(□:座長、○:委員、●:事務局)
□ ただ今から、第6回の司法アクセス検討会を開催いたします。
まず、本日の議題と配布資料について、事務局から御説明をお願いいたします。
● 本日の議題につきましては、お手元左手の配席図の下に置かせていただきました「司法アクセス検討会(第6回)次第」の3に記載してあるとおりです。まず、(1)として、簡易裁判所の機能の充実等についてということです。この件は、私どもで簡易裁判所の管轄の拡大についての検討をお願いしているわけですが、そのほかに、簡易裁判所の機能の充実等について、法務省の法制審議会でも審議が行われておりますので、その状況について御紹介をしたいと考えております。それから、(2)の訴え提起の手数料、訴訟費用額確定手続につきましては、資料3にありますように、前回までの議論の概要と、私どもで気がついた問題点をまとめた資料を用意しましたので、それに基づいて御検討をいただければと思っている次第です。それから、(3)の弁護士報酬の敗訴者負担の取扱いにつきましては、資料6、7の方に、当面の検討課題と書いた資料と、諸外国の制度をまとめたものを用意してありますが、これは、弁護士報酬の敗訴者負担の取扱いについての第1回目の御検討をお願いしたいと考えている次第でございます。
配布資料につきましては、その下の4のところに書いてあります資料1から7までを用意してありますので、お手元の方を御確認いただければと思います。
以上です。
□ よろしいでしょうか。それでは、議題の第1の簡易裁判所の機能の充実等についてということに移ります。
これは、今御紹介にありましたが、事物管轄の拡大という問題がございますが、そのほかにも、法制審議会で検討が進められているようです。そこで、法制審議会の検討状況その他を事務局から御説明いただくのが最初ですが、よろしいでしょうか。では、お願いいたします。
● それでは、法制審議会の議事について御紹介させていただきたいと思います。お手元に資料2としてお配りしておりますペーパーを御覧いただきたいと存じます。
現在、法制審議会民訴・人訴部会では、簡易裁判所の手続に関連して、少額訴訟の上限額の引上げについて検討がされております。資料2でいきますと、8ページの一番下の方になりますけれども、簡易裁判所の機能の充実というところに少額訴訟に関する特則という項目がありまして、そこに、これに関する記載があります。具体的な上限額につきましては、当検討会での簡易裁判所の事物管轄の拡大に関する議論に留意しつつ検討するものとされており、現段階では、いまだ具体的な議論はされていないと聞いております。また、簡易裁判所に少額審判手続という新たな手続を導入することについても、引き続き検討するものとされております。資料2の9ページ、一番下の方ですが、後注というところを御覧いただきますと、そこに、この手続に関する記載があります。この少額審判手続は、一定額以下の金銭の支払の請求を目的とする申立てについて、1回の審尋期日において審理を完了し、直ちに決定を行うという手続であり、少額訴訟手続を更に簡素化した手続であると聞いております。この手続は、当事者に事前準備を求めずに、迅速な紛争解決を目指すものと考えられますが、審判の決定に不服がある場合、不服申立手続についてどのように考えるかなど、なお検討するべき課題があり、引き続き法制審議会で検討が続けられるものと聞いております。
このほかに、裁判所への情報通信技術の導入などに関する事項といたしまして、資料2の10ページの第5というところでございますけれども、そこに督促手続のオンライン化等が取り上げられておりますので、御参照いただければと思います。
以上でございます。
□ 御説明ありがとうございました。ただいまの説明に対しまして、御意見、あるいは御質問がございましたらどうぞ。
○ ちょっと伺いたいんですが、今の9ページの和解に代わる決定という部分ですが、今一定額以下とおっしゃったけれども、少額訴訟には限らないで、全部についてやるという意味で、今検討しているんですか。
● これは、別に少額訴訟云々ということではないものと承知しております。
○ 9ページの少額審判の場合ですが、これは、第三者が傍聴することや立ち会うことは可能なんでしょうか。
○ この少額審判手続というのは、勿論、座長も入っておられますけれども、まだ実は、細かく中身が詰まっておりません。ただ、審判というと、これまでの審判手続というのは、基本的には、当事者以外の人が傍聴するということは予定していない、一般的な審判というのは、そういう手続でやると思いますが、ただ、事件の性質をどうとらえるか、一定の金銭の支払の訴訟と基本的に同じようなものですから、このあたりをどうするかは、これから少し議論はしなければいけないと思います。
□ ほかにいかがでしょうか。この検討会では、簡易裁判所の管轄の拡大は、私どもがやるわけですが、少額訴訟の上限額は特に密接に関連しますので、最終的には、お互いに調整することになるわけですが、その関係で御質問がございましたらどうぞ。
○ 先ほど、具体的議論はまだ法制審ではしていないということでしたが、全くしていないんですか。そうすると、こちらの方が先になるんでしょうか。連携というのはどういうふうになるんですか。
○ そこが難しいところで、向こうは、ここにあるようにたくさんありますので、ほとんどが、まだ実質には踏み込んでいない。委員の御意見だと、どっちが先になるんですかね。少額訴訟の導入が先なのか、簡裁の管轄が先なのか。
○ それは、やはり連動するんですよね。
○ どこかでは連動させるんでしょうが、我々はとりあえず管轄の方なのかなと。
○ 機能的にというのは違うんでしょうか。少額訴訟の上限を上げるのと、簡裁事物管轄の問題とは。
○ 考え方が分かれるでしょうね。まだ出ていませんけれども、一番極端な議論は、簡裁の管轄の上限と少額訴訟の上限が一緒だって構わないという議論になってくればですね。間があくなら、やはり理念が違ってくるでしょうね。
□ 法制審議会の動きの御説明のあたりはよろしいでしょうか。
それでは、続きまして、訴え提起の手数料、訴訟費用額確定手続に関する議論の整理という、前回も御検討いただきましたものの方に移ります。
前回御議論いただきましたが、その結果を踏まえて、事務局の方で、整理するための案を作っていただきましたので、本日は、それを基に、更に具体化の検討を図りたいと思います。そのために、まず前提として、整理した案の御説明を事務局にお願いいたします。
● お手元に資料3、議論の整理(案)と、それに関連した参考資料として資料4と5を御用意してあります。このほかに、参照条文として、従来の記録の中にありますが、お手元にもう一度、民事訴訟費用等に関する法律と、民事訴訟費用等に関する規則の条文を置かせていただいております。
それでは、資料3について御説明したいと思います。資料3につきましては、第1として、訴え提起の手数料に関する見直しの方向性について、議論の整理案ということで書いてあります。第2として、1ページの下の方に、訴訟費用額確定手続の簡素化の方向性として、これまで議論いただいたところを整理案として記載してあります。それから、資料3の2ページの真ん中あたりに(後注)としてありますが、※印として、引き続き検討する必要があると考えられる課題、事務局の方で整理する過程でこういった問題があるのではないかと気づいたところ、あるいは、議論の中でまだ十分な方向性が出ていない部分についてをまとめているわけです。
順次御説明いたします。第1の訴え提起の手数料に関する見直しの方向性につきましては、1として、手数料の低額化、簡素化について記載してあります。この内容は、訴え提起の手数料については、現行のスライド制の下において手数料が高額になるため利用者の費用負担が重いと認められる場合について低額化を行うものとすることはどうか、なお、これとあわせて、手数料が低額の部分について例えば訴訟の目的の価額5万円までごとに400円又は500円と定める手数料の定め方について簡素化するものとすることはどうかということです。
2番目は、少額訴訟事件の訴え提起の手数料です。少額訴訟事件の訴え提起の手数料について引き続き検討する。その際、定額制の導入については、定額制を導入する根拠、定めるべき手数料の水準や通常訴訟における低額の手数料の見直しの方向との整合性、通常訴訟や調停など他の手続との役割分担及びこれらの手数料水準とのバランス、通常訴訟への移行における手数料差額の取扱い、対象事件の訴訟の目的の価額の上限の引上げ、これは、先ほど御指摘のあった法制審議会での議論の動向でございますが、等の問題に留意しつつ、引き続き検討する。このようになっているところです。
3番目の手数料納付方法の改善ですが、手数料納付の方法は、訴状その他の申立書又は申立ての趣意を記載した調書に収入印紙を貼って納めなければならないとされているが、納付方法を多様化して利用者の便宜を図るため、印紙以外の方法で納付することができるものとすることについて、具体的な制度設計も含め、なお検討するとしているものです。これは前回、委員から御指摘のあったところです。
続きまして、その関連の後注ですが、2ページの第1の訴え提起の手数料関係というところです。後注の1ですが、これは、議論の整理の1に書きました手数料の低額化、簡素化の関係で、後注の1番目は、利用者の費用負担が重いと認められる訴訟の目的の価額の範囲、低額化する程度等、手数料の低額化の具体的な方法については、訴訟の利用実態をも踏まえ、引き続き検討する。このような必要があるのではないかというように考えているところです。
後注の2番目ですが、手数料の定め方について、昭和46年又は昭和55年以後の経済指標の動向等を考慮しつつ簡素化を検討するに当たっては、低額の手数料及び定額の手数料の手数料水準について、同様に経済指標の動向等を考慮しつつ見直しをする必要がないかどうか。このような検討課題を掲げてあります。
後注の3ですが、先ほどの議論の整理の3に書いてあった手数料納付方法の改善につきまして、印紙以外の納付方法については、例えば、日本銀行、その歳入代理店である金融機関、あるいは郵便局に納付してその領収証書を提出する方法によることもできる登録免許税の例も参考にしつつ、引き続き検討してはどうかというように考えております。
3ページに入りまして、後注の4ですが、これは、前回最高裁判所からも御指摘のあったところですが、当事者の利便性を向上させるため、現在郵便切手によって納められている書類の送達費用を、訴え提起時に手数料として納付する制度を導入することについて、具体的な方法も含め引き続き検討してはどうかというように考えております。
1ページに戻りまして、第2の訴訟費用額確定手続の簡素化の方向性です。これについては、訴訟費用の範囲の見直しといたしまして、書類の書記料及びその提出の費用を訴訟費用の範囲から除くものとすることはどうかということを掲げてあります。この注に、書類の書記料及びその提出の費用に関する規定の内容を具体的に掲げてあります。
