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ADRの拡充・活性化のための関係機関等の連携強化に関するアクション・プラン

平成15年4月10日
ADRの拡充・活性化関係省庁等連絡会議
  1. はじめに

    1 本アクション・プランの趣旨

     本アクション・プランは、司法制度改革審議会意見(平成13年6月12日)において、ADR(裁判外の紛争解決手段)の拡充・活性化を図るため、関係機関等の連携を強化すべきであるとされたことを受け、ADRに関する関係機関等の連携強化に係る諸方策の推進等を図るため、司法制度改革推進計画(平成14年3月19日閣議決定)に基づいて設置された「ADRの拡充・活性化関係省庁等連絡会議」(平成14年6月13日設置。以下「連絡会議」という。)において、当面、関係省庁等が横断的・重点的に取り組むべきと考えられる施策を取りまとめたものである。

    2 関係機関等の連携強化の促進に当たっての基本的考え方

     司法制度改革審議会意見では、ADRの拡充・活性化を図るための課題として、「関係機関等の連携強化の促進」と「共通的な制度基盤の整備」の2点が指摘されている。
     ADRの拡充・活性化を通じて、社会全体の紛争解決機能を拡充し、自由で公正な社会の形成という司法制度改革の基本理念を実現していく上で、2つの課題はいわば車の両輪であり、いずれが欠けても、ADRが裁判と並ぶ紛争解決の魅力的な選択肢として十分にその機能を発揮していくことは望めないものと考えられる。
     他方、我が国の現状をみると、ADRの現状把握も必ずしも十分に行われているとはいえず、また、ADRの拡充・活性化に向けた関係省庁等の連携が十分でなかった面があることは否めない。
     連絡会議としては、関係省庁等はこのような認識に立って、司法制度改革推進本部のADR検討会におけるADRに関する総合的な制度基盤の整備についての検討と並行し、本アクション・プランの趣旨に沿って、関係機関等の連携強化を促進するための施策に取り組むべきであると考えている。

    3 地方公共団体や民間等における取組

     ADRの健全な発展を実現していくためには、国、地方公共団体、ADR機関、利用者である国民といった各主体が、相互に連携しつつ、それぞれの立場から適切な役割を担っていくべきものと考えられるところであり、本アクション・プランに掲げた施策のいずれをとっても、関係機関等の協力なくしては所期の目的を達しえない。
     すなわち、ADRに関する関係機関等の連携強化を図るためには、政府が必要な施策を講じていくことと併せて、地方公共団体や民間機関、弁護士会においても、ADR機関や相談窓口機関を運営する立場として、また、これらの機関の運営を支援する立場として、必要な措置が講じられていくことが重要である。
     このため、地方公共団体や民間機関、弁護士会におかれては、これらの趣旨を踏まえ、積極的な取組が講じられることを期待するとともに、これら各団体・機関との連携強化を図っていくこととしたい。

    4 今後の予定

     ADRの拡充・活性化に関しては、現在、司法制度改革推進本部のADR検討会において、遅くとも平成16年3月までに所要の措置を講ずべく、ADRに関する総合的な制度基盤の整備についての検討が進んでいるところであり、また、ADRの拡充・活性化に関連して、司法制度改革の一環として、全国のどの街でもあまねく市民が法的な救済を受けられるようにするための司法ネット(仮称)の整備を目指して具体的仕組みの検討も進められているところである。
     連絡会議においては、これらの検討状況も踏まえ、今後、アクション・プランの趣旨に沿って各省庁等が取り組む施策について、その実施状況を適宜に調査し、公表するとともに、アクション・プランの内容について、必要に応じて見直しを検討することとする。
     なお、司法制度改革審議会意見では、関係機関間の連携を促進するための具体的方策の一つとして、関係諸機関による連絡協議会の体制整備についても指摘されている。
    連絡会議としては、本アクション・プランの趣旨を踏まえて設置されるいくつかの意見交換の場が発展し、ADR機関等のより大きな連絡協議の場である「関係諸機関等連絡協議会(仮称)」が整備されるきっかけとなることを期待し、必要な支援を行っていくこととしたい。


