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司法アクセス検討会(第9回) 議事録

(司法制度改革推進本部事務局)



1 日時
平成14年9月30日(月)13:30〜15:40

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第2会議室

3 出席者
(委 員)
高橋宏志座長、亀井時子委員、西川元啓委員、長谷川逸子委員、原田晃治委員、飛田恵理子委員、三輪和雄委員、山本克己委員
(事務局)
松川忠晴事務局次長、小林久起参事官 

4 議題
(1) 訴訟費用額確定手続について
(2) 訴えの提起の手数料について
(3) 簡易裁判所の管轄拡大について
(4) 今後の日程等

5 配布資料
資料 1訴訟費用額確定手続の簡素化の考え方(改訂案)
資料 2訴えの提起の手数料の見直しの考え方(案)
資料 3消費者保護基本法関連資料」III.苦情・相談の状況(国民生活審議会第4回消費者政策部会配布資料3より引用)
資料 4消費者金融会社上位10社の融資残高
資料 5第一審の民事訴訟事件の審理状況等に関する資料
資料 6簡易裁判所の機能の充実及び管轄拡大に関してこれまでの検討過程であらわれた論点

6 議事(□:座長、○:委員、●:事務局)

□ それでは、所定の時間になりましたので、第9回司法アクセス検討会を開催いたします。
 初めに、本日の議題と配布資料について事務局から御説明をお願いいたします。

● お手元の配席図の下に「司法アクセス検討会(第9回)次第」があります。3の議題に掲げましたように、本日は、訴訟費用額確定手続、訴えの提起の手数料、それから簡易裁判所の管轄拡大、この3つの議題を準備しております。
 配布資料ですが、資料1の「訴訟費用額確定手続の簡素化の考え方(改訂案)」、これは改訂版です。前回お示ししたものについて、さらにその検討の結果を踏まえて改訂を加えたものです。これについては、後ほど議題のところで御説明します。
 資料2、これは「訴えの提起の手数料の見直しの考え方(案)」です。これについても、その議題のところで御説明します。
 資料3、これは委員から御指摘のあった消費者関係の被害金額の実情について、国民生活審議会の資料として国民生活センターの資料が公表されておりましたので、それを提出することにしました。ちなみに、14ページ、6枚目に下の方に14と打ってあるところがあり、そこの4という項目で被害金額とありますが、これが御指摘いただいていた問題であろうと思います。そのうち②という項目で平均被害額がありまして、そこで契約金額というところが、例えば、昭和61年度において84万9,385 円であったのが平成13年度においては118万1,832円となっています。その下に、既支払い金額平均がありまして、昭和61年度に68万5,037円であったのが平成13年度には86万9,713 円となっていまして、③で、実質値の推移というグラフにされています。それから、次の15ページには、被害額の現状ということで、相談件数に占める相談者の割合という形で分析された資料がありましたので、これを資料として御用意しました。
 資料4の消費者金融会社上位10社の融資残高ですが、これは、これまでの検討の過程で、消費者金融関係の事件が多いということをこちらからも申し上げておりましたし、委員からも御指摘のあったところです。それを客観的にどの程度の金額が多いのかということで資料を探しましたところ、このような資料がありました。上位10社の融資残高、③のところですが、一口座当たりの融資残高という形で調査いたしますと、54万9,064円ということになりまして、これまでの訴訟に関する統計等でも、このあたりの事件が非常に多いというのは、この辺からも裏付けられているのではないかということで、資料として御提出いたしました。
 資料5は、第一審の民事訴訟事件の審理状況等に関する資料です。これは基礎資料としては、既に最高裁判所の説明資料等の中にもありましたが、訴額区分と裁判所別つまり簡易裁判所と地方裁判所に事件を分けて統計をとってみたらどうかということで、従来、訴額区分と割合だけだったのですが、簡易裁判所、地方裁判所、それからそれをあわせてみたらどうだろうかということと、合計数値として実際何件の事件があるのだろうということがわかるような形で統計とグラフを作り直した資料です。具体的な内容については改めて御説明いたしませんが、御検討の参考に作成した次第です。
 資料6につきましては、簡易裁判所の機能の充実及び管轄拡大に関して、これまでの検討過程であらわれた主な論点をまとめた次第です。
 以上です。

(1) 訴訟費用額確定手続について

□ 議事次第に沿って審議をいたしますが、そうしますとまず、(1) 訴訟費用額確定手続について、その簡素化についてということになります。意見交換をお願いしたいのですが、考え方(案)というのが前回ございましたが、本日の資料1でその改訂版が出ております。まず、この改訂版についての説明を事務局から伺うということからはじめさせていただきます。

● お手元の改訂案につきましては、前回のものから変わった部分は第2の2という項目だけです。第1の見直しの方向性については大方の御意見が一致していたと思いますし、第2の見直しの具体的な方法の1の旅費、日当及び宿泊料の定額化についてもほぼ御異論がなかったものと考えましたが、2の書類の「書記料」と「提出費用」を書類の「作成及び提出費用」とした上で事件単位の定額にするということにつきましては、その具体的な内容についてなお検討してみたいという御意見が多かったように考えております。その点について、事務局の方でも、訴訟の実情を反映するためにはどうしたらいいだろうかとなお検討しましたところ、このようにした次第です。「事件単位の定額とし」というところまでは変わっていません。その定額の算定方法を具体化したということです。「事件単位の定額とし、その額については事件の種類(訴訟、強制執行等)や記録上容易に判明する事実に基づき算定するものとする」と、このように改めた次第です。
 そもそもの理由、趣旨を改めて御説明しますと、前回、書類の書記料と提出費用を統合して定額化する理由についても必ずしも説明が十分ではなかったかと思いますので、改めて御説明したいと思いますが、例えば、現在、書類の書記料というのは、書類1枚当たり150円という算定方法になっているわけです。このような算定方法をとりますと、訴訟費用額の確定を求める当事者は、その際に、書類の枚数を改めて確認した上で確定を求めなければいけないということになるわけです。そのこと自体、当事者にとっても極めて大きな負担ではないかと思われる次第ですが、これは、1枚150円という金額を念頭に置いたとしても、1枚ずつ数えるというのは大変だろうと思うのですが、逆に、1枚150円という金額自体が現状に照らして妥当かどうかという問題点もあるのではないかということです。参考までに、これまでの議論の整理をしたときに提出した資料、第6回の検討会の資料3をお手元の右側の方に再度お示ししていますが、例えば、現在の実情からすると、書記料が1枚150円でも、コピーで提出する書証の写しというようなものまで含まれているわけです。これが、今の実情の中で1枚150円が相当な費用かということになると、かなりの疑問があろうかと思うところです。そこで、それを今の費用の実態に合わせた金額に直した上でさらに当事者に1枚ずつ枚数を計算していただかなければならないということになってしまった場合には、訴訟手続が終わった後でやっと訴訟費用額の確定を求めようとしているときに、訴訟に付随する手続として、なるべく簡素に当事者が費用の回復をできるようにしようという訴訟費用制度の趣旨からすると、あまりにも当事者に負担をかけて、それに見合った費用の割合には非常に大きな負担をかけることになるのではないかという問題点があるわけです。さらに、書類の書記と提出が今分かれているわけですが、書類の提出にあたっては、もちろん訴状は別ですけれども、ファクスで送信してもいい文書が増えているわけです。現在の情報処理の技術や通信技術を利用しました場合には、文書を作成しても、印字しないでファクス送信することもできるような状況になっていて、民事訴訟手続の実際という意味からしても、書類の作成と提出を明確に区別するというのは必ずしもできない状況になっているのではないかと考えられます。さらに、書類の提出費用は、現状におきましては、どのような提出方法をとったかにかかわらず、つまり、口頭弁論期日に出頭すると旅費と日当が訴訟費用として認められて相手方から回収できるわけですが、旅費と日当が認められる口頭弁論期日に出頭した際に提出したとしても、別途、提出費用として、1回当たり書留郵便で送った場合の費用、現在は1回当たり500円になりますが、そういった費用が認められることになっておりまして、この書類の提出費用そのもの自体が、金額的にもあるいは実際ともそぐわない場合が出ているのではないかとも考えられます。他方で、これを実際に即した方法に改めようとしますと、提出の回数を当事者の方でもう一回確認しなければいけないということになりますし、その場合の提出に要した費用を当事者がいちいち確認することになりますと、例えばファクスで送ったときの費用をどうするのかというようなことになりまして、その費用に見合った合理的な算定方法とは言えなくなってくるのではないかという問題点がありまして、この書類の書記料や提出費用に関する部分を合理的なものに改めようとすると、逆に、その算定基準自体の不合理性が拡大してしまうというようなことが考えられるわけです。
 このようなことを考えまして、前回、事件当たりの定額にしてみてはどうかということを御提案した次第ですが、一方で、事件当たりの定額とした場合には、あまりにも多様な事件、複雑な事件、いろいろなものがある中でそれを捨象しすぎると、当事者の本当にかかったコストをなるべく相手方から回収できるようにしようという、この訴訟費用制度の趣旨から乖離する恐れもあるのではないかということで、算定方法を合理化した上で、なるべく定額に近いものにしてはどうかと考えた次第です。基本的には、事件の種類、つまり、訴訟事件であるのか、あるいは支払督促であるのか、あるいは執行事件であるのかということによって、必要な書類の内容というのは大体類型化されると思いますが、それだけでは類型化の抽象化のしすぎになるのではないかという問題があり得ます。そこで、「記録上、容易に判明する事実に基づき算定するものとする」ことにしてはどうかと考えました。ここで、「記録上、容易に判明する事実に基づき算定するものとする」というのは、今の書類の枚数であるとか、提出の回数というのをいちいちもう一回改めて当事者が確認するというのは、これは容易に判明するとはなかなか言い難いのではないか、もう少し訴訟手続の中ではっきり容易に判明できるもの、そういったものであって、しかもそれが通常、当事者の書類の作成や提出にかかる負担にある程度のウエートで相関関係を持っているもの、そういったものを取り上げてはどうかと考えた次第です。
 具体的にどういうものが考えられるかということで、今後は詳細にわたって検討していくことが必要ではあろうかと思いますが、主張書面の数、どの程度の主張が尽くされたかということや、あるいは書証がどのくらいの数出ているのかとか、あるいは当事者が何人いるのかというようなことで、ある程度訴訟にかかる当事者の負担というものが類型化されるのではないかと考えています。しかし、これも容易に算定しやすい形、あるいは訴訟費用という形で1通幾らとかということにしますと、その通数、数多く出したからそれが本当に必要だったかというと必ずしも直結するわけではありません。したがって、この場合の対応関係というのは、ある程度大きなまとまりとして考えていくべきではないだろうか、つまり、定額化するという考え方の中には、当事者が個別の事件でどういう対応をとったかというのが直接費用に反映するわけではないので、それは当事者がどういう訴訟対応するかというのは当事者ごとにいろいろあるでしょうし、よくまとめて書面を出して簡素に手続を進める方もおられるでしょうから、そういったことも考えますと、ある程度大きな枠組みの中でまとめて訴訟費用という形で評価してはどうかと、このように考えている次第です。
 今回、第2の3を改訂した趣旨は以上のとおりです。