次に、2番目、2ページにありますが、当事者等の旅費等の計算方法として、当事者又は代理人が口頭弁論又は審問の期日その他裁判所が定めた期日に出頭するための旅費及び日当については、可能な限り定額化を図る方向でそのための具体的な方策について引き続き検討するということを挙げてあります。
続きまして、3番目のところで、訴訟費用額の確定を求める申立ての方式等につきましては、可能な限り簡素化を図る方向で、そのための具体的な方策について引き続き検討するとしております。
後注ですが、引き続き検討すべき課題と思われるところですが、3ページの後注の第2、訴訟費用額確定手続関係としているところがありますが、1として、「次の費用につき、書類の提出の費用と同様に費用の範囲から除くものとすることはどうか」として、書類の提出の費用と類似と思われるものについて事務局の方で考えたものを、こちらに御指摘をさせていただいております。2が、旅費と日当の定額化に関する制度設計に際しては、当事者が実際に支出する旅費や証人に支給する旅費との整合性、日当の額は最高裁判所が定める額の範囲内において裁判所が定めることとされている現行法の規定の趣旨及び証人に支給する日当との関係などの問題点について引き続き検討する必要があると考えております。3番目のところですが、訴訟費用額の確定を求める申立ての方式ですが、その方式等の簡素化を図るための具体的な方法として、例えば、相手方が訴訟費用の全部を負担すべき場合において、申立てに係る費用の額が記録上明らかなときは、相手方への催告をすることなく、裁判所書記官が訴訟費用等の負担の額を定める処分をすることができるものとすることはどうか。また、費用計算書を当事者が書いて裁判所に出すことになっていますが、費用計算書に記載すべき内容についても、額を裁判所が定めることとされている費用の記載方法も含めて、検討する必要はないかということです。
関連して、資料4と5の説明をさせていただきたいと思います。資料4の1ページ目ですが、先ほど申し上げました手数料の率と、それと関連する裁判所の他の申立て、例えば、保全命令が1,500円とか、家事調停が900円とか、破産の申立てが600円とか、免責の申立てが300円とか、そういった一定額で定められている手数料がございますので、そうした手数料と、そういった手数料は何年に定められたのかということを一覧でわかるようにしたものです。2ページ目は、その裁判所が一定額で定めている手数料というのはどういう体系になっているかということを一覧していただくためにまとめたものでございまして、裁判所の手数料の額が300円と600円と900円、その次が1,500円、その次が3,000円で、債権者からする破産の申立てとか、そういった一定の類型については1万円のものがあるということでございます。
次に、この議論の整理の中でも、低い額の手数料についての簡素化ということを検討課題として挙げていますが、その趣旨で、今の資料4の3ページですが、ちなみに300万円までの訴えを起こすときの手数料はどういうふうに分かれているかというと、一番下は500円で、300万円のときに2万2,600円です。その間にどれだけあるかというと、実は40通りに分かれているということになるわけです。500円、あるいは400円、あるいは700円単位で40通りのものがある。したがいまして、それをグラフにすると、4ページにありますように、こういった非常に目のくらむようなグラフになるということでございます。それから、少額訴訟の訴え提起の手数料との関係で、5ページの資料をつくってありまして、少額訴訟は、現在上限の引上げが検討されていますが、現行法では30万円までとなっていまして、この30万円までの間にも、6通りの500円単位の手数料額が定められているということです。
続きまして、その手数料水準を今後どういうふうに引下げを考えていくかという前提となるものとして、現在の収入が予算上どう見積られているかというのも、最高裁判所からいただいた資料を基に、私どもでまとめてみました。それが6ページでございます。6ページの一番右の方に割合を書いてありますが、例えば、事件数の割合でいきますと、90万円までの事件が全部の事件のうちの6割を占めますが、その間で払われている手数料というのは、足しても5%程度ということになっていまして、200万円までの事件で事件数としては4分の3ぐらいなんですが、払われている手数料は、その間では1割ぐらいになっている。スライド制でずっと上がっていきますので、上の方にいくと、例えば5,000万円を超えるようなところになりますと、事件数の割合は1%ですが、手数料はこの中だけで10%ぐらいを占めている。それから、その下の1,000万円を超え5,000万円までというところですと、事件数では6%程度ですが、手数料の割合としては24%から25%に近い割合になっているというのが実情です。それをグラフにしたものが7ページ、8ページの資料でして、これは第一審と控訴審、上告審というところでわかるようになっていまして、控訴審、上告審ともスライド制ですので、第一審から上告審までをすべて合わせたものが8ページの下のグラフになっております。
それから、現金納付も含めた納付の多様化の検討ということで、印紙だけではないほかの納付方法を定めた例として、登録免許税の納付方法がありますので、9ページに、参考までにこれを掲げてあります。登録免許税の場合は、日銀の歳入代理店、通常の金融機関は大体歳入代理店になっていると思いますが、そちらの方に登録免許税を納付して、その領収証書を登記の申請書、不動産の移転登記であるとか、商業登記も含まれると思いますが、会社の登記などを申請するときにこの領収証書を申請書にはりつけて登記の申請することができる、こういう制度があるということの御紹介です。
資料5については、日当の定額化ということがありましたので、日当というのはどう定まるのかということですが、これは、民事訴訟費用等に関する法律では、当事者等の日当の額は証人に支給する旅費、日当及び宿泊料の例により算定した額となっています。証人の例によるということになっていることから、証人がどういうふうになっているかといいいますと、証人の旅費、日当は、この法令ですと、三七〇六ページと書いてあるところの上にある第22条第2項で、「日当の額は、最高裁判所が定める額の範囲内において、裁判所が定める」となっています。最高裁判所はどう定めているかというのが資料5、最高裁判所事務総長の通達でございまして、この通達ですと大体どこになるかといいますと、民事訴訟費用等に関する規則7条では、日当の額について、1日当たり8,200円以内という上限を定めておりまして、その範囲内で、この最高裁判所の通達で支給基準を定めています。具体的には、「各庁においてこの支給基準を参考にし、尋問所要時間又は立会い所要時間のほか、出頭所要時間、待機時間、各地の実情等を勘案して、具体的な支給基準を裁判官の間において申し合わせるなどして、個々の事件における適正な日当額の決定に資するとともに、予算の執行の適正を確保するよう配慮してください」という内容の通達で、その基準が、別紙として3ページ目に掲げた尋問所要時間と基準額という形で定められておりまして、その基準額というのが、例えば、証人の場合については3,020円以上4,020円以内というようになっています。そして、当事者の場合は、これに準ずるということになっています。
説明は以上です。
□ 訴え提起の手数料、訴訟費用額確定手続に関する前回の議論をこのようにまとめていただきましたが、更に意見交換をしたいと思います。どうぞ御意見、御質問をお願いいたします。
○ ここで整理された案の方向性につきましては、私としては、いずれも賛成をするものであります。その中で、第1の1の手数料の低額化、簡素化でありますけれども、高額の訴訟についてのアクセスビリティーを増大させるといいますか、高額訴訟について低額化を図り、低額の部分については、後注の2にございますけれども、やはり経済指標の動向等を考慮しつつ、アクセスを阻害させない範囲で、こちらも逆に上げるというようなことも検討対象になるのではないかという気がいたしております。あとは、先ほど申し上げましたとおり、その方向性に賛成するものであります。
□ 資料4の1ページの右側の改正を見ますと、昭和46年、昭和55年、平成4年とそれぞれ改正の時期が違うんですね。1,000万円までは平成4年に手当てされている部分もあるし、昭和46年のままのものもある。今の委員は、上の方を低くして、訴額が低い方を少し上げるという御意見でしたが、他の方はいかがでしょうか。
○ 質問をさせていただいてよろしいですか。資料4の7ページの折れ線のグラフでは、30万円までの事件数が圧倒的に多いわけですが、この30万円までという価額帯の中で、どのあたりが一番多いんでしょうか。30万円まででも、手数料額には幅がございますよね。それで、一番利用度の高いところはどのあたりかということの確認です。
● 今の段階では資料がないのですが、それは少額訴訟についてということでしょうか。それとも、簡易裁判所一般ということでしょうか。つまり、簡易裁判所一般ですと、前回も御指摘のように、債権の回収に伴うそういった訴訟もかなり大きいわけですね。ですから、そういったものの分布も含めたというものですか。
○ トータルで、利用度の中で債権の取立て的なものもかなりの割合を占めているというお話をお伺いいたしましたけれども、取扱い方が、例えば専門化していくような、現行と違うようなやり方がとられれば、考え方をそれに合わせていかなければいけないと思うんですが、全体として見た場合ですと、データとしてはございますか。
● 前にお示しした資料で10万円までというのをとってあった時期はあります。それとあと、少額訴訟という新しい制度がありますから、その少額訴訟について具体的にどうかということになると、そこの具体的な中までは。また、検討しておきます。
○ わかりました。
○ 恐らく、そういうものが手数料の検討にそのまま使えるかどうか、ちょっと難しいところなんですが、消費者の抱えている問題というものの平均的な数字が、実はあるんですね。これは、全国のセンター等で集計されたものなんですけれども、被害総額の推移というのはかなりございますが、まず、平成13年度で契約金額の総額が4,430億円、これはトータルの被害総額なんですが、支払金額の総額は1,100億円、これは実質的なものとして見ていく場合、1,100億円といいましても、それではどういう幅があるかということは大変難しい問題があるんですが、それを考える一つの目安として、平均被害額というのがございます。平成13年度の平均額が118万円でございまして、被害を受けた消費者が支払った額の平均が86万9,713円、これがデータなんですが、これが実際には、高額の被害もありますし、こちらの少額に該当するものもあると思いますが、消費者被害という視点だけではなく、広範に考えなければいけないとは思っておりますが、こと消費者被害をとってみても、額としては、現状で120万円ぐらいということですね。そして、最も高いところでは、平成9年のところになりますと、151万円ぐらいの被害額になっておりまして、ここのところ、平成2年ぐらいから、140万円台から150万円台で推移しておりまして、ここ数年は、バブルが崩壊したために、被害額も少し下がってきているという状況です。したがいまして、被害額としては、120万円から150万円ぐらいが平均的なところでございます。手数料関係を考える場合の一つの目安になるのではないかと思って御報告した次第ですが、時系列的に見ますと、約98万円というのは平成9年でございまして、その前も80万円をずっと超えてきておりますので、現状といいましょうか、平成13年度は、86万9,713円が支払金額の平均という結果になります。これらがどれだけ訴訟に持ち込まれたかという直接的な数字が、今手元にはございませんが。
