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司法アクセス検討会(第4回) 議事録

(司法制度改革推進本部事務局)



1 日時
平成14年4月23日(火) 13:30 〜15:40

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第2会議室

3 出席者
(委 員)
高橋宏志座長、亀井時子、竹内佐和子、西川元啓、長谷川逸子、原田晃治、飛田恵理子、藤原まり子、三輪和雄、山本克己(敬称略)
(事務局)
山崎潮事務局長、松川忠晴次長、古口次長、小林久起参事官

4 議題
(1) 訴え提起の手数料について
(2) 簡易裁判所と地方裁判所の機能と役割分担について
(3) 簡易裁判所における少額訴訟手続について
(4) 訴訟費用と訴訟費用額確定手続について
(5) 今後の日程等

5 配布資料
資料1諸外国における訴え提起の手数料
資料2手数料額の比較
資料3簡易裁判所と地方裁判所の機能と役割分担等に関する資料(最高裁判所事務総局作成)
資料4第一審訴訟事件における訴訟の目的の価額別新受件するの推移(簡易裁判所、昭和55年〜平成13年)
資料5第一審訴訟事件における訴訟の目的の価額別新受件するの推移(地方裁判所、昭和55年〜平成13年)
資料6少額訴訟手続とは(最高裁判所事務総局作成「ご存じですか?簡易裁判所の少額訴訟」より引用)
資料7少額訴訟に関する特則等についての検討項目案(法制審議会民事・人事訴訟法部会資料6)
資料8訴訟費用の負担の裁判と訴訟費用額の確定手続について
資料9訴訟費用一覧
資料10訴訟費用額計算書(民事第一審訴訟記録(第3回資料1)に基づく試算)
資料11訴訟費用額確定申立件数(平成3年〜平成13年)

6 議事
(□:座長、○:委員、●:事務局)

□ それでは、定刻となりましたので、第4回「司法アクセス検討会」を開催いたします。
 今日もまた資料がたくさんお手元にございますので、議題及び配布資料について、事務局から御説明をお願いいたします。

● お手元の「司法アクセス検討会(第4回)次第」に基づきまして、今日の議題について御説明いたします。
 今日の議題については、そこに掲げました主に4つの事項について考えております。
 第1は、「訴え提起の手数料について」ですが、これは、前回の検討の中で、外国の制度との比較等も踏まえて更に検討を深めるべきであるという御指摘もあったところから、その御説明をした上で、更に検討をお願いしたいということでございます。
 第2は、前回座長からも御指摘をいただいた「簡易裁判所と地方裁判所の機能と役割分担について」、この点についての報告と御検討をお願いしたいと思っているところです。
 第3は、「簡易裁判所における少額訴訟手続について」ですが、実際に現場を見ていただいた手続についてのものでございます。
 第2と第3の議題につきましては、当検討会の検討課題とされております、簡易裁判所の管轄拡大、それから、少額訴訟事件の訴え提起手数料の定額化についての検討の前提ともなるということですので、そういう意味でも御検討をお願いしたいと思うわけでございます。
 第4は、「訴訟費用と訴訟費用額確定手続について」の検討でございます。これは、私どもの検討課題として、訴訟費用額の確定手続の簡素化というのが重要な検討課題とされておりますので、その前提として御検討をお願いをしたいと考えている次第でございます。
 以上でございます。
 配布資料は、資料の1〜11まで、お手元に配布しておりますので、御確認をお願いいたします。
□ それでは、御確認をいただきました上で、今、御説明をいただきましたが、訴え提起の手数料について、前回御質問がございました。外国との比較、あるいは訴訟の目的の価額ごとに事件数がどうなっているかとか、そういう点が資料として必要だということでしたが、今日事務局で用意していただいたようですので、説明の補充をお願いいたします。

● 諸外国との比較につきましては、資料に基づいて御説明をいたします。
 まずその前に、前回、委員から御指摘もありましたように、訴えの提起をする者に申立手数料の納付を求める趣旨についてでございますが、裁判制度を利用する者に当該制度の運営費用の一部を負担させることによって、制度を利用しない者との対比における負担の公平を図るとともに、副次的に濫訴の防止を図るものであると一般的には理解されているようでございます。
 また、いわゆるスライド制、すなわち訴え提起の手数料について、訴訟の目的の価額に応じて、徐々に手数料の額を増加させるスライド制を採用している趣旨につきましては、我が国はそうなっているわけですが、裁判制度の利用者相互の間において、取得可能な利益の多寡に応じて手数料の額に差を設けることによって、負担の公平を図ることが妥当であるという考え方に基づくものであると理解されているようでございます。
 こうした手数料というのは、負担の公平とか濫訴防止等の観点から、裁判制度の運営費用の一部を利用者に負担させるというものですが、これによって裁判所の運営費用の全部を賄うというような趣旨で設けられているものではございません。裁判制度の利用者と一般の納税者との間の負担の公平という観点からの検討が必要だろうということで、前回の資料では、主に財政的な見地から、裁判所の予算額であるとか、事件数であるとか、国民所得といったような指標との対比において、最近の手数料収入を比較して、手数料収入が相対的に大きく伸びているという現状を御紹介し、御理解いただいたというように考えた次第でございます。
 しかしながら、外国との比較も必要であろうという御指摘がございまして、それは誠にごもっともでございまして、その点について事務局で作成した資料が、今日の資料1と資料2になります。
 資料1が、外国との訴え提起の手数料に関する制度を比較した表になっておりまして、これを見ていただくときに御注意いただきたいのは、諸外国の訴訟費用制度というのは、歴史的な沿革等を反映して、非常にさまざまな制度がございまして、訴え提起の手数料だけを比較して単純にその額を比較してみても、民事裁判を利用する者が負うべき負担というのを正確に対比できるとは限らないと言われております。これは、資料を見ていただいてもわかると思います。
 差し当たり資料1のようにまとめましたので、ドイツ、フランス、韓国、アメリカ、イギリスとの制度の比較に基づいて、簡単に御説明したいと思います。
 第1には、フランスです。これは、資料1の1ページの真ん中にありますけれども、フランスのように、訴え提起の手数料を無料とする制度を取っている国もございます。フランスは、行政訴訟については15ユーロ、1,700 円ぐらいになりますが、その印紙税が課されますけれども、通常の訴訟については、訴え提起の手数料が課されないことになっております。ただし、訴え提起に先立って、執行士という、日本で言うと執行官のような、訴状を送達する専門職がございまして、そこで訴状を送達してもらうときに、執行士の報酬のほかに、報酬に対する間接税が9.15ユーロ、約1,064円の税が課されることになっているわけでございます。
 第2に、訴え提起の手数料を有料として国の中でも、手数料の額を訴えの請求金額に関係なく一定の額とする定額制をとっている国と、手数料の額を請求金額に応じて増加させる、いわゆるスライド制をとっている国とに分かれております。
 定額制を採用している代表的な国はアメリカでございまして、2ページの上の方の欄に、連邦とニューヨーク州とカリフォルニア州の例を挙げております。連邦では、訴え提起の手数料が訴額に関わらず150ドル、約19,594円となっておりますが、ニューヨーク州では170ドル、約22,207円。ロサンゼルスで194ドル、約25,342円という一定額に、それぞれなっております。ただし、アメリカでは、先ほど申し上げたように、訴え提起のときだけに手数料を取るということではございませんで、その後の手続の進行に応じて手数料を支払う場合が生ずることに注意していただく必要があります。例えば、ロサンゼルスの場合は、被告が争って答弁書を出すという段階で、訴え提起の手数料よりも3ドル安い191ドル、約24,950円相当の手数料を支払う必要がございますし、あるいは、陪審による審理を請求するときに、これはニューヨークの例を挙げておりますが、その請求に際して50ドルの手数料を納めなければいけないという形で、我が国のように、訴え提起の段階だけで手数料を取るというのとはまた違う制度をとっているというわけでございます。
 スライド制を採用する国の中でも、そのスライドの仕方というのがいろいろと分かれておりまして、例えば、手数料の額に上限を設けたり、その手数料の基準自体を非常に簡素化したりしているという例がございまして、これがイギリスの制度になります。
 2ページの下の段になりますが、イギリスの高等法院の例を取りますと、5万ポンド、約944万円以下の請求については一律に350ポンド、これで約66,000円になりますが、そういった手数料が必要とされていますが、5万ポンドを超えますと、一律に500ポンド、約94,440円となりますが、そういった手数料を納付するという、2つだけの類型をとっております。それから、「county court」というレベルになりますと、5万ポンドまでの請求が少し細分化された手数料体系になって、日本のスライド制と非常に似てくるわけですが、それでも5万ポンドを超える請求につきましては、先ほどの高等法院と同じように、500ポンドを上限とするという手数料体系になっております。このイギリスの場合も、真ん中の制度概要のところを見ていただくとおわかりいただけるように、訴え提起の段階だけで手数料がかかるのではなくて、判決に至るまでの審理の過程で必要ないろいろな手続について、例えばアロケーション・フィーというのが80ポンドとか、トライアル・フィー、トライアルにかけるときにまた300ポンドというような、これは訴え提起の手数料と比べてもそんなに遜色のない金額の手数料の納付が必要となるというような形で、進行段階で手数料を更に必要とする手数料体系が取られております。
 もう一つの類型として、上限を設けないスライド制、これは、現在日本が採用しているスライド制ですが、それをとっている国としては、ドイツと韓国が挙げられると思います。日本も、明治以来長年にわたってこのスライド制という形を取っているわけです。
 ドイツの手数料制度についても、我が国と同様に、訴訟の目的の価額に応じて所定の額を順次加算して手数料を算出するという形になっております。下の方は、手数料率が3.3%、高額な部分にいくと0.3%という形になっております。
 韓国の場合は、下の方の手数料率が0.5%、高額なところにいきますと0.35%ということになっております。
 こういう率だけを見てもわかりにくかろうということで、これを円に換算して比較をした表が、資料の2でございます。これは、スライド制をとっている国の中でイギリスとドイツについて、日本の場合と比べてみたものです。イギリスの場合は、訴え提起以外の手続段階で手数料が必要とされていますので、単純に日本と比較することはできないのですが、イギリスとドイツを比べますと、イギリスは、訴額が5万ポンドを超えると500ポンドの定額、これは約10万円程度になりますが、日本で訴え提起の手数料が10万円程度になるのは、訴訟の目的の価額が2,000万円というところですので、大体2,000万円以下の請求の場合は、日本の方がイギリスやドイツよりも安いということになるわけでございます。
 前回の検討会のときに、訴訟の目的の価額ごとの事件数についても、少し検討するべきではないかという御指摘がありまして、その点準備をしていますが、簡易裁判所と地方裁判所の機能についても検討するということになりましたので、そちらの方で資料をまとめて御説明したいと思います。
 続きまして、訴訟上の救助について、若干説明を補充させていただきたいのですが、最高裁判所の方で作っていただいた資料3の中の、一番後ろの資料9というところに、「訴訟救助申立件数の推移」の表があります。この訴訟救助に関する制度の概要の方は、実は、第1回の検討会の資料6に、法律扶助制度研究会報告書というのがございます。その資料6の9ページをご覧いただくと、そこに簡単にまとめてありますので、これに基づいて御説明いたします。民事訴訟法上、訴訟の準備及び遂行に必要な費用を支払う資力がない者、または、その支払いにより生活に著しい支障を生ずる者に対しては、勝訴の見込みがないとは言えないときに限り、裁判所は、申立てにより訴訟の救助を決定することができると定められておりまして、この場合は、民事訴訟を提起・遂行する際に要する裁判費用、これは裁判所に納付する手数料、その他裁判所に納める費用に当たる部分ですが、そういったものの支払いの猶予が行われるという制度でございます。実際上、資料3の中の資料9で見ますと、事件数としては、訴訟救助の申立件数は、地方裁判所では、平成13年で2,646件、簡易裁判所では、平成13年で79件、このような利用状況であるということのようでございます。
 補充する説明は以上でございます。

