最高裁判所から、資料3に基づいて説明がされた。
事務局から、資料1に基づいて説明がされた。
これに対して、次のような質疑応答がされた。
○ 以前、日本弁護士連合会が、訴え提起の手数料について提案を出していたと思うが、それを紹介してもらえないか。
医療過誤の事件などもあるが、訴額が1億円だと訴え提起の手数料は41万円あまりであり、高額である。今後、暮らしに関わる訴訟の訴額が高額になることもあると思うので、手数料が高額になる部分については低額化すべきである。
○ 書記料、提出費用について、廃止することも含めて簡素化の方向で見直しを行うことについてはどう考えるか。当事者の旅費・日当等を定額化も含めて簡素化する方向で検討することについてはどう考えるか。方向性としては、そういうことでよいか。
(各委員了承)
○ 送達費用の手数料への組入れについて、技術的な問題があるとは思うが、どう考えるか。
○ 手数料に組み入れる送達費用の額は定額になるのか、それとも事件ごとに違うのか。
△ 事件類型や相手方の数によって分ける必要があるとは思うが、同種の事件で相手方も1人であれば同額になるような制度を考えている。
○ 現在の制度はたしかに煩雑である。ただ、現在は、予納した切手が余れば返ってくるが、最高裁判所が考えている制度では、実際の送達費用の額との間に差額が生じたとしても戻ってこない、つまり出しきりになってしまうのか。
△ 足りる場合、足りない場合、いろいろ出てくると思うが、標準的な場合を想定した額で、それを手数料としてと考えている。
○ 取らなければならない費用は何かという問題と簡素化の問題とは、区分けをする必要があるのではないか。また、印紙で納入するという方法は簡便ではない。どういう払い方が払いやすいか、もう一工夫必要ではないか。
△ 訴訟費用は、例えば、判決で被告の負担とするとされた後で、被告から取るものである。もっとも、被告から取りたくても、細かすぎて見合わないということでは困るので、例えば、書記料は、筆記の対価のようなものだったが、今の時代には見合わないのでなくしてしまうというのも一つの考え方である。旅費については、かなりかかる可能性もあるので、簡単に計算できるようにするというのも一つの考え方である。
○ 訴訟費用の問題は、当事者が立て替えて支出していたものを、判決の後で、原告・被告の間でどのように分担するのかという問題である。訴訟費用に関連しては、手続の簡素化と、何を訴訟費用に入れるのかという問題がある。訴訟費用で比較的に額が大きいのは、訴え提起の手数料、鑑定料である。遠くから裁判所に出頭した場合は、旅費も額が大きくなることがある。
○ 送達費用に関しては、現在は、郵便切手で予納している。予納する切手の種類も決まっている。予納する額や予納する切手の種類は、裁判所によって若干異なるようである。事件が終われば、余った切手は返ってくるが、例えば80円の切手1枚の返却を受けるためにわざわざ裁判所に行くことをどう思うかという問題がある。国によっては、訴え提起の手数料に組み入れているところもあり、アイデアとしておかしなものではないと思う。
○ 訴訟費用額確定手続は大変な作業を伴い、この件数だからやっていけるというのが実情である。1円にまでこだわって相手から取り立てたいと一般の国民が考えているかどうか、恐らくそこまでは望んでいないのではないか。大枠でとらえればいいのではないか。
○ そこは柔軟に考えればいいと思う。つまらない計算をするのはばかばかしい。
○ あまりに緻密に制度を構築しても、使われないようでは制度がないのと同じである。訴訟費用額確定手続の申立て件数はかなり少ないが、手続の簡素化によって、本当に申立て件数が増えるのか。
○ 訴訟費用額確定手続の申立てがあるのは、事件が判決で終わった場合である。新受件数の全てが判決で終わるわけではないので、判決で終わった事件の中で、どの程度訴訟費用額確定手続の申立てがされているのかがわかるような資料を出してもらえないか。
判決までいってしまう事件の場合、判決をもらっても、相手方からお金を取れないという場合が多いので、訴訟費用の取立てなど無理であり、訴訟費用額確定手続を簡素化したからといって、訴訟費用額確定手続の申立てが必ず増えるとは言えないように思う。
