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行政訴訟検討会(第15回)議事録
6 議 題 【塩野座長】それでは時間になりましたので、第15回行政訴訟検討会を開会いたします。事務局から本日の議題と資料について説明をお願いいたします。 【小林参事官】お手元の行政訴訟検討会(第15回)次第にございますように、前回御案内いたしましたように、第2ラウンドの検討の最終回と予定されておりますので、本日の議題としてはこれまでの検討を振り返りながらなお御意見をいただくべき点についてさらに検討をしていただきながらまとめの議論をしていただくことと、今後の検討の進め方についての御議論をお願いしたいと考えております。検討の参考資料としては、お手元にこれまでの検討会の検討資料として事務局で作成したものを再度配布しております。 【塩野座長】御確認いただければと思います。今日は、事務局の方からも御案内がありましたように第2ラウンドの最後としての検討、それから今後の検討の進め方という、大きく2つの点について御検討をいただくということになろうかと思います。第2ラウンドの検討といたしましては、これまでの検討の中で、言い足りなかったこと、あるいは言い尽くせなかったこと、特に新しい論点、自分としてはこの論点は取り上げられていないのではないかという点についても御指摘あれば、御意見をいただきたいというふうに思います。 【芝池委員】一つ議論があまりされていなかったのではないかと思いますのは判決のところでありまして、第三者効とか議論はなかったと思います。それとの関係で拘束力とも関係するのですが、原状回復請求権と言いますか、結果除去請求権、それに近いのではないかと思いますが、その辺りも私からしますと関心のあるところでありまして、機会があれば、できれば議論したいと思います。 【塩野座長】どうもありがとうございました。たしかに判決のところについては、原状回復請求権についてはドイツ法の紹介で結果除去請求権という形で、時々御紹介ありましたけれども、それとしては議論しておりません。またそういった点が実体法の問題も積極的に取り上げるかどうかという点はあろうかと思います。どうもありがとうございました。 【塩野座長】それでは次の問題、つまり先ほど申しておりますように第2ラウンドの検討の最後ということになりますので、どういった点について意見の一致を見ているのか、意見があるもののなお議論が分かれているのはどういう点なのかという点について、それぞれ振り返ってみて、今後の検討の基礎として認識を共有しておきたい、ある程度そういう整理してみたいというふうに思っております。非常に総合的多角的な観点から幅広い議論がなされました。先ほどの繰り返しでありますけれども、もう少し分かりやすい資料を考えてみましたけれども、なかなか皆様のそれぞれニュアンスのある御発言をそう簡単にまとめるわけにもいきませんでしたので、この場で、もう一度多少ほんわかとした形でもよろしいのですけれども、こういった点については大体、意見が一致しているのではないかとか、ここはやっぱりなかなか難しいなという点についても、御認識を承ればというふうに思います。この点について、どなたからでも結構でございますから、いつものように御活発な御意見をいただきたいと思います。 【小早川委員】たしかに取消訴訟中心主義というものがこれまでの議論で批判的検討の対象として取り上げられているということなので、今座長がおっしゃったことはそのとおりだと思います。ただその場合に行政に対する国民の権利利益救済の裁判システムを全体をどうイメージしていくのかというところになると、そこはまさにいろいろ問題がある。大きく言えば行政訴訟と民事訴訟との役割をそれぞれどうイメージするかという辺りは、まだまだです。公定力なり排他性なりで両方の垣根を高くしているのを、それを低くしようぐらいの、非常に抽象的理念的なところでは方向性は一致しているように見えるのですが、しかしそれを具体的に制度として、設計図を書けということになると、なかなか具体的な方向性は出ていないと思います。それに対して今座長が言われたのは多分そうだと思いますけれども、取消訴訟中心主義というのが、今の行政事件訴訟法が、大体取消判決までやれば国民の方はそこは満足しなさいよというふうな、そういうスタンスなのかどうかはそれは元々の立法者に聞いてみないとわからないのですけれども、そういうふうに見える。取消判決で何とか救済できるのだから、その先はあまり贅沢は言うなということで、その結果義務づけ判決なり、ドイツ流に言えば、ベシャイドウングスウアタイルとか、そんなようなところまで行かないで、途中でバスから下ろされてしまう、そういう制度なのか運用なのかがある。そこは少しリジッド過ぎた、少しじゃなくリジッド過ぎたということで、必要な救済は、その先、救済の深さと言いますか、到達距離と言いますか、それを延ばしていこう、そういう意味で義務づけ判決をもっと広く認めようということは、これはかなり具体的にコンセンサスがあるのではないかと思います。その際にもう一つは付随的にと言うか、しかしこっちの方が非常に重たいと思うのですが、義務づけ判決を認めるのであれば、仮の救済をそれに付随させなければいけない。こちらの方がむしろ制度として条文を書くのは難しいのかもしれません。しかしそれはやっぱり今の方向でいけば是非必要なことではないかと思います。そのことがまた逆に、現在の取消訴訟なり、特に執行停止の制度の運用なり、その辺の窮屈さも緩和していくことになるのではないかという感じを持っております。別の言葉で言いますと、行政訴訟による救済の間口をどこまで広げるか、その間口を民事訴訟の場合とどういうふうに区別するか、そこはなかなか議論がまだ収斂されていませんが、奥行きは延ばしていこうというところは、これはかなり一致が見られるのではないかと思います。 【塩野座長】どうもありがとうございました。深山委員、今のようなのはとんでもないという御発言、御意見があれば今のうちにおっしゃっていただかないと進んでしまうかもしれないので。 【深山委員】とんでもないとは思わないのですけれども、少なくとも義務づけ訴訟についてはこれだけ講学上議論されていますので、行訴の改正をすると言ったらおそらく義務づけ訴訟の法定化について、非常にいろいろな議論がされているだろうと、ちょっと法律をかじった方に言われるのです。もちろん全く何の議論もなかったとは申し上げるつもりはないのですけれども、最高裁の解釈で言っている要件が厳し過ぎるということは、実際適用例がないということではちょっと厳しすぎるのではないかという程度の方向性の一致は見られると思うのですが、ではどういうふうに波及するのか、それから判決効をどうするのかという議論がされていないのではないか。判決効の問題は今の訴訟類型以外の訴訟類型を設けるときに不可避的に全て問題になると思いますが、判決効一般についての議論が少し薄いのではないかという先ほどの御指摘、私もそのとおりだと思います。方向としてもう少し使えるようにしないといけないのではないですかという程度のことならともかく、要件とその効果についての詰めた議論がされていないというところに判決効についての議論があまりされなかった大きな原因があるのかなと思います。ですから私は、その方向性自体や一般的にコンセンサスができているという今の小早川委員の言葉の趣旨全体に反対するわけではないのですが、新しい訴訟類型を法定化しようと思うと、要件をどうきちっと書いて、効果をどう書くかということは非常に難しいことなので、そこが本当に詰めきれるのか。あるいはここでこういう形で、要件をこうこう定めた新しい類型の義務づけでも差止めでも、他のものでも同じなのですが、このフォーラムで一致した意見としてまとめあげることができるのかという辺りはこれからのこともあります、時間との関係もあって、まだまだ非常に難しい状況にあるのではないかと。ですからできればいいですけれども、できないかもしれないというのは立法の常ですから、時間や様々な制約の中で、実現できるかどうかという辺りを腰を据えてそろそろ見極める必要があると、そういう気がします。 【塩野座長】どうもありがとうございました。私の発言の仕方が少し舌足らずだったかもしれませんけれども、方向性が一致しているところという御認識というふうにも申し上げましたが、その場合には例えば今の御指摘のように要件をどうするかとか、そういった細かなことになりますと、御指摘のように実は議論しておりません、深山委員御欠席の間も。