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行政訴訟検討会(第15回)議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり



1 日時
平成15年3月26日(水) 13:30〜15:30

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委 員) 塩野宏座長、市村陽典、小早川光郎、芝池義一、芝原靖典、成川秀明、福井秀夫、福井良次、水野武夫、深山卓也(敬称略)
(事務局) 山崎潮事務局長、松川忠晴事務局次長、古口章事務局次長、小林久起参事官、村田斉志企画官

4 議題
  1. 論点についての検討
  2. 検討の進め方について
  3. 今後の日程等

5 配布資料
資料1 行政訴訟制度の抜本的改革に関する提言−「行政訴訟法(案)」の提案(日本弁護士連合会)

6 議事

(1)論点についての検討(□:座長、○:委員、△:外国法制研究会委員、■:事務局)

□本日は第2ラウンドの検討の最後としての検討、それから今後の検討の進め方について御検討いただく。第2ラウンドの検討としては、これまでの検討の中で、言い足りなかったこと、あるいは言い尽くせなかったこと、特に新しい論点、自分としてはこの論点は取り上げられていないのではないかという点についても御指摘あれば、御意見をいただきたい。
 第2ラウンドの検討の最後となると、そろそろ、これまでの検討の中で、いったいどういう点について意見の一致を見ているのか、意見があるもののなお議論が分かれているのはどういう点なのか、という点について、振り返ってて、今後の検討の基礎として認識を共有しておくことも必要ではないかと思う。そういった議論を踏まえ、現在の検討状況を認識した上で、今後のスケジュールをにらみながら、今後の検討の進め方について意見交換をしてはどうか。したがって、第1に、言い足りなかった点について御指摘・御意見をいただくことと、第2に、第2読会のまとめとして、共通の認識がある点あるいは分かれている点について、多少認識を共有する機会を持つための時間をとること、そしてそういった点を踏まえて、第3に、今後の検討の進め方について、御意見をいただくということで、3つに分けて進めることでいかがか。

(委員了承)

 それでは、まだこういった論点があるのではないか、あるいは御議論いただいた点についても視点が欠けていたのではないかというような点について、新しい情報の提供がいただければと思う。本来ならば論点をピックアップして、これとこれは一致している、していないといった作業をすべきだったかもしれないが、なかなかそういうところまでは至らなかったので、今日御意見を伺いたい。最初に、論点として挙げられていない事柄について非常に重要ではないかという御指摘、あるいは論点について議論したけれどもこういう重要な視点が落ちているのではないかという御指摘をいただければと思う。

○一つ議論があまりされていなかったのではないかと思うのは、判決のところであり、第三者効などの議論はなかったと思う。それとの関係で、拘束力とも関係するが、原状回復請求権、結果除去請求権の辺りも自分としては関心のあるところであり、機会があれば議論したい。

□たしかに判決のところについては、原状回復請求権についてドイツ法の紹介で結果除去請求権という形で、時々御紹介はあったが、それ自体としては議論していない。
 今日、3つの問題に截然と分けて御議論いただくというつもりではないので、後の方で実はこういう点が漏れていたのではないかというような御指摘があれば、またその点も伺うことにして、先ほど申しあげた第2番目の方に入ってよいか。

(委員了承)

□それでは、第2ラウンドの検討の最後ということで、どういった点について意見の一致を見ているのか、意見があるもののなお議論が分かれているのはどういう点なのかという点について、それぞれ振り返ってみて、今後の検討の基礎として認識を共有し、ある程度そういう整理をしてみたい。非常に総合的多角的な観点から幅広い議論がされた。分かりやすい資料をと考えてみたが、なかなかそれぞれニュアンスのある御発言をそう簡単にまとめるわけにもいかなかったので、この場で、多少ほんわかとした形でもよいので、こういった点については大体、意見が一致しているのではないかとか、ここはなかなか難しいという点についても、御認識を承りたい。
 誰が見てもというものとして、自分が御意見を伺っていて思うのは、自分の言葉で言うと、取消訴訟中心主義からの脱却ということであり、日本国憲法の要請するところでもある国民の権利救済の実効的包括的な救済について、今から見ると、取消訴訟中心主義ということで十全ではなかった点があるのではないか、そういった認識と、そういうことを是正していこうという基本的なところは共通の認識があるのではないかというのが自分の認識だ。物事の段取りとしては、その点について御意見が一致しているということでよろしいのではないかと思う。まずなかなか御発言がしにくいかと思い、自分の方で一番包括的なことを申し上げた。他の点について、また、今の点についてその認識は間違っているといったことでも、御指摘をいただきたい。

○たしかに取消訴訟中心主義というものがこれまでの議論で、批判的検討の対象として取り上げられているということなので、今の座長の発言はそのとおりだと思う。ただその場合に、行政に対する国民の権利利益救済の裁判システムを全体をどうイメージしていくのかというところになると、そこはまさにいろいろ問題があって、大きく言えば行政訴訟と民事訴訟との役割、それぞれをどうイメージするかという辺りはまだまだである。公定力なり排他性なりで、両方の垣根を高くしているのをそれを低くしようというぐらいの、非常に抽象的、理念的なところでは方向性は一致しているように見えるが、それを具体的に制度として設計図を書けということになると、なかなか具体的な方向性は出てこいない。それに対して、取消訴訟中心主義というのは、今の行政事件訴訟法が、大体取消判決までやれば国民は満足しなさいよというスタンスに見えて、取消判決で何とか救済できるのだから、その先はあまり贅沢は言うなということで、その結果義務づけ判決などまで行かないという制度、運用があって、そこはリジッド過ぎたので、必要な救済として、救済の深さ、到達距離を延ばしていこうという意味で、義務づけ判決がもっと広く認められるということは、かなり具体的にコンセンサスがあるのではないかと思う。その際にもう一つは、義務づけ判決を認めるのであれば、仮の救済をそれに付随させなければいけないので、制度として条文を書くのは難しいのかもしれないが、今の方向では是非必要なことではないかと思う。そのことがまた逆に、現在の取消訴訟なり、特に執行停止の制度の運用なりの窮屈さも緩和していくことになるのではないか。別の言葉で言うと、行政訴訟による救済の間口をどこまで広げるか、その間口を民事訴訟の場合とどういうふうに区別するか、そこはなかなか議論がまだ収斂されていないが、奥行きは延ばしていこうというところは、なり一致が見られるのではないかと思う。