□ ありがとうございました。それでは、この簡素化について意見交換に移りたいと思いますが、どなたからでも、どこからでもどうぞ。

○ 本日御用意いただいております資料5によりますと、例えば、訴額別の弁論の実施回数等、いろいろと分布状況をまた新たに抽出してわかりやすくグラフ化していただいているわけですけれども、このような回数等の状況といいますのは、どのような形で、今回の手続の簡素化の中でお取扱いになるようにお考えなんでしょうか。

● 基本的に、弁論の回数になりますと、先ほど申し上げた資料1の第2の1のところで、「当事者の旅費、日当及び宿泊料の算定については、これを定額により算定することができるようにする」ことになりますので、口頭弁論に出頭することそのものに伴う当事者の負担については定額で算定されるということで、口頭弁論の回数は裁判所に明らかな事実ですから、当事者の方では、それ以外の事実を明らかにしなくても、基本的には定額の範囲内では回収ができる。費用に応じて、旅費等、明確にしなければいけないというときは、それは明確にしていただくということですが、少なくとも、日当や宿泊料や旅費は、自分で具体的に明らかにしなくても最低限の範囲は回収できるようになると考えております。
 具体的に、それは今回を改めて見直しました第2の2の書記料と提出費用、これを「書類の作成及び提出の費用」に統合してはどうかと考えているわけですが、こちらの方になりますと、口頭弁論をしたということだけでは直接には考慮されません。しかし、口頭弁論をしたことに伴う負担というのは、今申しましたように旅費や日当が簡素に認められるということで、相当程度、当事者にとって回収は可能になりますが、別途書類をどの程度作成したかということになると、それを口頭弁論の回数で評価するというのは難しいと思いますので、それは旅費、日当の方で簡素化して評価した上で、別途、書面やそういった書類に影響するような事実関係は、主張書面が何通出されているかなどということを評価して当事者の費用を算定してはどうかと、このように考えている次第です。二元的に考えているということです。

○ そうしますと、この分布状況のグラフ等であらわされておりますと、通常の平均的なところというようなものも出てくるわけでございますけれども、そういうことに平均値をとるということではなくて、具体的に明らかなものはそれに基づくという考え方でよろしいわけでしょうか。まめにみえる方とそうでない方といったらいいでしょうか、いろいろあるようにお見受けするわけですが、額によりましても異なりますし、抱えている事件によりましてもといいましょうか、トラブル内容によっても異なるようですが。

● 書類の、特に書記、筆記作成に要する費用ということになりますと、それをどう評価するかというのは極めて難しいのではないかと考えております。

○ 弁論などに出頭しているような場合には、その事実に基づいて掛ける何々というように単純化するというように考えてよろしいわけですね。

● はい。

○ わかりました。

● 今申しましたように、弁論への出頭に伴う負担だけでも相当程度の費用が回収できるようになりますので、そこで相当程度、当事者の負担は回復できるようになるのではないか、全体ではそこが今回の重要なポイントではないかと思っているのですが、書類の方になりますと、書類の作成の費用というのは、1枚幾らかかったのかということを当事者に立証していただくとしましても、自分のコピー機を使った場合は電気代と紙代ですが、それを立証していただくのかということになると極めて難しいだろうと思いますので、むしろそういう立証という形よりは、定額制をとった方がいいのではないかと考えています。

○ その考え方に賛成ですが、もう一度整理しておきたいのですが、訴訟費用額確定手続を簡素化するというのは、勝訴者が今までの手続よりもより簡素な方法で訴訟費用を請求できる、それでもってアクセスの拡充になるという基本的考え方なのだと思いますが、一方、実際に請求できる金額につきましては、定額ないしは記録上容易に判明する事実に基づき算定する定額となるわけですけれども、これは恐らく民事訴訟規則か何かでその定額は決められるのだろうと思いますが、さっき1枚150円というお話がございましたけれども、今までよりも低いレベルのことを考えるのか、より高いレベルのことを考えるのか、そのあたり、何かお考えが事務局の方にはあるのでしょうか。

● 具体的な額については、これまでの実例、それから民事訴訟手続自体が規則で定められる部分が多いということを考えますと、御指摘のとおり、最高裁判所規則で定めることになるのではないかと事務局としても考えています。その場合に、それでは幾らになるかというのは、なお今後検討しなければいけないわけですが、我々の方で立法するわけですから、立法するに当たってどのくらいのものを念頭に置くかということになります。そうすると、基本的には、今の訴訟手続の中で、例えば欠席をした場合に認められている金額を大幅に削減することになりますと、それは今の金額自体がそんなに不合理かというと、必ずしもそういうような議論があるわけでもないのではないかと思います。それでは、書面が複数出たような場合について、それが書面の数で積み上げていくことが合理的かというと、厳密にいえば、書証の写しというのは今の1枚150円では高すぎるのではないかというような問題もあろうかと思います。ですから、基本的な考え方としては、今最低限のコストで認められている範囲に即した部分を定額化して、それプラス、今だと枚数が多ければどんどん積み上がっているという金額については、算定の仕方はもう少し実態に合わせたような金額に見合った形にしながら、しかもそれはある程度大きな枠の中で評価することにする、つまり、1枚10円を足していくというような形ではなくて、そういう事実関係がある場合にはまとめて何千円というくらいで評価して積み上げていくというようなことが合理的ではないかと考えているわけです。ですから、最低限の金額はほぼ現状に近い形で移行しながら、それプラス、積み上げていくところはなるべく実態に即した形で積み上げていくというような形で考えてはどうか、今、1枚150円とか、提出費用を1回500円というのはかなり抽象化した上で、今の実情からすると高額になりすぎているのでないかと思われる部分もありますので、積み上げの部分はなるべく実態に即した形に近い評価方法をとってはどうかと考えています。

○ 訴訟費用額確定手続の中で、やはり、当事者にも裁判所にも負担が大きいのは、この書記料の問題とそれから旅費の問題だろうと思います。旅費については、かなり方向性が出てきていますが、書記料についても1、2点指摘しておきたいところがありますので、話をさせていただきたいと思います。
 まず、書記料については、通常の事件といいますか、一般の事件、もっと思い切っていえば大半の事件が、できれば定型的に定額的な処理ができるような方向で定めた上で、それにより難い、つまり、例外的に費用を積み上げる必要がある事件というものを想定するとしても、そういう事件自体の数はそれほど大きくならないように、多くの事件については一定の定額化ないしはそれに近い簡素な方法で確定できる仕組みを考えるべきだろうと思います。それが第1点です。それから、もう1点は、仮に、定額の部分とそれを超える部分については一定の積上げを考えるという方式を採用する場合に、その積み上げる方式を採用すべき事件なのか定額で済む事件なのかの区分の基準を、これもかなり明確に容易に判明できるような基準を設けるべきだと思います。そうしないと、積上げ方式による事件であるのかどうかを調査するための当事者の負担や裁判所の負担というものが大きくなってきてしまいますので、多少の手間は仕方がないにしても、どちらの申立てをすればいいのかということが容易にわかるような、そういう明確な基準を設けていただきたいと思います。そうすることによって、当事者の利用を容易にして、この手続が活かされるのではないかと考えます。

□ 先ほどの委員の御質問ですが、賃貸借関係、借地借家などの事件ですと、市販の借地借家契約書というものが出てくるんですね。それがいいかどうかは別ですが、実際としてはB4の用紙1枚で出てきます。それをコピーして持ってくる、それで150 円。どんな感じでしょうか。もっと高くしろ、もっと低くしろ、どっちもあり得ますが。しかし、証拠のコピーだけではなくて、いろいろな書類の作成及び提出の費用ですから、コピー代というのは、今安いところだと7円とか8円とかあるのでしょうか。とにかく、相当安いですね。しかし、そこまで合わせてもいけないでしょうし、かといってあまり高いのも実情に反する。現在の1枚150円というのも、言葉は適当ではないかもしれませんが、ある程度のフィクションを込めて150円にしているわけですね。実際のコストとあまりかけ離れてはいけないでしょうが、簡素化のためには多少のフィクションは必要だと。ここの検討会では、立法の細かいところまでは入りませんから、1枚幾らとここで決めるわけではないですが。
 あと、他の委員が言われたことだと、一つの事件では定まった額がある。しかし、はっきりした指標があるなら、それの少し上乗せとか何かをする。私などが考えるのに一番はっきりしているのは、被告が複数になれば副本を出せと言われます。それは倍かかるわけです。ただ、倍にしていいかどうかまた別問題ですけれども、当事者が増えれば実際出すわけですから、それも1人のときと3人のときと同じというのはやはりフィクションが強すぎる、かといって3倍にしたらこれまた逆に多すぎるでしょうね。こちらは本当にコピー代でしょうから。そのあたりをいろいろ考えていただいてということで、最後は、最高裁判所の規則制定諮問委員会で決めるということになるのでしょうか。

