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ADR検討会(第20回)議事録

(司法制度改革推進本部事務局)



1 日 時:平成15年7月14日(月)13:30 ~16:25

2 場 所:司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者

(委 員)
青山善充(座長)、安藤敬一、髙木佳子、龍井葉二、原早苗、平山善吉、廣田尚久、
三木浩一、山本和彦、横尾賢一郎、綿引万里子(敬称略)
(関係機関)
最高裁判所、法務省、日本弁護士連合会
(オブザーバー)
日本行政書士会連合会、日本司法書士会連合会、日本土地家屋調査士会連合会
日本税理士会連合会、全国社会保険労務士会連合会、日本弁理士会
(事務局)
山崎潮事務局長、松川忠晴事務局次長、古口章事務局次長、小林徹参事官、山上淳一企画官

4 議題

(1)検討状況整理案
(2)その他

5 配布資料

資料20-1 検討事項3(検討状況整理案)
資料20-2 今後のADR検討会の開催予定

6 議事

[開会]

○青山座長 それでは、ただいまから第20回ADR検討会を開会いたします。
 本検討会は御存知のように、昨年2月5日に第1回の会合を開催して以来、約1年半の間に19回の会合を開催し、総合的なADRの制度基盤を整備するための必要な方策について検討を行ってまいりました。
 その結果、ADR検討会といたしましては、今後ADRに関する基本的な法制を整備することを前提に、更に幅広い意見を踏まえた上で制度の詳細を詰めていくことが適当ではないかと考えるに至りました。
 そこで、最近の3回の会合では、パブリック・コメントを求めるに当たって、これまでの検討状況をできる限りわかりやすく整理して、今後更に検討を深めるべき論点をパブリック・コメントでお示しするという観点から、項目ごとに皆様の御意見をいただいてまいりました。本日はこの第20回の会合におきまして、事務局の方で再度整理した資料、資料20-1をお配りしております。この資料に基づきまして、検討状況の整理案を全体的に御確認いただきたいと思います。
 それでは早速でございますけれども、資料20-1の検討状況整理案につきまして、順次御意見を伺ってまいりたいと思います。便宜的に、資料を前半と後半に分けまして、最初に「検討に当たっての基本的な考え方」から「第四 調停手続法的事項」までの部分、34ページくらいまでの部分について御議論いただきたいと思います。
 まず、事務局からこの前半の部分について、ポイントを御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

[検討状況整理案]

○小林参事官 それでは前半部分につきまして、修正を加えた部分を中心にいたしまして、ポイントの御説明をいたしたいと思います。
 ただいま座長からお話がございましたように、6月中の3回の検討会におきまして、このパブリック・コメントに供する資料につきまして、御意見を承ってまいったわけでございます。更にそれ以外に別途御意見もお寄せいただいておりまして、基本的にはそれをすべて取り込む形で修正を施しております。
 御覧のように大部な資料になったわけでございますけれども、ある委員の言葉をお借りしますと、ちらし寿司のようになったということでございました。おそらくはいろいろな要素が散りばめられているという御趣旨だと思いますが、ADRの基本理念に主体性の尊重、あるいは多様性の重視ということが出ております。それと同じように、できる限り委員の皆様の御意見を採り入れる形のまとめ方をさせていただいております。
 ただ、今秋以降のことを考えますと、具体的な立案作業も見据えていかなければいけないわけでございますが、そういったことを考えていきますと、やはりある程度法技術的な問題、あるいは現行制度との整合性、今後立案をしていく際に考えていかなければならない問題についても、若干触れさせていただいております。そういうような形でのとりまとめということになっております。
 以下、個別の御説明に入りたいと思います。まず、1ページから3ページの「検討に当たっての基本的考え方」でございますが、これは当検討会におきましては、いわばゼロからのスタートでございましたので、現行のADRの問題点、あるいはそれを踏まえてどういう形での問題設定をしていくのかということを整理いたしておりますが、この辺りはこれまでの議論に変更を加えてはおりません。
 4ページが「検討の対象とするADRの範囲」、5ページが具体的な論点になるわけでございますが、この論点1につきましては、これまでの御議論で、当事者の主体性を重視するという考え方をもう少し前面に出した方がいいのではないかということで、具体的にはこの論点1の②でございますけれども、「当事者間の合意形成の支援・促進を図ることを目的として関与するものであること」という方を前段に出しておりまして、「判断の提示による紛争の解決を図ること」を後段の方に回しております。
 また、今読み上げました「合意形成の支援」という言葉を入れまして、当事者の主体性を重視するスタンスを少し強く出しております。
 それから、注のところでございますが「行政処分に関わる紛争を含めるか否か」につきましては、「趣旨」のなお書きのところにございますように、両論がございますので、それを明記いたしております。
 6ページ上の注のところの分類でございますが、これは先ほどの範囲を踏まえた形で少し修正をいたしております。
 それから、そもそも主宰者という言葉が使われておりますが、これについては用語として適当ではないのではないかという議論がございましたので、6ページの注5で言及をいたしております。
 英語の「ニュートラル」に対応する文言をという御指摘をいただいたわけでございますが、現時点でほかに適当な用語が見つかりませんので、このペーパーにおきましては、主宰者という用語をそのまま使用させていただいております。
 それから、6ページの論点2の相談手続の位置付けでございますが、これは従来、相談と苦情処理を「相談・苦情処理」という形で併記していたわけでございますけれども、6ページの注8にございますように、現行苦情処理と呼ばれているものにつきましては、今回の私どもの整理では、いわゆる相談に該当するものと調停・あっせん、特にあっせんに該当するものが混在しているのではないかと考えられます。
 その旨を注8で明記したうえで、ペーパーとしては相談という形で一本化させていただいております。それから、9ページでございますが、「ADRに関する基本理念」の部分でございます。この部分につきましては、従来、①と②でそれぞれ相対交渉、あるいは訴訟手続の限界を補完するというような書きぶりになっていたわけでございますが、これについてはいかにも消極的ではないかという御議論がございましたので、①、②とも、そちらにございますように、ポジティブな書き方に変更いたしております。「趣旨」のところの説明ぶりもそれを踏まえたものに変更いたしております。
 それから、論点4の留意事項、アプローチの仕方、11ページの論点5の相談手続の辺りについては、特段大きな変更はございません。それから、12ページ「国の責務等」のところでございますが、論点6につきましては、従来は、その考えられる施策の例をずらっと並べる形になっていたわけでございますけれども、基本的な考え方が明確でない、わかりにくいという御指摘をいただきましたので、従来趣旨のところに書いておりました。「国は何らかの措置を講じなければ所期の効果を期待できない取組については積極的に関与し、他方、ADR機関等の自主的な活動を通じても所期の効果を確保できる取組については補完的に関与すべきこと等」という基本的な考え方を論点6の中に明記いたしております。
 その下の「考えられる施策の例」につきましては、内容的に、特に御議論があったわけではございませんが、やや長くずらずらと書いてあるので、あたかも国が相当介入するような印象を与えるという御議論もございましたので、内容は特に変更いたしておりませんが、全体的にまとめられるものはまとめてコンパクトにいたしております。
 それから、13ページは特に大きな変更はございません。14ページは国民の役割の部分に関してでございますが、これは従来のペーパーにおきましては、やや中立的な書き方をいたしておりましたが、議論の結果、この部分については積極的な御意見が多かったことを踏まえまして、現在の論点9のような書きぶりに改めております。
 なお、国民の裁判を受ける権利との関係で誤解を招くおそれがあるのではないかという御指摘もございますので、これにつきましては、なお書きで言及をいたしております。
 以上が基本的事項でございます。続いて、15ページ以降「一般的事項」に入ります。
 15、16ページは記述をやや丁寧にした以外は特に変更はございません。17ページの一番上の段のなお書きのところにつきましては、公正な手続運営の確保以外に議論の過程では適正な結果の確保ということが議論されたわけでございますが、これはここに書いてあるような理由で最終的には採らなかった訳でございますが、その経過を記録に残した方がいいという御指摘がございましたので、なお書きとして書き加えさせていただいております。
 それから、18ページは一般的な情報の提供義務で、これは努力義務でございますが、この部分につきましては、論点11の①の中で考えられる情報の例を、特段御異論がなかったものを中心に明記いたしております。ただ、議論の中で若干御異論があったものにつきましては、18ページ「提供されるべき情報」のところで、組織の財政基盤、あるいは紛争解決の実績等について御異論もあったということで、ここで言及をいたしております。枠囲いの中には入れておりません。
 それから、19ページ、20ページが担い手の確保に関する義務、これは努力義務でございますが、この部分につきましては、従来「養成」という文言を使っていたわけでございますが、これにつきましては20ページの注5にありますように、自ら養成するということに限らないのではないか、むしろそうでないことの方が望ましいケースもあるという御指摘がございましたので、文言といたしましては「確保」という文言に変えるとともに、今、申し上げた20ページの注5でそうした文言を使うに至った経緯について言及いたしております。
 それから、21ページ、22ページでございますが、これは重要事項の説明義務でございます。これにつきましては、論点13の①で、先ほどと同じように、考えられる説明事項の例を明記いたしております。
 それから、22ページの「その他」のところでございますが、この重要事項の説明義務につきましては、論点13の②では相談手続にも適用することを考えるべきでないかということにいたしているわけでございますが、22ページ「その他」のただし書きのところで、そういったことは、かえって実務上の混乱を招くことになるのではないかという懸念があった旨、これは御意見を踏まえて言及いたしております。
 それから、23ページ、24ページが主宰者の有する一定の事実、これは公正さを疑わせるような事実についての開示義務でございますけれども、これにつきましては24ページ「開示義務が生ずる時点」のなお書きのところでございますけれども、こういった義務を課すのであれば、それが開始する時点、あるいは終了する時点を明確化すべきではないかという御意見がございましたのでこれに言及いたしております。
 それから、25ページから27ページが、いわゆる守秘義務の問題でございますけれども、まず論点15におきまして、守秘義務がかからないケースといたしまして、別段の合意がある場合、それから正当な理由がある場合というものを御意見を踏まえて明記いたしております。
 それから、26ページ「義務の内容」のところ、「対象となるADR機関・担い手」のところでございますが、なお書きで、この考え方によれば、ADR機関、法人が守秘義務を負う場合もあり得るということになるわけでございますが、これにつきましては、既存制度との関係でなお検討を要するのではないかという御指摘がございましたので、これに言及いたしております。
 それから、27ページでございますけれども、「その他」の上の「なお」書きの最後でございますけれども、証言拒絶権についても言及をいたしております。これを認めるべきではないと考えられるということで言及をいたしております。以上が一般的事項でございます。
 28ページ以降は「調停手続法的事項」でございますが、29ページから30ページにかけまして、こういった議論が出てきた背景についての説明及びそれについての若干の慎重論、あるいは消極論の論拠を丁寧に記述させていただいております。
 29ページの「他方では」の前までが、言わばこの背景、積極論でございますが、他方ではこれに対する消極論を言及いたしております。
 それから、30ページ以降は各論になるわけでございますが、30ページの「調整型手続の過程で得られた情報の利用制限」につきましては、32ページの冒頭のところでございますが、この案に対する消極論を補充いたしております。上記の案は3論を併記しておりますので、その中での②の前段の考え方でございますが、これについては「通常、証拠制限契約を締結する意思を含有しているものと考えることができることを前提としているが、これに対しては、そのような前提そのものに疑問を呈する意見がある。また、ルールを設定する意図に反し、かえって手続進行の柔軟性を失わせ、紛争解決に必ずしも寄与しないではないかとの指摘もある」という形で消極論を書き加えております。
 同じように、32ページ以降の「調整型手続の主宰者を仲裁人に選任することの制限」につきましても、33ページのところで「内容」の「法律上の効果」のところの第2パラグラフでございますが、消極論を若干書き加えております。元々積極論については触れておりますので、それとのバランスと申しますか、そういうような御意見もあったことを言及するという形を採っております。
 以上が前半部分の主な修正点でございます。