○少なくとも義務づけ訴訟については、これだけ講学上議論されていて、行訴の改正をすると言ったらおそらく義務づけ訴訟の法定化について非常にいろいろな議論がされているだろうと周りの人に言われるが、最高裁の解釈で言っている要件が厳し過ぎる、実際適用例がないということはちょっと厳しすぎるのではないかという程度の方向性の一致は見られると思うが、ではどうするのか、それから判決効をどうするのか。判決効の問題は今の訴訟類型以外の訴訟類型を設けるときに不可避的に全て問題になると思うが、判決効一般についての議論が少し薄いのではないかという先ほどの御指摘はそのとおりだと思う。その一つの原因は今まで実定化していない訴訟類型についての詰めだ。方向としてもう少し使えるようにしないといけないのではないかという程度のことならともかく、要件とその効果についての詰めた議論がされていないというところに判決効の議論があまりされなかった大きな原因があると思う。方向性自体や一般的にコンセンサスができているという言葉の趣旨全体に反対するわけではないが、新しい訴訟類型を法定化しようと思うと、要件をどうきちっと書いて、効果をどう書くかということは非常に難しいことなので、そこが本当に詰めきれるのか。要件をこうこう定めた新しい類型の義務づけでも差止めでも他のものでも、このフォーラムで一致した意見としてまとめあげることができるのかという辺りは、時間との関係もあって、まだまだ非常に難しい状況にあるのではないか。できればいいが、できないかもしれないというのは立法の常なので、時間や様々な制約の中で、実現できるかどうかという辺りを腰を据えてそろそろ見極める時期にきているという気がする。

□方向性が一致しているところという御認識とも申し上げたが、その場合には例えば今の御指摘のように要件をどうするかなどの細かなことになると議論していない。しかしそれに踏み込むまでになお、いろいろな土俵の整理が必要であるということで了解いただきたい。今日のところも、大体自分はこの点一致しているのだというときも、全員がこぞってそれについてとことん詰めて賛成したから意見が一致したとに思うという御発言ではなく、大体ここは議論として方向があり、これからの検討の過程で外に向けていろいろと御意見を承るときに、大体こういう論点で、こういう意見が大体あるというような程度のものの固まりでよろしいのではないかと思う。そういう程度の御指摘でもいただければと思う。

○前提問題の認識は共有しているが、方向性の問題では、現在同じものが取消しの段階で止まっていることが問題であって、取消しに止まらずもっと実際的な救済、給付などまで奥に踏み込んでいくというところに問題があるのではないか、という御指摘については、前にも意見を申し上げた。つまり現在の取消訴訟によって取り消されるようなタイプの事件については、拘束力の問題で現実に行政庁は対応してきているので、例えばそれを給付判決の形にするということに審理の手間暇をかけるほどの意味があるのだろうかという感覚は持っている。むしろ問題なのは、現在のところその周辺を無名抗告訴訟というものがあるのだと言いながら、非常にそのハードルを高くしているがために、取消訴訟に乗れないものが実質的な救済に入っていけないという間口の狭さが急を要する課題ではないか。もちろんその方法にはいろいろな御意見があるし、元々法全体構造にも御意見があるということで、果たしてどうまとまっていくのかということは、今までの議論を考えてみると、よく見えないが、ただ、現在でも無名抗告訴訟は許容すると言いながら、その個々の類型についての吟味があまりできていないので、例えば、そういうものがいくつか法定化できるということになれば、今までのような単に無名抗告訴訟があると一般的に言っていたよりはずっと使いやすくなるのではないか。そういう意味で間口は広がるのではないか。方向性としては、どちらかというと、その方向をやる方が問題の解決につながるというのが自分の考えだ。

○同感である。自分も実は問題は間口の方にあると思っているが、今日はこれまでどこで一致点が得られたかということについて座長から発言の促しがあったので、間口の方はまだまだどういう方向で考えるかは一致していないだろうが、それに比べれば奥行きの方が、と申しあげた。奥行きの方が本当は一致しているかどうかという問題は、比較的そうでないか。自分も現在の取消訴訟が全然不足だとは思っていないが、一般国民からすればやっぱり貰えるものは貰うという判決を貰った方がわかりやすいのではないか。

○まとまった発言でないが、自分なりに問題の整理という意味で申し上げたい。最初に座長が言われた取消訴訟中心主義の是正の点は、大体みんな一致していると思う。その前提として、被告適格を行政庁から行政主体に変えるということは、ほぼ全員一致したのではないかと思う。それを前提に取消訴訟中心主義の是正という観点から考えると、公定力という言葉をどのように捉えるについてはいろいろな議論があるが、少なくとも現在のような公定力概念を廃止ないし縮小するという方向については一致しているのではないかと思う。そうなると、これまでと同じように行政処分を前提にその取消訴訟という訴訟形態でいいのかどうかという議論に当然結びついてくる。公定力がないのであれば、違法の確認ということでいいのではないかということで、是正訴訟という名前を仮に付けて提案しており、そこは議論が分かれるところだと思うが、公定力をなくすという方向で今の取消訴訟を考えた場合に現在の形成訴訟としての取消訴訟という形で残すことになるのかどうかという点が一つのポイントだと思う。
 さらに、義務づけ訴訟等の給付訴訟を認めていく、これも方向的にはほぼ一致しているのではないかと思う。先ほど拘束力があるので、現場ではそれで大体対応できているのではないかという趣旨の発言があったが、そういう判決を認める方向については特に異論はないのではないかと思っている。現実問題として裁判所にそこまでの負担を課すのかどうかという議論だと思うが、それは具体的な事案に応じて裁判所の判決が出せるのであれば出したらいいし、取消しないし違法の確認のレベルでしか判決ができないというのであれば、そういうレベルでの判決を出せばいいと思う。違法の確認という判決で後は拘束力で対応できているから、それ以降の訴訟については認める必要はないとか、認めるべきでないという議論だとすれば、それは意見の相違になるが、基本的な方向としてはそう違いはないのではないかと思う。
 もう一つは、民事訴訟との関係をどう整理するかという問題だ。自分は基本的にはそれぞれの要件に応じて、訴訟が可能であれば行政訴訟もできる、民事訴訟もできるというのが一番自然で、わかりやすい制度ではないかというふうに思っているが、これはいろいろとまた議論が分かれるところだと思う。取消訴訟中心主義の是正という観点から自分なりに問題点の整理をしてみると、今のようなとおりになるのではないか。

○一々、一つのことに反論しておくことはないと思うが、座長が我々に意見を求められておられるのは客観的に自分は何が一致していると考えるのかということで、どう一致すべきかという話ではないと思う。そういう意味では、今の議論も、自分はそうは思わないというものが大分取り込まれてしまうので、今までの議論の経過というのがずうっと残っているので、本当にこの点では誰に振ったところで一致していないとは言わないだろうというものを事務局の方で拾い上げてもらい、それを台にして、ここは違うというふうにした方が早いのではないか。事務局の方では、少なくともここは、という部分があると思う。そういう方向でやって、各委員の認識はその後でしていた方が早いと思う。

□今のは議事進行に関することなので、自分の方から申し上げると、前回自分あるいは事務局に預けていただければそれを無理やりにでもやったと思うが、前回まだ第2読会が終わっていない時期だったので、今日は自分はここが一致してると思うということをいっていただいて、それを次回までに事務局でどういうふうに整理するかという点は後でまたお計りしたいと思う。そのときの御意見として、今の御意見をテイク・ノートさせていただく。そういう意味でざっくばらんにいっていただきたい。先ほどの被告適格の点も、一々挙手したわけではないので、本当に一致しているかどうかはわからないが、特には反対はなかったと思う。
 それからもう一つ申し上げておきたいのは、いろいろな御意見を拝聴しているときに、一々反論していたのでは議事が進行しないということで、自分は反対なのだけれども黙っているという向きも多いので、実は意見が一致していると思ったり、誰も反対はないと思っているものが、実は今日必ずしもそうではないという御意見があるかもしれない。それはむしろ自然なことだと思う。先ほどの発言についても、それぞれに、公定力の廃止が意見の一致だと言われると他の委員の方もそこまで言ったかなと思うことがある。そういうこともあるので、自由に御意見をいただきたい。では被告適格の辺はどうか。

