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ADR検討会(第2回)議事録

(司法制度改革推進本部事務局)



1 日 時
平成14年3月18日(月) 10:30~12:50

2 場 所

司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者

(委 員)
青山善充(座長)、安藤敬一、髙木佳子、龍井葉二、原早苗、廣田尚久、三木浩一、山本和彦、横尾賢一郎、綿引万里子(敬称略)

(説明者)
大川宏(弁護士(第二東京弁護士会仲裁センター))
鷹取司(弁護士(岡山仲裁センター))
小柳光一郎((財)交通事故紛争処理センター事務局長)
三枝繁雄(消費生活用製品PLセンター事務局長)
深草剛志(弁護士(特定非営利活動法人シロガネ・サイバーポール))
井戸田勲(特定非営利活動法人日本技術者連盟事務局長)

(関係機関)
日本弁護士連合会、最高裁判所、法務省、関係省庁等

(オブザーバー)
日本行政書士会連合会、日本司法書士会連合会、日本土地家屋調査士会連合会、日本税理士会連合会、全国社会保険労務士会連合会、日本弁理士会

(事務局)
山崎潮事務局長、松川忠晴事務局次長、小林徹参事官

4 議 題

・ADR機関からのヒアリング

5 配布資料

資料2-1 我が国のADR機関の概要(未定稿)
資料2-2 第二東京弁護士会仲裁センター関係資料
資料2-3 岡山仲裁センター関係資料
資料2-4 (財)交通事故紛争処理センター関係資料
資料2-5 消費生活用製品PLセンター関係資料
資料2-6 特定非営利活動法人シロガネ・サイバーポール関係資料
資料2-7 特定非営利活動法人日本技術者連盟関係資料

6 議 事

[開会]

[前回欠席委員の紹介等]

○青山座長 ただいまから、第2回「ADR検討会」を開催いたします。本日は、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。
 本日、山崎事務局長と松川事務局次長は、それぞれ急用が入った由でございまして、お二人とも若干遅れて後から参加されるということでございます。
 議事に先立ちまして、前回の検討会を欠席され、今回始めて御出席いただく委員を御紹介させていただきます。
 龍井葉二委員でいらっしゃいます。
 綿引万里子委員でいらっしゃいます。
 前回、他の委員の方々からは、それぞれお一人ずつADR全般に関しまして、日ごろからお持ちの御意見を自由に御発言いただきました。龍井委員、綿引委員にも何か御発言がありましたらお願いしたいと思います。

○龍井委員 前回の代読で紹介させていただきましたので、今回はありません。

○綿引委員 東京地裁の綿引でございます。第1回の会合は既に口頭弁論期日を指定しておりまして、期日変更がかないませんでしたので、欠席させていただきました。大変失礼いたしました。
 ADRの問題について、改革審の方でADRが国民にとって裁判制度と並ぶ魅力的な紛争解決のための選択肢になるように拡充を図っていこうという方針が示され、そのための制度設計をするのが当検討会の目的なんだろうと考えております。
 ADRにつきましては、私は全く勉強不足でありますけれども、ADRの特徴として掲げられているところが理想的な形で生かされたADRというものが紛争処理の1選択肢として望ましいというのは間違いないことなんだと思うのですが、現状は必ずしも楽観的なものではないのではないかと感じております。現状を十分に認識しないで、裁判制度との連携ですとか、引き継ぎ、時効制度、執行力の問題等をいきなり議論するというのでは、地に足がつかない議論になってしまうのではないかなという危惧を抱いておりまして、この検討会が各種ADRからのヒアリングからまずスタートされるということは、全く正しい方向だなというふうに考えております。
 本日は各種ADRの活動状況を聞かせていただくことを楽しみにしております。
 最近、もう一つ考えておりますことがあります。第1回の会合で事務局の方から、司法型ADRが、ADR制度の中でなかなか大きな比重を占めているということの御紹介ありましたが、私も、一裁判実務家としまして、裁判上の和解等の制度が非常に紛争解決に重要な役割を果たしているという実感を持っております。ただ、最近の法制審の民事訴訟法部会等におきます計画審理等の議論を仄聞いたしますと、そこで議論されている計画審理と、いわゆる司法型ADRとがどういうふうにかみ合っていくかという議論が必ずしも十分にされていないのではないかという感想を持っているところでもあります。場合によっては、そういう部分についてもこの検討会で一緒に議論させていただくことになればということも最近考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、一裁判実務家としてのこの検討会に参加させていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○青山座長 どうもありがとうございました。それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

[ADR機関からのヒアリング]

○青山座長 それでは、本日の議事に入ります。前回御議論いただきました今後の検討の進め方によりますと、本日はADR機関からのヒアリングとともに、事務局からアンケート調査結果の報告を行う予定でございましたけれども、事務局からアンケートの回収状況を踏まえると、むしろ報告の方は次回にさせていただいた方がより充実した報告ができるという話でございます。
 また、本日は多数のADR機関の方々からお越しいただいておりますので、十分に時間も取りたいと考えておりまして、本日はヒアリング及びそれに対する質疑応答のみにさせていただきたいと考えております。
 それでは、本日はお手元の議事次第のとおりにしたいと思っております。
 本日御出席いただくADRの各機関の方々を御発言いただく順序で私の方から紹介させていただきます。
 第二東京弁護士会仲裁センターの運営委員会の委員長をお務めいらっしゃいまして、現在も委員でいらっしゃいます弁護士の大川宏さんでいらっしゃいます。
 それから、岡山弁護士会仲裁センター運営委員会の初代委員長を務めていらっしゃいました弁護士の鷹取司さんでいらっしゃいます。
 財団法人交通事故紛争処理センター事務局長でいらっしゃいます小柳光一郎さんでいらっしゃいます。
 消費生活用製品PLセンターの事務局長でいらっしゃいます三枝繁雄さんでいらっしゃいます。
 特定非営利活動法人、いわゆるNPOのシロガネ・サイバーポール相談グループ・グループ長でいらっしゃいます、深草剛志さんでいらっしゃいます。
 NPO日本技術者連盟の事務局長でいらっしゃいます井戸田勲さんでいらっしゃいます。
 6人の方々には、本日は大変お忙しい中をわざわざ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 ヒアリングの進め方でございますけれども、ただいま御紹介いたしました順序で御説明いただき、最後に一括して質疑等を行わせていただくことにしたいと思います。
 それでは、早速でございますが、まず、大川弁護士の方からよろしくお願いいたします。資料は2-2ということでございますので、それに沿って御説明をいただきたいと思います。

[第二東京弁護士会仲裁センターについて]