○青山座長 それでは、全体で本文が85ページくらいあるのですが、そのうち今御説明いただいたところは、その約半分の35ページ位のところまでございます。それでこれにつきまして、御意見をいただいていきたいと思いますが、ここまでまとめてまいりますと、改めてこれまでの19回の検討状況を整理していただいたわけですが、非常に大部なものになりました。これがあまりにも簡単過ぎては内容が正確に伝わらず、反対に、あまりにも詳細になりますと誰も読んでくれない、あるいは理解が困難になるということから、ぎりぎりこういうところにまとまったのではないかと思います。
 ただ、ADRは一般の国民生活にも非常に深く関わっておりますので、法律の専門家以外の方にも読んでいただかなくてはいけないと思うのです。そのためにも、非常に解説的な部分というか、不法行為の要件や債務不履行とはこういうものだとか、そういうことも注で親切に書いてあることが、資料が大部になった理由の1つではないかと思っております。
 パブリック・コメント前の最後の検討会でございますので、こういうことでパブリック・コメントをさせていただいてよろしいかどうかについて、最終的に御意見を伺いたいと思っております。
 事前にご覧いただいて、非常に細かな変換ミスとか誤字はペーパーにでもしていただいてお出しいただければ結構だと思いますが、それ以外の内容に関わる点について、重点的に御意見をいただきたいと思います。それがどこまでこれから事務局で行う作業に取り入れるかは、せっかく御意見をいただいても採り入れることができるものと、非常に根本的な問題を含んでいるものについては、更に会議を続けなければ採り入れられませんということになろうと思います。
 その辺のところ、どういうものが採り入れることができるかについては、事務局の方に任せていただくということにして、どうぞ御自由に御発言をいただきたいと思っております。
 資料が大部ですから、最初の方から議論した方がいいと思います。私から適宜申しますと、最初の「検討に当たっての基本的考え方」は、これは今までの検討を整理してきたということで、ここは特に御異論はないのではないかと思っておりますが、もしそうだとすれば、「第一 検討の対象とするADRの範囲」、具体的には論点1と論点2の4ページから7ページの範囲で何か御意見があればお聞かせいただきたいと思います。

○原委員 内容に入る前に、目次についてですが、一般的事項のところの話になってしまうのですが、ぱっと見たときに第三の「一般的事項」として1から6まであり、「努力義務」と括弧が付いているものとそうでないものとがあります。
 努力義務については大体イメージできるのですが、努力義務とされていない、4の説明義務や5の開示義務に違反した場合、何か罰則など法的なものがかかってくるのかと、一読したときに見えてしまうのですが、それでよろしいのでしょうか。
 それから、全体的なところですけれども、消費者グループとかPLセンターの方の方々からでも用いられている言葉がとても難しいと言われました。全体的にADRは一般の人に利用してもらいたいと思っているわけですから、そして、今回、一般の人に対してパブリック・コメントを求めようと思っているわけですから、丁寧で間違いがないような言葉が入っているかどうかも大きなポイントですけれども、それだけでなく、わかりやすく書かれているかどうかを念頭に置いて全体を見ていただけたらと思いました。

○青山座長 わかりました。それは大事なことかもしれません。努力義務とされていないものについてはどうですか。

○小林参事官 それぞれの内容を読んでいただけますと書いてございますが、特に、義務違反に対して、刑罰法規を前提とするものではないということは明記いたしております。

○原委員 そう書いてしまうと混乱しないかなと思うのです。

○小林参事官 それは、目次で努力義務と書いたために、そうでないものの方が強く見えるということでしょうか。

○原委員 どうかなと思ったのです。

○髙木委員 私はこの方がわかりやすいです。

○小林参事官 少なくとも、平板に並べるのは適当でないと思うのですが、片方を努力義務と特記して、ほかには何も書かない方がいいのかどうかについてはもう少し検討させてください。

○原委員 第三の4の説明義務と5の開示義務が丁寧に書かれていて、わかりやすくなっていればOKということでしょうか。

○青山座長 後から言われた言葉が難しいのでわかりやすくというのは、更に事務局で努力していただきたいと思います。では、第一の部分についてはいかがでしょうか。

○髙木委員 言葉遣いについてあったのですが、2ページの基本的考え方の1行目「使い勝手が悪い等の問題」という言い方はちょっと気になるので、「利用者に利用を躊躇させる」とか、そういう表現にしたらどうでしょうか。つまり、現行の制度について、まるでネガティブな評価をしてあるような前提にあるかと思いました。

○安藤委員 パブリック・コメントはこのような出し方でいいのでしょうか。つまり、「どう考えるか。」という問い方をすると、1年半、19回の会議を開いてパブリック・コメントをしても、返答はある程度のものしか戻ってこないような気がするのです。そうではなく、もう少し断言的に「こういう方針で行きたいがどうか。」という形ですぱっと聞いて、趣旨だとか、なお書きを細かく書くのはいいのですけれども、論点のところはもう少しすぱっと書かないと、パブリック・コメントでこんな曖昧な出方というのはないのではないでしょうか。「勝手に考えなさい」というような問い方では駄目なのではないでしょうか。だから、先ほど出てきたちらし寿司というのは、ここで一生懸命、鉄火丼、マグロ寿司を作ろうと思っていても、出来上がったものを見るとちらし寿司になっているというのでは、一生懸命やっていたのに何でこんなに対象が広がったのかという気がすることになるのではないでしょうか。ですから、「どう考えるか。」という問い方は果たしてどうだろうかと思います。

○青山座長 今おっしゃっているのは範囲の問題ですか。

○安藤委員 言葉遣いの問題として、例えば論点1では「次の要素を満たすものをADRとすることについてどう考えるか。」と相手に投げているのです。しかし、そうではなくて、「こういうものをADRとする」という形で文書にするわけです。そうすると、それではおかしいではないか、という論評が出てくることはありますけれども、「どう考えるか。」と問いかけても、パブリック・コメントでどういう返事が返ってくるというのでしょうか。

○青山座長 今日お出しした形のものについては6月初めから出していたのであり、中身の議論がそこまでは煮詰まっていないということだと思うのです。だから、この段階で、こういう形で、ある程度オープンな形で、一度議論を一般の方々に投げてみて、そして意見が返ってきたら、安藤委員の発言にあったようにきちっと断定的な形になるような議論を積み重ねていこうということであります。
 特に、後から出てきております時効の中断にしても、執行力についても、我々の議論をどうするかというところまで内容的に来ていませんし、すぱっとした形のものは内容的に出せない段階だと思っているのです。

○安藤委員 主流とする意見を1つ出して、後の意見はなお書きや注書きにして、1つに絞り込んだ方がパブリック・コメントに参加した者としては論評しやすいのではないでしょうか。

○小林参事官 座長の御発言を少し補足いたしますけれども、パブリック・コメントと世上言われているものには、いろいろな形態があり、安藤委員がおっしゃっているのは恐らく、かなり立案段階に近いものをお示して、正に賛否を問うというスタイルだと思うのです。しかし、それ以外の形であっても意見募集という形で、極端な話をすると、何も提示しないで意見を聞くものもございます。または、論点だけ提示して御意見を伺うスタイルのものもあります。
 今回の私どもの場合は、これまでせっかく1年半もかけて議論しておりますし、何回も繰り返しになりますが、そもそもADRとは何か、あるいはどういうことが問題になっているのかについて国民の皆様の間に十分な理解が行き渡っていないということについて、相当程度、理解のための素材を出す必要があるだろう思っております。そこで、この検討会の検討状況の整理という形でまとめさせていただいたわけでございます。
 更に今おっしゃられたような主流の意見とそうでない意見という色分けができれば、それを特に否定するわけではないのですけれど、これまでの議論でもおわかりいただけますように、議論は大きなところで分かれているところもあり、そこを敢えて単純に多数決で決めたところで、あまり意味のあるものでもないと思います。そこはできるだけそれぞれの議論がわかりやすくなるような形で提示はいたしておりますが、結果的に1つの考え方に絞るとか、あるいは主流傍流という形で意見を分けることはなかなか難しかったということだと思います。

○安藤委員 本検討会の立場として首尾一貫した考え方や意見はないのですね。1つの項目に対して、ああだこうだと言っているだけでは1本の方向なり筋が全然浮かび上がってこないのです。1つの問題にとって、こういう考え方もある、ああいう考え方もある、という形で、もやもやとなっているものですから、検討会としてどういう方向で進むということが全然出てこないことに少しがっくりしたのです。

○小林参事官 そこは甘んじてお受けしなければいけないところもあるわけですが、他方、今の書きぶりでもそれは少しずつ出ていると思っておりますし、その出方がおかしいという御意見もたくさん頂いているわけです。
 少なくとも、私どもとしては本検討会の検討状況を国民の皆様にわかりやすく御説明するとすれば、この程度の重み付けになるのではないかと考えています。確かに複数の意見は出ておりますが、それは逆に言うと、そこまで絞り込んだということ、そういう考え方を整理したということであろうと思いますので、一本化されていないということで言えば確かにそういう御指摘はあるかと思いますが、そこまでは議論を整理してきたと。勿論、これで十分だと思っているわけでありませんけれども、そういう状況ではないかと考えております。

○青山座長 安藤委員のお考えについては、パブリックコメントをいつ実施するかということとも関係すると思われるのですが、検討状況をなるべく忠実に資料に反映して、意見の対立があるところは対立があるものとして示し、ただ、その中でもウェートがあって、これは積極的に採る方向であるとか、これはどうも反対が強そうだということは文章の中にニュアンスとして十分に読み込んでいただけるだけの資料を出しているものと考えております。今の資料でもかなりその辺のニュアンスが出ているのではないかと思っております。

○綿引委員 安藤委員が言われたことはその通りだとは思うのですが、まとめ切れていないのは現在の議論の状況であり、仕方がない部分があると思います。ただ、今回の資料ができたときに事務局には申し上げたのですが、ほとんど考えがまとまっているところでも、そうでないところも全部、「どう考えるか。」という形にしたのはどうですか、というお尋ねはしたのですけれども、他の方からその点について特に御異論が出なかったのなら、すべてについて、「どう考えるか。」という聞き方でもやむを得ないだろうと思います。
 今までは「こうしてはどうか。」という提案のトーンを出して聞いておられたところが、今回「どう考えるか。」になっている点については、皆さんがこれでよろしいということであればそれでよろしいかと思いますし、今まで提案のトーンを出していたところだけは、元に戻した方がいいという意見が多数であれば、その程度の変更は少し考えていただいてもいいかと思います。

○青山座長 今の御提案いかがですか。

○髙木委員 私もそう思ったのですけれども、全体として意見が割れているところが明示されるわけですから、この際全部「どう考えるか。」という形に戻して自由にお尋ねするということでいいのかなと思いました。

○青山座長 事務局にお任せいただいてよろしいですか。

○綿引委員 他の皆さんから特に御異論がなければ、それでいいのではないかと思います。

○廣田委員 私は「どう考えるか。」というのは、考え方をよく聞いている様子がうかがえて、議論が開かれていて、なかなかいいのではないかと思っています。

○原委員 論点1などはいろんな意見がありまして、「どう考えるか。」で括られた方がいいのではないかという感じがいたします。

○青山座長 わかりました。非常に一般的なお話も承りましたけれども、横尾委員どうぞ。

○横尾委員 論点1について、確認と意見があります。
 まず、論点1の注ですが、調停、あっせんという括りがあるのですけれども、この検討会では議論の便宜上でこのような括りにしようということだったと思います。
 ただ、一般的には、調停とあっせんは別々に使っています。この二つについて定義がはっきりしていない中で、二つを一まとめにしたという注意書きが必要ではないかと思います。もし、修正する余裕があれば、そのようにした方が一般にはわかりやすいのではないかという点が1点目でございます。
 次は、確認になります。注の②調整型手続が論点16以降からかなり出てまいりますけれども、ここでは調整型手続のうち、主に調停・あっせんについての議論が中心のように読めます。「評価」が果たしてそこに入っているのかどうか、どうも「評価」について念頭に置かず議論しているのではないかと読めるところもございます。調整型手続の意味するところの仕分けをどう考えているのかという点が2つ目でございます。
 3つ目は、相談手続です。論点2では、先ほどの安藤委員の御説明の趣旨と若干絡むのかもしれませんが、相談については、「必要に応じて、ADRに関する基本的な法制を適用することを検討するものとすることについてどう考えるか。」という極めて腰の引けた書きぶりになっています。
 一方、論点15になりますと、秘密の保持義務の話の中で、「相談手続に関わるサービス提供者についても、①に準じた守秘義務を設けるものとすることについて、どう考えるか。」となっておりまして、相談手続をADRに含めることを前提とした書きぶりになっております。そこで論点2では、「法制を適用することについてどう考えるか。」という問い方が適当ではないかなと思います。
 最後に、論点1の脚注の2ですが、「単なる事実の存否に関する紛争などの法律上の紛争以外の紛争も含まれる。」について、何か1つ2つ例示をされたらいかがかと思いました。

