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行政訴訟検討会(第20回)議事録
6 議 題 【塩野座長】それでは、所定の時刻になりましたので、第20回「行政訴訟検討会」を開会いたします。事務局から本日の資料について御説明があります。 【小林参事官】資料につきましては、今日のヒアリングの進行表と、それから各官庁からの御意見、前回再調整させていただいた日程表を改めてお配りしております。以上でございます。 【塩野座長】本日と明日は行政官庁等からのヒアリングを行うことにしております。事務局から各行政官庁に対しまして、いろんな照会をしていただきました。その回答につきまして、既に委員の皆様方に事務局から送付していただいていると思います。本日は机上にその資料は置かせていただいておりますので、適宜御参照の上、御発言をいただきたいと思います。 【公害等調整委員会】 【説明者(小河総務課長)】公害等調整委員会総務課長の小河でございます。よろしくお願いいたします。 【塩野座長】どうもありがとうございました。それでは、今、特に言及されなかった部分について、既にペーパーが出ておりますので、それも含めて質問の対象にしたいと思いますので、今のプレゼンテーション以外のことについてもどうぞ御質問いただければと思います。どなたからでも結構でございます。 【水野委員】裁定に対する不服については60日という規定がございます。60日というのはなぜそうなっているのか。例えばこれが逆に90日とか、1年とかだったらまずいのか。あるいはもっと短くて30日の方がいいのかとか、60日と決められていることについての実質的な根拠は何かありますか。 【説明者(小河総務課長)】これは当時の他の類似法律等から引き出したものでございますので、60日自体でこうでなればならないということはないと思います。ただ、30日以内となると非常にあわただしいものでございますので、裁定の内容を吟味してからということになると、30日以内というのはかなり厳しいということから、訴訟を提起する場合の利益というものを考えて、60日はあった方がいいのかなと思います。ただし、90日となると多少の違いだと思いますが、1年ということになりますと、元々これについて鉱業等他産業との、一般公益もございますが、他産業との調整ということでございますので、いわゆる権利関係の確定ということになるとかなり長い間確定しないということになりますので、特に多いのは、いわゆる鉱業権を認めない、他産業に支障があるので認めないとした場合においては、それは早く権利関係、例えば鉱業権者の方が確定したいということですから、1年まで待たずにいいのかな。ただし、これについては、今回御検討されておられるようなので、それについては、なるべくそちらの方に合わせられるのではないかという方向で考えております。これについては多分、他の法律でもあると思いますので、整備法の段階で御検討させていただければと考えております。 【芝池委員】この裁定については東京高裁の専属管轄が認められておりますけれども、こういう立法は他にも例はあるわけです。この点については、今回の改革では、少なくとも私は余り手を入れることは考えていなかったのですが、例えば鉱業権を巡る争いですと、先ほどおっしゃったような場合、実質はあるどこかの地方に鉱業権を持っている人と、それから周辺の住民の争いになるわけですね。勿論、形式上の被告は公害等調整委員会になりますけれども、実質は東京にいない人が争うわけで、そうすると、高裁の専属管轄は認めにしても、東京に限定する必要はないのじゃないか。勿論、公害調整委員会の方としてはお困りになるということはわかるのです。 【説明者(小河総務課長)】制度的に申し上げますと、私ども御説明しておりますように、事実認定の拘束力がありますので、まず、公調委が行う裁定の段階においては、現地における職権を含めた調査を行いますし、場合によっては現地の審理も行います。その上で私どもの東京において審理期日を何回かやってということになりますので、あらかたのものについては多分調べておりますので、内容的にはこれまでの例によればというこというなのですが、すべて訴訟が提起された場合には、我々の記録を送付いたしますので、それで大体足りているのではないかということから、そもそも裁定自体が東京で行われるということから東京高裁になったのではないかということでございまして、あとは、では全国の高裁レベルで広げるかということになりますが、それは後は件数的にはそんなに多くございませんので、実質認定の拘束力、証拠提出の制限がありますから、実質的にはそれほど影響はないとは思います。あとは他の法律を含めてこういった裁定、審決を行う場合の法律立てのやり方ということではないかと考えます。 【芝池委員】実際に現地を見たりされるのは、委員会での審理の段階ということですね。