□ ありがとうございました。今の御説明を伺っての、御意見なり御感想なりをお願いいたします。

○ 手数料について、外国の事例等を御説明いただいたわけでございますが、御説明いただきました諸外国の相当数には、訴訟費用保険があるように何かで見掛けたんですが、その点はどのようになっているんでしょうか。と申しますのは、やはり、今日の御説明ですと、フランスなどは独特の思想の下に無料ということになっているわけですが、ほかの国においては、上限のあるところとないところという差がございまして、単純な比較はし得ないものの、お金が掛かるところも結構ございますね。上限のないドイツなどの場合には、やはり高額になってくるんではないかと思いますが、ドイツでは途中でUターンすると言いましょうか、訴訟の方向転換をしたり、途中でお金が戻ってくるケースがあるように伺ったことがあるんですが、何分にも素人なもんですから、ちょっと制度的な詳しいことはよくわからないんですが、そういう払ったものが返ってくるという制度もあるように伺っております。そういう意味では、手数料のみでなくて全体の訴訟費用、申立手数料というのはごくわずかであるということは承知いたしておりますけれども、しかし、アクセスするときの一つのハードルには違いないと思うものですから、訴訟費用保険制度についてお教えいただけたらと思います。

● 訴訟費用保険につきましては、第1回の資料5の民事訴訟費用制度等研究会の報告書の34ページから簡単にまとめてございます。それによりますと、ヨーロッパでは広く普及しているというような御指摘は、そのとおりかと思います。

○ 例えば、加入者については、被害者になって訴訟を起こしたときなどでも、すべてそれがカバーされるという、申立の手続料金なども返っていくるというふうに考えてよろしいんですか。

● この段階で、詳しく御説明する準備はしておりません。

○ 話があまり広がり過ぎてもよくないと思いますが、そういう意味でのセーフティー・ネットみたいなものがある場合とない場合とでは、考え方が少し違ってくるのではないかと思います。

○ 今、日本でも全く保険がないわけではないんですが、日弁連と保険会社とで開拓したのが、3社との間で協定を結んでやっていますが、ただ、外国に比べるとものすごい狭い範囲です。交通事故を除く損害賠償請求ということですので、ものすごい守備範囲が狭いです。だから、まだまだ保険があるとは言っても、日本の場合は、まだ保険を使った事例も数件ぐらいで、3年ぐらい前から開発しているんですけれども、それは火災保険とか住宅保険の付帯の保険で、単独の保険ではまだないんです。今、検討しているのは、単独の保険も保険会社と開拓を検討している最中ですけれども、外国に比べるとまだ比べものにはならないと思います。私が、数年前に扶助の検討会のときに、竹下教授などと一緒にドイツの保険会社ゲーリングに見学に行ったときは、ものすごい保険天国という感じでしたね。ただ、ドイツの保険がやりやすいのは、弁護士報酬が全部法律でものすごく細かく決まっているので、保険会社はこれに当たればその点数ですぐ出せるということでやりやすいんです。ですから、日本の場合は、今、日弁連と保険会社が研究しているのも、弁護士報酬がものすごい難しい報酬規定になっているのでやりにくいというのが現在の実情のところです。
 ドイツでは、たしか離婚を除いた、ほとんどすべてに保険は該当するんです。例えば、一般の借家、建物の事件などにも該当する。ただ離婚は、協議離婚がないので、全部の履行をすると膨大な数になるので、それは商売にならないから排除しているというふうに聞いています。
 保険については、また当該のときにでも、資料は現在あるものを提出させていただきます。

○ お願いします。

□ ほかにいかがですか。

○ 今、申立手数料についてのお話をさせていただいてよろしいですか。

□ 結構です。

○ 実は、前回、私が幾つか質問させていただきましたのは、先ほども触れさせていただきましたが、費用全体を考えていかなければいけないけれども、やはりハードルはできるだけ低くしていただくということが必要ではないかという考え方に立っておりまして、今日事務局でコピーを取っていただいたんですが、国民生活白書から、あと世帯の家計調査など、こちらの一番左上のところに「平成13年度国民生活白書」と書いてあるものでございますけれども、この資料を用意させていただきましたのは、前回のときに国民所得のデータをお出しいただいておりましたが、私たちが暮らしの視点から見た場合に、現在の家計の状態や経済社会情勢がどうなっているかで、ピックアップした公的な資料ばかりでございます。
 最初のページは、今、高齢社会に突入しておりますが、高齢者の世帯の所得の資料でございまして、高齢の女性の単独世帯、どうも我が国では女性の方が元気に長生きするようでございまして、高齢の女性単独世帯が大変多くなってきているわけですが、その高齢単独の女性の世帯というのは、1年の所得が193万円、もっとも、これは法律扶助のラインよりも下回っておりますので、法律扶助制度を受給することはできるわけでございますが、次の2ページ目の上のところに、手書きで月16.1万とメモを入れさせていただいたんですが、平均するとそういう所得なんです。
 全世帯の平均の220万と言いますのが、月平均で18.3万で、この高齢者世帯の場合には、前々回御説明いただきました法律扶助の対象になるケースも多々あるような状況です。それで、非常に厳しいということでございます。
 3ページ目でございますが、これは総務省の調査の全産業の賃金構造の速報ですが、これは平均的と言いましょうか、各学歴別、年代別などのデータが出ております。これは、御参考までに入れさせていただいております。
 次のページが全世帯の家計調査で、消費支出の増加率の推移、世帯別、それから1人当たりの推移です。最初の図1というのは、時系列で、平成12年〜14年にわたるものでございますが、対前年同月実質増加率の推移というのを見ますと、ゼロのところを下回っている場合が非常に多くなっておりまして、これは前回御提示いただきました国民所得の推移を見ましても、このところずっと不景気で低迷しておりますから、こういう数字となって表れているのではないかと思います。
 5ページ目が「我が家の家計」という総務省のデータですが、これはかなり長い年月、昭和60年〜平成12年までの、対前年度増加率、消費支出でございますが、これをご覧いただきますと、実質の増加率というのが、平成5年ぐらいからずっとゼロを割っておりまして、昨今の経済社会情勢の厳しさが、こういうところにも表れているのではないかと思います。
 「自己破産申立件数」、これは民間の全金連というところのホームページを見ましたところ、大変申立件数が増えておりまして、これも厳しいという印象でございました。
 最後のページに、扶助事業の月収の目安というものを載せさせていただいております。これは、公的な資料の中から、これからできるだけ司法にアクセスしやすくするということを考える場合には、この資料というのは、今回の手数料のみならず、いろいろな訴訟費用全体に関わる基礎的なデータとしてお使いいただけるのではないかと思っておりますが、我が国においては、非常に問題が多い状況だということでございます。しかも、高齢化が非常に急速に進んでおりますので、高齢者が消費者トラブルを始め、いろいろなトラブルに遭遇する機会も増えておりまして、そういう意味では、訴訟の申立手数料を考える場合にも、一つの資料になるかと思いますし、また平均の消費支出なども同様なことかが言えるのではないかということで、事務局にお願いしてコピーを取っていただきました。
 長くなりますので、省略させていただきますけれども、私たちが司法、裁判に期待しても、勝つか負けるか不確実ですね。したがいまして、訴額というのが、自分たちが得られるという確約されるものではないわけでございますので、訴える時点においてはどうなるかわからないという不安を抱かざるを得ない状況の中に、多くの人が置かれているのではないかと思うんです。ですから、手数料自体、申立の印紙代を考えました場合でも、あまり高いと、訴額自体を低く抑えていくことにつながり、こんなにお金が掛かるのでは先もどうなるかわからないしという訴えの萎縮にもなるのではないかという気がいたしております。
 結局、権利の一部、請求を一部にとどめるというようなことになると、やはり今、目指している方向とはそぐわないのではないかという気がしまして、そういう意味では、スライド制というのは、一応の原則としてあるということは承知しておりますけれども、いろいろな方法を考えて、例えば、段階的なスライド制ですとか、その場合の数字としては、法律扶助協会に扶助していただける、1か月分ぐらいの所得と言いますか、収入と言いますか、そんなものも目安にしなければいけないように思います。
 特に、このところ医療過誤なんかも伝えられてきておりますけれども、医療過誤などの場合、人の命が掛かっておりますので、そう少額に権利の一部というようなことになっては、やはりいけないのではないかと思いますし、また、私どもも調査に関わっていろいろ運動しておりますと、この間も厚生労働省が個室の定義などについては一歩踏み込んでくださったわけですが、有料老人ホームも、バブル期などにはかなりいいかげんなことが行われまして、先頃介護保険制度ができておりますので、介護のためのお金は返してもらわなければいけないのに、先払いしたものが返ってこない消費者も結構いるわけです。そういう額が、また大変高額になっております。
 そのほかにもいろいろなケースがあると思いますけれども、前回質問させていただきまして、また今回この資料を出させていただきました。訴訟費用全体を考える際にも、ハードルを低くということで、工夫をしていただきたいということをお願いしたいと思います。
 お時間いただきまして、ありがとうございました。