○説明者(第二東京弁護士会仲裁センター 大川氏) 大川です。今日は説明の機会を与えていただいてありがとうございます。資料2-2に基づいて二弁の仲裁センターについての説明を行いたいと思います。
 まず、設立ですが、1990年、平成2年に設立されております。旧民事訴訟法の中に当時仲裁法というのがあったわけですが、民訴法が明治23年にできてから、ちょうど100 年目にスタートしたということです。
 創設者は原後山治という弁護士が主唱して創設されたわけでが、原後弁護士が民訴法8編、仲裁を長い眠りから目を覚まさせたと言われております。
 裁判制度から100 年も遅れを取っているわけですが、実績としては、裁判と比較しては、今の段階ではなかなか厳しいだろうという感じを受けております。
 弁護士会が一般の民事紛争を対象にして、紛争解決機関を設けたというのは、この二弁の仲裁センターが初めての試みで、交通事故等はある程度専門分野に関して、示談あっせんセンターという形で特定の分野の紛争に関しては、弁護士会も実践しておるわけですが、一般民事紛争対象ということでは、初めての試みになります。
 スタートした当初、仲裁センターの中では、仲裁センター「クロネコヤマト」論というのがありました。当時、郵政に関しては、郵便事業に対して、宅配便という形でなかなか規制が厳しくて自由な活動ができなかった。民営の分野で宅配便がかなり普及してきて、利用者にとっては非常に便利な状態になった。紛争解決もある意味ではサービスですから、裁判所だけが独占するのがふさわしい分野かどうかということで、民間で私的な自治による解決を行うというのは、一種の構造改革というのでいいのではないかというのが当時スタート段階で我々を後押しした議論になっております。
 仲裁センターについては、弁護士は従来代理人業が中心であったわけですが、それに対して仲裁、あるいは和解あっせんという形で利用するという意味でも、恐らくそれを大掛りに進めていくという意味では初めの試みではないかと感じております。
 弁護士法72条で鑑定、代理、和解、仲裁というのが弁護士の職域になっておりますが、従来は法律相談を含め、鑑定と代理がメイン業務になると。今も変わらないわけですが、和解・仲裁というのは非常に小さい仕事になっていたわけです。それを新しく、ある意味では業務を拡大するという意味合いにおいても、仲裁センターというのは1つの意味があると理解しております。 設立当初の目的は、当時バブルが崩壊する直前でしたから、景気のいいときには少額紛争に対する対策というのは常に弁護士会で問題になるわけですが、少額・軽微な事件を対象にして、簡易・迅速、しかも安く公正に解決する。その当時余り利用されていなかった仲裁という手法を使おうじゃないかというのが当初の目的でありました。
 対象については、ここにCtoCと書きましたけれども、普通言われているCというのはコンシューマーですが、ここではシビル、市民間の紛争、あるいはSBというのはスモール・ビジネス、市民と中小規模の会社との間の争いを解決するというのが当初の目的であったわけです。
 しかし、現状では、いわゆるBtoBという、例えば一部上場会社間の争いなども相当数解決しております。昨年新聞記事に出ましたけれども、山一証券の破綻に伴って、山一証券と系列の子会社との間の債権確定訴訟、それに代えて、これは弁護士会は東京弁護士会でありますが、東京弁護士会の仲裁で債権確定訴訟を解決したというケースなどもあって、当初の目的から比べると大きく広がっているというのが現状です。
 もう一点、少額・軽微ということでスタートしたわけですが、かなり専門性のある事件、これは一番最初に使ったのはカウンセラーですが、離婚に伴って、子どもの面接交渉権についての理解を得るためにカウンセラーを投入したという形で、専門性、特に最近は一級建築士などが導入されているというのが、対象に関しての現状です。
 手続については、もともと当事者本人が遂行するということを予定しておりましたが、実際には弁護士が代理人として申立てをするというケースがかなり増えております。後発の弁護士会については、弁護士が代理人として利用できるというところをかなり意識して制度設計をしているというところがあります。
 それで一番最初問題になったのが手数料ですが、結局、利用すると弁護士一人分の手数料が余分に掛かるということで、いろいろ手数料規定に改訂を加えて、現在は300 万以下の紛争については8%程度の手数料ということで、当事者が均分して負担しますから、4%程度の負担で済むとなるように規則を大分改正しております。
 もう一つは、公正ということで、手続の公正性について、利用者の方からいろんな御意見が出てきております。
 私どもどちらかというと、裁判所の和解、あるいは調停というものをかなり意識して手続を進めておりましたが、ここ数年同席調停ということが提唱されておりまして、手続の透明性、公平性を確保するということで、同席を原則にするというように規則改正などを行っております。
 手法としての仲裁ですが、もともと仲裁合意を得た上で、仲裁判断によって解決するということを中心に考えておりました。ところが、1年くらい経って実績を見ますと、ほとんどが和解で解決しているという実情があります。なかなか仲裁について当事者の理解が得られない。特に訴権を失うという点についてどの程度理解をしているのかという辺りが大分議論がありまして、仲裁合意には必ずしもこだわらないということで、現在は和解あっせんが中心、解決事件の95%は和解あっせんで解決しているという現状になっております。 したがって、家事事件、相続、離婚というものも、本来仲裁適格はないというふうに言われておりましたが、これも和解あっせんということで、受け付けております。
 家事事件の1号事件は家裁の調停で不調になったというケースが持ち込まれて、弁護士会の和解あっせんで、離婚、子どもの養育費等は解決を見ている。
 子どもの養育費については、家裁の事件であれば執行力が得られるわけですが、それが得られないということで、公証人役場に行って公正証書にして、養育費の点だけは執行力を確保できるという事例も起きております。
 いずれにしましても、当初の制度設計と現況は大幅に違っておりまして、少額事件対象だったものが、かなり広範にいろいろな事件を扱えるような形になってきております。
 もともと歩きながら考えるという発想でスタートしましたので、それは当然の結果であるし、一種の制度というよりも、仲裁センター運動というような感を呈しているという印象を持っております。
 手続の特色ですが、3(1)に時間をたっぷりと書きましたが、これは裁判所における調停、和解はどうしても時間の制約があって、1時間程度が中心、裁判所の和解ですと30分、その辺りが中心になっておりますが、少なくとも2時間は掛ける。午前中いっぱい、午後から始まっても、3時、4時くらいまでは掛けるというのが、ほとんどの仲裁人、あるいは和解あっせん人が行っている実務でございます。
 したがって、一種の集中審理が行われますので、期日を設ける回数がそれほど多くない。平均しまして、二弁の場合ですと、3.5 回、4回弱ですべてを終わっているというのが中心になっております。
 それと、一般の方の利用を想定しておりますから、書面の作成というのは、非常に簡略な形で済ませております。特に請求金額など、裁判所に出す場合には、金額を明示しなくてはいけないわけですが、公正な損害賠償額を求めるという形で、金額を明示しないでも受理する。むしろそちらの方が主流になっているという状況です。
 それと、特色の1つですが、かなり現場検証的なものを行っているというのが中心になっております。これは裁判所で現場検証というのはなかなか厳しくて、実行されないわけですが、仲裁センターの場合には、現場に行く必要があるものについては、ほとんどすべて現場に行っております。私自身も代理人として関与したときには、東京の会社で富山に物件がある。その物件の原状回復が問題になったケースがあります。仲裁人3人、合議でお願いしまして、3人全員、1日掛かりで富山に行っていただいて、第2回は東京で、これは休日だったんですが、休日に期日を開いて、実質的に2回で解決しているというケースもあります。
 かなり現場に行ってみるということは当事者の納得という面では大きな要素を占めていると思いますので、この辺りは手続についての特色かなと思っております
 手続の流れですが、簡単に4(1)から(7)まで書きましたが、この中で1つだけ説明させていただきますが、まだ仲裁センターというのは認知度が低いです。相手方が手続に応じてくれないというケースがかなりあります。逆に仲裁ということで、弁護士に相談すると危ない。一回限りで終わってしまうから危ないということで躊躇するケースがあります。そういった場合に、担当の仲裁人から手紙を出して、ラブレター作戦と言っていますが、手紙を出して話し合いのテーブルに就くように説得する。それによって、当事者が応じて事件が解決するというケースも多数あります。
 それから、5番目の、財政についてですが、二弁の場合、最初の段階は法律相談センターの中の一部会として運営されておりました。平成7年に独立の委員会になりまして、弁護士会の中では一応特別会計というものがつくられております。7年以降の数字がこの別表のとおりなんですが、現状では赤字になったことは1回もない。現在、繰越金として2,700 万くらいの貯金があるというのが現状です。事件収入で活動費は基本的に補っているというのが現在の状態であります。
 スタート段階で1,500 万、会の一般会計から繰り入れがあったわけですが、この1,500 万はもとをただせば、その当時仲裁センターの方の貯金が約5,000万強ありました。1件、かなり大きな事件をやりまして、高額な手数料が入ったということがありまして、事実上仲裁センターの貯金から会の一般会計を経由して1,500 万円が繰り入れられたということで、事業そのものとしては、赤字を出すことなく運用されているというのが実情です。
 ただし、職員の人件費、会議室、あるいは仲裁の審理室といった場所代については、会の財政に依存しているというのが実情です。
 人件費は、この数年の収入の場合を見ますと、年間500 万くらい掛けるとして、何とか人件費、1人くらいの負担はできるようになっているというのが実情です。
 まだ事件収入に依存しているという状態になっておりますが、今後、出版事業、あるいはセミナー等をやることによって多少収入源を確保するということは可能です。
 この収支状況一覧表の雑収入の欄に幾らか金額が載っておりますが、これは第一法規から仲裁解決事例集というものを出しておりまして、その印税から原稿料を引いた残金が収入として計上されております。
 出版事業をもう少し活発にやれば、収入源が確保できるというのが実情ではないかと思います。
 今回、ADR基本法への期待ということですが、一番の期待はこの法律ができることによってADR機関、仲裁センターを含めてですが、認知度が広がるというのが一番期待しているところです。風邪にかかった場合には、自分で治す、薬を買う、診察に行く、大病院に入る、あるいは入院をするというふうになっておりますが、紛争の場合には、一旦紛争に遭うと弁護士に頼む、あるいは裁判をやる、それしかイメージとしては出てきておりません。そうじゃなくて、もっとADRの方で解決できるんだということを啓蒙していただければ、少なくとも利用率ははるかに上がるという印象を持っております。
 裁判所との関係ですが、執行力、時効中断効、調停を前置する必要がないといった点についても、配慮をしていただければと。少なくとも民間事業と官営事業が同等な条件の中で競争をするという構造にするためには、この辺りの制度を揃える必要があるのではないか。勿論、弊害もありますけれども、それを除去した上で、そのような制度設計をしていただきたいと考えております。
 6(3)の財政援助ですが、これについては、寄附金控除制度をもう少し大掛かりに広げていただく。これは基本法の範囲外ではあると思いますが、この二弁の決算書の中にも1回だけ2万円という寄付がありますが、この辺りは今後、例えば公益事業に関して寄附した場合には、税金が免除されるという仕組みを設ければ、多少なりとも増えてくる。
 特に欧米と比べると、日本の寄附制度については非常に貧弱であります。例えば007 のショーン・コネリーが最後の映画に出たギャラ約4億円を若い映画関係者を育てるための基金として寄附したとか、去年もマイケル・ジョーダンというバスケットボールの選手が復活したときに、同時多発テロの被害者のために全部を寄附したというようなこともあります。日本ではそういうことは全然行われていない。これは基本法の範囲外だと思いますが、そういった制度に向けての第一歩をつくれるんではないかということがあります。
 もう一つは、保険制度、あるいは類似の制度を採用する。これは住宅紛争審査会の中で評価料という形で、その評価料が財源になって、審査会の運営経費が出てくるという制度ができております。類似の制度を多くしていただきたい。
 あと、公共施設の利用というふうに書きましたが、これは自治体などの公民館とか、そういったものを利用できるという仕組みを取れば、紛争当事者が割と身近に住んでいる人が多いわけですから、近くの公民館で紛争を解決するのが当たり前だと。
 6(4)の自治体との連携というのは、まさにそういうことだと思いますが、弁護士会の仲裁センターが仲裁人を派遣して、自治体でもってその解決に当たる。法律相談事業もその自治体も持っております。ところが、法律相談から一歩、紛争解決というところまては自治体の方では考えていないので、基本法の中で自治体に対する責務ということであれば、その辺りのことも視野に入れていただきたいと考えております。
 ちょうど時間になりました。

○青山座長 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、岡山仲裁センターの鷹取さんの方からお願いします。資料は2-3でございます。

[岡山仲裁センターについて]