しかしそれに踏み込むまでになお、いろいろな土俵の整理が必要であるということで了解いただきたいのですが、ですから今日のところも大体自分はこの点一致しているのだとおっしゃるときも、何も全員がこぞってそれについてとことん詰めて賛成したから意見が一致したというふうに思う、そういう御発言ではなくて、大体こんなところは議論として大体ある種方向があるし、そして後、第3番目の議題として申しますこれからの検討の過程で、外に向けていろいろと御意見を承るときに大体こういう論点で、こういう意見が大体あるよというような程度のものの固まりでよろしいのではないかというふうに思いまして、そういう程度の、自分としてはこの辺は大体もういいんじゃないかという御指摘でもいただければというふうに思います。どうぞ、よろしく。はい、どうぞ市村委員。 【市村委員】先ほどの小早川先生の御発言にちょっと異論を唱えるわけではないのですけれども、前提問題の認識はまったく共有していると思います。それで方向性の問題なのですが、現在同じものが取消しの段階で止まっていることが問題であって、さらに取消しに止まらずもっと実際的な救済、給付なりなんなりそこまで踏み込む、そういうふうに奥に踏み込んでいくというところに問題があるのではないかという御指摘については賛成しかねます。ちょっと私は前にも意見を申し上げたことがあるのですが、つまり現在の取消訴訟によって取り消されるようなタイプの事件については、拘束力の問題として、現実に行政庁は対応してきているので、例えばそれを給付判決の形にするということに審理の手間暇をかけるほどの意味はないと考えております。むしろ問題なのは、現在のところ、無名抗告訴訟というものがあるのだと言いながら、非常にハードルが高いために、取消訴訟に乗っかれないものについて実質的な救済に入っていけないという間口の狭さの方がやはり急を要する課題ではなかろうかという気がします。もちろんこうなってきますと、先ほど深山委員が指摘されたように、その方法にはいろいろな御意見があるし、元々法全体構造にも御意見があるということで、果たしてどうまとまっていくのかということは、今までの議論を考えてみますと、ちょっとよく見えないのですが、ただ例えば現在でも無名抗告訴訟は許容するとしながら、その個々の類型についての吟味があまりできていないので、例えばですが、そういうのがいくつかが法定化できるということになれば、そこは今までのような単に無名抗告訴訟があると一般的なもので言っていたよりはずうっと使いやすくなるのではないか、そういう意味で間口は広がるのではないかという気がいたします。方向性としては、どちらかというと、そちらの方向をやる方が問題の解決につながるのかなというのが私の考えです。 【小早川委員】釈明しますが、私もまったく今おっしゃっられたことに同感するばかりでして、私も実は問題は間口の方にある、間口こそが問題だと思っております。ただ今日は、これまでどこで一致点が得られたかということについて、座長から発言の促しがあったものですから、間口の方はまだまだどういう方向で考えるかは一致していないだろう、それに比べれば奥行きの方が、と申しました。奥行きの方が本当に一致しているかどうかという問題は、深山委員がおっしゃられたことがあるかもしれませんが、比較的にはそうではないか。ただ私も、現在の取消訴訟では全然不足かというと、これはそうではないと思いますけれども、しかし一般国民からすればやっぱり、貰えるものは貰うという、そういう判決を貰った方がわかりやすいのではないかという、そういったようなこともございます。 【塩野座長】今のは多少私が最初に申しあげた包括的な権利救済の中身でいろいろ御議論ございますので、今の点で御議論があればちょっと今の段階で出していただきたいと思います。水野委員、今の話ですか。 【水野委員】きちっとまとまった発言でないと思いますが、私なりに問題の整理という意味でちょっと申し上げたいと思うのですが、最初に座長がおっしゃった取消訴訟中心主義の是正、これは大体みんな一致していると思います。その前提として被告適格ですね、行政庁から行政主体に変えるということはこれはほぼ全員一致したのではないかと思います。それを前提に取消訴訟中心主義の是正という観点から考えますと、一つは公定力という議論が従前からされていますけれども、この公定力を排除すると言いますか、なくすと言いますか、これも方向性としては一致しているのではなかろうかと。公定力という言葉をどのように捉えるについてはいろいろな議論がありますが、少なくとも現在のような公定力概念を廃止ないし縮小するという方向については一致しているのではなかろうかと思います。そうなってきますと、これまでと同じように行政処分ということを前提としてその取消訴訟というふうな訴訟形態でいいのかどうかという議論に当然結びついてくるわけでありまして、公定力がないのであれば、違法の確認ということでいいのではないかということで私ども是正訴訟という名前を仮に付けて提案しているわけですけれども、そこのところの議論が分かれるところだと思いますが、公定力をなくすという方向で今の取消訴訟を考えた場合に現在の形成訴訟としての取消訴訟という形で残すことになるのかどうかという点が一つのポイントだろうと思います。 【塩野座長】どうもありがとうございました。はい、どうぞ。 【市村委員】一々、一つのことに反論しておくことはないと思うのですが、ただ座長が我々に意見を求められておられるのは客観的に自分は何が一致していると考えるのかということだろうと思います。どう一致すべきかという話ではなかろうというふうに思います。そういう意味で言いますと、御議論などを拝見すると、実は私はそうは思わないというものが大分取り込まれてしまっている気がいたします。今までの議論の経過というのがずうっと残っているわけですので、「この点では誰に振ったところで、一致していないとは言わないだろう」というものを事務局の方で拾い上げていただき、そしてそれをたたき台にして、自分はそれでもここは違うと指摘するなどした方が早いのかなという気がいたします。おそらく私が申し上げるまでもなく、事務局の方ではそういういくつかの部分があろうと思います。私自身も少なくともここは、という一致してるはずだと思うところは持っておりますが、方向としたらそういう方向でやり、各委員の認識はその後でしていただいた方が、早いかなという気がいたします。 【塩野座長】どうもありがとうございました。今のは議事進行に関することですので、ちょっと私の方から申しますと、前回そういうことで私、あるいは事務局の方にお預けいただければそういうふうなことを無理やりにでもやったかと思いますが、前回まだ第2読会が終わっていない時期でございましたので、今日は今のようなことで自分はここが一致してると思うということをおっしゃっていただいて、それを今度は次回までに事務局でどういうふうに整理するかという点は今日の後でまたお計りしたいと思います。そのときの御意見として、市村委員の御意見をテイク・ノートさせていただきたいと思います。そういう意味でざっくばらんに自分はこの点はもう誰が見てもでもいいし、自分は納得しているのだという辺りがあればおっしゃっていただきたいと思います。先ほどの水野委員の被告適格の点、これも一々挙手でやったわけではないので、本当に一致しているかどうかはわかりません。ただ特には反対はなかったということだと思います。 【深山委員】私もそこは意見は一致していると思います。異論はありません。そのことがどこまで様々な制度に影響するかについてのチェックと検証で、思わぬところに落とし穴があるかもしれないので、そこは少し詰めないといけませんが方向として意見が一致していると言っていい唯一の点ではないかと思います。非常にクリアな形で一致しているのはここだけではないかと私は思っています。 【塩野座長】どうぞ、福井委員何か、もう少し後にしますか。 【福井(秀)委員】とりあえず。 【塩野座長】とりあえず、訴訟類型とかその辺と、被告適格の話は水野委員からお話が出ましたので、その辺あたりで何か御意見があれば。 【福井(秀)委員】被告適格はそのとおりだと思います。あとなかなかこういう包括的な議論だと意見が述べにくい面がありますが、今の公定力なり、あるいは取消訴訟中心主義の見直しという座長がおっしゃったような中心主義そのものは、ちょっと行き過ぎではないかというこの辺りは少なくともかなり一致しているのではないかと思います。公定力廃止まで行くかはともかくとして、取消訴訟の排他性については現在の排他性がやや過度ではないか、例えば大阪空港判決のようなものに取消訴訟の排他性が及ぼされたのは問題が多いのではないかという辺りは少なくとも一致しているのではないか。