○ 昔は、どうも設計料でも、何枚書いたら幾らだというものだったらしいんですね。でも、もはやコピーはサービスでただみたいにやってくれるところもあるものですから、何枚幾らという紙の枚数の感覚が本当にないですね。一式幾らしかないから、書記料というのがお金になるという時代は大分前に、不思議に古めかしい言葉のような気がするんですね。1枚幾らとかいう感覚がもうないですね。

□ 言葉はよくないでしょうけれども、日本で書記料と言っているものに対応するものは、諸外国でも大体はあるんですね。金額はまたいろいろですが。
 では、大体のところを私の理解で申しますと、今日の資料1の1、これは確認的なものになりますが、当事者等の旅費、日当及び宿泊料の額の算定については、証人の例により算定することを改めて、旅費の額については距離に基づく定額により算定することができるものとし、日当及び宿泊料の一日当たりの額についても、これも定まった額とする。これは前回まで、今日も含めて大体の方向は御異論がなかったと理解しておりますが、よろしいでしょうか。

(各委員了承)

□ 資料1の2は、今回少し修正が入りましたが、書類の書記料については、書類の作成の費用に改めた上、提出の費用と統合した「書類の作成及び提出の費用」とするとともに、事件単位の定額とし、その額については事件の種類(訴訟、強制執行等)や記録上容易に判明する事実に基づき算定するものとする。先ほど当事者の数ということを言いましたが、これはあくまで私の理解ですが、そのような記録上容易に判明する事実に基づき算定するものとする。これも、大体、皆さん、方向としてはよろしいでしょうか。

(各委員了承)

□ ありがとうございます。では、そういう方向で考えるといたしまして、またこれは考えによっては非常に大きな問題ですので、次回の検討会の場でももう一度お諮りしたいと思いますが、各位いろいろお考えの上、また御意見がありましたら賜りたいと思っております。