○説明者(岡山仲裁センター 鷹取氏) 岡山弁護士会の鷹取です。今日はこういった場を与えていただきましてどうもありがとうございます。資料の方は、ヒアリング資料ということで、実績評価報告書と、それから岡山仲裁センターのリーフレットを出させていただいております。
 岡山仲裁センターですけれども、設立は平成9年3月です。現在で丸5年が経過しました。この間の実績ですけれども、お手元の資料はちょっと古いんですけれども、3月12日現在で申立てが676 件、解決まで至ったのが319 件、事件が終了した中での解決率は約53%ということになります。
 ところで、仲裁センターの場合、今、大川先生が言われたように、申立てがあっても、相手方が出てきてくれるとは限らない。相手方が出てきてくれる割合、これを応諾率と呼んでいるんですけれども、5年間を平均しますと、岡山仲裁センターの場合は約76%です。
それから、相手方が出てきてくれた中での解決率、これも5年間で平均して約70%ということになります。
 それでは、どういうことで岡山で仲裁センターをつくったかということについてお話をさせていただきます。
 我々は日ごろから多くの法律相談に携わっているわけですけれども、その中の法律相談だけで終わっていたような事件の中で、我々がもう少し手を貸してあげれば解決に向けたレールに乗るような事件、そういうのがある。例えば少額事件だとか、隣の飼犬がうるさくて何とかしてくれというような、裁判では解決しにくいようなケース、こういうケースも法律相談からすくい上げて、何とか簡便に解決してあげたいという思いがあります。
 それから、日常的な紛争というものは、通常は片方だけに責任があるというのではなくて、当事者双方にそれぞれの事情があって起こるものです。したがって、判決のように白黒を付けて片を付ける解決ではなくて、双方の事情に見合った、もっとよい解決があるのではないかという意識がありました。したがって、紛争解決制度そのものについて、自分たちが使い勝手のいい、更にいいものを作ってみようという発想が生まれました。それで第二東京弁護士会の仲裁センターなどを参考にさせてもらって、2年間の準備を経て設立させていただきました。
 岡山仲裁センターは、仲裁という名称を使っていますが、第二東京弁護士会と同様に、実際には示談あっせんがほとんどです。なぜ仲裁という言葉を使ったかというと、けんかの仲裁と言われるように、市民にとっては紛争解決をイメージしやすい言葉ではないかということで使いました。
 実際に法律上の仲裁、これはこの実績報告書にありますように、あっても年に1件か2件程度です。しかも、仲裁判断をしたケースといっても、和解が成立した後に債務名義を取得させるためにした。したがって、純然たる仲裁判断というのはまだございません。
 実際には示談あっせん人というか、調停者になるわけですけれども、仲裁人は弁護士のほか、設立当初から一級建築士、不動産鑑定士、カウンセラーに登録していただいております。弁護士は法曹経験5年以上を要件にしておりまして、現在、岡山弁護士会で約百名が登録しております。
 岡山弁護士会の会員数が今、百七十数名ですので、資格要件のある方の65%程度は登録しているということになります。
 通常は弁護士の仲裁人が一人で事件処理に当たります。ただ、専門的知識とか経験を要する事件につきましては、先ほどの専門家を仲裁人に選任し、弁護士とペアで事件の処理に当たっていただく。建築士であれば建築紛争、不動産鑑定士であれば遺産分割とか不動産の評価が問題となる事件です。
 それから、カウンセラーは夫婦関係、離婚が中心になりますけれども、それとか親子関係、遺産分割、最近では犯罪被害者のケースなども扱っております。
 こうした専門家の活用は多い年で2割程度、それから、少ない年で1割程度になります。持ち込まれる事件は、あらゆる紛争なんですけれども、ただし、第二東京弁護士会のような大企業間の争いはございません。日常的な市民間の紛争が中心です。
 具体的な進め方ですけれども、まず、弁護士による法律相談というのが最初にあることになります。それは有料、無料を問いません。弁護士の法律相談を経なければ仲裁センターへの持ち込みはないということになります。
 弁護士の方で仲裁センターへの解決に向くと判断した場合には、仲裁センター宛ての紹介状に記入して、更に申立書、これはチェックを中心にした非常に簡単なものですけれども、これの主要な部分もその相談担当の弁護士が記入する。この仲裁センターへの紹介状とか申立書はそれぞれの法律相談場所、各事務所の方に備えてあります。
 仲裁センターでの解決に向くかどうかの判断ですけれども、まず第1番目は、話し合いよる解決が可能かどうか。2番目は、相手方が出てきてくれる可能性があるかどうか。
 それから、通常は調停との比較も説明して、どちらがいいか、それは相談者に選択させているのが通常ではないかと思います。申し込みをされる方はその紹介状と申立書とともに、申立手数料、これが1万円ですけれども、これを弁護士会の受付に提出してもらう。
 その後、仲裁人が選任され、できるだけ2週間程度先の日を期日として設定して、双方に連絡をするということになります。仲裁期日には双方同じ時間に来ていただきます。原則として一緒に仲裁室の方に入ってもらいます。仲裁室については、このリーフレットの中を開けていただければ、写真が写っていると思いますけれども、これは会館をつくった当時のもので、現在ではこれに絵が掛かったり、観葉植物が置いてあったりして、こういう殺風景ものではございません。
 仲裁人は、自己紹介をして、岡山仲裁センターの制度、手続の進め方について説明をした後に当事者に話をしてもらう。この当事者に話をしてもらうのも、双方が同じテーブルに着いたままです。
 つまり、岡山仲裁センターでは、原則として双方の当事者が同じテーブルに着いたまま話し合いを進めるというのを設立当初から原則としております。
 ただし、当事者がいやがるケースがありますので、その場合には、個別に入ってもらい話を聞く。
 それから、仲裁人の判断で、その場の状況に応じて個別に判断を聞くこともあります。アンケート調査によりますと、最初から最後まで同席で終わるのが約四割。最初から最後まで別々で終わるのが約一割。残りは同席と個別とを大体使い分けている。実際には、最終的な金額の詰めのような話の場合に、同席から個別に切り換えるということが多いようです。
 岡山ではなぜこの同席というものを原則としたかという点ですけれども、この仲裁センターを立ち上げる前に当事者の納得ということをまず第1に考えました。当事者の納得のいく解決は何だろうかと。当事者が自ら判断を下した結論ではないだろうか。そうすると、仲裁人の判断を押し付けるよりも、当事者に自ら考えてもらい、相手と対話してもらうのが一番ではないだろうか。したがって、仲裁の場というのは、基本的には当事者による話し合いの場だと。仲裁人は、当事者の話し合いがスムーズにできるように手助けする役割だと。こういうふうにとらえました。そうすると、基本的に当事者は同じテーブルに付いてもらうのが原則になるということになります。
 ただし、当事者同士がうまく話し合いができればもともと仲裁センターなどには来ませんから、仲裁人が当事者を座らせて放っておいたのではうまい話し合いになりません。話合いの進行は、仲裁人がリードする必要があります。そこで話し合いを促して、交通整理をするための何らかの技術が要るんじゃないか。現在、岡山仲裁センターの研修では、ロールプレイを中心にして、その技術の習得を目指しております。これは具体的にはアメリカの隣人調停をモデルにして、カウンセリングの技法をベースにした、言い換えの訓練、これをやっておりますけれども、なかなか実際には難しい。弁護士がこれをマスターするというのはなかなか難しいんでないかという気がしております。
 仲裁期日の回数ですけれども、1回もあれば十数回になることもあります。1年を超えるケースもあります。ただ、平均すると大体2、3回のようです。話し合いは仲裁室だけではございません。建築紛争などの場合には、2回目には大体現地に行っているのではないかと思います。
 それから、土日を希望される当事者の方もおられますので、土日には仲裁人の法律事務所で話し合うというケースもあります。
 1期日ごとにそれぞれの当事者から5,000 円ずつ手数料を支払っていただくことになります。そして、合意ができると、和解契約書を作成して、仲裁人が立会人として署名・押印する。金銭の支払いはできるだけ和解契約書に署名・押印する段階で履行してもらい、あとに履行を残さないようにしております。それでも分割払いなど後日のために執行力を確保しておいた方がいい場合が出てきます。そういう場合に先ほど言った仲裁判断をする、又は裁判所の即決和解を利用するケースもあります。
 こうして和解が成立して解決した場合には、当事者から成立手数料を払ってもらう。このリーフレットをはぐった一番右のところ、ABCとありまして、Cのところがそれなんですけれども、こういう基準で払っていただき、基本的には当事者に折半で払っていただく形になります。ケースによっては、片方の当事者が、私が全額負担しますと言われることもありますので、そういう場合には片面的な負担をしていただくこともあります。
 ですから、費用について言えば、申立段階で申立手数料が1万円、1回の期日ごとにそれぞれの当事者が5,000 円ずつ、最後に解決すれば成立手数料を支払っていただくという形になります。
 ただし、交通事故につきましては、平成12年度から、日弁連の交通事故相談センターの示談あっせん制度を利用しておりますので、ほとんどのケースが無料になっております。
これからのADRについて若干触れさせていただきます。
 言い方は悪いんですけれども、今は、みんなが利己的に生きている社会である。このような社会が続く限りこれからますます紛争は多くなるだろう。そうすると、裁判に持ち込まないで解決するADRの有用性はますます高くなるのではないかと思います。しかし、調停というのは、だれにでもできそうですけれども、当時者が納得いく調停というのはできるものではありません。通常は利害とか道理を説いての説得型が大半ではないかと思います。こういうパターンだと、当事者の場合は、押し付けと感じて反発する。更に和解案を受け入れても不満が残りやすい。岡山仲裁センターの場合、設立当初からずっと当事者に対して利用アンケートを取っているんですけれども、これはなかなか手厳しいものでして、非常に満足して、仲裁センターを今後とも是非利用したいと言われる方もおられますけれども、和解が成立しても、二度と利用しないということを言ってこられる方もおられます。
 日本ではこれまで、余りにもこういう紛争解決の手法という面での研究、ノウハウの蓄積が遅れていたのでないかと思います。ですから、そういう面については、腰を据えた研究とともに、組織的なトレーニングが不可欠ではないかと感じております。
 それから、法的整備の面ですけれども、この弁護士会の仲裁センターというのは、第二東京弁護士会にしても、既存の制度にあき足らずに草の根から湧き上がったもので、法的に不備があっても創意工夫でやってきた面があります。
 ただ、離婚事件や賃料の増減請求事件、これは調停前置が法律上建前になっていまして、ただし、解釈で調停に付すことが適当ではないときには、調停に付さないことができるという明文の規定もあるんですけれども、仲裁センターで実質的に話し合いがなされていれば、法律の解釈上も改めて調停を経なくても、訴訟を提起できるんではないかということで、岡山の裁判所と協議もし、実際にそのような解釈を認めてくれる裁判官もおられます。そういう運用もできているケースがあります。しかしながら、これは裁判官によって扱いが異なる。場合によっては、裁判官によっては付調停にされる方もおられる。ですから、そういう面について立法によって解決していただければありがたいというのが正直なところです。
 また、大川先生も言われましたように、世間的に認知されていない。岡山の場合でも、大企業の中には、裁判所の調停だったら行くけれども、弁護士会の仲裁センターではということで出席を拒否したケースも若干あります。
 したがいまして、執行力とか時効中断効、更には、裁判所の調査嘱託に似たような資料収集権能、こういうものまで立法的に認めていただければ、制度の有用性が高まるだけでなく、世間的にも認知されて、更に利用が広がる可能性はあるんではないかと思います。
しかし、私の方で2点指摘させていただきたいと思いますけれども、まずは担い手の質の問題でございますが、これは今、十分議論が始まっているところだと思うんですけれども、あらゆるADR機関に強力な法的効力を付与することは問題ではないかなと。ADRを新しいビジネスチャンスと捉える人たちが出てくる。一定の法律的な技術レベル、それから倫理感がないと、利用者が食い物にされる危険性があるんではないか。法的に不備のある和解契約書で執行力が認められないようなケースも出てくるのではないか。
 それから、法的整備以上に、先ほどお話しさせていただいたんですけれども、この担い手の意識が問題ではないかと思います。
 我々紛争処理に携わっている人間だけではなく、一般の行政職の方などもこういう紛争に関与された場合には、紛争当事者を紛争処理の客体として見てしまいがちである。紛争に巻き込まれた当事者がどのような心理状態に陥って、どのような反応を示すのか。また、彼らが主張するのがいかに表面的なものにすぎないか。こうした面でのきちんとした教育なしに、素人が見よう見真似でやると、犯罪被害者で言われているような、いわゆる2次被害ですね、それに近いものをADR機関が生み出すこともあるのではないかと思います。
したがいまして、ADR基本法という立法だけではなくて、長期的な視野に立って大学教育だとか、それから法科大学院のカリキュラム、この辺も検討する必要があるのではないかと思います。
 実際に一旦、弁護士になってしまった後に、そういう基礎的な教育をしようとしても、なかなか難しい面があります。
 以上で報告を終わらせていただきます。

○青山座長 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、交通事故紛争処理センターの小柳さんから御報告をお願いします。資料は2-4でございます。

[(財)交通事故紛争処理センターについて]