  2. ADRの拡充・活性化のための施策

     以下は、関係省庁等において、当面、横断的・重点的に取り組むべきと考えられる具体的施策について、実施又は検討すべき項目の内容を取りまとめたものであり、各具体的施策の末尾に括弧書きで掲げているのは、当該施策が実施又は検討されるべき時期及び当該施策に取り組むことが考えられる関係省庁等である。

    第1 ADRに対する国民の理解の促進

    【目標】
     社会全体の紛争解決機能の向上においてADRの果たす役割について、国民の理解と認識を深める。

    【基本的考え方】
     ADRの拡充・活性化を図っていくためには、何よりもまず、社会全体の紛争解決機能の向上においてADRの果たす役割について国民の理解を得ることが重要である。
     このため、ADRに関する広報活動の充実や司法教育との連携を図るなどにより、ADRの役割等についての国民の理解と認識を深めることに努める。

    【具体的施策】

    紛争解決を図る上でのADRの役割等を分かりやすく説明したパンフレットを作成し、裁判所、行政型ADR機関※や各省庁の各種相談窓口・広報窓口等に備え置くほか、民間型ADR機関※等と連携しつつ、ADRに関し、国民、事業者、専門家等の理解を深める広報活動を推進する(速やかに実施)。(司法制度改革推進本部及び関係府省等)
     
    講演会、シンポジウム、模擬調停等の開催に対する支援等を通じて、ADR機関等と連携しつつ、国民に向けた普及啓発活動を実施する(速やかに実施)。(関係府省等)
     
    「法の日」の行事の一環として、ADRに関する普及啓発活動を展開する(速やかに実施)。(司法制度改革推進本部、法務省、最高裁判所及び関係府省)
     
    司法教育における取組との連携を図りつつ、ADRに関する国民の理解の促進を図るための方策を検討し、逐次所要の措置を講ずる(逐次実施)。(関係府省等)

    (※)本アクション・プランでは、「ADR機関」を「仲裁、裁定、調停、あっせん等の紛争解決手続を提供する機関」と整理し、各施策を実施していくものとする。

    第2 ADR機関等へのアクセスの向上

    1 訴訟、ADRを含む紛争解決手段へのアクセス・ポイントの整備の促進

    【目標】
     国民が、適切な紛争解決手段を簡易・迅速に選択できるよう、ADR機関等に関する総合的な情報提供機能を強化する。

    (1) ポータル・サイト(インターネット)の機能充実

    【基本的考え方】
     国民が適切なADR機関等を簡易・迅速に選択できるようにするためには、国民がインターネットを通じて手軽にADR等に関する情報にアクセスできるポータル・サイトが整備されることによって、紛争の態様に応じたきめ細やかな情報提供サービスを受けられるようにすることが重要である。
     このため、民間機関によるポータル・サイトの作成・運営活動を積極的に支援することとし、これらの活動を充実させるための環境を整備する。

    【具体的施策】

    ポータル・サイトの関係者(ポータル・サイト運営者、ADR機関等の利用者、ADR機関等)からなる意見交換の場を設置し、ポータル・サイトの利便性を高めるための方策等について検討する(平成15年度早期に意見交換の場を設置)。(司法制度改革推進本部及び関係府省等)

    <意見交換の場における検討項目(例)>
    ・ポータル・サイトへの掲載が望まれる情報の内容
    ・各ADR機関等に関する情報がポータル・サイトの運営者に積極的・効率的に提供される仕組み(提供すべき情報に関する項目リスト・フォーマットの作成、更新情報の通知方法、ADR機関へのインセンティブ方策等)
    ・ポータル・サイトの運営者に寄せられたADR機関に関する評価・苦情情報の取扱い 等
     

    ポータル・サイトの運営者からの要請に応じて迅速にADRや訴訟に関する情報を提供できるよう、行政型ADR機関(国)、裁判所における情報提供の担当部署を明らかにする等必要な措置を講ずる(速やかに実施)。(内閣府、総務省、公害等調整委員会、法務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省及び最高裁判所)
     