(2) 訴えの提起の手数料について

□ それでは、訴訟費用の関係の続きですが、訴えの提起の手数料についての検討に移りましょう。資料2ですか、事務局からまた説明をお願いいたします。

● 資料2「訴えの提起の手数料の見直しの考え方(案)」について御説明したいと思います。なお、御参考までに、右側のお手元に、これまでの検討会に提出しました訴えの提起の手数料関係の資料をまとめてありますので、随時御参照いただければと思います。
 資料2につきましては、訴えの提起の手数料について、次のような考え方を基本として見直しをすることはどうかとしたものです。その内容については、1、2、3、4と掲げてあります。それから、2ページ目に(注)としまして、(注1)から(注4)まで掲げてあります。具体的に入ります前に、司法制度改革審議会の意見書のこの部分がどのようになっているかということですが、司法制度改革審議会の意見書では、提訴手数料については、スライド制を維持しつつ、必要な範囲でその低額化を行うべきであるとされた上で、もう一つ、簡易裁判所の少額訴訟事件の提訴手数料については、定額制の導入を含め検討を加え、必要な措置を講じるべきであるという意見が述べられております。その中の意見の趣旨を説明した部分では、「国民が裁判所に訴えを提起するに際しては、提訴手数料(申立て手数料)を納付しなければならないが、その手数料の額は訴訟の目的の価額(訴額)に応じて順次加算して算出する、いわゆるスライド制によって定められている。現行のスライド制のもとにおける提訴手数料は、案件によってはかなり高額になることもあることから、利用者の費用負担の軽減を図るため、提訴手数料についてはスライド制を維持しつつ、必要な範囲でその低額化を行うべきである。また、簡易裁判所の少額訴訟事件の提訴手数料については、国民がより利用しやすくするため、定額制の導入を含め検討を加え、必要な措置を講じるべきである」。このような意見が述べられている次第です。
 これまでの検討の経過を踏まえまして、事務局で考え方の案を作成しましたのが1〜4までです。1番ですが、平均的な手数料の負担水準(おおむね訴訟の目的の価額300万円、手数料額2万5,000円程度)を目安として、これを超える手数料について、手数料額の水準や平成4年に実施した手数料の引下げの程度を考慮しつつ、一定程度の引下げを行うとしているものです。ちなみに、この平均的な手数料の負担水準といいますのは、お手元の右手にまとめた参考資料に、これまでの検討会で提出しました「地簡裁第一審訴訟事件数と平均提訴費用の推移」という横書きの統計資料があります。これによりますと、平成13年の平均提訴手数料は2万4,522 円、それから平成12年で2万5,767円ということになっておりまして、もちろん前後はありますが、ここ数年程度を見ますと、ほぼ2万5,000円前後ということで一定しているようです。ここに「訴訟の目的の価額300万円」と書いてありますが、それは、訴えの提起の手数料の表を見ていただきますと、訴えの提起の手数料額と訴訟の目的の価額を対比した表が下の方にあります。例えば、300万円のところを見ますと、2万2,600円というような金額が出てまいります。平均的な手数料の負担水準という目安は、今の資料に基づいているものです。
 このような考え方の案をまとめました趣旨は、訴えの提起の手数料について、その低額化を図る考え方としまして、まず基本としては、やはり憲法で保障されている裁判を受ける権利、それを実質的なものとするというのがこの検討会の基本的な趣旨でありますし、司法制度改革審議会の意見書が裁判所へのアクセスの拡充という意見を述べられた趣旨として、やはり裁判所へのアクセスを拡充していって、憲法の裁判を受ける権利を実質的に保障していく、こういった考え方が重要ではないか、これをまず基本として押さえるべきではないかと思うのですが、訴えの提起の手数料の制度につきましては、そういった裁判を受ける権利を実質的に保障するということを念頭に置きながらも、一方で、その制度が国の制度として運営されていて、一定程度のコストを誰かが負担しなければいけないという制度であるということを念頭に置いて、現時点においてこの意見書でも述べられているように、スライド制による手数料体系が定められているわけです。このスライド制を維持しつつという考え方は、このスライド制という手数料体系の中に含まれている訴訟を利用する人と利用しない人との間の負担の公平のバランス、それから、訴訟以外にも司法、裁判所にかかわる各種の手続を利用される利用者との間の公平、訴訟と各種の手続を利用する方、またそれぞれ各種の手続を利用される方々相互の間の、そういった公平という観点を考えながら、そのバランスを維持しながら手数料の見直しをすべきではないか、このように考えた次第です。したがいまして、裁判を受ける権利を実質的に保障し、アクセスを拡充するという観点からしますと、スライド制を維持しつつ、それを前進させていくという観点から、平均的な手数料の負担水準を超えている、そういったところで手数料を負担している方々の負担というものを下げていくということが、スライド制の考え方の中で手数料の負担を軽減してアクセスを拡充するという、そういう趣旨に最も沿うのではないかと考えた次第です。そのような考え方の中から、今申し上げたような資料の中にあるような平均的な手数料の負担水準というものを念頭に置きながら、それを超える手数料を負担している方々の負担を軽減してはどうかと、このように考えた次第です。ただし、その場合でも、実際に負担している手数料額は、スライド制ですので、その人の訴訟の目的の価額に応じてかなりまだ開きがあります。今申し上げましたように、平均的な手数料の負担水準は2万5,000円ですが、以前から申し上げているように、実際には90万円までの訴額を扱っている簡易裁判所が日本の民事事件の3分の2を取り扱っているというのが現状です。300万円が平均的な手数料の負担水準になっているというのは、これはスライド制の枠の中で、極めて高額の手数料を負担している少数の事例があって、それと簡易裁判所の枠の中で3分の2の方が利用されている、平均的な水準からすると比較的少額の負担水準で訴訟制度を利用されている方がかなり多数の割合ある、このようなことを反映しているものではないかと思います。そうしますと、平均的な手数料を超える負担水準の方々の中にも、極めて大きな手数料を負担されている方と、そうではなくて、平均的なところを少し上回るにとどまる方もおられるわけですので、実際に負担する額がどの程度かというその程度は、やはり引下げを考えるに当たっては考慮せざるを得ないであろう、このように考えた次第です。
 それから、平成4年に実施した手数料の引下げの程度ですが、平成4年の引下げによってどうなったかということについては、お手もとの訴えの提起の手数料の表を見ていただきますと、1,000万円を超えるところは0.4%、1億円を超えるところは0.3%、10億円を超えるところは0.2%に、それぞれなっています。実は、平成4年までは、この300万円を超えるところはすべて0.5%であったわけですので、1,000万円を超え1億円までのところは0.5%から0.4%に0.1%下がっていますが、その上の1億円を超えるところは0.5%から0.3%に0.2%下がっています。さらに、10億円を超えるところについては0.5%から0.2%への引下げですので、半分以下の割合に下がっているということになります。したがいまして、今回新たに手数料の見直しを行うに当たっては、平成4年に手数料が大幅に下がっているところをさらに大幅に引き下げるということはなかなか難しいですし、アクセスという観点から当事者のバランスということも考えますと、そうした手数料の引下げの程度も勘案しながら、手数料体系を考えていくのが適切ではないかと、このように考えた次第です。1番の趣旨については以上です。
 2番につきましては、訴訟の目的の価額が10億円を超える場合の手数料率が現在一律に0.2%とされていることを改め、訴訟の目的の価額が著しく高額の訴訟について、これよりさらに低率の手数料率を定めるというものです。確かに、平成4年の法改正で、300万円を超える手数料率が0.5%とされていたのを0.4%、0.3%、0.2%という新しい手数料体系を設けたわけです。そういう意味で、10億円を超えるところは大幅に引下げを行っておりますので、今回、新たにここを下げるということが必要かどうかということには疑問もおありではないかと思うわけです。しかしながら、平成4年の訴訟の利用のされ方と、最近、高額な訴訟が増えているという実情からすると、平成4年のこの法改正で10億円を超えるという枠組みをつくったときに予想されていた以上に、さらに高額の争いを裁判所で解決してほしいという社会の要請が高まっているのではないか、また、そういった意味では、平成4年の想定の範囲を超えているものではないだろうかと考えられる次第です。そこで、平成4年に改正したという理由だけで、10億円を超える訴訟については一切変えないというような政策をとることが現時点において適切かどうかということは、これは問題があるのではないか、さらに高額な訴訟について、より低い手数料率を定めて、そういった高額な訴訟について裁判所の判断を受けやすい仕組みをつくってはどうかと考えた次第です。
 3番につきましては、平均的な手数料の負担水準より低い手数料については、その手数料体系が定められた後の経済変動等を考慮しつつ、利用者の利用しやすさの観点から手数料体系の簡素化を図るとしているものです。その趣旨は、手数料というのは、先ほど申し上げたように、司法に対する国民のアクセスを保障するということが最も重要なポイントではあろうかと思いますが、やはりその中に、体系がそれ自体として持っている手数料体系の公平、簡素という理念も負担の中には当然含まれているのではないかと考える次第です。「スライド制を維持しつつ」という意見書の中には、そのスライド制の手数料体系の中に含まれている利用者相互の公平や利用者や国民との負担の公平という、そういう配慮があったはずだと思われますので、それが長年の経済変動に伴ってバランスが変わってくるというものにつきましては、そのバランスを調整するというような観点から、負担の公平を図りながら、手数料体系を見直すべきではないだろうか、そういう意味からいきますと、手数料体系が定められたのが昭和46年ないし昭和55年、つまり、それから20年ないし30年は経ているということですので、恐らくその制度の制定当時に考えられていた簡素化の水準や負担のバランスというものから考えますと、現在の手数料体系というのはかなりバランスが変わっているのではないか、そのバランスを調整しながら、利用者の使いやすさ、簡素化という観点も考えながら見直しを行うというのが適切ではないだろうか、このように考えた次第です。
 4番につきましては、手数料体系の簡素化に当たっては、簡易裁判所の少額訴訟事件の訴えの提起の手数料が現在より定額制に近いものに改めるように配慮するという趣旨です。少額訴訟につきましては、意見書では、定額制の導入も含め検討を加えるということになっているわけですが、以前に議論の整理の中でもお示ししたように、少額訴訟の訴えの提起の手数料について、例えば定額制を導入するということになりますと、そもそも日本の訴えの提起の手数料体系がスライド制になっていて、少額訴訟の手数料体系というのをなるべく低くするという、そういう理念がその中に含まれているのではないか、これがスライド制ではなくて定額制になりますと、低い部分の負担は極めて高くなりますが、日本の場合はスライド制をとっていることから、相当程度配慮が、既にその制度の中に仕組まれているのではないかと考えられます。また、少額訴訟制度について定額の手数料を導入した場合には、通常訴訟よりも高くなる場合もあり得るわけです。スライド制でかなり低い額の手数料が定まっているということになりますと、それより高くなるのか、安くなるのかという問題が起こってまいりますし、さらには、今の少額訴訟につきましては、前回の資料の中でも御説明したように、被告が異議を述べれば通常訴訟にいつでも移行できる、被告の方にそういった選択権が与えられているということになりますと、せっかく少額訴訟の手数料体系を別の体系でつくったのに、通常の手続への移行の申述がされたら、そのときの負担というのは、通常訴訟である以上は通常訴訟の手数料体系とは別というわけにはいかないと思われますので、そのときの負担者を誰にするのか、仮に、これを原告が負担するということになれば、移行申述がされただけでまたその差額を負担しなければならないということになりますので、その導入の意義がどの程度あるのかということや、手続を複雑にしてしまうという問題点があるのではないかと思われる次第です。そういう観点からさらに検討しましたところ、3番のところで先ほど申し上げたように、やはりもともと手数料体系というのは、我が国の場合、少額訴訟に配慮されたスライド制をとっているわけですので、その手数料体系が時代の流れに照らして、簡素化という意義、簡素、公平な手数料のその簡素という部分がやや時代に合わなくなっている部分があるのではないか、そこの簡素な部分をさらに時代の流れに合わせて見直しを図ることによって、相当程度、少額訴訟の利用者にとってわかりやすい手数料体系が構築できるのではないかと考えた次第です。そういう意味で、4番の簡易裁判所の少額訴訟事件の訴えの手数料については、3番の簡素化を考えるに当たって、この理念の趣旨を活かしていくような体系をつくるということで考えていってはいかがかと考えた次第です。
 続きまして、2ページの(注)の説明を補足したいと思います。(注1)は、民事調停等の手数料です。実は、この民事調停の手数料につきましては、訴えの提起の手数料の6割ないし4割というような手数料体系が定められておりまして、スライド制をとっています。そのほかに、借地非訟の手数料も同じようになっています。スライド制をとる以上、こちらの方も訴えの提起の手数料の見直しに合わせて、その訴えの提起とのバランスというものは現在のバランスをほぼ維持しながら、わかりやすくするという意味で、簡素化を図るという点でも、また訴えの提起の手数料と同じような形で利用者にわかりやすい、これまでの経済指標の変動に対応した簡素化を図りながら、そういう意味で訴えの提起の手数料と同様に、負担の大きな部分を中心に見直しをしつつ、また負担の少ない部分でも簡素化を図って利用しやすくしてはどうか、このように考えている次第です。
 (注2)の定額制の手数料ですが、参考資料が用意してありますが、参考資料の2枚目や3枚目で定額制の手数料について、「民事訴訟等に関する申立てのうち、手数料額が定額のもの」という資料を御覧いただきますと、例えば、中間的、付随的申立て、これは具体的には、許可代理の申立てや忌避の申立て、あるいは保全異議の申立て、不動産の引渡命令の申立てなどの申立てがありますが、このような申立てについては、手数料額が300円と定められています。それから、「裁判を求める申立てで、基本となる手続が開始されるもの」、具体的には、例えば、非訟事件手続法の規定により裁判を求める申立てや甲類事項の家事審判の申立て、抗告の提起などの申立てがありますが、こういった申立てについては、手数料額が600円と定められています。それから、900 円の手数料のところには、乙類事項の家事審判の申立て、家事調停の申立て、準再審の申立てなどが定められておりまして、1,500円のところは、よく利用されるものでは和解の申立て、保全命令の申立てなどがあり、3,000円の手数料になりますと、不動産の強制競売の申立てなどがあります。また、債権者申立ての破産や民事再生、会社更生、特別清算といった倒産手続については1万円の手数料が定められています。このような体系が定められておりまして、かねて御説明しましたように、この体系が定められたのは昭和55年で、既に20年以上が経過しています。したがいまして、先ほど申し上げた負担の公平という観点から考えまして、この定額制の手数料については、これが定められた昭和55年以降の経済指標の動向等を勘案し、各種の手続における利用者相互間の負担の公平等を図る観点から、一定程度の引上げを行うものとすることはどうかとしているものです。
 (注3)ですが、手数料の納付方法については、現在、収入印紙のみで納付することができるとされているものについて、例えば現金でも納付することができるという形で、利用者の選択を広げることにしてはどうかということです。(注3)については、さらに具体的に今後詰めていきたいと思っておりますので、引き続き検討するものとすることはどうかとしております。
 (注4)については、「現在郵便切手によって納められている書類の送達費用について、当事者の利便性を向上させるため、訴え提起時に手数料として納付する制度を導入することについて、引き続き検討するものとすることはどうか」ということです。これは、先ほども御説明したように、当事者としては、送達の費用を郵便切手で納付しなければならないことになっています。その場合、足りなくなって何度も持って来ていただいたりするのは大変なものですから、郵便切手がどれだけ使われるかということをはあらかじめ予測して、ある程度は予納していただくという方法をとっています。そうしますと、企業のように何度も使う人にとってはいいのでしょうが、普通の当事者にとっては、郵便切手をたくさん買った上で、しかも訴訟が終わったときに郵便切手が返ってきても、郵便切手を再利用できるとは限りませんから、それ自体が負担になってしまうのではないかという観点があります。ですから、返ってくることまで前提にして、ある程度、余裕を持って郵便切手を納付するという形をとるよりは、手数料という形で別途納付してしまって、ある程度までは対応してもらえるということにした方が、デコボコはあるかもしれません、場合によっては、すぐに送達できるような場合ですと負担が増えてしまうということもあり得るのかもしれませんし、あるいは、何度か手続が必要な場合には負担が減るということもあるのかもしれませんが、そこはある程度は許容できる範囲というのがあるのではないか、そういったような制度設計をしながら、さらに検討してはどうかと考えた次第です。この点につきましては、(注4)のところは、そういった意味でどこまでが許容される範囲で、あるいは何度も送達しなければいけないような場合も生じる、住所がわからなくてなかなか送達ができないというような場合にどうしたらいいかということなどもありますので、さらにこの点についての詳細な制度設計は、検討会等でも必要に応じてお願いをしたいとなお考えている次第です。
 以上です。