○ 今の委員のお話をお聞きして、お伺いしたいことがあります。提訴手数料の引下げは、恐らく司法のユーザーとしての経済界の方からは、例えば100億訴訟について2,000万円も掛かるからもっと下げてほしいとか、そういう具体的な要請は出ていないと思います。司法制度改革審議会の方でも、そういうレベルのものではなくて、恐らく消費者の方からの訴訟について下げるべきではないかという意見ではないかと思います。今、100万円の訴訟で提訴手数料が1万円未満、1,000万円で6万円ぐらい、1億になると40万ぐらい、10億で300万、100億で2,000万となっているわけですけれども、大体どの辺りの、100億訴訟、1,000億訴訟というようなところの提訴手数料が高いというお話なのか、もっと下のレベルの1万円、2万円という辺りの問題を、主にアクセスという意味では意識されているのか、その辺りを伺いたい。私が聞く立場にないのかもしれないですけれども、実際にどの辺りを問題視されているのかということをお伺いできれば、議論が進むのではないかという気がいたしまして、お願いいたします。

○ 今委員がおっしゃった数字が非常に大きいものですから、私どもは台所からの発想でございますので、すぐさま返答をとおっしゃられると困るんですが、まず司法アクセスということを考えていく場合は、多種多様な人々がこの国を形成していて、いろいろな利害関係があって、また対外的な問題を抱えてらっしゃる方もあるでしょうし、物事を幅広い視野で考えていかなければいけないと思っております。したがいまして、大変な額について、豊かな方々がいろいろと権利を主張し合って闘われるということについて、私ども少しアプローチが欠けている面が確かにございますけれども、その場合でも、この手数料を国が印紙代として得るということになっているものですから、国民に対する公共的なサービスというような視点というものが必要ではないかと思うんです。ですから、公共サービスということから考えますと、どこまでも上がっていっていいというのはやはりおかしくて、一般的に言う公共料金のように、どこかプライスキャップ的な到達点みたいなものがあってしかるべきじゃないかというように考えております。何かちゃんとしたお答えになっておりませんけれども。

○ すみませんが、資料4と5は説明していただけるんですか。

● 簡裁のところで御説明しようと思ったのですが。

○ わかりました。

□ 今のどの辺りがどうのという辺りの話も、また後で出てまいりますので、議論を切るわけではありませんが、議論の整理としては、また戻ってきますので、次の項目に進ませていただければと思います。
 これが、今委員から御指摘のありました、簡易裁判所と地方裁判所の機能と役割分担に関するものだということになります。司法アクセス検討会の検討課題としては、先ほど来御説明がございましたが、簡易裁判所の管轄の拡大、現在90万円ですが、そこをどうするか、少額訴訟事件での訴え提起の手数料の定額化等々ということがあるわけでございますが、その関係の方の御説明に移ってよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

□ それでは、御説明お願いいたします。

● 今、委員から御指摘のありました、資料3、資料4、資料5に基づいて、御説明をしたいと思います。また、座長からもお話がありましたように、少額訴訟も簡易裁判所の手続でございますので、少額訴訟に関する資料である資料の6、7も、併せて御説明をいたしたいと思います。
 資料3、これは最高裁判所の事務総局で作成していただいた資料でございます。資料3の中の資料1「簡易裁判所と地方裁判所で取り扱う主な事件(民事関係)」、これは、民事関係についてまとめたものでございます。赤い枠の中で書いてありますように、簡易裁判所は、少額・軽微な紛争を簡易・迅速に解決することを目的として設置された裁判所でありますし、地方裁判所は、原則的な第一審裁判所ということで設置されておりまして、簡易裁判所のところを見ていただければわかるように、簡易裁判所は、管轄も制限されておるわけでございます。
 なお、民事のほかに、刑事事件についても、罰金とか、懲役に当たる罪でも窃盗などが簡易裁判所で取り扱うことができることになっております。
 民事に限ってみますと、この資料1にあるとおりでございまして、簡易裁判所は、訴訟の目的の価額が90万円以下の訴訟事件を担当するとされているのに対しまして、地方裁判所は、訴訟の目的の価額が90万円を超える訴訟を担当するとされております。これは、先ほど座長から御指摘のあったところです。更に、地方裁判所は、通常訴訟のところの括弧書きにありますように、不動産に関する訴訟については、90万円以下の訴訟であっても、簡易裁判所と競合して管轄を有するということになっております。ただし、行政訴訟事件につきましては、90万円以下の場合でも、簡易裁判所は取り扱わないということで、地方裁判所の方に、行政訴訟と書いてあるわけです。
 簡易裁判所のところに、通常訴訟のほかに、少額訴訟、調停、支払督促と書いてあります。これらの事件は、主として簡易裁判所で取り扱う事件でございまして、少額訴訟は、1回の期日で審理を終えて判決を言いわたすことを原則とする特別な手続で、30万円以下の金銭の支払いに限って利用できる訴訟手続でございます。実は、この少額訴訟手続については、先ほど御紹介した別の資料の資料6で、「少額訴訟手続とは」という最高裁判所で作っておられるパンフレットがございますので、手続の概要については、これで御理解いただきたいと思います。
 資料3の中の資料2でございますが、簡易裁判所の民事訴訟事件、民事調停事件、地方裁判所の民事訴訟事件の事件数の推移をまとめたものでございます。下の方で黄色くなっております、平成13年のところを見てみますと、簡易裁判所の訴訟事件数というのは約32万件ございますが、一方で、地方裁判所の訴訟事件は約16万件となっておりまして、事件数で見ますと、簡易裁判所は地方裁判所のちょうど2倍の民事訴訟事件を取り扱っているということになります。
 資料3の中の資料3、簡易裁判所と地方裁判所の事件比率の推移がグラフにしてありまして、昭和29年以降の推移がまとめられております。(注)2のところで、簡易裁判所の事物管轄の拡大のことが触れられておりますが、これについて簡単に御紹介いたしますと、昭和22年5月の裁判所法施行によって簡易裁判所が設置されまして、当初は簡易裁判所の取り扱う民事訴訟の目的の価額の上限は5,000円と定められておりましたが、その後、昭和25年に3万円、昭和29年に10万円、昭和45年に30万円に、それぞれ上限が引き上げられました。
 現在の簡易裁判所の管轄は、先ほどの90万円ということですが、それはこのグラフで「57」と書いてありますが、今からちょうど20年前の昭和57年に裁判所法の改正がございまして、これによって簡易裁判所が取り扱う民事訴訟の目的の価額の上限が90万円に引き上げられまして、一方で、先ほど申し上げた不動産に関する訴訟については、90万円以下であっても、地方裁判所と簡易裁判所の競合管轄にしまして、更に、簡易裁判所に訴えが提起された場合であっても、被告の申し立てがあれば地方裁判所に移送しなければいけないという規定が、このときに設けられたものでございます。
 先ほど委員から御指摘のあった、訴訟の目的の価額別に見た事件数の推移というのが、簡易裁判所と地方裁判所別に分けて資料4と資料5にまとめたもので、表があるほか、それぞれの資料の3ページ目は、グラフにまとめた資料でございます。
 資料4が簡易裁判所に関するもので、資料5が地方裁判所に関するものになっております。この資料4の3枚目の簡易裁判所の訴額別の事件数のグラフですが、これを見ていただければわかりますように、実は、簡易裁判所であっても、本来の管轄に属する90万円以下の請求の事件だけではなくて、90万円を超える事件も、平成13年のところを見ると右の方に「7.2」と「2.6」と「0.5」というのがありまして、90万円を超える事件についても、併せると10%ぐらいの事件を取り扱っております。これは、当事者が簡易裁判所の管轄とする合意を契約でしている場合に、簡易裁判所がその事件を取り扱っているということになるわけでございます。ちなみに、この90万円を超えた事件の割合というのは、例えば90万円から200万円のところを見ますと、簡易裁判所の事物管轄を引き上げた昭和58年以降を見ましても、2.7%〜7.2%となっており、簡易裁判所で扱っている高額訴訟というのは、むしろ増えております。
 資料5の方を見ていただきますと、資料5の3ページ目、やはり地方裁判所の訴訟の目的の価額別の事件数の推移を表したものですが、地方裁判所ではどうなっているかというと、90万円を超えて200万円の事件というのは、左から2つ目のところですが、事物管轄を引き上げた直後の昭和58年は31%あったものが、平成13年では25.9%に減っている一方で、地方裁判所は、このグラフの右側の方、非常に高額な事件の割合というのがどうも増えているという状況になっているわけでございます。
 先ほどの最高裁判所作成の資料3に戻っていただきますと、その中の資料4、簡易裁判所と地方裁判所の種類別事件数というのがございます。これは、金銭と不動産の請求に分けて、簡易裁判所と地方裁判所の事件数の割合を示したグラフでございます。
 続きまして、資料3の中の資料5、これは、簡易裁判所と地方裁判所の事件の弁護士選任状況をまとめた資料です。見ていただきますと、簡易裁判所では90%の事件が双方とも弁護士を訴訟代理人として選任しない、いわゆる本人訴訟になっております。 地方裁判所について見ますと、双方とも本人訴訟というのは、21%に減っております。ただし、地方裁判所になっても、双方ともに弁護士が付いている訴訟事件というのは、39%にとどまっているというのが現状でございます。
 少額訴訟事件について御説明いたしますと、少額訴訟事件に関する統計を最高裁からいただきまして、これが資料3の中の資料6でございます。少額訴訟事件の制度は、平成10年の民事訴訟法改正によって導入された新しい制度でございまして、したがいまして、この統計も平成10年以降でございます。着実に事件数が伸びて、利用が増えているということがご覧いただけるかと思います。事件の割合ですけれども、資料6の真ん中から下のところに、種類別の事件数が書いてありまして、平成13年では交通事故による損害賠償は28.5%と一番多いようでございます。
 資料3の中の資料7ですが、少額訴訟事件がどのように終わっているかということです。前々回の第2回に簡易裁判所で見ていただいた事件は、実は、その日のうちに和解が成立しまして、たしか18万円の敷金の返還請求だったかと思いますが、16万円ぐらいを払うということで、その日のうちに和解が成立したと聞いておりますけれども、実際にどのように終わっているかというのが、この資料7でございまして、判決で終わっているのが平成13年で32%、それに対して、今申し上げたような形で和解で終わっているのが34.9%、それから、被告の方が通常移行の申し立てをすることもございまして、通常訴訟に移行する事件が14.6%ということになっているようでございます。
 資料3の中の資料8というのは、事件がどう終わっているかというのを事件の種類別に分けたグラフでございます。
 資料7、右上に「民事・人事訴訟法部会資料」と書いてあるものでございます。この点につきましては、簡易裁判所の少額訴訟事件の訴訟の目的の価額の上限の引上げというのが、この司法制度改革の検討課題にもなっておりまして、これが法制審議会で検討が進められているということを御紹介する趣旨であります。ここに書いてありますように、法制審議会におきましては、少額訴訟に関する特則が適用される事件の範囲を定める訴額の上限額を引き上げるものとするに当たり、検討するべき点はあるかというような形で、検討項目が示されて検討が行われておりまして、更に、2の「その他」という項目の中で、その他民事裁判を充実・迅速化すること、専門的知見を要する事件への対応を強化すること、ここの検討会の関係では、簡易裁判所の機能を充実させることなどということで、司法制度改革審議会の意見書において提言されている事項に関連して、民事訴訟法を見直す観点から検討すべき点はあるかと、このような検討項目も示されまして、法制審議会において現在検討が進められているところでございます。
 この簡易裁判所の機能の充実に関しては、法制審議会の方では少額事件につきまして、少額審判手続という、訴訟よりも簡易で柔軟な裁判手続の導入に関する検討も行われているように伺っております。
 以上が、法制審議会での検討状況の御報告になります。