○ 今の委員の御意見だと、そのあたりの30万円から100万円ぐらいまでは、手数料は少し増やしてもいいのではないかという御意見ですか、減らせという御意見なんでしょうか。
○ 私も以前、医療過誤などもありますし、交通事故にしましても、人の命が軽くなっているわけではございませんので、高いところの手数料も十分考えなければいけないということは申し上げたんですが、低い方に関して、上げてもいいということは、そのときに申し上げておりませんのですが、低い方の額についても、きめ細かに考えていかなければいけないのではないかと、実は思っております。と申しますのは、我が国において司法関係を考えていくときに、消費者関連の法律にしましても、被害が多発して、そこで裁判が起こったりして、それによって法律ができているという、裁判が法形成に役立っている例があるんですが、当初の被害に遭っている人たちは、豊田商事なんかもございましたけれども、物すごい額の被害を抱えて裁判に臨んでいたわけですね。実際に返ってくるものがないようなという厳しい状況がありました。ああいう悪徳商法だけではないんですけれども、最近は複雑化しておりますし、消費者被害も全然減っておりませんので、そういうことを思いますと、法形成に役立った裁判や何かがあった結果、法改正があって、未然防止に役立っているケースもあるかとは思います。しかし、財産形成なんかが絡む変額保険なんかも物すごい額の被害を抱えた方がいますし、下から上まで、契約金額の総額が4,430億円という数字をどうとらえていくかということなんですが、私なんかにしますと、これは大変な額で、実際に消費者から支払ってしまった額が1,100億円となっているわけですね。それが裁判に持ち込まれてくる例もありますでしょうし、実際にはトラブルが生じた後、例えば追加品目を増やしていくような、法律によりましては指定品目制のものなどもありまして、後手後手に回ってきているわけです。少額の場合についても、あるいは、少額の範疇でないものに関しても、国民が受けている、生活者が受けている損害は、それが実際には返ってこないケースが多くて、相談や裁判に臨んだ方は氷山の一角であって、臨んでいない方が大半です。そういう人たちにも、これからできるだけ法の下で裁判を受けてもらいたいと私は思っております。話が長くなりますのでもうやめさせていただきますけれども、先ほどなぜ質問したかと申しますと、少額被害がたくさんあるということは、そこでだれも立ち会いをしないままに、話し合いの中で決定されていくということは、裁判制度にとっては余りいい傾向ではないというふうに、感想として持っているものですから、制度を考える上でも、司法制度というのは、やはり法による裁定と、それから公の場での裁定と言ったらいいでしょうか、そういうことが基本ではないかなということもあって、質問させていただいたんです。ですから、手数料に関して、諸先生にも、皆様方にも、いろいろお知恵を拝借したいなと思って、具体案がなくて申し訳ございませんが。
○ 訴え提起の手数料が高過ぎて権利の行使を躊躇する、泣き寝入りしてしまうということは絶対避けるべきだということは、当然だと思います。ただ、訴訟制度を利用される方にはそれ応分の負担をしていただかなければいけないというのも、また当然のことでありまして、その調和をどこに求めるかという問題があると思います。それで、今、委員がおっしゃったような額、例えば、配布された資料から検討してみますと、訴額が100万円の場合は、訴え提起の手数料が8,600円ということになっていますね。150万円の場合は1万2,100円、200万円の場合は1万5,600円という、比較的訴額が低い訴訟の訴え提起の手数料が、今言ったような金額であるとすれば、では、この手数料が高いために訴え提起をためらうかというと、一般的には、そうは言えないというのが、今の経済情勢から言うと、実情ではないかと思われます。これを引き上げるかどうかという問題はさて置いて、今の手数料水準が、少なくとも高過ぎて訴え提起をためらわせているという傾向は、恐らくは、一般的にはないんだろうと思います。問題は、むしろ刻みの問題で、訴額が5万円ごとに細かく上がるというのが非常にわずらわしいだけではなくて、手数料の額を非常にわかりにくくしているという問題もあります。そういうところから考えますと、特に低額部分については、刻みの問題をまず解消して、その中で、全体としてどういう落ち着きのいい手数料水準を定めるかということを検討していくというのが筋道ではないかというふうに考えます。
○ 先ほどの説明だと、200万円までは、大体事件数が6割ぐらいということで、ここら辺ぐらいまでがいいかなと思うんですが、前にいただいた表を見ても、1,000万円ぐらいまでで大体9割近くになります。庶民的な事件のところは、少しでも安くしてもらえればいいのかなという感じはします。確かに、100万円で8,600円、200万円で1万5,600円ですから、いろいろな感覚はあるんでしょうけれども、これで司法予算をストレートに賄っているわけではないので、下げられるものならば、少しでも下げていただければということと、もう一つは、最初は濫訴防止のためにできた制度だろうと思いますので、少しでも安い方が、国民が司法にアクセスしやすいのかなというふうに考えます。あと、これがここの問題になるのかよくわからないんですけれども、例えば、大勢で裁判を起こす場合の問題は、どこかで議論してほしいなと、いつも思うんです。例えば、大気汚染の問題なんかだと、大勢で申し立てますと、それ掛ける幾らということになると膨大なものになって、原告を絞るのかとかという感じがあるので、その辺もやはり大変問題になるので、どこかで議論をしてもらいたいといつも思っているんです。
○ こちらから御確認させていただきたいんですが、資料4の1ページで言いますと下の方ですね。例えば、項目が17のところに中間的、付随的申立てとありますが、昭和55年、約20年前に100円から300円に上がった。そのときの100円から300円で、20年間300円のままでいいのかというようなことが、とりあえず問題にはし得るんですが、この300円というのが高いのか安いのか、どんなものなんでしょうか。あるいは、600円、900円、1,500円というのがあるんですが、この種の定まった額のものは、大体昭和55年ですね、先ほどの表でいいますと、項目の8、9なども昭和55年、20年前に、こういう300円とか、1,500円とかになったようです。
○ 私もその点をちょっと申し上げようかなと思っていたんですが、その点も含めて3点ほど。2ページの後注の2に、「46年又は55年以後の経済指標の動向等を考慮しつつ」というところだと思うんですが、1点は、その点だと思うんです。訴訟の手数料が経済指標とどれぐらい連動すべきかというところは、もう一つはっきりしないところがありまして、実は、現在、例えば法制審議会で、差押え禁止財産の額が、これがやはり昭和55年から上がっていないんですね。それを上げないと、最低限の生活はできない。これは、かなり経済指標と連動しています。ただ、これがそれほど密接かどうかはともかくとして、少なくとも、経済指標と全く無縁であるということはないんだろうと思うんですね。20年以上も上がっていないということでは、恐らく、訴訟を利用する人、そうでない人との間の不公平感というのが、やはり起きるのかなと思っております。その点は、ひとつ御検討いただく話かなと思います。それから、先ほど、委員の方からお話があった点もこれと関連すると思うんですが、物価水準とかいろいろな経済指標が、昭和55年当時と変わってきているということもありますと、資料4の各種申立ての手数料の特に30万円とか、このあたりは、恐らく、当時の経済指標を基準に決められた仕切りだろうと思うんですね。それが相当変わってきているということであれば、額の小さな部分が、非常に細かくなり過ぎてはいないかという点は、私も同じように、見直しておく必要があるのかなと思っております。3点目が、定額で定められているものについても、まず、一般的な感覚として、普通に考えますと、300円とか500円という金額は、実態に合わなくなってきてはしないかという気はするんです。
□ 第2の訴訟費用額確定手続の簡素化の方向性のところですけれども、今日の資料5で、日当がこうなっているという、2時間以内とか、こうなっているようですね。このあたりは相当技術的なところが入ってきてしまうのですが、何かこうした方がいいのではないかということがございましたらどうぞ。
資料3では、可能な限り定額化を図る方向で具体的にと、この方向性自体は大体御了承いただけますか。
○ また元に戻って申し訳ないんですけれども、定額の300円とか600円という部分で、私どもが一番関係しているのは破産申立てなんですが、これは600円なんですよね。これは確かに安いのかなと思うんですが、ただ、このほかに、予納金を必ず出すわけですよね。それが、今東京では、1万4,100円出す。少額管財事件になると、それプラス20万ということになるようで、結構実費はかかるんですよね。ですから、この自己破産の申立ての600円は上げてほしくないという感じがします。もう一つは、離婚事件などの調停の申立ての印紙ですが、これも、調停申立てのほとんどが女性で、経済力がない人が多いわけですので、これも上げてもらいたくないというふうに思います。
○ この辺は難しいですね。個人で考えればそうですけれども、大会社の自己破産申立てが600円というのはどうか。お金がないので破産しているわけですが。債権者申立てだと1万円ですよね。
○ 大企業の場合は、大体管財人がつくので、かなり高いのではないでしょうか。印紙代は別にして、実費はかなり高いですね。
○ 予納金は勿論高いでしょうね。しかし、予納金は、別に国庫に入るお金ではなく、管財人報酬とかいろいろ使うわけですよね。
○ 負担する側として考えれば、かなり、最初に納めなければならないので。
○ そうですね。だからこそ、予納金を分割せよとか、分割を認めるべきだという声にもなるわけですから。
