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ADR検討会(第36回)議事録

(司法制度改革推進本部事務局)



1 日 時:平成16年9月1日(水) 15:00 〜16:37

2 場 所:司法制度改革推進本部事務局 第一会議室

3 出席者

(委 員)
山本和彦(座長代理)、安藤敬一、佐成実、高木佳子、龍井葉二、原早苗、廣田尚久、三木浩一、綿引万里子
(関係機関)
最高裁判所、法務省、日本弁護士連合会
(オブザーバー)
日本行政書士会連合会、日本司法書士会連合会、日本土地家屋調査士会連合会、
日本税理士会連合会、全国社会保険労務士会連合会、日本弁理士会
(事務局)
山崎潮事務局長、松川忠晴事務局次長、古口章事務局次長、小林徹参事官、山上淳一企画官、内堀宏達企画官

4 議題

いわゆるADR法の検討状況について

5 配布資料

資料36−1 裁判外における法による紛争の解決の促進について(概要)
資料36−2 ADR法案の立案に寄せられた意見等(概要)

6 議事

○山本座長代理 それでは、定刻になりましたので、ただ今から第36回ADR検討会を開会いたします。
 本日は、青山座長が海外に出張されているとのことですので、座長代理である私が代わって座長役を務めさせていただきます。
 なお、本日は青山座長のほか、平山委員も所用につき御欠席、高木委員は場合によってはいらっしゃるかもしれませんが、とりあえず御欠席ということであります。
 さて、6月14日に開催された前回の検討会において、一部に異論はございましたものの、民間ADRに認証制度を導入することを柱とする法案策定の方向性について、基本的な了承がなされたことを踏まえ、推進本部事務局では、できるだけ早期に法案を提出すべく、具体的な法案のとりまとめ作業を進めているところと承知いたしております。仮に、秋に臨時国会が開かれるとして、その臨時国会にADR法案を提出するということになれば、法案策定の作業のために残された時間は、実質的にはあと数週間という最後の詰めの段階にきていることになろうかと思います。
 ところで、6月の検討会で法案の立案の方向性について議論を行った際には、認証ADRの手続で成立した和解への執行力の付与の問題について、更に幅広い意見を踏まえて結論を得るということとされ、最終的な方向性が示されませんでした。
 そこで本日は、法案のとりまとめの直前にこのように検討会を開くことはややタイミングとして異例ではありますが、現段階でどのような骨格の法案となりつつあるか、また、前回、積み残しとなっていた執行力の付与について、どのような方向で調整が進められつつあるのかなどの推進本部事務局における作業の進捗状況について、中間的な御説明をお伺いする機会を設けさせていただきました。
 小林参事官に説明いただきますが、説明に際しましては、去る7月に開催されたADR法案立案の方向性等に関する説明会の状況やそれに対して寄せられた意見等も併せて紹介願いたいと思います。
 それでは、小林参事官よろしくお願いします。

