申し上げましたように、この4月1日以降、司法書士法改正ということになりましたので、簡裁の事物管轄での代理援助の担当者として、また、相談登録司法書士制度を始めとする法律相談援助についても、そのサービス提供者として期待をされているのではないかと考えております。この法律扶助制度というのは、国民の裁判を受ける権利を実質的に保障するという極めて重要な制度であるという認識を持っておりまして、私ども司法書士が、この制度を担う一員として、その責任を十分に自覚し、法律扶助制度の中で新たな役割を果たして、この制度を国民にとって利用しやすいものにしていくといった使命が与えられているのではないかと考えているところです。
 それでは、最後の資料2-11の成年後見についてですけれども、日本司法書士会連合会は、この成年後見制度に関する法制定に合わせまして、後見人や後見監督人の供給や、高齢者などの権利擁護をするために、司法書士を正会員とする社団法人成年後見センター・リーガルサポートを設立し、全国的な活動を今開始しているところです。先ほど申し上げましたように、今日は、特にこの説明について同センターの大貫理事長を同行しましたので、この資料の説明及び成年後見に関する現在のアクセスということに関して、大貫理事長の方から若干御説明をしていただきたいと思います。

【大貫理事長】 今日は、このような席で発言する機会をいただきまして大変光栄に思っております。よろしくお願いいたします。今日の資料といたしまして、資料2-11と、それから、今日は「いつも、あなたのそばに。」というパンフレットを用意いたしましたので、2つの資料を中心に御説明したいと思います。よろしくお願いします。
 成年後見制度というのは、御存じのとおり、判断能力の不十分な方の財産や権利を守るための制度でありますけれども、やはり、この成年後見制度を適正に運営するためには、受け皿が必要だと思っております。と申しますのは、本人というのは、判断能力が不十分ですので、長期にわたって安定してなおかつ公正に支援する必要があるからでありまして、それらのところから、今、説明がありましたとおり、1999年の12月に、この社団法人成年後見センター・リーガルサポートを設立いたしました。会員は現在3,100人、司法書士会員が今1万7,000人おりますので、そのうちの約2割弱が、私どもの正会員となって活動しております。本部は司法書士会館にあり、各地に支部が置かれております。支部につきましては、このパンフレットの最後に紹介したように、北は旭川から南は沖縄まで、全国50の司法書士会館の中にこの支部が置かれておりまして、具体的な後見活動をしているところであります。成年後見制度がスタートしてから3年が過ぎましたけれども、まだ、残念ながら十分に知られておりません。したがいまして、家庭裁判所への申立て件数も、まだ思ったほど伸びておりません。これでは、せっかくつくった新しい制度が使えなくなってしまうということを恐れておりまして、私たちは普及に全力を傾けているところであります。
 どのような活動をしているかにつきましては、パンフレット13ページに紹介したような活動を通じて、普及に努めているところであります。そのうちの1つが、今日御説明いたします資料2-11の全国一斉無料成年後見相談であります。この事業は1999年から始めておりまして、50支部挙げての事業として考えておりまして、今年実施いたしますと4回目になります。相談日というのは、9月の老人福祉週間に合わせまして、その前後の日を選んで全国で行っております。資料を御覧になっていただくとわかりますけれども、平成12年、13年、14年度は、着実に伸びでいることはわかると思います。東京、神奈川、埼玉、大阪、兵庫等では、去年より減っている支部もありますけれども、これは、各支部におきまして、日常的に相談体制を敷いておりますので、この全国一斉の相談のときではなくて、そちらの方に流れたことも一因かと思っております。また、支部によっては、きめ細かな対応をしているために、電話でなくて、直接面談による相談に来ていることもありまして、そのようなことが原因ではないかと思っております。3ページ目でありますけれども、相談内容は、成年後見だけでなく、財産管理全般、親なきあとの問題、介護、消費者問題など、多数にわたっております。特に、平成14年度の相談内容を見ますと、これは4ページでありますけれども、死後の事務などの高齢者特有の問題が関わっておりまして、かなり広範囲にわたっていることが注目されると思っております。そして、5ページでありますけれども、成年後見というのは、福祉や介護などの問題と密接に絡んでおりますので、社会福祉士等の専門家に相談員をお願いしております。しかし、相談だけでは解決しないケースが多いので、手続を進める段階では、福祉関係者との打合せを確保しておく必要があります。これから、ネットワークの構築は重要な事業だと思っております。
 社団法人成年後見センター・リーガルサポートといたしましては、全国一斉無料成年後見相談だけでなく、各支部におきまして、電話等による相談を随時受け付けております。そして、具体的な対応をしなければいけない事案につきましては、地域の会員を紹介しまして、具体的な解決を担っております。そして、病気あるいは身体が不自由だと、そういった理由で来訪できない人に対しましては、施設等へ出張いたしまして、具体的な相談に乗っております。また、地域の実情に合わせまして、相談会、講演会、それから出前講座と名付けた出張講座等を行っておりまして、ここでもいろいろな相談が寄せられるところであります。このような普及活動を通じまして、福祉関係者にとりまして、成年後見制度を上手に利用できるような状況になったのではないかと考えております。
 以上が資料の説明ですが、司法へのアクセスという面から3点ほど指摘したいと思います。1つでありますけれども、今まで、施設、病院、家庭では、いろいろな法的な問題が起こりながら、それが法的レールに乗れることなく処理されてきたという実態があったと思います。しかし、成年後見制度の創設とともに、その担い手として司法書士が登場いたしまして、利用者である高齢者、障害者、そして家族とのアクセスを強めることができたと考えております。成年後見制度を契機にして、司法書士が、地域社会において、より身近な相談相手となりつつあると考えております。同時に、関係機関である市町村の高齢者福祉課、社会福祉協議会、民生委員、施設の職員、ケアマネージャーとの間で接点が生まれておりまして、そのようなところから、司法書士が地域では頼りにされているといった実態があろうかと思います。
 2点目でありますけれども、今まで、高齢者が悪徳商法に狙われたり、財産や生命まで奪われている消費者問題が数多く起こってまいりました。また、最近では、介護契約にかかわるトラブル、それから、有料老人ホームにかかわるトラブルが起こっております。これは1つに、情報量が少ないことや、高齢者の権利を代弁する人がいなかったことも原因であります。嫌なら施設から出ていけと言われた人もいるくらいであります。しかし、このような被害につきましても、成年後見制度を利用することにより、救済する道が開かれたのではないかと考えております。
 3番目でありますけれども、現在、成年後見人に選ばれている人の86%が親族であります。残りの14%が司法書士、弁護士の第三者であります。このように、圧倒的に親族が多い実情でありますけれども、この親族というのは、契約あるいは法律に疎い面がありまして、知らず知らずのうちに権利侵害を起こしてしまうことも少なくありません。そこで、私どもとしては、家庭裁判所の審判により選ばれた親族に対して、支援していく必要があると考えております。
 具体的には、親族後見人のアドバイザー、あるいは監督人としてフォローしていきたいと考えております。
 このようにいろいろな活動をしておりまして、当リーガルサポートは、社団法人でありながら、積極的な実践活動を行っております。そして、最近におきましては、民間企業との協力関係にも力を入れております。民間企業も、財産管理、保険、信託、介護等を通じまして、成年後見制度の利用と密接な関係がありますので、私どもは協力関係を結びまして、この利用の促進に努めているところであります。今日お配りしましたパンフレットに、リーガルサポートの組織のこととか、内容が詳しく書いてありますので、是非とも御覧いただければありがたいと思います。

【林副会長】 以上で、私ども日本司法書士会連合会並びに成年後見センター・リーガルサポートの資料説明を終わらせていただきますけれども、最後に、このリーガル・アクセス・ポイントといいますか、これについて少し意見を述べさせていただきたいと思います。
 小泉総理大臣の発言によります、法的紛争を抱えた国民が気軽に相談できる窓口を広く開設する、全国どの街でも国民が法的なサービスを受けられるよう、司法ネットの整備を進める必要があるという見解については、当連合会も全く同感でありまして、身近で利用しやすい司法を実現をするという今回の司法制度改革においては、この改革の実効性を担保するものとして、こういった制度構築がなされ、国民の司法へのアクセスが実際に確保されるということであれば、このような構想については、積極的に発展、推進させるべきものと考えます。しかしながら、この設計を考えるに当たって、私どもとしては、今申し上げました内容から、2点ばかり御指摘をさせていただきたいと思います。
 まず、こういったポイントを、どのようなところに、どのような数を置くかという問題であります。今申し上げましたように、国民というのは、あらゆる地域において、リーガル・サービスというものを求めているという実情が御覧いただけると思います。少なくとも、私どもとしましては、こういったポイントというのは、各簡易裁判所管轄内に設置をする必要があるのではないかと思っております。また、先ほど事務局からも説明がございましたように、簡裁の事物管轄が、簡裁機能の充実の観点から140万円に引き上げられるということが予定されておりますし、また、少額訴訟における目的の価額も60万円に引き上げられると聞き及んでおります。 こうなりますと、今後、簡裁の役割というのは、当然に拡大をするわけでして、こういった簡裁の役割の拡大ということと、国民の利用する身近なところにこのポイントがあることによって始めて国民が利用しやすいと言え、こういったことが相まって、身近な司法が実現すると言えるのではないかなと考えるところであります。
 2点目は、こういったアクセス・ポイント、組織といいますか、こういった組織でどのような形でこれを運営するかということだと思います。これについては、広範囲な法律問題について専門家がサービスを提供するためには、当然に、このサービスを提供する専門家の協力、連携がなければ、こういった構想は計画倒れになってしまうのではないかと考えるものであります。こういった組織を担う人材というものを法曹に限定するということであれば、なかなか需要は賄い切れないだろうと考えますし、広く人材を求めて体制を整える必要があろうかと考えるものです。具体的には、こういった組織のスタッフとして、弁護士や司法書士などの専門家の活用や、法律扶助協会や弁護士会、司法書士会、先ほど説明がありましたADR機関とか、行政機関との有機的な関連、連携が求められるのではないかと思います。そもそも、従来は、縦割行政の枠ということで、いろいろな制限がございますが、こういったリーガル・サービスを提供するという場合については、人材や機関との実効性ある横断的なつながりが必要ではないかと思うものであります。そうするためには、それぞれの職能や機関の独立性といったものは維持をしながらも、国民へのリーガル・サービスの提供という大目標のための観点から、積極的な協力体制を構築していく必要があるのではないかと考えます。司法書士は、今後、こういったリーガルサービス・ポイントにおける人材の供給源として、また、現在、行っているリーガル・サービスの担い手として、こういった構想について司法書士を活用していただきたいと考えるものでありますが、私どもとしましては、このアクセス・ポイントといいますか、リーガル・サービスというものが、利用者の立場に立ち、実際に利用しやすいものとして正しく制度設計がされ、国民の司法へのアクセスの拡充に役立つよう、当連合会、また各司法書士会、そして私ども一人一人の司法書士も、今後とも積極的に対応していきたいと考えておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 今日は、こういった機会を設けていただきまして、本当にありがとうございました。以上で説明を終わらせていただきます。