その場合、必要があれば現地に行かれると。 【説明者(小河総務課長)】特に申請人側が現地の状況を見てほしいと。かなり膨大な書証も含めてお出しいただくんてすが、現地を見なければわからない部分もありますので、これは大体毎回のように現地は調査いたします。現地において当事者双方の意見を聞く場合もありますし、現地における審理期日を開く場合もございます。その場合は、当事者双方の主張を述べていただく場合、それから場合によっては現地において参考人の出頭を求めて、意見聴取を含めてやることはございます。 【塩野座長】他に何かありますか。私の方から1つだけお伺いしますが、確認なんですが、いろんな御意見の中に検討が必要とか、あるいは整備法が必要と考えられるという御指摘がございましたが、これは基本的には行政審判であるといったことでの御主張というふうに伺ってよろしいですか。先ほどの原告適格の問題、これは議論をすると時間がかかりますので、これはやめておきますが、これは原告適格プロパーの問題ではなくて、固有の仕組みの話だと私は理解し、むしろ原処分者であるというふうに考えた方が、処分に対する申請人適格というふうに考えた方がよろしいかと思います。そこで確認なんですが、整備法が必要と考えられるというのが幾つかございますが、これは適用除外ないしは別の法律事項を個別法で手当をしてほしいということなんですか。 【説明者(小河総務課長)】先ほど申し上げました訴訟の適否の問題もございますように、各省類似のものがございます場合には、いわゆる一括整備法で処理できるのではないか。それまでの段階におきまして、我々が一括整備法では対処し切れない、ないしは大きな構造的な問題がある。問題というのは構造的な課題があるという意味ですが、ある場合には、場合によっては単独で法律改正をする必要が出てくるかもしれないのですが、今までの検討の段階においては、ほぼそれほど問題はないのではないか。一括整備法による部分的な改正によって今回の場合対処できるのではないか。 【塩野座長】一括整備法もいろんなやり方がありまして、一括整備法の中で個別法の改正があることもありますので、特別な手当が必要な場合があるけれども、他省庁と同調の歩調を取れる場合もあるし、公調委特別なものもあるという理解でよろしいですね。 【説明者(小河総務課長)】はい。 【塩野座長】どうもありがとうございました。他に何かございますか。それでは、ちょうど時間がまいりましたので、どうもありがとうございました。また、何かあれば質問が出ますので、その節はよろしくお願いいたします。 【説明者(小河総務課長)】よろしくお願いいたします。 【全国知事会】 【塩野座長】それでは、次に全国知事会からのヒアリングを行いたいと思います。御説明は石上卓調査第一部長でございます。よろしくお願いをいたします。 【説明者(石上調査第一部長)】全国知事会調査第一部長の石上でございます。今日はこういう機会を設けていただきましたことに、まず御礼を申し上げたいと思います。それでは、早速説明をさせていただきたいと思います。 【塩野座長】どうもありがとうございました。アンケート調査もしていただいたそうで、どうもありがとうございました。是非、全都道府県からもらえるように御努力をお願いしたいと思います。それでは、皆様から質問等承ります。どなたからでも結構です。 【水野委員】4ページの(10)です。出訴期間の廃止については、行政の信頼性ということと、行政行為の法的安定性を損うと2つ挙げておられます。これは具体的には廃止すると、どうしてこういうことになるのでしょうか。つまり、廃止すると信頼性が失われる、あるいは廃止すると法的安定性を損うという御意見ですね。なぜそうなりますか。 【塩野座長】この質問は、説明者にして、すぐにお答えいただくのはちょっと無理かと思います。アンケート調査ですので、そういう質問があったということで、こういう御意見が出たときに、こういう席でこういう質問が出たということはきちんと報告をしていただければと思います。 【説明者(石上調査第一部長)】わかりました。具体的に出てきた県からの理由が明確にあるかどうか確認します。申し訳ありません。その点も含めまして、この次のときには理由も付して今の質問に答える形で提出させていただきます。 【小早川委員】アンケートの集計ということのものですから、どういう御質問の仕方をすればいいかなんですが、大変漠たる言い方で恐縮ですけれども、回答を御覧になって、都道府県のこの問題についての関心というのはどうでしょうか。 【説明者(石上調査第一部長)】このあと東京都から、実務を担当している立場からの意見があると思います。私の立場から言えば、今、この段階で26県くらいしか回答がないということで、非常に問題に対する整理と言いますか、時間がかかるのかなという印象を持っておりまして、十分な議論をした上でこういう回答をしたかどうかという点について、もう一つ疑問というところもありまして、もう少し自分たちでこれについての議論をさせていただいたらいいのかなという気も実はいたしております。 