○説明者((財)交通事故紛争処理センター 小柳事務局長) 本日はこのような場に御出席をお許しいただきまして、どうもありがとうございます。
 私どもの組織でありますとか、業務内容、あるいは業務の流れといったことにつきましては、先生方大体御存じいただいている方が多いんではないかというお話もございます。資料といたしまして、お手元にお配りいたしました、今、御紹介ありました2-4は、資料の作成に手抜きをいたしまして、たまたま昨年『ジュリスト』の要請がありまして、私の方で当センターの業務の実態といったようなことについてまとめたものがございましたので、これをお配りさせていただきました。
 この内容を逐一御説明するつもりはございませんが、概略申し上げますと、私どもセンターの設立は、センターの前身であります紛争処理裁定委員会というのが49年に仕事を始めました。53年に現在のような財団法人という形を整えまして、以来、全国8か所、高裁の所在地ということで窓口をつくりまして、以来、業務展開をしてまいりました。
 実は昨年窓口をもうちょっと増やしたらどうかということがございました。さいたま市と金沢市の方に2か所立ち上げましたので、現在では全国10か所で活動を行っているところでございます。
 業務の内容でありますとか、流れといったことについては、資料なりお手元に配布してあります「業務のご案内」を後ほどご覧いただきたいと思いますが、現実にどれだけの件数を取り扱っているかということを、このジュリストのページで93ページ、やや小さくて恐縮でございますが、12年度の取り扱いの実態を整理してございますので、これをご覧いただきたいと思います。
 相談件数、これは相談延べ件数というふうにご覧いただければと思いますが、1万8,123 件、新規の申込みのあったものが6,003 件ということで、実際に取り扱っている実数という意味ではこの6,000 件という数で御認識をいただければと思います。
 実際にどういう立場の方が来るかという意味では、下に書いてありますとおり、被害者、加害者という区分では、圧倒的に被害者の立場の方がお見えになるということでございます。
 示談の成立がどれだけあったかということが右の欄のやや下の方に出てまいりますが、事案終結についてということで、示談成立は3,644 件、審査会移行と書いてありますが397 件、審査に行った場合には実際はほとんど解決しておりますので、これを含めました約4,000 件が示談の成立した件数となります。
 先ほど申し上げた6,000 件と必ずしも対応していませんが、終結をした件数5,900 件に対して、4,000 件くらいが示談が整っているというふうにご覧いただきたいと思います。
 どの程度の回数で解決をしているかといったことが、その1つ下のくくりで示されておりますが、ご覧いただきますとおり、3回くらいまでの間で約半数が解決をしております。5回までで80%くらいが解決しているということでございますが、逆に8回以上も掛かるというものも8%くらいあるというのが実情でございます。
 そのほか、私どもに対するいろいろな評価といったことについては、私どものやったことについて、利用者の皆さんからアンケートをちょうだいしておりまして、そこにまとめてありますので、これも後ほどご覧いただきたいと思います。
 若干私どもの組織についての補足という意味合いで、本席で御参考になるようなことを拾って御説明をしていきたいと思います。
 私どもの業務の内容は今、御説明したとおりで、規定的に言えば、寄附行為に書いてある文言では、交通事故の紛争処理という表現で書かれております。
 ただ、実態的には自動車事故を巡る損害賠償の紛争の解決をする場所ということでございます。現在では自動車全体の85%くらいは、任意の自動車保険、あるいは共済といったものもございますが、保険が付いているということでございます。実際には自動車保険金の支払いを巡る問題が中心となっているということでございます。
 したがいまして、当事者という意味で申し上げれば、先ほど申し上げたように、相談に来る方はほとんどが被害者、その相手側となるのは加害者本人というよりも、むしろ現在では保険会社そのものが相手側として出てまいります。
 当方の担当という意味では、相談担当はすべて弁護士ということでやっております。
 あとは組織そのものの問題からは若干離れますけれども、今回の御論議の中に他の機関との連携、あるいは情報の共有といったようなことも触れられておりますので、そういうことについて今、私どもで行われていることを具体的に少し御説明させていただきたいと思います。
 1つは、入り口のところの問題でございます。御存知のように、自動車事故というか、交通事故に間する相談窓口というのは、自治体の相談窓口を中心として、例えば損保協会という業者の団体でも割合こういったことについて力を入れております。数の上でも相当あるわけでございますが、こういう相談窓口との連携、あるいは日弁連の交通事故相談センターとの連携というようなことが問題になってございますが、私ども、それぞれの機関と明確に制度ということで組み立てているわけではございませんけれども、相談の内容によって、入り口のところで、いわゆる相談所というところに行っていただいた方がいいケース、あるいは日弁連の相談センターさんの方に御紹介をした方がいいケース、そういったものについては窓口のところで振り分けをさせていただいています。
 すべて私どもで行えればいいんですが、私どもとしては、非常に窓口が混雑しております。実際に申し込みをいただいてから初めてお越しいただくまでに非常に長い時間を待っていただくという問題も抱えておりますから、各相談窓口と機能分担という意味合いで振り分けを図っております。
 逆にかなりの部分が相談窓口、あるいは日弁連の相談センターの方から私どもの方の組織を紹介されてお見えになるようなケースが相当数ございます。
 更に、この4月からは、自賠法の改正に伴って、自賠責の紛争処理機構というものが新たに立ち上がるというふうに聞いております。ここは文字どおり自動車事故に関するADRという役回り、自賠責保険に関する部分と聞いておりますが、そういったことを仕事の内容にしていると伺っておりますので、こういうものとは今後密接な連携を保っていく必要があろうと考えております。
 2つ目としては、情報の共有という表現でいいのかどうかわかりませんが、できるだけ情報を、同じような仕事をやっているところと連携を取っていこうということで、それぞれの機関とコンタクトを取っているわけでございますが、1つは、地裁の交通部ということで、東京、あるいは大阪の交通部の先生方と年1回ではございますけれども、懇談会ということで、裁判実務の実態等をお伺いする場をつくらせていただいております。
 あるいは日弁連相談センターの御担当の弁護士さん方とは、当方の弁護士さんと事例研究ということでその都度テーマを設けまして、3か月に一遍、あるいは4か月に一遍ということですから、年3、4回という頻度ではございますが、事例研究会というものを通じて共通の認識に立っていくということであります。
 更に損害保険会社の支払いの担当者といった人たちとも、これも年1回の場ではございますが、各地で懇談会という格好で当面の問題についての意見交換を図っていくというような場をつくっております。
 周辺の情報収集、あるいは周辺への情報の提供ということに関しては、現在私どもは必ずしも全国一律ということではございませんけれども、下級審の判例をできるだけ収集をいたしまして、この判例を一定の整理をいたしまして、パソコンに入れまして、類似事例の参考として項目ごとに検索ができるというようなシステムを導入しております。現在、この資料は内部資料としてのみ活用をしております。
 また、当センターで行ったことにつきましては、通常のあっせん段階のものは特に外に知らせるということはしておりませんけれども、裁定というところまで至ったもの、これは裁定自体の実際には半分くらいでございますけれども、裁定書なるものを作成いたしまして、当事者に渡すというようなことをやっているわけでございますが、この裁定書にまとめたものにつきましては、年度ごとに冊子として、裁定集という格好でまとめまして、これは一般の方に御利用できるような格好で御提供をしております。
 話がまとまりませんけれども、一応私どもの組織に関連する、あるいは業務内容に関連することは以上で終わらせていただきますが、現在、こちらの方でいろいろ御検討をいただいている、あるいは今後御検討をいただくということにつきましては、2、3私どもの業務運営の実態に即して意見にわたる部分があるかもしれませんが、申し上げておきたいと思います。
 まず、最初に時効の中断効を与えるという件でございますが、これは私ども現在、時効後相当の期間を経て私どものセンターにお見えになるというケースもございますし、あるいは私どものセンターでいろいろ取り扱いを経てやった結果、やはり訴訟に行くといったケースもございます。そういう意味では問題になっているような中断の効力をADRにも与えるというようなことで明確化していただくということについては、是非そういう方向でお考えいただければと思っております。
 それと執行力の確保ということについては、私どものセンターで解決を見たというのは、先ほどちょっとお話しいたしましたように、私どもで示談が整ったということは、すなわち保険会社の保険金の支払いという格好で直結をするという形で仕事が進んでおりますので、実際に執行力の問題が表面化するということはほとんどございません。
 あるいは、法律扶助ということについても、御論議があるようでございますが、ここにつきましても、私ども相談の関連については一切無料という格好で取り扱っておりますので、私どもの相談に関連する直接的な問題という意味では、費用負担のことは特に問題になっていないだろうと思っておりますので、この2点については、当センターの活動そのものから特に申し上げることはございません。
 裁判手続との連携でございますとか、裁判所業務の一定部分をADRといったところに委嘱をして、という考え方でございますが、この辺は法律的に紛争解決を考えていくということから考えれば、一定のメリットは考えられるわけですが、これは実現していくためには、さっきお話がございましたように、主としてADR側により一層の体制整備ということが求められていくのではないかと考えるわけですけれども、この場合に、特に私ども民間のADRとして、簡易・迅速・低廉といったことを長所ということで、仕事をやっておるわけでございますが、今後、御検討いただくときに、こういった民間ADRの長所を保つために十分な御配慮をいただきたいと考える次第でございます。この辺は先ほどの時効の中断効の問題等を考えるときの一定の要件をつくっていくという中では同じような問題があるのかもしれませんが、よろしくお願いしたいと思います。
 以上で終わらせていただきます。

○青山座長 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、消費生活用製品PLセンターの三枝さんにお願いしたいと思います。三枝さんからは、資料2-5が提出されております。

[消費生活用製品PLセンターについて]