【高橋座長】 ただ今の御説明に関しまして何か御質問がありましたらどうぞ。意見交換は後でやりますから、ここのところがよくわからないというようなことがございましたらどうぞ。

【始関委員】 今、林副会長からも、大貫理事長からも、ネットワークの構築が大事だというお話がありましたが、聞き落としかもしれませんが、大貫理事長が挙げられた専門家との連携の中に弁護士が挙がっていなかったようです。
 日本弁護士連合会には、成年後見関係も取り扱う委員会として、高齢者障害者の権利に関する委員会という委員会があり、この委員会のメンバーの方々とお目にかかっていろいろお話を聞かせていただいたことがありまして、そのときの記憶では、今日資料でいただいた司法書士会の成年後見に対する取組みに比べますと、全国的な支部の設置などは、弁護士会の方が遅れているという感じを受けたのですが、それでも、その委員会のメンバーの先生方は非常に真面目に、情熱を持って、一生懸命取り組んでおられまして、弁護士会の成年後見への関与の体制も急ピッチで改善されていっているという印象を受けております。司法書士会は前から非常に一生懸命やっていただいているわけですが、同じ法律専門職同士としての連携ということも大事だと思いますが、その辺りはどのように考えておられるのでしょうか。

【大貫理事長】 弁護士会との連携にも相当力を入れております。具体的に申し上げますと、最近、難受事件というのが増えておりまして、例えば、被後見人が民事介入暴力の関係から狙われているとか、そういったかなりきわどい問題が増えておりまして、今、具体的に起こっている問題が全国で数件あります。そういったときに、日弁連の民事介入暴力委員会の先生方に支援いただきまして、具体的な体制を取っているところであります。その他、今日は紹介しませんでしたけれども、各地におきまして一人暮らしの方がいて、何も問題なければいいのですが、やはりそこにいろいろな消費者問題でありますとか、今言ったような問題、いろいろな問題が起こっておりまして、なかなか私どもだけでは解決できない問題が増えております。そういうときにも、弁護士会とは、本当に協力関係を結んで、今解決に当たっているところであります。

【飛田委員】 中・高生に対する法律教育ということを積み重ねておられて、10年ぐらい前から実施されているということでしたけれども、資料2-9の後ろのところを見てまいりますと、正規授業としても取り入れられているというこの体制が整えられているということがわかりましたが、この学校の数といいますのは、次第に増えてきていて、これは私ども消費者の立場で出席させていただいているものですので、どんどんこういった傾向を強めていただければということを思っておりますが、この辺のところの今後の御計画とか、正規授業としての位置付け等を確立するための、これもやはりネットの中でいろいろと教育関係の方たちには入っていただく必要があるのではないかと思いますが、御苦労とか問題点がありましたらお教えいただきたいと思いますが。

【林副会長】 ありがとうございます。今、委員がおっしゃったように、当初、私どもが始めたときに、私どもが講師に参りますので、こういった講義を設営してもらえませんかというお話を学校にしたときに、やはり学校のカリキュラムと言いますか、そういうものが固定をされていまして、それ以外を入れるというのは非常に難しい状況でありました。本当に、徐々に徐々に、学校の先生方が自分たちの生徒さんが卒業するときにこういう教育が必要なんだなと実感してくれるようになり、当初は特別授業みたいな形で対応してきました。それが、こういった形で、当連合会としてもよりきちっと取組みをし、各学校の方もいろいろな取組みをしていくうちに、確かに市町村単位、県単位によって非常に取組みの多いところと少ないところ等の実情はございますけれども、卒業を迎える生徒に対する正規の授業として、先ほど申し上げました社会科や家庭科の授業の中で取り入れられたというのが実情でございます。我々としては、できれば、こういった科目というのは、きちっと学校カリキュラムの中に取り入れられるべきではないかと考えておりまして、文部科学省等にもいろいろ陳情したり、こういった実情をお話をしましたが、なかなか取り入れていただけないという状況でございます。今、おっしゃられたような、こういった学校の先生方との関係についてですが、現在、法教育ネットワークという、法教育に熱心な学校の先生方や法律実務家等、様々な会員により構成されている組織がございまして、そこに当連合会も法人会員として参加をさせていただきまして、学校関係者との連携も進めております。今後のアクセスポイントにおいて、このような組織がマネージメントするような形で、法教育を考えることも重要ではないかと考えるところであります。

【高橋座長】 また適宜御意見を伺うこともあろうかと思いますが、とりあえず日本司法書士会連合会からの御説明はいただいたということでよろしいでしょうか。
 それでは、司法の利用相談窓口・情報提供の方の意見交換に入りたいと思います。

【飛田委員】  先ほど質問させていただいた関係で、ちょっと補足させていただいてよろしいでしょうか。

【高橋座長】 どうぞ。

【飛田委員】 何もかも統一的な、何と申しましょうか、どこかが上から指令をして、統一化を図るということを申し上げたかったわけではないという意味でございます。ただ、個性があっていいけれども、それぞれ同じ問題を抱えていた人が、Aのところへ行ったときとBのところへ行ったときと、例えば解決の仕方に大きな差が出てくるようなことがありますと、それからまた、これからどのような形のサービス内容になるか、実際に動き出していらっしゃるところも、有料のところもあるし、そうでないところもあるわけですが、どのようなサービス内容にどれぐらいのサービス料金を支払うべきかとか、それから質の低下をどのようにして食い止めるかというのは大変大きなテーマではないかという気がいたします。そういう意味で申し上げた次第です。

【高橋座長】 では、我々として、こういう点をどうすべきかという意見交換をお願いいたしますが、いかがでしょうか。
 先ほど、お聞きしていて、長谷部委員から出ました、競争と平準化というのはどのようにバランスを取っていくのか、料金が安ければ質が悪くてもいいのかとなると、そうでもない。経済学的にはそうなるのかもしれませんが。その辺りは難しいものだなという、そんなことも感じましたが、とにかく、いろいろと御意見をお願いします。

【山本委員】 ADR機関について若干お伺いしたいことが2点ほどあります。ADRも大きく分ければ、調停型と仲裁型に分かれると思いますが、ここでADRの整備と言われるときには、どちらを主に念頭に置かれているのかという点があいまいでして、もう少しその辺りをお伺いしたい。純粋な相談型という、一方当事者だけが相談するというのは差し当たりここでは置いておいていいと思いますが、当事者が対立するような場合について、どちらを主として考えておられるのかということがよくわかりませんでした。それが1点です。
 もう1点は、ファイナンスの問題です。ADR機関のファイナンスの問題、今、飛田委員の御発言に対する高橋座長のコメントにもありましたけれども、ファイナンスの問題をどのように考えていくのか、つまり、ファイナンスがある特定のセクターに偏ると、そこでの中立性・公正性というものが疑われるということが一方にあり、かと言って、高い料金を当事者に転嫁しては成り立ちにくいという、ADR機関にはジレンマがあると思います。その辺りについて、現在のアクセス・ポイントの検討、あるいは、むしろADR基本法の問題なのかもしれませんが、その辺りについての検討状況について、少し、現状でお話しされている範囲内でお教えいただければと思います。

【小林徹参事官】 まず、最初の御質問につきましては、これは頭の整理としては、特に仲裁を始めとして裁断型も含みますし、それから、調停などの調整型も含み得るということで、ここは特に意識しているわけではありません。ただ、日本の現在の状況からすれば、基本的には調整型が中心になっているのではないかと思いますが、これはあくまでも実態の問題でありまして、頭の整理としては、特にそこの差異を設けているわけではないということです。
 2番目のファイナンスの問題は、これは非常に大きい問題でして、どこから御説明すればいいかちょっと難しいのですが、まず、これは、アクセス・ポイントということではなく、むしろADR機関の運営全体の問題としてお話をしますと、ADR機関は、設置主体で分けますと、司法型、行政型、それから民間型とあるわけですが、司法型と行政型につきましては、これは言わば国が相当程度負担をしていると、それぞれの政策的な必要に基づきまして負担をしているということですので、問題は民間型ということになろうかと思います。民間型のファイナンスにつきまして、国がどのように関与していくのかということについては、これは、今、ADR検討会でも議論しておりますが、2つほど大きな問題を整理する必要があるのではないかと考えております。1つは、紛争解決手段としては裁判がありまして、これは裁判を受ける権利というものが憲法上も保障されており、それを実質的に保障するものとしていろいろな制度ができているわけですが、他方、当事者間で話合いをするなり、あるいはADR機関を利用するということになりますと、そこまで国が直接的な支援をしていくべきかどうかという議論がありますし、更に、ADRの中で見てみましても、先ほど申しましたように、一般的には司法型がありますし、それから、裁判では実質的に、特に社会的に弱い立場にある方の権利救済の実効性が図れないと判断されるものについては、むしろ積極的に行政型ADRを設置して、運用しているということを考えますと、それに加えて、民間型ADRに対して直接支援するのが望ましいかどうかという点がありまして、これについては、少なくとも慎重に議論する必要があるのではないかというような議論が行われております。また、ADR側の方につきましても、理想は、お金は出すが口は出さないということだと思いますが、しかし、実際にそういう支援を受けるということになりますと、心理的な面も含めて、なかなか難しい面もある、そういうメンタリティーもあるようでして、少なくとも、直接的に個々の民間型ADRを支援していくということについては、今申し上げたようないろいろな問題があるということが議論されている状況です。では、国の支援ということでなければ、今度は、利用者に負担していただくということが1つの大きな選択肢になる訳ですが、これはまさに弁護士法との関係が問題になってくるわけでありまして、専門家を活用しつつ、しかし弁護士法72条の立法趣旨が損われることのないようにどういった方策が考えられるのかということについて、現在、ADR検討会で議論しているという状況です。