【小早川委員】具体的に都道府県によって、実際にいろんな事件を抱えているので、そこから意見が出てくるというケースが多いのか、それともむしろ抽象的、一般的なのか。 【説明者(石上調査第一部長)】既に統計資料等ございますけれども、各県によって訴えられる件数というのはまちまちでございまして、東京都が一番多いわけでございますけれども、認識というのはそれそれの県で確かにばらばらだと思います。いずれにしても、そういう中で、全くゼロというところはないと思いますが、そういう中での判断だと思います。 【小早川委員】これから離れた質問が続いて恐縮ですけれども、一般に都道府県の法務部、東京都についてはこれから伺いますけれども、法務の体制というのはどうなんでしょう。 【説明者(石上調査第一部長)】26団体、回答をしていただきましたが、その中でそういう専門部署を設けているのは5団体しかございません。 【塩野座長】そういった資料はいただけますか。 【説明者(石上調査第一部長)】はい、一緒に提出いたします。 【福井(秀)委員】水野委員の意見にも関連するのですが、幾つもあるので例示です。例えば4ページの「(13)原告適格の拡大」ですが、解釈・運用の問題であるということは、現在の解釈・運用はいいという意味なのか、あるいは悪いけれども、それは解釈論で対応できるという意味なのか、立法する必要はないという意味なのか、それぞれの根拠は何か、ということは、今でなくてもいいのですけれども、そういうことまで教えていただかないと余り参考にできないものですから。 【説明者(石上調査第一部長)】(18)は行政訴訟だけ取り上げることはどうかという観点かなという感じがします。 【福井(秀)委員】ですから、それは行政訴訟だけ取り上げて議論するに値しないほど行政訴訟固有の問題はないのだという事実認識を前提にしているのかどうかということです。 【説明者(石上調査第一部長)】わかりました。その辺は各県の意見をもう一度精査します。 【水野委員】この生データと言いますか、回答は非常に興味があるのですけれども、これは知事会の方に申し出れば、見せていただけるのですか。 【説明者(石上調査第一部長)】これについては、今日は説明用の資料につくりましたので、生のデータは47全部集まるかどうかわかりませんが、集まった段階で、それをできるだけ生のデータを提出させていただきたいと考えております。 【塩野座長】今のような雰囲気ですので、私が聞こうかと思っていたのは、先ほど飛ばされた「(8)確認の訴え」で、必要性が乏しいとする意見が多いというときに、何でなのかなということをちょっと聞きたかったので、即答は求めませんけれども、というのは何か都道府県独自の、我々が気がつかなかった問題点が出ていれば大変検討の参考になるという趣旨でございまして、ここで意見がおかしいということよりも、これは都道府県ならではの議論だというのが欲しいという趣旨でお願いをしたいと思います。 【説明者(石上調査第一部長)】基本的にこれは意見が出たものを全部取り上げているつもりでございます。 【塩野座長】私などは自治体が大変苦労しておられ、また、住民訴訟は大変意味のある訴訟だと思っておりますので、それについて過去の経験に鑑みて、どうかという御意見でもあればと思いまして。 【説明者(石上調査第一部長)】失礼しました。これは入れてなかったのですが、1県ありました。国民訴訟制度を早急に設け、国の適法な財務会計行為の確保に努めるべきである、という意見でした。 【塩野座長】1県あったわけですね。できれば漏れなく教えていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。他に何かございますでしょうか。 【説明者(石上調査第一部長)】では、先ほどのものも含めまして、後ほど提出させていただきます。どうもありがとうございました。 【東京都総務局法務部】 【塩野座長】それでは、東京都総務局法務部からのヒアリングを行います。御説明は中村次良総務局法務部長でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 【説明者(中村法務部長)】東京都の法務部長の中村です。行政訴訟法の見直しに関する意見を申し上げる前に、先ほどもちょっと体制のことがありましたので、若干説明させていただきます。東京都では、執行機関ごとに、すなわち知事部局、それから、交通局とか、水道とか下水とか公営企業、それから教育委員会とか公安委員会とか行政委員会、それごとに訴訟対応をしております。私は知事部局の方の訴訟を担当しております。 【塩野座長】どうもありがとうございました。それでは、委員の方から御意見等を承りたいと思います。