□ 手数料の見直しの方はいかがでしょうか。御意見を賜ればと思います。

○ 具体的な個別のテーマに入る前に、ちょっと考え方の問題なんですが、御説明をお伺いしておりますと、またそれは一般的な考え方の中にもそのような立場の方が多いと思うんですが、受益者負担であって、一般国民にそれを展開することについての問題点という御指摘があるわけですけれども、これについては確かに一面ではそれはそのとおりであるということもありますけれども、反面、裁判を起こすということが回り回って社会的なといいましょうか、判例として、規範として活かされていくという面もありますので、起こした人の受益ということよりも、国民全体が受ける益ということも多々あり得ることだと思うんですね。もともと、個人的に何か問題が起こったからといって、それを「それじゃ、行って取り返してくる」といったような原始的な、個人が社会の中で個別の問題を解決するということを避けるための裁判制度という、私的制裁といったらいいでしょうか、そういうものを避けるための制度でもありますし、そういうことを考えますと、また訴額に応じてスライドするといこうことが果たして妥当なのかどうかということも一方ではあると思われるんですね。確かに、いろいろなデータの中でも、例えば、簡易裁判所と地方裁判所とを比べた場合に、訴額が高いものについては、法的にもいろいろな問題があったり、手続的にも慎重を期さなければならない問題があるというお話もお伺いしておりますから、そういう意味での一定限度の関連性はあると思うんですが、必ずしも、例えば不動産の価額などを考えてみますと、不動産トラブルなどは、訴額が大きいからといって、内容が額の低いものと高いものとあまり違わないものもあるような気がいたすんですね、訴訟の内容という点では。したがいまして、この問題を考えるに当たって、受益者負担の原則で、あとは訴額に応じてどんどん段階的に上げていこうという、もちろん審議会の答申という話も承っておりますから、理解しておりますけれども、なじまない面が私はあると実は考えております。ですので、御提案そのものに全面的に反対するというところまで確たる根拠はないんですが、考え方としては、今申し上げましたようなことを十分意識していかないと、間違った数値の設定ということになるのではないかということをやや懸念しております。まずは基本的な考え方としては、そんなことをちょっと申し上げさせていただきたいと思っておりました。

○ 今の御意見ですが、スライド制自体を全く否定されるという御趣旨ではありませんですね。つまり、スライド制というのは、一つの基準として非常に明確な基準だろうと思いますし、これをもし何らかの形で変える、典型的には定額制ですね、そういうようなものに変えるとか、そういうことをもしやりはじめると、それは本当に一部かなり高い負担をせざるを得ない人も出てくるということもあるわけですね。これは、ここでも問題になっておりますし、それは非常に限られた範囲で、今はそういう制度になっているわけですが、もし今のようなスライド制以外のもの、仮に定額制とかそういうものをとるということになると、相当に制度設計も難しくなりますし、もともとの司法制度改革審議会の意見書の趣旨とも全く反するようなことにもなりかねないものですから、そこのところは委員の真意をもう少し教えていただければということでちょっと発言させていただきました。

○ 確かに、検討しなければならない与えられた命題というのがありますから、それを外れて、議論のための議論ということになることは避けたいと思っております。
ただ、スライド制にしていきますと、例えば、特にこれからの数値の細かいところについても考えていかなければならない問題だと思いますが、法律扶助制度の見直しということも一方で必要なことではありますけれども、お金がないために、例えば訴額をうんと下げていくという可能性も、医療過誤などの問題では出てくることも考えられますし、また交通事故等でも、つまり自分のあるいは身内の受けた損害を裁判制度、これが最初だけかかるわけではなくて、また簡易裁判所の少額訴訟などは別としまして、控訴していった場合にはまたそれにお金がかかってくるわけですね。その他のもちろん訴訟代理をお願いした弁護士さんとか、いろいろな方にお願いした場合には、そういう費用もかかってくるわけですから、そういう意味では、ハードルを低くしてアクセスしやすくするという視点からは、極端なスライド制というのは十分考えていかないと、アクセスを推進するという目的からずれてしまうところで結論が出なければいいがという、そういうことなんです。

○ 私、誤解していたかもしれません。「極端なスライド制は」という御趣旨で、高額になればおっしゃることは当然あり得ると思います。

● この提案の私どもの趣旨は、まさにおっしゃるとおり、スライド制を緩和していく方向で見直してはどうかということをあらわしたつもりです。ただ、基本的にスライド制を維持しつつということですし、先ほど平均提訴手数料のお話を申し上げたように、現に特定の方々の負担でかなりの部分が今賄われているところが実際ありますので、それを大幅に見直してしまうと、極めて大きな財源が必要になってまいりまして、今度は、納税者の御理解が得られるのかという問題はもちろんあります。しかし、おっしゃるとおり、アクセスという意味で、なるべく多くの方が裁判所の判断を受けたいという環境づくりをしていくために、今の提訴手数料の枠組みの中で、それを実現していくためにはどうしたらいいのかということを考えますと、今、平均提訴手数料のようなところで定額化してしまうと、それより下の事件がほとんどですから、大変な問題になるだろうと。そうであるとすれば、今委員のおっしゃっておられた、まさにもっと本当なら損害はあるはずではないかと思っている人がなるべくそれを主張しやすくするために、スライド制を少しでも緩和していくという方向を考えているというのがこの案の趣旨でございますので、基本的な考え方は、委員の御指摘を踏まえているつもりです。

○ 基本的に、問題になると言うつもりもないんですけれども、あまりにも抽象的で私もイメージが湧かないんですが、例えば1のところも、300万円を大体目安にしてというようにしてありますけれども、確かに最多利用帯ではないわけですね。という意味で、それが目安でいいのかなという、若干の疑問はあります。いずれにしても、司法制度改革審議会の意見書の方が「必要な範囲において低額化」と言っているので、議論もあまりここら辺されていないので、抽象的なのかもしれませんけれども、300万円目安というのを具体的にやるときには、もう少し緻密に考えた方がいいのではないかと思います。それから、3のところですが、それより低い手数料の場合ですね。300万円より低い場合に、これは低額、高額も書かないで「簡素化を図る」となっているので、この簡素化の形にかなりよると思いますけれども、多分、刻みの問題で簡素化するのかなと思いますが、結局、1と3は同じバランスの問題ですが、これはちょっと抽象的すぎてわかりにくいんですが、あまりきっちりと300万円というような形でなく、具体的に構想を練るときに、若干の問題点がわかれば、それはきちんと対応した方がいいというのと、簡素化は、刻みの問題だけで今考えているのでしょうか。

● 簡素化につきましては、手数料率の体系自体が、例えば300万円までをとっても今は3種類ありますので、そういった手数料率の体系自体も簡素化すべきではないかと考えております。

○ 手数料額の印紙代の平均の数値というところから、この300万円という数字が提案されたんでしょうか。ここにあります訴訟の目的の価額300万円というこの数字の出てきた根拠といいましょうか、それはどうなっているのでしょうか。

● それはおっしゃるとおりでして、スライド制を維持しつつ低額化を図る、しかも、司法制度改革審議会の意見書にありますように、「案件によってはかなり高額になることもあることから」という御指摘があることを考えますと、スライド制の手数料というのは、ほぼ同じような訴訟手続を利用しながらも、訴額によって負担する手数料の額が変わることになりますので、比較的、訴訟の利用者の中でも負担を多くしている方、そういった方々の負担を軽減してはどうかと考えた次第です。したがいまして、300万円というところに中心があるというよりは、平均的な手数料の負担水準というのを目安として、そこから上の方については下がるように手数料体系を見直していきたいと考えている次第です。

□ 大体、統計では2万5,000 円くらい、年によってちょっと上がったり下がったりで、さっきの数字で大体2万5,000 円プラスマイナスですね。年によっては3万円という年もあったようですが。

○ 例えば、こういうような負担額を考えていく場合に、訴訟代理をお願いしてする額という、平均的にお願いしていく最低額といったらいいでしょうか。本人訴訟が簡易裁判所の場合にはかなり多いわけでございますね。そうしますと、地方裁判所になってくると、拝見していると双方が弁護士さんにお願いしている事件も増えてまいりまして、必ずしも金額によってという、確かに高額のものになればそれは顕著にあらわれてくるのですが、地方裁判所の例などを拝見していると、高額だから訴訟代理をお願いしているとも限らないような傾向もあるわけです。そういう意味で、私、思いますに、法人とか企業同士で裁判を起こされるような場合と、一般の人が起こす場合とは、やはりこの問題を考える場合にも区別しなければいけないのではないかという気がするわけですが、個人が裁判を起こして訴訟代理のプロの方たちにお願いするということになってくれば、その印紙代のほかにそのお金もかかってくるという、その負担増といいましょうか、負担がそこにあるわけですね。ですから、本人訴訟が行われている範囲内はそのお金はかかりませんが、でも、それが一審、二審というふうに上にあがっていけばそれだけお金もかかってくるわけなので、単純には言われないことだと思いますけれども、負担額としては比較的少額にとどまっているという解釈も成り立つのかもしれないのですが、そういうことからトータルで一人の人がどれくらい負担をするべきかという視点も、妥当な数字が申し上げられなくて心苦しいんですが、そういう視点も必要ではないかということなんですが、いかがでしょうか。それから、平均的なといいますよりも、簡易裁判所等で圧倒的多数を占めている、また消費者問題などでも圧倒的多数を占めているこの300万円までいかない100万円以下ですね。その人たちが、例えばサラ金等の貸金関係で利用している人たちは急増してきているわけですが、その他の一般的な問題で、暮らしにかかわる問題を裁判所に持ち込もうと思った場合、消費者問題を含めてそういうことを考えていった場合には、300万円というのはちょっと高いんですね、訴訟の価額といたしましては。だから、平均的なというのを、確かに先ほど御提示いただいた数字からはそれが平均の数字になるようなことは理解できるんですが、利用者数の人数で見た場合の分布がどうなっているかというような視点も加えるべきではないかということを考えるわけですが。