○説明者(消費生活用製品PLセンター 三枝事務局長) 消費生活用製品PLセンターの三枝と申します。本日はこういう御説明をする機会を与えていただきましてありがとうございます。
 それでは資料2-5にPLセンターのことについて若干記載をさせていただいておりますので、それに基づいて御説明をさせていただきたいと思います。
 本日は私ども消費生活用製品PLセンターについてのお話かと思っていたんですけれども、実はPLセンターはそれぞれ全く別個に設立をされているわけですけれども、経済産業省の機関については、経済産業省の商務流通審議官の通達にのっとった形でつくられているということなので、前半では、経済産業省所掌のPLセンター6機関の全体のことをお話しをさせていただいて、後半で私どもの消費生活用製品PLセンターの紛争処理の状況を御説明させていただくという形で資料をつくらさせていただき、そういう趣旨で御説明をさせていただきたいと思っております。
 まず、いわゆるPLセンター、製品分野別の裁判外紛争処理機関ということでございますけれどけも、PL法の施行に際して、PL関連の紛争について中立、公正、かつ簡易・迅速な解決を進めようということで、産業構造審議会の答申等を受けた格好で、紛争処理の手段の多様化の観点から、ニーズに応じて各製品分野ごとに設立されてきたということでございます。
 PL法の目的としましては、被害者の保護ということでございまして、そういう趣旨にのっとった形で業務を進めようということでございます。
 PL関連紛争で、従来の訴訟も含めて、どういうふうな点が争点になるかと申しますと、どうしても製造物に係る科学的、技術的な事項ということが争点になることが非常に多いわけです。また、ADRということで、低廉・迅速・簡易ということが求められるわけですけれども、PL関連の紛争処理ということであり、科学的、技術的争点の解明のための専門的知見ということを活用することが極めて重要と理解をしております。
 経済産業省では、平成6年10月に、商務流通審議官の通達を発出して、製品分野ごとにそれぞれの専門的な知見を活用した体制を中立、公正性の確保を図りつつ整備をするという形でのガイドラインを示しました。ガイドラインでは、PL紛争の特性を踏まえた上で、紛争処理をどうするかということも含めた形で決めております。
 ほとんどの機関が平成7年7月のPL法施行前、大体3月から7月の間にかけて設立されて、平成12年度には、6機関合計で約9,700 件の相談を受けました。このすべてが製品事故ということではないわけですけれども、多くのPL関連の紛争の解決を行っています。そういう意味では1つの大きな役割を果たしているんだというふうに自負はしております。
 PL関連紛争の特徴とか現状でございますけれども、「原因調査の実施及び「欠陥」の判断の重要性」という標題を付けましたけれども、PL関連紛争の特性からは、どうしても被害者の要請から事故の原因の科学的、技術的な評価というところが両当事者間で議論になります。それから、そういうものが明確になった上でも、欠陥の存否という判断が争点になることが非常に多いわけです。
 そのうち原因調査等を通じて事故の発生機序を明確にするということは、紛争解決のときに極めて重要と理解をしておりまして、そういうような意味ではできるだけ合理的な範囲で原因調査を実施している。その場合には、外部の原因究明機関、経済産業省が原因究明機関ネットワークというのを設けておりますし、国民生活センターも類似の制度を設けています。そういうような機関を活用しつつ、実施するケースも多くあります。しかし、原因調査に要する費用というのは非常に高額になるケースが多い。特に消費者対企業という紛争の中では、紛争処理の低廉性が要求されているということで、そのコスト負担が問題になるケースが比較的多い。
 そういった意味では、実際的には企業による原因調査を活用するケースも多く、そういうものを活用するに際しては、中立・公正な評価体制をきちっと確保していくという形で進めていくことが重要でございまして、そういうような形のものは、評価体制、パネル等での審査の中で積極的に実施させていただいているということでございます。
 それから、原因調査により、相談対応の中において、原因がわかれば、いわゆる紛争が解決するかという議論があるんですけれども、実際には原因調査の結果だけをもって、欠陥の存否が明確になるわけではないという事情が非常に多い。実際に事故の発生機序そのものも明確にならない。例えば物が焼損してしまっていて、実際にはその周囲の状況等の間接事実から検討しなければならないというケースもあります。また、事故の発生機序が調査をした中でも複数の可能性が考えられる。あるいは、そもそも事故の機序が明確になったとしても、評価そのものについて両当事者間で争いが出てきてしまうということが実は非常に多いわけです。
 そういうことから、原因調査に加えて、紛争処理体制を確保していくことが非常に重要になってきます。
 PLの紛争の特性から、原因調査とか、科学的、技術的な客観的事実が問題ないし争点になるということでは、原因調査の結果等を踏まえて、両当事者間での話し合い、いわゆる相対交渉を適切に進められるようにいろいろ工夫をしていくわけですけれども、そういうことで解決困難になった場合には、実は調整的な処理というのは非常に難しく、客観的な事実に対する評価をしていかなければならない。それを事実に基づいて実施をしていくということが非常に重要になってくるわけでございまして、こういう紛争を簡易、迅速に実施をするためには、当該製品分野の科学的、技術的な専門的知見を有する者が紛争解決に大きな役割を果たすわけです。それに加えて、当然、法律的な判断ということが非常に重要になるし、また、社会の公正とか社会の通念に基づいて判断するという意味では、消費者問題有識者の協力も必要ということで、そういう三者構成において私どもは評価体制、パネルの設置をして、そこで審査をするという形で進めているわけです。
 この段階においてPLセンターの事務局では、パネルでの審査が簡易・迅速・適正に行われるために、必要な原因調査をしたり、あるいは情報提供をしたり、現地調査をしたりということも進めております。
 更に、PL関連紛争の多くが消費者と企業の間の紛争であるということで、相談段階においても、消費者に対して相対交渉の促進の観点からの協力等を行っています。実は私どもに相談に来られるときに、どうしても主張が非常に表面的と言いますか、感情的と言いますか、そういうことで、その消費者の方がどういうことを主張したいか、そこが非常に不明確、あるいは明確にならないケースが多く、そういうところからいろいろお話を伺いながら資料を御提出いただきながら、争点の整理をしていくということが一番最初に進めていることでございます。
 それに応じて必要な助言とか情報提供、あるいは原因調査が必要なものについて、そういうものの援助等を進めていくということが求められているということです。
 PLセンターにおける紛争処理に際しての費用ということになりますと、消費者対企業の紛争処理、消費者の権利行使ということになるわけで、申立費用による運営が非常に難しいということで、現状では紛争処理に対しての中立性も配慮しつつ、関係業界、機関等からの拠出によって運営をさせていただいています。
 しかし、現在、中小企業の製品分野においては、関係業界とか機関を取り巻く環境が厳しくなってきている。そういうようなことから体制の維持、さらなる充実・強化のための財源確保等の工夫が実は求められているというふうに理解をしております。
 それから、利用者のアクセスの確保。実はPLセンターは、ほとんど東京に1か所ということでございます。そういう意味では、アクセスの観点からフリーダイヤルを設置し、遠隔地の方でも、電話代等を特に気にしないで、御相談ができるような対応を取っております。
 更に、全国的に設置されている消費生活センターとの連携に努め、そういうようなことで利用者の多くが消費生活センターからの御紹介とか、消費生活センターで相談をしながら、私どもにも御相談をいただけるということになっています。
 また、最近のインターネット等の普及等から考えると、更に利用者のアクセスの確保・向上を図る観点からは、インターネット等による情報提供も進めていきたいというふうに考えており、既に一部のセンターでは実施しています。
 それから、独立性、中立・公正性の確保につきましては、中立・公正性に関する対外的な信頼を醸成・確保することが重要ということで、PLセンターの体制の独立性を確保するということについては、商務流通審議官の通達で最も重点を置いております。
 多くのPLセンターでは、組織形態とか人の配置、事業の内容等を考慮しつつ、多くの機関が母体機関内に設立されているということでございますので、その母体機関からの独立性の高い組織として、いろんな工夫をして設置をされているという状況でございます。
 続きまして、当PLセンターの紛争処理の概要について簡単にお話をさせていただきます。
 資料の3ページでございますけれども、私どもの消費生活用製品PLセンターは、財団法人製品安全協会内の独立の組織として設置されておりまして、いわゆる消費生活用製品を対象に紛争処理、それに加えて製品に関連する事故とか苦情に関する相談ということについて実施しております。
 まず、私どもの紛争処理としては大きく分けて2つございます。
 1つが、相談ということで、相対交渉の促進ということを私どもあえて付けさせていただいています。これは企業と消費者との間の交渉をいかに円滑、かつ適正に行っていくかということで、私どもが積極的にそこに対して協力をしていくということですが、どちらかというと被害者、企業がそれぞれ主体となって解決を図るシステムでございます。
 特に先ほどお話をいたしましたように、紛争当事者、とりわけ一般消費者たる被害者からの御相談ということがございますけれども、一般的に消費者の方というのは、企業と比べますと、技術的知識、法的知識、あるいは交渉力等に大きな格差がある。そういうようなことで、これを進めていくために、両当事者が対等に近い交渉が可能になって、ある程度自主的に公正な解決に至るように、特に消費者、被害者側の申出内容に応じて必要な助言、あるいは情報提供を積極的に行っております。
 また、被害者側の要請に応じて紛争事案に対応して両当事者の協力を得て争点の整理をしたり、必要となる助言、情報提供を行って、更に原因調査等の協力・援助、そういう中において相対交渉ができるだけ促進できるような対応を取る。そういう中で実質的な紛争解決が行われているということでございます。
 このような紛争解決を進めている。特に両当事者間の調整的なことも含める形で進めているものを、製品事故、品質クレームと区分しております。こういう中では紛争解決に当たって法的な知見が必要なケースがある。そういう場合には、必要に応じて弁護士の助言を得つつ、対応させていただいているということでございます。
 実際にこのような処理において、紛争の解決が困難になった事案というのは、実は調整的な手続というのは、非常に困難なケースが多い。私どもは、このほかに弁護士によるあっせんという手続を設けているんですけれども、なかなかそういう調整的な手続が困難ということで、実は調停、私ども裁定として運用している制度の方に移行して対応させていただいているのが現状です。
 この調停については、事務局から独立したパネルで進めることになるます。このパネルというのは、弁護士が議長で、それに消費者問題の有識者、技術専門家によって構成されているというものでございます。これに損害であったり、因果関係の関係で医学的な知見が必要な場合には、専門医にも御参加いただく。そういうパネルにおいて、事実に基づいた裁断的判断を行うという形で進めさせていただいております。
 私どもは東京1か所で全国的なものを対応しているということでございまして、実際に遠隔地の方の御出席というのが、特に被害者側は難しい。そういう意味では、私ども事務局が判定会の要請によって、現地に行ってお話を伺う。あるいは現在のところ実績はございませんけれども、判定委員の先生、多分、弁護士の先生になるんですけれども、先生に現地に行っていただくことも考慮しています。
 そういう形で被害者側の意見なり主張なりを判定会に適切に伝えることができるような対応をしております。そういうことで、パネルの審査については、専門家が、両当事者の主張、立証というものを積極的に取り入れ、それに加えて、現地調査とか原因調査、あるいは医療調査ということも実施して、そういう中で欠陥とか因果関係、あるいは損害というものを判断した上で、詳細な理由を付した審査結果を文書で両当事者に報告させていただくということになります。
 この審査結果については、両当事者を拘束するものではございませんので、審査結果について、受け入れられないことにより、最終的な解決に至っていない事案もわずかでございますけれどもございます。しかし、欠陥が存在しないということも含めて、賠償責任がないという判断をされた事案も含めまして、審査結果に相当詳細な理由を付して、明確に示しているということで、両当事者の理解を得て解決に至っているケースがございます。
 特に一般消費者の方、先ほど遠隔地の話をさせていただきましたけれども、私どもで扱っている案件の中で、被害者側で弁護士が関与するケースは今までございません。弁護士からの御紹介を得て私どもに御相談をしたというケースはあるんですけれども、実際に調停の申し立て、審査等について、弁護士が関与していないということで、実は申立書の作成自体が難しい、あるいはどういう証拠を集めていいかということがわからない。そういうことで、私ども事務局の方で被害者側から要請に応じて、調停申立書の作成を援助したり、どういう資料が必要なのか、そういうものについてお話をさせていただいて、適切に集めていくということで対応させていただいています。
 それから、被害額というのはなかなか算定が難しいということがございまして、これについては、先ほど第二東京弁護士会の方からお話がございましたように、必要な書類を御提出いただいて、それによって判定会で適正な賠償額を算定してほしいという形で進めているケースがほとんどでございます。
 私どものPLセンターの相談の受付状況につきましては、その下の表にございますように、製品事故とか品質クレームという、関与度が非常に高い、いわゆるあっせん的な対応と考えていいのかもしれませんけれども、そういうものがこれまでに製品事故が151 、品質クレームが82でございまして、いわゆる裁定的な判断を進める調停の申立てが、現在までに15件ということでございます。
 特に平成12年度の状況については、別添のPLセンターダイジェストにどういうふうな相談だとか、審査結果がどうであるかということを書いてございますので、御参考にしていただければと思います。
 ちょうど時間になりました。

○青山座長 どうもありがとうございました。時間が少し押せ押せになっておりますけれども、引き続きまして特定非営利活動法人シロガネ・サイバーポールの深草さんからお願いします。

[特定非営利活動法人シロガネ・サイバーポールについて]