○ 先ほど来の御意見で、経済指標の動向等から、ある程度上げるべき部分があるのではないか、ただし、少額部分のアクセスを阻害しないようにすなければいけないという方向は賛成なんですが、アクセスを阻害しないかどうかというのをどう測ればいいかという問題があると思うのでして、その予想がなかなかできない。勿論、訴え提起をするのは提訴手数料の問題だけではなくて、ほかのいろいろな要因が絡んでいると思いますので、提訴手数料が上がったから、それがアクセス阻害にどの程度寄与するのか、どの程度そういう要因が重要だというのがわからないものですから、一つの資料にしかならないのかもしれないんですけれども、過去に手数料額を改定したときに、それが事件数等に影響があるのかないのか、そのあたりの資料をいただいて、それがどの程度意味がある数字なのかというのもありますけれども、そういう資料があった方が検討しやすいかなという気はいたします。
○ タクシー料金を値上げすると、すぐに利用率は下がるんですが、あっと言う間に同じレベルに回復する。タクシーの料金と裁判所の手数料を一緒するのは不謹慎ですが。
□ それでは、次のステップに進むために、少しまとめさせていただければと思います。こういうまとめ方でよろしいかというたたき台ですが、最初の低額化の方ですが、これは後注の方にもありましたように、20年以上変わっていないものもある。低い方の額と、それから定める額もそうですね。今、委員からの御指摘も踏まえてですが、その辺は少し考えたらどうか。つまり、全部一律に考えるよりも、ある程度ターゲットを絞って考えたらどうか。低いものですと、委員の御指摘のように、刻みの問題がありまして、5万円ごと500円でいいのかというところと、物価の水準もそれが決定的ではないけれども、一つの指標になると。このあたりが大体の御意見だろうということで、そういう方向で少し検討していただくという形でよろしいでしょうか。
(各委員了承)
□ 次に、第1の2になりますが、少額訴訟事件、これは、司法制度改革審議会意見では、定額制を含めて検討せよということになっておりますが、資料3に書かれておりますように、いろいろな問題が複雑に絡むようでして、どうもすぐには頭に入りにくい。そこで、ここは少し宿題としていろいろ考えていきましょう。事務局だけではなく、ここは委員全員で少し考えさせていただこうということでよろしいでしょうか。
(各委員了承)
□ それから、3番目の手数料納付の方法の改善、これは、方向性は、いつまでも印紙ではないだろうと、しかも、その印紙が10万円の印紙しかないというのは、それは委員からも御指摘いただきましたが、これは具体的な方策を考えて検討に入っていただいてはどうか。ただ、そうは言いましても、裁判実務の中でできることとできないことがあるでしょうが。
○ その件について、これは別に私は反対という意味ではないんですが、今までの方法も選択肢として残してもらいたい。というのは、全部郵便局等で振り込んで領収証をつけるというのは、大変面倒ということがあります。
● 印紙による納付を廃止するということではなく、印紙以外の方法でも、という趣旨です。
□ そういう方向で、幅を広げるということでいいですか。
(各委員了承)
□ 次に、後注になってしまいますが、資料3で申しますと、3ページの4になりますね。送達費用を中に入れてしまうか、それとも、今のように送達費用は別にとるかということですが、まだちょっと、議論は十分この場でしておりませんので、引き続き検討したいということですね。今、切手と種類を指定して、その指定の仕方が多少裁判所によって違うらしいとか、ああいう問題ですね。それを全部手数料の方に組み込めるものなのかどうか。諸外国にはそういう例もないわけではないですので、これは引き続き検討させていただきたいということでよろしいでしょうか。
(各委員了承)
□ それでは、第2の訴訟費用額確定手続の簡素化の方向性の1ですが、範囲の見直しですね。これも方向は、御議論は、大体皆さん一致していると思いますが、ただ、これは法律の改正ですし、このこと自体はかなり大きなというか、理論的には大きな改正ですね。書記料を訴訟費用から外してしまう。明治以来の改正ということですので、実際的な面だけでなく、理論的な面も含めて提言しなければいけないことですので、何でも事務局で恐縮ですが、これも事務局の方で少し考えていただいて、この場に報告していただいて、それを我々がまたたたき台にして使わせていただく、こういう方向でよろしいでしょうか。
(各委員了承)
□ 次の資料3の2ページに移りまして、2の当事者等の旅費等の計算方法ですが、これは先ほど申しましたように、大きな方向は御確認いただいておりますが、先ほどの3ページの後注の第2の2にありますように、最高裁が現在定めているものと、それをどういうふうに変えていくのか、もう少し、結論を急がずに検討させていただくということでよろしいでしょうか。
(各委員了承)
□ それから、資料3の2ページに戻りまして、3、訴訟費用額の確定を求める申立ての方式等の簡素化、これも書記官権限ということでございますが、更に簡素化を図るためにはどうしたらいいのか。そして、後注の3ページの3にありますが、簡素化の具体的方法として、相手方への催告を要するかどうか、この辺もちょっと細かい議論になりますが、もう少し検討を要することではないか。事務局にも詰めていただき、我々としても引き続き検討していく。大体こんなまとめ方でいいかなと思いますが、よろしいでしょうか。
(各委員了承)
○ 簡素化を考えて、あるいは多様化を図って使い勝手をよくするという方向を考えるということは、私も同感でございますけれども、その際に、ユニバーサルデザインの発想という方がよろしいでしょうか。できるだけ多くの方が使いやすいように、そういうふうなことも視野に入れていただきまして、是非御提示いただければと思います。お願いします。
□ それでは、本日の議題の次ですが、弁護士報酬の敗訴者負担制度の取扱いに移ってよろしいでしょうか。
まず、事務局から説明をお願いしたいと思います。
● 資料6につきましては、弁護士報酬の敗訴者負担の取扱いについての当面の検討課題ということでございまして、その2ページ目の方に、参考として、司法制度改革審議会の意見書の関係部分を抜き出したものを付けております。この当面の検討課題と申しますのも、その報告にあるものをそのままくみ上げたらこういう形になるのではないかということでまとめられているものでございます。1番から5番までありまして、1番は、弁護士報酬の一部を訴訟に必要な費用と認めて敗訴者に負担させることができる制度を導入する根拠について、どのように考えるかということです。それから、2番については、訴訟に必要な費用と認められる弁護士報酬の額を定めるに当たって依拠する原則及びその方法について、どのように考えるかということです。3番は、弁護士報酬を訴訟に必要な費用と認めて敗訴者に負担させることができる制度を導入しない訴訟の範囲を定める基準及びその範囲並びにその取扱いの在り方について、どのように考えるかということです。4番は、訴訟救助、法律扶助などの他の制度との関連について、どのように考えるかということです。5番は、弁護士報酬の負担の在り方に関する国民の理解について、どのように考えるかということです。
2ページ目に参考に付けました審議会の意見書ですが、これは、第1回のときにも私の方から御紹介申し上げましたが、そこの四角い囲みの中に書いてありますように、意見の趣旨としては、「勝訴しても弁護士報酬を相手方から回収できないため訴訟を回避せざるを得なかった当事者にも、その負担の公平化を図って訴訟を利用しやすくする見地から、一定の要件の下に弁護士報酬の一部を訴訟に必要な費用と認めて敗訴者に負担させることができる制度を導入すべきである。この制度の設計に当たっては、上記の見地と反対に不当に訴えの提起を萎縮させないよう、これを一律に導入することなく、このような敗訴者負担を導入しない訴訟の範囲及びその取扱いの在り方、敗訴者に負担させる場合に負担させるべき額の定め方等について検討すべきである」、このような意見が述べられているものでございます。
参考としまして、諸外国における弁護士報酬の敗訴者負担制度を資料7でまとめましたので、簡単に御紹介したいと思います。ドイツとフランスと韓国とイングランド・ウェールズ、それからアメリカ合衆国の、それぞれの概要をまとめたものです。
ドイツにつきましては、資料7の1ページにありますように、民事訴訟法第91条第1項において、「敗訴当事者は訴訟費用を負担しなければならないが、特に相手方に生じた費用は、それが相当の権利の追求又は防御に必要であったものに限りこれを償還しなければならない」とされておりまして、第2項で、「勝訴当事者の弁護士の法定の手数料及び立替金は全ての訴訟においてこれを償還しなければならない」とされているわけです。この法定の手数料というのは、弁護士と当事者が契約したその手数料のことを言うのではなく、その下の連邦弁護士手数料法という法律によって、訴訟費用に算入される額はこの額であるということが定められておりまして、その訴訟費用に算入される弁護士の手数料とされているのは、この満額手数料と書かれているものですが、ここに書いてあるように、300ユーロまでは25ユーロとする、それからその下に表がありますが、少ない額の方の3,000ユーロまでの部分は300ユーロごとに20ユーロ、6.67%ですが、それから一番高いところの50万ユーロを超える部分については5万ユーロごとに150ユーロ、これは0.3%になる部分ですが、その部分が訴訟費用に算入されるということです。
次に、フランスについては、法律で定められた範囲での弁護士の報酬は訴訟費用となる。1ページの一番下はそういう趣旨でございまして、法律で定められている弁護士の報酬というのは、2ページの一番上のところにaとbとcとありまして、そのうちのaとbのことでございまして、弁論以外の訴訟手続を行うことに対する法定された報酬というものと、弁論を行うことに対する法定された手数料、この範囲が訴訟費用に算入されるということです。aの手数料というのは、6行目ぐらいから記載がありますが、1,068ユーロまでは訴額の3%、それからだんだんスライド制で下がっていきまして、9,147ユーロを超える部分というのが0.25%、この部分が当然に訴訟費用に算入されて、その部分は、原則として敗訴当事者の負担とされるということになっております。ただ、そのほかに、弁護士の弁論に対する報酬、これは謝礼というような言葉が使われますが、それがcというところでございまして、cの部分については、フランスのところ、このページの真ん中のところに書いてありますが、これは、原則として訴訟費用に含まれないとされております。ただし、民事訴訟法第700条によって、「すべての審級において、裁判官は、訴訟費用の負担義務がある当事者、又は敗訴した当事者に、他方当事者に対して、訴訟費用に含まれていないものを訴訟に必要な費用として、裁判官が決定した額の支払を命じる。裁判官は、衡平又は支払を命じられた当事者の経済的事情を考慮する。裁判官は、職権で、同様の考慮をして、支払を命じる理由がないと宣告することができる」ということでございまして、弁護士のcの部分の報酬についても、一部、裁判官が裁量によって敗訴当事者の負担とすることもできるということになっております。