□ 法人と、法律家の言葉で言うと自然人とが違うというのは一つの観点でしょうね。法人といっても、中小企業や個人に近いものから大会社まであるわけですから、一概には言えないでしょうが。普通の人でも、交通事故や不動産関係でも、5,000万とか1億円という訴訟を起こすことがそう珍しくはない。今ですと、手数料は1億円だと41万円くらいになるんですね。5,000万だと21万円くらい、それをどう考えるかというのが一方にありますね。それから、委員が先ほど御指摘になったのは、例えば50万円ですと4,600円。申立ての手数料は最終的には国庫ではなくて当事者が負担するわけですが、勝った方は返ってきますから、これからは確定手続を簡単にしますから、より返ってきやすくなる。そうすると、理屈だけからいけば、一時立替金なんですね、原告のアクセスからいえば。勝つとは限りませんから、必ず返ってくるとは限りませんが。それがどれくらいかということで、50万円を回収したいというときに、5,000円払うなら訴訟をあきらめるとまではどうかなという気はするんですけどね。しかし、1億円で40万円と言われるとどうかなという気はしますね。ただ、訴訟法上は、1億円のうちとりあえず1,000万円とか、そういう内金で請求することも工夫としてはあるわけです。弁護士さんに聞けばいろいろ工夫してくれるんでしょう。全部をいいようにというのは財政というか、公平という負担からいって無理だとすると、今回どちらの方にウエートを置くかですね。
 他の方もいろいろと御意見をお願いします。先ほどのお話だと、弁護士報酬の問題が少し出てきて、これは一応別だとお考えいただくとすると、50万円で4,600円、これを一時立て替える。理屈だけからいくと、本当に生活が苦しい方の場合には、訴訟救助という制度があってとりあえず猶予になりますが、そこまで考えると複雑になりますからそれは考えないとして。

○ 50万円で4,600円か高いかどうかという感覚は、個人差が多分あると思うんですね。正当性を主張したい人が、それが後で返ってくればまた別かもしれませんけれども、失った上にまた失うということに、一時的にかもしれませんけれども、そういうことになりますね。ただ、私、少額の問題といえども細かく考えていくべきだろうと思うんですが、むしろ高額のところで、今回の御提案の中に、10億円を超える場合の手数料率が0.2%とされていることを改めるとありますね。10億円といいますのは、私ども一般の生活者の中ではあまり縁のない数字なんですね。ビジネスの上ではそれは十分あり得る数字だと思いますが。そうしますと、例えば消費者の問題で、そういう立場でもしものを申し上げるとすれば、団体訴権が今認められているわけではないですから、昨今のようないろいろな不祥事が続いておりますと、団体訴権があれば、あるいは10億円というような額も、ナショナルブランドとか広範囲にわたっての大きな事業を行われている方についての訴訟であればあり得るのかもしれませんが、あまり現実的ではないんですね。ビジネス上のトラブルであった場合には、それは皆さんポケットマネーからお出しになるわけではないですね。それは個人経営の方はそのお苦しみもおありになるでしょうし、高くてもそれは個人と違うんだからいくらでもいいですという、そんな無責任なことを申し上げるつもりもないんですが、ただビジネス上のような訴訟経費というのは、大きなビジネスをやっておられる方々はそういうリスクも十分考えられてやっておられると思いますので、むしろこういう高額のところを低くするよりも、先ほど座長が言われました1億円とか、5,000万円とか、一人の自然人でもといいましょうか、遭遇し得る、命の問題などにかかわる訴額というのが抑えられるようなことにはならないような、もう少し、例えば平均的な、これは男性も女性もいますから、例えばの話ですが、男女の賃金差が大分ありまして、ついこの間も国税庁の発表がありまして、拝見しますとかなり差があるようなんですが、女性の1か月の平均給与が23万円くらいなんですね。男性の場合はもっと高いんですけれども、女性が1億円の訴訟を起こすというようなことを考えた場合、それは平均的な数値でまた難しいところですが、ということになりますと、41万円ですと1か月分の給与を相当上回っておりますね。そういうこともそういう場合には考慮していただく必要があるのではないかということでございます。なかなか数字は難しいんですけど。

● 若干補足させていただきますと、資料2の1では、「平成4年に実施した手数料の引下げの程度を考慮しつつ」ということですので、1億円を超えるところは平成4年にかなり大幅に下がっていることから、そこに重点を置いて引下げをするという趣旨ではないと申し上げたわけです。委員が御指摘のとおり、引下げは行われていますが、1,000万円を超えて1億円までのところは0.1%しか下がっておりませんので、こういったところを念頭に置いて、ここを中心に引下げをしていきたいというのが基本的な考え方です。それから、10億円を超えるところは当然0.1%になるという趣旨ではなく、10億円をさらに超えるところについて、もう一つ低い手数料率を設けてはどうかと申し上げているわけで、したがって、0.3%や0.2%というように大幅に引き下げたところを下げるということではなくて、さらにその上にもう一つ段階をつくるのがいいのではないかということです。また、団体訴権の話が出ましたが、必ずしも団体訴権に限らず、消費者の場合で難しい事件になると集団訴訟になると思いますが、集団訴訟になった場合については、その集団の総額を前提に手数料を算定しますので、そういった場合についても、スライドが緩和されると集団訴訟が起こしやすくなると、私どもとしては考えている次第です。

○ 手数料の見直しは、本日、先ほどの訴訟費用額確定手続と同じように結論を出すということですね。

□ まだ、もう一回くらいやります。

● 大方の議論は今日詰めておいていただいて、次回もまた御意見があればうかがいたいと考えています。

○ 私はこの考え方で、先ほどの(注)も含めて、(注1)から(注4)までありますけれども、妥当だろうと思っているわけですが、委員から本件についていろいろと御意見がおありのようですし、私自身もまだ咀しゃくできていないところがあるのですが、どういうふうにまとめていけばいいかなと。座長がどういうふうにおまとめになるのかということでございますけれども、こういう議論というのは、最終的に多数決か何かで決めることになるのですか。それとも大体の意見を咀しゃくしながら、座長が御判断になるのか。

□ ここは、さっきもちょっと申しましたけれども、細かく本当の条文のような形にして、これでどうかという審議会ではないと思っています。そういう審議会であれば、最終的には多数決で決することもあるのでしょう。しかし、ここは検討会で、基本的な方向について司法制度改革推進本部に対して視点を提供するということですから、多数決ということにはならないし、したくもないと思っています。大体、こんな意見ですねと。ただ、一つにまとまるとは限りませんから、こういうことが多数の意見ですけれども、有力な見解としてこういうのもありましたと。その点も考慮しつつ、多数意見はこうです、それで司法制度改革推進本部はさらにそれを受けて具体化の作業をお願いしますと、こんな感じだろうと思います。私は、座長としてそういうように思っております。

○ (注2)の方ですが、手数料の問題。前回、はじめて出てきたわけですが、確かに、これをみると何百円の世界で、高いとは私も言えないのですが、ただごちゃ混ぜになって、ビジネス的に別に普通にしてもいいようなものが300円だったり、それこそ内部の不公正がこれを見ても確かにあるんです。私も考えているのは、家事調停、家事審判の部類だけはあまり値上げしてほしくないと。特に離婚にかかわるものは、26万件も離婚がある中で、家庭裁判所に持ってくるのはほんとに微々たるもので、やはり司法アクセス、そのことが問題かどうかは別にしても、司法アクセスをしやすくするためには、やはり家庭裁判所関係の事案については手数料を安くしてほしいと思っています。

□ 例えば離婚でいきますと、調停でいきますから900円。まあ、900円でいいかどうかはともかく、この辺はそう高くしてはいけない。逆に、例えば非訟事件が600円というのはこれはどうかなと。検査役選任なんていうのはこれは大変大きな事件になり得るわけですが、600円というのはどうかなと。自己破産が600円というのは、この辺が悩むところですね。お金がないから破産しているわけですが、かといってただにしてしまうのも変ですから、幾らくらいかと。債権者申立ての破産で1万円というのはこれはどうでしょうか。会社更生手続を申し立てるとき1万円というのはこれは安いなと思いますが、でも幾らになればいいのかというのはちょっとわかりませんが。

○ もともと手数料の話、一部、利用者が負担するという発想からすれば、経済指標等に連動して、本来は一律に上がったっておかしくないところを、そうはいっても、なるべく司法へのアクセスを容易にしようというところから低額化という話が出ているわけで、もう一つの「定額」という定まった額というのも、きっとそういう意味では利用しやすさ、わかりやすさという観点からこういう形になっているのがあるだろうと思うんですね。ただ、いずれにしても、ほかの高額の部分、もしくは先ほど委員のおっしゃったような1億円とかそういうところについてはどうしてもこれは下げざるを得ないのではないかと思っておりますが、一方で、こういう低額で、これは昭和55年以降ですか、20年も見直しがされていないようなところは、いくらアクセスを容易にするといっても、ここは少し経済指標等も含め、また利用者と非利用者の負担の公平とか、そういうことも考え、またわかりやすさも考えて、金額的にわかりやすいところで少し上げるという、こういうことも考えざるを得ない。
それは、委員の御指摘のとおり、訴えの提起の手数料を下げるということとの見合いで当然あり得べきところだと思っております。
 (注2)の考え方も、これがいつまで(注)でいくのか、いつ本文になるのかわかりませんが、私は以前にも申し上げましたように、私はこれでよろしいかということで意見を申し上げましたし、再度そういう意見を申し上げます。ただ、今、委員がおっしゃいました家事調停、家事審判、このあたりをあまり高額に引き上げられるということについては、恐らく抵抗感もあるのだろうと思いますし、そこは少し御配慮いただければと思っています。