○私もそこは意見は一致していると思う。そのことがどこまで手続の様々な制度に影響するかについてのチェックと検証で、思わぬところに落とし穴があるかもしれないので、そこは少し詰めないといけないが、方向としてその方向で意見が一致していると言っていい唯一の点ではないかと思う。非常にクリアな形で一致しているのはここだけではないかと自分は思っている。

○被告適格はそのとおりだと思うが、公定力あるいは取消訴訟中心主義の見直しという点では、中心主義そのものは行き過ぎではないかという辺りは少なくともかなり一致しているのではないかと思う。公定力廃止まで行くかはともかくとして、取消訴訟の排他性については、現在の排他性がやや過度ではないか、例えば大阪空港判決のようなものに取消訴訟の排他性が及ばされたのはいろいろ問題が多いのではないかという辺りは少なくとも一致しているのではないか。あとは排他性をどういう行為に認めるのかというところも、各論ではいろいろ議論があるところだと思うが、排他性が認められる行政処分の領域をそのままの集合体として維持すべきかどうかという点はもう少し絞ってもいいのではないか、どのぐらい絞るかについてはいろいろ各論になるが、少なくとも排他性の行政行為の類型をもう少し絞ってもいいのではないかという辺りはある程度一般的なコンセンサスはあるように思う。
 もう一つは、どこまで一致しているのか確証がないが、排他性との関係で出訴期間が非常に問題になるという点については少なくともある程度共通認識ではないか。すなわち出訴期間は排他性があるがゆえにいろいろと酷な結果をもたらすという意味での因果関係なり相関関係があるという辺りは共通認識になっている。出訴期間について、取消訴訟という救済の機会を広げるつもりで取消訴訟に乗せる土俵を広げたら自動的に救済の機会が狭まる出訴期間が付いてくるという、二律背反的な効果を持つものをどう調整したらいいのかというところで何らかの問題解決が必要ではないか、例えば、出訴期間の範囲と排他性の範囲を一致させない、すなわち排他性の部分集合に出訴期間が付く行為を持ってくる意見も出ていて、これは一致しているかどうかはわからないが、そういう流れではなかったかと理解している。

○公定力とか排他性とか出訴期間の適用の範囲とか、これは結局従来の行政処分という概念を土台にして今の抗告訴訟制度ができており、その土台をそのまま使うのか、それとも何か別のものに置き換えるのかという話になる。ごく抽象的に言えば、いろんな形で落とし穴や権利主張の制限があるのは行き過ぎではないかという程度の話であれば一致はするかもしれないが、ではどういう基本設計に切り替えるのかはなかなか一致がないという印象を今の発言については持っている。
 それからもう一つは、一致するといっても、こう変えようということで一致している場合、被告適格の問題はそうだと思うが、いろいろ苦労してなんとか実現できるのではないかという見通しで発言があったと思う。それに対して、こう変えようという意見の一致ではなくて、こう変えるのが望ましいなという、そういう意見の一致があってもそれが本当にできるのかどうかというところはこれはもうこれからやってみなければわからない、相手のある話でもある、という問題がある。そういうレベルで言うと、審理のやり方、行政庁に対しどういう証明責任、立証責任を負わすか、あるいは行政庁に記録の提出を求めるか、文書提出をどうするかというような話になると、これは相手のあることなので、これも現状でいいのだという意見もあるかもしれないが、希望的に考えれば多くの方々は今よりはもっと裁判所が行政の懐に立ち入って審理できるような体制が望ましいということだと思う。しかしそれは行政側の都合もあるから、その程度の意見の方向性の一致というのもあり得ると思う。 あとは、現行法の執行停止そのものの要件を見直すかどうかというところは、要件が厳しすぎるのか、運用が狭すぎるのかという辺りで現状認識もあるいは人によって違うのかもしれない。ただ執行停止に伴う内閣総理大臣の異議については、廃止の方向というのはなり一致していたと思う。これもその代わりどういう手立てをするのかというところはまだ議論があるかと思うが、現行制度そのものが、憲法違反かはともかくとして望ましくないということは一致ではないか。

□制度的に決まっているあるいは決まりそうなものと、それ以外にここで議論して、これから意見を聞こうと思うが、意見を聞こうと思うときに大体この検討会ではこの方向についてはかなりわかる、見定められる、という点があれば、それは今のうちから一般に示した方がいいということであり、今の審理のあり方についての裁判所の権限を認めるかどうかの点については異論がなかったのではないかと思っているが、そういった程度で結構だと思うので、そういう趣旨で御発言をいただきたい。

○自分の認識では現在の執行停止制度を改革する必要があるという点はほぼ一致しているのではないか。内閣総理大臣の異議を廃止する点も一致している。仮命令といった制度を設けるべきだということも一致しているのではないかと思う。どういう制度設計にするかはいろいろ具体的な話しになるかもしれない。執行停止原則にするか、不停止原則にするかは意見が分かれているが、これもどちらにしても例外が設けられるわけで、執行停止であれば不停止の場合の要件が設けられるので、その要件を詰めていけば、どちらを原則にするかという点のところで意見の違いはあるかもしれないが、実質的には意見の一致を見るような方向ではなかろうかという印象だ。

□仮命令についてはやや慎重な御意見もあったような記憶があるが。

○その範囲、それからどこまで踏み込めるかということ、仮に設けた場合にどういうケースについて使われるのかという認識の仕方によっては随分違う。基本的には、処分があって、効力を止めるという形以外の事前の権利救済方法というものが必要だという点については自分も賛成しているつもりだ。ただ、その後の構築のことはほとんどまだ出ていないので、そこでは根本的な問題から差が出てくるだろうと思う。

□仮命令というものを考えていて、いろいろ詰めは残っているけれどもどうだろうかという形でまず外に出るのはどうか、と聞いているので、外に出すべきでないということであれば今の内に御発言をいただきたい。

○そういうつもりはない。その点について制度的には検討すべき事柄だろうとは思っている。

□義務付け訴訟を認めておいて仮命令がまったくないとなると、これこそ裁判による救済に欠けるところがあるとドイツ人が言うという報告だったので、やはり穴が空いてはそれはいけない。