あとは排他性をどういう行為に認めるのかというところも、これは各論ではいろいろ議論があるところだと思いますが、今の排他性が認められる行政処分の領域をそのままの集合体として維持すべきかどうかということは、もう少し絞ってもいいのではないか。どのぐらい絞るかについてはいろいろ各論になるでしょうけれども、少なくとも今の排他性をもつ行政行為の類型をもう少し絞ってもいいのではないか。この辺りはある程度は一般的なコンセンサスがあるように思います。 【塩野座長】どうもありがとうございました。はい、どうぞ。 【小早川委員】公定力とか排他性とか出訴期間の適用の範囲とか、これは結局、従来の行政処分という概念を土台にして今の抗告訴訟制度ができているわけですが、その土台をそのまま使うのか、それとも何か別のものに置き換えるのかという話になります。ごく抽象的に、いろんな形で落とし穴、権利主張の制限があるのは行き過ぎではないかという程度の話であれば、一致するかもしれませんが、ではどういう基本設計に切り替えるのかは、なかなか一致がないだろう、ちょっとさっき言ったことの繰り返しになると思いますが。今の水野委員と福井委員の御発言についてはそういう印象を持っております。 【塩野座長】どうもありがとうございました。ちょっと小早川委員の方から議事進行に関するということで御発言ありましたので、おっしゃるとおり制度的にぴたっと決まっている、あるいは決まりそうなものとそれ以外にここで議論して、これからまさにいろんな意見を聞こうと思うわけですが、これから意見を聞こうと思うときに大体この検討会では、大体この方向については方向性はかなりわかりますよと、見定められますよという点があればそれは今のうちから一般に示した方がいいですよということですので、そういうことですので、今の審理のあり方についての裁判所の権限ですか、資料・記録提出権を認めるかどうか、この点については既に資料の「行政訴訟の審理等に関する検討資料」の中でも出ておりまして、その点については御異論がなかったのではないかというふうに私は思っておりますが、そういった程度と申しますか、そういった我々の気持ちでももちろん結構だと思いますので、そういう趣旨で御発言をいただきたいと思います。どうぞ、水野委員。 【水野委員】今の仮の救済の関係で御発言がありましたので、私の認識では現在の執行停止制度を改革する必要があるという点はほぼ一致しているのではなかろうかと。内閣総理大臣の異議を廃止する、これも一致しています。あと仮命令といった制度を設けるべきだということもこれも一致しているのではなかろうかと思います。どういう制度設計にするかはこれはまたいろいろ、具体的な話しになるかもしれませんけれども。それから執行停止原則にするか、不停止原則にするかは意見が分かれているわけですけれども、これもどちらになったとしても例外が設けられるわけで、執行停止原則であれば不停止の場合の要件が設けられる。その要件を詰めていけば、どちらを原則にするかという点のところで意見の違いはあるかもしれませんけれども、実質的には意見の一致を見るような方向でやるのではなかろうかなと、そんなふうな印象であります。 【塩野座長】仮命令については市村委員の方でやや慎重な御意見もあったような記憶がありますが。 【市村委員】その範囲、それからどこまで踏み込めるかということ、仮に設けた場合にどういうケースについて使われるのかという認識の仕方によっては随分違うかなと考えています。基本的には、その方向、つまり処分があって、効力を止めるという形以外の事前の権利救済方法というものが必要だという点については私も賛成しているつもりです。ただ、その後の構築のことはほとんどまだ出ていませんでしたので、そこではきっといろんな根っこの問題から、意見の差が出てくるだろうと思っております。 【塩野座長】先ほどから繰り返しておりますとおり、ここで結論を出すわけではないので、仮命令というものを考えていると、いろいろ詰めは残っているけれども、考えてみるけれどもどうだろうかと、そういった形でまず外に出るのはどうかという、そういう説明でお伺いしておりますので、外に出すべきでないということであれば今の内に御発言をいただきたいと思います。 【市村委員】いえ、そういうつもりはございません。その点について制度的には検討すべき事柄だろうとは思っております。 【塩野座長】義務付け訴訟を認めておいて、仮命令がまったくないとなると、これこそ裁判による救済に欠けるところがあるとドイツ人が言うというのが山本さんの発言でしたので、やっぱり穴が空いてはそれはいけない。どうもありがとうございました。はい、どうぞ福井委員。 【福井(秀)委員】これも何度か出ていた議論は、受益処分の拒否処分の場合の仮の救済、まさに義務づけに該当するような場合だと思うのですが、少なくとも高校不合格の場合とか、生活保護の受給を決定しなかったという類は、仮の地位を認める何らかの仮命令がないと困ったことになる。この辺りはそれほど異論がなかった点ではないかと理解しております。 【塩野座長】どうもありがとうございました。私の理解ですと権利救済の実効性確保ということでは一致している。それに今度はいろいろなケースにしたがっての判断がありますが、あまり細かなところまでは詰めていないということはあります。今のようないろいろな事例は挙がっていたというふうに私は認識しております。 【市村委員】先ほどの事象の話しとして出た現在の執行停止制度について問題があるということで意見の一致を見たというまとめ方、つまり、どういう意味で問題があるのか、制度構造が問題あるのか、運用の問題なのかというところを全部抜きにしたまま、そこに問題があるということで意見の一致を見たというまとめ方には、私は承服できないと思います。 【塩野座長】構造というところではどうでしょうか。例えば執行停止について、将来だけ止まるということもございます。一種の仮の命令というものはできないとか、今のような御指摘のような、要するにどっちからやれば勝負が決まってしまって、そういったものについての構造的な問題。 【市村委員】私自身は、例えば要件的な面で使いにくい部分があると感じているということは前の意見の中でも申し上げております。 【芝池委員】あと一致しているかは断定しませんけれども、取消訴訟の対象になる処分、取消訴訟の対象になる行為、それから原告適格辺りの改革の方向というのは一致したのではないかなと思います。 【塩野座長】それは芝池さんの意見ということで。どんどん別のところに進んでくださって結構ですから。 【福井(秀)委員】原告適格はそういう認識で、今の原告適格では一般的に言えば非常に狭いことが多いという辺りはある程度一致しているところだと思います。それをどういう基準で広げるのかというところはいろいろな議論がある。こういう状況だと思います。 【水野委員】あと訴え提起の手数料の関係ですけれども、これについては問題提起としては行政訴訟については、例えば訴え提起の手数料は一律定額化すべきだという考え方についてどうかという問題提起がされてまして、これについても要するに計算が複雑になるのを避けるべきだという御意見がありますが、基本的な方向としては意見が一致しているのではなかろうかというふうに私は理解しております。 【福井(秀)委員】私もそういう理解です。 【市村委員】ちょっと議事進行がらみで申し訳ないのですが、要するに今、意見が一致しているのではないかと言われたときにもし、発言しなかったらそれを承認したというふうにもし取られるのであれば、毎回何か言っておかなければいけない部分がある気がします。ただ各人が認識しておられるということの集積を今やるというお話でしたから、一つ一つはやりません。けれども、後でそれをやるときに、ほとんどの部分が一致しているみたいになってしまうのではないかと若干不安になってまいりました。 【福井(秀)委員】包括的な議論で、最後の設計まで全部同意を与えたり、全部拒否をしたりということはあり得ないわけですから、せっかく座長の提案ですから、ある程度の、何も制度の細部や後の意見まで縛るという意味のコンセンサスではなくて、大まかな方向なり基本的な議論についての認識のすり合わせしておくことには意味があると思います。 【塩野座長】申し訳ありません。最初から舌足らずなことばかりで司会進行を始めて申し訳なかったのですが、水野委員のそういう意見の一致を見たというのは水野委員の情報ということで承っております。