○説明者(特定非営利活動法人シロガネ・サイバーポール 深草氏) 本日はお招きいただきましてありがとうございました。
 私どもの現在やっていることは、皆さんが念頭に置かれているADRというものと必ずしも一致しないのかもしれませんが、実際にどういうトラブルがあって、我々はどういう対応をしているかということをお話しできればと思っております。
 資料の表紙を除いた3ページ目になるかと思うんですが、3ページ以降、表を幾つか添付させていただいております。私どものところに、すべてインターネットを経由してメールで寄せられたトラブルと思われるもの、そういったものを一応主観的に分類してみたものです。
 ここで申し上げている「ネット取引関連」というのは、インターネットオークション、大手のサービスプロバイダーと呼ばれる事業者が、商品の出品を個人、主に個人を対象に出品をして、また、落札者の方も主に個人でございますけれども、購入すると。一時はやったフリーマーケットのインターネット版という形ではないかと思われるのが一番イメージがしやすいのかなと思われますが、そういったもの。
 それから、業者とは限りませんが、多くは業者の方が自社の製品をネット上に出品して、それを消費者、あるいは個人事業者が買うという、いわゆるネット上通信販売といったようなものを含んでいます。
 それから、「個人情報関係」というふうに大きくくくってしまったんですが、主として多いのは誹謗・中傷絡みのものが多いです。主にインターネット上に掲示板と呼ばれる、だれもがここにアクセスさえすれば、自由に書き込みを行うことができる場所と言いますか、サーバーと言いますか、そういうところがあるんですが、そこにアクセスをして、そこでは通常はペンネームのようなハンドルネームと呼ばれる自分の本名ではないものを使って書き込み、発言をします。その中である特定の人物、あるいは特定の会社が、こういったことをしている、悪質だということが必ずしも根拠なく述べられているという状況の、いわゆる誹謗・中傷のようなものです。
 それから、必ずしも掲示板とは限らず、掲示板も含めて、自分で運営しているホームページなどを、ある特定の人物がわかるような形で、その人の個人情報を公開してしまうというものがあります。ひどいものは掲示板と呼ばれるだれもがアクセスできて、だれもが書き込みができるというところに、あたかも本人になりすまして、私はこういうことを望んでいます、本人は全然望んでいないわけですけれども、そういったことを書き込んで、そこを見て、電話番号を書いてあるので電話を掛けましたということで被害に遭われる方もいらっしゃいます。多くは性的なことが書かれていることが多く、深刻な問題になることが多いです。
 そこから更に発展して、ネット・ストーカー的なものがあります。もっと悪辣なと言いますか、辛辣なと言いますか、激しい言葉になることもあります。実際に本当に怖くなってしまうというようなものです。
 「迷惑メール」というのは、主としてこれもまた性的なものが多いわけなんですが、なぜ我々のメールアドレスを知っているのかわからないけれども、メールが逐次送られてきます。定期的に送られてきます。そのメールアドレスをプロバイダーを通じて自分のところに来ないようにしてもらうと、今度はちょっとだけ変えてまた同じようなものが送られてくるということがあります。
 それから、「ネット関連業者とのトラブル」というものは、ネットを通じて、あるいはプロバイダー・サービスで、こういうところが問題ですといったものとか、知らないうちに国際電話につながって、勝手にされてしまいましたというものも現存しています。
 「知的財産関連」というのは、自分のホームページである作品をつくってみたいんですが、これは大丈夫でしょうかとか、いわゆる著作権的なものが多いです。
 「その他」というのは、必ずしもすべてがそうではありませんが、インターネットと直接関係ないものを分類しています。通常の商品の売買で困りましたという、通常の法律相談と変わらないものをここに分類しています。
 一見して明らかだと思うんですが、次の分野別の月間推移というものを見てもらえればわかると思うんですが、一番上に月全体を表しています。多い月、少ない月というのがございますが、それは季節的というものではなくて、昨年の4~6月というのは、私どもの団体が新聞、あるいはテレビ等で取り上げられたので、相談が殺到したということで、それが一段落して、またパブリックになると相談が来るという繰り返しで、認知度が上がると相談が来る。また忘れられてしまうと相談が減るという状況です。
 2番目に多いのが、これは先ほど申し上げました個人情報関係というもので、その相談件数の推移に比例して個人情報関係の相談は来ます。
 3番目に多いのが、ネット取引関連のものです。これは当初、4~6月は多かったんですが、そこから徐々に減っています。原因は推測はしているんですが、後で申し上げたいと思います。
 最後に全体の割合というものを一応円グラフにしてあります。ちょっとわかりにくくなって申し訳ないんですが、52%が個人情報関係のもので、誹謗・中傷から、プライバシーが公開されてしまうといったものを含んでいます。
 それから、20%がネット取引関連のトラブルで、代金を払ったけれども、届かないとか、あるいは代金が払われません。商品が思っていたものと全然違いますというトラブルです。
これが我々が受け付けている相談の、おおざっぱに申し上げた概要ということが言えるかと思います。
 一つひとつの特徴とも言ってもいいんですが、一見して、誹謗・中傷事案で、個人情報関係、ネット取引関係というものが多いんで、その2つのタイプについてお話ししたいと思います。
 個人情報関係のもので多いのは、圧倒的に誹謗・中傷事例というものが多いと思います。その中で特徴的なことは、我々のところには、私は被害者ですという形で相談が来るわけなんですが、実際に問題となっているホームページを見てみますと、どれが誰なのか、まずさっぱりわからない。お互いに言い合っているように見受けられる。どうも特定の一人が複数のハンドルネームを用いて言っているのではないかと。ある人を悪く言う人がいれば、それを支持する人もいる。実は自作自演なんじゃないかというようなものもありますが、加害者・被害者というのを区別ができないものが多いです。
 更にプライバシー情報が公開されてしまうということに関しては、これは公開されてしまっている人が被害者と申し上げていいかと思うんですが、そういったことに非常な恐怖感というものがあります。実際に電話が掛かってきたり、勿論、それを公開した人ではないわけですが、いろんな人から電話が掛かってきて、中にはいい人もいて、そういうホームページがあるから、早急に削除させた方がいいよと言ってくれるような電話もあったということもありますが、非常に恐怖感を抱いている被害者の方が多いです。
 ネット取引関連のトラブルというのは、お約束と申し上げてはあれですけれども、商品が来ない。ネット上の写真と比べてみると全然違う商品だ。傷が少ないと書いてあるのに傷だらけだ。それから、代金が払われない。そういったものが多いというのもありますし、特徴と申し上げていいのかどうかわかりませんが、ある程度表で買いづらい商品がネット上で流通していたりして、そういったものをつい購入してしまいましたというような、心の隙間につけ込むと言ったら何ですが、そういったことで、かつ商品が届かない。だから、どこにも言いに行けないというものもいくつかございます。
 個人情報関係のもの、ネット取引関係のものと共通して言えるのは、まず相手がわかりません。ネット取引などであれば、代金の払い込み先、商品の送り先が書いてあるからわかるのではないと思われるかもしれませんが、しばしばそこはニセの住所が書いてあったり、ニセの電話番号が書いてあったり、自分名義ではない銀行口座であったりします。必ずしも相手が特定できるとは限らないというか、私どもの感覚ではむしろ特定できません。普通は特定できないということの方が多いと思うんです。
 それから、誹謗・中傷、それからプライベートな情報が開示されてしまうものというのは、なお一層わかりません。特に掲示板と呼ばれるところでは、ハンドルネームというものを用いて、人々が発言していますので、全く見当も付かないというものもあります。
 仮にプライベートな情報が開示されるということで、相手がわかったとしても、怖くて自分では何もできない。そこに何か申し入れをした場合には、被害に遭っていると思われる人が何らかのアクションを取ったということが相手に伝わってしまうので、何もできない。そういったことでどうしたらいいんですかと言われても、我々にも何もできないというものもございます。
 もう一つ書かせていただいているボーダーレスということなんですが、外国のホームページ、つまり、在外の日本人の方が外国のサーバーを通じて立ち上げているホームページなどに誹謗・中傷される。
 あるいは、これもネット取引の特徴かもしれませんが、外国のちょっと珍しいものとかを少額で販売しますよということで、外国に住んでいる方がそういうページを立ち上げて販売されている。そういった所とのトラブルもございます。
 もう一つの特徴として、これは圧倒的に金額は小さいです。商品を買いました。3,000 円とかいうのがしばしばあります。せいぜい高いものでパソコンが一番高いものです。ですから、せいぜい20万から30万円というのが上限ではないかと思います。中には宝石というのもございまして、宝石は100 万円近くのものもありましたが、極めて例外的で、通常はせいぜい20万から30万円くらい。10万円もいけば非常に高いというものが多いです。
 実際にそういったトラブルが来ている中で、どういう解決、ないしは解決できなかったということがあったかと申しますと、プライベート情報が公開されます。あるいは誹謗・中傷されていますという場合に、実際には掲示板というサイトを運営している、それは大手のサービスプロバイダーだったり、あるいは業者に類似するような個人だったりするわけですが、そういったところに働き掛けて、これは私どもの方からこういった内容の掲示板があります。こういった内容についてお互いに誹謗・中傷合戦をしていると思います。そういったことは管理をしている人にとっても本意じゃないから、それはやめさせた方がいいんじゃないでしょうかという御提案をさせていただいたことと、それから被害者本人の方から、被害者と称する人かもしれませんが、本人の方から困っていますということで、サーバーの方が自主的に自粛されたという事例があります。
 それから、個人情報が開示されていますというホームページがありましたので、そこには被害者の方が、私どもの相談を受けてかどうかはちょっとわからないんですが、自主的に働き掛けて、本人がそのホームページを閉じてしまったという事案はあります。
 ネット取引関連で申し上げますと、まず先ほど申し上げましたが、相手がわからないというのがほとんどと言ってもいいかと思います。
 そういった中で解決できたのは、1つには、これは警察の方が詐欺だということで取り上げてくださった場合、この場合には、解決したものもございます。一方、逆にネットのことはわかりませんということで、事実上の門前払いになってしまったような方もいらっしゃいます。
 それから、相談者の方が自ら振込先だった銀行とか、商品の発送元の郵便局というところに働き掛けて、相手を突きとめたという事例があります。
 それから、相手が分かっているものの中には、私どもの方で、とりあえず内容証明郵便で書いてみたらどうでしょうかという御提案をさせていただいて、どうも解決への道筋が付いたのではないかと思われるものがあります。ただ、最終的なところまでは私どもの方では、報告してくれと言っているわけではございませんので、わかりません。
 ネット取引関連のことで申し上げれば、実は先ほどのグラフの中でも、昨年の夏ごろから激減しているんです。それは何でかということを私どもの方で推測しますと、実は大手のネットオーションを運営している業者さんが、出品者と買う人が本人確認できるようなシステムに変えたんです。それが大きく寄与しているのではないかと。結局のところ、相手方がわかれば、多くのものは解決しているということが言えるかと思います。そうは言っても、未だにトラブルというのはいくつか散見されます。
 未解決の事例の特徴としては、今ちょっと申し上げましたが、とにかく相手がわからないとどうしようもありませんということで、それから国際的なものに関して言うと、例えば、日本と米国であれば、その気になって裁判をやれば何とかなるかもしれませんし、あるいは仲裁合意が取れて仲裁ということになれば、ニューヨーク条約の関係で執行ができるのかもしれません。しかしながら、いずれにしても、先ほど申し上げましたように数千円のトラブルなんです。そうすると、外国とどういうふうなコミュニケーションを取って、現地の人の誰を頼ればいいのか。そこまでは私ども方でも今のところ全然力もございませんので、対応がしきれない。
 解決するために、多大なコストが掛かってしまうというのが多いと思います。過大なコストというのは、被害の額が数千円、せいぜい数万円というレベルから申し上げますと、1万円だって多いと、被害を受けた人からすると思うんではないかと思います。
 これはADRに対して法律扶助をできるかどうかというお話もあるかもしれませんが、実際にこういうトラブルに遭われている方は、法律扶助の対象になるような方ではないと思います。ちゃんとした収入があったりする方で、法律扶助の定義の対象にはないと思います。単純に解決するためのコストと、そこから得られるメリットというものを比べた場合にコストの方が高いという状況になっている。
 一方で、そこにある意味でうまみを見出して、一種の無法地帯的なところもあるわけなんですが、そういったところで利益を吸い上げている人が現実に存在している。
 誹謗・中傷、あるいはプライベート情報が公開されると言ったことも、実際、誹謗・中傷であれば、一方的であればまだしも、双方言い遭っていると、これはどうしようもない。裁判所でも対抗言論の議論ということで、けんか両成敗的になってしまう。あるいはプライベート情報が公開されていますと言っても、それほど大きな損害賠償額が取れるとは現状では思い難いという状況があって、もう一歩進んだ場合には、本当に被害者の方は恐怖感で固まってしまう。深刻になってしまうものが多いと思います。
 その意味では、実際に解決するためのコストは非常に掛かってしまうわけなんですが、これを放っておいていいものかというところは非常に疑問もあって、私どもボランティアで何かできないかということを模索しているわけですが、なかなかいい手が見つからないというのが現状です。
 そういった中で、どういったものがあればいいのかということを考えてみますと、まず相手方を何とかして特定したい。何とかそこに調査できるようなものがないだろうか。現在においては、実際にインターネットにアクセスしてくる方というのは、インターネットに接続するサービスプロバイダーが主として情報を握っていて、そのサービスプロバイダーは何とか突きとめることは不可能ではありません。けれども、そこから先が消えてしまって、相手方の個人を特定するのは非常に困難です。
 そういった観点からすると、これは必ずしも法律で何とかするということではないのかもしれませんが、相手方を特定するために、中立の機関があって、そこには厳格な守秘義務があって、そこには言ってもしようがないんじゃないかと思われる機関があるといいのかなというのが1つ思っています。その中では相手がわかる。
 また、そういった中立の機関があることで、プライベート情報が公開されているという事例の場合は、本人がアクションを取ったということを相手に知られたくないわけです。とにかく本人が出ないままに解決できる手段というのはないものかということが必要ではないかと。現状においては、多分警察しかないのかなという印象を受けているわけなんですが、なかなかその手段というのも、実はあるようで非常に世の中にたくさんの事件が起きている中では、余り機動性が欠けているのかという印象があります。
 それから、被害額はとにかく小さいので、コストがほとんど掛からないような制度がある必要があると思っています。そういった仕組みは何かないのかなと思っています。私どもはボランティアでやっておりまして、弁護士が中心ですけれども、普通のサラリーマンの方もいらっしゃって、そういった方が、本当はこれはまずいんじゃないかなと一方で思いながら、営業時間中に相談に乗ったりしているわけです。
 それから、私どものところでも、1年に満たないわけなんですが、150 件超の相談が寄せられているということから考えると、どこかに相談を受け付ける場所があるというのでは、正直言って遠いと思います。ネット上で、そのままメール等で、居ながらにして、とりあえず入口は確保される。その中でどういう実体判断をしていくのかというと別問題であると思いますが、とにかく入口が電話でも遠いという感覚が、私どもが受けている相談事例の中にはあると感じます。
 それから、最後に、先ほどもちょっと申し上げましたが、国際的なものになってしまうと、打つ手が事実上ないというのがありまして、そこを何とかできないものか。1つには、私どものような団体が外国の似たような団体と連携していくということも考えられるわけなんですが、まだ、なかなかそこまでは至っていないというのが実情ではあります。
 以上が私どもが現在受けている相談、それから考えていることの概要です。

○青山座長 どうもありがとうございました。
 それでは、最後になりましたけれども、NPO法人日本技術者連盟の井戸田さん、お願いします。

[特定非営利活動法人日本技術者連盟について]