○何度か出ていた議論は受益処分の拒否処分の場合の仮の救済で、まさに義務づけに該当するような場合だと思うが、少なくとも高校不合格の場合とか、生活保護の受給を決定しなかったとかという類は仮の地位を認める何らかの仮命令がないと困ったことになるという辺りはそれほど異論がなかった点ではないかと理解している。
 それから、時間の制約もあって詰まってないと思うが、あっという間に終わってしまうような処分があり、例えば典型的なのはデモ行進など、過ぎてしまえばもう終わりというのがある。緊急性を要するような場合について、急ぎの場合にちょっと待ってくれというような趣旨の仮の救済についても論点としてはあり、それを否定する趣旨はなかったのではないかということを指摘しておく。

□自分の理解では、権利救済の実効性確保ということでは一致しているが、いろいろなケースにしたがった判断があり、あまり細かなところまでは詰めていない。今のようないろいろな事例は挙がっていたと認識している。

○現在の執行停止制度について問題があるということで意見の一致を見た、どういう意味で問題があるか、制度構造が問題あるのか、運用の問題なのかというところを全部抜きにして、そこに問題があるということで意見の一致を見たというまとめ方、御意見には承服できない。

□構造というところではどうか。例えば執行停止について、将来だけ止まるということもあるし、一種の仮の命令というものはできないとか、そういった構造的な問題についてはどうか。

○例えば、ある意味では要件的に使いにくい部分があるということは前の意見の中でも申し上げている。

○一致しているかは断定しないが、取消訴訟の対象になる処分、行為、それから原告適格辺りは改革の方向というのは一致したのではないかと思う。
 それから、主張責任ないし説明責任ないし立証責任について議論があったが、まとめることだろう。

○今の原告適格では一般的に言えば非常に狭いことが多いのではないかという辺りはある程度一致していると思う。それをどういう基準で広げるのかというところはいろいろな議論があるという状況だ。
 それからある程度認識があると思われるのは処分性であり、今の処分性がそのままの基準でいいのかどうか、もうちょっと手前でもいいのではないかという御意見が多かったように認識している。

○訴え提起の手数料の関係について、問題提起としては、行政訴訟の訴え提起の手数料は一律定額化すべきだという考え方についてどうかという問題提起がされていて、これについて計算が複雑になるのを避けるべきだという意見があるが、基本的な方向としては意見が一致しているのではないと理解している。

○自分もそういう理解だ。

○議事進行がらみで申し訳ないが、要するに今、意見が一致しているのではないかと言われたときに、もし、発言しなかったらそれを承認したというふうにもし取られるのであれば、毎回何か言わなければいけない部分がある気がしている。ただ各人がそういうふうに認識しているということの集積をやるという話だったので、一つ一つはやらないが、後でほとんどの部分が一致しているみたいになってしまうのではないかと不安になってきた。

○最後の設計まで全部同意を与えたり、全部拒否をしたりということはあり得ないわけで、せっかく座長の提案なので、何も制度の細部やあるいは後の意見まで縛るという意味のコンセンサスではなくて、大まかな方向なり基本的な議論についての認識のすり合わせしておくことにこの場では意味があると思う。

□ある委員の意見の一致を見たというのはその委員の情報ということで承っておく。今日の意見も踏まえて、大体この辺については意見の一致を見たというふうに見ていいかどうかというリストを誰かが作らないと、一向に進まないので、それを誰が作ったらいいかというのは最後にお計りするが、今日出た御意見で意見の一致を見たと誰か一人が発言した、それでもう意見の一致を見たと、次回に誰かが決めるということにはならない。でもなかなかそれぞれニュアンスがあって、大変参考になる。

○自分が一致しているのではないかなと思うのは弁護士報酬の片面的敗訴者負担については、出た意見の中ではあまり問題という発言は聞かなかったという認識である。

○個別論の一致というよりは、一致していないという意味での、逆の観点で言わせてもらうと、個別議論をしているが、トータルとしてどうするのかというところの議論がまだできていないし、認識が一致していないのではないか。一つは最初座長が権利利益の包括的な救済に主眼を置くといわれたが、もう一つの適法性コントロールの方の機能をどう位置付けるのか。救済措置の集積でもって、結果として適法性コントロールをタイムラグをもってやっていくのだというスタンスなのか、並立的に適法性コントロールも掲げてやっていくのかという辺りはまだ議論ができていないのではないかなという感じがしている。
 もう1点は、記録文書の提出ということがあったが、これは別の観点で言えば、武器対等の原則が実効的に担保できる仕組みとして何があり得るのか、何が実質的にできるのかという辺りの議論で、記録文書の提出といったものだけで本当にできるのかどうか、あるいはそれでかなりのことが期待されるのか。この辺をどうするのかというのがまだ見えてない。
 それから3点目は、現行法のいろんな議論になっているところについて、一種の穴埋め的、あるいは抜けている部分、不足している部分を埋めていくというところに主眼を置いてこの法改正を考えていくのか、そういうものとは全く思想を変えて、新法的に作って構築していくのか。この辺りの認識の議論もまだできていないので、結局アプローチの仕方が全然違ってくると思う。その辺はまだ全然認識が一致していないのではないか、あるいは議論がされていないのではないかと感じている。その辺はおそらく今後、個別論を取りまとめていく上での一つのスタンスとして非常に重要になってくるのではないか。

○特に重要な点だと思うので申し上げるが、原告適格について、基本的な一致が見られたという整理は如何なものか。現状に不満が多いし、それはその限りでは大体一致しているかもしれないが、ではそれに対してどういう手を打つのか、その戦略的な基本方針自体が一向に定まっておらず、一致を見ているとは言えない。これは行政訴訟と民事訴訟の役割分担についても絡み、環境訴訟なら環境訴訟について、民事差止めという方向をこれから発展させていくべきなのか、そうではなく行政庁の尻を叩くということをもっと訴訟法に組んでいくべきなのか、その辺の基本的なコンセンサス、戦略方針は決まっていないのではないか。今、穴埋め的にやるのか、新しい絵を描くのかというふうにいわれたのは、これは一つの問題整理の仕方として、大変わかりやすいと思うが、今の取消訴訟の制度があって、普通の一般国民はこういう制度があるのだ、それでこういう救済を与えられて当然じゃないかと思っていると、実はそこまでできていませんよというようなところがあると、これは、家を買ってみたら非常に住み心地が悪かったという話で、内部のリフォームをするべきではないかという話になると思う。そうではなくて、そんなつもりでこの家を買ったのか、それは全然違う、それはまた別の家を買わなければいけないという話であれば、これはリフォームでは済まず、その辺の問題の仕分けは必要である。この検討会がリフォームだけでいいかと言えば、それはそうでないと思うが、さしあたりの議論の進め方として、現行制度に期待されているところを十全に答えられるように直していくということと、それからもう少し抜本的に民訴も含めた訴訟システム全体の見直しをするというところと、議論としては分けた方がいいと思う。