□ 御説明をいただきましたが、御意見あるいは御発言がございましたら、お願いいたします。

○ 資料5なんですけれども、一番微妙な訴額のところで、平成11年からは100万〜200万までがワンランクになって、この辺一律になっているのは何かまずいなと思うので、前のように、100万、120万、150万とか、細かい統計が取れないんでしょうか。前の司法統計は細かくなっているんですね。

● これは、統計の簡素化でこういう取り方になったと承知しております。

○ そうだと思うんですが、今の司法統計の本には、もっと簡単にしか書いていないので、これでもまだかなり詳しくしていただいたんですが、微妙なところはわからないですね。例えば、幾らまでを簡裁に移せば何件ぐらい増えるのかとか、そういう推定とかで、これだと試算ができないですね。ですから、そこら辺細かく区分した統計をいただけないものかというのが一つです。
 もう一つ資料の追加をお願いしたいのは、これが全裁判所の統計になっているんですね。例えば、弁護士会的に考えると、司法統計は今、支部がないので本庁だけの統計しか出ていないんですけれども、253の本庁と支部についての具体的な統計を、昔は取っていたんですから、取れないことはないのではないかと思うので、その辺お願いをしたいと思います。1つには、例えば、今、簡裁の充実ということが上げられていますけれども、簡裁がどのぐらいまでやるのかということになると、簡裁にどのぐらいの裁判官がいて、私なんかが聞いているところだと、東京簡裁を頭に描くと全然問題ないと思ってしまうんですけれども、地方の単位会から言わせると、やはり支部で裁判官が常駐していないところもいっぱいあるわけです。北海道などは、月に1回行くという裁判をやっている。そうすると、簡裁も同じように、裁判官が常駐しないで、月何回というところが多分たくさんあるんじゃないかと思うんです。そういうところで、理念だけ簡裁充実と言われても、受け皿としてどうなのかなという、かえって市民に迷惑を掛けるんじゃないかということが推測できるんですけれども、その実証的なものがないので、それは最高裁の方で何か資料をいただきたいと思います。

● 具体的に、簡易裁判所の事物管轄について検討するときまでの間には、最高裁とよく相談して、今の御指摘に沿えるような材料を用意したいと思います。

○ お願いします。

○ 今、委員から、やみくもに上げてしまうと、かえって簡裁がオーバーフロー状態になってしまって、うまく機能しないのではないのかというようなお話がありましたが、私も、そういう方向で若干問題を指摘させていただきたいと思います。
 資料3の中の資料3の割合を見ていきますと、やはり、この黄色と青で鮮明になっているグラフですが、過去に簡易裁判所の事物管轄の引き上げを図ったところは、簡裁事件が減っているという状況の下で引き上げたわけですが、今回は、簡裁事件は増え続けているのにも関わらず引き上げようということが、過去の改正と全然違うということを考えておかなければならない点だと思います。つまり、過去は余力があったので、地方裁判所の負担を簡裁に移すことによって、両種の裁判所が適切に働くように、機能するように改正がされたものだと理解できるわけですが、今回は、簡裁がどんどん負担が増えている。これは、訴訟事件だけではないということも注意しなければいけないわけでして、前のページを見ますと、簡裁の調停事件が、非常にこの数年間で爆発的に増加していると、これは多分、多重債務者が債務調整をするための調停事件が非常に増えているということだと思いますから、簡裁は今、かなり負担が大きいのではないかという推測が成り立つわけでして、ここで大幅に上げるということは、これはマンパワーについての適切な措置というのがないとうまくいかない、かえって簡裁が機能不全に陥ってしまって、本来改革審が考えていたところとは違うような結果が出てしまう危険があるということで、マンパワーの配置についての見込み等を含めて慎重に検討しなければいけないのではないのかなという気がしております。
 もう一点、私も統計について注文したいんですが、最近新しくなってから、あまり司法統計はつぶさに見ていないんですが、かつては、金銭請求事件、お金の支払いという事件の中で、貸金業者あるいは信販業者が原告である事件、つまり消費者信用に関わる回収事件というものの内数が書いてあったと思うんです。私が調べたのは5年ほど前なんですが、実は訴訟事件は全体にずっと増えてきているんですが、増えているのはそういう業者事件でして、ほかの事件はあまり増えていないという現状があり、かつ、その金銭請求事件のうち、貸金業者、信販業者の事件というのは、訴額が低いもんですから、簡裁事件が相当ある。地裁事件でも、かなり訴額の低いものということになりますので、訴額上限を上げることは、そういう業者事件がまた大量に簡裁に入ってくるということにもなりかねない。それがいいのか悪いのかというのは、また別の問題ですけれども、簡裁の訴額の上限を上げることは、国民に密着したということで、主に市民が原告になる場合を念頭に置いて考えることが多いと思うんですが、実は、貸金業者事件がどんどん、もっと簡裁に入ってくるということもあり得るということも考えなければいけないと思います。ただ、貸金事件の特徴としては、これは被告がほとんど欠席する場合で、1回ですぐ結審してしまうと、だから裁判所の負担としてはあまりないということも、これはまた逆の方向なんですけれども、それもあり得ると思いますので、そういうことを総合的に判断しないと、この訴額上限の引上げということは、いい改正につなげるためには、今言いましたようないろんな要素を考えなければいけないと思います。
 統計につきましては、資料4,資料5につきましては、可能であれば、業者事件の内数というものを出していただければと考えます。