我々の考え方に対して直接のお答えになっていないところもありますけれども、場合によってはそういう質問を得たならば、ここはこういう理由で答えていないんだと、あるいは後で答える用意があると、そういう程度のことで結構でございます。 【説明者(中村法務部長)】7月7日にこれをいただきまして、中でちょっと議論しても、なかなか結論がまとまらないというか、両方の意見が出たり、なかなか。 【塩野座長】そうすると、後から資料追加ということもあり得るということでございますか、せっかく考えたのですから。我々としては、是非いろんな情報を得たいと思いますので、よろしくお願いいたします。それでは、どうぞ皆さん。 【福井(秀)委員】管轄と敗訴者負担のところで出たお話で、大きい法人相手の場合は事情が違うということなのですが、これは例えば資本規模とか従業員規模とか、そういうもので扱いを分けるべきだという御提案ですか。 【説明者(中村法務部長)】そこまで細かい議論はなかったのです。実際上規定するのはなかなか立法技術上難しいかなという中では、議論になりまして、感覚的に自治体より大きいところはたくさんあります。東京都などは割と大きい方なんですが、区市町村で小さいところは大変じゃなかなということです。ただ、立法の仕方は確かにちょっと難しいのかなという感じがしています。 【福井(秀)委員】大きいかどうかということと、それから行政事件の構造だと、要するに、税金で養われている職員を抱えている自治体なり政府と、それから私企業で下手するとつぶれるというリスクを抱えている民間との間のイコールフッティングというのはどういうふうに思われますか。 【説明者(中村法務部長)】そこまでは考えていないというか、地方公共団体としても最近は非常に厳しくて、どんどん人が削られていますし、そういう意味ではだんだん私企業と似てきていますので、そういうような議論は。 【福井(秀)委員】行政事件というのは、そもそも行政に優越的地位があるから私企業に権力的な行為を一方的にできるわけです。ここの議論というのは、そういう場面についてだけの議論をしているわけです。さっきの大きいか小さいかで切るのかあるいは何らかの基準で扱いを変えるのか。もし具体的な案があるのであれば、後ほどでも教えていただければと思います。 【芝池委員】「審理の充実等のための方策の整備」のところなのですけれども、理由の説明などについて、現行制度の範囲内で十分対応可能と書いておられるわけですが、これは現在、訴訟の場で十分ないし、適切に理由の説明とか、記録の提出を行っておられるという自負心の表れなんでしょうか。 【説明者(中村法務部長)】まあ、そういうことです。 【芝池委員】最後の弁護士報酬のところなのですけれども、訴え提起の手数料の方はどうなのでしょうか。 【説明者(中村法務部長)】手数料の方は費用の中に入っています。印紙代とか、そういうのは全部入っています。今は敗訴者負担ですね。 【芝池委員】住民の方が敗訴すれば、自分の分も払うのは当然であると。 【説明者(中村法務部長)】御存じだと思うんですが、お互いに余り請求しない実態になっています。印紙代とか、郵券代とか、東京都が勝っても、訴訟費用は原告の負担とするという主文をもらっても、それを向こうに請求したというのはない。1件くらいあると思うのですが、ほとんどないです。 【塩野座長】権利であってもですか。住民訴訟に引っかかりませんか。 【説明者(中村法務部長)】訴訟費用確定の申立てをしなくちゃいけないのですが、それはたまたま相手の方が起こしてきたので、では、一緒にやりましょうということでやって、こちらの方から積極的に起こしたというのはないですね。 【福井(秀)委員】取らないことが、今の座長の御指摘のように、住民訴訟で問題にされる可能性というのはないのですか。 【塩野座長】そういう住民訴訟は今まで出てこないから、これから出てくる可能性はありますね。 【説明者(中村法務部長)】相当細かい話になりますね。 【水野委員】ぎちぎち言えば、住民訴訟みたいな議論になるかもわかりませんけれども、民間同士の裁判でも取っていないのが普通なのです。だから、訴訟費用は被告の負担とするとか、原告の負担とするとか、主文には出るのですけれども、取っていないのが大体の慣行と言いますか、それは1つは訴訟費用の確定請求というめんどうくさい手続をしなければいけないということがあります。 【説明者(中村法務部長)】それはまた東京都がどういう立場で、どういうような形態の訴えを起こすかということについて、ここではコメントできません。 【水野委員】もしそのときに、東京都が原告になって、国を相手に行政訴訟を起こそうと検討してみたら、いろいろと問題点が多くて、困ったということがあるかもしれないと思ったのです。 【説明者(中村法務部長)】確かにいろいろ検討しているのですが、なかなか難しいところがあります。 【水野委員】それはどういうところですか。 【説明者(中村法務部長)】それはちょっと、すみません。 