それから、韓国ですが、韓国は、訴訟費用は敗訴した当事者が負担するものとされておりまして、その訴訟費用について弁護士報酬が含まれるかどうかについては、訴訟代理をした弁護士に当事者が支払った又は支払うべき報酬は、大法院規則で定める金額の範囲内で訴訟費用とするとされております。大法院規則で定める額というのは、
2ページの下から5行目のところにありますように、大法院規則では、第3条第1項で、「訴訟費用に算入される弁護士の報酬は当事者が報酬契約によって支給し又は支給する報酬額の範囲内で各審級単位で訴訟物の増額に従って別表の基準によって算定する」と書いてあります。「当事者と弁護士の間でこれを超える報酬契約をすることは妨げられない」という規定になっておりまして、別表での算入の方法というのが2ページの一番下で、100万ウォンまでは10%になっておりまして、徐々にスライド制で率が下がっていきまして、訴額1億ウォンを超過する部分が0.5%という形に定められております。ただし、韓国の場合には例外がありまして、「被告の全部自白又は擬制自白による判決の場合、訴訟が請求の放棄、認諾、和解その他判決によらないで終了した場合には、別表に記載されている額の半額が敗訴者の負担とされる」ということになっております。
続きまして、イングランドとウェールズにつきましては、こうした具体的な表のようなものはないようでございまして、「弁護士報酬は訴訟費用に含めて敗訴者負担とするのが原則であり」、これはイングリッシュ・ルールと呼ばれておりまして、イングリッシュ・ルールというのはアメリカと対比してという意味だと思いますが、「しかし、少額請求手続においては、訴訟費用の敗訴者負担原則は適用されないから、弁護士費用を敗訴者に負担させることは行われていない。これはノー・コスト・ルールと呼ばれている」とされております。これは、第1回のときに配布した民訴費用制度等研究会の報告書から引用したものでございます。
続きまして、アメリカ合衆国におきましては、3ページの下から4行目にありますように、「民事訴訟においては弁護士費用は各自が負担することが原則であり」、これがアメリカン・ルールと呼ばれているとされています。「ただし、例外は広いと認識されており、各自負担原則の例外、つまり敗訴者負担が原則とされる場合も決して少なくない。まず、契約で弁護士費用の敗訴者負担の合意を行う場合がある。リース契約、特許利用契約、銀行取引契約、家屋賃貸借契約等で行われることが多い(弁護士報酬金額は、原則として裁判所の裁量となる。)」とされています。そのほかに、「制定法に基づき弁護士費用の敗訴者負担が命ぜられる場合もある。連邦法にこのような規定を有する制定法が100以上あるという」とされています。「具体的には、人種差別等の規制に関する諸法律、証券取引法、独占禁止法などである。また、州でもかなりの数の制定法がある。カリフォルニア州では、弁護士報酬について、公益に資する訴訟、不法行為の不当抗争等であれば、裁判官が、申立てにより又は裁量で、敗訴者に負担を命ずることもできるという規定がある」とされています。「制定法の規定にも、原告が勝訴した場合にのみ被告から回収できると定めるタイプと、勝訴当事者は敗訴当事者から回収できると定めるタイプがあり」、これは原告に限らずという意味だと思いますが、「後者の場合、文言上は被告勝訴の場合にも原告勝訴の場合と同じ条件で弁護士費用を回収できることになるはずであるが、実際には、勝訴原告が敗訴被告から回収できる場合の基準と勝訴被告が敗訴原告から回収できる基準とは異なるといわれており、勝訴原告が回収できる場合の方が判例その他によって実際には多く、かつ、容易とされ、勝訴被告が敗訴原告から回収できる基準は勝訴原告が敗訴被告から回収できる基準より厳しいようである。判例法に基づき敗訴者負担が命ぜられる場合もある。例えば、私人が原告となり、公益のために訴訟を提起して勝訴した場合、裁判所は、原告の弁護士費用の支払を被告に命ずることとされている。また、当事者の訴訟提起又は防御が、悪意をもって、濫訴として、全く理由がなく、又は迫害的に行われたときは、裁判所は、懲罰として、相手方当事者の弁護士費用の負担を命ずることができるとされている」、これも、先ほどの民訴費用制度等研究会の報告書よりまとめたものでございます。
事務局で用意した資料は、以上でございます。
□ それでは、この弁護士報酬の敗訴者負担の取扱いに関しましては、今日が実質的に第1回目でございますので、特に論点を絞り込むことなく、自由に意見交換をしたいと思いますが、どなたからでもどうぞ。
○ 質問なんですけれども、当検討会の検討範囲なんですけれども、敗訴者負担というのが、民事裁判、民事訴訟、行政訴訟、刑事訴訟があると思うんですけれども、すべてについて対象として考えていくのか、民事訴訟の中でも人事訴訟等があると思いますけれども、検討の射程をどういうふうにとらえるのかということを質問したいと思います。
● この検討会では、民事訴訟の一般原則のところを御検討いただくということがよろしいのではないか、ただ、それに併せて、行政訴訟についても、民事訴訟の一般原則によることになっておりますので、そちらにも影響が生じるということを念頭に置いて御検討いただければよろしいのではないかというふうに考えておりまして、現段階で、刑事訴訟は考えておりませんけれども、民事か行政かというような形では、その論点を絞り込むというふうなことは、現在こちらの方では考えておりません。
○ 自分が建築の仕事をしていて考えていることを少し話してみたいのです。建築の仕事をしていると、個人の役割ということはとても大切でして、そのことが司法アクセスの問題にも関連するというように思ってお話をさせていただきます。もちろん、住宅のようなものをつくるときには、住む人と様々なことをいっしょに考えるんですね。生命にかかわるような建材の話から、生き方まで話すわけです。公共建築であっても、利用形態についてコミュニケーションを通して設計を進めます。そのときに、発注者は行政です。利用者は、市民集団であったり、個人であったりですが、つくる論理だけでなく、使う論理を同時に設計したいと考え、それを進めるため、対話集会を繰り返します。どこかで、行政と市民というのは、管理する人と、管理されるという上下関係にあります。しかし、やはり税金でつくっているそれは、市民の生活を豊かにするためにつくるわけでして、その地域に住んでいる人というのが、特にどういう文化的歴史があって、どういうことを生きがいとしていこうかということを、突然東京から行った建築家よりよくよく考えて生活しています。対話集会にあって生な個人の意見は大切なものなんですね。私が藤沢市で公共建築をやったときに、小学生と意見交換をした後でお手紙をいただいたんですけれども、ごみ箱を置かないでくださいと書いてありました。公園にごみ箱を置くと、そのごみ箱の周りにいつもごみがあって、それがせせらぎに流れてしまう。湘南の浜辺も、いつも自分たちは、東京の人が帰った後に、秋にボランティアで掃除をする。自己管理というのをしてほしいという小学校5年生ぐらいからの意見もあって、そのことも行政に取り込んでいただくということで、ごみ箱を一時置かなかったんですが、市長さんが替わって今また置いてあるんです。しかし、この意見はとても大切で、その後、新潟で白山公園のランドスケープデザインを設計するときに、町の人たちに向かってこの話をしたんです。それで、今はごみ箱を置いてありませんけれども、その白山公園はとても美しくて、ごみ一つ落ちていません。みんなが自分たちで管理をしているというように、一人一人の市民のそういう考え方というものを集積して、私は公共という場所をつくっているわけです。司法というものも、現場を知っている個人とか私人は発見者になり得ることから、個人が問題提起する立場がとれることが重要なのではないかなと思います。何か、裁判というのは、いつでもコラボレーションと一緒で、一方的に成り立つものではなくて、対立する人がいて、その意見を聞いて、そして、中立的な立場である裁判官が判断を下して、そして、法律を様々解釈し、そして、法律の細部というものを描いていくんだろうと思うんですね。それはすごい建築の共同作業と似ているわけです。そこのところに、何か勝った負けたというようなことは、とても不自然というか、何か勝ち負けとすることはできないこともあるのではないかというように思うんですね。例えば、シックハウスというのが随分前から問題になっています。職人を育てることをやめたことから、簡単なのりをつければすぐ素人もできてしまう工法を取り込む。人件費の高いこの国は、バブル時からたくさんそういうものをつくってきて、そして、そのことによってシックハウス病というものが出て、裁判の実例があったと聞いておりますが、なかなかそれは企業が強くて負けている。しかし、昨日、新聞に出ておりましたが、そうしたたくさんの負けた判例があったから、こういうことができたんだというものですが、6月25日ですから一昨日ですけれども、ホルムアルデヒドの測定義務化というのができたわけです。裁判では勝てなかったけれども、こういうようなことができて、そして、使用を中止させる罰則もできたというように、この新聞に書かれているわけです。そうすると、特に勝ったとか負けたとかいう問題ではなくて、あるいは負けそうで、企業と闘ってもだめだろうと思って引き下がるよりも、もっとそうした問題が個人によって提起しやすい制度であることによって、政策的にできていくというこの国の健全さというものも、裁判を行ったからだろうと私は思います。長いこと裁判をしても負けてしまうということで、だんだん萎縮してしなくなっておりましたけれども、今は住宅だけではなくて、小学校とか、そういうところでもシックハウスの問題というのが出てきています。シックハウス症候群にかかると人生が本当にだめになってしまうほど大変で、生命に関わることです。まだ日本では、基準ができた程度ですけれども、EUでは、今度ホルムアルデヒドが含まれない新しいのりを開発をしていると報告されております。そんなことで、敗訴するということによって、弁護士費用を負担しなければいけないというときに、大体建築と関係するようなこうしたものというのは、行政であったり、あるいは大きな企業であったりするわけで、とても経済的な格差があって、そのほかに相手の弁護士費用というものをもたなければいけないような状況というのは、とても私には考えられない、多分そこで建築の場合では、最初にお話ししたように、示談金を払うとか、和解ということになって密室で行われていて、そうしたものが表へ出てこないことで、なかなか一般人や私たちに見えないものが動いているということがたくさんあるわけです。そんなことで、よくわからない中にも、敗訴者負担というのは、私が自分で建築とか環境の問題をやっていくときに、相手はいつも大きなものだと思うとき、私という個人が身体を痛んで、そして、そこで一番リアルに感じて訴えることで、大勢でそれを知るというのは、随分時間がたってからなわけです。そして、その個人というものは問題を提起できないというのは、司法にとってはとても大きな問題ではないかなと思うわけです。私が知っている限りでは、アメリカでは、アスベストの問題とか、鉛のペンキ問題とかは、アメリカでは、片面的敗訴者負担が多いと聞いています。個人という人が訴えた場合には、大きな企業を相手にして費用を払うことはないということだと思います。両面でもなくて片面的敗訴者負担ということになっているように思います。アメリカに行けば、日常的に、アパートでそういうものを感じれば訴えるということが起こっていて、そして、相手の費用をもたないで解決をしてもらうということが行われております。私は、身体とか、生命とか、そういうものがどうも大事に扱われないような司法の感じがいたしてならないわけです。ですから、今、一律にこういうような基準になるのか、私は敗訴者負担ということが取扱いがすべてになるのかわかりませんけれども、いろいろなレベルで、いろいろな在り方があってもいいのではないか。先ほどから各自が負担するというものもあるわけですが、そうした方がよい裁判もあるのではないかと思います。アメリカのような片面のものもあってもいいのではないか。そんなことで、全部敗訴者負担的な扱いになるということには、どうもいろいろな問題があるというように、日常の仕事を通して感じるものがあります。