□ 基本が300円で、その倍、倍となっているんですね。1万円はちょっと違いますが。300円だと、東京駅からどこまで行きますかね。あまり行けないのかもしれません。これは時代で、古い時代を背景にしていて、もっとこまめに変えておくべきだったんでしょうけれども、いろいろな事情があってそうはいかなかったでしょうね。ざるそば一杯の値段とか、銭湯の値段とか何かというのはいろいろなところで指標になりますが、300円というのは、もうざるそばは食べられませんが。訴訟の手数料の最低額も500円。これだと安ければざるそばが食べられるかもしれませんが、これも私の感覚だと少し刻みが小さいなという気はしますが。
  では、少し項目ごとに、今日の御議論を伺いながら確認させていただきます。 資料2の本文の1からいきます。平均的な手数料の負担水準、手数料2万5,000円を目安として、これは委員から御指摘がございましたし、皆さまも御異論なかったと思いますが、あくまでも目安であって、そんなにリジットにこれを考えるわけではないということなんですが、大体の目安として、これを超える手数料については、司法制度改革審議会の意見書にあるように一定の引下げを行う。ただし、平成4年に引き下げている部分もあるし、全体の水準もあるからそれを考慮するけれども、ここは大体一定程度の引下げを行う。ここはよろしいでしょうか。

(各委員了承)

□ 次に、これはまだあまり御議論がなかったもしれませんが、10億円を超える場合の手数料率が現在一律に0.2%とされていることを改め、訴訟の目的の価額が著しく高額の訴訟については、これよりさらに低率の手数料率を定める。先ほどの参考資料の例でいきますと、一番大きいのは500億円の訴訟だと1億円ですか。500億円だと大変な金額ですけれども、昨今の知的財産関係などでは500億円くらい割といくわけですが、1億円。大きな企業ならシュリンクしないかもしれませんが、1億円というと相当な金額ですね。ここが100億円、1,000億円ならどうかという、もっと数字があればそういう例を出しますが、先ほど事務局からの御説明のように、10億円を低くするということではなくて、どこかもっと10億円を超えるようなところでもう一段階刻みをつくるのか、そんなことも含めながら「極めて著しく高額の訴訟については今よりは低くする」。ここはいかがでしょうか。あまりここは自然人の感覚ではなくて、法人の感覚なのでしょうが。はい、どうぞ。

○ 今、日本では、建設業は大きな会社があるし、とても大きな企業がたくさんあるものですから、設計をするとかということに大きな責任がないのですけれども、しかし保険には入るんですね。アメリカ式にだんだんなってくると、つくる者よりも設計した者の方が責任がつらくなるんですね。そうすると、例えば、私のような小さな事務所でも、コンペに入ってしまえば、200億円、300億円扱って、それをもし訴えられるととても大変なことになるわけです。ほかにも土木的なものとかは、そんなに大きな事務所ではなくて、何か新しい形態が必要でとか、そういうことにあまり大きくないグループもかかわっているんですね。エンジニアのグループなんか、すごく小さいんですね。コンピュータがある時代ですから、どんなに複雑な計算もできるので、グループとしては、会社としては小さいんですね。しかし、一本の橋を計算するということもあるわけですね。責任はそこにやってくるようになっていて、施工者だけの問題ではなくなってきているんですね。そういうようなことやら、私の身の回りのことを考えると、億の単位を扱って、10億円を超す単位を扱うんですね。その場合にもう大企業だけではないということがあるので、10億円を超えた先ももう少し細かく、0.1%とか、何とかなっていく方がいいという感じはありますね。もう、そういう知的事業が大企業がやることばかりではないんですね、時代的に。シミュレーションがいっぱいコンピュータでできるので、とても大きな仕事も小さなグループで扱い出しているんですね。ですから、これは、私はだんだん大きな仕事をやらなくなると思いますけれども、しかし、日本はそうしたグループがやるような時代を迎えているところがあるので、こういうものは大事なことだなと私は思いまして、是非これはやっていってほしいと。

□ 0.2 %をもう少し下げるということでしょうか。

○ 0.2%を下げるというか、その先を。

□ まあ、幾らになるかわかりませんがランクをつけてと。今、委員から強く支持するという御意見がございました。今日のまとめ方としては、2のところも皆さん御賛同ということでよろしいでしょうか。

(各委員了承)

□ それでは、3に入ります。これはあくまで目安ですが、現在の平均的な2万5,000 円程度より低い手数料については、その後の経済変動などを考慮しつつ、利用者の利用しやすさの観点から手数料体系の簡素化を図る。「簡素化を図る。そして額の方は経済変動を考慮しつつ」というあたりでどうかということですが。

○ 経済変動というのはちゃんと読める国なんですか。

□ いろいろな指標を出してもらいました。消費者物価指数とかGDPがどうなったとか、そういうものです。簡易裁判所の事物管轄のところでも使えるような資料ですね。ここは仮の数字ですが、300万円までのところは簡素化というところに力点がありまして、1と比較しますと引下げと明示していませんから、下げる方よりも簡素化して、経済指標に合わせて、時代に合わせてというあたりというわけですが、これで大体よろしいでしょうか。こういう方向で考えるということです。

○ 簡素化を図るというのは、言っている意味が両方に読めるのですが、趣旨は引上げ方向ですね。

○ それはちょっと問題ですよ。

□ 趣旨としては簡素化ですね。

● はい。もちろん手数料体系を変えますと、率が上がるところもあれば下がるところも出るかもしれません。でも、原則として、最低のところの手数料率は1%とされていますから、これを上げたりするということは考えておりません。ですから、300万円までの範囲内でデコボコはあるかもしれませんが、そのデコボコも経済変動の範囲内で説明できるデコボコですし、低くなるところも出てくるということで、全体としては簡素化と評価していただける範囲内で見直しを図るということです。

○ 確かに、刻みが細かすぎてわかりにくいという煩雑さというのはございますので、それは基本的には賛成ですけれども、利用度の高いところが、これから暮らしの問題、貸金以外のいろいろな問題が持ち込まれるような可能性を考えつつ、そちらの100万円以内のあたりのところであまり値上げにならないような方向を、むしろ値下げになるような、そういう考え方をしていただければと思いますが。

○ そのことは4番とも絡まるんですね。

○ 今委員がおっしゃっているのは、例えばクレサラ関係で、消費者がクレサラを相手に訴えるときの手数料を下げるべきだからと。そういうことはあるんですか。

○ いえいえ、消費者がクレサラを訴えるということではなくて、簡易裁判所が今取り扱っている事件がほとんどクレサラ事件ですね。

○ そうですね。それで、訴えるのは、クレサラが訴えることが多いですね。

○ そうですね。

○ クレサラの会社が納めるべき手数料をもっと下げてあげるべきだと、こういうことじゃないんでしょう、おっしゃっているのは。どうせ負けてしまうので、自分の負担になってしまうから、もっと下げてくれと。こういう御主張になるんですけど。

○ 結果的には、今、委員のおっしゃっておられることは、私の意図していることがそういう結果を招くという御指摘だと思いますが。ですから、非常に難しいんですね。クレサラの事業者の問題は大変大きな問題だと思っているものですから、はっきり申しまして、彼らを利することはしてはならないし、それにまた借りる方も借りる方なんですけど、その問題をこれ以上悪化させたくないという趣旨からいいますと、クレサラの方たちを優遇することにはならないように。ですから、中で分けるというのが可能ならば一番いいんですけどね。こういう趣旨の訴訟に関してはというような色分けがこれから、例えば行政訴訟ですとか、環境問題だとか、多様な社会提案的なものに関する場合には、印紙代はもうサービスしちゃうとか、そういう方向づけというのも一つの選択じゃないかと実は一方では思っておりまして、そういう思いがあるんですが、現実的な課題を解決していくというときに、その問題が道が分かれるような形で分類が可能でない場合には、慎重であらなくてはいけないわけですね。その辺ですね。非常に難しいんですね。

○ 今の実態がクレサラばかりだというのが本来の目的ではないわけですから、一般市民が本当に気楽に100万円程度までの問題について、気楽に裁判にアクセスできるようにということで、もっとパイの拡大ということを考えるということだろうと思います。そういう意味からいうと、今の簡易裁判所の事案くらいの部分について、あまり上げない方がいいだろうと思います。そういう意味では、刻みによってすごく上がる部分と下がる部分と出てくるのではないかと思って、その刻みというのが、具体的にはかなりきちんとやらないといけないだろうと思っています。

□ 先ほど事務局から、1%を上げるなんていうことは考えていないということでした。委員の御意見は御意見として承りましたが、他の委員の御発言も受けつつ、言葉としては、資料2にある3のような形、簡素化、経済の変動は考えるということですね。そのような方向性でよろしいでしょうか。

(各委員了承)

□ 今、委員からも御発言がありました4が少額訴訟ですね。簡易裁判所の少額訴訟の訴えの提起の手数料が現在よりも定まった額に近いものに改められるよう配慮するということですね。

○ 前回、私が間違ったことを言いましたが、少額訴訟はどのくらいが相場かというのですが、今、アメリカでも50〜60万が相場のようですね。私は大分古い感覚で、申しわけありませんでした。

○ 定額制というのはどういうものですか。

□ 司法制度改革審議会の意見書では「定額制を含めて検討せよ」ということでしたので、例えば、アメリカならば少額訴訟という類型なら、一律に10ドルとか何とかという金額になっているようですが。しかし、先ほどの事務局の御説明を含めてこの資料2の4を見ますと、そういう非常にラディカルな定まった額に変えるわけではない。日本はスライド制が基本ですから。ただし、3のことをやったりしていくと、そんなに上と下で違いがないようなものになっていくであろうというように配慮するということですね。そのような方向性でよろしいでしょうか。