○小林参事官 大変御無沙汰しておりました。前回の検討会におきまして、次回の検討会については遅い夏か早い秋に開催したい旨を申し上げましたけれども、結局9月1日という季節の替わり目の開催となりました。
 今、座長代理からお話がありましたように、法案作業は大詰めの段階に至っておりまして、逆に大詰めであるがゆえに、微妙な問題もいろいろとあって、資料がやや簡潔なものとなっておりますが、御容赦いただきたいと思います。
 長期間にわたり、様々な議論がある中でとりまとめをさせていただいたものでございますので、その後、議論の趣旨を最大限に活かすべく、法制面を含め、関係方面と鋭意調整を進め、現在も調整中といった状況でございます。
 調整にはいろいろと難しい局面もございますが、検討会委員の皆様の顔を思い浮かべながら、100点は無理なら80点、80点が無理なら70点というように粘り強く調整を行っているところでございます。
 それでは、資料36−1から説明してまいりたいと思います。
 まず、表題が「裁判外における法による紛争の解決の促進について(概要)」となっておりますが、恐らく、法案の題名もこのような方向性で進めていくことになるのではないかと考えております。
 なかでも、特に「法による」という部分につきましては、これまであまり議論になりませんでしたので、若干補足的に説明させていただきたいと思います。「法による」の趣旨につきましては、「裁判外における紛争の解決」とだけ申し上げると、概念的には、例えば暴力団による紛争の解決のような、不法なものも含まれてくるわけでございますが、ここで言う「法による」というのは、不法な解決ではないとの趣旨を明記したものでございます。これまでの例で申しますと、総合法律支援法、いわゆるネット法においても、「裁判外における法による紛争の解決」という文言が使われております。
 また、ここで言う「法」というのは、必ずしも実定法に限られるものではありません。慣習法や条理なども当然入ってまいります。広い意味で用いられる「法の支配」における「法」のようなものであると御理解いただければと思います。
 さらに、「法による」とされておりますが、これは当然、判断基準が法である旨を限定しているわけではなく、不法な解決ではないという趣旨を明記したもの以上の意味合いは持たないということを付言しておきたいと思います。
 冒頭の4行が法律の目的に相当する記述となっております。ADRを選択する機会の拡充に寄与し、国民の権利利益の保護に資することを目的に、ADRについて基本理念を定めるとともに、民間事業者が行う調停・あっせん等の業務について認証制度を設け、これを利用する紛争当事者の利便の向上を図ることを大きな目的として考えております。
 全体の構成は、第1、第2などとなっておりますが、第1の方が「基本理念等」でございます。内容につきましては、ADRに関し、法による紛争の解決の機能が十分に果たされることを旨として行われるべきことなど、その在り方についての基本理念を定めるということになっております。
 先ほど、法による紛争の解決の機能ということで、御説明申し上げましたが、要するにADRがきちんと行われることが大切である旨の記述としたいと考えております。ただ、具体的な内容につきましては、ADRの多様性との関係で、現在、表現ぶりの工夫をしているところであり、現段階でこれ以上具体的なものをお示しすることは難しいという状況でございますが、ADRの魅力を国民の皆様にもできるだけ御理解いただけるよう、この部分については内容あるものにしていきたいと考えております。
 それから「国等の責務」につきまして、基本理念にのっとったADRの普及に寄与するための国、地方公共団体の責務を定めるとしておりますが、例えば、ADRに対する国民の理解の増進や、ADRに関する国の内外の動向の調査、分析等を国の責務として考えており、それに準ずるものを地方公共団体の責務として規定したいと考えております。
 また併せて、この検討会において御指摘があったADRを実施する者の連携、協力等の規定についても可能であれば盛り込んでいきたいと考えております。
 以上が「基本理念等」についてでございます。
 第2が「民間紛争解決手続の業務の認証制度」でございます。
 まず「1 認証」の(1)についてでございますが、いわゆる調停・あっせんの業務を行う民間の紛争解決事業者は、申請により一定の要件に適合するものであることについて法務大臣の認証を受けることができ、認証につきましては任意としたいと考えております。
 また、いわゆる主務大臣につきましては法務大臣ということで進めていきたいと考えております。もちろん、関係大臣はほかにもございますので、これらの大臣の御協力を適宜得ながら実施していくことになろうかと思いますが、認証主体としましては法務大臣を考えております。
 それから「認証を受けた紛争解決事業者(認証紛争解決事業者)は報酬を受けてその業務を行うことができるものとする」となっておりますが、この規定と、弁護士でない者が手続実施者となる場合についての措置に関する記述を併せ読むことによって、弁護士以外の者が報酬を受けて業務を行うことについて弁護士法72条の問題が生じない旨を明らかにしているということでございます。
 それから、1の(2)につきまして、「法務大臣は、認証に当たり、認証審査参与員(裁判外紛争解決手続について専門的知識・経験を有する者のうちから法務大臣が任命)から意見聴取を行う等所要の手続を経るものとする」となっております。この部分は、この検討会で議論がございました第三者機関の関与、第三者機関の意見を聞くことに係る措置でございます。そもそも認証とは一定の基準に適合することを判断することでありますので、法務大臣が責任を持って判断することに加えて、第三者が関与することにつきましては、その必要性も含め、関係方面からいろいろと厳しい御指摘もいただいているところではございますが、やはり法務大臣の認証を行うに当たって、ADRというのは現在でも次々と新しいものが誕生しており、また、それぞれ固有の特性もございますので、認証するに際し必要となる専門性を補完するとともに、その判断についての客観性、透明性を確保するという観点から、このような措置を講ずる必要があるということで、是非、盛り込みたいと考えております。
 また、具体的な方法としては、審議会などを関与させるという方法もあり得ますが、現実問題として審議会の新設や新しい機能の付与は相当に難しいとの問題もございますし、一定数の認証申請が出てくることが予想されますので、それを手際良く機動的に処理する必要性もございます。そのように考えますと、審議会のような大きな組織をつくるよりも、むしろ、専門家から意見を聞く、もちろん、必要に応じて複数の方から聞くことはあろうかと思いますが、こういった形で意見を聞く方が機動性の点でも優れておりますし、十分に実のある御意見をいただけるのではないかと考えられますので、このような枠組みを盛り込んではどうかと考えているところでございます。
 それから2番目の「利用者への選択の目安の提供」でございますが、これは、認証制度の1つの大きな目的でありますが、認証紛争解決事業者は認証を受けている旨や業務に関する一定の情報の提供を行うということでございます。
 また、認証を受けていない方につきましては、なお書きにありますように、認証を受けている旨の表示などはできないことになりますので、これらによって利用者の選択の利便に資するということでございます。
 3以降が「法律上の効果の付与」でございます。このあたりは、基本的に6月にとりまとめさせていただいたものを踏まえた形になっております。
 まず「(1)時効の中断」についてですが、ADRでまとまらなかった場合にその後1か月以内に訴訟手続に移行するなど、一定の要件を満たす場合においては、請求時にさかのぼって時効中断の効力が発生するということでございます。
 2ページ目の「(2)訴訟手続の中止」につきましては、既に訴訟に係属している案件につきましても、両当事者間でADRで合意を図る旨の合意がある、あるいは、現実に既にADRが行われている場合であって、両当事者の共同の申立てがある場合には、裁判所の判断で一定の期間を定めて、訴訟手続を中止することができるものとすることとしております。
 それから「(3)調停の前置に関する特則」でございますが、これは、借地借家の賃料の増減の問題や、人事に関する訴訟のうち離婚、離縁などの問題につきまして、訴えの提起前に認証ADRにおいて話し合いを行い、それがまとまらなかったということになれば、原則として調停の前置を要しないものとすることにいたしております。
 ここで「原則として」としてございますのは、裁判所の判断で、一般的な付調停の規定とは別に、調停に付することができるという旨を法文に盛り込むことを考えておりますので、そのような意味で「原則として」とさせていただいております。例外として、付調停されるケースを排除していないということでございます。
 それから「法律上の効果の付与」につきましては、先ほど座長代理の方からも話がありましたように、6月の段階では執行力の付与についての議論が残っておりました。
 執行力の付与につきましては、この間、仮に執行力を付与するとすれば、このような姿が考えられるのではないかということをある程度お示ししながら、関係方面から幅広い御意見を賜ったところでございます。
 その方式というのは、1つは、対象となる権利を金銭の支払いに限定する、ADR内の手続について少なくとも一人は弁護士であることを必要とする、執行受諾文言を記載する、あるいは、和解の内容をきちんと読み聞かせをして、両当事者にきちんと署名捺印をさせる、それから、ADR内における手続のみならず、最終的に執行力を付与するためには、裁判所の執行決定とのダブル・チェックを行うなど、考えられる案としては、かなり限定的で慎重な手続を経ることを念頭に置いて、それでも執行力の付与に問題があるかどうか、あるいはむしろ執行力を付与した方が、ADRの拡充・活性化に寄与するかどうかということについて、御意見を賜ってまいりました。