○今の意見にほとんど全面的に賛成なので、その意思だけははっきりさせておく。

○自分も今のように大きく問題状況が分かれている中で、個別の論点についてこれは一致しているという話をしていて、大きなところはどちらであっても、どちらでも当てはまるという話と、あるいはどちらからアプローチするかによって、そもそも一致していると主張する説明ぶりすら違ってくるような話と両方ある。そうなると、原告適格にしろ処分性にしろ、そういう論点については一致していると言うのか、していないと言うのか。全然ニュートラルな、どちらへ転んでも間違いなく一致していると思っているのは、管轄をよりユーザーフレンドリーに拡大する方向で何らかの手を打つ、これは被告適格者を変えるということとある意味、必然的な整理のようなところがあるが、それに止まらずに方向性としてどこまで広げるか、原告住所地の地裁まで全部広げるという案があったが、自分はそれは反対だが、それはともかくとして、今より広げて裁判所のアクセスの途を拡大するという方向ぐらいは、管轄については一致しているだろうし、管轄の問題であれば、基本的に見直すのか、今の制度の個別的な修正を図るのか、どちらに立ってもそのとおりに一致していると言っていいのではないかと思う。

□今の点との関係で、時々議論になったのは専門的に行政訴訟を扱う裁判所を設けて、それを一種の競合的な管轄として整理したらどうかといった案も出ているが、それも含めての話か。

○競合管轄であれ何であれ、管轄が広がれば全てアクセスポイントが増えるという意味では、あるいは近くなるという意味で、管轄を広げるという限度であれば、一致しているのではないか。現行法のままの管轄で大いに結構で、何の問題もない、広げるのはとんでもないという意見はおそらくないのではないかと思う。

□議事進行的なことでいうと、かなり根本的な問題があるので、これを終えないと、例えば行政側のいろいろな技術的な意見を聞くまで、何も出さないということになると、当分の間、外に全然出ないことになる。しかし、済んだところは割合と切り離して、ここはもうこれで行くのでどうかということを聞いていった方があるいはいいのではないか。そして残っているところについては、この検討会の時間の制約の中で、どこまで議論できるかということを詰めながら、詰められるものは詰めていくという方向も考えられる。この際、ここのところは切り離して、この部品はどうかということを世の中に、あるいは行政に聞いてみるが、この辺についてはまだまだ我々の方で議論してから聞こう、という整理の仕方はどうか、ということでうかがっている。そういう意味で、意見の一致を見たというのも、一番最初の問題の包括的な権利救済というのは、一種の鑑、あるいは狙いをつけた大きな星みたいなものだから、そこには一致するとして、大事な部品だけれども、この際蒸し返しの議論はしないで行こうというのを今日拾い出せればと思った。ただその場合も、今日意見の一致を見たのが、直ぐ外に出て意見を求めるのに適しているかどうかは、また後ほど相談させていただきたい。そういう趣旨で御議論いただきたい。この点は今日一致を見ないまでも是非、議論をしていくべきだというようなことについても、言っていただいて結構である。

○今のは行政庁に意見を聞くために一致点を探すという趣旨か。

□一番の趣旨は、もうここはあまり同じ議論を繰り返してもしょうがないので、ここは部品を切り離すということだ。行政庁に意見を聞くということは当然外に一遍出るが、我々のスタンスとしてはホームページに載せて、いつでも御意見を承るというスタンスである。ただ、今まで行政庁の意見を全然聞いていないので、この段階で一遍聞いてみるということも情報の収集として必要だろうということだ。

○情報収集としての行政庁の意見聴取というのは意味があると思うが、今のレベルの一致点ぐらいだと、おそらく具体的な制度設計を前提としていない、かなり包括的なものになってしまう可能性があるので、そのレベルでの意見照会というのに実質的にどれほどの意味があるのか疑問がある。パーツはパーツとして独立していてもいいと思うが、そのパーツについて基本思想から具体的な制度設計まで、条文までできていなくてもいいが、今あるこの制度をこう変えるとすると、行政庁にはどういう影響が及ぶのかという、ある程度実戦的なシュミレーションができるような形で聞かないと、あまりふわふわした意見のやり取りもかえって不毛ではないか。その煮詰め方についてはよく検討をした方がいいのではないか。

□次回に、この点について意見の一致があるというようなことを整理できた段階で、直ぐに行政庁の意見を聞くかどうかというのはそれはまた次の問題である。行政庁の意見を聞いた方がいいと思うものは聞くということで、前々から、行政も非常に関心のあるところだからこの点は聞いてみよう、というご発言があり、自分も発言したと思うが、そういう形で進んできているので、いろいろな情報は多角的に取った方がいいと思っている。

○行政庁の意見を聴取するということについては、前々からなるべく早い時期に必要ではないかと思ってたので、是非やっていただきたい。例えば被告適格を行政主体にするというふうに変更した場合どうかというようなものは、抽象的ではなく具体的にかなり想定して考えてもらえると思う。一方で、我々は、もし被告適格をそのように変えることになった場合には、管轄の規定をどうするか、被告を誤った訴えの救済という15条の規定をどうするか、行政庁の訴訟参加はこれまでと同じでいいのか、拘束力の問題とか、あるいは再審査義務はどう残すのか、何か変えるのか、訴訟費用の負担の効力の問題の35条、といったものがあり、今の行政事件訴訟法のレベルで、必ず影響し、チェックしなければいけないことがあって、しかもそれは自然に決まることではない。相当議論して煮詰めないと、それぞれに分かれ道があるはずで、それも一緒にやらないといけない。だから、テーマをそれだけに限るということは決して一致はできないと思うが、できるところからはもっと煮詰めた議論の部分を、段階的にどんどん発射していくという作業もした方がいいのではないか。そうでないと、例えば先ほど申し上げたいくつかのチェック点について、果たしてどういうふうになるのだろうという頭ができあがらず、本当に期限内に落ち着くのだろうかという不安があってしょうがない。行政庁の意見も、本当なら、そういうところについても貰いたいわけだが、大まかなところでもある程度今のようなテーマならできると思うので、是非やっていただきたい。

○行政庁への意見の聞き方のスタンスについて、今の意見とニュアンスが違うようなので、改めて申し上げたい。行政庁が同意しそうかどうかということの意見を聞くのだったら、検討会はいらないと思う。そうであれば各省で純然たる事務的協議で作れば、内閣法の法律はできるので、そうやればいい。この検討会という組織が設置されているということは、一旦、個別の被告予備軍たる行政庁の利害を離れて、できるだけ公正に議論しようよということで検討会が設けられたものと理解しているので、意見を聞くことは当然重要だが、何のために、どういう情報や資料を得るために聞くのかというところでコンセンサスが要るのではないかと思う。少なくとも行政庁がどこまでなら飲みそうだろうかという落としどころやフィジビリティーを探るために意見を聞くというスタンスで、この検討会が臨むのはやめていただきたい。あくまでも、こういう制度にしたときに、具体的に何か行政運営に支障が及ぶのかどうか、あるいはどういう波及効果があるのかというようなことについて、客観的な情報を出していただくために行政庁に意見を聞く、あるいは情報提供を求めるべきであって、行政庁が閣議決定のときにどこまで各省協議に応じる余地があるかというようなニュアンスがいささかでも出ないような聞き方をする必要があるというのが自分の意見だ。