○小林参事官 基本的に御指摘のとおりにしたいと思います。調整型手続について、後の方になると、少し曖昧になっているのではないかということは確かに御指摘のとおりの部分もございまして、今回の修正でも明確に「評価」を外した方がいいというものについては調整型手続という表記から、調停・あっせんという形に改めております。

○青山座長 よろしいですか。論点2の検討するものとすることというのは、ちょっと回りくどいのは、先の方まで検討いたしまして、今おっしゃるような趣旨で考えさせていただきたいと思います。
 ほかの点どうぞ。

○髙木委員 論点2の相談手続の位置付けのところなのですが、書き方の問題ではなくて、皆さんの認識をちょっとお尋ねしたいのですが、相談は紛争解決そのものではないけれどもADRを幅広く支えるものとして位置付けられるというような話でずっと来たと思うのです。弁護士会の中でも、弁護士会の法律相談センターとか、弁護士事務所で弁護士個人が行う相談はここに入るのか入らないのかという議論がありまして、それは入らない、代理人としての活動につながる相談は入らない、という前提で私は考えていたのです。この点について、皆さんがどう思っていらっしゃるのかについて確認しておきたいのです。

○原委員 私もそこは大変気になるのです。それで相談手続についてここで書かれていて、論点15で相談手続についての守秘義務の話がかかってきて、守秘義務のところの一番最後の括りは、相談手続に係るサービス提供者について、「守秘義務を設けるものとすることについて、どう考えるか。」と、法律の中に入れ込むような形で書いてあるのです。
 例えば、消費者センターでやっている相談業務があるのですけれども、私としては、7ページにあるように、紛争解決に至るADRを持つ機関が行う相談の場合は、相談とADRとの連携などを考えると、手続的にきちんと範囲の中に入っておかないといけないかなと思うのです。一方で、これまでも発言したと思うのですけれども、全然別個に相談だけやっている場合の相談については、また、ADRの1つなのだから相談業務にも守秘義務がかかるのだと、紛争解決を持っていない相談だけをやっている場合にも、守秘義務の部分はかかってくるとすると、何か非常にそこだけ厳しくなることにはならないかなと思います。
 結構、例えば国民生活センターで情報公開法でどれくらい開示しているかという話をしたときに、かなり、すごく守秘義務ということを考えていらっしゃるのです。秘密保持という個人情報保護もありますけれども、考えていらっしゃるため出てこないというのがあります。そういう全体的な状況を考えると、さらに守秘義務がかかってくるとなると、厳しくなるのではないかということがあって、何をどういうふうにやっていらっしゃるのか、ますます見えなくなってしまうというところを大変気にしているのです。
 だから、もしも書かれるのであれば、7ページで「紛争解決手続そのものとは言い難い」けれども、「ADRを幅広く支えるもの」と書いてありますけれども、もうちょっと限定的に、つまり、ADR機関が行う相談手続についてはこの中に入るのだということを含めて考えることとしてはどうかと、そのようにしていただいた方がいいような感じがするのです。多分ですが、先ほどあった弁護士会で出た議論と同じような議論が、今回パブリックコメントの形で一般消費者に出されたときにも出てくるような感じがするのです。
 相談手続を大事なものであると考えている理由については、7ページでもう少し丁寧に書いた方がいいと思います。

○龍井委員 感じ方は全く一緒なのですけれども、読み方として、相談手続に対しても、必要に応じてADRに関する基本的な法制が適用されることもあり得る、と読んだものですから、あまり気にならなかったのですが、もし、そういう懸念があるのだとしたらおっしゃるとおりです。

○原委員 私も論点2では「必要に応じて」という書き方なので、それでいいかなと思っていたのですが、論点15の秘密保持の義務のところになると、結語が非常に厳しくなっているのです。

○小林参事官 個別の論点についての適用関係はまさに御議論いただくことなので、これは御議論を承るということだと思うのです。ここで相談手続はADRを支えるものとして非常に重要なもので、かつ、それについては議論の対象にしていくということについては、検討会の発足以来のコンセンサスだったのではないかなと私としては思っておりました。 何か独立しているものは除くとか、あるいは特定のものは除かれるということを今の段階で書き加えることはなかなか難しいのではないかと思います。勿論、逆の立場からの反論も当然出てくると思いますが。
 対象になるかならないかは、当然、基本的事項のところでは対象になった方がいいという感じもあるのかもしれませんし、逆に、一般的事項のところでは何かうるさいことを言われるのなら対象から外れた方がいいということなのかもしれません。これらはそれぞれ各論のところでまさに必要に応じて議論すべきことでもあるので、根こそぎ対象にする、しないということではないであろうと思っております。

○原委員 根こそぎとは思っていないです。私も今、龍井委員がおっしゃられたように、「必要に応じて」という言葉があるから、とりあえず、ここはパスして論点15のところで発言しようと思っていたら、横尾委員から御発言がありましたので、ここで発言をしておこうかと思ったのです。
 論点2では「必要に応じて」ということでしたので、私としては、このままの形で論点15のところでも、このように、もう少し丁寧に書けないかと思っていますが、論点15の議論でまた申し上げたいと思います。

○青山座長 他にいかがですか。

○安藤委員 「必要に応じて」という文言自体、要らないかなと思っているのです。というのは、あくまでもADRを信頼してもらうために守秘義務というのはありますと、守秘義務を除いた相談なら、それは単なる愚痴話で終わりになるはずなのです。ですから、やはり、相談という以上は、守秘義務を持っているから安心して話してください、と言えるものであることが必要ではないでしょうか。自分の秘密を漏らされたら困ると思って相談しない人が詐欺に引っかかっているわけですから。

○青山座長 私からも一点ありまして、5ページの論点1の②の順序をひっくり返したために、文章がおかしくなっているのではないかという点、具体的に言うと、2行目の「図ることを目的として関与するものであること」というのは前だけにかかり、後ろにはかかっていないことになっているのですが、これはどうなのか。
 いずれにしても、前の方が調停・あっせん、後の方が仲裁のことなのですけれども、そこのところ、前だけでいいのか、あるいは要らないのかということがあるのではないかと思います。
 ほかに何かございますでしょうか。なければ、「第二 基本的事項」、これは8ページからですが、論点3から論点9、14ページまででございます。これにつきまして、今、綿引委員のおっしゃったようにこれで出してよいかということについて、私から先に言わせてもらいますと、ここでは「国民」という言葉があちこちとたくさん出過ぎているので、場合によっては、「人々」でもいいだろうし、地方公共団体のようなところは「住民」でいいのではないかと思います。「国民」という言葉が使われ過ぎているのではないかという気がいたします。どうしても使わなくてはいけないところは別ですが、「国民」とは何も日本国籍を有している人ということではないと思いますので、前にも議論が出てきたところだと思いますが、少し直したいと思っているところです。
 ほかに何かございますでしょうか。
 ここは今までの検討でもそれほど大きな見解の対立がなかったところだと思っておりますがよろしいですか。では、「第三 一般的事項」の15ページからの部分ですが、論点10~15、27ページまでの部分について、どうぞおっしゃっていただきたいと思います。

○髙木委員 23ページのところで言葉の問題ですが、論点14の①と②に「事実の全部」とあるのですが、「全部」ということに意味があるのでしょうか。

○青山座長 「事実の全部を開示しなければならない」というところでしょうか。

○小林参事官 論理的におっしゃるとおりです。

○青山座長 確かにちょっときつ過ぎるかもしれないですね。「全部」を取るということで、よろしいでしょうか。

○髙木委員 また言葉の問題なのですが、論点12の最後「その他」のところ、「担い手の確保に関する協力を求める趣旨は」と始まっているのですが、「担い手の質の確保」とか、「質の高い担い手の確保」とか、「担い手の能力の確保」とか、そういうことではないのでしょうか。

○原委員 わかりにくさの点で27ページですけれども、守秘義務というところで、上から4行目の「この場合」から始まる3行はわかるのですが、その次の「また、秘密保持の義務の違反に対しては刑罰が科せられることもあるが」とはどういう場合かについて、例示がある方がわかりやすいですね。それから、次の「なお、このように」から始まる3行がよくわからないので、もう少し丁寧に書いていただけないかと思います。

○小林参事官 1段目は一般論として書いてあるということを少しわかりやすくいたします。

○青山座長 具体的な条文か何かを入れてしまってもいいですね。

○小林参事官 後段は意味するところをわかりやすく書くようにということですね。

○原委員 そういうことです。本文でなかったら注書きでも結構です。

○綿引委員 原委員は、守秘義務の論点15の②の書き方に御意見がおありだったのではないでしょうか。

○原委員 論点15の囲みの中の書き方ではなくて、27ページの「その他」のところの書き方が、「相談手続を対象とする義務も設けることが適当ではないかと考えられる。」となっていたので、「義務を設けることについてどう考えるか。」ではないのかなと思ったのです。

○小林参事官 重要事項の説明義務に関する論点13、22ページの「その他」のところでは、そのような御意見を踏まえて、懸念と言いますか、指摘があるということをただし書きで加えたわけですが、今おっしゃられた御趣旨を入れた方がいいということであれば、そういうことで対応いたしますし、あるいは、このままお示しして御意見を伺う方がいいということであればそれで御意見を伺えばいいかと思います。

○原委員 特にこだわっていなくて、私もすごくここで頑張って発言して、他の皆さん方がどのような意見を持っていらっしゃるかはまだ定かではないので、私自身も明確な意見は差し控えておきます。資料にある形で出していただいて構いませんが、先ほど申し上げた刑罰についてのところだけは、もう少し丁寧に書いていただければ、よりわかると思います。

○青山座長 19ページの真ん中辺に「趣旨」というところがありますが、そこで「十分な紛争解決に係る専門的能力を有する主宰者」という部分で、初めて「紛争解決に係る専門的能力」という言葉が出てくるのですけれども、この意味がわからないということを言われる方があるかなと思っております。もし、そうであれば「紛争解決に係る専門的能力」について、注書きで書いた方がいいかなという気がいたしております。
 私自身、読んでいて意味がわからなかったところですが、26ページの真ん中辺よりちょっと上「また、秘密を保持しなくてもよい旨の合意がある場合のほか、正当な理由がある場合、例えば、時効の中断を主張立証するためには必要となる場合等には」について、その「必要となる場合等」とは、誰にとって必要なのかということがわからないのです。これは、例えば時効の中断を主張立証するために必要であるとして求められた場合にはという意味なのかどうか、その内容はどういうことでしたでしょうか。

○小林参事官 今おっしゃったとおりのことを想定しています。

○青山座長 求められた場合には、実はこうであると言ってもいいということだと思いますので、もう少し文章をわかりやすくしていただきたいと思います。
 22ページの真ん中辺りの「不法行為に基づく損害賠償責任の立証が容易になる」とあり、25ページの上から5、6行目にも、「不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償責任の立証が容易になる」とあり、他にも「不法行為」が出てくるところがあります。22ページは説明義務違反が問題になる場合ですが、これを不法行為とするだけでよいかという心配があるのですが。

○小林参事官 ここのところは、債務不履行を中心とした記述を考えています。

○青山座長 統一的にする必要があるかもしれません。ほかにいかがでしょうか。

○綿引委員 この重要事項説明義務違反が問題になるところを債務不履行に直されるとおっしゃったのでしょうか。しかし、重要事項説明義務というのは、契約締結前の話なので基本的に不法行為でよろしいのではないですか。