    行政型ADR機関(地方公共団体)、所管民間型ADR機関等に対し、イと同様に、ポータル・サイトの運営者への適切な情報提供を可能とするために必要な取組を行うよう要請する(速やかに実施)。(内閣府、金融庁、総務省、公害等調整委員会、法務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省及び国土交通省)
     
    ポータル・サイトへのアクセスを容易とするために必要な措置を講じる(例えば、各府省等のホームページからポータル・サイトへのリンクを設定する等)(平成15年度中に措置)。(関係府省等)
     
    裁判所、行政型ADR機関や各省庁の各種相談窓口・広報窓口等において利用者がポータル・サイトを閲覧できるような方策など、民間型ADR機関等と連携しつつ、ポータル・サイトへのアクセスを容易とするための方策について検討する(速やかに検討開始)。(関係府省等)

    【留意事項】
     現在、民間団体等の作成・運営によるポータル・サイトがいくつか立ち上がりつつあることから、本アクション・プランでは、このような民間団体等の活動の充実に向けた環境整備を進めていくこととするが、ポータル・サイトの整備の方向性としては、公的機関が何らかの形でポータル・サイトを作成・運営することも選択肢としては考えられる。

    (2) 総合的相談窓口の充実

    【基本的考え方】
     国民が適切な紛争解決手段を選択できるようにするためには、紛争解決手段に関する総合的な案内サービスを提供するアクセス・ポイント(「総合的相談窓口」)が、可能な限り国民に身近なところに存在することが重要である。
     このため、様々な相談者に対して紛争解決手段に関する幅広い情報提供や他機関の紹介を行うなど、総合的な案内サービス機能を有している既存の各相談窓口やADR機関等について、その本来的な機能を活かしつつ、「総合的相談窓口」としての機能を充実・強化する。

    【具体的施策】

    各府省の消費者窓口、国民生活センター等において、その本来的な機能を活かしつつ、総合的相談窓口としての機能を強化するための具体的な方策を検討し、所要の措置を講ずる(逐次実施)。(内閣府、農林水産省、経済産業省及び関係府省)
     
    裁判所において、その中立・公平性を損なわないよう配慮しつつ、裁判所の手続の相談窓口としての機能を強化するとともに、紛争解決手続に関する情報提供を行うための具体的な方策を検討し、所要の措置を講ずる(逐次実施)。(最高裁判所)
     
    地方公共団体(消費生活センター、県民(市民)相談窓口、警察の相談窓口等)や弁護士会(仲裁センター、法律相談窓口等)において、その本来的な機能を活かしつつ、総合的相談窓口としての機能が充実されるよう、これらの団体・機関との連携強化を図る(速やかに実施)。(司法制度改革推進本部、内閣府、警察庁及び関係府省)
    (注)総合的相談窓口としての機能の強化に関して、国民生活審議会消費者政策部会においては、国民生活センターや消費生活センターが消費者に対する総合的な窓口機能を発揮していくことについての検討が進んでいる。

    総合的相談窓口における情報提供機能の充実を図るための措置を講ずる。

    a)総合的相談窓口等に備え置くよう、各種ADR機関等が一覧で紹介されたリーフレットを作成する(平成15年度中に作成)。(司法制度改革推進本部及び関係府省等)
     
    b)総合的相談窓口からの要請に応じて迅速にADRや訴訟に関する情報を提供できる方策について検討し、行政型ADR機関(国)、裁判所における情報提供の担当部署を明らかにする等必要な措置を講ずる(速やかに実施)。(内閣府、総務省、公害等調整委員会、法務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省及び最高裁判所)
     
    c)行政型ADR機関(地方公共団体)、所管民間型ADR機関等に対し、b)と同様に、総合的相談窓口への適切な情報提供を可能とするために必要な取組を行うよう要請する(速やかに実施)。(内閣府、金融庁、総務省、公害等調整委員会、法務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省及び国土交通省)