○説明者(特定非営利活動法人日本技術者連盟 井戸田事務局長) 日本技術者連盟の井戸田でございます。最後になりましたので、早目にさっと述べさせていただきたいと思います。
 お手元の資料にございますが、今、お隣の深草先生のお話をきいていると、ぞっとしてきたんですけれども、これは私ども頑張らなきゃいかんのかなという感じがちょっとしています。
 実は私どもはプライバシー保護の第三者認証機関です。プライバシー保護問題では日本は大変遅れてしまいまして、欧米が先行しています。日本も多分、来月あるいは再来月、国会を通るのではないかと、新聞にこのごろ出ているようです。やはり第三者認証ということでアメリカでスタートいたしました"TRUSTeシール"につきましては、パンフレットの最初のページに歴史が書いてございますように、アメリカはまだ6年、7年くらいの歴史でございます。
 第三者認証ということで、審査をきちっといたしまして、あくまでもネット上のオンライン・プライバシーに特化しております。
 一番大きな問題は、EUを中心としたネット上の漏れが大きいわけです。プライバシー保護はオフラインよりはオンラインが重要なんです。
 さっき、先生がおっしゃられたように、1つのクリックだけで何十万、何百万というデータが一度に流れるわけですから、オフラインも大事なんですが、重要なのはオンラインなんです。それでEUとアメリカが中心になりまして、大変強固ないろいろなレギュレーションがつくられましたが、日本は大変出遅れてしまいました。日本は言わばセキュリティーが先行したんですね。
 先般も実はアメリカのカリフォルニア州で TRUSTe が中心になりまして、FTCのコミッショナーも参加されまして、合同会議が開かれました。コミッショナーの方が冒頭に、「横断歩道を渡るときは、左と右を見るでしょう。左がプライバシーで、右がセキュリティーですよ。両サイドを見てから横断歩道を渡ってください。そうしないと、交通事故に遭います。ひょっとすると、ひかれて死んでしまいますよ」と。その交通事故に遭った場合の処理が、多分ADRではないかと私は考えております。
 アメリカは大変厳しくなっておりまして、プライバシー問題もセキュリティー以上に大きな問題を抱えているわけです。日本はまだセキュリティーは相当技術が高くなってきたんですが、やはりセキュリティーとプライバシーは車の両輪と言われており、プライバシー問題を早急に解決しないと、先ほど先生がおっしゃられたような形で、大変大きな問題が起きているのではないか。
 TRUSTe は、実は7年前にアメリカのカルフォルニア州のサンノゼというところに設立された、カルフォルニア州のNPO法人ですが、設立者は人権擁護委員会だとかコマースネットなどの民間団体が結集いたしまして設立されました。現在、2,000 近い大小のネットビジネス、オールドビジネスも入っています。所定の審査をいたしますと、"TRUSTe"というマークが付くんです。これを消費者が見るわけです。それで、このマークが付いているところは安心だということで、先ほど申しましたようなネットビジネスを安心して、お金を送ったり、IDを送ったりするわけです。これが付いていないところはアクセスしない。入口でシャットアウトするわけです。
 更に今、eメールも迷惑メールがたくさんありまして、"トラスティッド・センダー"という新しいプロジェクトがスタートいたしまして、eメールも審査の対象とするわけです。このマークが付いていなければ受け入れない。逆にマークが付いていないと開けないという形で、入口で審査をしているということで、先ほどお話のあったようなものは全部排除してしまう。しかし、それでも問題が起きるわけです。
 それが、実はここにございます"WatchDog"、番犬が働くんです。番犬が付いていまして、これは何かと申しますと、事務局がプライバシーシールを与えたところに対して更に追い打ちをかけるわけです。どういう追い打ちかと申しますと、3か月に1回ずつ規定に沿って確かに事業者が運営しているかどうか。あるいは消費者から苦情がきていないかどうか。苦情が言われていないかどうかなど、これを3か月に1回ずつ監査を義務づけられるわけです。これは、我々事務局がやるわけです。そのために審査人養成講座をちゃんと受けるわけです。
 日本は昨年からようやく日本語版を開設したものですから、まだ苦情は余りないんです。多分年度内にプライバシーシール取得者が100 近くになってきますと、いよいよ先ほど先生方がおっしゃっておられたようなものが出てくるんではないかなと思います。いくら監査をしても出てくる危険があるわけでございます。
 それで、お手元にございますような、実は事務当局に、現在までのところ国内は余り事例がありませんということを事務の方に申し上げましたところ、アメリカの事例で結構だから、今日ちょっとしゃべってくれということでございますので、アメリカと連絡と取りまして、データは英語でございますが、提出させていただきました。ただ、先ほど深草先生がおっしゃられたように、これは全くお金が掛かるんです。弁護士を頼みますと。また、アメリカの場合ですと、プライスウォーターハウスクーパースとか、KPMG、監査法人に頼むんですね。目が飛び出るくらい、1時間250 ドルと書いてありますけれども、1時間で収まるわけではありません。ですから、できるたけ私どもの"WatchDog"で食い止めようという形で要請されているんです。
 それを突き切る場合は、ある程度外部に委託をする。最終的には、与えたプライバシーシールを剥奪するんです。私どもはシールを与えないところにはタッチできないんです。あくまでも"TRUSTeシール"を与えたところに対してのみ、責任が生じるわけです。
 次に、私ども、逆にアメリカとも相談しているんですが、国内でも消費者教育を徹底しようじゃないか。要するに、第三者認証をされないサイトにアクセスしないでくださいというような運動をしていくべきではないか。いわゆる消費者教育です。サプライサイドとディマンドサイド、両方の教育が一番大事ではないか。特に消費者教育は大変重要であります。
 携帯は更に大きな問題を抱えています。利用者は4,000 万人と言われていますから。日本の携帯は技術的には世界に誇る技術なんですが、果たしてプライバシーはどうなっているんだろうか。これ先生方よく御存じだと思います。全く筒抜けなんです。
 昔、公害問題が大きな問題となった時、トイレのない住宅ということが言われましたが、テクノロジーは大変恩恵を被りますけれども、逆にテクノロジーが公害を起こしたわけです。同じような状態がネット社会に起きているわけです。テクノロジーは大変便利なんです。世界から情報が瞬時に集まるんです。ところが、そのテクノロジーがプライバシーを侵しているわけです。
 そういう面から考えたときに、やはりプライバシーとセキュリテイー、この問題は、連携プレーをしていく。その前提条件は教育ではないか。教育で始まって教育で終わるということを先般のTRUSTeセミナーの時、FTCのコミッショナーも言っておられたんですけれども、徹底した教育だと。そうしないと、いくら法律とかルールをつくっても、やはり抜け駆けは必ずあるわけです。
 日本もプライバシー教育はややもすると軽視されている。できるならば高校からやるべきではないか。
 PLが問題となった時もそういう話はあったと思うんですけれども、やはりプライバシーこそ、高校生あるいは中学生の段階から徹底すべきじゃないか。自分の個人情報は自分でちゃんと管理しなさいよという教育をすべきではないか。そうしないと、いくらシステムを、あるいは制度をつくっても、必ずうまくいかないんじゃないか。これはアメリカの事例でもそう出ております。
 ですから、私どもプライバシー・トレーニングというものを、今の段階はサプライサイド、すなわちネットサイドに対してやっています。アルバイト、派遣社員、更にまた部課長、トップマネージメントのためのCPOという制度を含め、アメリカでスタートしたわけです。CPOはチーフ・プライバシー・オフィサーというんです。トップからしてプライバシーを徹底しよう。それをアルバイト、派遣社員まで、あるいは外部のコンサルタントの先生に対しても、個人情報を扱う人に対しては一律に教育をしていこうということがアメリカでは始まっているわけです。
 そういう面から見ると、まだ日本は、私どもこの仕事を始めて1年ちょっとですけれども、教育という問題は全然取り上げられていない。大変これは大きな問題になってくるのではないかなと思っておるわけでございます。
 今、ヨーロッパで活躍している米国系企業のための「EUセーフハーバー」という、アメリカとヨーロッパが提携いたしまして、アメリカの企業がヨーロッパで事業をやる場合は、プライバシー保護問題で、大変問題が起きたわけです。EUと相談した結果、EUセーフハーバー、つまり安全な港という制度をつくりまして、それでアメリカの企業がヨーロッパに対して仕事ができるようになったわけです。そういう制度に日本は入っていないんです。いずれ日本企業がEUなり、アメリカで仕事をする場合に必ずそれを言ってくる可能性が十分ある。
 そういう面では、先ほど国際化という問題かあるんですが、インターネットは国際化ですから、インターネットが生まれたときから国際性を持っているわけです。日本国内で考えるべきものではないと私は思っているんです。
 その面で"WatchDog"も、"ADR"も、すべて国際社会において展開できるような形で持っていく必要があるんじゃないかなと考えているわけです。
 現実に、私ども既に少しやっておりますが、アメリカの事例も現実にありまして、ただ、お金が掛かりますので消費者はいやがるんです。お金が掛かりますよと言うと、わかりましたということでトーンダウンするケースがあるみたいでございます。
 それでは、私どもで実際"ADR"を担当している高橋の方から簡単に説明をさせていただきます。

○青山座長 ちょっと待ってください。予定の時間は、今日は12時半まで頂戴しておりますが、今のような状況でございますので、15分か20分延長させていただくことをお許しいただけますでしょうか。
 それでは、高橋さん、ごく簡単にお願いします。

○発言者(特定非営利活動法人日本技術者連盟 高橋氏) よろしくお願いいたします。
 WatchDogなんですが、これは消費者の皆さんが、この会社ないしはこのサイトについてこういう問題があります。あるいは、自分がこういうトラブルに遭っていますということを簡単に書き込めるサイト上のフォームがありまして、そこからスタートします。
 ただ、この書式がどこにあるのかわかりにくいということでは困りますので、1つは、先ほど認証させていただいたときに、各サイトの方にはプライバシー・ステートメントということでユーザーの皆さんに対して自分のサイトはこういう情報を集めています、こういう使い方をします、こういうところと情報の共有をすることがありますといった内容をオープンにしていただくんですけれども、そのページに何かトラブルや苦情があったときには、TRUSTe のページに申告をしてください。あるいは、自社の相談窓口はこういうところにありますと。そういうものを書いていただくページがありますので、そこを経由でWatchDogページに来られる方もいらっしゃいます。
 もう一点、その認証しているページが本物であるかどうかを確認させるための保証書というか、TRUSTe からこの会社については確かに認証しておりますという表示をするページがございますから、その中にも、何かあったときにはこのTRUSTe 、WatchDogのページで申立てをしてくださいという案内をしています。皆さんの目につくところでそのページに簡単にアクセスしていただけるような形を準備しております。これはアメリカも日本も同じ形でございます。
 そういうところで来ました苦情の中にどういうものがあるかというと、これは資料Aをご覧ください。新しいデータがまだ整備できておりませんので、2000年の10月から2001年の12月までのデータなんですけれども、これを見ていただきますと、一番上の数字はそのWatchDogプログラムでTRUSTe に申立てのあった件数でございます。平均でおよそ月間300件です。
 2段目が、そのうちTRUSTe のライセンシーに関わるような部分で、これがおよそ200 件ありまして、その中でなおかつプライバシー問題に関わる案件、これが100 件前後、つまり3分の1くらいがTRUSTe のライセンシーに関わり、かつ、プライバシー問題に関わるテーマです。
 そのうちの約9割については、その月のうちに解決をいたします。積み残しが約1割あるということが次の数字でございます。
 大体どういう内容のものが多いかと言いますと、まずPrivacy Related Issuesというところですけれども、上からいきますと、例えば申込みの取消しとか、退会、脱会、そういうものがうまくいかないというもの。
 それから、スパムメールです。入会等を申し込んで、あるサイトに自分の情報を送ったが、得体の知れないところからメールが来るようになったということでございます。
 そういうことを含めて、どうも自分のPII(個人特定情報)が不当に他に流れているように感じるというもの。
 それから、サイトがオープンにしているプライバシー・ポリシーにそのサイト自身がどうも従っていないようだ。言っていることとやっていることが違うじゃないかというものです。
 後は同じように、取引をやめたい、なおかつ情報を取消して欲しいとか、そういう申し入れに対しなかなかサイトが反応してくれないとか、反応が遅いとか、そういう苦情が入ってくるということでございます。
 これは月々でそんなにばらつきはなくて、おおよそ同じような程度で推移しています。
 この結果、どうなるかと言いますかと、次の表でございますけれども、上から3つ目にございます。
 TRUSTeの対応としては特に変更を要しない、これがほとんどでございます。つまり、「オペレーションを少し変更してほしい」「運用の変更を依頼」あるいは「プライバシー・ステートメントの内容を書き変えなさい」という指導をしたりするんですが、そういうことを特に要しないのがほとんどの解決になっています。思い違いだったり、誤解だったり、あるいは個別の特例的な扱いだったり、ほとんどのものが大きな変更をしないで済んでおります。
 ただ、それがどんどん進みまして、悪質なものになりますと、まれなケースですが、シールの取消しだとか、あるいは訴訟だとかいうことになります。そういったレベルで、「表組」では昨年の8月のところに1とありますけれども、監査を依頼したということになっています。これはトラブルが解決してもそのとおり動いているかどうか、外部の監査をしていただいて、確認してもらわないとOKしませんよという形になった例です。
 WatchDogの流れについて言いますと、そのような形になっております。多少、内容の程度が重いものとか、こういうものについては、資料Bに例があります。これはTRUSTe サイトへ行っていただきますと、すべてここに記載されておりますので、興味のある方については、ご覧になっていただければと思います。
 以上です。