【藤原委員】 このADR機関に関して、事務局の御説明を伺っていて感じたことがあるんですけれども、それは、基本的にはまだ必要最低限のところまで行っていないのが実情だなという感じで、これはまだ改革の範疇に入らずに、改善とかそれ以下のところをまず整備するということを前提に御説明いただいたたような気がしたので、まず、それは、急ぐのはもちろんのことであって、まず、それが整わない限り、民間も含めて、ADRの質を担保するということは難しいなという感じがしました。要は、現在はどこへ何を相談していっていいかがわからない、もちろん、おわかりになる方はいらっしゃると思いますけれども、不幸にして、そういう問題を抱えてしまった人がわかりやすい情報としては、まだまだ提供されているとは言い難いという状態なので、まずそれは当然のことながら、行政型のものは大急ぎでその整備がなされるべきだという気がしております。そして、それが整備されるということが、全体の質的な向上には、大変大きく役立つわけですから、質の問題を問う前に、まずこれは大変重要なことではないかなという気がしました。
 それから、質が担保された上で、新たにどうやって、競争という言葉がいいのか、それとも選択の余地を広げるという考え方がいいのか、ちょっとその辺は言葉遣いを慎重にしなければいけないのかもわかりませんが、とにかく良質なサービスが、すなわち、質が悪いところに下どまりするのではなくて、質のよいものが全体のレベルを上げていくような仕組みをどうやってつくっていくか。それによって、一般の国民は恩恵こそ受けられるわけですけれども、それを弁護士との関係で少し問題が生じるかもわかりませんけれども、まず、それで不便を感じるということはないのではないかと思います。
 それから、ちょっとびっくりしたのは、改革の中で、まだ改善のところが大半を占めているというペーパーだったので、まだまだ頑張っていただかなくてはいけない部分が行政サイドにはあるんだなという印象を受けました。

【飛田委員】 紛争処理の問題についてですね。例えば、消費者問題などで、悪徳な事例が多発しているような場合があるんですが、あるADR機関で処理を行ったと仮定しますが、そのときに、被害の拡大防止の役割というのをどのように持つかということが問われてくると思うんですね。個々の事例のみに、消費者問題だけに限らないと思いますが、目を奪われていますと、背景にある、例えば特定の事業者の悪徳行為、事業者群の悪徳行為というのもあるかもしれませんが、法律とか制度の不備がもしかしたらトラブルを生んでいるというようなケースもあるかもしれないわけです。その辺まずは機関をつくっていき、基本的な条件整備が、今、藤原委員のお話もございましたけれども、そちらが先決なんですが、その後、スタートする過程では、必ずそういう問題が出てくると思いますので、何を目指し、どういう位置付けで行うかということをしっかり見ていきませんと、例えば悪徳な行為の場合、高齢者をだますような行為の場合でも、相談員の方などのお話を伺っていても感じることがあるんですが、余り責め過ぎて、その事業者が倒れてしまうと、その人は救済されないのではないかということもあるわけですね。そういうことになりますと、その事業者を野放しにしておいていいのかのという問題もありますが、大変難しいさじ加減の問題もあるし、警察とも連携をどう図っていくかとか、被害救済の実質性をどこで確保していくかということなども、両方天びんにかけたりする必要も生じてくることがありますので、この制度を発足させていくに当たっては、きめ細かくトラブルによって思い切った措置を講じていかないといけないような気がしております。例えば、先ほど公正取引委員会のことをお聞きしたのは、公正取引委員会の下というわけではないんですが、各事業者団体の方たちが、公正取引協議会というような組織を設けていて、それが総合のネットと言いましょうか、全国連合会というものもつくっているわけですが、そういう組織も、ADR活動に関心を持っていらっしゃって、実際にしているところもあるわけです。そのような活動もあったものですから、先ほど公正取引委員会のこともお聞きした次第なんですが、事業者団体がお金を出して、そして、お金を出して口も出すというのですと、問題が生じてまいりますので、それが全国組織であれば少し薄まってくるのかもしれませんが、財源をどうするかということも、中立性、公正性を確保する上での重要なポイントなので、この辺も、特に民間のものに関しては慎重にやっていきませんと、問題が生じてくるだろうと思います。もちろん、そういったことは、ADR検討会でもお話が十分出ていることとは思いますけれども、そういうことを考えますと、アクセスしやすくするためには、数が多い方がいいし、いろいろな顔をしたグループがあってもいいのかもしれないのですけれども、財源等の問題、質の問題なども考えながら、しかも、被害の拡大未然防止を図るのか、個々の問題だけでいいのか、また、そこで解決したけれども、この問題についてはこうしましたよということを類似のADR機関に情報提供することも必要だろうと思うんですが、個人の情報の漏れがあってもいけませんし、処理の仕方についてのスタンスがどうであったかというようなことなどの情報提供は今後の課題ですね。そういうことなども多分重要な要素になってくるのではないかということを、お話を伺いながら思った次第です。

【高橋座長】 今、前半で言われた後始末のことですが、一般的に、個別紛争の解決を超えて、例えば、悪徳業者の名前を公表して、全国の市町村に行けば名前が掲示されているとか、自動車などではリコール制等がありますが、そういうことをお考えなんでしょうか、それとも、そういうことではないことをお考えなんでしょうか。

【飛田委員】 公表制というのは、とても有効な手段だろうとは思いますが、大変質の悪い犯罪者集団、詐欺的な集団というのは、名前をどんどん変えるんです。巧みにあちこち行って行います。この名前だけを覚えていたのではあなたが狙われる可能性もありますよという情報が付いてこなければいけないと思います。でも、座長がおっしゃるように、公表というのは大変重要だと思いますが、今までは、行政ですと、どうも軸足が事業者の方に寄りがちなケースもありましたり、余りにも慎重過ぎて後れてしまったがために、被害が拡大していったようなことも実際ありました。いろいろ配慮しなければならないことがありますから、すべてとは申しません。

【高橋座長】 アクセス・ポイントが、仮に公表やリコールということまですることになりますと、少し質が違ってくる感じがしますが。

【飛田委員】 いろいろなところがあると思います。私が申し上げたのは、むしろADRや、あるいは仲裁は、私たちが心配しているところがあるんですが、そういった裁判に近いような形の最終的な解決を目指す、最終までいかないかもしれません、そういうところのことを先ほど少し述べさせていただいたんですが、結局、裁判がうまく機能しますとですが、現状では、なかなか消費者問題などは、余り機能していないという問題があるんですが、判例が積み重ねられていけば、それが1つのよき情報ともなってくると思うんですが、ADR機関なり何なりが、行政型のところでもそうなんですが、それぞれが抱え込んでしまって、ですから、データベース的なものも必要になってくると思うんです。

【高橋座長】 わかりました。そういうことですね。

【小林徹参事官】 先ほど、時間の関係で、最後を若干省略したのですが、今、飛田委員が御指摘になった点は、資料1の9ページ以降に若干触れさせていただいています。9ページの一番下のところに、「(2)各ADR機関による解決結果に関する情報の的確な提供の促進」ということで、1つは、国民が選択するための手段として、あるいは予測可能性を確保するために、解決結果に関する情報が提供されることが望ましいということでありまして、ただ、具体的な施策につきましては、今、いろいろ御指摘がありましたように難しい問題もございまして、結局、引き続き連絡会議において検討することになっております。10ページの最後のところに、先ほど委員が冒頭お話になった紛争の再発防止、あるいは同種の紛争の迅速な解決、特に消費者問題、ある意味で生命安全に関わるような問題です。こういったものの取扱いは、また別途の判断が必要だと思いますので、これも検討項目ということです。先ほど、まだここまでしかいっていないのかという御指摘を受けましたけれども、まさにそういう状況です。

【高橋座長】 はい、わかりました。

【亀井委員】 先ほど司法型とおっしゃいましたが、これは、裁判所の調停なども、この中に含めて考えているわけですか。

【小林徹参事官】 はい、民事調停、家事調停も視野に入れたものです。

【亀井委員】 ADR基本法というものによって、それらすべて民間の、民間にもいろいろなものがありますが、そこまで含めて、1つの法律で括ろうということですか。

【小林徹参事官】 これは非常に大問題で、まだ結論が出ているわけではありませんが、少なくとも、そういったものも視野に入れてと言いますか、最初から除外することなく検討を進めていきましょうということです。例えば、ADRに関する基本的な理念とか、あるいは国の責務などを考える際には、当然、司法型、あるいは行政型も考えに入れていく必要があろうかと思います。他方、具体的な手続でありますとか、あるいは現在のADRですと、どうしても訴訟と比べて若干見劣りする点、あるいは使い勝手が悪い点についての改善を、例えば、時効中断などで検討していますが、そういったことを考えていく際には、当然、司法型でありますとか、あるいは行政型については、既に措置されているものもありますし、別途規定があるものもありますから、そういうものは自ずと除かれていくと思います。最初からADRの対象として除外していくということは考えていませんが、それぞれの法律もありますし、これまでの歴史もありますから、それを無視して、何か一律の規定を設けていくということを考えているわけではありません。

【亀井委員】 ADRに関係していて考えるのですが、日本の場合には、ADRを推進すると言っても、なかなか難しい要素がたくさんあると思います。例えば、訴訟が膨大で、裁判所で対応し切れないからADRを使おうというところが意外に多いわけです。日本では、私も弁護士会のADRをやってみて、裁判所に対する信頼が、やはりまだまだかなりあります。ですから、ADRでやるということが、市民に対してまだまだ説得力がないんです。特に企業に対して、知財の関係も私は関係していましたけれども、企業は、裁判所に対する信頼の方がかなりあるというのが、今の実態だろうと思います。アメリカなどでADRがものすごく膨大に発達しているのは、やはり陪審の反射的な部分、弊害を解消するということと、あとは専門家を自分で選んで仲裁委員会を構成できるとか、そういう特別な効果がないと、日本の場合は、ADRを即推進するということが、なかなか難しいと思います。しかも、今は、我が国の場合は、ADRを推進する以前に、司法アクセス、裁判所の機能を充実して、そこにアクセスするのがどうかということの方がまだまだ大事な世の中だろうという感じがします。そういう意味では、藤原委員がおっしゃるように、まだまだADRというのは、初歩の段階なんだろうと思っています。弁護士会による仲裁センターも、なかなか数が伸びない。今、全国で15ぐらいあります。東京弁護士会なども、つくってからもう10年近くなりますが、やはり年間150件ぐらい、3つの弁護士会で別々にやっていますが、年間約500件です。やはり、裁判所と競争するなどというところにはまだまだほど遠い。ただ、東京弁護士会では、被害者側ではなく、加害者側からの申立てが意外に多いんです。例えば、交通事故の加害者が、追及に耐えかねて、自分の方から裁判は起こせないから仲裁に、というようなことが多いんです。ですから、そういう意味では、そういう特色を活かしてADRを進めていかなければならないというときに、1つにまとめて国が絡んで何かをまとめてしまうというのがいいのかという感じが、今のところしています。そういう意味では、やはりこの部分も、慎重な手続をしてほしいと思います。