これは最後に私の方から、今日の検討の最後にお計りすることになるかと思いますけれども、今日出たいろいろな御意見について、意見の一致を見たというふうに、相手もいますから、今日の意見も踏まえて、今の記録をやってみると大体、この辺については御意見の一致を見たというふうに見ていいかどうかというリストを誰かが作らないと、もう一向に進みませんので、それを誰が作ったらいいかというのは最後にお計りしますので、ただ今日出た御意見で意見の一致を見た、誰か一人が発言した、それでもう意見の一致を見たと、次回に誰かが決めますということにはなりません。それはよろしゅうございますね。どうぞ、そういう意味では比較的御自由に御発言いただければと思います。はい、どうぞ。 【成川委員】私は一致しているのではないかなと思うのは弁護士報酬の片面的敗訴者負担については出た意見の中ではあまり問題という発言は聞かなかったという認識で私は思っております。 【塩野座長】御指摘どうもありがとうございました。芝原委員、何かこの時点でありますか。要するに第三者的に見て、この辺はどうかということは。 【芝原委員】今出たような個別論の一致というよりは、一致していないという意味での、逆の観点で言わせてもらいますと、個別議論をしているのですけれども、この結果トータルとしてどうするのですかというところの議論がまだできていないし、認識が一致していないのではないか。一つは最初座長が権利利益の包括的な救済に主眼を置くとおっしゃられたのですが、もう一つの適法性コントロールの方の機能をどう位置付けるのか。救済措置の集積でもって、結果として適法性コントロールをタイムラグをもってやっていくのだというスタンスなのか、並立的に適法性コントロールも掲げてやっていくのかという辺りはまだ議論ができていないのではないかという感じがしております。 【塩野座長】重要な御指摘ありがとうございました。はい、どうぞ小早川委員。 【小早川委員】何か感じたことは言っておいた方がいいらしいので、特に重要な点だと思ますので申しますが、原告適格について、基本的な一致が見られたという整理は如何なものかという気がします。現状に不満が多いし、それはその限りでは大体一致しているかもしれませんけれども、ではそれに対してどういう手を打つのか、その戦略的な基本方針自体が一向に一致を見ているとは言えないと思います。これは行政訴訟と民事訴訟の役割分担にも絡むわけで、環境訴訟なら環境訴訟について、民事差止めという方向をこれから発展させていくべきなのか、いやそうではない、行政庁の尻を叩くということをもっと訴訟法に組んでいくべきなのか、その辺の、私は私なりの考え方を持っていますけれども、基本的なコンセンサス、戦略方針は決まっていないのではないかという感じがいたします。今、芝原委員が穴埋め的にやるのか新しい絵を描くのかというふうにおっしゃったのは、これは一つの問題整理の仕方として、大変わかりやすいと思います。だから、これも繰り返しで恐縮ですけど、今の取消訴訟の制度があって、普通の一般国民はこういう制度があるのだからこういう救済を与えられて当然じゃないかと思っていると、実はそこまでできていませんよというようなところがありますと、これは一種の、家を買ってみたら住み心地が悪かったという話で、だから内部のリフォームをするかという話になると思うのです。いやそうではなくて、あなたそんなつもりでこの家を買ったのですか、それは全然違いますよ、それはまた別の家を買わなければいけませんよという話であれば、これはリフォームでは済まないわけです。今の話は比喩としていいかどうかわかりませんが、その辺の問題の仕分けは必要でしょう。ただ、この検討会がリフォームだけでいいかと言えば、それは私はそうでないと思いますけれども、さしあたりの議論の進め方かもしれませんけれども、現行制度に期待されているところを十全に答えられるように直していくということと、それからもう少し抜本的に民訴も含めた訴訟システム全体の見直しをするというところと、ちょっと議論としては分けた方がいいと思います。 【市村委員】今の点について、小早川委員の御意見に私はほとんど全面的に賛成ですので、その意思だけははっきりさせておきます。 【深山委員】今のように大きく問題状況が分かれている中で、個別の論点についてこれは一致しているという話をしていて、感じることなのですが、大きなところはどちらであっても、どちらでも当てはまるという話と、あるいはどちらからアプローチするかによって、そもそも一致していると主張する説明ぶりすら違ってくるような話と両方あるように思います。そうなるとそういう論点については一致していると言うのか、していないと言うのか、原告適格にしろ処分性にしろ、どういうべきなのだろうか、という気がいたします。どっちへ転んでも間違いなく一致していると私が思っているのは、管轄をよりユーザーフレンドリーに拡大する方向で何らかの手を打つという点です。被告適格者を変えるということからの必然的な整理みたいなところがありますが、それに止まらずに方向性としてどこまで広げるか、原告住所地の地裁まで全部広げるという案が挙がったのは知っていますが、私はそれは前に申しましたとおり反対ですが、それはともかくとして今より管轄を広げて、裁判所へのアクセスの途を拡大するという方向ぐらいは管轄については一致しているでしょうし、管轄の問題であれば基本的に見直すのか、今の制度の個別的な修正を図るのか、どちらに立ってもそのとおりに一致していると言っていいのではないかなと思います。 【塩野座長】今の点との関係で、この中で時々議論になったのは専門的に行政訴訟を扱う裁判所を設けて、それを一種の競合的な管轄として整理したらどうかと、そういった案も出てはおりますが、それも含めてのお話ということですか。 【深山委員】それも含めてと言いますか、競合管轄であれ何であれ、管轄が広がれば全てアクセスポイントが増えるという意味では、あるいは近くなるという意味では管轄を広げるという限度であれば、一致しているのではないかなと。現行法のままの管轄で大いに結構で、何の問題もないと、広げるのはとんでもないという意見はおそらくないのではないかなと思います。 【塩野座長】今のお話との関係で多少議事進行的なことでお話し申しますと、かなり根本的な問題がありますので、これを終えないと、例えば行政側のいろいろな技術的な意見を聞くまで、何も出さないということになりますと、当分の間、外に全然出ないことになるのです。ですが、もう一つ、それも一つの考え方かもしれませんけれども、議事進行に携わっている者からしますと、済んだところは割合と切り離して、ここはもうこれで行きますのでどうですかということを聞いていった方があるいはいいのではないかと。そして残っているところについては、これは後から御相談にもなりますけれども、この検討会の時間の制約の中で、どこまで議論できるかということを詰めながら、詰められるものは詰めていくという、そういうふうな方向も考えられるわけでして、今日お伺いした趣旨もこの際、ここのところは切り離してと言うと語弊がございますけれども、この部品はどうですかということを世の中に、あるいは行政の人に聞いてみる。しかし、この辺についてはまだまだ我々の方で議論してから、お伺いしましょうという、そういう整理の仕方はどうでしょうかということでお伺いをしているわけでございます。そういう意味で、先ほどから伺って、意見の一致を見たというのも、一番最初の問題、これは包括的な権利救済というのはこれは一種の鑑みたいな、鑑と言いますか、狙いをつけた大きな星みたいなものですから、そこには一致するとして、大事な部品だけれども、この際蒸し返しの議論はしないで行きましょうというのを今日拾い出せればなというふうにも思ったわけでございます。ただその場合も今日の御意見の一致を見たのが、直ぐ外に出て意見を求めるのに適しているかどうかはこれはまた後ほど相談させていただきたいと思っておりますが、そういう趣旨でどうぞ御議論いただきたいと思います。ですからこの点はやはり今日一致を見ないまでも是非、議論をしていくべきだというようなことについても、言っていただいて結構だと思います。 【福井(秀)委員】今の行政庁に意見を聞くために一致点を探すという、そういう御趣旨ですか。 【塩野座長】一番の私の趣旨は、もうここはあんまり同じ議論を繰り返してもしょうがないので、ここは部品を切り離そう、切り離す。行政庁に意見を聞くということは当然外に一遍、出ますので、我々のスタンスとしてはホームページに載せて、いつでも御意見を承ります、そういうスタンスでございます。ただ、今まで行政庁の意見を全然聞いていないので、この段階で一遍聞いてみるということも情報の収集として必要かなと、そういうことです。 