【小早川委員】1つは、先ほど芝池さんが言われた質問に対して、東京都はきちんと理由を説明し、記録を提出しているからということがありましたが、それは東京都がきちんとやっておられるにしても、そうでない自治体もあり得るので、法制化してはならないというほどの御意見ではないのかなということです。 【説明者(中村法務部長)】それはそうですね。 【小早川委員】もう一つは、仮の救済のところで、1つは、現行法の内閣総理大臣の異議については何か御経験からして御意見ないですか。 【説明者(中村法務部長)】ほとんど使われていないですね。 【小早川委員】かつて公安委員会にはちょいちょい出てきましたね。そうすると、特に残しておいた方がいいというほどでもないと。 【説明者(中村法務部長)】中でも余り残しておいてもいいという議論もなかったです。 【塩野座長】あまり関心がないということですか。 【説明者(中村法務部長)】そうですね。あまり使わないです。 【小早川委員】同じく仮の救済関連ですが、先ほど食品衛生関係などで、不衛生なものがのさばっては困るという御指摘がありましたが、行政処分にもいろいろなものがあるので、そういう公衆衛生絡みなどは1つの典型でしょうけれども、そうでないもので、実質的には民訴の仮処分みたいなものを認めてもいいような金銭的なものとか、そんなようなものについてはどうでしょうか。 【説明者(中村法務部長)】実際に具体例を検討したわけではないので、申立人の方の失われる利益の程度と、それからそれに執行停止というか、仮処分に認められることによって、行政側の方の不利益というか、公益の内容、程度、それを比較衡量するしかないのかなと。具体的なものは、先ほどの衛生の関係とか、それから、旅券の発行の場合に、仮に発行してしまうと、向こうへ行っていろんなことをやってしまうという場合には大変な問題になってしまう。 【小早川委員】例えば生活保護などについてはどうだろうかという御検討は。 【説明者(中村法務部長)】生活保護については検討していないです。私ども実際やっていませんから、市町村の方でやっていますので。 【塩野座長】他に何かございましょうか。私の方から2つばかりあります。1ページの3の審理期間の定めというのがちょっとわからなかったのですが、本案を早くやれということですか。執行停止原則がかかっていると、早くやってくれとなっていますが、そこはまだ決めていないわけですね。 【説明者(中村法務部長)】仮の救済そのものの結論を早く出してくれと。 【塩野座長】この審理期間はそういうことなんですか。わかりました。もう一つは、2ページの4−(1)の義務付け訴訟のところ、これは我々の考え方の基本には、取消訴訟中心主義というのは、逆の意味で三権分立の点から見ていかがなものかという議論も含めて、取消訴訟中心主義に対して、そのまま維持するものではないという前提で議論しておりますので、このままのお答えだと、ちょっと議論が食い違っているなと思いますので、その点はまたお考えいただきたいと思います。 【説明者(中村法務部長)】これもどれが一番いいかというのも、そんなに深く突っ込んだわけじゃないのですけれども、これが一番疑義が少ないかなということだけなんです。 【塩野座長】それはそれでいいのですけれどけも、短期の方は要らないのかという。 【説明者(中村法務部長)】短期の方は要らないと。 【塩野座長】それだけきっぱりとお答えいただければ、それはそれで1つのお考えだと思います。帰ってから、また、ちょっと違ったということであれば、それはそれで。 【福井(秀)委員】今の点に関連して、そうしますと、短期、長期という区分をなくして、ある程度長期で一元化しても、そんなに行政処分は支障がないという御趣旨ですか。 【説明者(中村法務部長)】まあ、今のところないんじゃないかなと。 【福井(秀)委員】東京都のされる処分で、例えば3か月以上も放っておいて安定しないのは絶対困るというのは思いつかないということでございますか。 【説明者(中村法務部長)】そうですね、短期間で検討したので、今までの検討の中では思いつかなかったのですけれども、私ども実際に行政事務をやっているセクションではないので、実際にそういうところからヒアリングをしたわけではないので、訴訟専管部門で考えているだけですから、本当はそういうところと打合わせするともうちょっと違う答えが出てくるのかもしれません。 【塩野座長】そういう質問があったということを記憶していただきたいと思います。よろしゅうございますか。それではどうもありがとうございました。 (休 憩) 【金融庁】 【塩野座長】それでは時間になりました。次に金融庁からのヒアリングを行いたいと思います。御説明は大藤俊行総務企画局企画課長です。よろしくお願いいたします。 【説明者(大藤企画課長)】ただいま御紹介いただきました金融庁の総務企画局の企画課長の大藤でございます。 【塩野座長】どうもありがとうございました。