 結論から申しますと、各方面の御意見を伺いましたが、少なくとも、新たな認証制度をスタートさせる段階で併せて執行力の付与を考えるのはなかなか難しいのではないかと考えております。もちろん、将来の検討課題としては、しっかり認識した上で、今後の状況をきちんと見守っていく必要はあるわけでございますが、認証制度を新たにスタートする段階で執行力の付与まで盛り込むのは相当難しいのではないかと考えているところでございます。
 資料36−2に説明会を開催した後にいただいた御意見を整理しております。その資料の後半部分に、執行力について寄せられた意見をまとめております。寄せられた意見は、総数80件程度であるわけですが、大多数は執行力の付与について寄せられたものであり、その大部分は消極意見でございました。
 まず、非常に多かったのは、2に挙げられている弊害に対する懸念でございます。
 先ほど申し上げたように、また2のすぐ下にありますとおり、それぞれの弊害の懸念について、やはり完全に払拭されないのではないかという御意見をかなりたくさんいただいております。
 それから、こういった弊害に対する懸念が非常に大きい中、あえてこの制度を導入することとすれば、先ほど申しましたように、かなり重い要件になるわけですが、1に掲げたニーズとの関係で言うと、そのような要件を課してまで導入したとしても、むしろ今の便法の方が使い勝手が良いのではないか。使い勝手、既判力があるといった点から、むしろ、便法の方がより使いやすいということになり、せっかく導入してもなかなか利用されないのではないかという議論もございました。
 それから、この資料の「3 時期尚早との意見等」で整理をさせていただいておりますが、正直申し上げて、認証制度に対する厳しい御意見もある中で、執行力という更に強い効力を付与することについての御批判もございますし、また、認証ADRの中で更に執行力が付与されるADRとそうでないADRが存在することになり、いわば認証ADRの中で一級と二級に選別されることになるのではないかという御懸念など、いろいろな御批判や御懸念が寄せられたところであります。
 そのようなことを総合的に判断いたしまして、先ほど申し上げたように、少なくとも認証制度のスタートの時点から、執行力という非常に強い法的効力を付与することは難しいのではないかという判断に至ったわけでございます。
 資料36−1に戻ります。
 「4 認証の基準等」についてでございますが、まず、「(2)欠格事由」につきまして、基本的に暴力団員による民事介入暴力に非常に懸念が強いということで、かなり徹底的に排除することを予定しております。申請者自身が暴力団員である場合は当然ですが、役員又は一定の使用人が暴力団員等である場合、あるいは暴力団員等に支配されていると考えられるような場合、あるいは暴力団員等を使用して業務を行うおそれがある場合なども含めまして、かなり幅広く暴力団員の排除は欠格事由として挙げていきたいと考えております。また、その実施に当たっては、関係当局の御協力を得ながら実効性が上がるように措置したいと考えております。
 そのほか、弁護士法違反の場合、あるいは禁錮以上の刑に処せられたような場合といった、言わば反社会的問題のある申請者につきましては、欠格事由として排除することを考えております。
 それから「(1)認証基準」でございますが、こちらは2つの柱を考えております。
 1つは、Aのように業務の実施に関して業務実施方法を定めているということですが、具体的な内容については、後ほど御説明をいたします。
 Bといたしまして「業務実施方法に従って手続を行うに必要な知識・能力、経理的基礎を有すること」ということでございます。このうち、経理的基礎につきましては、しばしばこの検討会でも申し上げてきましたが、認証はしたが翌日つぶれてしまったということでは困るという趣旨でございまして、それほど高い経理的基礎を求めているというわけではございません。
 それから、Aの業務実施方法の内容でございますが、これは実質的に認証基準のコアとなる部分でありますので、現在、内容的な詰めを行っている段階でございますが、幾つか重要と考えられているものを、ここに例示させていただいております。
 いわゆるあっせん人・調停人など、実際にその業務を行う者を選任するためにどのような方法を用いているかということ、あるいは、弁護士でない者が手続実施者となる場合に、ここでは「弁護士の関与等の措置」となっておりますが、法律的な問題についての助言が必要な場合には、きちんとそういった助言を受けられる体制がとられているかどうかということ、それから、役員・使用人などの構成、あるいは他の業務との兼業によって業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがあるような場合につきましては、そのような事態が生じないようにするために、例えば、手続実施者の選任などについて問題が生じないような措置が講じられているかどうかについて、業務実施方法で確認していくことになるわけでございます。
 このほかに、考えられる項目といたしましては、手続実施者に関する情報の開示、あるいはその情報開示に基づいて手続実施者の変更を求める場合に、どのような措置が講じられているかということ、あるいは、事業者に対して報酬が支払われる場合の報酬に関する事項、あるいは、手続の紛争の当事者に対する通知の方法として、きちんと相手方に伝わるような方法がとられるかどうか、あるいは、紛争の解決の見込みがない場合には速やかに終了できる手続がとられるようになっているかどうかなどについても、この業務実施方法の中で規律していただき、それらを確認することを考えております。
 それから、5の「認証紛争解決事業者の義務」でございますが、大きく3つございます。
 1番目は「暴力団員等を業務の補助者等として使用してはならないものとする」ということでございます。
 2番目に、利用申込み者に手続実施者の選任に関する事項、費用の問題、あるいは手続の大きな流れなどについてきちんと説明をするということでござます。
 3番目に、実施した手続に関しまして、所要の事項を記載した書類を作成・保存するということでございます。
 最後の書類の作成・保存につきましては、これは検討会でも御議論がございましたが、基本的には、いつ、どういう当事者について、どういう手続実施者が、どういう経過でこの調停・あっせんを実施したか、その結果どういう結論になったかなどという、言わば骨子についてそれぞれ記録を作成・保存していただくことを考えております。
 6が「報告等」でございますが、これはいわゆる監督も含めた内容でございます。
 まず(1)は、事業年度ごとに、事業報告書等一定の書類を作成し、法務大臣に提出していただくということでございます。
 (2)では、業務の適正な運営を確保するために、一定の要件の下で、事業者に対する報告の徴求・検査、業務に関し必要な措置をとるべき旨の勧告・命令、最終的にどうしても改善が図られないということであれば、認証の取消しを行うことにしております。
 このうち、必要な措置をとるべき旨の勧告と命令でございますが、この部分につきましては、やはりADR業務の特性にも配慮いたしまして、いきなり命令をするのではなく、まず勧告をいたしまして、それに正当な理由がなく従わない場合について、命令を発するという、ワン・クッション置いた形にしております。
 それから、報告の徴求も含めまして、この監督全般に当たりまして、(2)の後段にございますように、民間ADRは事業者と利用者との信頼関係に基づいて成り立つものであること、それから、ここでは「等」としておりますが、紛争の当事者の紛争解決に向けた自主的な努力が尊重されるべきことなどの、ADR業務が有する特性に十分配慮して、このような監督を行うということも法文上明記したいと考えております。
 以上、ちょっと駆け足になりましたけれども、現時点における法的措置の概要についての御説明でございます。
 それから、36−2に関しまして、先ほど後半は御覧いただきましたが、7月28日に、6月のとりまとめに基づいて、「ADR法案立案の方向性に関する説明会」を開催いたしました。
 今回の説明会は、基本的にADR機関の方々を中心にお集まりいただき、説明後、会場での質疑応答もございました。また、もし御意見等があればお寄せくださいとして、意見募集を行い、90件近くもの御意見をいただいたところでございます。
 内訳はここに書いてあるとおりでございますが、先ほど申し上げましたとおり、特に執行力について、消極的な御意見を多数いただいたところでございます。
 それから、以下「1.基本的考え方」、「2.認証制度」、認証の基準全般などの項目に分けて意見を整理をさせていただいておりますけれども、基本的には大きな2つの流れがあると感じております。
 1つは、認証制度を仮に採用するとしても、ADRの自主性、自立性を阻害しないように十分配慮してほしいという意見がかなりございました。
 他方で、認証を行うからには、中立性、公平性、手続の公正性を有するADRをきちんと認証するような仕組みをつくってほしいという御意見もかなりいただいております。この2つの要請は、従来からも強く指摘されてきたことでありますけれども、今後の立案に当たりましても、バランスを取って、きちんとした制度設計をしていく必要があるのではないかと感じた次第でございます。詳しい御意見の中身については資料を御参照いただきたいと思います。
 以上、法案の概要と意見募集の結果の概要についての御説明でございます。