○小林参事官 契約上の義務ということではなくて、一般的な債務の不履行です。

○綿引委員 一般的な義務は、不法行為の問題になるのだろうと思うのです。今、髙木委員も言われたように、これは契約締結上の過失の問題になるので、理屈としては不法行為になるのだろうと思います。

○青山座長 そういう問題がありそうなので書き分けてあるのですが、22ページと25ページのほかにも出てくるものですから、統一的にもう一度検討しましょうということです。

○綿引委員 25ページの方はADRが始まった後の問題なので、契約関係が生じた後の問題であり、22ページはまだ契約関係が生じる前の問題であるため、不法行為とお書きになっていると思うので、書き分けにはそれなりに理由があるのではないかと思います。

○青山座長 25ページの方は不法行為は要らないのでしょうか。

○綿引委員 請求権競合の問題ではないかと思うので、ここは両方でもいいのだろうと思います。22ページを債務不履行構成で記述すると言われたので、それがどうかなと思ったもので。

○青山座長 ほかはよろしゅうございますか。

○山本委員 21ページについて、「趣旨」のところの5行目「契約法上の一般的な考え方として」から始まるところですが、契約法上の一般的な考え方としてはこういう説明義務を負うものとされるという記述になっているのですが、ちょっと書き過ぎかなという、契約法上こういうものを負うものとする考え方があるとする程度でよいのではないかと思います。この辺りは消費者契約法のときにかなり激論があったところという感じがしています。ここまで書くとちょっと一定の立場を出し過ぎているという感じがします。

○髙木委員 私は「信義則上」ということだから、これでいいのかなと思っていましたが。

○青山座長 それでは、28ページから始まる「第四 調停手続法的事項」についてですが、論点16、17、18についてはいかがでしょうか。

○龍井委員 質問なのですが、28ページの最初の○のところで、「ADRの基本理念を踏まえると、強行規定(公序良俗等)に反しない限りは、基本的には、紛争当事者間の合意(契約)によるべきものと考えられる。」というのは自明の前提だと思うのですが、「公序良俗」という言葉が使われるのはここが初めてかなとも思ったのですが、どこかに書いてあるのでしょうか。
 また、法的執行力の付与のところでは「公序良俗」という言葉が突然出てくるのですけれども、もしも「公序良俗」をキーワードとして使うのであれば、それまでにもその言葉が使われていた方がいいかと思います。

○青山座長 手続についてですね。わかりました。場合によっては前の方をリファーするような感じにして、唐突な感じが出ないような書きぶりに工夫させていただこうと思います。

○三木委員 細かい点ですが、28ページの脚注の2ですが、後段の「モデル法は、各国が国内法として国際商事調停の手続に関する立法を行う場合に依拠することか推奨されるという位置付けを有する」という説明がありますが、モデル法はUNCITRALの所管の関係上、直接的にはここに書いてあるように国際商事調停の手続に関する立法のモデルですが、UNCITRALの公式文書の中で、通常の国内の非商事の調停にも適用されることが推奨されております。そして、そのことを意識して内容的には作られていると説明されておりますので、そのことを付け加えていただければと思います。つまり、第一次的には国際商事を適用の対象しているのですが、モデル法それ自体はUNCITRALとしても、国内における一般調停に対しても適用を推奨しているということをお書きいただければと思います。

○青山座長 ちょっと工夫させていただきます。

○山本委員 31ページの情報の利用制限のところの「法律上の効果」で、「私法上の効力が発生する」という叙述があって、その次の段落で「相手方に対する私法上の義務に反する」という叙述があるのですが、仲裁手続の場合はそうかなと思うのですけれども、訴訟手続の場合、訴訟法上の効力も発生するという前提で、どこかに却下されることもあるという叙述があったと思うのです。これは訴訟契約としての性質も有するという理解であったような気がしますので、その点を加えていただければと思います。

○青山座長 私法上の義務だけではなくて、それが訴訟になった場合には訴訟上の義務でもあるのだということを、括弧内か何かで付け加えた方がよいということですね。

○綿引委員 要するに、民事訴訟法の解釈で出てくる効果ですね。それは下に注として書いてあったという理解だったのですがどうなのでしょうか。

○山本委員 注4の後段に書かれている「却下されることとされているが」ということはそのとおりなのですが、本文の方は私法上の効力しか書いていないのです。私法上の効力というと通常は損害賠償義務しか指さないと思うのですが。

○綿引委員 義務違反があった時に、どういう訴訟法上の効力が生ずるかというと、この証拠制限契約説によると、訴訟法上の効力そのものが生ずるというお考えではないですね。

○三木委員 訴訟契約の一種ですから、直接訴訟法上の効果を生ずるというのが、今日の多数の考えだと思います。そこで、そうでない考え方はないかというとあるのですが、訴訟法上の効果を生ずるという考えが有力です。仮に、本文に書いてある私法上の効力が、山本委員がおっしゃるように、通常は損害賠償等がイメージされるとすれば、手続法上の効力、つまり、仲裁の場合でも手続的な効力は生じるので、訴訟法上のとまでは言いませんが、私法上の効力プラス手続的な効力は生じる、という言い方が適切かなという気がします。この辺の議論はおそらく専門家でしかわからないような分野の話ですが、話として出たものですから。

○青山座長 一般の方々から見て、何のことが書いてあるのかわからないということだと困りますね。

○原委員 丁寧に議論していただいて結構だと思います。

○青山座長 わかりました。これは工夫をいたします。ほかにいかがですか。
 34ページの「趣旨」の2行目の利用促進を図るための手段の1つとしてという後に、「民事調停法や家事審判法とは別に」と入れた方が、いわゆる調停手続法の制定という意味がわかってくるのではないかという気がいたしまして、それを入れてほしいと思っています。これはまた後で事務局と話したいと思います。それでは35ページ以下の「第五 特例的事項」以下について、一括して御説明いただけますでしょうか。