○ 訴え提起の手数料の低額化については、物価水準なども考慮に入れながら検討しなければならないが、訴額がいくらくらいの部分を低額化したらいいと考えるか。
○ 検討会としては、おおまかな方向性を出すことはできるが、細かい話になると、技術的な点の考慮も必要になるだろうし、いろいろな資料に当たって、時間的にも集中して作業をする必要があると思う。先ほど、手数料が高くなる部分については低額化してほしいという意見があったが、そういうおおまかな方向性を出して、それをもとに、事務局に具体的な案を提示してもらってはどうか。
○ 現在の手数料は、下の方は5万円ごとに500円という刻みになっているが、これについてはどう思うか。手数料が高くなる部分については低額化すべきだという意見があったが、それを踏まえ、負担感のありそうなところを下げるという方向で、刻みが細かいという問題も含めて、事務局に検討してもらうことでどうか。
(各委員了承)
○ 少額訴訟の手数料の定額化について、技術的には難しい問題もありそうだが、どう考えるか。
○ 裁判所の労力は同じだと思われるが、訴訟の規模が小さいとか大きいということで手数料が変わるのはいかがなものか。手数料は高めに取って、それを負担できない利用者のためには何か措置を考えればいいのではないか。
○ 訴額が大きくなれば、裁判所の手間もそれだけ大きくなるということは、実証的データはないが、ある意味で当たっているのだろう。
少額訴訟の場合、原則として1回の期日で紛争を解決する制度になっているので、どの事件も裁判所のコストは大体同じだと見ると、定額制が理屈の上でおかしいということにはならない面がある。もっとも、現在はスライド制の料金体系になっているので、そこに異質なものを入れるということにはなるが、それが利用者から見て、アクセスに便利なのかどうかという問題だろう。事務局に長短を資料として出してもらってはどうか。
○ 事務局に長短を出してもらって、それをもとに議論する方がいいと思う。
○ 訴訟費用額確定手続の簡素化は、時代の流れに沿ったものだと思うが、最高裁判所の資料によると、訴訟費用額確定手続の簡素化に数か月かかるとされている。簡素化によって、この期間は短くなるのか。
△ 短くなると思う。当事者の旅費を例に取ると、今の制度では、数年前の時刻表で運賃を調べてもらう場合もあり、そういうことがなくなれば、期間の短縮は可能だと思う。
○ 訴え提起の手数料を印紙で納入するという制度の見直しも検討してもらいたい。ある事件で、手数料が2億円になったことがあるが、印紙の最高額は10万円であり、印紙を貼る手間だけでも大変だったと聞いている。また、10万円の印紙はどこでも手に入るというわけではないので、印紙を集めてくるのも大変だったという話だった。
△ 裁判所の窓口での現金納付となると、特に、手数料額が高額の場合、管理の問題が生じる。将来的にはオンライン納付も可能となると思うが、御指摘の点も含めて、いろいろ検討していきたい。
○ スライド制の根拠がわかりにくい。何を基準に料金設定をするのかを明らかにした方がいいのではないか。また、訴訟制度を利用するということは、ある意味でサービスを買っていることになるので、手数料を支払うのは当然である。裁判所の労力を使っているのだから、それを考慮した手数料であるべきだろう。
○ 制度の欠陥を正すための訴訟など、自分が利益を得ることを目的としていない訴訟については、社会的な提案にもなるので、手数料を免除してもいいのではないかという発想も必要だと思う。濫訴防止という副次的効果の話もあるが、濫訴はあまり無いのではないか。社会的な利益を追求するための提案、個人にお金が入ってこない訴訟については、別の料金体系を考えるべきである。
○ 個人にお金が入ってこない訴訟というのは、株主代表訴訟とか住民訴訟のことだと思うが、株主代表訴訟は、訴え提起の手数料は8,200円である。
本人は社会的だと思って訴えを提起しても、他の人から見れば反社会的な訴訟だという場合もあり、社会的かどうかという基準を使うのは難しい面があるのではないか。
○ 訴訟によって初めて問題点が明らかになる場合もあるので、確かに反社会的な場合もあるかもしれないが、そうでない場合もあると思う。