○山本座長代理 ありがとうございました。それでは、せっかくお集まりいただいた機会でございますので、ただ今の推進本部事務局からの説明に対する御意見、御質問等がございましたら頂戴し、可能な範囲で事務局から補足的に説明を願いたいと思います。どなたからでも結構ですので、よろしくお願いします。

○龍井委員 直接関係ないのかもしれませんが、本日の日経新聞に、事務局が案をとりまとめたという報道があったので、驚きました。もし、事実経過について、何かおわかりであれば教えていただきたいと思います。

○小林参事官 新聞の報道ぶりにつきましては、私どもも直接取材を受けているわけではないので、逐一コメントするというのもいかがとは思いますが、記述にあった法案の概要をまとめたとの部分は、今回の内容と同程度のものを、昨日開催された自民党の司法制度調査会に御説明したということをもって、そのような表現をされたのではないかと考えております。

○龍井委員 その説明内容は、まだ案段階のものであって、当然まだ検討会が確認していないものであるので、少し注意をしていただきたいと思います。

○小林参事官 あくまでも案として御意見を伺ったということでございます。

○山本座長代理 それでは、中身についての御意見、御質問をどうぞ。

○原委員 これは、前回の検討会までは議論に上っていなかったところでありますが、タイトルの「裁判外における法による紛争の解決の促進について」の、「法」という言葉に違和感があります。「裁判外における法による紛争の解決の促進」なのか「裁判外における法による紛争」なのか、両方の係り言葉になってしまって、「法」という言葉がどちらに係るのかわからず、非常に落ち着きが悪いという感じを抱いております。先ほど御説明の中では、特に個別の実体法を指しているわけではないとの御説明があったのですが、何かやむを得ない事情によりこの言葉が入らざるを得ないのかについて、もう少し御説明いただきたいと思います。
 それから認証のところで、第三者機関や審議会という形ではなく、認証審査参与員という言葉が出てきているわけですけれども、法務大臣が任命するとのことですが、具体的にはどのような方々をイメージをしていらっしゃるのか。一人ではなくて複数ということだったのですけれども、メンバーとしてどのような方を考えられているか、複数ということになればある程度委員会形式になるのか、その方たちの任期のようなものは何かあるのかといった、もう少し具体的なところが聞きたいと思います。
 というのは、この認証審査参与員は、認証だけではなくて、多分、報告とか、報告を受けての勧告ですとか、それからの認証取消しとかというところでも関わってこられる方々になると思うのですが、前回なかったところなので、もう少し具体的にお聞きしたいと思います。

○小林参事官 まず第1点目でございますが、読み方としては「裁判外における」で一呼吸を置いていただいて、「法による紛争の解決」と読んでいただきたいと思います。
 趣旨は、先ほど御説明いたしましたが、両当事者の紛争の解決に向けた努力を助長・促進し、紛争をお互いが満足するように解決することにこそADRの妙味、エッセンスがあるとのお考えの方からすると、そもそも「法なんぞ何するものぞ」という感じもないわけではないことは十分意識をしておりますので、「法による」という文言を盛り込むことにつきましては、是非先ほど申し上げた趣旨であることを、きちんと御説明していかなければならないと考えております。
 ただ、他方、ADRについて得体が知れない形で紛争が解決される、うやむやにされてしまうといったようなことを懸念する方々からは、逆に「法による」が入ったことにより、非常にそうしたものを除くという点が明確になったので、むしろ望ましいという御意見があったことも事実としてお伝えしておきたいと思います。もちろん、先ほど冒頭に申し上げたような御懸念があることは、長い御議論の中で、私どもも十分に理解しておりますので、そこはきちんと御説明をしていきたいと思っております。
 それから、2番目の認証審査参与員について、どのような方を想定しているのかということですが、これからの制度でございますので、まだ確定しているわけではございませんが、現段階で想定している方としては、ADR全般に関して経験の豊富な法曹やその他の実務家の方、また、海外でもいろいろな形態のADRが出てきているし、それを国内に取り込もうという動きも出てくると思いますので、そのような動きにも対応できる内外の動向に明るい法律学者、あるいは、そのような横断的な問題のみならず、ADRというのは個別の分野で特化しているものも多数存在すると思うので、例えば、医療、労働、知的財産、建築、金融などの個別分野におけるADRの経験の豊富な実務家、といった方々をイメージいたしておりますが、詳細は今後検討していくことになろうかと思います。
 それから、その後おっしゃった具体的な制度の動かし方でございますけれども、先ほど申し上げたような趣旨でございますので、必ず合議でなければならないとは考えておりません。ただ、複数の方から御意見を聞く必要があるケースもあるのではないかと思っておりまして、横断的な専門家の方もおられますし、縦割りの専門家の方もおられますので、案件によっては複数の方から聞くということは十分考えられるのではないかと考えておりますが、必ずしも合議にこだわる必要はないと思っています。
 それから、任期その他については、法務大臣に意見を申し上げる立場となりますので、単なるアドバイザーとして聞くということではなく、きちんと法律上の位置づけのある専門家として御意見を伺う旨を明らかにしたいと思っております。

○山本座長代理 よろしいでしょうか。

○原委員 はい。

○山本座長代理 どうぞ。

○龍井委員 今の質問に関連して、まず、前段は経過報告ですので、まだ最終ではないかもしれませんが、原委員がおっしゃられたように、当初からこの検討会のキーワードとしてやってきた自主的解決の促進、バックアップであるとのニュアンス、正当性といったことを、「法による」と表すことはわからないのではないのですが、非常にわかりにくいと思います。ですから、前文の理念のところで、そうした趣旨が盛り込まれる余地があるのかどうなのかということを伺いたいということが1点目。
 2点目は、原委員からの御質問へのお答えになかったのですが、この参与員が勧告や取消しにまで関与するのかどうかについて伺いたい。これは再確認の質問です。
 それから、先ほどの説明で専門分野というお話が出たのですが、検討会での議論の途中でも、一時期、主な分野ごとに認定していくといったことが示されたかと思うのです。専門性をここで審査し、分野ごとに認定していくこととなるとすると、どのような括り方することを現時点で想定されているかについて、質問いたします。

○小林参事官 まず、前段についてでございますが、もちろん、先ほどから申し上げておりますとおり、きちんと説明していくつもりでございます。加えて、紛争当事者の紛争解決に向けた努力や自主性などを法文上書くかどうかについては、冒頭に申し上げましたように、基本理念や目的などの部分で、そのようなことを書き込むことができるかどうか、現在調整しているところでございます。
 それから、冒頭の説明でも若干触れましたが、監督などに際しての配慮規定のところで、事業者と利用者との信頼関係と併せて、紛争当事者の自主的な解決努力の尊重についても、言及できるのではないかと考えております。
 それから、2番目の参与員の関わる範囲の問題について、恐らくは取消しの場面において関与していただくことになるのではないかと考えておりますが、勧告や、それ以外についてはまだ検討中でございます。
 それから、認証の範囲、業務の範囲の問題についてでございますが、これは、先ほど申し上げた業務実施方法の中で、明らかにしていただくことを考えております。その明らかにする方法につきましては、いろいろな切り口があるのではないかと思います。
 1つは、両紛争当事者の関係、例えば使用者と雇用者、事業者とその取引先などの切り口もありうると思いますし、その他にも、そもそも紛争で何が争われているかということ、例えば知的財産について争われているのか、交通事故について争われているのかなど、何が争われているのかによって区分する方法もあると思いますけれども、その範囲は、基本的には申請者がどのように範囲を限定してくるのかによるものであって、何か機械的、一律にこういう切り口でなければならないということは特に想定しておりません。場合によっては、広く民事全般という定め方もありうると考えております。

○山本座長代理 よろしいでしょうか。

○龍井委員 はい。

○山本座長代理 それでは、佐成委員。

○佐成委員 認証の段階から、業務範囲や業務実施方法等が変更された場合、新たに新規認証を行うのかどうかについて御説明をいただきたいと思います。

○小林参事官 先ほど申しましたように、認証基準としては業務実施方法を定めていることと、業務実施方法をきちんと行うことができる能力があるかどうかという二本柱で考えております。業務実施方法が変われば、それは認証の前提が変わることとなりますので、業務実施方法の変更の際には、基本的には変更の認証を受けていただくことになるのではないかと考えております。
 ただ、業務実施方法の項目には様々な事項が含まれておりますので、軽微なものについてまですべて変更の認証を受けなければならないことにすると、やや現実的でないというところもありますので、軽微なものについては変更の認証の対象から除くことになるのではないかと考えております。