○小林参事官 35ページ以降につきましては、前半も活発な御意見をいただきましたが、元々いろいろ意見が分かれているところでございますので、事務局としてもいろいろ意を用いたところでありますけれども、まず、35ページから36ページにかけてでございますが、基本的な考え方として、前回御議論いただいたときは、かなり要件が必要だとか、あるいは要件の確認方法としての、当時の言い方で言えば認定制というのをかなり前に出したような書き方がされていたわけでございますが、この点についてはかなり異論もあるということで、客観的な記述に努めるようにいたしました。その関係で35、36ページにつきましては、一定のADRという言い方をしていたのをとりあえず外しております。どんなADRでもいいという趣旨ではありませんので、御理解賜りたいと思います。
 35、36ページは、これは特例的事項、概ね5つほど論点を挙げているわけですが、そのうち3つについては積極的、2つについて賛否両論有りということで全体の整理をしたところでございます。
 それから、37ページ以降が時効になるわけでございますが、37ページの基本的考え方は特に大きな修正はございません。
 38ページ以降でございますが、これ以降、先ほど申しましたように、それぞれの法的効果を付与する際の要件の問題と、その要件をどう確認するかという問題は切り離しております。それぞれ前の方では要件の問題だけ取り上げておりまして、確認方法の問題は最後に一括して議論させていただいております。それが共通する修正点でございます。
 それから、時効固有のものとしましては、38ページでございますが、「また」書きのところで、時効については一定の要件が必要ではないかという議論をかなりしたわけでございますが、なお適格性に関する要件は不要ではないかという議論がございましたので、これ別案として明記いたしております。
 それから42ページでございますが、効力が認められるようなADRについて、これを連続してADRを利用した場合の扱いについて御質問と言いますか、御指摘がございましたので、その点については「その他」の③で更に検討すべき課題として取り上げております。時効についてはとりあえず以上でございます。
 43ページ以降が執行力の問題でございます。執行力については、まず論点21の注のところで、従来から積極意見がある一方で、強い消極意見も出されているという書きぶりをされていたわけでございますが、これもそれだけではちょっとわからないということでございましたので、少し背景説明を加えております。
 44ページの「趣旨」ですけれども、従来の書きぶりでは消極論、あるいは慎重論についての背景説明が弱いのではないかという指摘を踏まえまして、44ページで言いますと、「しかし、他方では」ということで、「いわば『債務名義作成会社』が出現する危険性は否定できないのではないか」等々、消極論の意見を補充いたしております。
 それから、44ページから45ページの注1でございますが、これは単純な賛否両論とは別に、執行力の付与については、そもそもの本質論、あるいは理論的な問題があるということが提起されておりますので、そのことにつきまして、私どもにできる範囲ではございますが、44、45ページにかけて背景の御説明させていただいております。
 同じように、47ページの注4、この部分については請求異議との関係を説明させていただいております。②で、規判力がないことから、例えば不当利得返還請求の問題をどう考えるのかという御指摘がございましたので、再反論も含めて整理をさせていただいております。
 執行力の関係は以上でございます。基本的には賛否両論、特に強い消極論もあるけれども、御意見を伺うというためには、やるとした場合にはどういう仕組みが考えられるのかということを提示した上で御意見を伺うというスタンスには特に変更はございません。
 それから、48ページ以降が、調停前置の代替の問題でございます。48ページは一般論でございますので、特に変更はございませんが、49ページの具体的な仕組みにつきましては、①と②という形で2つの案があることを明記いたしております。
 このうち①の方については、これは一定の適格性を有するものについては、言わば自動的に裁判所の調停の申立てに代替するという考え方でございますが、こちらにつきましては、注書きで民事調停、家事調停の特性を重視する立場に立てば、上に掲げてあるような比較的外形的な基準のほかに、主宰者の能力などの基準も必要になるのではないかという意見を明記いたしております。
 他方、注1でございますが、これも御指摘をいただきました現行の制度の下でも裁判所の判断によって適用しないという取り扱いをすることは可能であるから、そもそもこれを議論する必要はないという御意見もございます。更にそれに対する反論として、そういうような取扱いの解釈が確立しているわけでもないし、仮に確立しているとしても、解釈を明確化することには意義があるのではないかという再反論を明記いたしております。
 内容の方に入りまして、51ページでございますが、頭のところでございます。これは家事調停の一部について、対象にするという方の考え方の部分でございますが、ここで離婚・離縁の問題について対象にしてもいいのではないかという意見を若干補充いたしております。
 その次の対象となる手続の種類のところですが、これが先ほど御指摘をいただいたところとも関連をいたしますが、従来は調整型手続となっておりましたが、ここは事柄の性質上「評価」ということは考えられないと思いますので、調停・あっせんという形で明記いたしております。
 以上が調停前置の関係でございます。
 52ページ以降が訴訟手続の中止の議論でございます。52ページは一般論でございますので、特に変更はございません。
 53ページが考えられる仕組みについての議論でございますが、ここでも2つの考え方を併記いたしておりますが、そのうちの最初の考え方につきましては、先ほどと同じように、注のところで民事調停、家事調停の特性を重視する立場からすると、要件としては、かなり実質にまで、つまり具体的には主宰者の能力等に、踏み込む必要があるのではないかという指摘を明記いたしております。
 他方、また書きのところでございますが、そもそも中止の場合には、そのような要件が不要ではないかという御議論もございましたので、これも明記いたしております。ただ、この要件不要説については、55ページの注2でございますが、再反論がございましたので、それについても言及いたしております。
 内容にまいりますと、54ページの中ほどのところでございますが、訴訟手続の中止の期間に上限を設けるかどうかという議論に関連しまして、2番目のパラグラフの中ほどですが、再中止を認めるかどうかということについても指摘がございましたので言及をいたしております。
 それから、55ページ中ほどより上のところで、「中止決定における裁判所の裁量性」というところの第1パラグラフの最後ですが、「当事者の不服申立ては許されないものとされている」。ここはあくまでも現行制度の御説明でございますが、この点について、まず理由がよくわからないという御指摘と、それから学説にはそれに反対するものもあるのではないかという御指摘がありましたので、この点については55ページの注3でそれぞれ補充をいたしております。以上が訴訟手続の中止の関係でございます。
 56ページの「裁判所によるADRを利用した和解交渉の勧奨等」でございますが、これについては積極論と消極論の両論を「趣旨」のところで御説明をしていたわけですけれども、若干積極論が弱いのではないかということで補充いたしております。
 具体的には、「しかし」以下のところの後段の方の理由、これを前のパラグラフと対比する形で補充をいたしております。
 それから、57、58ページは、裁判所による証拠調べ、あるいはADRにおける争点証拠整理を訴訟において活用するという2つの問題でございまして、結論としては、当検討会としては、ADRに共通的な制度として設ける必要はないのではないかという意見が強いというふうな書きぶりにさせていただいておりますが、この点についても若干補足をいたしております。
 まず、57ページの「趣旨」のところの第1パラグラフの最後に括弧書きを加えております。これは裁判所による証拠調べという問題ではないのですが、ADRを利用する際の1つの問題点として、なかなか第三者機関の協力が得にくい。第三者機関というのは公的機関も含めて、そういった機関の協力が得にくいという問題が指摘されておりますので、同じような背景の問題として言及いたしております。
 それから、若干説明を補充するという意味で、そのパラグラフの1行目から2行目に当たって、どういうケースでこういうものが必要になるのかということで第三者の所持する文書や、第三者の証言が紛争解決に当たって重要なケース等を念頭に置くということで補充をさせていただいております。
 58ページの最後から2つ目のパラグラフのところでございます。これは先ほど申しましたように、ADRにおける争点証拠整理が訴訟では活用できないことについて、結論としては、ADRに共通的な制度として設けることは難しいということであったわけですが、それでは何か現行制度の下で代替手段がないかということで言及した部分でございますが、ここで自白契約、あるいは仲裁鑑定契約を活用すれば、一定程度の目的は達するのではないかという記述があったのでございますが、これは理由がよくわからないという御指摘がありましたので、そのパラグラフの下から3行目からですけれども、「実質的に訴訟手続における審理の対象をADRで合意できなかった範囲に限定することもできるので」という形で補充をさせていただいております。
 それから、59ページ、60ページが民事法律扶助の問題でございます。これにつきましては、賛否両論が「趣旨」のところで書いてあるわけでございますが、財政上の理由というのもやはり書くべきではないかという御指摘がございましたので、59ページの注3でございますが、現在の財政状況についての言及をいたしております。
 それから、59ページから60ページにかけましては、これは積極論と申しますか、必ずしも現行制度の枠組みにとらわれなくてもいいのではないかという立場からの御意見でございますが、「国民の紛争解決ニーズの多様化を踏まえると、裁判のみでなく、裁判を含む多様な紛争解決手段から最も適切な手段を選択できる権利を保障することが必要であるから」ということを加えております。
 同じ趣旨で仲裁を民事法律扶助の対象とするということについて、3行目で触れておりますが、これについて、必ずしも現行制度の枠組みを外れなくてもできるのではないという御意見もございましたので、これについて60ページの注4で言及をいたしております。
 以上が民事法律扶助でございます。
 61ページ以降が「専門家の活用」ということでございます。
 これにつきましては、まず62ページの最初の○が主宰業務に関連する議論を整理したとろでございますが、従来提示した案の中では、相談に関する72条の問題については、先ほど来議論になっているように、相談自身の位置付けが、準ずるものという扱いになっていた関係上、最後の位置に付けていたわけでございますけれども、内容的には相談はむしろ主宰業務と同じような議論ではないかということでございましたので、この③のところで相談業務を扱うという形にいたしております。後ほど細かい御説明が出てまいりますが、その位置も主宰の後ということで整理をいたしております。
 64ページ以降、主宰業務についての特例の問題に入っていくわけでございますが、ここで特に仲裁の問題につきまして、何か規制強化のようなことになるというのは非常に問題が多いのではないかという御指摘をいただいております。その関係で、まず64ページの注8でございますが、「ADR主宰業務のうち仲裁については、国際商事紛争の解決手段として発展してきた経緯もあり、諸外国の関係者の関心も高く、また、そのような経緯の中で弁護士以外にも紛争以外の専門家や大学教授といった者が仲裁人として大きな役割を果たしてきていることに十分留意した検討も必要であると指摘もある」という言及をいたしております。
 また、今回、72条の特例を設けることによって、実は現在でも72条との関係では許容されていると考えられる形態があるわけでございますが、逆にそういった形態が許されなくなるのではないか、言わば規制強化になるのではないかという懸念もあるものですから、その部分につきましては、64ページの最後のところで「なお、現行制度の下でも違法性が阻却され得るものもあると考えられる。」と言及いたしております。
 65ページにまいりまして、「こうした正当業務行為については、その範囲をあらかじめ具体的に示すことは困難であって、今般、弁護士法第72条に違反しないでADR主宰業務を行うことのできる範囲をできる限り明確化したとしても、特例の対象外の行為について、正当業務行為として違法性が阻却される可能性が否定されることにはならない点に留意する必要がある。」ということについて言及いたしております。
 これでも不十分かもしれませんけれども、現行に比べて規制強化になるのではないか、そのことがこれまでの運用、あるいは諸外国との関係で問題になるのではないかという点については、そういう問題ではないということについて言及をしたつもりでございます。
 それから、66ページに具体的な方法として2つの考え方をお示ししてございますが、1つは、弁護士が関与・助言をする形態で、もう一つが、一定の法律の専門家については、個別に検討する必要があるのではないかという2つの考え方をお示しております。67ページの上段の方のなお書きのところでございますが、こういった弁護士の関与・助言というのは実態上は必要かもしれないが、法律上の要件として明記する必要はないのではないかという御意見がございましたのでこれを明記いたしております。
 68ページの最後のところでございますが、先ほど申し上げたのを更に発展させた形だと思いますけれども、ほとんどのADRについて弁護士法72条との抵触が問題視されることなく活動が続けられている現状では、あえて上記のような適格性を設定し、範囲を明確化する必要はないとして、69ページでございますが、ADRを公正かつ適格に行うことのできる機関において選任されたものが行う業務という形で、単に正当業務行為として弁護士以外の者によるADR主宰業務が許容される場合があり得る旨のみを明らかにし、その範囲については解釈に委ねることでよいのではないかという御意見についても言及いたしております。
 69ページでは、その後、(2)に相談業務について言及いたしております。
 それから、70ページ以降がADR代理業務の問題でございます。これにつきましては、論点33の代理業務そのものについては特段大きな変更はございませんが、72ページにございます相対交渉における和解についての代理権、これにつきましては前回提出した資料が、若干荒っぽい書き方になっておりましたので、丁寧な記述に改めております。
 相対交渉における和解を3つのケースに分けまして、まずADR代理を受任しているケースにつきましては、70ページの「趣旨」のところのなお書きにおきまして、「ADR代理業務を行うことが認められる場合には、これに付随するものとして、ADR代理を受任した事件について、ADR外での相対交渉を行う権限も有することとなるものと解されることにも留意する必要がある」という書きぶりにいたしております。
 72ページの論点34につきましては、更にADR代理を受任しなくても行えるかどうかという問題を提起いたしております。この点につきましては、趣旨のところの前段におきましては、ADR代理を受任することを前提として、あるいは前提としなくても、依頼者の相談に応じて相対交渉が行うことができるようにすべきではないかという考え方もあるとした一方で、これに対して、特定のADRにおける業務であることに着目して、代理業務を認める以上、少なくともそのADRにおける代理を受任することを前提とする場合に限定すべきであるし、そのような限定が困難ならば、むしろADR代理を受任した事件に限るべきであるという意見もあるということで両論を併記いたしております。
 以上が72条の関係でございます。
 73ページ以降が先ほど冒頭に申し上げました一定の適格性が必要だとなった場合のその適格性の確認方法の問題でございます。73ページにおきまして、大きな方式としてその確認については、上から2つ目の○でございますが、①の当事者立証方式と、②の事前確認方式というのがあるのではないかという整理をいたしております。
 従来は事前認定という言い方をしていたわけでございますが、認定というとどうしても根っこからの業務を認定する、逆に言うと、その認定を受けないとすべての業務が行えなくなるという印象を与えるという御指摘がございましたので、従来から確認の方法ということで整理をいたしておりましたので、事前確認方式という言い方に改めております。
 勿論、法令上、仮にこれを採用するとした場合、どういう文言が使えるかということは法制上の議論として残っておりますが、一般の御意見を伺う際にはむしろ事前確認方式とした方が誤解が少ないのではないかと考えた次第でございます。
 これら大きく2つの考え方があり得るわけですが、その下の○で更にそれらの組合わせが考えられるのではないかということで、計4通りの考え方を示しております。このうち④の「当事者立証方式を原則としつつ、事前確認方式も補完的に用いる方法につきましては、前回のペーパーにおきましては、若干、消極的と言いますか、この場合には確認の効力が推定にとどまるのではないかということを書いていたわけでございますが、必ずしもそう言い切れるわけでもございませんし、ここの段階でそこまで議論するには至っていないと思われますので、それについては注1に落としております。
 それから、事前確認方式をどう考えるのかということにつきましては、74ページで賛否両論を整理いたしておりますが、結論から申しますと、賛成の方は手を加えておりませんで、慎重論の方を抜本的に拡充いたしております。頂いた意見を採り入れる形で上段の方の消極論をかなり拡充いたしております。
 それを踏まえて、75ページでは、全体としてどういう議論があったのかということを整理いたしておりますが、大きく3つの考え方が出されているのではないかと考えております。
 ①は事前確認方式というのは非常に問題が多いので、事前確認方式を採用せざるを得ない法的効果があるのならば、その法的効果の付与を放棄する方がいいのではないかということで、これは強い反対論になると思います。
 逆に、②でございますが、予見可能性を確保できないということであれば、むしろ法的効果を付与する実質的意義はなくなってしまうのではないかということで、これは積極論と考えることができると思います。
 ③は、やや折衷的になるかもしれませんが、利用者からも適確に判断できる形で適格性に関する要件が設定できるのであれば、当事者立証方式としてもよいが、それが難しいのであれば、国の関与を最小限にする工夫をした上で、事前確認方式も念頭に置かざるを得ないのではないかという考え方の、大きく3つあるのではないかということで整理いたしております。
 いろいろ御議論がありますけれども、76ページで仮にこれを採用するとした場合には、その内容をきちんと提示すべきだという御指摘がありましたので、現段階ではなかなか確定的なもの、詳細なものをお示しするのは難しい面もございますが、考えられる枠組みについて76ページで御説明をいたしております。
 確認主体の問題につきましては、これも何回か御議論がございましたが、全体の法律の枠組みとも関連する問題でもございますので、具体的な大臣名まではお示しできませんけれども、国の行政機関とすることは考えられるのではないかということを提示いたしております。
 それから、確認の基準につきましては、これは各法的効果の要件をどう考えるのかということになりまして、その要件が満されているかどうかを確認するということになろうかと思います。
 それから確認対象についてでございますが、これらADR機関単位に確認するという考え方のほかに、ADR業務、相談業務ごとに確認を受けられるというスキームについても考えられるという形でお示しいたしております。これは言わば、あるADR機関の中でこういう効果を受けられるコースと受けられないコースを分けて、それぞれにふさわしい形で手続を進めていくということでございます。これも事前確認性の嫌味を少しでも払拭できないかということで考えられる案として提示したわけでございます。
 それから、確認の取消しでございますが、これは事前確認制度を導入するのであれば、当然確認した後もその要件が満たされているかどうかについては、確認する必要がございますので、必要があれば確認の取消しを行うことを制度上予定せざるを得ないと思いますし、そのためには必要な帳簿書類の作成、保存、あるいは場合によっては質問検査などをすることができるような仕組みを採る必要があるのではないかということでございます。
 これを前提にしてどう考えるのかということで御意見を賜りたいと考えております。
 77ページ、78ページは、その内容を少し詳しく説明をいたしておりますが、この中でも例えば77ページの確認基準、確認取消等の第1パラグラフの後段の方でございますが、「また、確認基準の設定如何にもよるが、法人格を有しないADR機関等が提供するADRも確認の対象となることとした場合、確認後の対象業務の継続性を担保できず、事前確認方式の実効性の確保が困難となるのではないかとの指摘もある」という部分。それから、78ページ、これは確認対象の部分の最後のところ、「なお、確認対象に関しては、外国ADR機関等が提供するADRを対象とするかどうかという点についても、更に検討する必要がある。」という部分。これらはいずれも認定制に対して批判的な立場からいただいた御意見でございますが記述をいたしております。
 以上がこの事前確認方式についての総論でございまして、78ページ以降、それぞれの法的効果についてどう考えていくのかということを記述いたしております。
 まず、78ページは時効についての問題でございますけれども、これについては予見可能性を重視するという観点から必要ではないかという考え方があるが、これについてどう考えるのかという提示の仕方にいたしております。
 79ページの最後の2つのパラグラフでございますが、まず1つは、「なお、検討の過程では、当事者の予測可能性の確保について、当事者があらかじめ容易に確認できるような適格性を設定することによって解決すべきという立場から、事前確認方式を採用せず、当事者立証方式のみによることの可能性を追求すべきではないかという考え方も示された」というのが1つ、もう一つは、更に進みまして、「また、時効についても当事者の予測可能性をそれほど重視する必要はなく、当事者がたとえ容易にチェックできなくても、制度が整備する意義はなお小さくないのではないかという意見もあった」ということ、この2点は御意見がございましたので付記いたしております。
 以上が時効の関係でございます。
 それから、執行力については特にございませんが、80ページ、調停前置の関係では、先ほど2つの考え方があると申し上げましたが、それを踏まえた記述にいたしております。
 1つは、先ほどの考え方のうち、裁判所の個別判断によって調停前置の適用を除外し得る事由の1つとして例示する案につきましては、こちらの方であれば、事前確認方式を採用する必要はないのではないかという考え方。
 もう一つの②の方ですが、一定のADRを経ている場合を一律に調停前置主義の例外とする案につきまして、やはり当事者の予測可能性を確保することに主眼を置くものであるから、事前確認方式の採用は前提となるのではないかという形で、先ほどの要件についての2案を踏まえた形での提示の仕方を採っております。
 なお、81ページの頭のところでございますが、この調停前置主義につきましては、仮に事前確認制度を採るとしますと、1つは予見可能性の問題でございますが、もう一つは、ここにございますように、裁判所による個別審査を経ることなく、裁判所による調停に自動的に代替するものとして位置付けるものであれば、あらかじめ裁判所による調停に実質的に代替し得ることを確実に確認しておくことが必要ではないかということを理由として付け加えております。
 それから、81ページの論点39の訴訟手続の中止につきましては、裁判所の裁量で行うということでございますので、事前確認方式を採用する必要はないということを原則として前に出しております。
 ただ、仮にほかの法的効果の問題として、確認制が採られるのであれば、これを補完的に採用してはどうかという御意見もございましたので、これは注として付記いたしております。
 以上が各論についての適用の問題でございます。
 最後に83ページ以降が「各事項の適用範囲」という問題でございますが、これは特に大きな変更はございませんけれども、論点41の②の一般的事項についての扱いでございますが、これにつきましては基本的に契約を補完するという考え方から、民間部門が提供するADR、これは個別法令に別段の定めがあるような民間部門のものは更に別ということでございますけれども、そういったものを中心に考えていくということでございますけれども、これについて84ページ①の「なお」書きのところでございますが、一般的事項の内容によっては、必ずしも行政型ADRを除外しなくてもよいのではないかという意見もございましたので、これを付記いたしておきます。
 以上、盛りだくさんになりましたけれども、主な修正点でございます。