それでは、どなたからでも結構でございますから、御質問等をいただきたいと思います。どうぞ、水野委員。 【水野委員】12ページの出訴期間の延長のところですけれども、金融行政の安定性の観点という御指摘をいただいたわけですけれども、具体的に出訴期間が延長された場合に、こういう点で金融行政で支障が生ずるといったような点はございますでしょうか。 【説明者(大藤企画課長)】必ずしも具体的に考えたわけではございませんが、内容で随分変わってくるのだと思うんです。いわゆる処分を行うことの効果が非常に広がっていくもの。例えば、金融機関の健全性に問題があるということから、いろいろ業務改善命令を行ったり、いろいろな措置を要請するといったような場合には、金融機関の関係、例えば預金者でありますとか、それから債権債務関係を有する者とか、そういったような形で、いろいろな形で影響を被る者が多いわけでございます。ところが、そういったような関係がないような行為につきましては、そこの部分がある程度の期間放置されてもその影響は少ないと思いますけれども、非常に広がりを持つような場合につきましては、抽象的な言い方で恐縮でございますが、出訴期間の延長というのは、かなりの影響を持つのではないかと思います。 【水野委員】今、例示されました業務改善命令ですが、これは一種の行政処分です。それが例えば、今は3か月ですけれども、1年経っても争えると、仮に延長した場合に、預金者とか、債権者、債務者にどれだけ影響が出てくるのでしょうか。 【説明者(大藤企画課長)】直接はあれですけれども、その処分の妥当性が長期間にわたって争われて、そこが不安定な状況に置かれるというようなことになりますと、まさに処分をベースにして事実関係が積み重ねられていくわけでございますから、そこは影響があるのではないかと思いますけれども。 【水野委員】ちょっとそのイメージがわからないのですけれども、仮に裁判を起こした場合には、判決まで2年も3年もかかるわけです、それでも結論が出ないわけです。他方で、今は3か月ですけれども、それが例えば1年に延長したというときに、金融行政を担当している方として具体的に困ると、金融行政が停滞して困るとか、安定性が失われると困るという具体的なイメージが今の御説明だけですとわかないのです。 【説明者(大藤企画課長)】ちょっと我々も更に具体的に検討したいと思います。 【芝池委員】業務改善命令を出しますね、相手の金融機関がそれに従わない場合、出訴期間が3か月とか、あるいは1年経つまで放って置くのですか。 【説明者(大藤企画課長)】いや、それは放って置きません。 【芝池委員】そうしますとどうなるんですか、業務改善命令を出して、それで従わなければどうなるのですか。 【説明者(大藤企画課長)】そこは、それに従わない場合には、それに沿った法律、法令に基づいた措置を講じていくということになります。 【芝池委員】どういう措置がなされるんですか。 【説明者(大藤企画課長)】そこはいろいろでございます。 【芝池委員】刑罰はかかるのですか。 【説明者(大藤企画課長)】刑罰は基本的にはかかりませんけれども、最終的には免許の取消しとか、そういったようなこともあり得るのではないかと、ちょっと具体的なケースはあれですけれども。 【芝池委員】実際に免許取消しかどうかは別にして、そういう措置が考えられると。それは今まで余り例はないかと思うんですが、業務改善命令があって、相手が従わなくて、だから頭の中でシミュレーションするんですけれども、免許取消しとかいうのは、時間的にはどのぐらいなんでしょうね。 【説明者(大藤企画課長)】具体的、個別的に申し上げることは難しいと思いますが、いろいろあると思います。 【芝池委員】だから、1年間はのんびり待っているということはあるわけですか。ですから、あまりそこの出訴期間というのは問題にならないのではないでしょうか。 【説明者(大藤企画課長)】そういうことで、訴訟として妥当性をあれするのはまた別の話だということであればですね。 【芝池委員】相手の方が不服であれば、おそらくかなり速やかに法的な措置、訴訟を起こしていくのではないでしょうか。 【説明者(大藤企画課長)】ちょっとそこは、私どもも必ずしも十分分析しているわけではありません。ただ、いろいろ類似ケースとかで、そういったものが、いわゆる事例の蓄積というようなことにもなるかと思いますが、出訴期間が延びたからといって、そこが決定的な影響を与えるとか、そういうことではないと思います。 【芝池委員】出訴期間の延長をしても、少なくとも今の業務改善命令について言うと、実際上の不利益というのは考えにくいのではないかということですね。 【説明者(大藤企画課長)】申し訳ありません、そこは我々もまだ十分具体的に検証しているわけではございません。 【塩野座長】違法性の承継の問題もありますので、そこも含めてお考えいただきたいと思いますが、私の方から1つ2つお伺いしたいのですが、1つは行政処分はいろいろと金融庁所管の法律であるはずですね。