(各委員了承)

□ 資料2の2ページ目の(注1)は、民事調停等のスライド制の手数料については、訴えの提起の手数料の見直しに合わせる、これもよろしいですね。

(各委員了承)

□ (注2)が、これが先ほど御意見を幾つか賜ったものですが、定まった額のもの、家事調停が900円でしたか、こういうものについても経済指標の動向を勘案し、そして、また利用者相互からの負担の公平を図る観点から、値上げはやむを得ないだろうと。大昔の300円、600円、900円ということではないだろうけれども、先ほど御指摘いただいたのは、家事調停等の家事関係は少し特別の配慮が必要だという留保はつきますが、(注2) も、大体方向性としてはよろしいでしょうか。

(各委員了承)

□ (注3)は既に御議論いただきましたが、現在、手数料を収入印紙で貼る。しかも収入印紙は最高10万円しかないということですから、金額が大きくなりますと、貼るだけで大変な手間がかかるわけですが、これは合理化を図る。これは前にも御議論がされておりますが、大きな方向としてこれでよろしいですね。

(各委員了承)

□ (注4)は、現在、郵便切手そのものを納めておりまして、また郵便切手の種類、80円切手何枚、270円何枚とかなっていると思います。そして、最近あるかどうか知りませんが、10年くらい前の話ですと、10円切手が返ってくるという話なんですね。10円切手が返ってきても、今何を使うかということになるわけでして、10円を取りにいくためにいくらか交通費がかかるということもありますので、この辺は合理化したいということですが、これも既に多少御議論いただいておりますが、今日この方向性こついても確認させていただいてよろしいですか。

(各委員了承)

□ ありがとうございました。それでは、先ほど委員からもございましたが、もう一度機会を設けて、今日もいろいろ御議論いただきましたので、それを踏まえて次回の検討会で伺うということになります。

(3) 簡易裁判所の管轄拡大について

□ ちょっと時間が迫っておりますが、もう一つ、今日は大きな議題として、簡易裁判所の事物管轄の拡大についてということがあります。これは資料6で、少し今までと変わったのでしょうか。この資料6の説明を事務局にお願いいたします。

● 本日、この資料6「簡易裁判所の機能の充実及び管轄拡大に関してこれまでの検討過程であらわれた主な論点」、これをまとめました趣旨は、これまでの最高裁判所、それから日本弁護士連合会、日本司法書士会連合会からの意見陳述、それを踏まえた委員の意見交換を通じまして、このような論点の指摘があったのではないかと事務局の方で考えましたところをまとめたものですが、次回御検討いただくための準備のために、本日御確認をお願いしたいというのが基本です。
 改めて御説明いたしますと、1番のところは、簡易裁判所の機能を司法制度全体の中でどのように位置付けて考えるべきかという趣旨です。また、これとの関連で、簡易裁判所の設置及び組織の特質、簡易な手続により迅速に紛争解決するものとする簡易裁判所の手続の特色をどのように考えるかという問題点、このような御指摘があったものと考えています。
 2番目ですが、簡易裁判所と地方裁判所の機能分担のあり方についてどのように考えるべきか。簡易裁判所と地方裁判所の民事訴訟第一審の管轄を、事件の経済的利益、つまり訴訟の目的の価額、訴額を基準に決定する仕組みをどう考えるか。これとの関連で、一部の民事訴訟の管轄を地方裁判所と簡易裁判所に競合させることについてはどう考えるか。このような御指摘、論点についての意見交換があったと考えています。
 3番目ですが、経済指標の動向を考慮するに当たって、各種経済指標の上昇率が鈍化している現在の状況をどのように考えるべきか。経済指標や国民生活の変化の考慮と簡易裁判所の機能や地方裁判所との機能分担の実情等に対する考慮をどのように総合して考えるべきか。このような御指摘があったと考えています。
 4番目ですが、管轄を拡大することによって生ずる簡易裁判所が取り扱う事件の量的、質的な変化が簡易裁判所の現状に対して与える影響とこれに対する対応をどのように考えるかということです。
 5番目ですが、これからの経済社会や生活の中で、司法の果たすべき役割が増えるという観点及び国民の司法へのアクセスを拡充するという視点からはどう考えるべきか。また、司法書士に簡易裁判所における訴訟代理権が付与されたことをどのように考えるか。このような問題点があったと考えています。
 それから、6番目ですが、訴額を基準とした機能分担だけではなく、国民の身近に生ずる事件であって、簡易裁判所が担うにふさわしいものがあるかどうか。簡易裁判所、地方裁判所、家庭裁判所の全般的機能のあり方という、広い観点からの検討が必要ではないかという点についてどのように考えるか。このような御指摘もあったと考えています。
 ほぼこのような論点であったというのが事務局の認識ですが、間違いがないかどうか、御確認をお願いしたいと思います。

□ 私どもが討論していたことをこのようにまとめていただいたわけですが、文章になってみるとここはどういうことかという御議論もあろうかと思いますので。いかかでしょうか。

○ 簡易裁判所の地域的な問題ですね。地域による設置の状況の格差がかなりあるという御指摘を委員からいただきましたけれども、そういうような問題はどこに入っているのでしょうか。

● 1番に「簡易裁判所の設置及び組織の特質」とありますが、そこで問題点を提示したと考えています。

○ 日本の裁判所組織のモデルとなったのは、最初フランスで、後からドイツだったと思いますが、ドイツは家庭裁判所の機能を簡易裁判所のもとの裁判所である区裁判所というところが担っておりまして、つまり、非常に小都市でも裁判所があるということです。したがいまして、私は家事事件のかなりの部分を、かなりといいますか、一定の事件に限っては簡易裁判所に移すというものもここで少し議論してはどうかなという気がしております。家庭裁判所は、家庭裁判所調査官という非常に専門的な知識を持って家事事件の妥当な解決を図るために活動しておられる方がおられまして、それを活かさなければいけない部分というのは現在の家庭裁判所がやるべきだと思いますが、必ずしもそうではない家事事件もあるように思っております。例えば、相続を放棄するという意思表示をするというものは、裁判作用というよりも確認作用の方が強いところがありますので、そういうものはもう簡易裁判所でもできるというような形で、何か簡易裁判所の地方に散らばっている特質、しかもこれは対立当事者を予定しておりませんので、一方当事者のことだけ考えれば済むという面もありますが、そういうものを少し考えていけばどうかなということを、6に関しては考えております。

□ ありがとうございました。あまりこの6は強くは議論されませんでしたが、今、委員から御指摘いただいたようなことですね。

○ 簡易裁判所の機能にそういうものまで含めるかどうかとなると、また大ごとになるとは思うんですね。例えば、委託するというような制度をつくるか。確かにおっしゃるように、相続放棄、それから子の氏の変更というのは、今、出頭もいらない。子の氏の変更は受付でやってくれるんですね。相続放棄は、書面を出して書面で返事が来るという、3か月以内ならば本当にそういう確認的手続なので、地方などでは、近くでやってくれれば助かるなという感じは確かにありますね。子の氏の変更は出頭しなければいけない、特に15歳以上の子供も行かなければいけないというので、家庭裁判所が地方はそんなにたくさんあるわけではないから、確かにおっしゃるように、簡易裁判所などでやってもらえれば助かるなという気はしますから、何かそういう家庭裁判所の機能を少し委託するか何かはできないのかなというのは実情として考えられます。

□ 立法技術として簡易裁判所の管轄にしてしまうのか、それとも委託というような形にするのかというのはまた別途として、大きな方向性としては、6でそういう議論をしたいと。そういうことを考えてみたいということですね。
 1から6、多少、相互に矛盾するようなところもあるわけですが、そういうものでしょうね、もともといろいろな局面がありますから。ですが、こういう形でまとめて、もう一回さらに御議論いただく、次回、特に御議論いただくわけですが、こういう方向を我々委員としては確認して、事務局は事務局なりにこれをもとにさらにいろいろつくるということですね。大体、この資料6の1から6でよろしいですか。

(各委員了承)

□ ありがとうございます。

(4) 今後の日程等

□ それでは、今後の日程、その他についてお諮り申し上げます。まず、事務局からお願いします。

● 次回につきましては、先ほどの簡易裁判所の論点に関しまして、さらに御議論をお願いしたいと思います。それから、訴えの提起の手数料と訴訟費用額確定手続については、大方の方向性を今日御議論いただきましたけれども、次回もまた何か御意見があれば、それについて御検討いただくということをお願いしたいと思います。それから、もし次回、検討が順調に進むようでしたら、実は将来の問題としては、司法制度改革審議会の意見書の中の司法の利用相談窓口、情報提供、こういったものはかなり重要な問題でございまして、これまでの検討の中にもところどころ皆さんからそういった視点での御意見が出ていたわけです。ですが、それを検討するという時間的な余裕がなくて、平成15年の通常国会に提出する案件についての詰めをずっとお願いしてきたという経緯がありますので、もし時間があれば、その辺りについて、最初ですのでむしろ自由に、将来どうあるべきかという議論をしていただいてよろしいのではないかと、そんなこともできればお願いしたいと思っています。

□ 次回は10月15日火曜日午後3時からです。簡易裁判所の管轄の問題を中心に、今日随分御議論いただきましたが、訴訟費用額確定手続、訴えの提起の手数料についても引き続き御検討いただく。ただ、ウエートは簡裁の管轄についてということです。また、司法制度を利用する情報を、どこに行けばいいのか、どこにあるのか、そういうことについてのフリートーキングもできればということです。