○青山座長 ありがとうございました。3時15分になりましたので、ここで10分だけ休憩させていただきまして、3時25分から再開させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

(休  憩)

○青山座長 それでは、議事を再開いたします。後半は「第五 特例的事項」と「第六 各事項の適用範囲」について御議論をいただきたいと思います。先ほど小林参事官に御説明いただきましたが、区切り区切りごとに御意見をいただきたいと思います。まず、最初は35ページと36ページの前半の位置付けにつきまして、こういうふうに説明をさせていただいています。この箇所について何かございますでしょうか。
 なければ、時効の中断の37ページの論点19、20の2つ、42ページまでの範囲で何かございますでしょうか。

○廣田委員 38ページの囲みの中の下から3行目なのですが、「ADRの不調後一定期間内」とあるのですけれども、「不調のとき」だけではないので、ADRの不調「等の」と2字を入れていただきたいのです。
 それから、38ページの一番下の行なのですが、「意見」とした後に、括弧して、後に当事者立証方式という言葉が出てきますので、それとの関係を明らかにしたいために、(当事者立証方式)と入れていただきたいのです。
 39ページ真ん中辺りに「時効制度との整合性」というのがあります。この上から2行目に「厳格に」という言葉があるのですけれども、これは37ページでは削除されていますので、この「厳格に」は取っていただきたいと思います。
 40ページですが、「合意の必要性」というのがあります。その上2行で「これらの適格性を不要とする考え方もあり得る」と書いてあるのですが、「これらの適格性を」を「これらの適格性は」に直して、これらの適格性は不要であり、当事者立証方式とする考え方もあり得ると、先ほどとの関連を明らかにしていただきたいと思います。
 それから、戻りますけれども39ページの脚注の3なのですが、参考資料7が17になっています。
 以上です。

○青山座長 ほかにいかがでしょうか。

○綿引委員 今の38ページの枠囲いの中の「○ また」以下の4行に書いてある部分なのですけれども、こういう御意見があったということは十分承知しているのですが、一方で、一定のADR機関ならば、ADR申立て自体を中断事由としてはどうかという意見もあったように思うのですが、その意見はないということなのでしょうか。
 確か山本委員などはそれに近いお考えだったような気がしておりまして、事務局案にも、個別労働紛争タイプだと言いながら、ADR機関が一定のものに限られてくれば、申立て自体を中断事由にするという考えもあり得るニュアンスもあったような気がするのですが。ここの「また」以下、要するに、一定のADR機関でなくていいという部分と、申立て自体を時効中断事由とするという2つが組み合わさっている廣田委員のお考えですが、一定のADR機関ならば、別に個別労働紛争タイプみたいな迂遠な方法を採らないで、申立て自体を中断事由にしてもいいのではないかと森田教授もそういう考えだったような気もするのです。そこのところはよろしいのですかという質問です。私は別にその考えを採るものではありませんが。

○小林参事官 私の理解では、少なくとも事務局は申立て自体に効力を設けるという考え方はお示したことはないと思います。
 森田先生は説明の最後の方で、若干そういう考え方が否定できない、あるいはそういうことができればその方がスマートというか、わかりやすいと言及されていますが、基本的には個別労働紛争スタイルを支持されていたように理解しております。今、綿引委員がおっしゃった2つの点を組み合わせた御意見であったと、それをばらばらにした意見は私の知る限りはないのではないかと思うのですが。

○綿引委員 なければよろしいです。

○山本委員 私も、あるいは誤解を招いた表現があったのかもしれませんが、そういう意見を述べたつもりはありません。基本的には、やはりADRの判断について確定判決同一の効力が認められるということはないので、やはり現在の法体系上、申立て自体に時効中断効を認めることは無理であるというのが私の認識です。

○綿引委員 それであれば、私の誤解ですので結構です。

○青山座長 ほかにいかがでしょうか。この時効の中断につきましては、今お話に出た森田教授を招いて、かなり長時間にわたって意見を聞き、議論を闘わせた結果、別案という考え方と、それから本案に掲げた考え方を2つ、こういう形で示して御意見を頂戴するということにして、そして廣田委員がお出しいただいた資料は参考資料にもきちんと載せるという形で、パブリック・コメントに付したいと思っているわけでございます。
 よろしゅうございますか。それでは、また元に戻って来ることは当然あり得ると思いますが、続いて執行力の付与の点でございます。43ページの論点21だけですが、この執行力の付与については、こういう書きぶりでパブリック・コメントに付して差し支えないかということでございますが、いかがでございますか。

○綿引委員 書きぶりだけですが、論点21の最初の注の部分で「不適切に利用された場合には極めて危険性が高いことから」とあるのですが、危険性が高いことだけが理由ではないと思いますので、「高いことなどから」になさった方がよろしいかなと、理論上の問題等も指摘されているところですので。
 それから、同じく43ページの下から2行目の「さらに」以下の4行なのですが、理論的根拠が認められるのかという点について、「明確な結論」がと書いてあるのですが、書くのだったら、「明確な回答」とかそんなことかなと。「結論」ではないだろうという気がします。本当に書きぶりだけのことですが。

○青山座長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ原委員。

○原委員 ものすごく素人の意見なのですけれども、私が、この執行力の付与の話はかなり大きな論点なのだというふうにみんなに話しましたときに、44ページの趣旨のところに、「強制執行とは」というふうに書かれて5行分入っていますが、受けた質問が強制執行となった場合、裁判にはもう行けないのと聞かれたのですが、そういうことがわからないというふうに言われたのですけれども。

○青山座長 執行力を与えられた後に、裁判には行けないのかと。

○原委員 そうです。だから、強制執行された後、もう裁判という選択はできないのですかという質問を受けたのです。

○青山座長 どちらから裁判をすることが想定されているのでしょうか。執行を受けた人からでしょうか。

○原委員 いえ、執行してもらった側の消費者です。

○青山座長 強制執行した分が少なかったので、その分、別に裁判で損害賠償を請求することなどでしょうか。

○原委員 そうです。反対に、執行を受けた相手方からということもあると思うのですが、例えば、執行の結果に不満があれば、裁判であれば三審制だから、また高裁に持っていったりできるのではないか、しかし、執行が確定してしまうとそういうこともできないのではないか、という疑問を持っているようなのです。もう一つ、もう少し説明を入れてほしかったのですが、46ページの執行拒絶事由の②の上から5行目の「そのような手続についての違背」の「違背」という言葉は一般の方々には意味が少しわかりづらいと思いますので、説明しておいていただきたいと思います。

○小林参事官 なお確認ですけれども、前者の御質問の方は自分が言わば取立てに行く場合の話ということですが、それとも自分が取り立てられてしまった場合ということですか。

○原委員 だから、いずれにしても結果が出たときにそれで不満な場合ですね。

○小林参事官 結果はADRの結果ということですね。

○原委員 そうです。

○小林参事官 ADRの結果自体についての不満は、勿論合意をしなければよろしいわけですから。

○原委員 そうですね。

○小林参事官 ここが非常にわかりにくいということはわかりますので、少し補足はできると思うのですけれども、どういう観点で入れたらいいのかなと思いまして。

○綿引委員 「私法上の請求権の内容の実現を図る手続である」とした後に、注を付けて、実現を図るということは一体どういうことなのかについて説明をお付けになったらいかがでしょうか。法律家はこれでわかるけれども、請求権の実現を図るということがどういうことなのかが、一般の方々にとってはおそらくわかりにくいのではないかとも思いますので。

○小林参事官 元々議論したときは、例示して議論したのですけれども、とりまとめの段階になったら結論を採り入れるのに精一杯だった面もございます。若干、背景説明を加えるようにいたします。

○青山座長 今、御紹介のあった質問は専門家からすると、意表を突かれたような質問でしたが、やはり、そういう質問に答えられるような書きぶりにしたいと思っています。それは事務局の方に努力していただくということにしたいと思います。  ほかに何かございますでしょうか。
 それでは、執行力はそのぐらいにしまして、次は調停前置主義の不適用という48ページから51ページまでの論点で言いますと、論点22、論点23でございますけれども、これはいかがでしょうか。
 よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、52ページから始まる「ADRの手続開始による訴訟手続の中止」の部分で、論点24、論点25の部分は何かございますでしょうか。
 なければ、56ページ以下の「裁判所によるADRを利用した和解交渉の勧奨等」の論点26、論点27ですが、これはADRの利用「勧告」というようなことになっていたところを「勧奨」という言葉にしたというところです。
 御意見をいただいたところは、ほとんど全部括弧とか注というような形でここに取り込んではおりますけれども、なお新しい御指摘があれば承りたいというふうに思っております。