○ 今の御意見を伺わせていただきまして、私も大いに共感したところでございます。お話の中で、公害問題など、ホルムアルデヒドとか、住宅関連の御指摘をいただいたわけですけれども、考えてみますと、医療技術にしましても、あるいはITの技術にしましても、また環境問題の顕在化にしましても、それから少子高齢化の問題にしましても、ずっと以前からわかっていたこと、ごく少数の方は予測し得たことかもしれませんが、近年目覚ましく変化を遂げている分野がたくさんございます。そういった分野においては、先ほども私は、消費者問題でも申し上げたんですが、被害の負の部分を見てもそうなんですが、負でなくて、プラス面を見ても進化が著しいけれども、それに司法も立法も追いついていないという分野がたくさんございますし、負の部分を考えましても、消費者被害なども、思いがけないような手口というのが、よくもまあと言えるぐらいに、いろいろ出てまいります。そういったことは、かつて、恐らく、自由経済が進化したときにどういう問題が起こってくるか、基本的な権利の中で何が侵害されるかということを、発展する前には余り議論し得なかったテーマではないかと思うんですね。そういうことを考えますと、それに加えてまた、ボーダーレス化しておりますので、国際的な情報やら、いろいろなビジネスなども入ってまいりますし、そのような大きな社会的な変化を遂げている中で、我が国の場合は、司法による、裁判に対するアレルギー症状みたいなものがありまして、決して、諸外国と比べた場合に、訴訟が多くないわけですね。それは、国民性にあるとか、法意識にあるというような意見もおありかもしれませんけれども、我が国の社会経済の推移と、それから司法制度など、あるいは、立法の内容などが十分にうまくフィットしてこなかったということが、裁判が余り多くないということの裏側にはあるのではないかと思われます。勿論、法律の文言の難しさとか、この検討会の最初のころにいろいろな御指摘がありましたけれども、様々な諸要因が相まっていることだと思うんですが、そういう状況の中で、今もっと皆が法律による支配ということをしっかり見据えていかなければならないのではないでしょうか。昨今の偽装表示にしても、大変嘆かわしいことなんですが、法による支配の不徹底さというところにも一因があるのではないかと思っております。そういうことを考えますと、現状においては、できるだけハードルを低くしていかなければいけない、我が国の発展のためにも、アクセスしやすい状況を整備していく必要があるのではないかという気がいたします。公害、環境問題なんかが顕在化してきたというのは、大気汚染公害とか、様々な公害の悲惨な事例なども過去にあったわけです。それがまだ延々と裁判が続いていたりするわけですけれども。あるいは、環境ホルモンなんかでも一口に事業者の方を責めるわけにいかないような、時代とともに知り得る問題、わかっていてやる場合には、それは責められなければならないと思いますが、現在生きていく過程において知り得た問題というのはたくさんあるのではないかと、消費者問題を含めて考えております。司法の制度の抜本的な見直しを行うということは、大変時宜にかなったことなので、その目的を遂行するためにも、ちょっと話が飛躍して申し訳ございませんが、この敗訴者負担制度などは、非常に慎重に、いろいろな立場の人の声を聞いていかないと、一概に決められない問題だと思うんですね。私が、自分たちの知り得ている情報だけではいけないと思って、意見を聞いてみたりするわけですが、ある独禁法関係の問題を抱えていらっしゃる中小企業関係の方の話を伺いますと、例えば、競争が非常に激しい、それが原価を割ったような価格で、ある事業者さんがどんどん不当廉売のような形で売る、自分たちの経営状態が非常に悪いので、独禁法の差止め請求をしたい。した人もいるようなんですが、したくても、差し止め請求をすると、そこで情報の開示が不十分なので、我が国が今抱えている問題の大きな一つの問題としては、情報の開示が、行政側からも事業者側からも非常に少ないということがあるわけです。消費者問題を考えてもそうですが、それだけにとどまりませんで、その中小企業の方の話によると、情報開示がなされなくても、つまり、企業秘密に属するということを言われてしまって、そこでは担保を20%ないし30%ぐらいを差し出さないと差止め請求はできないということなんですね。そうなってくると、ただでさえ経営が圧迫されていて、原価を割っているはずなのに、どこからどういうルートで入ってきているのかどうかもつかめなくて、情報が得られない、このまま裁判をしても負けてしまう、裁判をするお金すら、もう困っているというお話があるんですね。そうしますと、訴えている方が儲けている人を困らせてやろうということでやっているのであれば、それは仕方がないことなんですが、そういうことではなくて、生活がかかっていて、事実、仲間の人では自殺した人がいるなんていう話も聞きまして、そういうことを伺いますと、敗訴者負担制度というのも、消費者サイドでは非常に情報も少ないし、お金もないし、負けたときに相手方の弁護士さんの費用の一部までとてもとてもという声が多いんですが、私どものグループといいましょうか、消費者にとどまらず、広い範囲で、そういうことをおっしゃる方があるようです。様々な裁判の中で明らかになってきている問題と、これから明らかにされていかなければならない、社会を形成するための、法秩序を形成するための裁判というものがあってしかるべきだと思うんですが、そういうものを萎縮させてしまいますと、社会形成が健全な方向に行かないのではないかということを、私は心配いたします。それで、そういう観点からも、この問題については、是非、いろいろな方のヒアリングをやっていただけないだろうかということを御提案申し上げたいと思っております。私どもも、自分たちの知り得る範囲の情報を集めていきたいと思いますが、せっかくの改革が、なぜこんなことをしたんだろうかというようなところにしてしまいますと、様々な諸制度とともに見直さなければならない問題というのがあるので、それ自体が、例えば、いい面があったにしても時期尚早の場合もあるでしょうし、多面的に考えていただく必要があると考えます。すみません、長くなりましたが、是非、ヒアリングなども御検討いただければと思っております。
○ 今、御発言いただいた方々のお考えも十分拝聴いたしましたけれども、ここに検討課題が1から5まで書いてあるんですけれども、基本的には、1から4までと5というのは、すごく大きな区分をして考える必要があって、まず、1においても、弁護士報酬の一部を、本当にプロセスに必要不可欠な費用として認めるかどうかという議論が十分になされないまま、特に資源が乏しい側の幾つかの経験を踏まえた、しかしながら裁判を起こした、申立てをしたということが最終的に社会的にはプラスに転じたというような具体的な例も提示していただいたと思うんですけれども、この検討課題の整理の仕方は、1から5まで書いてございますけれども、まず、弁護士報酬の一部を、まさにどう位置付けるか。これは、全部ではなくて一部ということも大変重要なことでありますし、それから、3つ目に、導入しないケースの範囲をどういうふうに定めるかということが大変重要であります。そして、私は、資料7の各国の例を拝見いたしましたときに、いろいろな考え方があるなと思いつつ、アメリカは、いつでもこういうふうにケースバイケースで決めていて、大変煩雑だなと思いつつ、しかしながら、もしかしたら、そのケースごとに、やはりそのプロセス全体を最も熟知した裁判官が、その判決が下りた時点でもう一度翻って判断するというのは最も理にかなっているのかなと思いつつもありまして、初めからデュープロセスをどのように促進するとか、抑制するとか、そのようなチャンスをそぐという議論にいく前に、そもそも、弁護士費用あるいは弁護士という社会的資源を両方が活用できる権利があり、そういうチャンスがあるわけですよね。そうしますと、もう一つ申し上げれば、その場になるべく多くの、様々な角度から検討された情報が提示されるということは、これも様々なその後の施策、あるいは方針、あるいは法律に与える影響が大でありますから、資源を制約して裁判に臨むという方式よりは、むしろ、アベイラブルな資源をなるべく有効に利用者が使いつつことを運ぶことが、大変有益ではないかなという気がいたします。その上で、それに対して、敗者も勝者も、どこまでを自分たちの責任で負担できるかという議論も必要なのではないかなと思いました。先ほどのお二方の議論を聞いておりますと、確かに、裁判というプロセス自体が既に勝ち負けを、特に言葉として勝訴、敗訴という言葉で表さないといけないというプロセスで、それ自体が大変理不尽であるとお考えの向きも、私は十分理解できます。しかしながら、そこにかけることができる資源はどのようなものがあって、その資源を活用するということにおいてどれだけのメリットがあるかということと、それを全部判断していただいて、なおかつ、判決が下りた時点で、更にさかのぼってそのプロセスの中でかかった費用、当然、これは一部にしかならないと思うんですけれども、その一部分が大きいか小さいかということで議論がたくさんあると思いますし、どういうケースに限るべきであるとか、あるいは、その当事者である裁判官がその都度判断をするという方向にいくかもわかりませんけれども、この整理の仕方の5つの中に、多分両方を込められているのではないかなと私は思うんですけれども、そのあたりをもう少し整理されると、検討課題としては扱いやすいかなという気がしています。