□ そういう強い要望があったということを申し上げておきます。

○ 昔の司法統計を見ると、金銭を目的とする訴えの中にも、ものすごく細かく区分して、貸金とか、更に信販関係事件の立替金求償金とか、ものすごく細かく司法統計が出ているんです。だから、私がたまたま平成5年のものを持ってきたら、こんな厚いんです。それで、今のはこんなに薄いんです。だから、昔のを見ると統計からいろんなことを推計できたんですけれども、今は結論しか出てきてないので、いろんな見込みとか、これからどうしたらいいかという動きがわからないんです。ですから、申し訳ないけれども、この会議で少し補充して出していただければと思います。

□ 御承知のように、もう人手も何もかも減らされてしまうからこういうことになるわけですが、決して隠しているとは思いませんが。まあそれは重要な資料ですから、出てくるものであれば出していただきたいと思います。
 ほかに事物管轄の問題、あるいは金額ごとの新受件数の推移に関係いたしまして何かありますか。

○ 大ざっぱなことですけれども、この資料5を見ると、大体500万円までで60%ぐらいの事件ですね。大体ここら辺ぐらいまでが、いわゆる市民的な事件だと思います。そうすると、やはり100万〜500万ぐらいのところの提訴手数料を検討するのが筋かなというふうに思います。ただ、財界も要求してないというのはどうかと思うので、例えば、都庁の銀行税の裁判が新聞に出てましたが、控訴の印紙が2億8,400万円、やはり随分高いというふうに思いますので、スライド制はある程度維持しても、頭打ちにする、いわゆるキャップ制をどこかでしないと、膨大な金額になってしまう。今後いろんなことで、株主代表訴訟は制限がありますからいいんですけれども、そういう形で何かキャップ制を考えないと、ちょっと膨大になり過ぎてしまうのではないかと思いますので、億を超えるところにも、若干の減額はした方がいと思います。

○ いつごろか、金額が高いところは、ちょっと下げたんですね。

○ 平成4年ですね。

○ 今、委員御指摘の、資料5の一番最後のところを見ると、この辺をどう読むかですね。物価などから考えて、もうちょっと下の方が増えてもよさそうですけれども、全体の割合としては、必ずしもそうでもないというわけですかね。ただ、この表だけで判断しては危険ですので。500万円ですと、申立手数料が大体3万2,000円〜3万3,000円ですかね。

○ 申立ての印紙代のことなんですけれども、印紙代を考えていく場合に、国の予算の中でそういったものは、ほとんど考えなくてもいいくらいだと言いましょうか、訴訟費用の中のウェートが非常に低いということもあると思うんですが、それで当てにされているかされていないかは別としまして、一定の印紙代で国がどんどん収益を上げようということはお考えになっていらっしゃらないと思うんですが、かと言って、それをある程度の見込みをもって考えていらっしゃるとすれば、物価動向ですとか、株価だとか、景気その他、それにはまた人口の動き方も絡んでくるのかもしれませんが、そういうものにあまり左右されにくいような形があれば、そういう方が長期的に見た場合にいいんじゃないと思うんですね。それが、果たしてどういう形がいいのか、単純なスライド制ではないような気もして、それが段階的なスライド制なのかよくわかりませんが、そういうことも一つは考えていく必要があるんでしょうか。その辺、私どもの立場ではあまり情報がないんですが。

● 大ざっばに言うと、3,000億円の裁判所関係予算のうちの、200億円は手数料収入だと。ただ、その手数料収入というのは、裁判所の費用に直接充てられているわけではありませんが、対応状況は現状そのようになっているというように申し上げたわけです。ただ、国のこういう財政状況ですから、決してそれを当てにしてないということはないんですが。

○ でも、利用者が増えれば、少額でも、薄利多売という感じは変ですけれども、そういうことも言えるんじゃないかと思うんです。どう考えても、高額になることを望んでいる人は少ないし、そういうふうになっていくと、やはりよくないだろうなと思いますので、その辺難しい数字を入れて計算するような式があるのかもしれませんが。

○ 今、この資料5の表を見ると、500万〜5,000万ぐらいのところも、とても高い比率だと思うので、バブルの後遺症の、老人マンションや欠陥住宅、そうしたものというのは大体この辺にあって、なかなか訴訟費用は高いですね。2,000万で100万円ですか。そうしたことについて、こういう所得というものとの関係で、最低、住宅とかいう部分については、ちゃんと支援をしていく国にならなければいけないというふうに思うんです。せっかく手にしたものが、いろいろな社会的状況の中で、つまづいている人がたくさんいて、そういう人たちの全世帯の平均が220万ぐらいだとすると、一月分の20万ぐらいで一軒の家の訴訟ぐらいできる国になると、何かバブルの後始末がもう少しいくのではないかなと思います。そういうことで、何か原点である生活の住宅とか、そういう事件が周りに何件かあって、解決してないようなことをよく知るので、そういうものは、大企業の支援でなく、こうした民間の支援を法的にするというような、そうした一時的な何かもあったらいいのではないか、そうしたことも時代の背景の中で必要ではないかという思いがあります。感想のようなものでございますが、1軒の家の訴訟が家族を抱えて100万では、訴訟できませんね。

□ 10万円ですね。

○ 10万円ですか、単位が円ですね。ごめんなさい。

○ 5,000万円で21万7,000円です。

○ そうすると、1か月分ぐらいの生活費でできるということですか、それはよかった。ごめんなさい、読み間違えました。

○ 不動産価格はこのところ低迷状態が続いておりますけれども、命の値段ももっと高い方、1億以上の方もいっぱいいらっしゃると思いますし、私たちが関わりたくなくても、そういう状況に直面することもあるような気がするもんですから。

○ イギリスは、まさにサッチャー政権で要求したんですね。裁判所の収支を合わせるように努力せよと。裁判所で使う費用は裁判所自身で稼ぐようにと。まさに、サッチャーイズムですね。幸いにして、今のところ日本ではそういう意見は、どこかにあるのかもしれませんが、聞こえてきませんけれども、考え方としてはあり得ない考え方ではないでしょうね。

○ あまり期待されると困るわけですね。したがいまして、安定的なものでないといけないんではないかと思うんです。と言いましょうか、件数が増えなければいけないけれどもという、その辺が大変難しいところではないかと思います。

○ 先ほど委員からいただいた資料で、実は、最近高齢者の情報を自分なりに見ておりまして、月々の平均収入だけで経済状況を判断することは、すごく危険じゃないかなという気もしています。と言いますのは、日本の場合、ほとんど高齢者の蓄積してきた資産の、大変大きな割合が不動産で、過去の経済成長に伴ってそれがアプイシエートしていると。それを小さく割って売ったりとかすると大変価値も下がるので、高齢者は、多くの場合、それを持ったまま亡くなって、自分の意に反してかもわかりませんけれども、大体7割ぐらいの人がそれを相続させるだろうと、本人たちも想定している。ですから、持っている資産に対して、フローのインカムというのはものすごく少ないわけですけれども、実際に今まで資産を受け取った、だから相続したり、相続する可能性が将来あるだろうという方たちの平均の額を見てますと、大体3,000万〜4,000万の間、あるいは4,000万以上というのが多いんです。だから、現在の高齢者の中には、実は第二次世界対戦によって生活が大変大きく変化した高齢の女性、特に女性も含まれているんです。ですから、セグメントで見ていくと、この方たちがいずれ亡くなられてしまったときの高齢者像と今とは随分違ってくるだろうし、また、高齢者の経済状況を、資産を含まないでフローだけで見ると、当然すべての人が仕事をやめていけば、フローの所得は減っていくわけですから、この辺りもすごく議論が難しいなと思います。だから、毎月のインカムで考えるよりは、むしろ生活の基盤となる、先ほどの委員の御意見にもありましたような、住宅とか、何か生活の基盤になるものの単位なり、最低限どれぐらいの価格のものまでは比較的ハードルを低くするとか、何かほかの考え方も必要かなという気がしまして、そして、上の方へ行けば行くほど、確かに訴訟を起こすときに越えなければいけないハードルは大きいかもしれないけれども、そもそもそれだけの訴訟額を前提とした経済力というのは何なのかということを考える必要があるので、上をキャップすればいいという話ではないような気がします。
 また、少額の方をずっと動かしていくと、先ほど御指摘のようにサラ金的な業者訴訟というのが、どっとそこに入ってくるとか。だから、金額だけをいじってどうこうできる部分と、それとはちょっと違った考え方を、ただし書きのような格好で持っていくようなことが必要なのかなと考えてみたら、なかなか悩ましい状況で、金額だけでいじろうとすると、根拠もまたさまざまであるというような気がするんですが、この辺りの考え方をここでもう少しほかのものにも立脚した根拠を、新たに根拠として導入するのかどうかということは、随分大きな決断になるかなという気がしています。

□ いかがでしょうか。重い課題だということを改めて認識いたしました。また、この問題に戻ってまいりますが、とりあえず、今日の次の課題の方に移ってよろしいでしょうか。
 今日の議題の訴訟費用額確定手続の簡素化ですが、この辺またいろいろ資料をいただいておりますので、御説明をお願いいたします。