□御指摘のとおりだと思う。そういう趣旨に沿って進めたいと思う。一言申し上げると、自分もこういった席で、行政庁の意見を聴取したことがあり、行政手続法部会、情報公開部会では座長代理であったが、そのとき、落としどころはここら辺だからこうしろということを角田座長から言われたことは一回もない。そのときの角田座長の仕切ぶり、あるいは司会ぶりを拳拳服膺してやっている。独立行政法人等(当初は特殊法人等)情報公開法検討会では座長の職を務めさせていただき、関係各省、各特殊法人から出てもらったが、落としどころを探るために特殊法人あるいは日銀、NHKの意見を聞いたことは全くない。情報の収集というだったので、今の御意見に全く賛成であり、そういう趣旨で、今までどおりの形でやっていきたいと思うので、ご了承いただきたい。

○不服審査との関係の一群の問題があり、言い方は難しいが、今の不服申立の制度が平均的に見て、例外はあるものの、国民の権利救済にそんなに役立っているとは思えない。逆にそれがあるために裁判所へのアクセスが妨げられているという面が無くもないという認識は割と一般にあるのではないか。不服申立前置規定は、検討会の所管外であるというような説明もあったが、訴訟法の側から不服申立前置のデメリットを軽減するような工夫をするという点は、前向きに考えていることに異論はないのではないか。

□その点も実は聞きたい点の一つである。どこを呼ぶかはこれからの話しだが、例えば、税の不服の関係で不服申立前置の規定をもう少し穴を空けるとすればどういう点が困るかといった点は、是非聞いてみたいところの一つだと思っている。税以外でも社会保障の関係もあるし、前置の問題ではないが、実績としてはダブルトラックで行っているが結構やっているものある。これは一種の反面教師で、前置をしなくても、きちんとやれるところには集まるといった点でなどの情報を集めたいと思う。

○審理に関連して、被告適格等にも関係するが、できるだけ裁判所が親切に釈明をして、善意に解釈をする方向でコミットメントを強める方向についてはある程度の合意があったと思う。これに関連して、例えば、被告適格を行政庁から行政主体に変えるというときには、不服申立てが行政庁のままで、訴訟だけ行政主体に変わると、国民が混乱すると思う。被告適格に限らず、行政訴訟制度が変わったときにパラレルの行政不服申立制度の方もある程度揃えておかないと絶対間違いが誘発されることもあると思うので、配慮いただきたい。

□なかなか難しい問題だと思う。

○今の被告適格たる行政庁の話と行服における行政庁とは立場は違うと思う。パラレルかどうか、その点については疑問であるが、そういう議論は必要だとは思っている。

□教示義務は行服にあるが、訴訟法にはないので、これをもう少ししっかりしたらどうか、法的効果をどういうふうに持たせるかは詰めていないが、教示義務というのは必要だということは皆そう思っておられたのではないかと思う。

○団体訴訟について一度議論したと思うが、これについてもいわゆる制度設計をどうするとかということについて、客観訴訟とするべきだとか、あるいは特定の分野に、という議論があったと思うが、導入すること自体にはそう異論はなかったように記憶をしている。

□そう思った、ということで聞いておく。

○少なくとも意見の一致を見たところに分類をするのはいささか承服しかねる。これからむしろ議論する重要なテーマではないか。

○反対意見はなかったと思う。

○個別に全部反対しないと賛成したとみなされてしまうのなら、一々やらなければいけないが、議事録を見てもらえばよく分かることだと思うので、あえていわない。

○議事進行に関するルールのことかもしれないが、全会一致する論点についてやろうという方向で踏み出すのは重要だと思うが、一致はしないけれども、例えば、何対何かはともかく大勢は固まっている、あるいは僅差かもしれないけれども意見分布はある説が多いとか少ないというような領域について、全会一致でないと制度改正の土俵に持ち込まないというのは非常に矮小な無難な改正案にしかできないという前提になると思う。そういう意味では、全会一致以外のことについても、全員一致でないから取り上げないというのではなく、何らかの意味での多数決原理で決めて、決めたことについては検討会としてこの方向で行くというようなことを積極的に出していくべきだ。一委員に絶対的拒否権があるというような運用は検討会としては望ましくないと思うので、手続のルールとして、そういうことを考えるべきだ。

□御意見として承っておく。

○今日の議論というよりはもうちょっと煮詰まった段階では何らかのルールも必要ではないかという趣旨だ。

(2)検討の進め方について、(3)今後の日程等(□:座長、○:委員、△:外国法制研究会委員、■:事務局)

□今後の検討のスケジュールを睨みながら、検討の進め方について意見交換をしたい。とりわけ次回にどういう検討をするかという点について、いろいろな御示唆をいただければと思う。既にいろいろな御意見も出ていたが、確認の意味の発言でもよく、第2のセッションで一応の意見の分布のようなものはお伺いしたので、それを前提にしながら、今後、そして次回の検討について、どういう資料を整えていった方がいいかなどの発言をいただければと思う。

○今日のこれまでの議論で意見の一致を見ているとそれぞれ思っている点の開陳があったが、記録をもう一度精査するということも含めて、事務当局の方でまとめた案を作ってもらいたい。一致している範囲は具体的に書けば書くほど一致していないのではないか、抽象的に書けば書くほどこの範囲ではさすがに一致しているだろうというように、ある個別の論点についてもどう書くのか、どこまで具体的なものが概ね一致した方向性としてまとめられるのか、という努力をした案を作ってもらい、それをこのフォーラムで、これは書き過ぎだ、あるいはもう少し書くべきではないかと議論すべきだ。自分は、この段階で被告である行政庁にヒアリングをするのであれば、詳しい方がいいと思うが、まとまってないことをある意見で詳しく書いても仕方がないので、概ね一致していると言えるぎりぎりの具体的な書きぶりで、それぞれ今日出たもの、あるいは他にもあるかもしれないが、それを拾った資料を作ってもらい、それをここで修正をして、それに基づいて、この段階で少なくともこれらの点についてはこれまでの議論で概ね方向は一致しているので、行政庁の側として、こういう改正あるいは改正の方向について、どういう影響あるいは支障があり得る、というようなことがあれば是非指摘してほしいという形でヒアリングをするというのがいいのではないか。次回までにそういう資料を作っていただきたい。

○第6回行政訴訟検討会フリートーキング参考資料を作り、これに基づいて議論をしてきたので、一つは、この参考資料のテーマに沿って、誰がどういう意見を言っているかということを生の形で整理していただけると一番有難い。その上で意見が一致しているかどうかというのはこれは評価が入ってくるので、これは意見が一致している、これは意見がこう分かれているというのがもう一つ別のペーパーで作っていただけると非常に有難い。先ほど来、一致している点だけが出ているが、一致していない部分もやはり整理していただくと、問題点がよくわかっていいのではないか。できればそういう作業をやっていただきたいと思う。
 一致しているかどうかという評価の点は、いろんな方から御意見が出ているとおりであり、具体的に一致しているという点もあるが、具体的な制度設計はいろんな思惑があって違うが、方向的に一致していると評価できる部分があると思う。そうしたものについては、こういう方向については一致しているという点も含めて、評価をしていただきたい。