【始関委員】 ADRは、日本は、アメリカなどと比べるとまだまだ初歩的な段階だという今のお話はそのとおりだと思いますが、さはさりながら、非常にたくさんADR機関があって、恐らく、全体像がどうなってるのかよくわからないような状態にある。ですから、恐らく我々でも、それから弁護士の先生方、司法書士の先生方ですら、どういう紛争にどういうADRがあるのかすらわからない。ましてや、一般国民は全然わからないという状況ですので、裁判所ももっと充実していただかなければいけないというのは、今、亀井委員がおっしゃられたとおりだと思いますが、裁判所のアクセスだけではなく、やはり、ADRへのアクセスも併せてアクセス・ポイントから情報を流して、それがまたADRの活性化になっていくということがあるのではないかと思います。それから、同じことが、いろいろな相談業務についてもあると思います。今日、日本司法書士会連合会から詳しい御説明をいただいて、非常に熱意を持っていろいろな活動をしていただいていることがわかりましたし、前回は、日本弁護士連合会からも、非常に意欲的な取組みをしていただいていることを御紹介いただいたわけですけれども、ADRにせよ、相談にせよ、各団体あるいは各役所などはそれぞれ一生懸命やっておられますが、それが単発になってしまっていて、それが全体的な1つの姿になっていないというところに問題があって、それをどうやって統合するかということは、先ほど小林徹参事官もおっしゃられたように、そういう筋合いではないと思いますので、ここで我々が議論すべきものは、その独自性をそれぞれ活かしながらも、どうやって連携をつけてやっていくのかということを考えなければいけないのではないかと思ってお話を拝聴していました。それとともに、先ほど、司法書士の先生方も、弁護士やほかの士業の方々ともいろいろ連携を取るようにされておられるということをおっしゃっていただいたわけですが、まだまだそういうこと自体も、必ずしも十分ではない。意欲はあっても、なかなかお互いの垣根があってうまくいかないというところもあるだろうと思いますので、少しでもそういう垣根を取り払うような方策等があるのかどうかということも検討していく必要があるのではないかという気がしました。

【高橋座長】 今日は議題がもう一つございますので、また、この問題は次回も議論の機会があります。次回は、私ども司法アクセス検討会の観点からいろいろと御提言をいただきたいと思います。
 では、ここで少し休憩をおかせていただきます。その後で、弁護士報酬の敗訴者負担の取扱いの問題に入ります。では、休憩にします。

(休 憩)

【高橋座長】 それでは、再開します。弁護士報酬の敗訴者負担の取扱いについての検討に入ります。最初に、事務局から資料説明をお願いいたします。

【小林久起参事官】 お手元に資料3があります。それから、司法制度改革審議会の意見書の関連部分の抜粋と、第12回検討会の資料12と資料13、民訴費用制度等研究会報告書の抜書きを資料にしたものですが、これらも、参考までにお手元にお配りしております。それを踏まえまして、資料3の御説明をさせていただきます。
 1は、司法制度改革審議会の意見書において、検討すべき事項、それから配慮すべき事項として記載されていることをそのまま記載したものです。2、3、4は、第12回検討会の資料12と資料13から、民訴費用制度等研究会報告書で議論されたことの項目だけを抜き書きしたものです。
 まず、1のところですが、司法制度改革審議会の意見書におきましては、「検討すべきである」、あるいは「配慮すべきである」というような視点が示されているのは、①から③に掲げたところがあるかと思います。これは、司法制度改革審議会の意見書の順序に従って並べているわけですが、①のところでは、「敗訴者に負担させる金額は、勝訴者が実際に弁護士に支払った報酬額と同額ではなく、そのうち訴訟に必要と認められる一部に相当し、かつ当事者に予測可能な合理的な金額とすべきである」と、このようなことが述べられております。それから、②のところでは、「敗訴者負担制度が不当に訴えの提起を萎縮させるおそれのある場合には、このような敗訴者負担を適用すべきではないと考えられる。このような敗訴者負担を導入しない訴訟の範囲及びその取扱いの在り方、敗訴者に負担させる場合に負担させるべき額の定め方等について検討すべきである」、このように記載されています。その次の③のところでは、「この検討に当たっては、訴訟救助、法律扶助などの他の制度との関連や弁護士報酬の負担の在り方に関する国民の理解にも十分配慮すべきである」、このように記載されているところです。
 続きまして、2のところで、「敗訴者に負担させるべき額の定め方に関する主な考え方と検討課題」として記載しましたのは、民訴費用制度等研究会報告書、第12回検討会の資料12の内容から、骨子を抜き書きしたものです。なお、これにつきましては、①で、例えば、「上限の金額を定め、その範囲内で裁判所が決定する方式」、つまり、ある程度裁判所の裁量を広く考えるような考え方、②としまして、「訴訟の目的の価額を基礎として定める一定の割合とする方式」、③として、「請求認容額を基礎として定める一定の割合とする方式」などが示されています。また、民訴費用制度等研究会の報告書では、日本弁護士連合会の報酬等基準規程に定められたあるべき着手金額を敗訴者に負担させる方式なども実は示されていますが、これを記載しなかった趣旨は、本日、司法制度改革のための裁判所法等の一部を改正する法律案の御説明をしましたが、弁護士の報酬規定について、これを会則の規定から削除すると、それによって弁護士報酬の透明化、合理化を図るというような改革がされる予定ですので、民訴費用制度等研究会報告書当時と前提が変わってくることから、ここでこれを選択肢として掲げるのはいかがなものかということで、記載していないわけす。具体的な議論がどうされたかは、お手元の第12回検討会資料12を参照してください。
 3の「訴えの提起を萎縮させない方策に関する主な考え方」につきましては、第12回検討会資料13に幾つか書いてあります。民訴費用制度等研究会報告書では、①〜③、①と②は方式で、③はむしろ考え方というような形で言われていますが、①は、「裁判所が政策形成型の訴訟と認めるときは敗訴者負担を免除するという方式」、これは非常に裁量的な考え方、②は、「労働事件、行政事件等のように類型を設定して、敗訴者負担を排除する方式」、これは定型的な考え方、このような2つの考え方が、方式として検討されたようです。その上で、③は、これは別の視点だとは思いますが、「政策形成型の訴訟の提起は、法律扶助ないし公的機関等の援助のもとに行われるべきものであるとの意見」、このような意見もあったと整理されています。
 4は、「関連する主な問題点と検討課題」ということで、これは、司法制度改革審議会の意見書等についても、取扱いの在り方というようなものが記載されておりまして、様々な関連する問題点が出てくるであろう、それについて、特に民訴費用制度等研究会の報告書に、関連すると思われる問題点が指摘されていた部分を抜き書きしたものです。その他の検討課題もあろうかと思いますが、これまでの民訴費用制度等研究会の報告書と司法制度改革審議会の意見書の内容から抜粋して整理した論点です。

【高橋座長】 資料4で、日本弁護士連合会の前回の説明の補足というのがありますので、日本弁護士連合会から御説明をいただければと思います。

(各委員了承)