○山本座長代理 よろしいでしょうか。

○佐成委員 はい。

○山本座長代理 それでは、廣田委員どうぞ。

○廣田委員 私は、これまで何回も言いましたように、この概要には全面反対です。全面反対ですから、何も言うことはないのではないかと言われるかも知れませんが、2点だけ指摘したいと思います。
 1点は、本日は概要という形で示されましたけれども、法律の条文の形になっていないと、本当の姿はわかりません。特に、この概要には「等」が多く、その「等」という言葉の中に何が含まれているのかによって内容が変わってきますので何とも言いようがありません。法律の姿になったときに問題点が見えてくると思います。
 つまり、法律の姿になれば、より一層問題点が明確になると思いますけれども、今日の説明はそこのところが大変ぼやけています。そういう印象を強く持ったことを指摘したいと思います。
 もう一点は、先ほど原委員がおっしゃったように、「法による」紛争の意味は大変重要な問題になるところです。先ほど小林参事官の御説明の趣旨はわかりましたが、普通はそのような意味で使われておりません。ADRにおいては特にそうです。ADRで「法による」と言った場合には、大変これは意味が深いのです。多義的ですし、この点については訴訟法学者も法社会学者も非常にたくさん論じているところです。これは、ADRの多義性、多様性と対応しているものですから、これこそ大問題なわけです。
 ADRでは、法によらないで解決する場合がたくさんあります。また、ADRは法による紛争解決がどうにもならなくなったところから生まれたという側面もあります。ですから、そのような事情を踏まえていないと、この「法による」という言葉は、今後の運営、実務上において、非常な支障を来すことになるということを指摘しておきたいと思います。
 また、問題となるのは、ADRの多義性を踏まえた上で、法によらない紛争解決を行う場合にこの法律は適用除外になるのかどうか、認証を受けたADR機関は法によらない紛争解決をしてはいけないのか。これが第2点目です。
 3点目は、もし認証を受けたADR機関が法によらない解決をしたら、その法によらない解決は無効になるのかといった問題も出てくるわけです。
 これらのことだけで、もう入口段階からこの法律は混乱をすると考えております。その点を指摘しておきたいと思います。
 以上です。

○山本座長代理 何か補足していただけると。

○小林参事官 先ほど申し上げましたとおり、認証制度に反対の方の御意見も私どもなりに十分咀嚼して、より良い認証制度になるように努力をしているところでございますので、その点については御理解を賜りたいと思います。また、「法による」について御質問がございましたが、「法による」というのは、本来的な意味として、その判断基準が実定法であるということまで限定したものではございませんので、御質問のような御懸念は生じないのではないかと考えております。また、廣田委員が考えておられるようないろいろなADRに関しても、それが特に不法なものでない限りは、きちんとこの法律の中に位置づけられるものと御理解いただいてよいのではないかと考えております。
 もちろん、その点については、これまでの長い議論もあることですので、誤解が生じないように御説明はしていきたいと考えておりますが、ただ、先ほど御紹介申し上げたネット法など、我が国の実定法の中ではそのような意味合いで使われている例があるということは付言させていただきたいと思います。以上です。

○山本座長代理 よろしいでしょうか。それでは、ほかにございましたらどうぞ。

○三木委員 御説明で、よく理解できなかったところを3点お伺いしたいと思います。
 1つは、既に多くの方がおっしゃっておりますが、「法による」がわかりにくいと思います。小林参事官は、繰り返して判断基準の意味ではないとおっしゃってましたが、判断基準の意味でないとしたら何なのか、積極的な定義を教えていただければと思います。
 それから、その関連ですけれども、国際化検討会等を含めて、なるべくこれからは外国語に訳して、我が国の法を発信しなければならないということになっているのですが、このタイトルを英訳した場合に「法による」というのは、どういう表現になるのかという点は、当然御検討済みだと思いますので、教えていただきたいと思います。
 御承知のとおり、他の検討会に比べて、この検討会は外国の機関や個人からのパブリックコメントがかなり多数寄せられており、関心の高いところですので、当然外国語になれば、どういう表現になるのかということは、直接的、具体的な課題になろうかと思います。
 それから、判断基準でないとしたら何になるかということの内容いかんによっては、今から申し上げることが問題になる場合もあれば、ならない場合もあるのですけれども、「衡平と善」による紛争の解決という概念が仲裁法で既に使われておるところですが、日本国内でも、海外でも、あるいは歴史を通じても「衡平と善」による紛争の解決の概念は、「法」による紛争の解決と対置される概念とされてきていると思います。
 したがって、「法による」という表現を使った場合に、これは今までの御説明ですと、「衡平と善」を排除する意図があるとは私は思っておりませんが、そういう誤解を受ける恐れをどう排除するのでしょうか。特に、外国の方にとって、「衡平と善」と「法」との関係は長い歴史のある議論ですので、そこの誤解がどういう形で明確に排除できるのかという点についてお考えを伺いたいというのが、第1点であります。
 それから、第2点ですが、1ページ目の中ほどで「認証紛争解決事業者は報酬を受けてその業務を行うことができるものとする」という文章があります。これは、従来の議論ですと、この認証を受けるのは調停人ではなく機関であるということでしたから、そうすると、この認証紛争解決事業者というのも機関であり、その機関が報酬を受けて業務を行うことができると読めて、調停人のことは何も触れられていないと読めるわけです。
 ところが、弁護士法72条を始めとして、そういう問題の対象になるのは、機関ではなくて調停人の方ですから、この場合に主語がずれているのか、それともずれていないのかという点を明らかにしていただきたいと思います。
 より具体的に言いますと、報酬を受ける主体は誰なのか、業務を行う主体は誰なのか、その業務の中身とはADR機関の管理業務を指しているのか、調停人の調停業務を指しているのか、あるいはそれ以外を指しているのかがよくわからないということであります。
 それから3点目ですが、2ページ目の「業務実施方法に従って手続を行うに必要な知識・能力、経理的基礎を有すること」という「知識・能力」について、誰のどのような知識を何を基準にして、どのような形で審査するのかをお教えいただきたいと思います。
 特に、これが調停人が調停を行う知識や能力という意味であるならば、問題であろうかと思いますし、そうでないとすれば何を意味しているのかという点を教えていただきたいと思います。以上3点です。

○小林参事官 まず、第1点目について、繰り返しになりますが、先ほどの説明で申し上げたこと、つまり「法」というのは非常に多義的なものであるということと、「法による」というのは必ずしもその法を判断基準とするものではないということです。
 併せて申し上げれば、要するに不法なものではないことを意図しているとの説明以上のことを申し上げるのは難しいところであります。英訳の問題も、今、御指摘を受けるまでは余り意識をしていなかったものですから、どのように御説明すれば、より御理解が得られやすいのかも含め、更に勉強させていただきたいと思っております。
 2番目の、報酬について事業者が受けることができることとされていることについてのお尋ねでございますが、この趣旨といたしましては、事業者がその報酬を受けることができる旨を明らかにすることにより、具体的な手続実施者についても報酬を受けることができるということが含まれるという理解をいたしております。したがって、手続実施者についての問題も生じてこないという理解でございます。
 3番目の業務実施方法に従って手続を行うに必要な知識・能力というのは、誰のどこを見るのかということでございますが、これにつきましては、当然、業務を実施する事業主体が問題になり、事業主体の能力を見るということになるわけですけれども、具体的に何を見ていくのかということになりますと、役員・職員の構成、あるいは既に手続実施候補者が予定されている場合につきましては、その候補者の方々がどういう方々であるか、あるいは、そういう方が予定されていないのであれば、どのようにして手続実施者を確保していくのか、その見通しがあるのかなどを含め、審査を行うことになろうかと思います。
 具体的な要求水準につきましては、これは個別分野によって異なることもあり、恐らくはガイドラインなどを策定して、更に明確化していくことになろうかと思います。

