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ADR検討会(第2回)議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり



1 日時
平成14年3月18日(月)10:30~12:50

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委 員)
青山善充、安藤敬一、髙木佳子、龍井葉ニ、原早苗、廣田尚久、三木浩一、山本和彦、横尾賢一郎、綿引万里子(敬称略)

(説明者)
大川宏(弁護士(第二東京弁護士会仲裁センター))
鷹取司(弁護士(岡山仲裁センター))
小柳光一郎((財)交通事故紛争処理センター事務局長)
三枝繁雄(消費生活用製品PLセンター事務局長)
深草剛志(弁護士(特定非営利活動法人シロガネ・サイバーポール))
井戸田勲(特定非営利活動法人日本技術者連盟事務局長)

(事務局)
山崎潮事務局長、松川忠晴事務局次長、小林徹参事官

4 議題
○ ADR機関からのヒアリング

5 配布資料
資料2-1 我が国のADR機関の概要(未定稿)
資料2-2 第二東京弁護士会仲裁センター関係資料
資料2-3 岡山仲裁センター関係資料
資料2-4 (財)交通事故紛争処理センター関係資料
資料2-5 消費生活用製品PLセンター関係資料
資料2-6 特定非営利活動法人シロガネ・サイバーポール関係資料
資料2-7 特定非営利活動法人日本技術者連盟関係資料

6 議事
(1) 開会

(2) 前回欠席委員の紹介等

前回欠席委員の紹介があった。
委員より、次の発言があった。
  • ADRが理想的な形で発展すれば望ましいことであるが、ADRの現状にかんがみると必ずしも楽観的に考えることはできない。地に足のつかない議論をするべきでなく、本日のADR機関からのヒアリングを踏まえて議論をスタートさせることは適切であると思われる。

(3) ADR機関からのヒアリング
第二東京弁護士会仲裁センター、岡山仲裁センター、(財)交通事故紛争処理センター、消費生活用製品PLセンター、特定非営利活動法人シロガネ・サイバーポール、特定非営利活動法人日本技術者連盟より、ヒアリングを行った。
各ADR機関より、次のような発言があった。
  • ADRに関する法制度の整備が進むことによって、ADRの認知度が高まること、裁判所との競争条件の格差が改善されることが期待される。また、寄付金の税負担控除や保険類似制度の導入などの財政的援助や、公共施設の利用や法律相談事業の拡充などによる自治体との連携も必要である。
  • 今後、紛争の増加が予想され、ADRの有用性は高まっていくものと考えられるが、一方で、紛争解決のノウハウについての研究が遅れている。また、調停前置となっている制度について、ADRで解決を図った場合には調停に付さないなどの制度設計も考えられる。
    ただし、ADRの主宰者には一定の技術レベルや倫理観が必要であり、あらゆるADRに強力な法的効果を付与するのは問題であると思われる。また、調停等のスキルの養成をロースクールのカリキュラムに盛り込むなど、長い視野に立って担い手を育成することが必要と考える。
  • 時効の中断については、明確化する方向で考えてほしい。また、裁判手続との連携を制度化するためには、主にADR側に一層の体制整備が求められるものと思われが、簡易・迅速・廉価な紛争処理手続を有する民間型ADRの長所を保つことにも考慮する必要がある。
  • 機関の中立性・公正性に関する対外的な信頼の醸成・確保を図るためには、母体機関からの体制の独立性を確保することが重要である。また、科学的・技術的な事項が争点となる紛争については、当該分野に専門的知見を有する者や法律家、消費者問題有識者等を加えた評価体制を確保することが重要である。
  • オンライン上のトラブルには、相手方が不明であったり国際的なトラブルであるため解決が困難な場合が多く、また、被害額の少額なものが多い。このようなトラブルを解決するためには、相手方が特定できる手段や、低廉で利用者に身近な窓口の整備、外国の団体との連携などを図っていく必要がある。
  • 欧米諸国に比べて、日本のインターネット社会では、セキュリティ保護に比してプライバシー管理が遅れている。今後は、企業サイドに対して、シール(認証制度)の活用を働きかけるとともに、消費者に対してや学校教育においてもプライバシー管理についての教育が必要である。

各委員とADR機関の間で、次のような質疑応答がなされた(○:委員、●:ADR機関)
○ ADR機関での話合いの場には、代理人よりも当事者本人が出席するケースが多いのか。
● できるだけ当事者本人に出てきてもらうよう働きかけている。代理人として弁護士がついている場合でも、訴訟等に比べ、弁護士が発言を控える場面が多い。
○ ADRでの合意内容は、訴訟における判例をどの程度参考にしているのか。
● 大勢は判例を基準として判断しているといえるが、個別の案件によっては、現在の社会情勢を踏まえて、判例とは異なる案を提示することもある。
○ ADRに対して、当事者が内部資料を出し渋ることはあるか。
● 当事者が資料を出さなかったために、事案が解決しなかったというケースは聞いていない。
○ インターネット上の認証制度を付与する際に、ADRに要するコストも含めて企業側に負担させることは可能か。
● 現在の制度でも、認証の際に必要なADRのコストを含めて徴収している(第三者への紛争処理委託が必要な複雑なケースを除く。)。
○ 少額訴訟制度など、裁判所における紛争解決手続が整備されれば、ADRでの解決件数は減少することになるのか。
● 現実に、少額訴訟が整備された当時にはADRへの申立件数は激減したが、その後、少額訴訟が混雑してくると、再びADRの利用が増加している。
 裁判所における紛争解決手続が完全に整備されたとしても、企業内紛争などADRに対する新しいニーズは存在するため、従来とは異なる形をとって活動を続けていくものと思われる。
○ 人材の育成の具体的方法についてどのように考えるか。
● 新たにADRの主宰者となるような、若い人々に対する研修が法曹養成の段階から必要と思われる。

 次回は、4月15日(月)14時から2時間程度、ユーザーサイドとして、経済団体、消費者団体、労働団体からのヒアリングを行うこととなった。また、併せて、事務局より民間型ADR機関へのアンケートについての結果報告を行うこととなった。

(以上)