訴訟件数というのは、今までどのぐらいありますか。 【説明者(大藤企画課長)】今のところないようでございます。 【塩野座長】ないのですか、昔の大蔵の行政指導が厳しくてと。 【説明者(大藤企画課長)】いや、そんなことはないのですが、情報公開関係のが1件あるようでございます。 【塩野座長】そうですか、だから余り感覚がないということだと思いますが。それからもう一つ今の関係で、私どもの御依頼の趣旨が徹底していなかったかと思いますが、いろいろ御議論しているので、その具体的に結果を待ってというお話なんですが、我々としては現場の生の意見を伺いながら議論をしたいということで、我々の議論を固めた後で、金融庁にどうだと言って、金融庁がこれは困ると言われても、これはもう後戻りできませんので、そういう趣旨で、お忙しいとは思いますけれども、こちらからの御質問に、特に選択肢を付けているのもありますね、あれでとにかく現場の意見を聞きたいということで、検討会として各省庁にお出ましをお願いしているものですから、そういう趣旨が徹底していなくて大変申し訳ありませんでしたが、そういうことでございますので、できれば早目にまた追加的な資料をお出しいただければというふうに思いますので、よろしくお願いします。それでは、どうもありがとうございました。 【説明者(大藤企画課長)】どうもありがとうございました。 【文部科学省】 【塩野座長】それでは、次に文部科学省からのヒアリングを行いたいと思います。御説明は山中伸一大臣官房総務課長、お願いします。 【説明者(山中総務課長)】文部科学省大臣官房総務課長の山中でございます。よろしくお願い申し上げます。 【塩野座長】あとはペーパーでいただいておりますので、ペーパーに書かれている事項についても質問があるかもしれません。 【説明者(山中総務課長)】総論的にはそういうところで、まずは、私どもは不作為のものは、不作為に対するいろいろ訴訟がございますけれども、いろいろ行政行為を行うというまでの手続の透明性、それへの情報の提供、そういうところを果たしてきているというものがあるものですから、それをやる前に何らかのことをやるという訴訟はどうかなという気がしているという感じでございます。 【塩野座長】どうもありがとうございました。それでは、どうぞどなたからでも結構でございます。それでは、今の点で、まさに義務付け訴訟のところで、ちょっと意味がわからなかったところがありますので、教えていただきたいのですが、これは5ページのところですが、少なくとも申請に対する処分等行政庁が何らかの処分を行うことが予定されているもの、つまり申請に対して応答処分が予定されているという、そういうケースですね。ところが、そういった申請権のない者が何か求めてきたわけですね。どういう場合を想定しておられますでしょうか。 【説明者(山中総務課長)】それは、想定しているといいますか、どの範囲のものにそういうことを行う、原告適格の方の問題になるかもしれませんけれども、そういうものを認めるかという。 【塩野座長】我々が議論しているのは、請求権がなければどうしようもないのですけれども、具体的にどういう場合に本来の申請拒否処分を予定している場合に、それ以外のものが、当該申請拒否処分について、何か、せよということを求めることがあるのかという、文科省の例で教えていただければ参考になりますが。今のお話は、要するにちゃんと行政手続はできているのだから、そちらの線に沿って行政がきちんとやっているときに、その手続を踏まないで第三者がぽんと来て、それで裁判所で突然作為命令を出しても困る。それはそれとして抽象的にはわかるのですけれども、具体的にどういうことが考えられているのか。私どもの方が、ここで議論の対象としておりましたのは、おおよそ申請権を持たない場合です。例えば、除却命令をなかなか行使してくれないので、除却命令の申請権などはないというふうに一応理解しておりますが、違法建築物についてですね。そのときに除却命令を第三者が求めると。つまり、もともと申請権のない処分類型について、ということで議論をしているところでございます。それからもう一つ義務付けは、手続を取ったのだけれどもゼロ回答だったとか、非常に不満な回答であったと、もう裁判に熟しているから義務付け判決をもらいたいという、そういった2つの種類を想定しているのですが、ここはどういうことを具体的に。 【説明者(山中総務課長)】ちょっと抽象的に、私どもはどこら辺まで広がるかというところで、そこの危惧されるという点で。 【塩野座長】面白い発想なものですから、具体的な例を教えていただきたいと思いますが。どうぞ他に、水野委員何かありますか。 【水野委員】文科省さんの御回答は、大体現状でいいのではないかという基本的なスタンスだと思います。 【説明者(山中総務課長)】変えなければならない部分はあると思うのですけれども。 