○山本座長代理 どうぞ。

○三木委員 この段階では、法律の書きぶりが問題になってくると思うのですが、2点目の点について、今の御説明ですと、少なくとも法文の書きぶりとしては、認証事業者が報酬を受けて、その業務を行うことができるという書きぶりになるのであって、その一義的な意味というのはADR機関が報酬を受けてということになり、それがそこで実際に調停を行う者も意味としてカバーされるという御説明だったように思いますが、そういう理解でよろしいのでしょうか。

○小林参事官 そこまでカバーしたものとして規定を設けたいということでございます。
 三木委員が疑問を呈されたように、本当にそれでカバーできるのかということは法制的な問題でもございますので、絶対それで読めるのだというところまで私が責任を持って、今お答えはできないのですが、もし仮に読めないのであれば、その点については手当をする必要があると考えており、いずれにしても実際に手続を行う調停人、あっせん人について、そういう問題が生じないようにしたいということでございます。

○三木委員 私は、それでカバーできないとまでは言っておりません。ここでは、現案を確認しているだけでありますが、現時点では、ADR機関が報酬を受けて、その業務を行うことができると読めるような書きぶりになる予定であると理解してよろしいでしょうか。

○小林参事官 条文としては御指摘のようなことを考えております。

○三木委員 もう一点、質問に関する確認ですが、第1点目における「法による」が違法なものを排除するという趣旨だという御説明でしたが、仮にそうだとすると、やはりどうしてこういう言葉を入れるのかというのは、内外からかなり奇異に思われるのではないか、つまり、かえって誤解を招くのではないかという気がいたします。
 言うまでもなく、促進法は他にもあるわけですが、それらの法律に「法による」とか、「違法なものを排除する」という文言は入っていないし、国が作る法律が違法なものを促進するはずはないわけであって、言わずもがなのことなのではないか。つまり、判断基準を意味せずに違法なものを排除、違法なものは含まないという意味しかないとの御説明をそのまま受け取れば、このような文言が入る奇妙さが際立ってくる気がします。これは意見です。

○山本座長代理 わかりました。それでは、ほかに御意見をどうぞ。

○安藤委員 私はもう、この概要そのままで構わないと考えております。
 ただし、いわゆる認証を受けずに活動する者を排除しない、自由にやって下さいということが基本だと思うのです。認証を受けたい者については受けるということにして、なぜ認証を受けてもらいたいかということを明らかにすればよいのではないかと思います。ただ、報酬を受ける場合、自分のところで行っている業務が他の機関とどれだけ差があるのかなどといったレベルをできるだけ同じにするための取組みとして、お互いに協議をするための協議団体をひとつ作っておくという前提がなければ、うまく進まないのではないかと考えています。
 ですから、いくら国が認証・監督を行うとは言っても、認証ADR機関の中でAとBが全く違うやり方をしてしまっているということでは、相談をしてADRに掛ける場合にもいろいろな問題が出ると思われます。認証を受けた機関でもADRばかりを受けるわけではなく、話し合いをしているうちにADRに掛けなければならない事案であるということになるのですが、その段階で慌てて受けてADRをやりますというようなことでは困るので、事前に認証を受けていて、様々な問題に対応できる機関であるということを、相談する側の国民に認識してもらえるようにするためには、やはり緩やかなルールというものは作っておかざるを得ないのではないかと考えます。
 クレームを付けるとすれば、国等の責務の中に「普及に寄与するための」とありますが、もう少し強い表現ぶり、積極的に動くという部分も欲しいと感じています。

○山本座長代理 わかりました。何かコメントは。

○小林参事官 法律の問題になるかどうかはさておき、ADR事業者の連携を強化していくことは、審議会意見書以来の宿題でもありますし、そのための努力も私どもとしてもいろいろとさせていただいているところでございます。今、委員がおっしゃったように、認証事業者だけで集まるのがよいのかどうかについては、もちろん、基本的にその事業者の方が判断されることでありまして、場合によっては、認証事業者以外の方も含めた形の方が望ましいのかもしれませんが、いずれにしてもそのような協議会的なものができることについては期待しているところでありますし、役所を通じた呼びかけやポータルサイト、あるいはメーリングリストを使って情報交換をしていくなどという仕組みにつきましては、我々としても努力しているところでございます。
 それから、国の責務の中にということでございますが、先ほど申し上げましたように、国内外のADRについての状況の調査、分析、情報の提供などは、盛り込みたいと思っておりますので、そういう中には当然、現在のADRがどういう状況になっているのかについて、きちんと情報提供をすることは含まれていると考えております。

○山本座長代理 どうぞ。

○安藤委員 実は、この件で私の会社でも契約書を調べたら、対外的な契約をもって裁判にかけずにお互いに協議の上、というような文言があるものが2つ出てきました。そうすると、そのような場合にはやはりこのようなADR機関に相談をしながら動いていくということになると思います。そのためには、やはり認証制度による国民の選択の目安の提供、そしてADR機関相互間で何か知識を共有できるような機関といったものの創設は、是非お願いしたいと思っております。

○山本座長代理 ありがとうございます。それでは、ほかに御意見があればどうぞ。龍井委員。

○龍井委員 2、3点ほど御意見申し上げたいと思うのですが、前々回、前回と特に労働分野やBtoCなど、当事者間に非対照性がある分野について配慮していただきたいとお願いしました。なかなかそのような分野のみを取り出して、法律の枠組みの中で懸念を払拭するのは難しいことは承知の上で申し上げますが、更に努力を続けていただきたいと思います。後のコメントにおいてもそのような意見を申し上げますが、引き続きよろしくお願いします。
 具体的に申し上げますと、懸念されるのは、途中段階における離脱やADR機関からの呼び出しに従わなくてもよいということは、当たり前のことが、先ほど申し上げたような力関係が非対照的である分野では、個人が自信を持って判断することがままならない状況に置かれてるということについて、それをどのようにしてカバーするのかという問題があり、特に個別労働分野に関しては、最近は使用者側からの訴えも増えており、例示で申し上げれば、退職時の損害賠償のような紛争は、必ずしも働く側だけではなく、使用者側が申し立てることも多くなっています。あるいは将来、使用者側から特定のADR機関を指定して、我が企業の紛争処理はこのADR機関で行うなどということを、一番危険な場合は就業規則に書かれてしまうこともあり得るわけで、そういう場合に、まさにここで本来求めている自主的解決というものが、そうではない方向にねじ曲げられてしまう懸念が、多くあるとは思いたくありませんし、杞憂だと思いたいのですけど、ございます。
 具体的に申し上げれば、2ページ目の5項目の「認証紛争解決事業者の義務」のところで、自明のことかもしれませんが、そのようなことを当事者にきちんと周知をさせることが必要でしょう。具体的に言えば、まさに自主的に、自ら選択しない限りは、手続にもあっせん内容にも、服従の義務があるわけではなく、離脱することも可能であるということを前段、入口のところできちんと示させる必要があると考えています。私は、できれば、書式のようなものを決めて明示させるなり、場合によっては掲示させるなりして、先ほどの御説明で手続の流れや費用などいくつか提起がありましたけども、そういった共通事項を書式で示す、あるいは最低必要事項を記入させるという書式のようなものを定めるように、きちんと義務化を図っていくという措置を、是非お願いしたいと考えています。
 2点目は、費用に関してですが、これもこの中で若干話題になったことではありますけれども、示談屋、事件屋は入口で排除されるかもしれませんが、法外な解決金を求めてくるようなことを排除する意味でも、弁護士の場合について一定の目安が示されているように、やはり費用の在り方についてもどこかでルールをつくり、明示させる必要があるのではないかと考えています。
 最後に3点目ですが、これも検討会の中で議論されてきていることではありますけれども、いわゆる利害関係者に関することについては、あらかじめ情報開示で示されるわけですが、少ない情報の中で、特にBtoCのような立場の弱い者がきちんとそのことを判断できるかについてはかなり難しい問題があって、情報開示だけでは不十分なのではないかと思っております。かといって、そんなに制約するということも問題であるという御指摘もあったわけです。
 そこで、少なくとも原則としては、当該案件に利害関係がある者は携わってはいけないというルールをつくった上で、本人同士が同意するようなケースもあり得ると思うので、本人同志が同意すればその限りではないという、原則と手続をきちんとルール化することによって、よけいなトラブルを避けて、ADRの信頼性を高めていくことができるのではないかと思っていますので、よろしく御検討をお願いしたいと思います。以上です。