○今の点に加えて、先ほど申し上げたが、具体的にある程度そうなりそうな部分については、関連検討項目も洗い出して、まだ全然議論に火がついていないけれども、それはやっておかなければいけないというものをなるべく的確に捉えて、それをまな板に乗せることもそろそろ始めないといけないのではないか。二重の作業になるが、これはいたしかたない。さらに大きなテーマで議論が分かれているところがたくさんあり、もっと抽象的なところまで行けば一致しているかもしれないが、それは議論することとして、一点だけお願いしたいのは、いろいろなアイデアが出ているのを伺っていると、実務にとってはその転換というのは極めて急激な転換になるということを言っておられる部分がある。ちろん改革であるから、そういう部分があることは当然承知しているが、是非十分な議論をしてもらいたい。ばたばたとやらないでもらいたい。大きな転換になるものについてはとりわけ手続の基本法なので、是非慎重にやっていただきたいというのは強い希望だ。

○今のに関連して、一致したこと、あるいは一致してないことが、一体どういう問題の深さに対応したものなのかがよく見えない部分がある。一致したことの方向で改正すると、どういう改善効果が出るのか、あるいは効果が期待されるのか、その辺がある程度はっきりしないと、これでいいとは言い切れないと思うので、事務局の独断でもいいから、これをやればこういう効果が期待される、あるいはこういう現行法の問題が改善されるという整理はいるのではないかと思う。

□国民の皆様にお見せするということであれば、ここはこうなるとこうなるということはコメントした方がよい。

○今後の進行について、次回に現時点での方向的なところをまとめて、それをインターネットに載せるし、それでヒアリングをやるということだと思うが、それは大事なものを全部そこで拾うわけにはいかないし、また全体の時間も限られているから、検討会で大事なことを全部やれるという保障はないと思うが、もう一回ぐらい第二段の重要論点の整理とそのまとめをして、意見聴取をすることがもう一回あるのか、そこはどうか。

□皆様との御相談の上だが、基本的に一致したものについては我々が一種の独善的な判断ではないかということも含め、各方面からの意見を聞き、その中には行政の意見もここに来てもらって言ってもらうといった作業があると思う。聞いていた過程で、こんな論点もあるではないかと気が付けば、それはまた取り入れていかなければいけないということはある。そこで、今までの議論の過程である程度方向性は一致しているものを外にぶつけて、いろんな意見を聞くという段取りに持っていくための資料を事務局で作るということで、事務局の作り方はいろいろ考えないといけないが、そこは事務局にお任せいただけるということでよいか。

○基本的な素案は作ってもらってよいが、各委員の個別の議論を整理するについては、当初言ったことと後ろの方の時点での同じことに関する見解とか微妙にずれていることがどの委員についてもあると思うので、確認をしてもらった方がいいと思う。

□そこはできるだけ異論のないようにしたいと思うが、これまでの意見の整理はなかなか難しいかもしれない。

○議事録全部を網羅して頭に入っている人はこの中に誰もいないと思う。結論に該当するようなところはできればプロの目で拾ってもらい、こういうことを言っているはずだと注意喚起してもらうと、自分の頭を整理する上でも参考になるという方は多いと思うので、できるだけやって欲しい。

□委員の方々ももう一度読み直して欲しい。それぞれのキャパシティの中で最善を尽くしていただくということだが、基本的な資料は事務局の方に作ってもらう。

○もう一点は、一致している点について整理するのは結構だが、例えば、対立しているとか、あるいは異論があるけれども、要するにどちらかに決めないといけないということについては、この論点については異論があるけれども、こういう議論とこういう議論がある、というものがないと、一致したものだけについて聞くと、1個でも反対意見があるものは基本的に遡上に乗らないという、反対意見を提示している側に常に有利に働くというようなパラドクスが起きるので、対立している論点を論点として客観的に挙げてもらい、それをベースにして国民に意見を聞くというような資料の作り方を是非お願いしたい。

□そこが3番目の御相談だが、次回はまず一般的に意見をうかがうということでまとまったものについて、こういう整理の仕方でいいかという御相談をしておきたい。そのあと次回に残された時間で、原告適格の問題、処分性の問題などについて、ここはこれから詰めなければいけないというものを、今の段階で事務局にピックアップしてもらうのか、それとも一致した点はこれこれと一応収まりがついたところで、ここの点を是非議論すべきだということを、今日と同じような形で委員の皆様からうかがうかという点がある。もう少しロングレンジの検討の仕方になると思うが、今のような運びから行くと、ダブルトラックになると思う。一つのトラックは行政庁のヒアリングを含めて意見を聴取し、それについてどう考えるかという作業がある。その作業をやっている間、やらなければならない非常に重要な問題がある。あるいは、単に問題の指摘はできるかもしれないけれども、それは問題の指摘だけ申しておこう、あるいは、問題の指摘だけでは意味がないので、これはやはり決着をつけるべきだという、そういった仕分けが必要だ。その仕分けの項目を次回までに事務局でまとめて、そのたたき台としてお渡しした方がいいのか、それともそれはやはりこの場で委員からの発言を待って取り上げるか、ダブルトラックとしてどんどん議論すべき、ということについての御了承を得た上で、5月からの審議に入るという、そういった2つのやり方があると思う。どちらがいいかまでは自分も考えていないので、お考えをお聞かせいただきたいと思うし、また、対立点をちゃんとまとめて作れといっても、それはちょっと事務局としては無理であるということにもなるかもしれない。2つのやり方があるということは押さえた上で、どちらがよろしいか。

○行政側の意見、情報等をいろいろと聞くことで意見は一致したということで、それは今日の議論を踏まえてやれると思うが、併せてこの検討会として、これまでの議論を踏まえて、今の行政訴訟の問題点を踏まえて、最低限重要課題で、欠かしてはならない課題だが、今回の行政側のヒアリング項目に入っていない課題は残っていて、その課題について我々はどういう形で議論をするのかということは、外に明らかにする場合に併せて提示をすることが、今の検討会の問題意識を国民なり他の方の意見を聞く場合に必要ではないかと思う。そういう意味で、一致したところで聞くのと同時に、まだ残されて今検討している重要なもので、何とかまとめたい、まとまるかどうかわからないが、まとめないといけないと思っている課題について、是非、次回にでも項目ぐらいを全体で確認し、まとまるかどうかはその後の結果だが、最低限是非まとめたいということぐらいの項目は確認できないだろうか。

○基本的には今の発言に賛成だが、ただ、まとめるべきかどうかという価値判断を入れると話がややこしくなる。基本的に論点が対立しているということ自体は、どちらかに決めないと意思決定ではない。要するにイエスかノーかというのがあったとしたら、聞き方のレベルはいろいろあるが、検討会として決しないといけないのだから、疲れる作業だが、何らかの手続ルールを定めて決しないとイエスかノーかというのは検討会として決められない。そういう意味で、どうせ決めなければいけないことであれば、その論点としてはできるだけ早く提示いただく方が議論が生産的だと思う。