    総合的相談窓口からの要請に応じて、当該窓口を紹介するパンフレット等を裁判所、行政型ADR機関や各省庁の各種相談窓口・広報窓口等に備え置くほか、民間型ADR機関等と連携しつつ、総合的相談窓口の知名度の向上を図るための施策を推進する(逐次実施)。(関係府省等)
     
    ADR機関等の協力を得つつ、総合的相談窓口となる各機関の相談担当者や事務局職員を対象とした、各種ADR機関等に関する情報についての研修会を開催する(平成15年度中に開催)。(司法制度改革推進本部及び関係府省等)
     
    連絡会議において、総合的相談窓口における相談・情報提供事例等についての情報交換を実施するための研究会の開催や窓口対応マニュアルの作成等について引き続き検討する。

    【留意事項】
     本アクション・プランでは、総合的な案内サービス機能を有している既存の機関における相談機能の強化に焦点を当てているが、総合的相談窓口の充実の方策としては、国が新たな機関を整備することも選択肢としては考えられる。

    (3) 個別ADR機関へのアクセス方法の改善

    【具体的施策】

    行政型ADR機関(国)、裁判所へのアクセス向上を図るため、ITの活用による照会・受付機能の充実等について検討する(速やかに検討開始)。(内閣府、総務省、公害等調整委員会、法務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省及び最高裁判所)
     
    行政型ADR機関(地方公共団体)、所管民間型ADR機関等に対し、各々の機関へのアクセス向上策を検討するよう要請する(速やかに実施)。(内閣府、金融庁、総務省、公害等調整委員会、法務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省及び国土交通省)
     
    ADR機関へのアクセス向上を促進するための行政機関等の施設の活用等について、連絡会議において引き続き検討する。

    2 相談機関・ADR機関等間の相互紹介の体制整備の促進

    【目標】
     相談機関・ADR機関等間の相互協力により、紛争当事者が、様々な特長を有するADR機関の中から、より適切と考えられるものを利用できるようにする。

    【基本的考え方】
     国民が適切な紛争解決サービスを受けられるようにするためには、一次的にはどの相談機関・ADR機関等で案件が受け付けられたとしても、より適切なADR機関において紛争解決が図られるように、相談機関・ADR機関等間で相互に協力することが望ましい。
     このため、①相談機関で受け付けた案件について、あっせん・調停等が必要となった場合に、ADR機関へ引き継ぐことや、②ADR機関で受け付けた案件が対象外のものであった場合に、適切な他のADR機関へ引き継ぐこと、③案件の性格に応じて、幅広い分野の紛争を受け付けるADR機関から、より専門性の高いADR機関へ引き継ぐこと等を可能とするための実務上の連携システムを整備する。

    【具体的施策】

    事案の引継ぎが一般的に生じ得る相談機関・ADR機関等の関係者による意見交換の場を設置し、事案引継ぎシステムの在り方について検討する。(平成15年度早期に意見交換の場を設置)。(司法制度改革推進本部及び関係府省等)

    <意見交換の場における検討項目(例)>
    ・利用者にいわゆる「たらい回し」感を与えないようにするための情報の引継ぎ方法等(引継ぎ先機関への紹介状、相談メモの作成等)
    ・利用者の信頼を得つつ事案の引継ぎが行われるための引継ぎ方法等(個人情報の保護や利用者の意向に配慮した事案の引継ぎ手続・利用者の負担費用や資料等の取扱いの明確化、引継ぎ後のフォローアップ方法に関するルール整備等)
    ・地方に受付窓口のないADR機関への事案の引継ぎが円滑に行われるための引継ぎ方法 等

    (注)上記の意見交換の場として、既に金融分野においては、裁判外紛争処理制度の改善のため、消費者行政機関、消費者団体、業界団体・自主規制機関、弁護士会及び金融関係省庁の担当者による業態の枠を超えた情報・意見交換を行う任意の自主的な協議会として「金融トラブル連絡調整協議会」が設置され、これまでに、「金融分野の業界団体・自主規制機関における苦情・紛争解決支援のモデル(平成14年4月25日)」の策定等を行っている。