【福井(秀)委員】情報収集としての行政庁の意見聴取というのは意味があると思うのですが、今のレベルの一致点ぐらいですと、おそらく具体的な制度設計を前提としていない、かなり包括的なものになってしまう可能性がありますので、そのレベルでの意見照会に実質的にどれほどの意味があるのかという疑問があるのです。ある程度具体的な制度、もちろんパーツはパーツとして独立していてもいいと思うのですけれども、そのパーツについてその基本思想から具体的な制度設計まで、別に条文までできていなくてもいいと思うのですけれども、今あるこの制度をこう変えるとすると、行政庁にはどういう影響が及ぶのかという、ある程度実践的なシュミレーションができるような形で聞かないと、ふわふわした意見のやり取りはかえって不毛ではないかという気がします。その煮詰め方についてはもうちょっとよく検討をした方がいいという印象です。 【塩野座長】それは次回にこの点について大体煮詰まってますというような意見の一致をこういう点でありますというようなことを整理できた段階で、では直ぐに行政庁の意見を聞くかどうかというのはそれはまた次の問題で、それを見た上で、行政庁の意見を聞いた方がいいと思うものは聞くということで、つまりそれは私、今日言いだしたわけではなくて、前々からこの点については行政も非常に関心のあるところですから、この点は聞いてみましょう、というご発言があり、私も発言したと思います。それについて、そういう形で進んできておりますので、いろいろな情報は多角的に取った方がいいと私は思っております。 【市村委員】今の行政庁の意見を聴取するということについては前々から私もそういうプロセスではなるべく早い時期に必要ではないかと思っていましたので、是非やっていただきたい。例えば今、例に挙げられた中で出てきた、例えば被告適格を行政主体にするというふうに変更した場合どうかというふうなものは、これは抽象的ではなく、具体的にかなり想定して考えてもらえると思うのだろうと思います。一方で、我々は、もし、被告適格をそのように変えることになった場合には、管轄の規定をどうするか。それから被告を誤った訴えの救済という15条の規定をどうするか、それから行政庁の訴訟参加はこれまでと同じでいいのか、拘束力の問題とか、あるいは再審査義務というのはどういうふうに残すのか、あるいは何か変えるのか、それから訴訟費用の負担の効力の問題、そういういろいろな問題があります。今の行政事件訴訟法のレベルで、必ず影響するはずだ、チェックしなければいけないことだというのがあって、しかもそれは自然に決まることではない。相当議論して煮詰めないと、それぞれに分かれ道があるはずだ。そういうことも、これから一緒にやらないといけないと思うのです。だから、テーマをそれだけに限るということは決して一致はできないと思うのですけれども、できるところから、そういうもっと煮詰めた議論の部分を段階的にどんどん発車していくという作業もした方がいいのではないでしょうか。それでないと、例えば先ほど申し上げたいくつかのチェック点について、果たしてどういうふうになるのだろうという頭が私にはできあがらないものですから、本当に期限内に落ち着くのだろうかという不安があります。行政庁の意見というのも、やはりそういうことについても貰いたいわけですけれども、大まかなところでも、今のようなテーマなら、具体的にできると思いますので、そのような作業を是非やっていただきたいと思います。 【福井(秀)委員】行政庁への意見の聞き方のスタンスについて、ちょっと市村さんのニュアンスが違うようなので、改めて申し上げたいのですが、行政庁の意見を聞くというのは、行政庁が同意しそうかどうかということの意見を聞くのだったら、こんな検討会はいらないと思います。それだったら、各省で純然たる事務的協議で作れば内閣法の法律はできるわけですから、そうやればいい。ここの検討会として、こういう組織が設置されているということは、一旦個別の被告予備軍たる行政庁の利害を離れて、できるだけ公正に議論しようという趣旨だと理解していますから、意見を聞くということは当然重要ですが、何のために、どういう情報や資料を得るために聞くのかというところで、コンセンサスが要るのではないかと思うのです。少なくとも、行政庁がどこまでなら飲みそうだろうかという落としどころやフィジビリティーを探るために意見を聞くというスタンスで、この検討会が臨むのはやめていただきたいというのが私の意見です。あくまでも、こういう制度にしたときに具体的に何か行政運営に支障が及ぶのかどうか、あるいはどういう波及効果があるのかというようなことについて、客観的な情報を出していただくために行政庁には意見を聞く、あるいは情報提供を求めるべきであって、行政庁が閣議決定のときにどこまで各省協議に応じる余地があるでしょうかというようなニュアンスがいささかでも出ないような聞き方をする必要があるというのが私の意見です。 【塩野座長】御指摘のとおりだと思います。そういう趣旨に沿って、私も進めたいと思いますが、ただ一言申しますと、私もこういった席で、行政庁の意見を聴取したことはあります。記憶に残っているところだけ申しますと、行政手続法部会、情報公開部会、これは私、座長代理でございました。そのときの落としどころはここら辺だから、お前こうしろということを角田座長から言われたことは一回もございません。私はあのときの角田座長の仕切ぶり、あるいは司会ぶりを拳拳服膺して、やっているところでございます。そういう点からいたしまして、独立行政法人等、当初の名前は特殊法人等情報公開法検討会でございますが、そのときは座長の職を務めさせていただき、関係各省、各特殊法人から出てもらいましたけれども、落としどころを探るために特殊法人あるいは日銀、NHKの意見を聞いたことは全くありません。それこそ情報の収集ということでまいったことでございますので、今の福井委員の御意見に全く賛成でございますので、そういう趣旨で、今までどおりの形でやってまいりたいと思いますので、ご了承いただきたいと思います。他にどうぞ。 【小早川委員】今日は出ていなかったのですけれども、不服審査との関係の一群の問題があります。その辺、これまた違うのかどうか微妙というか言い方は難しいのですけれども、今の不服申立の制度が平均的に見て、例外はありますけれども、国民の権利救済にそんなに役立っているとは思えない、逆にそういうものがあるために裁判所へのアクセスが妨げられているという面が無くもないという認識は割と一般にあるのではないか。不服申立前置規定は検討会の所管外であるというような御説明もありましたけれども、訴訟法の側からその辺の、不服申立前置のデメリットを軽減するようなそういう工夫をするという点は前向きに考えていくことに異論はないのではないか。 【塩野座長】その点も実は一つ聞きたい点の一つでもあるわけです。例えばどこを呼ぶかというのはこれからの話しですけれども、例えば税の不服の関係で不服申立前置の規定、あるいはそこをもう少し穴を空けるとすればどういう点が困るかと、そういった点は是非聞いてみたいところの一つだというふうに思っております。税以外でも社会保障の関係もありますし、それから実績としてはダブルトラックで行って、しかし結構やっているじゃないかというのもあります、前置の問題ではないですけれども。 それは一種の反面教師で、前置を置かなくなったって、きちんとやれるところには集まるのだということで、そういった点での情報を集めたいと思います。 【福井(秀)委員】審理に関連してです。被告適格等にも関係するわけですから、できるだけ裁判所が親切に釈明をして、善意に解釈をするという方向で、もう少しコミットメントを強めるという方向についてはある程度の合意があったところではないかと思います。これに関連してですが、例えば被告適格を行政庁から行政主体に変えるというときには、確か問題提起したことがあったと思いますが、不服申立ての方も相手が行政庁になっているものですから、不服申立てが行政庁のままで、訴訟だけ行政主体に変わると、多分国民が混乱することがあるような気がします。これは被告適格に限らずですが、行政訴訟制度が変わったときにパラレルの行政不服申立制度の方もある程度揃えておかないと、間違いが誘発されると思いますので、御配慮いただきたいと思います。 【塩野座長】なかなか難しい問題だと思います。 【福井(良)委員】今おっしゃった被告適格たる行政庁の話と行服における行政庁とは立場は違うと思いますので、パラレルかどうか、その点については疑問ですが、そういう議論は必要だというのは思っております。 