● 資料が8と9と10、それから最後の11までを用意しております。それに基づいて、御説明をしたいと思います。
 訴訟費用の負担の原則、訴訟費用とは何かというのは、後でまた御説明いたしますし、第1回の検討会のときにも若干御紹介をしましたが、訴訟費用の負担の原則に関しましては、資料8にまとめたところでございます。民事訴訟法の61条で、訴訟費用は敗訴の当事者の負担とするということを決めておりまして、訴訟費用の敗訴者負担の原則というものが定められております。訴訟費用の敗訴者負担の原則は、明治5年の司法省の達示によって最初に定められたものでございまして、それ以来、現在に至るまで、訴訟費用の負担の基本原則とされております。なぜ、こういう制度ができたのかということにつきましては、民事訴訟費用等に関する法律が現在できているわけで、それが基本になっているわけですが、その立案の担当者の解説によりますと、費用の償還義務をいかなる原則の下に認めるかについては、古くは、実体法の領域における過失責任主義と同じく、敗訴者は過失のある場合に限り償還義務を負うものとされていたと。しかし、これでは、真の権利者にとって、実際上相手方の抗争によって、思わぬ費用の支出を強いられたままこれに甘んじなければならないということになりがちになり、反面義務者の不当な防御が容易に行われることになると。このような弊害を防ぐために、民事訴訟の費用の償還に関しては、原則として結果責任主義が認められるに至ったという説明がされております。その場合で、全部勝つかはわかりませんので、損害賠償とかで損害の認定が一部になったというような場合もございます。そういった一部敗訴の場合における負担が、資料8の1の②というところにありますように、「一部敗訴の場合における各当事者の訴訟費用の負担は、裁判所が、その裁量で定める。ただし、事情により、当事者の一方に訴訟費用の全部を負担させることができる」。このような基本原則が定められております。
 次に、訴訟費用の負担の裁判をどのようにするかという、これは資料8の2の項目ですが、訴訟費用の負担の裁判は、事件を完結する裁判、通常は最後の判決のときに、裁判所の職権で、その審級における訴訟費用の全部について、その負担の裁判をしなければならないとされております。したがいまして、判決で、原告が勝訴の場合は、訴訟費用は被告の負担とするとか、被告が勝訴の場合は、原告の負担とするとか、そういった形で判決の主文に掲げられているわけでございます。
 その後の訴訟費用額を、どうやって相手から取り立てるかということになりますと、それが資料8の3の「訴訟費用額の確定手続」でございます。訴訟費用額の確定につきましては、訴訟費用の負担の裁判が執行力を生じた後に、申立てによって、第一審裁判所の裁判所書記官が、訴訟費用の負担の額を定めるとされております。つまり、実際被告の負担とすると決めるのは裁判で決まっているわけですが、では幾ら負担すればいいのかというのは、その後で裁判所書記官が申立てによって定めるとされております。ちなみに、この訴訟費用の負担額確定の申立ての事件数を調べたのが、資料11でございます。平成13年、一番下を取りますと、地方裁判所で459件、簡易裁判所で368件の申立てがあったとされておりまして、訴訟事件全体が地方裁判所で16万件、簡易裁判所で31万6,000件ということですから、訴訟事件全体との対比で言えば、極めて少ない数であるということは間違いないことでございます。
 それでは、この具体的な申立ての手続はどうなるのかということですが、それが資料8に戻りまして、1ページ目の末尾のところ、3の②というところで、「訴訟費用の負担額確定の申立て」ということがございます。訴訟費用負担額の確定を求める申立ては、書面ですることになりまして、2ページ目に行きまして、書面で申立てをするときに、当事者は費用計算書、費用額の疎明に必要な書面を裁判所書記官に提出した上で、その相手方に対してその申立書と費用計算書を直接に送付する必要があるという手続になっているわけでございます。更に、この申立てを受けた裁判所書記官は、その次の③のところにありますように、相手方からも費用計算書、費用額の疎明に必要な書面を提出するように催告をいたします。これは、費用の全部が一方の負担であるときは、こういうことは必要ありませんが、例えば、一部勝訴の場合に、5分の3だけ原告の負担とか、そういうように判決で書かれた場合には、相手方が幾らの費用を出しているかということも計算しなければいけないことになるので、このような手続をするわけでございます。その上で、もし、この相手方が費用計算書、費用額の疎明に必要な書面を提出しないときは、裁判所書記官は、申立人の方の費用だけについて負担の裁判をすることができます。ところが、相手方からも、これだけの費用がかかったということで、費用計算書が出されますと、当事者が負担する費用というのは、原告の費用と相手方の費用、つまり申立人の費用と相手方の費用を相殺勘定しまして、その残りの部分について負担を決定するというような裁判所書記官の処分がされるということになります。具体的な確定手続については、このような形で確定されるわけです。
 次に、何が訴訟費用になるのかということが、資料9でございます。この具体的な項目につきましては、第1回の検討会で御説明をいたしました。民事訴訟費用等に関する法律の、第2条に定められているのが、この当事者の負担する民事訴訟費用の範囲、それから額でございます。したがいまして、その法律に列挙していない費用、あるいは、そこで定められた額を超える費用、こうしたものは、たとえ訴訟に伴って当事者が支出を必要としたとしても、先ほどの訴訟費用の裁判に基づいて相手方から取り立てることができる訴訟費用の中には含まれない。別途、別に裁判を起こさなければ、相手方から回収することはできないということになります。どういうものを訴訟費用の範囲に入れているのかと、なぜこれが訴訟費用の範囲に入り、どうしてこの金額が決められたのかということにつきましては、これは見ていただくといろいろなものが入っているわけですが、非常に細かい規定になっています。それがどうして決められたのかということについては、具体的に立法当時の立案担当者の解説を見ますと、先ほどの結果責任主義によると、訴訟の結果が主として費用の分担の基準になります。したがって、ある訴訟が、実際上不明確な法律関係を解決するという性格を持つものであり、いずれの当事者も自己の主張の正当性を確信する、相当の根拠がないとは言えないような場合でも、特にほかに例外の規定のない限りは、敗訴の当事者のみが訴訟費用を負担する、勝訴者に生じた分の償還義務を負うということになります。こういう点からすると、償還請求することができる費用は、当該訴訟等によって当事者に生じた一切の出費や損失にかかるものにわたるのではなくて、訴訟等の実施につきごく一般的に必要とされる種類のものに限るべきことになるという説明がされております。そういった費用の範囲や額の考え方について、更に費用の具体的な発生、それから必要性を明らかにするために、改めて当事者等が詳細な主張立証をして、裁判所もこれに応じて慎重な審理を行わなければならないというようなことは避けるべきであると。そうでないと、費用の裁判のために更に費用がかさむという結果になりかねないということです。そして、その審査の容易さという観点から見れば、民事訴訟等の費用は、基本となる手続の過程において、つまり判決に至った基本的な手続の過程において、特にその記録の中で表われたところによって、その発生及び具体的な必要性が、自ずと明らかになるようなもので、また、その額も、できる限り記録に表われたところに基づいて簡易に算定することができることが望ましいことであると述べられております。
 また、更に費用の範囲とか額を定めるについては、当事者間の公平を図ることも顧慮しなければならない。そして、費用の範囲及び額というのは、先ほど申し上げた形で、一般的な必要性によって限定されるということになるのですが、これを費用の範囲に含めて、相手方に負担させ、あるいは先ほど申し上げた対当額による相殺をするということについては、公平の観点から見ると、費用の額について常に実費によるということも適当ではないというよううな解説がされております。そこで、公平の観点から見れば、1つの種目の費用の額というのは、できる限り適当な定まった額、定額によるのが妥当であるという説明がされておりまして、そして、この民事訴訟費用等に関する法律というのは、そういった検討の結果、一般的に権利の伸長、防御に必要であると考えられる費用を類型化して列挙するとともに、その額もできる限り権利の伸長または防御に必要な限度のものを法律で定めたというようにしております。これよって当事者間の公平を図るとともに、費用の負担及び額を定める手続の迅速化と、今後における費用額の確定手続の利用の増加が期待されるというような説明がされておりました。
 これに基づいて、資料9と資料10を見ていただきたいのですが、前回検討会の資料1で訴訟記録をお示ししましたけれども、実はそれに基づきまして、この資料9の費用の項目について、裁判所書記官の経験のある事務局員が作成したものが、資料10の「訴訟費用額計算書」でございます。通常は、先ほども申し上げたように、訴訟費用額確定の申立てをするときには、当事者が計算して、このような計算書を作成して出さなければいけないということに、現在はなっております。
 資料10の1ページ、これは原告側の訴訟費用でございます。原告が全部勝訴した場合には、計算書の末尾の「合計」という欄の6万9,710円、この訴訟費用が、被告から償還を受けられる、訴訟費用額確定の申し立てをして、この金額を確定してもらえば、相手方から取り立てをすることができる金額になります。
 具体的な内容につきましては、一番上に訴え提起の手数料が3万600円、そのほかに訴状の書記料、この書記料というのはどうなっているかというと、1枚150円だったと思いますが、そういった形で計算されるもので、実際どういう書面を、何ページの書面を提出したかということに基づいて計算をするものでございます。そのほかに、証人が出頭したときの旅費等であるとか、原告本人、あるいは訴訟代理人である弁護士が法廷に出頭したときの日当のようなものが、この訴訟費用の中に加えられておりまして、更に、裁判所側の訴状を送達、相手方に送りますので、その相手方に送るときの郵便料というものが上から6番目にありますが、これが1,050円かかるものですから、そういった費用を、最初の段階では原告が負担していたものを、相手方から取り立てることができるようになるわけでございます。
 参考までに、この「合計」の下のところに、日本弁護士連合会の報酬基準規定に基づいて算出した弁護士報酬を、点線内に掲げてございます。最初のときに申し上げましたように、弁護士報酬については、相手方から償還を受けられる訴訟費用の中には含まれておりません。弁護士報酬につきましては、この事件は450万円の請求ですので、それを報酬基準に当てはめますと、着手金が下限で22万500円、勝訴した場合の、成功報酬に当たる報酬額というのが、44万1,000円となっておりまして、標準額のところでは、着手金が31万5,000円、報酬額が63万円というような報酬基準規程になっております。
 その次の資料10の2ページ目が、被告の方に生じた訴訟費用です。書面の書記料であるとか、その提出費用などが計算されております。この「合計」のところを見ますと、被告の方に生じた訴訟費用は4万3,210 円となっております。ですから、被告の方が勝訴すると、その額については、相手方から償還を受けられることになります。ただし、その下にあります弁護士報酬、この部分については、基準は原告も被告も同じ基準になりますので、先ほどの原告側の計算と同じ形になりますが、これは訴訟費用には含まれないということでございます。