     
    アの検討を踏まえ、モデルとなる事案引継ぎのシステムを幅広いADR機関に紹介する。(関係府省)

    3 ADR機関による利用者に対する情報提供の促進

    【目標】
     国民が、様々なADR機関の情報を入手し、これらを比較検討することを通じて、適切な紛争解決手段を主体的に選択できるようにする。

    (1) 各ADR機関による組織・手続・主宰者等に関する情報提供の促進

    【基本的考え方】
     国民が適切な紛争解決手段を主体的に選択できるようにするためには、各ADR機関が組織・手続・主宰者等に関する情報を適切に提供することが望ましい。
     このため、各ADR機関が、個人情報の保護等に留意しつつ、国民が選択のために必要となる各ADR機関における運営主体、主宰者候補者に関する情報、取り扱う紛争の範囲、選択できる解決手続、利用費用、処理期間等に関する情報を各機関の性格等に鑑みて適切な方法で提供できる環境を整備する。

    【具体的施策】

    利用者が入手しやすい方法により、各ADR機関の組織・手続・主宰者等に関する情報が提供されるよう、行政型ADR機関(国)、裁判所における情報開示コーナーの設置、HPへの掲載等の必要な措置を講ずる(速やかに実施)。(内閣府、総務省、公害等調整委員会、法務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省及び最高裁判所)
     
    行政型ADR機関(地方公共団体)、所管民間型ADR機関等に対し、アと同様に、各ADR機関が組織・手続・主宰者等に関する情報を適切に提供するために必要な取組を行うよう要請する(速やかに実施)。(内閣府、金融庁、総務省、公害等調整委員会、法務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省及び国土交通省)
     
    連絡会議において、ADR機関の組織・手続・主宰者等に関する情報提供の在り方について、情報提供に関するモデル(ガイドライン)(提供すべき情報の内容、提供方法等)の策定を含めて検討する(速やかに検討開始)。

    【留意事項】
     各ADR機関による情報提供の在り方については、別途、司法制度改革推進本部事務局(ADR検討会)において、法令上のルールを設けることの適否を含め検討されているところであり、その検討状況も踏まえて施策を実施していく必要がある。

    (2) 各ADR機関による解決結果に関する情報の的確な提供の促進

    【基本的考え方】
     国民が適切な紛争解決手段を主体的に選択できるようにするためには、(1)に掲げた情報に加え、当事者の予測可能性を確保するためにも、各ADR機関における解決結果に関する情報が提供されることが望ましい。
     このため、各ADR機関が、利用者の個人情報や事業者のノウハウ等保護すべき情報に配慮しつつ、解決結果に関する情報を適切に提供することができる環境を整備する。

    【具体的施策】

    ○ 連絡会議において、利用者の選択に資する解決結果に関する情報提供のあり方(提供すべき情報・秘匿すべき情報の内容、利用者の誤解を招かない情報提供の方法等)について検討する(速やかに検討開始)。

    【留意事項】
     各ADR機関による情報提供の在り方については、(1)と同様に、別途、司法制度改革推進本部事務局(ADR検討会)において、法令上のルールを設けることの適否を含め検討されているところであり、その検討状況も踏まえて施策を実施していく必要がある。

    (3) その他

    【具体的施策】

    (1)、(2)の他、利用者の選択に資する情報(各ADR機関における担い手の育成方法(研修体制等)、各ADR機関の有する専門性等)が適切に提供されるような環境の整備について、引き続き連絡会議において検討する。
     
    ADR機関が相談等を通じて得た情報のうち、紛争の再発防止や同種の紛争の迅速な解決に資するような情報(特に、国民の生命安全にかかわる情報)の取扱いの在り方について、引き続き連絡会議において検討する。

    第3 担い手の確保・育成等

    1 人材の相互交流の促進

    【目標】
     ADRの担い手として高い能力を有する人材がより有効に活用されるよう、人材の相互交流等を促進する。

    【基本的考え方】
     ADRの担い手として高い能力を有する人材が有効に活用されるようにするためには、関連するADR機関間でADRの担い手となり得る人材の相互交流等が図られることが望ましい。
     このため、個人情報の保護等に留意しつつ、各行政機関・ADR機関等間において、人材の交流・派遣や各機関の保有する人材に関する情報の共有化を促進するための環境を整備する。