【津川日本弁護士連合会前副会長】 ありがとうございます。前回、日弁連の方からプレゼンテーションをさせていただきまして、その際、各委員の方から御指摘があった点につきまして、再度その補足ということで、資料4を用意いたしましたので、その説明をさせていただきたいと思います。前回に続いて、日弁連の前の副会長の津川から説明をさせていただきます。
 それでは、資料4を御覧ください。1ページでございますが、これは、前回の日弁連の資料4-2で控訴審におけるデータを出しましたところ、一審のデータも出すべきではないかという御指摘がございました。そこで、その御指摘はごもっともだということで用意させていただいたものであります。これを御覧いただきますと、前回の資料4-2の控訴の総事件数が1万6,530件であるわけですが、その母数になっているのが、今回の資料4で言いますと、「対席事件」の「認容」の3万7,584件と、「棄却・却下」の1万1,339件を足したものであろうと思います。平成13年でいきますと、今申し上げた数字ですが、合計しますと4万8,923件でございます。前回の資料として提出させていただいています資料4-2の事件総数1万6,530件が控訴されたということになっておりまして、したがって34%、約3分の1強が控訴されているということになります。そして、前回に御説明させていただきましたけれども、そのうちの半分ぐらいが「和解」もしくは「取消」ということで、内容が一審の判決と異なった結果になっているというようなことでありまして、いずれにしても、訴訟提起の事前予測というのはなかなか難しいということが、これでもわかるのではないかと思います。
 資料4の(2)に、「判決における認容率」というものがあり、事件ごとのものを出してみましたが、ここで言う認容率というのは、こちらでそういう数字を出しておきながら、このような説明をするのはいかがかというところもありますが、この認容率というのは、ここにあります「認容」に対する「棄却・却下」との関係での割合を言っているわけであります。したがって、一審で最初に提訴されたすべての事件に対する認容率というわけではございません。司法アクセスを促進するということとの関係で、事前予測の可能性がどうなのかということを検討する立場から、この資料を見るとすると、ここに言うような認容率ということではなくて、むしろ、全事件総数の中での認容されている割合というものを考えるべきではないかと思います。そのようなことで、例えば、資料4の1ページの(1)のところを見ていただきますと、「欠席」のところで、「認容」が3万112件と「棄却・却下」が333件とありますが、この「欠席」という事件は争われていないわけですから、争われる事件の中で認容率がどの程度か、逆に言うと、そうではないものがどの程度かというのを検討してみましたところ、事件総数が15万7,451件ですので、そこから「欠席」の「認容」3万121件と、「棄却・却下」の333件を引きますと、争われたであろうと思われる事件は、12万6,997件になります。その12万6,997件のうち、認容されずに棄却・却下になった件数は1万1,339件、それから和解で終わった事件は5万1,205件、それから取下げになった事件は2万1,234件というものの割合を見てみますと約66%になります。このことは、原告が訴訟提起をするに当たって、事前に求めた結果と異なった結果として、一審段階での結論が出ているということを示すもの、逆に言うと、同じ母数で認容率3万7,584件を割ってみますと、そこの言うところの認容率は29.6%、約30%と、ここから見ても、結果論としてではなくて、司法アクセスの促進云々を考えるときに、重要な裁判に、これから対面するに当たって、訴訟に対応するに当たっての事前予測の可能性ということから考えますと、やはりそう簡単ではないということがわかると思います。これは、我々の実務家の感覚とよく一致していまして、やはり裁判というのは、やってていくことの中でドラスティックに変化していくものであるというような実感とも一致しております。
 次に、資料4の2枚目でございます。これは、前回の日弁連のプレゼンの中で、司法制度改革審議会の意見書で、勝訴しても弁護士報酬を相手方から回収できないため訴訟を回避せざるを得なかった当事者の存在についての状況、これを検討しました、それについて日弁連としてアンケートをしましたということを御報告させていただきましたが、その際に、消費者相談員に対するアンケートで、ほぼ勝つことができるだろうという見通しがあった場合で、それで各自負担ということになるような場合に、裁判をするかどうかについてどのような意識状況にあるかということで、「起こさない」、あるいは「多分起こさない」という回答が14%でしたという御報告をさせていただきました。そういう場合に、その他の、例えば裁判を「起こす」とか、「多分起こす」とか、あるいは「わからない」というような回答状況がどうであったかということを、念のために、このようなグラフにして出させていただきました。ここから、むしろ各自負担の制度の下でも、75%は、提訴する方向に動く、つまり、各自負担の下であっても、「起こす」、あるいは「多分起こす」ということであるんだということがおわかりいただけると思います。
 次のページは、これは新たなデータですが、ここにありますように、前のところで14%の方、つまり勝訴の見込みが高い、それにもかかわらず、各自負担ならば裁判を起こさないと答えた14%の中で、それではそういう人たちは、敗訴者負担だったら起こすということになるのだろうかという問題意識の下に、14%の人に、ここの(α)というところですが、「あなたが勝訴した場合に、あなたの弁護士報酬の相当分を相手方が支払うと変更した場合、現状の制度の下でより、裁判を起こしやすくなりますか」という質問をした場合、それから、(β)というのが、「あなたが敗訴した場合に、相手方の弁護士報酬の相当分を支払わなければならないとすると、裁判をより起こしやすくなりますか」という質問をした場合、この2つ、要するに、敗訴者負担というのは両面あるわけですから、勝った場合は相手方からもらえますけれども、負けた場合は相手方に負担しなければならないことになるわけですから、その両面の質問をしてみたということであります。弁護士というのは、当然、両面の説明をいたしますので、(β)の場合ということになるわけですけれども、そのような場合に、14%の人の中でも、敗訴者負担になっても、「とても裁判を起こしやすくなる」という人はおりません。「裁判を起こしやすくなる」という人は2%、「どちらかと言えば裁判を起こしやすくなる」という人が5%、合わせて7%なんです。逆に、敗訴したらあなたが費用負担するんですよなどという説明を受けてしまうと、「どちらかといえば裁判を起こしにくくなる」が39%、「裁判を起こしにくくなる」が23%、「とても裁判を起こしにくくなる」というのが8%で、合わせて70%が起こしにくくなると答えているわけです。そうだとすると、ここからわかることは、14%の方々がいましたけれども、その方々に対する解決として、敗訴者負担制度を導入することが解決になるのではないのではないかと、そういう敗訴者負担制度を導入することによって解決できる問題とは違うのではないかということがおわかりいただけるのではないかなと思います。
 次のところは、そうした14%の消費者相談員の方々について、敗訴者負担制度の導入により、裁判を利用しやすくなると考えているかどうかについて分析してみたものです。具体的には、「勝訴した者の弁護士費用を敗訴した者が負担する制度を導入した場合、弁護士への相談や民事裁判の利用を、あなたは相談者にアドバイスしやすくなりますか」という質問をしてみたわけです。そうすると、「とてもアドバイスしやすくなる」と考えている人は2%、「アドバイスしやすくなる」と考えている人は3%、「どちらかと言えばアドバイスしやすくなる」と考えている人は21%、この3つを合わせて26%程度です。 逆に、「とてもアドバイスしにくくなる」というのが7%、「アドバイスしにくくなる」というのが5%、「どちらかと言えばアドバイスしくくなる」というのが23%、合わせて35%います。また、「どちらとも言えない」というのが38%いるわけです。そうすると、ここでも、勝訴は確実だけれども、各自負担ならば裁判を起こさないと答えた14%の人についての対策として、敗訴者負担制度を導入することによってこれが解決されるというのではなく、別個の要素が働いているのではないかということがわかるのではないかと思います。
 次に、前回の質疑応答の中で、片面的敗訴者負担について、前回の日弁連の意見書では、行政訴訟と、そのほかに3つ挙げておりましたけれども、それ以外には考えていないのか、検討していないのかという御質問が藤原委員からありました。その後、短時間ではありましたけれども、その間に検討したところでは、今のところ、我々としては、やはり、公益の実現を図るような訴訟、そういったものについては、司法アクセスを促進するという観点からは導入することが考えられるだろうと、具体的には、現在、導入がいろいろ検討されていますが、これは将来問題になると思いますけれども、団体訴権によって訴訟をしているような原告の場合です。それから、これも現在、制度導入が検討されているようですけれども、公益通報者保護制度による被害救済を求めるような訴訟、こういうものについては、従前提案させていただいてものに加えて、導入が検討されてよろしいのではないだろうかと考えております。
 本日は、資料3ということで、敗訴者負担制度が不当に訴えの提起を萎縮させるおそれのある場合には導入すべきではないと、そして、それを導入すべきではない範囲、その取扱い方を検討されるというお話がありましたけれども、前回、私ども日弁連として、意見書で申し上げましたように、こうしたおまとめであれば、原則導入することになりそうな気がいたします。しかし、司法制度改革審議会の意見書としては、やはり、前回の日弁連の意見書の7ページ以下に申し上げましたように、導入の原則例外ということではなくて、司法アクセスを促進するという観点から、導入する範囲、そして、逆に導入しない範囲、少なくとも両面から検討していくような問題提起が必要なのではないかということを補足させていただいて、補足説明を終わらせていただきたいと思います。

【高橋座長】 それでは、少し時間が詰まってきておりますので、早速議論をしていただきたいと思います。資料3で、別にこの順番に拘束はしませんけれども、このような順番があるということを念頭に置きつつ、どなたからでも御意見をお願いします。

【亀井委員】 資料3を見ると、一番最初に額の問題ということですが、これは、理屈としても、何かおかしいのではないかという気がします。導入する範囲、例などが決まったときに、では額はどうするのかというのが筋ではないかという気がします。昨年の6月に、第6回検討会で資料6というものを事務局の方から出されまして、そこには、負担させることができる制度を導入する根拠が一番最初に出てきているわけです。この辺りを議論する前に額から入るというのは、いかがなものかという感じがしています。特に、資料3の1の②を見ても、今、津川弁護士が述べられたように、これは、例外を先に議論するということだろうと思います。適用すべきではない事例をというと、これが例外、原則導入なのかなということを、裏から考えざるを得ないと思います。そういう意味から言えば、昨年の6月にも私は同じことを申し上げましたが、導入する事案の根拠、それから導入しない訴訟の範囲、根拠、それをパラレルに一緒に議論すべきではないかという気がします。導入するものが決まったときに、では額はどのぐらいが妥当なのかというのが、順序立てではないかという気がします。そういう意味から言うと、やはり、②だけというのも変なので、導入すべき場合と導入してはいけない場合というのを一緒に議論して、個別具体的にでも構いませんが、議論すべきだろうと思います。

【西川委員】 正論だろうと思いますが、今日、この庁舎の入口を入ってくるときに、いつものようにデモンストレーションがありました。先ほどのデモンストレーションを聞いていると、大企業が弁護士を雇って訴訟をする場合に、負けたときに1億円、2億円と言っていたのか、2億円、3億円と言っていたのか、そういう弁護士費用を払わなければならないといったのでは、とてもではないけれども、訴訟を起こせなくなってしまいますと、このようなことを言っているわけです。我々の検討会としても考えるのが、弁護士に実際3億円使ったときに、負けた場合に3億円を払えというイメージの議論なのか、そうではなくて50万円なのか、100万円なのかという議論なのか、この辺りを少し収束させておかないと、議論が極端になっていくのではないかという気もするものですから、私どもは、やはり、並行的に進めるよりも、金額のイメージというものをまず議論をして、それを念頭に置きながら、どういう訴訟について導入する、導入しないという議論をしていった方が進めやすいのではないかと思います。

【始関委員】 私も、西川委員と全く同じことを申し上げようと思っていました。訴えの提起に関して、弁護士費用の敗訴者負担をさせるべきではないものを決めようと思うと、前提として、負担させるとすれば幾ら負担させられることになるのかということがまず決まらないと、具体的に、ではこの類型はまずいでしょうという議論をすることが難しいのではないかと思います。私も、先ほど、この庁舎の前で、負けた場合は億単位のお金を負担させられると言っているのを聞きました。私自身は、それほど大きな額になるとは夢にも思っていませんでしたので、驚きました。皆様方はどのようにお考えなのか、まず、それを聞いた上でないと、敗訴者負担をさせない類型をどう考えるべきかというのが、具体的なイメージとして議論できないのではないかと思います。