○三木委員 文言だけの問題ですが、58ページの注4で、一番最後の行、「訴訟上の合意」の「訴訟上の」は厳密にはミスリーディングではないか。訴訟外の合意であること、効果として訴訟上の効果が生じるかどうかで先ほどの議論ですけれども。ちょっと書きぶりだけですが。

○青山座長 これについては工夫します。
 それでは、59ページ以下の「民事法律扶助の対象化等」で、ここは論点28だけです。
 ここは先ほどの財政上の問題もちょっと言及しようということで入っているというのが、今までの資料と違うところです。
 よろしゅうございますでしょうか。
 それでは「専門家の活用」のところ、61ページからこれはかなりページがあります。論点29、30、31、32、33、34までです。これは主宰者の業務と代理業務がありますので分けて書いてあるということでございますが、髙木委員何かございませんか。

○髙木委員 「てにをは」なのですが、論点29の3行目「国民が専門家が」とつながってしまっているので、「国民が」の後に点を打たれたらどうですかね。その趣旨は国民がADRを利用して解決を図ることができるようにするということです。

○青山座長 どうぞ。

○三木委員 入れるとしたら注8のあとぐらいなのかもしれませんが、仲裁に関して、個人によるアドホックの仲裁の占める役割が、仲裁について、あるいは国際商事仲裁についてはと言った方がいいのかもしれませんが、大きいことにも留意する必要があるという趣旨のことをどこかに入れていただければと思います。

○小林参事官 どういう御趣旨かもう少しお願いします。

○三木委員 要するに、個人の後の認定と関係しますと、個人のアドホックは認定というのがしにくいだろうということで、だからそちらの方で書く方がいいのか、ちょっとわかりませんが。

○小林参事官 わかりました。

○青山座長 65ページの上から3行目と4行目はこれでいいのでしょうか。つまり、三重否定になっているので「正当業務行為として違法性が阻却される可能性が否定されることにはならない」となるのですが、これでいいのでしょうか。

○小林参事官 いや、あると大変なことに。

○青山座長 そうですか。何か逆のように読んでいました。いいのですか、わかりました。何かちょっと読みにくいかなと思ったのですが。

○小林参事官 確かに読みにくいことは読みにくいですね。

○青山座長 72条の関係はよろしいでしょうか、どうぞ。

○安藤委員 論点29で、「現行の弁護士法では、弁護士でない専門家がADR主宰業務を行うことを原則として禁止している。」と、この表現がどうも引っ掛かるのですけれども。というのは、ADR主宰業務は過去に多く行われているのだという表現ですね。

○山上企画官 弁護士法72条をそのまま記載したという趣旨です。

○安藤委員 ADR主宰業務という表現になっているのですか。

○山上企画官 ADR主宰業務という言葉自体は造語でございますので、62ページの一番上の行に定義らしきものを記してございます。

○青山座長 今、言われたのは過去にいっぱい行われていると。

○安藤委員 ということはADRはこれからのことであって、今までもずっとこういう主宰業務をやってはいけないという規則があるのだぞという文言になっているので表現が少しおかしいのかなと思います。弁護士でない専門家が仲介業務と言ってはいないのだけれどもお金を取って。

○小林参事官 趣旨の最後のところですね。

○安藤委員 論点29の一番最初です。ここでADR主宰業務を禁止しているという表現がぽんと出てしまっているのです。この表現でいいのかなと思って。

○原委員 多分、これは2つの文章に分けた方がいいのですね。だから、現行の弁護士法では、報酬を得る目的でそういうことをやってはいけないというふうに禁止されていると。だから、ADR主宰業務も原則として行われてはいないのだという、多分2つに文章を分けられた方が、おっしゃられたような意味なのだと思います。

○廣田委員 今おっしゃった後の方は、ADR主宰業務は現実には行われているのです。ですから、むしろ「原則として」に掛かるのだとすれば、法文上禁止されているという格好になるのですかね。

○安藤委員 私はADRは新しいものであるというイメージで、新しいものをつくるのだという形でずっとやっていたのがもう既に禁止されているのだというADR主宰業務という言葉がぽんと過去のものとして出てきてしまっているのがおかしいと思います。

○綿引委員 今もADR主宰業務はあることはある。

○安藤委員 だから実態はそうなのでしょうが、それはADR主宰業務という表現はないのではないのかなと思うのです。あるのですか。

○綿引委員 それは定義を62ページでしているからということではないでしょうか。

○安藤委員 だから何かここの表現がいきなり出てくるということに対して、ADR主宰業務と。

○廣田委員 ですから丁寧に書くとすれば、72条には和解と仲裁を法文上書いてあるから禁止しているということだと思うのです。それで、ここには注書きは前の方に出ていますけれども、そのことがはっきり書いていないから、その意味で丁寧に書くかどうかの問題だと思うのです。

○小林参事官 丁寧に書くことは可能ですし、その方が適当だと思うのです。まさにおっしゃったように、これからだというところについて言うと、現に問題になり得るわけですし、問題になり得るからこそ、こういう要望が強く出てきているということでございますので、そこは、いずれにしても現在制約があるということは書かざるを得ないと思います。確かに主宰業務という言葉自体も含めて、少し唐突と言いますか、乱暴なので丁寧に書きたいと思います。

○青山座長 ただ、これも61ページのところで、「弁護士法72条においては」ということでずっと弁護士法72条のことを書いているわけです。ここからずっと読んでいただければ、この論点29も突然出てきているわけではないのです。
 専門家の活用の中でずっと説明をしている中で、まとめた形でこういうふうに出てきているので、もう一度繰り返せと言えば、勿論繰り返すことはできます。それはちょっと事務局で工夫させていただくということでよろしゅうございますか。

○山本委員 今の点ですが、どちらに書くのがいいのかわからないのですが、「法律上の紛争に関して」という限定するような文言を入れておいた方がいいのではないでしょうか。

○髙木委員 ついでにですけれども、弁護士でない専門家といきなり書くのではなくて、「専門家であっても弁護士でない者が法律上の紛争に関与し」というふうにすることはできないでしょうか。

○青山座長 わかりました。

○小林参事官 枠囲いしか御覧にならない方も多いと思いますので、丁寧に書きます。

○青山座長 「法律上の紛争」ですね。どこにその言葉を入れるべきかについて、何かございますか。

○髙木委員 ADR主宰の前に、「法律上の紛争について」というのが入ればいいのではないでしょうか。

○青山座長 ほかにいかがでしょうか。代理業務の方はよろしいでしょうか。特に論点33、論点34は、前回のいろいろな議論を踏まえてこういう形で整理させていただいたということですけれど、髙木委員これでよろしいでしょうか。

○髙木委員 論点31の趣旨の4行目「専門職種の品位を失う非行歴のある者」というのが、多分わかると思うのですけれども、括弧書きで懲戒歴とかそういう言葉を入れていただいた方が、よりはっきりするのかなと思います。

○青山座長 はい。

○綿引委員 今の論点33「個別法令上」という表現でわかりますか。ここの場ではいわゆる士業法等を念頭に置くという議論はしていたのですが、どこかにその定義はありますか。

○髙木委員 当該専門家にかかる個別法令ですか。

○綿引委員 何か説明をしないと、この個別法令というのが読めないかもしれないですね。注で例えばという形でやっておくか、何か説明をしておいた方がよさそうな気がします。

○青山座長 わかりました。どうもありがとうございます。それでは、ここのところはよろしゅうございますか。
 それでは、73ページ以下のところですが「8.特例的事項の適用におけるADRの適格性の確認方法」というところで、これまで散々議論をしたところですが、論点としては、論点35、36、37、38、39、40まで合わせて、特例的事項の適用におけるADRの適格性の確認方法のところについて、何かお気付きの点を御指摘いただければ思います。

○髙木委員 事前確認という認定方式がここで一般的な言葉として用いられていますが、その事前確認は、従来の法律で言うと、許認可から登録あたりまでのあらゆるものを含んでいるという感じで理解しておけばよろしいですか。

○小林参事官 認定のときに申し上げたかと思いますが、いわゆる禁止を解除するという意味での許認可とはイメージが違う。ちょっと72条のところはやや性格が違うかもしれませんが、いわゆる許認可のような強いものを考えているわけではございません。確認にせよ認定にせよ、ある一定の事実を確認すれば、それに一定の法的効果を付与すると。

○髙木委員 わかりました。それは後でやればいいけれども、とりあえずどういうものかということだけ、ちょっと伺っておきたかったのです。72条はそうでない可能性があるということですね。

○小林参事官 元々を言えば、禁止を解除するものでございます。

○廣田委員 質問なので、それをパブリック・コメントにどう書くのかよくわからないのですけれど、伺いたいのは3点あって確認と認定とはどう違うのかということが1つです。
 もう一つ、一定の要件を具備すれば確認するということであれば、例えば執行力の付与などはかなり広くなるのではないかということです。それが2点目です。3点目は、認定ならば認定しないときや行政処分が出たときには、行政訴訟で争うことが可能になるのでしょうけれど、確認しないということもまた争いの対象になり得るのではないかと思うのです。そこに差が出てくるのかどうか。
 伺いたいのは、その3点です。

○小林参事官 まず、第1点ですが、これは冒頭の説明の際に少し付言しましたけれども、元々法律的な扱いとして、特に今回認定から確認に変更したことによって、内容が変わったとは考えておりません。
 ただ、これは一委員からの御指摘でございますが、認定というと、どうしても業務丸ごととしての生殺与奪の権利を握っているような感じがするので、そういうものでないのであれば、むしろ「名は体を表わす」ような言葉に代えた方がいいのではないかということでございます。少なくとも、私どもがイメージしているものに変更があるわけではございません。
 それから、確かに執行力のところについては、廣田委員の御説も含めて、かなり性格が違うものではないかという議論がございます。これは更に議論をしていった上で、どう考えても確認という言葉には馴染まないということであれば、これは当然変えていくということになりますが、この段階ではそもそも賛否を含めてお伺いするということなので、用語としてむしろ統一させていただいた方がいいかと思っております。
 3番目の確認をされなかった場合に争えるかどうかということについては、私どもとしては争えるものだと考えております。
 以上です。

○青山座長 どうぞ。

○三木委員 74ページに、慎重論が①から④まで挙げていただいているのですが、過去に私は発言していないと思いますので、今日の発言になるのかもしれませんが、もし可能であれば、5番目の理由として取り上げていただければと思います。
 内容はADRそのものを担当するのは、主宰者であってADR機関は、事件そのものには関与しないので、機関を確認するのは原理的におかしいのではないかと思います。するのであれば、書く必要はないですけれども、イメージが湧くように申しますと、調停人の資格制度とか、そういうのであればわかるけれどもということです。
 それから今のと関連しますが、機関の認定というのは、個人が行う規定でやるのを不当に差別するおそれがあるのではないかという理由を付け加えいただければと思います。

○青山座長 ちょっと考えさせていただいて検討させていただきたいと思います。

○三木委員 また、それが正しいのかどうかわかりませんけれども、73ページの一番下で「慎重論」とありますが、これは「反対論」の方がいいのではと。

○青山座長 これは、全部含めていますので、執行力の場合には非常に強い反対論があったのです。

○三木委員 「反対論」、または「慎重論」で結構です。

○青山座長 それでいいのではないかという意見もここのところはかなり強かったものです。

○三木委員 要するに、論点によって「反対論」ということもあれば、「慎重論」もあるということで、「または」でつないでいただいても結構です。

○青山座長 どうぞ。

○原委員 2点なのですが、1つは言葉の問題というのでしょうか、「認定」から「確認」という言葉になったので「確認」に置き換わっているのですが、「認定」という言葉が残っている場所があるのです。例えば、74ページの一番上の行ですとか、それから75ページの①というところが少し言葉が残っているということです。
 もう一つは質問というか、私がこのように思っていなかったのでと思う部分が、76ページの論点35の①の「確認主体」ですが、国の行政機関とすることが考えられるという意見は勿論あったので、そのとおりなのですが、なお確認に当たって必要となる審査のための実施調査等についての第三者機関というふうに書かれていて、こうすると国の行政機関が第一次的な機関で、第三者機関は調査のためだけに存在するみたいな書き方なのですけれども、「確認主体」は国の行政機関ということも考えられるし、第三者機関ということも考えられるという並列的な意見だったような感じがしております。
 第三者機関の設置は大変難しいだろうと思いますが、という意見は申し上げたのですけれども、実施調査のためだけの第三者機関という位置付けではなかったように思っていますが。
 だから、情報公開法では第三者機関という形が採り得たのですが、個人情報保護法では第三者機関という仕組みは採り得なかったのですけれども、ADRであれば、かなり国の行政機関でなくて第三者機関という意見も強いのではないかと思って、これだと国の行政機関に付随してしまうような感じになってしまうのです。