○山本座長代理 ありがとうございます。どうぞ。

○原委員 BtoCという意味においては、消費者と事業者のトラブルも同じだと考えております。  本日示された36−2「執行力の付与に関して寄せられた意見等(概要)」のところの4ページから5ページにかけてですけれども、4ページの下から2つ目の○のところには当事者間の合意であっても、合意形成過程・合意内容が不公正なものは取消し・無効とするなどの法的規制も行われているとか、それから次へ係って手続の公正・中立性、和解内容の実質的な公正さが担保されていないとか、それからその次の○のところも紛争公正かつ的確に解決できることの確保を要件とすべきというようなことが書かれており、この点が不十分であると言われている意見とも共通するのですが、仲裁法の検討をしたときにも、消費者と事業者のトラブルのところについては、紛争が生じた場合は仲裁によるということが契約に織り込まれるというのでしょうか、その抱き合わせにされて明示的に示されないことは問題ではないかとか、仲裁を離脱するという選択権があるべきだというのかが、仲裁の場合は特に厳しかったので大変問題になりました。
 ですから、ADRについてもこの機関のADRを利用するということが契約書の書面に書かれていて、本体契約のところは成立させたいのだけれども、このADR機関を利用するのをやめたいというときに、消費者側が選択できるようになっているということについては、多分政省令ができるのだと思いますが、政省令で是非御配慮をいただきたいと考えております。
 それから、龍井委員が2つ目、3つ目でおっしゃられた費用の負担の在り方や利害関係者の排除についても同様の配慮規定をお願いしたいと思います。
 以上です。

○山本座長代理 ありがとうございました。

○小林参事官 まず第1点目でございますが、私どもはずっとADRを議論していますので、ADRはいつでも離脱ができるなどということや最終的に本人が合意しなければ何の拘束力も生じないなどということは、自明のこととして議論しているわけです。しかしながら一般の方々のことを考えると、恐らく理解が難しい面もあろうと思いますので、ある意味では当然のことかもしれませんが、先ほどの説明義務の中で、手続の大きな流れについては御説明するということでありますから、その中で当然離脱の自由や、最終的な和解については、自分が納得して和解をするのだということについては、説明がなされていくことになりますし、書式まで決めるかどうかについては別と致しまして、そのような説明がきちんと行われるような担保手段も、きちんと考えていきたいと考えております。
 それから、原委員がおっしゃった事前合意については、恐らくすべての事前合意が無効ということにはならないと思いますが、内容が甚だしく不当であれば現行法の下でも問題になると思うので、そこのところを前提とした上で、であればこそ、なおさらのこと、離脱の問題や最終的な合意の問題が非常に重要になってくるわけですから、そこのところについては遺漏のないようにしていきたいと考えております。
 2番目の費用の問題でございますが、これも龍井委員がおっしゃったように、あるいは先ほど冒頭に御説明しましたように、非常に重要な問題なので、利用申込者に対して説明するということは当然でありますが、併せて業務実施方法の中で費用に関する事項についても記載させることにいたしますし、また、どの程度の費用であれば良いのかというのは非常に難しい問題で、国が一律に決めるような話ではありませんが、やはり著しく不当である場合については、認証にはなじまないのではないかと考えております。
 3番目の利害関係情報の開示の問題でございますが、これにつきましても業務実施方法の中での開示ですとか、開示した結果として利用者が変更したいなどと言ってきた場合に変更を認めるのであれば、その際の手続の方法について、きちんと記載させることを考えております。  ただ、利用者からの申出ではなく、こういう人はダメということや、あるいは、自分から回避しなければならないとなどということを、どこまで規律していくかということについては、そもそも利害関係そのものがやや幅のある問題でございますので、なかなか一律に決めていくことは難しいとは思いますけれども、やはりそういうことに関連する事項については、業務実施方法の中できちんと書かせて、内容面についても確認していきたいと思っております。

○龍井委員 確認ですが、2点目の費用の面の著しく不合理なものはなじまないというところについては、何らかの目安をつくるお考え、ないし可能性というのは多少はあると考えてよろしいですか。

○小林参事官 国の方でですか。

○龍井委員 そうです。

○小林参事官 目安をつくるというよりも、そういうものはきちんと排除できるようにしていきたいと考えております。報酬ガイドラインや報酬規定のようなものをつくるというよりは、著しく外れるようなものについては、きちんと排除できるような審査の仕組みを考えていくということだと思います。

○山本座長代理 どうぞ。

○原委員 済みません。時間が迫っておりますが、もう一点確認をさせていただきたいのですが、報告等を受けて、法務大臣が一定要件の下で、報告の徴求・検査、業務に関し必要な措置をとるべき勧告・命令、取消しをおやりになるわけですけれども、この法律がスタートした後の姿として、法務大臣が主務大臣となれば、法務省の中に利用者からの苦情などを受け付けるセクションができるのでしょうか。
 それで、ここで検討しているメンバーの間では、業務に関して措置をとる場合は手続的におかしなところを正すという感じなので、あまり内容には踏み込まないということで何度も話が出ています。しかし、実際には内容に踏み込んだ苦情が、たくさんかどうかわかりませんが、出てくる可能性もあると思うのです。それらを受け付けるようなセクションが設けられたとして、そこで受け付けられた情報について、情報公開法で開示請求が出された場合には、開示なさるのでしょうか。

○小林参事官 まず、苦情処理の問題でありますけれども、一般的にそのような問題について苦情が寄せられたときに、一切聞かないなどということはそもそもあり得ないと思うのですが、どこが担当するのかも含め、具体的に専任の窓口を置くかどうかという問題は、これから法務省でいろいろと検討されることになると思うので、今、推進本部から何か確定的なコメントを申し上げるような段階ではないと思っております。しかし、当然そのような御意見は出てくると思いますので、そういった御意見も踏まえて検討していくことになると思います。
 それから、情報公開法の問題は、苦情の受付の仕方にもよるのではないかと思いますので、今、つまびらかに公開されるのかどうかについて、お答えできるだけの知見を持ち合わせておりません。
 ただ、苦情については、仮にそのような窓口ができたからといって、そこでなければ受け付けないということではなくて、業務実施方法の中には、苦情の適切な処理、苦情の取り扱いについてといった項目も記載していただくようにしたいと思っていますので、まず事業者にも苦情を言うことはできますし、当然、関連する関係省庁は、関係省庁の立場として、そのようなことをフォローしていくこともあり得ると思います。