【藤原委員】 私はもうちょっと違った理解で、今までにいろいろなお話を、まだ十分ではないかもしれませんが伺っていて、敗訴者負担というところだけを取ると、それによってどういう弊害が起こるかというところにすぐ議論がいきますが、敗訴者負担を支えている考え方自体が、今の21世紀の裁判というのは、そもそもどういう骨格を持ってなされるべきかと、そのときに、弁護士の費用というのは必要不可欠な費用と見るのか、見ないのか、そこで自分が勝ったときに、その部分は勝ったけれども、しかし膨大な、自分が勝手にしたとはいえ、全くそれに関しては保障されないのかという、もっと裁判の骨格に関わるところがまず議論されて、そして当然のことながら、とてもそんなことでは裁判も起こす気にもならないようなところに線が引かれるのであれば、それは、当然、私自身その立場にあろうがなかろうが、それは問題だという気がします。だから、裁判という仕組みを支える骨格を、21世紀のこの時代に、我々は何が骨組みとして必要不可欠なのかということをまず考えるときに、敗訴者負担というのが本当に理不尽なのかどうかという議論が1つあると思います。
 それでは、訴訟を起こしにくくなる場合というのはどういう場合があるのか。私は、日弁連の方々のお考えはよくわかっているつもりで、大変うなずけるところもありますが、それは、どちらかというと、制度的なものよりは、むしろ運動的な、社会運動なり、キャンペーン的な色合いが強くて、そのムーブメントが制度をつくっていいのかどうかというところです。だから、制度をまずはっきりさせて、そして、ムーブメントが働きかけられる部分というのはどこなのか、それは、例外的なケースとして、こういう色合いの強いものとか、こういう場合には除外するということを議論すべきではないかと思います。
 それから、前回は片面的な敗訴者負担のお話がありましたけれども、それは多分、その次に来ることで、むしろ、今、我々が議論しようとしていることから考えると、少し先走った議論なのではないかという感じがしています。だから、先に、金額がおおよそどの辺りという、言わば肌感覚でみんなが共有できるというのはすごくプラクティカルで、それはすごく重要だと思いますし、その肌感覚が50万円、100万円というレベルと、何億円ということで乖離があるということ自体は、大変問題だと思います。それから、やはり裁判というのは、どういう骨格でなされるかということをぐちゃぐちゃにしたまま、では50万円ならいいや、100 万円ならいいやという議論は、消費者としては、50万円、100万円でも大変大きな金額なので、一般の人には、そこは多分もてないかなという気もします。だから、プリンシプルとして、私は、亀井委員のお考えに同意するところですが、議論の質としては、骨格を議論しているところと、司法アクセスを広げていくための議論のはずなのに、真向からそれをしにくくするような、改善ではないところはどのように担保していくのか、改悪には絶対しないというところをどう担保していくのかという議論は、少し異質のような気がしています。だから、そこは、できるならば線を引いて考えたいと思っています。そして額は、億の線というのはとてもあり得ない、私はないと思っていますので、そして、もしそういうことになるとしたら、しかし、それでもって何らかの我々の社会がよくなることに寄するようなもの、資するようなもの、それを多分、とりあえずは「政策形成型」と呼んでいるのだと思いますが、ものすごくあやふやなカテゴリーですから、そういうような場合は、他から費用の手当てがあるとか、そういう考え方もあり得るかなと思っていますので、その骨格のところで、敗訴者負担が全面的に理不尽であるという方の根拠というのは、まず1回はしなければいけないのではないか。もっとも、多分、そういう議論がもうなされているから、敗訴者負担は一応理不尽な制度ではないというところまで到達した司法制度改革審議会の意見書を受けて、この検討会は議論をしているのだというところに立脚しないと、すごく議論が混乱したままになると思います。だから、私は、基本的に、片面的敗訴者負担制度は、少し距離を置いて、後で考えればいいだろうと思っています。

【高橋座長】 議論の仕方の議論ということで、今、数名の委員の方からお話がありました。藤原委員がまとめていただいたようにも思いますが、前回申しましたように、司法制度改革審議会の意見書を前提にして、我々は議論しようということになっていたと思います。ただ、司法制度改革審議会の意見書も、絶対に間違っていないというわけではありませんから、そういう点の確認はしてもいいのですが、余りそこに重点を置かずに、各論的な議論に入ろうということになっていた思います。そして、各論の検討順序については、鶏と卵みたいなところがありますが、これまでの委員からの御発言ですと、意見をまとめるつもりはございませんが、敗訴者に負担させるべき金額について、各委員がどのぐらいを適当と考えているのかをまず開陳していただいた方が、次のステップに行きやすくなるという感じも受けますが、いかがでしょうか。

【亀井委員】 やはり、金額というのは、先に議論をしてしまうと、例えば、今おっしゃったように、では10万円なら導入しない訴訟類型もそんなに問題にならないでしょうということにどうしてもなるだろうと思います。だから、額から検討するというのは、本末転倒だと思います。先ほど、1億円、2億円という話がありましたが、例えば、800億円の訴訟というのが新聞によく書かれているわけです。それであれば、認容額の1%でも8億円になるわけです。だから、そういう可能性というのは、民訴費用制度等研究会の要件の提示から考えてもあり得るので、別におかしなことではないと思います。ですから、やはり、藤原委員がおっしゃったように、骨格から議論すべきだろうと思います。そうすると、やはり、今は、司法アクセスを促進するのに何が妥当なのかということで、これは1つの政策だと思いますが、そこからやはり議論すべきであろうと思います。だから、司法制度改革改革審議会の意見書の枠の中を見たならば、これは、やはり、額が一番最初に出てきているというわけではないと思います。やはり、目的は何なのかということに尽きると思います。そうすると、訴訟を利用しやすくする見地というのが、まず目的になると思います。これは理不尽だとか、どうという意味ではなくて、とにかく、司法アクセスにどう寄与するのかということから、まず検討すべきであろうと思います。

【山本委員】 なぜ、10万円では負担感がないから構わないという議論になっては困るのかというのは、今のお話の中で理解できませんでした。弊害がある場合には例外を認めましょうというのが、司法制度改革審議会の意見書の立場、スタンスです。弊害がないものがそれでよろしいとされることになぜ反対されるのか、ちょっと理解できませんでしたので、それはまた後でお話しいただければと思います。
 骨格から議論するときに、「アクセス」という言葉は、2通りあると思います。訴訟が起きやすいというものと、起こしやすいというのは、主として、原告あるいは原告候補者のことだけを考えているわけで、「アクセス」というのは、それだけではないわけです。訴えられた人が良質の司法サービスを受けられる権利を保障するというのも、これもまた「アクセス」であります。だからこそ、民事訴訟法上の訴訟救助の制度、あるいは法律扶助の制度においても、原告にのみ扶助をする、救助をするというような制度設計になっていないのはなぜかと言うと、被告だって裁判手続にアクセスする権利があるからで、むしろ逆に、原告は自ら訴えたわけですが、被告は訴えられてしまって、裁判所に出ていかなければ、多くの場合は当然敗訴するわけです。原告の腕がよほど悪くない限りは、荒唐無稽なことを言っていない限りは、敗訴してしまいます。専門用語では応訴強制と言いますが、応訴強制が働く人をいかに保護していくかというのが民事訴訟法の課題の1つであり、そのために、被告の普通裁判籍、つまり被告の住所地で訴えられる、つまり、被告が行きやすい裁判所で訴えを起こされるという仕組み、あるいは、講学的な話になって難しい話になりますが、変な訴訟はさっさとスクリーニングして、被告が応訴するに足りるものだけ被告が出ていけばいいという仕組みを民事訴訟法は用意しているわけです。そこで始めて当事者が対等になるということで、あとは当事者間の平等という仕組みが民事訴訟法上はとられているわけです。ですから、原告の立場のみを一面的に主張して、そのアクセスだけを考えることが適当だとは、私は必ずしも思わないわけです。
 それから、司法制度改革審議会の意見書によると、弁護士は、社会生活における医師としての法律家になることが期待されていますが、弁護士会の御意見などを伺っていると、医師を必要とするのが、あたかも原告側に立つべき人だけのことを考えているように思われるわけです。しかし、医師は、いろいろな人に対して医療サービスを提供する、その中には、被告とされるべき人たちにも、社会生活における医師たる弁護士のサービスを必要とする人たちがいるわけです。そうなりますと、それがまさに訴訟の場に出てきたときに、弁護士サービスを受けるための費用の負担の問題が出てきますが、そこでの基本的な原理は、私は、まず公平であると思います。そして、公平のやり方としては、各自負担か敗訴者負担かということになると思います。片面的敗訴者負担は、その意味で全然公平ではないと私は思っておりますので、基本的にネガティブです。現行の訴訟費用を見ますと、公平とは何であるかということにつきましては、敗訴者負担が原則だという立場を取っているわけです。そこのところをどう評価するのかということが問題です。従来、日本では弁護士強制主義を取っていないので、弁護士費用というのは当事者の勝手な費用だと、勝手に払う費用だという位置付けだったわけですが、今回の司法制度改革審議会の意見書は、社会生活における医師としての弁護士の役割を非常に強調していて、弁護士のサービスを受ける費用というものは、むしろ必要費用だというスタンスに立っているのだと、私は理解しています。そうしますと、それと訴訟費用の敗訴者負担制度というものを組み合わせますと、やはり、先ほど藤原委員がおっしゃった骨格論としては、弁護士費用の一部の敗訴者負担という制度は、十分に骨格として成り立ち得るものだと考えるわけです。ただ、もちろん、そこで何が骨格かと言うときに、契約ベースで決めたものが全部敗訴者の負担になるというようなことは、少し制度としてはおかしいわけでして、とりわけコンティニュー・アンド・フィーが取られた場合においては、これは非常に大きな問題になってくると思いますので、そんなことはとても考えられないわけですから、そうすると、何らかの客観基準に基づいて敗訴者負担とされるべき弁護士報酬の額というものの上限を画していくべきだと思います。上限を画すだけで、あとは裁量にするのか、それとも固定額にするのかというのは、これからの議論だと思いますが、そういう形でやれば、見通しのよさというのも確保できると思います。しかし、それでもなお、原告としては訴えを起こせない場合、あるいは、敗訴者負担にすること自体が、原告被告間の関係において公平でないという場合、こういうものはあり得ると思います。つまり、いわゆる敗訴者負担制度を支えるのは、やはりこれは、対等の市民間の、「市民」という言葉は、私は弱き市民という意味では使っておりませんので御注意いただきたいのですが、市民間の対等者間の公平ということをベースにしているわけですから、それが成り立たない、それだけではいけないということは、社会法、労働法が存在したり、あるいは消費者保護基本法が存在したり、消費者契約法が存在したりということで、これは明確になっているわけですから、そういうところと現行法秩序のところと組み合わせながら、何が公平かということを別途探っていく、つまり、完全に対等当事者間で考えるべきコアとして部分と、それの修正原理としての非対等な当事者間の扱いというのを別途考えるというのがベストなのではないかと感じた次第です。