【塩野座長】何度かここで出てきて、私が記憶にありますのは教示義務をもうちょっとしっかりして、教示義務は行服にはあるのですけれども、訴訟法にはないので、これをもう少ししっかりしたらどうかと、法的効果をどういうふうに持たせるかというのはこれは詰めていないので、深山さんからそんなのはダメだと言われてしまうかもしれませんけれども、これは教示義務というのはやっぱり必要だなということは皆さん思っておられたのではないかというふうに思いました、今日の話には出てこなかった点として、私の記憶としてはそういうものがあります。はい、どうぞ水野委員。 【水野委員】あと、団体訴訟について一度議論したと思いますが、これについてもいわゆる制度設計をどうするとかということについて、客観訴訟とするべきだとか、あるいは特定の分野に、という議論があったと思いますけれども、導入すること自体にはそう異論はなかったように記憶をしております。 【塩野座長】水野さんはそういうふうに思ったということで。多少、まだ時間もございますので、今のは非常に重要な問題ですから、もしそうではないというふうな御意見がありましたらお願いします。 【市村委員】少なくとも意見の一致を見たところというふうに分類をするのはいささか承服しかねるところであります。もちろんこれからむしろ、議論する重要なテーマではないでしょうか。 【水野委員】反対意見はなかったと思います。 【市村委員】個別に全部反対の意思を表明しないと、賛成したものとみなされてしまうのなら、一々やらなければいけませんが、議事録を見ていただければよく分かることだと思いますので、あえて申しません。 【塩野座長】分かりました。今の第2のセッションでの御意見があれば、まだ伺いますけれども、時間の関係もございますけれども。はい、どうぞ福井委員。 【福井(秀)委員】ある意味で議事進行に関するルールのことかもしれませんが、もちろん全会一致する論点についてやろうという方向で踏み出すのは、これは重要だと思うのです。しかし一致はしないけれども、例えば何対何かはともかく、大勢は固まっているとかあるいは僅差かもしれないけれども、意見分布はある説が多いとか少ないとか、そういう領域は全会一致でないと制度改正の土俵に持ち込まないというのは非常に矮小で無難な改正案にしかならないことの前提になるように思えます。どういう手続きがいいかはともかくとして、全会一致以外のことについては全員一致でないから取り上げないというのではなくて、何らかの意味での多数決原理で決めて、決めたことについては検討会として機関決定としては、この方向で行くということを積極的に出していかないとまずい。完全に一致することだけをやるということですと、一委員に絶対的拒否権があることになる。そういう運用は検討会としては望ましくないと思いますので、手続きのルールを考えるべきだと思います。 【塩野座長】そういう御意見として承っておきましょう。ただ今回のところは拒否をして全会一致だから行きましょう、そんな話では。 【福井(秀)委員】今日の議論というよりは、もうちょっと煮詰まった段階では何らかのルールも必要ではないかという趣旨です。 【塩野座長】それはそうですね。それでは、随分立ち入った御意見もいただきましたので、少し私も疲労困憊いたしましたので、3時までちょっと休憩させていただいて、残りのセッションで、今までも大分御議論が出ていましたけれども、次回以降どういうふうに、あるいは次回の会の持ち方をどういうふうにしたらいいかという点について、御意見を承りたいと思います。それでは3時まで休憩にさせていただきます。どうもありがとうございました。 (休 憩) 【塩野座長】それでは冒頭に申し上げました今日の、いわば第3セッションと申しますか、今後の検討のスケジュールを睨みながら、検討の進め方について御意見、あるいは意見交換をしたい。とりわけ私の方からは次回にどういう検討をするかという点について、いろいろな御示唆をいただければというふうに思います。既に今いろいろな御意見も出ておりましたので、繰り返しでも結構でございますので、先ほど言った趣旨はこういう趣旨であるということをもう一度確認の意味の発言でもよろしゅうございますので、第2のセッションのところで一応の意見の分布みたいなものはお伺いしましたので、そういうことを前提にしながら、次回の検討について、どういう資料を整えていった方がいいかという、そういった類の発言をいただければと思います。どなたからでも結構でございます。どうぞ御自由に、本当に思いつきでも結構でございますから、御発言いただければと思います。はい、どうぞ深山委員。 【深山委員】今日のこれまでの議論で、意見の一致を見ているとそれぞれが思っている点の開陳があったわけですが、先ほど市村委員も言われていましたけれども、記録をもう一度精査するということも含めて、事務当局の方でまとめた案を作ってきていただきたい。実は私もさっき申し上げたように書きぶりも含めて、一致している範囲は具体的に書けば書くほど、一致していないのではないかと、抽象的に書けば書くほど、この範囲ではさすがに一致していると、そういうことになると思うのですが、どこまで具体的なものが概ね一致した方向性として、まとめられるのかという努力をした案を是非作っていただいて、それをこのフォーラムでこれは書き過ぎだ、あるいはもう少し書くべきではないかという議論をしたらどうでしょうか。私自身はまとめたものに基づいて、この段階で被告である行政庁にヒアリングをするのであれば、詳しい方がいいと思います。それはできるだけ具体的なものの方がいいのですが、それはまとまってないことをある意見で詳しく書いても仕方がないので、そこは概ね一致していると言えるぎりぎりの具体的な書きぶりで、それぞれの今日出たもの、あるいは他にもあるのかもしれませんが、そういったものを拾った資料を作っていただいて、それをここで修正する。をして、それに基づいて、この段階で少なくともこれらの点についてはこれまでの議論で概ね方向は一致しているので、行政庁の側として、こういう改正あるいは改正の方向について、どういう影響あるいは支障があり得る、というようなことがあれば是非指摘してほしいという形でヒアリングをするというのがいいのではないか。事務局には大いにそこは苦労していただいて、次回までにそういう資料を作っていただきたいと思います。 【水野委員】私も深山さんと市村さんの御意見に賛成なのですけれども、第6回行政訴訟検討会フリートーキング参考資料というものを作りました。これに基づいて議論をしてきたわけなので、一つはこの参考資料のテーマに沿って、誰がどういう意見を言っているかということを生の形で整理していただけると一番有難い。その上で意見が一致しているかどうかというのはこれは評価が入ってきますから、これは意見が一致している、これは意見がこう分かれているというのがもう一つ別のペーパーで作っていただけると非常に有難い。先ほど来、一致している点だけが出ていますけれども、一致していない部分もやはり整理していただくと、問題点がよくわかっていいのではなかろうかと、これは事務局に大変負担を掛けることになりますが、できればそういう作業をやっていただければというふうに思います。 【塩野座長】一当たり御意見を承りましょう。 【水野委員】それともう一つ、一致しているかどうかという評価の点ですけれども、これは先ほどからまさに出ているとおり、いろんな方から御意見が出ているとおりでありまして、具体的に一致しているというものもありますが、具体的な制度設計は勿論いろんな思惑があって違うと思いますけれども、方向的に一致しているというふうに評価できる部分があると思うのです。ですからそういったものについては、こういう方向については一致しているという点も含めて、評価の方はやっていただければというふうに思います。 【市村委員】今の点に加えて、先ほどちょっと申し上げましたけれども、ある程度具体的になりそうな部分については、関連検討項目というものも少し洗い出して、まだ全然議論に火がついていないけれども、それはやっておかなければいけないというものをなるべく的確に捉えて、それをまな板に乗せることもそろそろ始めないといけないのではないかと思います。だから、二重の作業になってしまうのでしょうけれども、これはいたしかたないことだろうと思います。さらに、大きなテーマで議論が分かれているところがたくさんあります。