□ 今、御説明をいただきましたが、御意見あるいは御質問がございましたら、どうぞ。

○ また、わからないことを申し上げるかもしれませんが、日本では原則ということは、こういう敗訴者負担だけではなくて、各自が負担したり両方が負担したりということもケース・バイ・ケースで、お金がたくさんある人は、敗訴者に訴えなくてもよいということになっているわけですね。

● 例外というのは非常に限られておりまして、訴訟手続で不必要なことを行った、そのための費用であるとか、訴訟手続において、例えば訴訟を遅らせたというような行為をしたと、そういった場合について例外があるということでございます。ですから、それ以外の例外というのはございません。

○ どこの国でもそうですか。

● その敗訴者負担の原則というのは、ほとんど共通です。

○ 訴えにくい感じが残りそうな、負けても問題意識があるだけでは訴えられないということなんですね。ものによっては、各自が負担できるようなものもありそうな気がいたしますので伺いました。

○ そうですね。例えば、書記料なんていうのは、昔は罫紙が用意されていまして、そこに書いたんですけれども、今はもう違います。ですから、時代的にはちょっとずれてきているのかもしれませんね。

○  訴訟を起こそうと思ったときに、原告でも被告でもよろしいんですけれども、アウトポケットにならざるを得ない、第三者に払わなければいけないお金というのは、どれぐらいあるんでしょうか。訴え提起手数料というのはそうだろうと思うんですけれども、それ以外に、必ず外に出ていくお金というのは、どれぐらいになるんでしょうか。書記料というのは、自分でタイプをするんであれば出ていかないということなんでしょうか。

● 例えば、資料10で見ていただきますと、書記料は、今御指摘のように、自分で書けば問題ないですね。提出費用というのは、郵送等で提出する場合は、通常必要になります。

○ それは、郵便局に払わなければいけないということですね。

● それから、6番の送達費用、これも裁判所から郵便局に払う費用ですので、これも必要になります。

○ これは、訴え提起をするときに、同時に郵便切手で納めなければならないということですね。

● それから、13番の旅費及び日当、これは証人に来てもらうときに、その旅費を払うために予納をしてもらうことになります。

○ 証人も、お金を裁判所からもらって帰るわけですね。それで、裁判所に対して、頼んだ人が払うということですね。

● そうです。それから、16番の判決正本の送達費用、これもそうなります。当事者の出頭日当というのは、これは別に時間のロスに対する補償になりますので、関係はありません。
 大体以上で、下の方の送達費用に当たるもの、あるいは送付費用に当たるもの、提出費用に当たるもの、こうしたものは、通常であれば、費用として出ていくものだと考えられます。

○ わかりました。

○ これについては、書式が決まっているんでしょうか。

● 基本的なものはあると思いますけれども、特にこれじゃなければいけないということではないと思います。

○ 大体裁判所に提出するものは、標準的な書式というのはありますけれども、絶対これでなければいけないというのは、そうはありません。
 ついでに発言させていただくと、資料11でありますように、この訴訟費用額確定手続というのは、ほとんど利用されていないんです。その原因は何かというところで、1つは非常にわずらわしい、細かい計算をして、当事者の方にもわずらわしい、裁判所にとっても大変な作業になります。また、もう一つ、先ほど御発言ありましたように、訴訟費用まで取り立てるのはどうかという、そういうブレーキが働くのかなという気がしないでもないんですが、これは、私よりも、当事者の代理人をされている委員にお伺いしたいんですが、どうでしょうか。

○ それもありますけれども、面倒臭いというのが一番じゃないでしょうか。6万9,000円取るのに、これだけ全部計算書を付けて、準備書面1枚、2枚と、相手のも全部数えるんですね。昔、私が弁護士になったころは、登記簿謄本も全部薄紙を持っていて、カーボンを敷いて書いていましたね。そのころは、書記料というのは、かなり重要だったのかもしれませんが、今は全部コピー、ワープロ、パソコンで済んでしまうから、書記料なんか1枚、2枚と数える方が面倒臭いという感じですね。しかも、一部請求はだめなんですね。だから、全部1枚、2枚と数えて請求しなければいけない。しかも、郵送料は裁判所に問い合わせて、いちいち幾ら掛かりましたかと聞いて出すんですね。もう大変わずらわしい、面倒臭いというのが一番じゃないんでしょうか。

○ せめて手数料だけでもくださいというような確定手続なんていうのは、できないわけなんですか。大部分がこれですね。

○ 提訴手数料とか、鑑定費用とか、そういうものだけを請求したいということが可能ならば、またやりようがあるんでしょうけれども、書記料から提出費用なんていうのをいちいち計算すると、もう大変わずらわしいですね。

○ 原告が全部勝ったり、全部負けたりした場合は、例えば手数料だけ、あるいは費用がかかった鑑定費用だけというような申立てをしてもいいんですが、割合的に定められると、相殺勘定をしなければいけないことになりますね。そうすると、一部だけ取り出して、それだけで相殺してくれと言われても、計算が狂うことになってしまうんです。

○ この資料11、16万件中459件とありますけれども、恐らく16万件中、完全勝訴か完全敗訴をしている比率というのはもっとあるだろうと思うんです。そういう場合には、せめて裁判所に払った提訴手数料であるとか、証人の費用であるとか、これはレシートがちゃんとあるわけなんでしょうね。そういうものだけを請求すればいいと思うのに、それがあまりにも少ないという気がするんですね。どうしてなのかなと思いまして。

○ 申し立てないと費用が絶対に返らないからでしょうね。ですから、例えば100%勝訴の場合には、少なくとも幾つかの項目に関しては、何もしなくても、必ずもう自動的にというような考え方もあるんじゃないでしょうか。

○ 今度の制度設計ということですか。

○ はい。だから、相殺ということになると、先ほどおっしゃったような問題がありますけれども、全面勝訴の場合につき、幾つかのアイテムに限り、まずは申立てをしなくてもという考え方はあり得るんじゃないでしょうか。

○ ここに例示していただきましたのは、お金に絡んだトラブルだったんですね。こちらの資料11に表われております、訴訟事件の件数と既に済んでいる件数は、内容としては金銭絡みの訴訟ばかりでございましょうか。

● 金銭だけでなく、民事事件全般です。

○ 敗訴者の負担という視点から考えた場合に、昨今、食品の偽表示が氾濫しておりますね。その偽表示のものを、わかったところから購入して、例えば生協から購入していれば、その生協に残っている記録からお金を返されたり、そういうふうなことが行われているわけですが、一つの消費者問題として考えますと、随分大勢の人が騙されて、私どもも既にいただいてしまっている可能性があるんです。たまたま、豚肉の事業者団体の方と、この間、表示を考える会がありまして、お会いしたら、鹿児島地域で黒豚の偽表示が氾濫しているんで、1か月間にわたっていろいろ監視を行ったところ、偽が50%ぐらになったということを言われるんです。コシヒカリなんかもそうなんですけれども、今いんちきな表示が行われていまして、それにもし私どもがこだわって、偽物の表示をしたものに関しては賠償してほしいと言ったとしますね。そういう場合に、消費者がそれを訴えたとしましても、私個人は、大した額の損害を受けていないですし、積年のものを合計すればかなりの額になるかもしれませんが、それを立証することもできませんし、偽物を食べたのか本物を食べたのかもあいまいな状況があるんです。でも実際には、かなり問題が多発しておりまして、そういうようなことがあった場合、株主代表訴訟じゃないですけれども、消費者が受けた存在を、別に個々人に返してもらわなくてもいいので、何らかの形で、例えば消費者のための基金として欲しいとか、そういうような訴えを仮にした場合、勝てる見込みというのはなさそうな気がするんです。大変立証が難しいと思うんです。私が食べたものを、今、トレーサビリティーというシステムがまだできておりませんので、それが履歴をさかのぼると何であったかというのがわからないということがあります。そうしますと、過去のデータでございますから、これについて言うのは、ちょっと話が飛躍し過ぎているのかもしれませんが、多数の人が少額の被害を被ったようなトラブルの場合に、私なりが訴訟を起こして、原告としての適格があるかどうかありませんが、それが負けた場合に、私がお肉屋さんなりどなたかにお金をお支払いするというのは、大変理不尽な話でして、偽物を食べさせられているんじゃないかということで訴えているにもかかわらず、立証ができないからあなたは負けですと言われたときに、支払わなければならないというのはちょっと納得がいかないんです。
 例としてよくないのかもしれませんが、角度を変えるならば、農水省の方、あまり名指しはいけないですが、あるいは担当された方たちの中で、明らかなる間違いがあったということが、この間のBSE報告書でも言われておりまして、実際に肉骨粉を完全に禁止しなかったために食べてしまっていまして、まだ出てくる可能性があるわけです。そういう間違いがあったということに関して、私が、仮に、あなたがおかしいじゃないですかということで、国民が受けた損害を弁償してくださいと仮に言った場合、そういう行政訴訟を起こしても、何か勝ち目がないような気がするんです。BSEの牛の肉をあなたは食べたんですかと言われると、食べたかどうかもわからないんですが、もし、私なり仲間がそういうふうな行動に出た場合のことを考えますと、敗訴者が負担をするというやり方が、すべてにおいて適切であるとはとても思えないんです。
 これは、訴訟費用の問題はまだまだ範囲が広うございますけれども、敗訴者の立場というのがしっかりと確立されていて、BSE問題で言えばリスクコミュニケーションという言葉がこのごろ言われておりますが、情報がしっかり開示されていて、私どもが危険性を察知し得るような状態になかった状態が長く続いていて、結果としてはBSEが発生したというふうなことになるわけで、そういうような状況によって損をした私たちが、またまた訴訟費用の相手側の印紙代まで払わなければならないというのは、どう考えてもそろばん勘定が合わないんです。
 私どもだけではなくて、例えば、医療過誤にしても何にしても、立証が大変難しい問題というのが世の中にありますし、そういう意味では、現行ではこれが実際に手続が大変ややこしくて、しかも少額なので、皆さん訴訟で疲れ切ってしまうのか何かわかりませんが、機能していないわけですけれども、ちょっと根本的なところで疑問を持っております。