【飛田委員】 今、いろいろ御意見を伺わせていただきまして、おっしゃっておられる内容に真向から異論を呈するものではないのですが、まず、山本委員のおっしゃったような、不当な訴え、応訴せざるを得ないようなことが行われるというのを考えていく場合に、2割司法という言葉がよみがえってくるわけです。今の日本の実態というのは、頼りがいのある司法とはとても言えない。皆が、こういう問題は法律問題だからということで、法律的に、法の正義に基づく解決を行うべきだという判断がなかなかつかないがために、そういう事態が起こってきているのだと思います。今回の司法制度改革では、2割司法をいかにして2割ではない、頼りがいのある司法制度にするかということが、私は問われているのだろうと考えております。ですから、スタートラインをどこに置くかですが、実態が非常に貧しい、法律扶助制度にしても然りです。恥しくて、外国の人に数字を言えないような実態が、現実にはあるわけです。法曹人口も、これから増やそうとしているし、司法書士の方々も、これから参加してくださるというような状況があるわけですけれども、法曹人口そのものの問題、裁判所の問題、裁判所で受けている訴訟件数の問題、そういうことを国際比較を行っていった場合に、我が国が非常に後進的な段階にあるということは、まず考えておかなければいけないと思っております。
 私は、いわゆる運動のための運動をしているものではありません。私は、もともと、そういうことからこの世界に入っておりませんし、生活者の一人として、今の日本の状況というのを考えていった場合に、やはり未整備の問題がいっぱいあるわけです。例えば、環境問題にしても、ISOの14,000シリーズなどが導入されてきたのはつい最近のことです。それから、環境関連の法律が整備されてきたのも最近のことですし、提訴前の証拠開示の問題とか、鑑定制度の問題なんかも、問題があるあると言われながら、民訴法の先生方もそういうことを何度も御検討になっておられるようですが、まだ解決に至っていない状況があるわけです。リコール隠しなどがありましたり、不正な偽装表示がありましたり、信頼に足る情報がなかなか提供されない、しかも、やっと法改正で偽装表示等についての法人に対する罰則が厳しくなりましたが、小遣い程度で済むような罰則しかないという法の不備もあるわけです。そういうことを考えますと、確かにおっしゃられたような、不当なことで訴えられたときに、不愉快だし、それにまつわる裁判にもお金がかかってくるということになりますと、それを取り返したいというお気持ちは、十分私もわかります。自分がその立場になったら、本当にそれは悔しいし、それは不公平ではないかという言葉が出てきそうですが、司法制度改革というのが何のために行われようとしているかということを考えますと、日本の状況をもう少しいい状況に持っていこうと、これが何年か後、もっと社会の法曹人口も増え、裁判所へのアクセスも増え、変わってきたところで、社会が熟してきたとき、成熟してきたときに、敗訴者負担制度の導入というのを考えていくということはいいかもしれませんが、いろいろな意見が司法制度改革推進本部に届けられ、また庁舎の前でいろいろ運動をなさる方たちが出てくるかと言うと、今までの状況というのがそうではなかったからではないでしょうか。だからこそ、司法制度改革ということが言われて、頼りがいのある司法ということが言われているわけで、規制緩和に伴いまして、社会の安全性が低下してきておりますし、これからは、もっともっと裁判が行われなければならないわけです。そういう状況の中で、敗訴者負担制度などが導入されてきますと、アクセスがそこで滞るということはわかっておりまして、安全性は低下しているのに裁判が増えないという現象だって、多分に考えられるわけです。私たち消費者は、事業者から提供される情報を信頼しなければならないという状況におかれます。情報格差が非常に大きいということがあります。消費者という側面だけではなく、私も一生活者ですから、いろんな顔を持っておりますけれども、日進月歩の分野について、判例というものがしっかりと確立していないということは、これからもっともっと裁判が起こされていくことによって、新しい分野についても判例が確立されていかなければならないと思います。2割司法ということをそのままにしていいのであれば、どんどん敗訴者負担制度も導入していく必要があるのかもしれません。しかし、現状は、余りにも貧しいが故に、そういうことが問われているわけではないかと私は思っております。特別法などを見ましてもそうですが、ほかの金融サービス法も、以前もお話しましたが、指定商品制が取られていて、実態が悪徳の詐欺師や何かに追い付かないということがいっぱいありますし、PL法でも、不動産が対象になっていないということなどもありますし、対象とされる範囲が大変少ない問題があるわけです。ですから、私は、決して、山本委員がおっしゃっておられることに真向から反論するつもりはありませんが、ここに司法アクセス検討会が設けられている存在理由を考えるときに、一市民として、皆様方専門家にお任せしておくと2割司法の段階ではないですかと言いたいということです。
 もう1つ、弁護士報酬の問題だって、私たち消費者の視点から申し上げたいことがいっぱいあります。割高感があって、先ほどのお話を伺いますと、3億円とか、もっとすごいような話もあるようですが、提供されるサービスの内容、質、それに伴う料金体系が実際にあるのかどうかということも、消費者の立場から言いたいことがあります。広告とか表示も、弁護士さんや司法書士さんたちの広告表示や何かは、これから努力されるというお話は伺っておりますけれども、私たちは、一体幾らかかるのかもわからないし、社会正義実現のために、いわゆる手弁当的にやってくださる先生方もいっぱいいて、私たちはそういう先生方に支えられておりますけれども、一方では、私利私欲で裁判を起こす方について、私利私欲を否定もせずに、裁判が実際に行われるということもあるのではないでしょうか。消費者が負けていく裁判などの中にも、そういう傾向もあるし、何かとてもゆがめられているような、だからこそ、裁判員制度の問題も言われてきたのかもしれませんし、それは弁護士さんだけの問題ではなくて、今の司法制度にいっぱいいろいろな問題があるということです。
 それから、簡易裁判所等では、弁護士さんは強制主義ではないということも根拠としては挙げられるのではないかと思います。
 私は、司法制度改革審議会の意見書そのものを否定するつもりはないのですが、まず取り上げるときに、いろいろな状況をもう一度考えていかないと、理論的にはこうだから導入した方がいいというような話で済ましてしまうと、後で後悔することになるのではないかという気がしてならないのですが、いかがでしょうか。

【山本委員】 ちょっとコメントさせていただきたいのですが、私は、消費者法の分野は別問題だと申し上げているので、多分、飛田委員と、その限りでは同じことを申し上げていると思います。ですから、消費者問題だけが一般法の問題ではないということを私は申し上げただけで、藤原委員がおっしゃった骨格というのは、一般法の問題だと思います。私は、一般法の問題と消費者問題とを直結して議論するのは不毛であるという認識を示したということで、消費者問題については、かなり考え方は近いということだけコメントさせていただきます。

【長谷川委員】 藤原委員の先ほどのお話は大変明解なので伺ってみたいのです。裁判の骨格というものを、裁判の在り方というものを、今、国は問うているのではないのですか。この国は、弁護士も含めて、司法というものが非常に距離がある国です。先ほどの司法書士のお話の方が、私たちの日常にたくさん関わるものですから、大変私には身近なもので、私たちの生活に寄り添っていて、土地を買えば、相続があればというように、本当に近くにいます。でも、私にとって、弁護士も裁判所も、みんなとても遠いものです。まさに、とても利用しにくく、そして開かられていないように見えます。建物も、私は、最高裁判所を始め、とても閉じた権力的なものだと思っております。そうしてきたこの国の司法の在り方の本来の骨格というものを、今、問うているのではないのですか。そこのところで、アクセスという、利用しやすくするというような、在り方を問うことをしているのであって、初めからこういう骨格ですということがあるならば、こういう検討会は必要もないわけです。
 私は、今、この国は、世界ではとても変わった国だろうと思っています。平和ですし、いろいろな意味でぼけております。それもそれなりにとてもみんな平和で幸福です。例えば、身近でボランティアをしている人が、弱い人の身体を面倒を見ることによって得ることがたくさんあるという。キャリアの人が弱い思想という本を書いても、ヨーロッパへ行っても何の実感もありませんが、私たちの国では意味を持つ、司法という大きなシステムではなくて、もう少し生活という感覚で弱い思想が本当に生きてきつつある国だと思います。そういう中で、大きなシステムや強い思想で全てが通らなくなっているところがあるのです。それは、私の実感では、1995年、ある日デパートに行くと、まさに今年の流行を売っていた大企業が成り立たなくなった、消費者も何を買っていいか迷いました。いろんなところで、その年大きなシステムが、生活の中で崩れ落ちていくのをネットワークの中でも感じた小さなグループの人たちが生き生きとしだしてきて、おたくグループまでみんな生き生きとしだした。経済活動をしている強い考え、生活中心の弱い考えが共存する多様でとても不思議な社会が起こりつつある。それはそんなに悪い動きではなくて、一人ずつの個性が発揮できる、まさに弱い思想に基づいたような動き方をしだしている。そういう生活というものにどのように寄り添える司法になるかということが、この国の骨格でなければいけないと私は思います。藤原委員の言う裁判の骨格というのは何なのかということを聞きたいと思います。
 もう1つ、今、いただいて読んでみましたが、司法制度改革審議会で既に敗訴者負担と決まっているというならば、なぜ私に、こんなに弁護士の人やいろいろな人が敗訴者負担のことについて意見を問うのかが、急にわからなくなりました。司法制度改革審議会でも決まっていることだと藤原委員が言い切ってしまいましたけれども、そういうものなのでしょうか。その2つを教えてください。

【藤原委員】 まず、2つ目の御質問ですが、私は、この検討会は、司法制度改革審議会の意見書で出された1つの結論を受けて、それを前提に議論すべきだと思っています。

【長谷川委員】 結論になっているということですね。

【藤原委員】 私はそのように理解しています。

【長谷川委員】 とても複雑に書いてありますね。一律に導入すべきではなく、萎縮させる場合もあるとか、とても決定打的ではない文言があるではないですか。

【藤原委員】 しかし、決定打的ではないからといって、一律に敗訴者負担を全く認めないという結果を出す権限は、私は、この委員会には付されていないと理解しています。

【長谷川委員】 でも議論では、その余地もないとおっしゃっているように聞こえますね。

【藤原委員】 いえ、違います。私は、そうではなくて、今まで、この検討会が何回も開催されましたが、その中で議論されているところは、敗訴者負担はあってはならないという議論に終始し過ぎているから、それは、どの分野がそうあってはならないかということに関しては、様々な意見を伺っていますから、それは後ほど議論されることになると思います。私の理解は、骨格というのは、敗訴者負担を認めるとしたら、敗訴者負担を認めるという根拠は、21世紀の裁判という制度を前提に議論するということです。裁判というものは、弁護士を関与させずに、そもそも最低限成り立つとすれば、任意であるから、弁護士費用というのはお互いに任意で負担しましょう、それは勝っても負けても同じですという考え方になります。しかし、21世紀の裁判にとっては、弁護士という人ではなく、その方たちが持っていらっしゃる知識とか、知見というようなものが、必要不可欠な、言わば裁判のインフラの一部として認められるべきであるから、勝訴した暁には、その一部分を、他の訴訟費用と同じように、最低ある額は負けた方から回収するということになるのではないでしょうか。