○ 司法制度改革審議会の意見書が、資料の2枚目につけられておりますけれども、いずれにいたしましても、「弁護士報酬の一部を訴訟に必要な費用と認めて敗訴者に負担させることができる制度を導入すべきである」という提言になっているわけでして、私は、今まで、審議会の意見書というのを、常にこれを尊重して、その実現に向けてやるべきであって、これとはまた別の議論というのはすべきではないと言っていたわけですけれども、本件についてのみ言わせてもらえると、その後の「この制度の設計に当たっては、上記の見地と反対に不当に訴えの提起を萎縮させないよう、これを一律に導入することなく」という2番目のパラグラフがくっついているということについては、本件については考えを異にするところでありますけれども、いずれにいたしましても、司法制度改革審議会の場で、こういうふうな方向性が出されたのですから、これから踏み出す議論というのは、もうできはしないわけでありまして、今は単なる不満ということですけれども、この敗訴者負担の原則があるがゆえに、先ほど議論が出ています政策の形成訴訟等ができなくなってしまうというふうなことについて、それは敗訴者負担の問題ではなくて、そういう公共目的のものについての訴訟については、別の措置体系とか、そういうのを本当は検討してしかるべきなんだろうと思うんです。ただ、それをまたやっていると大変なことだろうと思いますので、恐らく、この敗訴者負担ということの中でも扱っていくということになるんだろうと思うんですけれども、いずれにいたしましても、先ほどの1枚目の1にあります、制度を導入する根拠というのは、やはり、勝った者が自分の権利を実現するために要した費用を負けた者から取り上げるというのは、これはもうフェアな原則そのものであって、当たり前のことではないかというふうに、私は考えております。だから、消費者の立場から考えても、20万円のものを訴訟にしたいけれども、弁護士費用がかなりかかってしまう、だから泣き寝入るというふうなことが、勝訴確率が50%超あるのであればかけてみよう、自分の弁護士費用を相手からとれるんだということで、これはアクセシビリティが増すだろうと思うんですね。これが1,000億の訴訟だというときには、弁護士費用が幾らかかろうと、相手の弁護士費用をもとうが、もたなかろうが、これはやっていくわけですから、これはもうアクセスということがそれと一緒だろうと思うんですけれども、少額訴訟については、勝ったときの弁護士費用を相手からとれるということによって、より訴訟を遂行できるのではないかと私は思うんですね。ところが、今度は、負ける確率の方が高い、しかし、これは将来のことを考えて是非やるべきだというふうなものについて、この3番目でどういうものがそれに当たるのかということを、この場で議論していくべきなんだろうと思うんですけれども、これは、本当にこの場で議論できるのか、個別の実体法の中で、例外、原則もそれぞれの法律で考えていくのか、これは私は悩むところでありまして、課題は大きいなと思っております。あと、4番でも、法律扶助との関係というのは、非常に密接に結びつくんだろう、今の法律扶助というのは、勝てる見込みがあって、勝ったときに相手から損害賠償金をとった中でお返しする、それを、償還制度ではなくて、こういう訴訟については、もう寄付をしてしまうというふうなことの在り方も含めて、やはり検討がなされるべきだと思いますので、すべて密接に結びついている問題だなと思っております。感想めいたもので、それ以上のものではありませんけれども、申し上げさせていただきました。
○ 先ほど来、政策形成的な訴訟と弁護士報酬の敗訴者負担制度の関係が議論されているんですが、その場合に、原告に利はありますが、公共的な役割を果しているわけでは決してないということは、やはり認識しておくべきなんだろうと思いますね。つまり、原告が負けた理屈に対して、被告が専門家たる弁護士を雇って、それに対応していろいろな理屈を立ててきて、それを裁判の場で闘わせることによって、望ましい規律の在り方がおのずと浮かび上がってきて、そして、それが、最終的には制定法の制定に結びついていくような場合というのもあるわけです。つまり、そういうことを考えますと、決して、政策形成訴訟というのは原告がえらいといいますか、勿論訴訟が起こらなければどうしようもないという面はあるんですけれども、決して、原告側だけに、公益的な役割を果たしたということが言えるわけではないわけでして、被告側も、その反論の中で、政策形成の役に立っているわけです。そこは、簡単に原告、被告が全然別の役割を果しているかのような議論というのは、適当ではないのではないか。もう少し被告の役割、とりわけ、そこで被告側で雇った専門家たる弁護士の役割というのを、やはりもう少し高く評価して、それが先ほど委員がおっしゃったような社会資源としての弁護士の活用は、両当事者に与えられた活用の仕方の一つの表れだと私は思いますので、もう少し、そのあたりも詰めて議論していただきたいなと思います。
もう1点、これは全然違う話ですが、司法制度改革審議会の答申から、ずっと弁護士報酬という言葉で語られてきているんですが、有償の訴訟代理というのは既に広がっているわけで、弁護士以外にも訴訟代理人はあるわけでして、これは、弁護士報酬の問題として議論するのがいいのか、それとも、訴訟代理人報酬の問題として議論するのがいいのかというのは、ここでもう少し議論を詰めていく必要があるのではないのかなという気がいたしております。
○ 感想程度しか申し上げられませんけれども、今の政策形成訴訟の問題なんですけれども、結局、原告側に提訴をためらわせる、躊躇するということが、今一番問題になるんだと思うんですね。ですから、提訴するために、今のいろいろな訴訟、例えばHIVにしても、ハンセン病にしても、大気汚染にしても、原告に裁判を起こさせる作業が、今の新しい弁護士の活動にとって、大変なことなんです。相手方の費用も負担するんですよと言いながら、それを説得して裁判しましょうということは、とても不可能なことになるんですね。被告も役に立っているというのは、裁判はみんなそういうものだと思うんですけれども、今問題なのは、将来いろいろな社会的影響を起こす可能性があるものについて、原告が提訴を萎縮するのが問題であるというのが議論の立て方だと思うので、今の委員のお話は、私はちょっと疑問に思います。それは感想として申し上げておきます。
それから、今の検討項目なんですけれども、私もまだいただいたばかりで、検討しているわけではないんですけれども、1のところが、何かアンバランスかなという感じがしているんです。意見書を整理すればこういうふうになるといわれれば、段落を区切ってくれば確かにこういう5つになるんですけれども、この裏にあるもの、またいろいろな言葉が中に散りばめられて、やはり悩みながら文章を書いているわけですね。これは、審議会の議事録を見てもそういうことがあるわけで、こんなに割り切ってしまっていいのかなという感じがします。これは、審議会の意見の中でも、どっちを原則とか例外とはしないというような議論も出ているし、それから、パラレルに考えたいというようなこともあるわけです。そういう意味からいうと、1と3の両方、根拠は一緒にして考えた方がいいのかなと思います。どちらにしても、議論の中で、導入する根拠だけを考えましょうというのは難しいことだと思うんですね。ですから、1のところは、敗訴者に負担させることができる制度を導入する根拠と導入すべきでない根拠を考えようということでいいのではないかという気がしています。それが1つです。もう1つは、審議会の議事録を見ても、単に、訴訟を促進することになるのか、または萎縮することになるのかというような、かなり理念的なことはたくさん出ているんですけれども、では、どんな事例は裁判を促進することになるのか、どういう事案が裁判を萎縮させるのかということが、余り議論されていないような気がします。これは勿論、3のポイントにつながるわけですけれども、どっちにしても、1と3は一緒に議論することになってしまうと思うので、根拠は、両方やはりパラレルに考える、だから、事案もパラレルに考えるというような立て方をした方がいいのではないかと思います。どちらにしても、一方だけでは、議論ができにくいかなと思います。それから、4のところなんですが、これも全部につながるんですけれども、これが一定の要件と書いてある部分に当たるのかなというふうに思うんですけれども、「訴訟救助、法律扶助など」ということが書いてあるので、「など」に入るかなとは思いますけれども、やはり保険の検討も必要だろうと思います。これは、審議会意見書も、訴訟救助というのがここに入っているんですけれども、それは意味がちょっとよくわからないなと。ここは、審議会の議事録を見ると、余り議論されていないで、ここに突然入ってきているんですよね。たしか、ドイツはよく法律扶助を訴訟救助と訳しているので、それのことを言っているのかという気もしないではないんですが。これは意見書の方に書いてあるのでこれでいいとは思いますが、ここら辺はもう少し幅広く条件設定というか、制度環境を考えていきたいというふうに思います。それから、5番目の国民の理解についてどのように考えるかというのは、この会議だけで考えてもいい意見が出てこないので、どうするのかなと思って、ヒアリングをするのか、ヒアリングといっても、どこをターゲットにしてやるのかというのは大変問題だし、私自身もよくわからないんですが、幅広く意見を集めてもらいたいなと思います。
○ 今、私の先ほどの発言に関して疑問が提起されましたが、若干補足的に申し上げますと、私が申しましたのは、決定的に敗訴者負担をとるべきだという理由にはならないので、むしろ、片面的敗訴者負担というのは余り合理性がない制度ではないかという点を強く言いたかったわけであります。つまり、被告側にもそれなりの役割があるということですので、そうすると、考えられるのは、現行どおりという選択肢か、双面的な敗訴者負担というのか、どちらかだろうということになるんだろうと思います。それからもう一つ、さっきのとはまた別の話をするんですが、仮に、そういう政策形成型の訴訟、あるいは、原告が非常に資力がない場合は、むしろ4の問題かなと思いますので、そこはちょっと置いておきまして、政策形成型訴訟以外の、例えば、通常の大企業同士の訴訟において敗訴者負担ルールを導入するのは望ましいと仮にいたしますと、こういうことで何が問題になっているかというと、対立当事者間の利害調整の問題なんですね。それの例外を設けるということはどういうことになるかということを考えなければいけない。つまり、公益に役立つからといって、当事者の利害調整の問題としてそれを処理していいのかどうかというのは、また別の問題としてあると思うわけです。つまり、本来であれば、勝った人は弁護士報酬をとれるのに、たまたま公益にかかわる問題だからとれないというのは、なかなか説明しづらい。公益のためにあなたは犠牲になりなさいと言っていることになるわけでして、そこのところは、私は外部財源論なんですけれども、先ほど少し話がありましたように、やはりこれは内部財源の問題として考えないと、当事者の利害調整の問題として考えるのはかなり難しい性格で、公益を理由とするのは、かなり難しい問題だろう。日本の場合は、誰が負担すべきかというと、中間団体は貧弱ですし、また、国庫もそんな余裕はない状況ですので、そこから先は隘路に入ってしまうんですが、本来、これは、当事者の利害関係問題について、公益が働いているという理由だけでその権利を奪うことができるのかというのは、私は、簡単には説明できないだろうと思います。