○山本座長代理 よろしいでしょうか。

○原委員 はい。

○山本座長代理 ほかに。高木委員、よろしければ。

○高木委員 済みません、今日は変更できない所用があったものですから、遅刻しまして説明も聞いていないのですが、確認をさせていただきたいことがあります。
 まず、品確法の弁護士会の住宅紛争審査会と認証の関係、あるいは日本商事仲裁協会といった、従来からある民間ADR機関は、法務大臣の認証との関係では、どうなったかをお聞かせください。
 それから「認証の基準等」の認証基準のAの「対象紛争の内容等に応じた適切な実施者」、Bの「業務実施方法に従って手続を行うに必要な知識」といった書きぶりから見ると、対象紛争について種別や分類分けのようなことをして、それぞれ認証に当たって判断することが予定されているのかどうかについてもお尋ねしたいと思います。
 もう一つは、1ページの「1 認証」に「紛争解決事業者は報酬を受けてその業務を行うことができるものとする」という記載があるのですが、これはこれに近い条文ができるという趣旨だと思いますけれども、これが72条の例外のための規定と読んで、72条について適用除外するというような明文の規定は置かれないという認識でいいかということ。それが3つ目です。
 もう一つは、執行力についてどこにも何も触れていないのですが、落ちることは大体皆さんの意向だから、それはやむを得ないとしても、将来課題にするという趣旨ででも、どこにも入らないのかということを確認したいと思います。できれば、一般的な見直し規定のところに、ちょっと特出しで入れるのは難しいのかもしれませんけれども、そういうものも含めて検討するというような形でも入らないのかなというような希望を持っておりますが、御意見を伺いたいと思います。

○小林参事官 まず、第1点目のいわゆる適用除外の問題でございますが、これは具体的内容については、まだ関係省庁と御相談している段階でございますので、具体的にどの機関が入って、どの機関が除かれるかということについて、今、個別に言及するのは適当ではないとは思いますけれども、基本的な考え方としては、行政型ADRに準ずる機関については、認証対象から除外することは考えられるのではないかと考えております。これは、認証による認知という問題は余り生じてこないということと、法的効果については、やはり個別法で手当をしていくのが適当ではないかということなどから、そのようなものについては除外することがあり得るのではないかということです。
 それから2番目の紛争分野、種別を念頭に置くことを前提としているのかについては、先ほど龍井委員からの御質問に対するお答えのなかで少しお話ししたのですが、業務実施方法の中で対象となる紛争の範囲を決めていただくことになっておりますので、その切り口はいろいろな切り口があると思いますが、紛争分野別に縦割りにこの中から選んでくださいということをお示しすることは考えておりません。ただ、何らかの形で対象となる紛争分野、範囲を画していただくことを前提としております。もちろんその場合、民事全般ということで申請することについても問題になることはございません。

○高木委員 範囲の画し方については、事業者側が自由に決めるのでしょうか。

○小林参事官 基本的には、事業者側で決めていただくということになります。
 それから3番目の報酬についてですが、冒頭の御説明の際に申し上げたのですが、この報酬を受けてその業務を行うことができることと、他の部分で弁護士以外の者が手続実施者となる場合の措置について定めていることを併せ読むことにより、弁護士以外の者が報酬を得て行ったとしても、弁護士法72条の問題は生じない旨が明らかになるということでございます。
 その限りで、その旨は明らかになるものですから、弁護士法72条を適用しないなどという文言を使うことは特に考えておりません。
 それから、執行力については、これも冒頭の御説明の際に、将来の検討課題としてしっかり認識している旨を申し上げております。

○山本座長代理 よろしいでしょうか。

○高木委員 はい。

○山本座長代理 ほかに、御意見はいかがでしょうか。よろしいですか、綿引委員。

○綿引委員 特に何もございません。

○山本座長代理 よろしいでしょうか。それでは、ほぼ御意見、御質問は出尽くしたと思いますので、最後に、私から本日の議論の総括、あるいは感想のようなものを述べさせていいただきたいと思います。
 現在、法制的な検討、あるいは関係方面とのいろいろな折衝も大変難しい過程に入っているのだろうと思います。事務局にも様々な形で大変な御労苦をおかけてしているのであろうと思うわけですが、私が見たところ、今日の事務局からの説明を伺う限りにおいては、この検討会での今までの議論の成果を、できる限り活かした立案作業を進めていただいているのではないかとの印象を持ちました。
 もちろん、それぞれの委員、そして私個人としても、いろいろな思いはあろうかとは思いますが、全体的な検討会における意見の流れ、分布といったものを十分に反映した形で立案作業を進めておられると思っております。
 ただ、本日の検討会でも、各委員から様々な御意見が出されたわけでありますので、そういった御意見を、更に今後の詰めの作業の中で十分に御参考にしていただきながら、法案の作成作業を進めていただければと思います。
 そして、法案が無事国会に提出されましたならば、しかるべきタイミングで本検討会においても、また改めて説明の機会を設けて、先ほど廣田委員からも具体的な条文の形にならなければというお話しもあったかと思いますが、説明の機会を再度設定していただくように私からもお願いしたいと思います。
 最後に、今の点とも関係いたしますが、今後の本検討会の開催予定について、事務局から御説明をお願いしたいと思います。

○小林参事官 それでは、今後の開催の予定について説明申し上げます。これも6月にお話しをしたときと特段変わったわけではございませんが、改めて申し上げると、あと2回程度開催させていただきたいと考えております。
 残された課題といたしましては、隣接法律専門職種に対する代理権付与の問題がございます。主催者として、手続実施者として行う場合については、今回のADR法案の中で他の専門家の方と同じように措置がなされるわけでございますが、ADRの代理権の問題がまだ残っております。それが残されたテーマの1つでございます。
 もう一つは、今日、安藤委員からも御指摘がございました、例えば、連携の強化のような問題といった法制上の措置以外のADRの拡充・活性化策、これは多分中長期的な課題も含まれてくるのだと思うのですが、そういったものについても一度きちんと議論したいとの御意見を前々からいただいておりますし、また私どももその必要があると考えておりますので、そういうテーマがもう一つ残っております。
 ただ、それぞれのテーマについて1回ずつ開催するというよりは、むしろ適当な期日を2回ほどいただいて、その中で両方について議論させていただくことになるのではないかと考えております。また、そのタイミングに併せて、法案が無事に提出できましたら、その内容についても御説明をさせていただきたいと考えております。
 非常に長い期間御迷惑をおかけしておりますが、私どもの任期も11月末まででございますので、もう少しお付き合いいただきまして、11月末までにあと2回ほど開催をしたいと考えております。恐らく次回は10月に入ってからになろうかと思います。
 以上でございます。

○山本座長代理 ありがとうございました。よろしいでしょうか。また、具体的な開催日時につきましては、改めて事務局の方から委員の皆様に御連絡を差し上げることになると思います。
 それでは、本日の検討会はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。