【長谷川委員】 それは、20世紀的ではないですか。弁護士が、私たちの生活の中で、裁判と関わるときに切れない存在だから、弁護士は知識だけでなく思考する人だから議論になるのではないですか。思考する人としての弁護士より知識や技術のみを評価するなら、ここのところで特に問題にすることはないものです。裁判所にアプローチしていくときに通過するべき人たちで、知識と知見というものだけでの仕事ではないでしょう。
 私も、敗訴者負担に賛成する意見と、それに反対する意見のと両方の意見があっていいと思います。しかし、そのときに、敗訴者負担だけでいってしまうのではなく、それに反対している人たちの意見も聞き込むことによって、この国の裁判の骨格の在り方が新しく見直されると思っています。まさに、司法というものの在り方がです。そう思って、私は、弁護士の人たちの意見を聞きたいし、自分としては、そちらの方がリアリティーがあります。弁護士ならば、私も違うかもしれません。でも、生活者としてのリアリティーということからすれば、司法と関わるときの弁護士の在り方、裁判の在り方というものを考えるときに、敗訴者負担という結論にならない、いろいろな意見があるのだろうと思います。裁判の骨格と言われるときに、どうもそこのところに、生活者としての意見を、小泉総理も聞こうとしているのだと思います。司法ネットを開けというようなこともです。多くの人たちも意見を言っているのだろうと思います。それに耳を傾けようということで、発言しているわけです。

【高橋座長】 もう時間を過ぎてしまっていますが、簡潔にお願いします。

【亀井委員】 今、藤原委員が、弁護士は必要不可欠である、だから、勝った場合には、ある額を支払ってもらうとおっしゃいました。しかし、それは論理必然的ではないと思います。弁護士が必要不可欠であるとして、では、誰が弁護士費用を払うのが司法アクセスに寄するのかという、その理論が1つ介在しなければいけないと思います。だから、論理必然的に敗訴者負担になるというわけではないと思います。  それから、先ほど山本委員がおっしゃった、公平が今回の目的であるというのは、私は違うと思います。それがゼロだということを言うわけではありませんが、やはり、司法制度改革審議会の意見書をよく読む限り、司法アクセスに寄するのは何なのかということだと思います。公平というのは、これはもともと実質的に公平ということは平等だと、対等の市民の問題だとおっしゃいましたが、そうではないわけです。証拠の偏在があり、経済的な違いがあるということもあります。また、労働法など保護法があるではないかとおっしゃいましたが、それが保護法になっていないからいろいろ問題があるわけです。だから、公平というのは、今回のメルクマークではないと、私は思います。

【高橋座長】 少し時間を延ばします。まだ、議論の仕方でもめているようなところがありますが、前回、もう少し各論に入ってくださいとお願いしたわけです。少しずつ各論に入っているように私は思っておりますが、長谷川委員が先ほどおっしゃったことも、もっと各論に入らなければ出てこない議論であるように思われます。もう少し各論の議論に入り、そして最後にまたどう考えるかと議論してはどうでしょうか。先ほど鶏と卵と申しましたが、いろいろ関係しているものですから、いつまでも総論ばかりしておりますとぐるぐる回りになりますので、少し各論に入りたいということです。今日、山本委員が言われた言葉を借りますと、アクセスにも2つの意味があるのではないかということです。それに賛成される、反対される、それは結構ですが、次回からは、その辺りを解きほぐしまして議論していただく、そして、議論の順番としては、先ほど西川委員、始関委員が言われましたように、金額についても少しは議論をしていただかないと話が進まない、そう思います。もちろん、それに関連して、敗訴者負担が妥当すべき訴訟類型、妥当してはいけない訴訟類型という議論にも入っていきます。

【藤原委員】 先ほど長谷川委員がおっしゃった部分ですが、全体の骨格と言ったときに、社会の在り方と、誰がイニシアチブを取るべきかということと、何を裁判で争うべきかということと、何をほかの機関で反映させるべきかという、裁判がすべて社会を正しい方に導く最後の手段だとは、私はいずれの時期にも考えたことはありません。その中の1つの選択肢であると思っています。私と長谷川委員と、どこで感覚が違うかと言うと、私は、司法制度にそれほど過大な期待はかけていません。それ以外に、我々の良識が問われる部分で、長谷川委員がおっしゃっているような幾つかの運動があって、それにも消費者はアクティブに関わっていて、消費者が賢くなり、消費者にある良識を自分たちが持つことによって、社会が変えられるという側面はいっぱい出てきていて、それは否定するべきことではありませんが、それをすべて司法なり裁判という場に期待するということは、むしろ、結果は期待外れになるのではないかという気がしています。

【長谷川委員】 そういう期待できないもので、司法に関わっている人はいいわけですか。

【高橋座長】 それはいろいろな御意見があるでしょうけれども。ではお続けください。

【藤原委員】 少なくとも、司法以外に政治家もいます。しかし、彼らが、我々の生活をよくすることに、多分資していないのではないかと思うので、これも大変残念なところだと思います。行政にしてもそうだと思います。だから、何か大きな突破口になる可能性として司法をとらえていらっしゃるというのは、私とは違うと思います。
 それから、私は、今までこの検討会に出席した限り、敗訴者負担がいかに司法アクセスを阻害するかという、その方の議論しか伺っていません。だから、そうではない議論は、少なくとも1、2度はやってみるべきではないかと思います。どうして資しないか、こういうときは例外的に適用してはならないという議論は、たくさん伺っていると思います。だから、そうではない議論があるのであれば、1度か2度は、それにもきちんと耳を傾けて、それがどうしてそうではないのかということが、我々にとって納得できるかどうかということを、きっちり提示していただきたいと思って、それからでも遅くはない。その先に、片面的負担という可能性もあるかもしれませんが、それはもう少し後の議論にしたいと、少し先走っている感があるので、もう一方をきちんと私は見据えたいと申し上げただけです。だから、順序というか、バランスというか、その部分だけです。

【亀井委員】 私もそのとおりだと思います。だから、導入する部分も議論したいのです。それは、額の前にやるのが筋だろうと私は思います。

【高橋座長】 そこはいろいろと御意見がありますから。

【亀井委員】 導入するとすれば、どの部分なのか、ゼロなのか、今までほぼゼロに近いような議論しかしていないので、それでいいのかどうか。

【山本委員】 すみません、亀井委員は私の言うことを完全に誤解しておられますので、釈明しておきたいのですが。私は、労働法とか消費者法があるから、今の現状で足りるということは何も申し上げていないので、そういうところで対等でない人たちの間を規律している思想を、弁護士報酬の負担問題についても考慮すべきだと申し上げたわけです。ですから、その限りにおいては、亀井委員と結論は同じだと思います。

【長谷部委員】 時間が超過しておりますが、意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 先ほど、座長が、次回は金額も議論する方がよかろうと御提案されました。私は、各論に入るべきであるということは前から申し上げておりましたので、もっと具体的なところから議論すべきだという御提案には賛成です。ただし、「金額」ということについては、若干の留保が必要であると考えております。それはこういうことです。先ほど西川委員からは、敗訴者に負担させる金額が、何十億というような額を考えられてしまって提訴抑止というようなことが言われるのはよろしくないのではないかということでした。それに対して、亀井委員からは、10万とか50万だったらいいのかということでした。このような御議論をお聞きしますと、確かに、10万、50万でも、不当な金額を負担しなければならないとすればそれは問題です。それで念のために申し上げるのですが、これは金額の多寡の問題ではないのです。金額を議論するという場合に、多いから少ないからという議論にしないで、司法制度改革審議会の意見書にも「予測可能な合理的な金額」とございますし、先ほど山本委員から、当事者と弁護士の間で契約ベースで決めた報酬全額を負担させるというのは非常に不合理だという御指摘がありましたが、何が予測可能で合理的な金額なのかという、そういうことで議論していくべきではないかと思います。ですから、金額幾らというニュアンスでお取りにならないで、予測可能かつ合理的な金額というのは何か、提訴を抑制しないような、萎縮効果をそれほど生じさせないような金額負担というのは何かということを考えてみてはいかがでしょうか。もし、そういうものが全然割り出せないとすれば、それはある程度諦めなければいけないような面も出てくるのかもしれませんが、今の段階で、そのようなものはおよそあり得ないというような議論はできないと思います。また、これまで、提訴抑止に関して諸外国の例ということで言われていたときの諸外国の弁護士費用の定め方は時間制です。それで幾らになるかということは予測可能ではないような状況で、相当な金額が敗訴者に負担させられてきているという、そういう弊害があるということなのです。日本の制度の下では、もっと合理的な金額の負担の定めができるのではないかと思いますので、そういったところを、今後議論していくのがよいのではないかと思います。

【高橋座長】 まさに、各論をやって、また総論に戻ってくるということももちろんあるわけですけれども、次回は各論の方の議論をお願いします。その順番は、金額からということで、差し当たりお願いしたいと思います。
 それでは、時間が超過いたしましたが、次回の予定について事務局からお願いします。

【小林久起参事官】 次回は、5月30日の金曜日、午後1時半から、引き続き今日と同じような論点で御検討をお願いしたいと思っております。また、6月の日程についきましては、予定通り6月20日の金曜日、午後1時半から開催させていただきます。よろしくお願いします。

【高橋座長】 まだ多少時間を取りますので、何かあればどうぞ。

【藤原委員】 もう1つだけ、これは私が常々思っていることですが、訴訟が起こしやすくなればなるほどいいかどうか、本当に起こしやすければやすいほど社会全体がいい社会であるか否かというのは、そのステートメントだけはものすごく含みが多いので、今より訴訟が起こしやすくなるということと、訴訟は起こしやすければやすいほどよい社会なのかということは、直感的には、必ずしも同じことを言っているのではないので、その辺りは、私たちは留意すべきではないかと思います。既に、私は、自分の生活経験から、更に起こしやすくなるということによって、何かを失っていくものもあるのではないかなという気がしていますので、司法制度の中だけで、社会の住みよさとか、よくなるということを過剰に期待したり、想定するような社会形成というのは、むしろ考え直した方がいいのではないかと、個人的には思っております。だから、すべての人が関与するという形で社会がよくなるということが理想系で、それを司法にすべて委ねるということは、必ずしもいいことばかりではないのではないかと思っています。

【飛田委員】 今のお話の続きと言いましょうか、司法、行政、立法ですが、チェック・アンド・バランスということが必要だと思うんです。現状ですと、チェック・アンド・バランスが十分に機能しているかどうかということが問われている面もあると思いますので、もちろん、藤原委員がおっしゃっておられる内容はわかりますし、第一、人が人を裁けるかという根本的なテーマだってあるわけですので、そういう意味では、議論を深めていくと、もちろん、本当に底が深い話だろうと思うんです。ですから、共有できるところは皆様とも共有したいんですが、チェック・アンド・バランス機能をもっと持つべきだろうということは考えております。

【高橋座長】 それでは、時間が超過して申し訳ございません、今日はこの程度にしまして、次回は5月30日金曜日、午後1時半からです。また次回にお願いいたします。