それらは、抽象的なところまで行けば、確かに水野先生がおっしゃるように一致しているかもしれないけれども、それは議論することとしたいと思いますが、お願いしたいのは、いろいろなアイデアが出ているのを伺っていますと、実務にとってはそれが極めて急激な転換になるということを言っておられる部分があります。是非そういう部分に対しては、是非十分な議論をしていただき、決してばたばたとやらないでもらいたいということです。そういうものについては、そのような大きな転換になるものについては、やはり手続の基本法についてのことなので、是非慎重にやっていただきたいと強く希望します。 【芝原委員】今のことに関連して、私どもとしては一致したこと、あるいは一致してないことが一体どういう問題の深さに対応したものなのかと、その辺がよく見えない部分があります。一致したことの方向で例えば改正すると、それはどういう改善効果が出るのか、あるいは効果が期待されるのか、その辺がある程度やっぱりはっきりしないとこれでいいとは言い切れないと思うので、事務局の独断でもいいですから、これをやればこういう効果が期待される、あるいはこういう現行法の問題が改善される、その辺の整理はいるのではないかと思うのです。 【塩野座長】それは特に国民の皆様にもお見せするということであれば、やっぱりここはこうなるとこうなりますということはコメントした方がいいですね。どうもありがとうございました。はい、どうぞ。 【小早川委員】質問ですけれども、今後の進行ですが、次回に現時点での方向的なところをまとめて、それをインターネットに載せるし、それでもってヒアリングをやるということだと思いますけれども、ただそれは、大事なものを全部そこで拾うわけにはいろんな意味でいかないわけです。しかしまた、全体の時間も限られているから検討会で大事なことを全部やれるという保障はないと思いますが、だから、もう一回ぐらい、第二段の重要論点の整理とそれの中間まとめをして意見を聴取することが、もう一回ぐらいあるのか、そこはどうなのでしょうか。 【塩野座長】これももちろん皆さんとの御相談の上ですけれども、基本的に一致したものについては我々が一種の独善的な判断ではないかということも含めて、いろんな各方面からの意見を聞くと、その中には行政の意見もここに来てもらって、言ってもらう。そういった作業が一つあると思うのです。その前に、聞いていた過程で、こんな論点もあるではないかと気が付けば、それはまた取り入れていかなければいけないということはあると思います。そこで先ほどからの議論で行きますと、そのために結局、今の話で意見の一致を見たということでよろしいのでしょうか、今までの議論の過程である程度、意見はまとまっていると言いますか、方向性は一致しているので、これを外にぶつけて、いろんな意見を聞くという、そういった段取りに持っていくための資料を事務局で作る。その場合の事務局の作り方にはいろいろ御指摘がありましたように、いろいろ考えないといけませんけれども、その基本的なところで、そこは事務局にお任せいただけるということでよろしゅうございますか。 【福井(秀)委員】基本的な素案は作っていただいてもいいと思いますけれども、特にさっき水野委員が言われたような各委員の個別の議論を整理するのは、会も変遷を重ねていますから、当初言ったことと、後ろの方の時点での同じことに関する見解とか微妙にずれているということがどの委員についてもあると思いますので、そういうことについてはもちろんポイントだけ簡明に書かれることになると思うのですが、確認をいただいた方がいいと思います。 【塩野座長】そこはできるだけ異論のないようにしたいと思いますが、ただ、今の水野委員の今のこれまでの意見のものはなかなか、あと2、3人集めないと無理かもしれません。 【水野委員】希望ですので。 【塩野座長】そこはできるだけ御依頼に沿うようにいたします。 【福井(秀)委員】やはりあの議事録全部を網羅して頭に入っている人はこの中に誰もいないと思います。やっぱり結論に該当するようなところはできればプロの目で拾っていただいて、お前はこういうことを言っているはずだということを注意喚起いただくと、非常に自分の頭を整理する上でも参考になるという方は多いと思うので、できるだけやっていただければと思います。 【塩野座長】それからまたこういうことを言うと後で怒られるのですけれども、委員の方々ももう一度読み直してください。そうしないと自分が前に言っていることと違うと言えないものですから。それぞれのキャパシティの中で最善を尽くしていただくということですが、基本的な資料は事務局の方に。はい、どうぞ。 【福井(秀)委員】一致している点について整理していただくのは大変それはそれで結構だと思いますが、例えば、対立しているとか、あるいは異論があるけれども、要するにどっちかに決めないといけないということについては、この論点については異論があるけれども、こういう議論とこういう議論があるということがないと、一致したものだけについて聞くと、さっきの問題提起にも関わりますが、1個でも反対意見があるものは基本的に遡上に乗らないという、反対意見を提示している側に常に有利に働くというパラドックスが起きます。対立している論点を論点として客観的に挙げていただくことをベースにして、また国民なりに意見を聞くという資料の作り方を是非お願いしたいと思います。 【塩野座長】そこが3番目の御相談なんですが、次回はまず一般的に意見をお伺いするということでのまとまったものについて、こういう整理の仕方でいいですかという御相談をしておきたいと思います。あと次回に残された時間のときに、今日も出ました原告適格の問題だとかあるいは処分性の問題だとか、そういったものについて、ここはこれから詰めなければいけませんよというのを、それを今の段階で事務局にピックアップしてもらうのか、それとも一致した点はではこれこれですね、と一応収まりがついたところで、ここの点を是非議論すべきだということを、今日と同じような形で委員の皆様から伺いするかという点があろうかと思います。それはもうちょっとロングレンジの検討の仕方になると思いますけれども、私の今のような運びから行きますと、ダブルトラックになると思うのです。一つのトラックは行政庁のヒアリングを含めて意見を聴取、そしてそれについて、どういうふうに考えるかという作業が一つがあります。その作業をやっている間、我々は眠っているわけにはいきませんので、そうすると時間がどんどん進んでいきますので、やらなければならない非常に重要な問題がある。あるいは単に問題の指摘はできるかもしれないけれども、それは問題の指摘だけ申しておこう、あるいは問題の指摘だけでは意味がないので、これはやはり決着をつけるべきだという、そういった仕分けが必要だと思います。その仕分けの項目を次回までに事務局でまとめて、そのたたき台としてお渡しした方がいいのか、それともそれはやはりこの場で委員からの御発言を待って取り上げるか、ダブルトラックとしてどんどん議論すべき、ということについての御了承を得た上で、5月からの審議に入るという、そういった2つのやり方があると思うのですが、そこはどちらがいいかまでは私も考えておりませんので、皆様方のお考えをお聞かせいただきたいと思いますし、また対立点をちゃんとまとめて作れといっても、それはちょっと事務局としては無理でございますということにもなるかもしれません。ただ2つのやり方があるということは一応押さえて、どちらがよろしいですか。はい、どうぞ。 【成川委員】まず行政側の意見、情報等をいろいろと聞くということで意見は一致したということで、それはもちろん今日の議論を踏まえて、やれると思うのですが、併せてやはりこの検討会としてやっぱりこれまでの議論を踏まえて、今の行政訴訟の問題点を踏まえて最低限重要課題で、欠かしてはならない課題と、しかしそれは今回の行政側のヒアリング項目に入っていない課題というのは残っていますよと。その課題について、我々はどういう形で議論をするのかというのは外に明らかにする場合には併せてやっぱり提示をするのは今の検討会の問題意識を国民なり他の方の意見を聞く場合に必要ではないかと思うのです。そういう意味で、一致したところで聞くのと同時に、まだ残されて今検討している重要であるということで何とかしてまとめたいと、まとまるかどうかわかりませんが、まとめないといけないと思っている課題はどうです、ということについて是非、次回にでも項目ぐらいのところで全体で確認して、まとまるかどうかはその後の結果ですけれども、最低限是非まとめたいということぐらいの項目は確認できないでしょうか。 【福井(秀)委員】基本的に今の成川委員の御発言に賛成なんですが、ただまとめるべきかどうかという価値判断を入れると話がややこしくなりますので、基本的に論点が対立しているということ自体は、やっぱりどっちかに決めないと意思決定ではないのです。