○ 今日議論をするつもりもないので、簡単にだけ、時間がないので申し上げておきます。もともとが、当事者が対等、フェアではないんですね。そのことを理解しないといけないと思います。萎縮効果が起きるのは、経済的困窮者の側なんです。そのほかの人たちは、資力のある人、または、地方自治体とか国というのは、これを敗訴者負担にしたからといって、萎縮効果が特に起きるということはないんですね。もともと、対等な当事者ではないから、どこかで救済しなければいけないということが、どうしても出てくるだろうと思います。公共財でやればいいという、イギリスなんかではそういう解決ができているようですけれども、アメリカは、法律扶助は大変貧弱です。本当の貧困者対策の予算しかないから、だから、片面的敗訴者負担というのが出てきたんだろうか、私は思うんですけれども、やはり、その辺の根拠から考えていきたいと、私は思っています。
○ 今の委員のおっしゃっていることというのは、弱い者が訴訟に勝ったときは相手からとるのはいいけれども、弱い者が負けたときは払わなくてもいいんだ、こういう理屈になるということですか。
○ 片面的敗訴者負担というのは、そういうことですね。条件設定はありますけれども、基本的にはそういうことですね。片面的敗訴者負担のアメリカの制度というのは、大体それが基本になっていると思うんです。
□ この検討会は、審議会意見書から出発するわけですが、前段の部分、「この制度の設計に当たっては」という前の方ですが、「弁護士報酬の一部を訴訟に必要な費用と認めて敗訴者に負担させることができる制度」と、先ほど委員から意見がありましたように、弁護士だけに限りませんが、仮に弁護士に絞って話を進めさせていただきますと、弁護士にかかる費用というものは、訴訟のために必要な費用なんだ、ほかの訴訟費用、先ほどは証人の日当とか何かありましたが、訴訟に必要な費用と認知すべきなのか。歴史的には、そこがそうではなかった。明治政府はそうでなかったようなんですが、そう簡単に言えないいろいろなことがあったんでしょうが、弁護士の数が少ないということもあったんでしょうが、基本的にはそう言ってよろしいかと思いますが、それが、現在ではもう通用しない。弁護士の費用は、全部か一部かは勿論あるんですけれども、訴訟をする以上は、弁護士に頼むのは当然なんだという理解は、これは共有していただけるのかどうか。審議会はそんなことを書いているわけですが、ここから異論があるということですと、また議論の仕方が違ってきますが、異論はありますか。
(各委員異論なし)
□ それでは、それを出発点にして制度を設計し、そして、先ほど来議論になっている、例外はどうすべきか、これは、意見書自身がそれを検討せよと言っているわけですから、例外はどうするかということになるわけです。
ところで、ヒアリングをせよという御指摘がありましたが、この検討会そのものが、審議会がいろいろなところから聞けと言って、我々が選ばれたんですが、それがまた更に下請けにするということで、ほかの検討会でもやっていますからそれ自体が悪いということではありませんが、例えば、どんな方を相手にヒアリングをすればいいですか。一部だけに限るわけにはいきませんよね。いろいろな各層という形で。
○ 私が申し上げたのは、私なりにいろいろ資料を拝見するとか、あるいは、お話を伺うという努力はしつつあるんですが、ただ、伝聞だったりしますと、その方がおっしゃったことを正確に伝えているかどうかわからないというような伝聞の怖さとか、自分の掌握範囲の貧弱さがあった場合にいけないのではないかということから、まず申し上げたんです。それで、範囲としては、ちょっと漠然としておりますけれども、これが今起こっているかどうかわかりませんけれども、1つは、少子高齢化に伴う社会保障の問題なんかで意見のある方もあるかもしれませんし、医療過誤なんかの問題で裁判に直面しておられる方、自然保護、環境問題についての取組みですとか、消費者も勿論そうなんですが、消費者被害などの中で、それが回復されるケースというのは大変少なくて、情報が余り知らされていなかったりするための問題を抱えている人もいますし、裁判に至った人と、その前でもうお金がかかるというからやめたという方も、様々な分野において、様々な事例において、そういうケースが多分あると思うんですね。そういうことなんです。特定のこの方をお呼びしてくださいとか、具体的に、今イメージしているわけではございません。
□ 今お聞きいたしますと、3の例外、除外の方に主として御関心があるということなんですかね。直接伺うなら、事務局にいろいろなところからきていて、もう既に席上配布になっていることがありますから、間接的な伝聞ではちょっとじくじたるものがあるということであれば、それは、直接ここに資料を出す道があるんですね。
○ ですから、先ほどもお話がございましたけれども、原則も例外も両方、そういう御意見があれば。
○ 議論のときには、両方いっしょにして差し支えありませんが、やはり、論理的なステップとしては、我々は審議会意見書に拘束されることになるわけです。関連しますから、別にいっしょに議論することは差し支えありませんが。
○ もう少し具体的に検討させていただきたいと思います。
○ 一番極端の例は、この制度の設計に当たってはうまくできないから、1の、制度を導入すべきであるというのを否定するというのは、我々はできるのかということになるわけですね。これは、審議会意見書の拘束力がどの辺になるのか、私は十分認識していませんが、やはり常識的に考えれば、そこはちょっと難しいかなと思ってはいるんですね。
○ ヒアリングの話ですけれども、参考になるかどうか。法務省では、いろいろな民事基本立法をやっています。それで、基本的には、なるべくいろいろな方々の意見を聞くということで、法制審議会には、利害関係がありそうな方々、もしくはそういう関係団体からなるべく入ってもらって、そういう人たちを通じて、直接これがパイプ役になっていただいているという仕組みをとっているわけですね。
それから、法制審議会もいろいろな検討をしているんですけれども、例えば、倒産法制であるとか、商法、会社法みたいなものであると、例えば、経済団体から入ってもらっていますし、例えば、全国銀行協会、そういう法律に対して非常に利害関係がはっきりしている方には非常に聞きやすいですね。商法とか、倒産法制でいくと、ある程度中間的な試案をまとめた段階で意見照会をさせていただくということはあります。ところが、一方、民事訴訟みたいな話になりますと、これは、利用者が特定の方に限られない、あらゆる国民、あらゆる方が利用される、潜在的な利用者になるということなものですから、特定の方をピックアップしてヒアリングをするというようなことはなかなかしにくくて、それは、むしろ、こういうところで幅広く選ばれた方々を通じて、意見を聞いていくという形になるのではないかと思うんです。これもある意味で、民事訴訟法的な対応をするというのが一つのやり方かなという気はしております。参考までに。
○ 一律ではなくて各自負担というふうなものも、日本では和解ですか、いろいろ行われていて、私が先ほど申し上げたような、とても対等ではない、しかし、環境とか個人の生命にかかわりそうな、そういう公害の問題とかは、一律ではないところで、各自負担とか、そういうのはないのですか。片面というのが、何か特別、関係がプラスマイナス過ぎるならば、私は本当に司法のことはわからないんですが、そういう部分はどのように位置づけられているんですか。なぜ、各自負担ではいけないんでしょうか。
○ 基本的には、訴訟に必要な費用なんだからということですね。フランスの例がはっきりしていると思いますが、訴訟に必要な費用としては、もう敗訴者負担と。ただ、本当の報酬の部分では、いろいろ考慮して、いろいろな分配があり得る。最終的には、フランスは、裁判官の判断に委ねているわけです。その結果、それは各自負担ということもあり得る。日本はそれがいいかどうかは、この問題は、外国はこうだからということでは簡単には言えませんが。
○ そうではないんです。先ほどのわりかし対等ではないときは、そういうのがいいかなと思ったんです。
○ フランスだと、経済力が入っていますね。当事者の経済的な事情を考慮すると書いてありますから。
○ どうして各自負担ということではだめなのかなと。
○ それはまた議論の中で。
○ 私が申し上げたことですので、ヒアリングに関してですけれども、次回までにといいましょうか、少し時間をいただきまして、どういうようなところからお聞きしたらいいのかということを考えさせていただきたいと思います。それをまた御検討いただきまして、恐らく、情報格差があったり、今の経済的な格差がありましたり、手続的に難しい問題のある分野ですとか、専門性も同じことだろうと思います。高度に専門化していて、なかなか、私たちといいましょうか、一般の人がおかしいなと思っても、声を上げられなかったりというような、ちょっと当たってみたいと思いますので。
□ 時間が超過いたしましたが、今日は第1回目ですから、まだこの機会に言っておきたいということがございましたらどうぞ。よろしいですか。
それでは、超過して申し訳ございません。今後の日程等について、次回以降の日程について、事務局から説明をお願いします。
● 次回でございますが、簡易裁判所の管轄の拡大というのが、推進計画上、平成15年の通常国会に提出という予定になっていますが、まだ具体的にそういったことについての検討ということが行われていないかと思います。特に関係いたします最高裁判所と、それから日本弁護士連合会、それから、今度司法書士が簡易裁判所の訴訟代理をすることになりましたので日本司法書士会連合会、こういった方々から、簡易裁判所の管轄拡大という問題も含めて、全体的に簡易裁判所の機能の拡充というのが今回の司法制度改革の大きなテーマでございますので、そういった動きについても、大きな視点から御意見を伺っていったらどうかなと。それを踏まえて、更にその部分についての検討を進めていただけたらどうかなというふうに思っている次第でございます。
□ よろしいでしょうか。簡易裁判所の関係で、最高裁判所、日本弁護士連合会、日本司法書士会連合会から御意見を伺いながら、ここでまた検討していくということでよろしいでしょうか。
(各委員了承)
□ それでは、本日の議事はこれで終了させていただきます。それでは、今日はありがとうございました。