    【具体的施策】

    行政機関・ADR機関等の関係者からなる意見交換の場を設置し、行政機関・ADR機関等間での人材の交流・派遣を促進するための協力体制の在り方等について検討する(平成15年度早期に意見交換の場を設置)。(司法制度改革推進本部及び関係府省等)

    <意見交換の場における検討項目(例)>
    ・人材の交流・派遣に関するニーズの把握とこれを促進するための環境整備(行政機関等の保有する人材に関する情報の提供の仕組み、人材の交流・派遣に伴う身分関係を巡るルールの整備等)
    ・担い手が他のADR機関において幅広い実務経験や様々な研さんを積むことができるような人材の相互交流の可能性 等
     

    各行政機関・ADR機関等の保有する人材に関する情報を収集、整理し、データベース化することの適否について、アの検討状況を踏まえ、引き続き連絡会議において検討する。

    【留意事項】
     ADRの担い手としてどのような人材の確保・育成が望まれるかという点については、別途、司法制度改革推進本部事務局(ADR検討会)において、ADRにおける専門家の活用のあり方などと関連して検討がされているところであり、その検討状況も踏まえて施策を実施していく必要がある。

    2 担い手の能力向上策の充実

    【目標】
     ADRの担い手の能力向上に行政機関・ADR機関等が連携して取り組むことができるよう、人材の育成に関する相互の協力体制を整備する。

    【基本的考え方】
     ADRの担い手の能力を向上させるためには、行政機関・ADR機関等の連携によって、機関の垣根を越えた協力体制を整備し、担い手に対する研修や勉強会の充実を図る必要がある。
     このため、各機関の実施する研修等に対して行政機関・ADR機関等が協力できる体制を整備する。

    【具体的施策】

    ADRを担う人材の育成の具体的な在り方について検討し、「調停人養成プログラム」を試行的に実行する(平成15年度中に措置)。(経済産業省)
     
    1のアの意見交換の場において、行政機関・ADR機関等が実施する研修等の充実を促進するための協力体制の在り方等について、上記アの取組等を参考としつつ検討する。(司法制度改革推進本部及び関係府省等)

    <意見交換の場における検討項目(例)>
    ・各行政機関・ADR機関等が実施する研修に対して、他の行政機関・ADR機関等が協力できる仕組み(他の機関からの講師派遣、研究会の共同開催、判例情報の提供等)
    ・各行政機関・ADR機関等の実施する研修等に他のADR機関の担い手が参加できる仕組み(各機関における研修等の実施の態様や具体的なニーズ等の把握を含む)
     

    ADRの担い手に対する研修等を実施する行政機関・行政型ADR機関等は、ADR機関からの要請に応じて研修等に関する情報を提供できるよう、担当部署を明らかにする等必要な措置を講ずる(速やかに実施)。(関係府省等)
     
    各府省は、行政型ADR機関(地方公共団体)、所管民間型ADR機関等に対し、研修等に関する情報の適切な提供を可能とするために必要な取組を行うよう要請する(速やかに実施)。(内閣府、金融庁、総務省、公害等調整委員会、法務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省及び国土交通省)
     
    各ADR機関の担い手に対する統一的な研修を実施することの要否や、大学等を活用することの適否について、引き続き連絡会議において検討する。
     
    ADRの担い手が能力向上を図ることができる体制の整備(既存のオンライン等を活用した紛争解決事例等の共有化、ADRの担い手が適時に専門家等のアドバイスを受けることができる体制の整備等)について、引き続き連絡会議において検討する。

    【留意事項】
     ADRの担い手としてどのような人材の確保・育成が望まれるかという点については、1と同様に、別途、司法制度改革推進本部事務局(ADR検討会)において、ADRにおける専門家の活用のあり方などと関連して検討がされているところであり、その検討状況も踏まえて施策を実施していく必要がある。