○小林参事官 第三者機関とは、いわゆる国の機関の中でも第三者的な機関のことでしょうか。

○原委員 そうです。

○小林参事官 ですから行政機関であると。

○原委員 行政機関ではありますね。ですから主務大臣があるような形の行政機関ではなく、独立した第三者行政機関です。

○小林参事官 ここでは基本的にはかなり責任を持って、第三者機関が責任を持てないとは言いませんけれども、きちんと位置付けがはっきりしているものである必要があるだろうということで、「国の行政機関」としているのですが、実現可能性はともかくとして、国の機関ということであれば、今おっしゃられたような機関について、別に排除しているつもりはありません。
 むしろ、ここの後に出てくる第三者機関は、指定機関的なものを想定しているわけですけれども、原委員の御指摘は、国の機関ではあるが、第三者的なところが最後まで責任を持って決めるべきだということですか。

○原委員 国の行政機関として、括弧して、「例えば○○大臣」と書いてありますが、そうすると、例えば、法務省であるとか経済産業省であるとか、必ず主務大臣制がある行政機関と見えるわけです。ですから、「○○大臣等」となっていれば、ちょっとイメージが違うのかもしれません。

○小林参事官 わかりました。

○青山座長 「等」を入れるだけで終わることかもしれませんが、ちょっと検討させていただきます。ほかに何かございますか。
 それでは、83ページの「第六 各事項の適用範囲」という問題でございますが、論点の41については、いかがでしょうか。
 どうぞ。

○山本委員 全く日本語がよくわからないということですが、趣旨の①のところで、3行目の「したがって」の後の文章なのですが、「両者間の関係が公となっている法令において律せられている公的部門が提供するADR」という表現があるのですが、両者間の関係が「公となっている法令において律せられている」というのが、日本語としてちょっとよくわからないのです。これはどういうことを言いたいのでしょうか。

○山上企画官 まず、2つのことがございまして、法令で律せられているということと、その法令が当然のことでございますが、公となっているという2つのことを述べております。

○山本委員 法令が公となっているというのであれば「公となっている」というのは要らないと思いますがどうでしょうか。

○青山座長 これは何か別の文脈から来たのでしょう。きっと何かやっているうちにそうかもしれません。ほかに、ありましたらどうぞ。

○廣田委員 84ページの①、下から5行目の「なお、これに対して、」ということが書いてありますが、これは私の意見を入れていただいたのだと思うのですけれども、私はこの部分だけではなくて、一般的に行政型、民間型を区別するべきではないという考え方を持っていますので、ここは削っていただいて、一番最後に、一般的事項、特例的事項、私は調停手続法的事項には、どちらかというと消極なのですけれども、もし入れるとすれば、調停手続的事項も行政型、民間型を区別することなく、ADRの基本的な法制を作ることが目的ですから、基本的に法制として共通なものは、ADR基本法に明定すべきだという意見もあるというような趣旨のことを入れていただきたいのです。

○青山座長 5ページの「なお」というところで、行政と民間の紛争のうち、行政処分に係る紛争も対象とすべきではないかという意見もあったということではないでしょうか。

○小林参事官 いや、これはもっと広い意味でのものです。

○廣田委員 これは基本的事項だけなのですが、私は、一般的事項、特例的事項も、もし定めるとすれば、調停手続法的事項もできるだけということです。それでとりまとめていただきたいということです。
 その理由を言えば、先ほど三木委員からもありましたように、行政型、民間型にかかわらず、調停人、仲裁人をやっているのは民間人なのです。そういう趣旨で共通的な要素が多いので、縦割り的な考え方ではなくてできるだけ横断型の基本を定めるべきだという考え方を持っています。それを入れていただきたいと思います。

○青山座長 いいですか。

○小林参事官 意見としてお載せすることはできます。

○青山座長 ほかに第六の部分でございますか。それでは、もう一度遡りまして、第一から第六までの部分について、一応御意見をいただきましたけれども、ほかにございましたら、追加的に御指摘いただければと思います。
 特になければ、今日いただいた御意見は、何らかの形でこれを修正する際に参考にさせていただいて、なるべく採り入れるような形にしたいと思っております。
 事務局の方から、この段階で何か御意見はございますか。

○髙木委員 私は、ちょっと忘れてしまったのですけれども、刑罰が絡むものはすべてなくなっているということになるのでしょうか。
 つまり、収賄罪という話も一時出てきたことがあるのですが、守秘義務のところについても刑罰法規はなしということになったのでしょうか。

○三木委員 執行との関係ですか。私が記憶しているのは、執行力を付与するのであれば、仲裁人が収賄罪の対象にならないこととのバランス上、調停人についても対象から外す必要があるのではないかと思います。

○小林参事官 刑罰との関係では、今、御指摘があったように、47ページのところで、執行力との関係ですが、②でやや曖昧な形ではありますが、職務執行の公正性を担保するための各種措置ということで、この各種措置を検討する過程で刑罰も必要だということになればそれも議論していくということがございます。
 あとは問題意識と少し違うのかもしれませんが、先ほど確認制度を採るということで、その場合の仕組み、あそこに若干。

○髙木委員 それは書いてありましたでしょうか。

○小林参事官 それは76ページの⑤「その他」に書いてあります。お示しした上で御意見を伺った方がいいと思いますので。

○髙木委員 後から出てくると困るので書いてあるかどうかということだけを確認したかったのです。

○青山座長 どうもありがとうございました。今日の御意見は私が当初心配していたことと違いまして、大体は、何らかの形でこの原案を手直しすれば盛り込めるものであったと思います。根本的に考え直せというようなことがあると立ち往生してしまいますが、そういうことはなく幸いでございました。
 それで後は座長と事務局に原案を修正することについて、一任いただきたいということでございます。この点はよろしゅうございますでしょうか。

(「はい」という声あり。)

 では、本日いただいた意見をなるべく忠実に反映させようと思います。ただ一任でございますから、説明がくどくなったり何なりして、これは別のところに書いてあるから省略させていただくとか、そういうことはあると思っていただきたいと思います。この点もどうぞよろしくお願いしたいと思います。
 これからの作業スケジュールについて入ってよろしいでしょうか、では事務局の方からスケジュールを確認していただけますか。

[その他]

○小林参事官 それでは今後のスケジュールでございますけれども、本日いただいた意見を資料に反映させていただきまして、ADRの拡充・活性化について広く国民の皆様の御意見を伺う機会を設けたいと思っております。
 その手順でございますが、今日いただいた意見を反映するために若干お時間をいただきまして、パブリック・コメント自体は8月いっぱいはフルに活用したいというふうに考えております。したがいまして、遅くとも7月末までにパブリック・コメントに付するための案文を固めて公表したいと考えております。
 それから、パブリック・コメントのやり方でございますが、これまでアンケートあるいは別途検討しましたアクションプランなどの説明の際と同様に、関係省庁、関係機関、自治体、あるいは研究者の方には個別に資料をお送りするとともに、御意見を伺う機会を設けたいと考えております。
 また、先ほど来、多々御指摘をいただきましたとおり、そもそも読むのも大変というような状況もございますので、8月中に少なくとも東京、福岡、大阪において説明会を開催したいと考えています。それ以外に、関係団体から御要望があれば、可能な限り、出前と申しますか、お伺いして御説明をするという機会を設けたいというふうに考えておりますので、委員の皆様からもそういう御希望があれば承りたいというふうに考えております。
 また、当然のことでございますけれども、いろいろな雑誌等の媒体を通じて意見募集をしたいというふうに考えております。
 そのとりまとめにつきましては、8月いっぱいを使う関係上、とりまとめは9月以降ということになるわけです。一方で、9月の検討会のスケジュールをお配りしておるかと思いますが、こちらについては、基本的に調整をしていただいた日にちを頂いているわけですが、パブリック・コメントのとりまとめ及び今後の検討をどう進めていくかにつきましては、パブリック・コメントの状況も見ながら今後検討していきたいと考えております。この資料20-2の注の2にございますように、いずれにしてもパブリック・コメントはパブリック・コメントといたしまして、別途、関係機関や団体の方から御意見を伺うという機会については、この検討を始めて以来しばらくお休みしておりますので、そういう機会も設けてはいかがかというふうに考えております。
 以上でございます。

○青山座長 ADRがまだ日本で十分活性化されていない、利用されていない最初のネックは、何といってもADRが十分に周知されていないということに大きくかかっていると私は理解しているのです。
 それで事務局には、千載一遇の機会だから、これを機会にこちらで大いに宣伝し、これは大変ですけれども、雑誌の方にも解説を書いてほしいということをお願いしております。委員の方々も講演などいろいろと宣伝の機会がおありになると思うのです。是非、宣伝していただき、なるべくたくさんの方からパブリック・コメントに対する意見をいただけるよう、全部にわたらなくてもいいのですが、関係するここだけは意見を言いたいという方はおられると思うのです。訴訟法学者は勿論、実体法学者も含めて、研究者や実務家、あるいはADRの実務を実際にやっている相談員の方々も含めて、たくさんの方々から回答をいただきたいというふうに思っております。
 ひいてはどういうものになるかはともかく、ADRの基本法ができるとすれば、その内容をより良いものにしていく最大の力になるのではないかと私は考えております。どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 それから、今後のスケジュールを資料20-2でお示ししております。12月までに5回、毎月1回あるいは2回入っているほかに、注のところに予備日として9月29日と12月8日の予備日も一応入れさせていただいております。全部で7回分の日にちを確保していただきたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。今日はそれでよろしいですか。
 引き続き委員の皆様方には御苦労おかけしますけれども、このADRの検討会で御参加いただいて、議論の進行に大変な寄与をしていただきました横尾委員が海外に赴任されるため、今回をもってこの検討会委員をお辞めになるということでございます。
 横尾委員におかれましては、お忙しい中、毎回毎回御出席をいただきまして、これまでの御経験を踏まえた貴重な意見を頂戴しましたことは御記憶のとおりでございます。長い間ありがとうございました。
 では、横尾委員の方からご挨拶をお願いしたいと思います。

○横尾委員 所属しております団体の人事異動で担当を代わることになりまして、検討会委員を辞任することになりましたので、御報告申し上げます。
 座長の青山先生並びに同僚委員の皆様、それから事務局の皆様には過去1年6か月にわたりまして大変お世話になり、また私の拙い意見に辛抱強く耳を傾けていただきまして、どうもありがとうございました。
 パブリック・コメントを経まして、これからいよいよ制度設計という段階の佳境に入ってくるわけでございますけれども、この段階で検討会を離れることは非常に残念でございます。皆様の御尽力によりまして、人々にとって使いやすいADRという制度をつくっていただきたいと期待しております。どうぞよろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。

(拍手)

○青山座長 どうもありがとうございました。後任の委員につきましては、現在、事務局におきまして検討中ということでございます。9月の検討会から御参加いただけるのではないかと思います。

○廣田委員 パブリック・コメントの出し方なのですが、各弁護士会の単位会の仲裁センターにも出していただきたいと思うのです。仲裁法のときには、日弁連だけだったものですから、その辺は各会にもお願いしたいと思うのです。よろしくお願いします。

○青山座長 なるべくそういうことも配慮して、多くの団体や個人から御意見を賜われるようにしたいというふうに思います。どうもありがとうございました。
 それでは、本日はお忙しい中、御出席いただきましてありがとうございました。
 本日の検討会はこれにて終了いたします。