[質疑応答]

○青山座長 それでは、ただいままで、6つの機関につきまして、御説明をいただきました。予定した時間は既に過ぎておりますけれども、若干の時間をいただきまして、もし御質問があれば承りたい。そして、お答えいただきたいと思います。どうぞどなたからでも結構でございますが、よろしくお願いします。

○安藤委員 単純な質問でよろしいですか。弁護士会のお二方にお聞きしますが、仲裁という場合に、当事者という形でお互いに会いますね。そのときに、当事者本人が出てくる。申立人以外に人が出てくるんじゃなくて、本当の申立人だけが出てくるケースというのがほとんどなんでしょうか。

○説明者(第二東京弁護士会仲裁センター 大川氏) 代理人が付いて、それも弁護士ですが、弁護士が付いて来るのは金額の大きい事件、高額事案については弁護士が付いてくる。仲裁の場合ですと、仲裁合意がない段階でも会社の担当者、例えば法務の方とか、一緒に同席されて手続の中で意見を言われるということになっております。
 したがって、他人任せの形での解決を図るというよりも、大きな事件でも通常の本人たちが出てくる事件でも、それは皆さん当事者が意見を言って、それで解決に向けて手続を進めていくということが大事です。

○説明者(岡山仲裁センター 鷹取氏) 基本的にはできるだけ当事者に出てきていただくようにしています。弁護士、代理人が付いても、できるだけ本人に来てもらう。
 通常弁護士の方が普通の調停とか和解と比較すると、発言を控えるケースが多いと思います。ただ、交通事故の場合には、加害者本人ではなくて、保険会社の担当者が出てくるケースが結構多いです。

○安藤委員 申立てをする方のレベルが非常に高いものじゃないかなという感じを受けたものですから、それを伺いたかったのです。

○原委員 3点なんですけれども、最初に二弁と岡山の仲裁センターのことでお聞きしたんですけれども、訴訟と仲裁センターとで出た結論みたいなところで、訴訟を参考にしながら仲裁センターの結論を出されていくのか、それとも納得性みたいなことを先にして、訴訟での結論、今までの判例に引きずられない形での結論を出されているのかというところを質問したいと思います。
 それから、お二方と、交通事故の方を含めて、お三方なんですが、関連資料を出していただきたいというときに、両方とも関連資料というのは結構テーブル上に出てくるものなのか、そこは困難を極めるということになるのかということをお聞きしたいと思います。
それから、もう一点、交通事故のところで、すごく案件が多いので、フォローアップをした後で、満足度というのは非常に重要な資料になるかと思いますけれども、結構高い満足度が出ていますということなんですが、実際に回答は100 %あっての満足度という数字だったのかどうかをお聞かせいただきたい。
 もう一点なんですが、TRUSTe なんですが、大変面白くて、今後、認証とADRをセットにした形のものというのは、おそらくいろいろと出てくると思うんですが、コストの話のときに、認証を与えるときに、ADRのコストも含めた形で費用負担をしていただくということで、マークを取る側にそれをお願いするというのは不可能なのかどうか。

○青山座長 交通事故のことですので、先に小柳さんの方から。

○説明者((財)交通事故紛争処理センター 小柳事務局長) 私の方に質問があったかと思うんですが、当事者の資料の提出というところで、これは保険会社、あるいは当事者からは私たちの求めに応じて、持っているものについてはかなりスムーズに出てまいります。ただ、事実認定の問題であるとか、特に医療関連の問題については、必ずしも当方で必要とする書類がすべてあるわけではありませんので、特に事実認定の問題については、かなり難しい局面を迎えることはございます。
 それと、私どもに対する評価についてのお尋ねで、アンケートについては、どの程度の回答率かということてすが、これは一応解決というか、終結を迎えた方にすべて出しているわけですが、相当の率で回収ができております。

○青山座長 裁判所の基準との関係ではどうでしょうか。

○説明者(第二東京弁護士会仲裁センター 大川氏) 判例基準かどうかということですが、多分、大勢的には裁判所の判例を基準にしているというのが大勢ではないかと思います。ただ、個別案件については、例えば更新料の支払い義務があるかどうかという問題について、最高裁判例は否定しているんですが、それとは違う内容の意見を出して和解が成立した。あるいは通帳の盗難事件に関しては、印鑑照合主義というんですか、印鑑を照合すれば、一応過失はないという判断に対して、今の状況で、それだけではだめだという形で、銀行側に8割以上の責任を認めたケースなどもあります。
 だから、具体的に個別案件によっては、必ずしも判例どおりではない。判例よりも現在の社会情勢を踏まえて、先の判断をしているというケースもかなりあるというふうにお答えいたします。
 あと、因果関係に争いがあるようなケースは結構あるわけですが、裁判所に行ったら因果関係の証明ができていないということで請求棄却になるケースがかなり多い。因果関係の立証がかなりしにくいというケースについては、これは御批判があるかもしれないけれども、例えば和解金を払って解決するというケースがありますので、恐らく裁判所でも同じような解決はあると思いますが、比較的金額的には少ない金額で和解を成立させているというケースはあります。
 それから、資料の提出については、これは少なくとも私が今まで関与した事件では、資料の提出がないために事実認定ができない、あるいは判断が出せない、意見が出せないというケースはありません。当事者の方から、これだけは出したくないというケースは1件もありません。
 実務研究会という研究会を毎月開催しておりまりますが、その中でも資料提出がなかったために、事案が解決しなかったという報告は一度も聞いたことがありません。

○青山座長 どうもありがとうございました。

○説明者(岡山仲裁センター 鷹取氏) 岡山のケースですけれども、仲裁人になった弁護士は、その事件について恐らく判例等を調べて、大体の具体的な妥当な結論は自分なりに持つと思いますけれども、解決自体はそれにとらわれておりません。やはり法律的には請求棄却とか、認められないケースでも、紛争を解決するために柔軟に対応しているというところです。
 それから、関連資料ですけれども、当事者本人の申立ての場合には、申立て段階でそろっていないこともありますけれども、大体御本人が持ってこられますので、仲裁室にはコピーを備えておりますから、その場でコピーして関係者に配布するという形で特に問題にはなっていません。

○青山座長 最後の質問について、井戸田さんの方からお願いします。

○説明者(特定非営利活動法人日本技術者連盟 井戸田事務局長) 今おっしゃった件でWatchDog、すなわち苦情処理なんですが、ライセンスの中に既に入っております。ただ、センシティブなものがありますね。突き抜けて、これでは満足しないという場合は、第三者に委託をする。プライスウォーターハウスさんとかの監査法人ですね。日本ですと、弁護士会にお願いしようかなということで今、検討しているんですけれども、その場合は、有料、別料金になってきます。だから、アメリカのケースだと、8割、9割はほとんどWatchDogで解決しているという話です。

○青山座長 ほかに何か質問ございますか。

○横尾委員 大川先生と鷹取先生にお願いしたいんですけれども、最初に「仲裁センター『クロネコヤマト』論」というのがあったんですが、そうしますと、裁判所で例えば少額訴訟などの制度が整備されてきたために、仲裁センターの方に流れなくなったケースというのはあるのでしょうか。

○説明者(第二東京弁護士会仲裁センター 大川氏) 裁判所の制度が整備されてくれば、だんだんこちらの方の活動範囲は狭くなってくる。現実に少額訴訟手続が平成10年に導入されて、方々に宣伝されたことがあります。その時期、全国の仲裁センターの取扱い件数は激減しております。その中には、賃金の未払い事件、敷金の返還請求事件、そういったものが減っております。
 ところが、宣伝効果が薄くなって、少額訴訟も、今申立てすると1か月以上先に期日が決まります。そういう状況が出てくると、またこちらにお客さんが戻ってくるという形になります。その辺りは相互作用なんで、一旦制度ができて、裁判所が完全に理想的なものができると。しかも、今ある件数ではなくて、アメリカ的に1,000 万件の訴訟が起こると。それを扱えるだけの機能が備わるという状態になったときにどうかという問題ですが、その場合でも、ADRの存在価値はあるんで、例えば紛争の初期段階で、区役所に行って、そこで調停をやる。あるいは今後出てくるのは、企業内調停というのが考えられると思います。企業の中で、上司と部下の争い、セクハラも含めて、中であった場合、昔は企業の中に、能力は別として、非常に信望のある人がいたわけですが、今はだんだんそういう人は減っております。全部リストラの対象になっておりますので、そうなると、そういう代わりに、専門家が企業の中にいて、従業員同士の争いを解決すると。そういうことが出てきておりますし、現に私も1件、顧問先の会社で、セクハラではないんですが、従業員間の争いについて調停をやったことがありますので、むしろ今後企業側のそういうニーズは出てくると思うので、ADRはおそらく違う形を取って今後も活動を続けていくというふうに考えております。

○説明者(岡山仲裁センター 鷹取氏) 裁判所はADRについては、余り意識されていないと思いますけれども、こちらは常に競争相手として思っておりますので、競争原理が働く限りは頑張っていきたいと思っております。

○龍井委員 さっき御指摘になった仲裁に当たる方の人材の問題というのは私ども一番重要なことだと思っているんですが、特に法律だけではないノウハウのことを御指摘になったと思うんですが、そのための育成ないしはコスト面も含めて、何か特別にされている、あるいはそういうことの必要性みたいなものについて、もしお考えがあればお聞きしたいと思います。

○説明者(岡山仲裁センター 鷹取氏) 育成という点ですけれども、今、岡山での仲裁人の研修という形では、そういう面をやっているんですけれども、弁護士としてある程度経験を積みますと、自分なりのスタイルができあがっていまして、なかなか新しいものを吸収しにくい。ですから、若い段階、特に大学生とかロースクールの段階で、そういう教育は必要じゃないかと思います。

○青山座長 まだ多分質問をしたい方もいらっしゃると思いますけれども、時間を大分超過しておりますので、本日はこれにて終了させていただきたいと思います。
 本日は大川さん、鷹取さん、小柳さん、三枝さん、深草さん、井戸田さん、どうもありがとうございました。
 今日の質疑に関しまして、何か委員の方から、今日は質問できなかったんだけれども、こういう資料がないかということを、今日御出席いただいた6つの機関にお願いすることがあるかもしれませんけれども、それはよろしゅうございますでしょうか。

○小林参事官 私どもにお寄せいただければ、私どもの方で各機関の方と御連絡を取らさせていただいて、内容に応じてお答えを用意させていただきたいと思います。

○青山座長 今日は時間が窮屈なものですから、質問等はそういう形で、資料の提出もそういう形で整理させていただきたいと思います。6つの機関の方はよろしくお願いいたします。

[次回の予定]

[閉会]

○青山座長 それでは、次回の件を確認させていただきたいと思います。
 次回は4月15日月曜日の午後2時から2時間程度を予定しております。ADRのユーザーサイドとして、経済団体、消費者団体、労働団体から、今回と同様にヒアリングを実施する予定でございます。
 それから、ヒアリングに併せまして、冒頭に申しましたけれども、事務局から民間のADR機関に対するアンケート調査の結果が、そのころまでにはまとまっておりますので、その御報告をいただくことにしたいと思います。
 ヒアリング先との調整等は事務局で進めておりますので、よろしく御了承いただきたいと思います。
 それでは、大変時間が超過いたしましたけれども、本日の検討会はこれにて終了いたします。なお、前回と同じように、本日の検討会の議論に関しまして、私からこの後記者レクを予定しておりますので、これも御了承いただきたいと思います。
 皆さん、本日は大変お忙しいところありがとうございました。