□今日出てきた議論で、国民の包括的な権利救済ということから取消訴訟中心主義をやめるとすると、取消訴訟は残るのか残らないのかという問題があって、残るとすると取消訴訟の特色は排他性と出訴期間の問題なので、これをどうするかが基本的な問題の一つであるというのは今までの議論の中でも出ており、例えば、そういう問題については決めないとどうにもならない話だと思う。
 それから、原告適格について、今の判例は日本を離れては通じないという点があるが、ではどうするかというのはなかなか難しい。外国法制研究会の研究者の報告によると、日本よりももっと厳しい権利毀損という概念を用いながら、かなり広げている例もあるので、そういった点について、どう運んでいったらいいかということも、方向性は一致するのだけれども、つまり戦略は一致するのだけれども、戦術にいろいろ議論がある、そういう問題もあると思う。これまで議論をうかがった感じでは、かなり戦略は一致するが、戦術でいろいろ難しい問題が出てくるということは率直に思っている。外国法制を見て益々、そういう感を深くした。日本と同じようなシステムでどんどんやっているのだから、なぜ日本ではそれができなかったのかということまで遡って考えるとなかなか難しいところがある。そういう問題があって、この点についてはむしろ制度改革の問題というふうに仕分けを段々していかなければならないが、そこまで踏み込んだ仕分け作業をこの次までに事務局にお願いするというのは大変難しいと思う。今日既に議論の出た取消訴訟の意義あるいは機能を掘り下げ、排他性、出訴期間の問題まで議論をしてみるというのが一つある。
 先ほど言われていた判決の効力についてはどうか。例えば確認訴訟があるということを認めたときに今までのような民訴のものでいいのかということはいつも気になっている。

○まさにそういう問題は全く起こってくるだろうと思う。そこは私も意見は申し上げない。例えば、拘束力の問題として、訴訟で非常にたくさんの違法事由がある場合、どこか1点違法があればもう処分は取消しだということになっても、拘束力という立場からみるとたくさん働く方が当事者にとっては有利で、それを考えると、全部拘束力を審査していくのか。今は、拘束力までは定めたけれども、それを問う当事者の権利とどう結び付けているのかがあまり明らかではない部分があり、そういう議論をしていくと、判決の問題も御指摘のとおり非常に難しい。本当は是非こういうようなところで一度御検討いただければ有難いと思うが、それだけでものすごい時間が掛かるだろう。

○次回までではなくても、論点があるものについてはその次でも全然異論ない。戦略とその戦術といわれたのは全く同感であり、確かに戦術レベルというのはいろいろな意見があると思うが、是非お願いしたいのは、ここは立法政策なり立法論の検討の場であり、何か変えるという議論はあくまで新しい論点なり問題提起である。変えるということについて全会が一致しないと一切動かない、例えば、各省にも意見を聞かないし、国民にも、ホームページにも載せないというのでは、制度を変えるという意見の持ち主に常に全面的な挙証責任を課すという問題点が起きるので、それは望ましくないということを申し上げたい。基本的には新しい論点として対立があるにしても、取り入れるのか取り入れないのかということは、全く対等の議論として検討会で扱っていただきたい。入れるか入れないかは何らかの手続ルールで合意したものを定めて決しないと、それを取り入れないという決断に検討会としては本来至るべきではないのではないかということを是非お願いしたい。

□御意見として承る。

○もう一つは、重要な論点かどうかということについて、重要かどうかというのはいろいろ価値観があって、一概には計り難いと思うが、あんまり技術的な問題をここで全員で議論しても不毛だと思う。基本的にはここは非常に訴訟法上の技術的なことについて、何かAかBか非常に枝分かれした先の方まで決するという場ではなくて、非常に大きな意味での基本的な政策を決める場であって、それより先のところは国民としてはどちらでもいいというところもあると思う。そこは事の軽重をある程度序列を付けて、この検討会で決めるべき大きな論点を外さないようにして、細かいところについてはある程度プロにお任せするという分業をしないと決まるべき問題も決まらない。

□仕分けは事務局で一生懸命考えて原案を作ってよろしいという御提案か。

○よろしいのではないか。

□御意見として承る。

○事務局の方でこれまでの議論をまとめることで結構で、一致する点、A案、B案、C案という形で意見の対立している点を出していただいたら結構なのだが、問題はその後だと思う。まとまっている点にしろ、あるいはA案、B案、C案があって、どれかに決するとしても、制度的な詰めをやっていくと、一旦採択した案が通らない場合というのがありうる。行政訴訟というのは技術的なものなので、そういう可能性があるということは了解しておかないと、整合的な制度つくりはできないと思う。

○今の御指摘まことにごもっともだと思う。非常に緊密に連関してできている訴訟法の一つ一つのパーツだけを議論しているが、どこかを動かすことによって、当然動いてくる。先ほど行政主体の変更で影響しそうだと思うところを挙げただけでも5、6条変わる。そういうところ全部を逐一全部本当に条文の形でやらなければいけないのかどうかというのは別だが、そういうものを見渡した上での議論で、それでいいかどうかという議論をしないと、パーツパーツだけをやるのでは、きっと今の御指摘のような問題を惹起すると思うので、進行上の配慮をお願いしたい。

○今の御指摘は、一般論としてはごもっともだが、ただ、最初に全部制度の最後まで確定して、確定したものを前提に次に進むということをやっていると、これは多分決まらないと思うので、仮置きにしろ、一旦決めたものが何か支障があるということが判明したら、これはトライアンドエラーで逐次見直して、もう一回そこを直してさらにどうなるのかということをシュミレーションしながら、漸次的に進んでいけばいいのではないか。それも御配慮いただきたい。

□事務局に色々依頼があったがどうか。

■できる限りのことは次回までに準備したい。

○論点についての補足だが、かなり議論があって、いろいろな意見が細かいレベルであったものに行政裁量の統制の問題があると思う。行政裁量については、例えば行訴法の30条をどうするかといった細かい議論はさておくとしても、行政裁量についてもう少し司法的統制を強めるか、弱めるかというと、強めた方がよく、それは何らかの基準に基づくということも考えられる、という議論もあったと思う。裁量についても司法統制について論点として大変重要だと思う。

□それは是非取り上げた方がいい。ただ、今回出なかったのは、裁量統制をもっとすべきだという議論があったが、技術的に少し固める必要があり、裁量は本当に難しいところだと思う。

■次回は4月25日だが、今御指摘いただいた点を全部入れると本当に間に合うかどうかという問題がある。関連のもの全部をある程度分析していく、あるいは、この方向でといっても具体的なイメージまで、ということになると、若干、時間を要するかもしれない。次回はできあがりの中途の段階になることもあるかもしれないが、それは御了承願いたい。16年組の法律がたくさんあるが、それが同時に進んでおり、国会も同時にこれから動き始めるので、あと一月で本当に可能かどうかという問題があるので、そこはご理解を賜りたい。出来る限りのことはしたい。

7 次回の日程について

 4月25日(金)13:30〜17:30

以 上