○ 先ほど、私もそのように思って、敗訴者負担が一律原則みたいなことは、そういう訴訟を萎縮させてしまうし、問題が様々あるのではないかと思って、諸外国はいかがですかと事務局にお伺いしたら、世界中そのようなことだとお答えになったから、私は多分違うように、外国で建築のことしかわかりませんが、裁判の記事を読んだときに、もう少し両者がいろいろな負担の仕方があるというように聞いておりますので、是非イギリスでも調べていただいて、いろんなケースを諸外国では持ってやっているように思うのですが、さっきはみんなそうだというふうに答えてくださいましたけれども、是非一度何か情報をいただけるといいと思います。

□ 佳境に入ってまいりましたが、時間がそろそろ来ておりますが、多少の時間の延長は許していただきますが、この際是非発言しておきたいことがございましたら、どうぞ。裁判所からの資料があるんですね。

○ 是非というほどの話ではなくて恐縮なんですが、資料をお配りしましたので、その説明を若干させていただきたいと思います。
 2点ありまして、1つは、「少額訴訟手続についての説明書」と題する青色のペーパーが一番上にあるものです。これは、前々回の少額裁判を見学していただいた際に、被告の方が当日は必ずしも十分な証拠を用意していなかったようでして、それについて裁判所は被告に対して事前にどういう対応を取っているのかという御質問がありました。その回答というか、簡裁で配っているペーパーを用意いたしました。もともと原告は、少額訴訟を起こすことについて裁判所の窓口に聞いたりして、その手続の説明を大体受けてわかって法廷に臨むわけですが、被告は、いきなり訴訟に呼び出されるわけで、基本的には手続がわからない人がほとんどだという前提で、こういう資料を送っているわけです。
 まず1枚目の「少額訴訟手続についての説明書」は、民事訴訟規則に定められている説明書で、少額訴訟手続の流れとか特徴とか、不服申立手続等について、できるだけわかりやすく解説したものであります。裏もありますので、一度お読みいただきたいと思います。
 2枚目は、「答弁書」と題されている書式の書面です。これは、被告の言い分について、どういう言い分があるかということを、この書式に従って書いておけば一応明らかになるというようなものです。各訴訟類型ごとに用意されておりまして、これは、金銭の支払い請求用の答弁書です。こういう用紙も送付しております。
 3枚目は、「事情説明書」で、これは、裁判所としても、事前にどういう問題があったのかということを当事者に照会しておくことによって訴訟進行の見通しを立てる、あるいは、当事者にとっても準備の都合にあてるというようなものでして、事情説明書(乙)となっていますけれども、(甲)は原告に記入してもらうもので、被告に送るものが、事情説明書(乙)ということになっております。
 被告が提出するにはどんな証拠があり得るんだろうかということを一般的に類型化したものとして、次の「証拠書類一覧表」というようなものもお送りしておりまして、これを参考にしながら、こういう書証があれば用意しておいてくださいというようなことになるわけです。
 その次に用意してありますのは、交通事故の事件なんかについては、このような書面を送って、事故の状況について図面で説明してくださいというように求めているわけです。
 最後が「庁舎案内図」ですが、これは裁判所に赴くための案内図ですが、裏側にも記載がありまして、少額訴訟を利用するについてはファックスサービス等もありまして、こういうものを是非利用してくださいというような案内をしてあります。裁判所は、こういった書面を被告に送って、訴訟についての準備をしてもらう、場合によっては、これに基づいて、被告の方から書記官等に問い合わせがあれば、その際を利用して手続について説明して、証拠の提出その他の準備を依頼するというような段取りで行っております。
 以上が、第1点です。
 2点目は、前回最高裁判所の方からホームページの紹介等がありまして、裁判所のPR活動についての話があったと思いますが、地裁の現場でも、いろいろ国民に開かれた裁判所、市民に手続の説明をするというような活動に力を入れていまして、アクセス推進委員会の活動について若干報告いたしました。今回は、それについての資料をお配りしております。これは、この会のために特に用意したものではなく、この4月に転勤してきた裁判官に対する説明資料として用意したものを、そのままコピーして差し上げていますので、そのつもりでお読みいただきたいと思います。
 1枚目が、東京地裁のアクセス推進委員会でどんな活動をやっているのかというようなことの説明でありまして、活動内容としては、真ん中辺りから下に書いてあります「民事裁判説明会」、これは、例えば、模擬裁判を実演していまして、質問等を受けるというような企画で、年2回程度やっております。 次は「講師派遣プラン」で、これは、裁判官が出前をして、小学校、中学校あるいは高校、その他の団体に裁判手続の説明に出張するというプランでありまして、例えば、どんなところに行っているか、どういう話をしているかというようなことについては、2枚目、3枚目、4枚目以降に、平成12年と13年度分についての内容を説明してあります。それから,3番目は「ガイドツアー」でありまして、これは、毎月10日に、裁判所に来ていただいた方に実際の裁判を傍聴してもらい、その裁判の内容について、あるいは、一般的な裁判の流れ等について裁判官その他が説明をするというプランでありまして、これは個人で参加していただくという前提になっております。4番目が「ジュニアツアー」、これは、主として学校を対象にしていますので、こういう名称になっておりますけれども、3番目の「ガイドツアー」が個人参加なのに対して、4番目の「ジュニアツアー」というのは団体申込みということで、小学校、中学校あるいは高校の団体の方に実際の裁判を傍聴していただいて、その上で説明をする、場合によっては、担当した裁判官にも入ってもらっていろいろ説明をするということをやっております。
 それ以降に、随筆風の書きものがありますが、これは、裁判所内部の広報紙に載せたものをコピーしたものです。民事裁判説明会がこういうふうに行われています、あるいは、裁判官が出張して講演をしたことについてどんな反応があったかというようなことについて記載されています。裁判所の広報紙をコピーしたものですので、お時間がありますときに一度読んでおいていただきたいというふうに考えます。
 一番最後が、「東京地裁『ジュニアツアー』」と題したパンフレットなんですが、これは、東京地裁のホームページに載っているものでありまして、こういう機会もありますので、是非申込みをしてくださいという形で、こういうものを載せております。
 裁判官の出張講演については、発足当時はマスコミでも取り上げられまして、これに関する読売新聞と朝日新聞の記事のコピーも併せてお手元にお配りいたしましたので、これも時間がありますときに、一度眺めておいていただけたら幸いです。
 以上でございます。

□ どうもありがとうございました。
 それでは、今後の日程等につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。

● 平成15年法案提出予定の課題というのは、この検討会では非常に多いものですから、そろそろ審議を急ぐ必要もございますので、訴え提起の手数料と訴訟費用の確定手続の簡素化に関しましては、次回ぐらいには事務局の方である程度方向性に向けた論点をお示しして、具体的に、方向性について御検討願えればと思っております。
 ほかの検討についても、どんどん進めていく必要があろうかと思います。今日も委員から、原則についていろいろ検討を深める必要があるのではないかという御指摘がありましたけれども、弁護士報酬の敗訴者負担の問題についても、次の検討課題になっておりますので、できれば、次回ぐらいには、その基礎的なところまでは御説明なり検討ができるように準備をしたいと考えております。また、その点に関連いたしまして、やはり弁護士報酬について負担する制度の一つである、民事法律扶助の問題についても御説明して、検討を基礎的なところから始めていただければと思っております。

□ 私も進行役ばかりで、多少腹がふくれてまいりましたので、一言だけ申し上げさせていただきますと、そろそろギアチェンジで、少しスピードを上げたいと思っております。
 今日、大変いい御質問があったと思っているんですが、簡易裁判所と地方裁判所の波、緑と青、これを見ていてもどこがいいのか、過去の事物管轄引上げのときと状況が違うというような御指摘がありました。そして、またいろんな資料をいただきましたが、必ずしも情報として、資料として集められるものすべてではないという状況にあります。結局、何を申し上げたいかと言いますと、機械的にできる作業を我々は期待されているわけではない。フィロソフィーですね。例えば、簡易裁判所がどういう役割を果たすべきなのかというフィロソフィーから攻めていくのが、この検討会に期待されているんだろうと思います。こういう方法でやってほしいという検討会の意見が仮にまとまったとすれば、それを受けて、それではここぐらいまで動かせば、どういう副作用があるかということは、裁判所の方もあまり資料はないかもしれませんが、それはやっていただけると。ここは、フィロソフィー、どうあるべきかということを、もう少し次回からは集中的に議論させていただければというふうに思っております。
 以上でございます。

● 次回は、5月28日火曜日、午後3時から、事務局の会議室で開催いたしたいと思います。

□ では、今日はこれで終わります。どうもありがとうございました。