要するにイエスかノーかというのがあったとしたら、もちろん細目のレベルか大まかなレベルかという聞き方のレベルはいろいろありますが、検討会として決しないといけないわけですから、疲れる作業ですけれども、何らかの手続きルールを定めて決しないと、イエスかノーかというのは検討会として決められない。そういう意味でどうせ決めなければいけないことであれば、その論点はできるだけ早く提示いただく方が議論が生産的だと思います。 【塩野座長】どうもありがとうございました。それでは次回に、例えば今日出てきた議論としては国民の包括的な権利救済ということから取消訴訟中心主義をやめましょう、そうすると取消訴訟というのは残りますか、残らないのですかという問題があって、そうすると残るとすると取消訴訟の特色というものは排他性と出訴期間の問題ですので、これをどうするかが基本的な問題の一つであるというのは今までずうっと議論の中でも出ておりますので、例えばそういう問題についてはこれは決めないとどうにもならない話だと思います。 【市村委員】まさにそういう問題は起こってくるだろうと思います。現行法規でも、例えば拘束力の問題として、訴訟をやっていると非常にたくさん違法事由が主張されることがあるのです。どこか1点違法があれば、処分は取消しだということになりますが、拘束力という点からみると、たくさん働く方が当事者にとっては有利です。それを考えると、全部の違法事由を審査していくのかどうかは難しい問題です。現行法は拘束力までは定めたけれども、それをどう当事者の権利とどう結び付けているのかがあまり明らかではない部分があったりして、そういう議論をしていくと、判決の問題も塩野先生の御指摘のとおり非常に難しい、奥の深いところがあると思います。ただ、本当は是非こういうようなところで一度御検討いただければ有難いと思うのですが、それだけでもすごい時間が掛かるだろうという気がいたします。 【福井(秀)委員】塩野先生が言われた次回までではなくても、論点があるものはその次とかでも全然異論ございません。もう一つ、戦略とその戦術とおっしゃったのは全く同感でございまして、確かに先生のおっしゃる戦術レベルにはいろいろな意見があると思うのですけれども、ここで是非お願いしたいのは具体的にどこまで制度改正するのかということに関して、要するにここは立法政策、立法論の検討の場ですから、何か変えるという議論はあくまでも新しい論点なり問題提起なのです。変えるということについて全会が一致しないと一切動かない、例えば各省にも意見を聞かないし、国民向けにホームページにも載せないというのでは、制度を変えるという意見の持ち主に常に全面的な挙証責任を課すという、現在の行政事件訴訟法が全て原告に挙証責任を課しているのと同じ問題点が立法論でも起きますので、それは望ましくないということを申し上げたいと思います。基本的には新しい論点として対立があるにしても、取り入れるのか取り入れないのかということは全く対等の議論として検討会では扱っていただきたい。まさに入れるか入れないかは何らかの手続きルールで合意したものを定めて決しない以上それを取り入れない、という決断に検討会として至るべきではないか。こういうことを是非お願いしたいと思います。 【塩野座長】その点は御意見として承っておきます。 【福井(秀)委員】もう一つは重要な論点かどうかということについてですけれども、重要かどうかというのは、いろいろ価値観があって一概には計り難いと思うのですが、あまり技術的な問題をここで全員で議論しても不毛だと思うのです。基本的にはここは訴訟法上の技術的なことについて、非常に枝分かれした先の方まで決する場ではなく、非常に大きな意味での基本的な政策を決める場であって、それより先のところは国民としてはどっちでもいいよいうところだってあると思うのです。だからそこは事の軽重に序列を付けていただいて、この検討会で決めるべき大きな論点を外さないようにして、細かいところについてはある程度プロにお任せするという分業をしないと、おそらく決まるべき問題も決まらないと思います。 【塩野座長】今の御要望の中で、仕分けは事務局で一生懸命考えて原案を作ってよろしいという御提案ですか。 【福井(秀)委員】よろしいのではないですか。 【塩野座長】御意見として承っておきます。他にどうぞ。はい、芝池委員。 【芝池委員】事務局の方でこれまでの議論をまとめていただき、一致する点、それからA案、B案、C案という形で意見の対立している点を出していただいたら結構なのですが、問題はその後だと思うのです。まとまっている点にしろ、あるいはA案、B案、C案があって、どれかに決するとしても、制度的な詰めをやっていきますと、一旦採択した案が通らない場合というのがありうると思うのです。行政訴訟というのは技術的なものですから、やはりそういう可能性があるということは了解しておかないと、整合的な制度つくりはできないと思います。 【市村委員】私も今芝池先生の御指摘はまことにごもっともだと思います。特に議論しているときは、非常に緊密に連関してできている訴訟法の、一つ一つパーツの一つだけを議論しているわけです。そうすると、どこかを動かすことによって、当然動いてくる。先ほどちょっと行政主体の変更で関係ありそうだなと思うところでも、ちょっと挙げただけで、5、6条、もう既に条文の中だけで変わってくる。それらの全部を逐一全部条文の形でやらなければいけないのかどうかというのは別ですが、そういうことを見渡した上での議論で、それでいいか、どうかという議論をしないと、パーツパーツだけをやるのでは、きっと今の御指摘のような問題を惹起すると思います。そのあたりの進行の御配慮をお願いしたいというふうに思います。 【福井(秀)委員】今の御指摘、一般論としてはごもっともなのですが、ただ最初に全部制度の最後まで確定して、確定したものを前提に次に進むということをやっていると多分決まらないと思います。仮置きにしろ、一旦決めたもので何か支障があるということが判明したら、トライアルアンドエラーで逐次見直して、もう一回そこを直してさらにどうなるのかということをシュミレーションしながら、漸次的に進んでいけばいいという気がしますので、それも御配慮いただきたいと思います。 【塩野座長】そういう趣旨での発言だと思います。 【小林参事官】できる限りのことは次回までに。 【福井(秀)委員】一つ、論点についての補足なんですけれども、おそらく議論が細かいレベルであったのは行政裁量の統制の問題です。行政裁量については例えば、行訴法30条をどうするかとか、細かい議論はさておくとしても、行政裁量についてもう少し司法的統制を強めるか、弱めるかというと、強めた方がいい、それは何らかの基準なりに基づくということも考えられる。こういう議論もあったと思います。裁量の司法統制についても論点として大変重要だと思いますのでお願いしたいと思います。 【塩野座長】それは是非取り上げた方がいいですね。ただ、今回出なかったのは、裁量統制をもっとすべきだという御議論があったのですけれども、そこはやっぱり技術的に少し固めてからでないと。裁量は本当に難しいところだと思います。 【山崎事務局長】次回は4月25日ですが、今御指摘いただいた点を全部入れますと本当に間に合うかどうかという問題がございます。関連のもの全部をある程度分析していく、あるいは、この方向でといっても具体的なイメージまで、ということになりますと、若干、時間を要するかもしれません。次回はできあがりの中途の段階になることもあるかもしれませんけれども、それは御了承願いたいと思います。16年組の法律がたくさんあるのですが、それが同時に進んでおり、国会も同時にこれから動き始めますので、あと一月で本当に可能かどうかという問題もございますので、そこはご理解を賜りたいというふうに思います。出来る限りのことはしたいと思います。 【塩野座長】どうもありがとうございました。局長もいろいろ心配しておられますが、非常に事務局、事務量と言いますか、単なる事務量というとまた別の差し障りがあるといけませんけど、非常に知的な集中力を要する作業ですので、一言でも間違えるとこれは大変なことになるという問題があって、非常に丁寧にやっているのと、それから頭の体操をしょっちゅうやっているので、少し私ここから見てても少しくたびれているなあというふうな気もいたしますので、そこはしかしいいものを作るべき努力はいたしますが、皆様方もそれぞれの職分に応じて勉強しておいていただきたいと思います。 |