【水野委員】それは立場上、そういう御意見ならば、それはそれでいいのですけれども、我々の方は、今、審議会の意見書を踏まえて、行政訴訟が十分機能していないという御指摘の中で改革すべき点があるということでやってきているのです。今回、一応改革のいろんなテーマを出している。これを見られて、文科省さんとして、担当者として、これはもう困ると、具体的に文科省の行政の中で、これをこういうふうに変えられたら、ここは困ってしまうと思われた点はありますでしょうか。 【説明者(山中総務課長)】いろいろ書いてあって、慎重、検討が多くて大変恐縮なんですけれども、基本的に私が見ておりまして、やはり司法と行政と申しますか、まずは行政の方が法律に則ってやっていくという場合に、不作為や何かもございますけれども、そこはそこで要件があるのですけれども、そこに至る前の段階で、何らかの法律上の利益ということで、行政行為をやる前に一時的に司法の方に具体的な法律上の利益というか、そういうことが発生する前に司法の方に救済を求めていくということはどうなのかなという考えが1つございます。それが先に申し上げましたような義務付け訴訟ですとか、取消訴訟の成熟度の度合があると思いますけれども、その前の段階で、具体的な行政行為というものが具体的に行われる前の段階で、それについての取消訴訟を行うですとか、あるいは裁判所自体が是正措置というものを行政庁に考えさせるというよりも、裁判所自体が一定の行政行為というものを行政庁に対して命ずるといった、その辺りのところが、やはり司法裁判所制度でございますので、そういう中で行政庁との司法との区分けといいますか、そういう点で別に行政庁がいいということではなくて、制度としてどうなのだろうかという考え方でございます。 【塩野座長】我々はその点は十分意識しながら議論をしているつもりでございますので。 【説明者(山中総務課長)】その点について、具体的にいろんな行政事件の中で、今までも裁判所も苦労しながらある一定の結論を出してきたと思われるものですから、具体的に言えと言われたのですが、それは今までの具体的な判決の積み重ねと申しますか、そういう中で積み重ねられてきた裁判所の判断というものも重視していただくとありがたいという感じでございます。 【水野委員】要するに、行政庁として、担当者としてこれを読まれたわけでしょう、そうすると、こんなことに変えられると、たちまちうちの行政のあの部分が停滞して困るとか、何かそのような印象を持たれた箇所は特にございませんか、具体的に。 【説明者(山中総務課長)】どんどん訴訟が起こされることによって、行政ができなくなるという、ちょっとチェックしてみますが、先ほどございましたけれども、今まで行政訴訟がどういう分野で起こされたかというふうなところもチェックしてみまして、我が省の中でもどういうところが処分性のあるというか、こういうふうなものに一番多そうなものを幾つかピックアップして、また、こういう点が困るという形で具体的にお出しできれば思います。 【塩野座長】それから文化庁におられたということで、先ほどは天然記念物の話でしたが、当時は文部省ですが、文部省の文化庁自体のお話ではなかったんですけれども、例の伊場遺跡の話がございましたね、ああいった文化財についての利害関係人として研究者がいるというときに、その文化財の保護が廃止されようとしているときに、そういった研究者について原告適格を認めるべきだというような議論がいろいろあるのですが、文科省としては、そういった文化財保護について仮に団体訴訟を認めるとしたときの準備みたいなものはしておられますか。別の省庁では、多少団体訴訟についての準備もしておられるようなのですけれども。 【説明者(山中総務課長)】まだしていないのではないかと思います。 【塩野座長】そうですか、では我々としては、そういう点に関心がありますので、ひとつよろしくお願いいたします。 【説明者(山中総務課長)】かしこまりました。 【塩野座長】それから、先ほど来の御意見、それは1つの御意見としては承りましたが、我々としては、日本の権力分立、つまり司法と行政の在り方も考えながら、かつ判例等を見ながら勿論議論しているつもりでございますが、ちょっと外国と比較した場合に、日本の判例、あるいは日本の制度全体が少し縮こまっているという問題意識も別にありますので、外国はこうだからどうだということではありませんけれども、なぜ日本の権力分立は、あるいは司法と行政はどうしてこんなに固いのかなという疑問が底辺にあっての議論だということも御承知いただきたいと思います。 (休 憩) 【会計検査院】 【塩野座長】それでは、次に進めさせていただきます。これから会計検査院からのヒアリングを行いたいと思います。御説明は、太田雅都事務総長官房法規課長でございます。それから、遠藤隆志総長官房総務課渉外広報室長でございます。どうぞ、適宜どちらかでも結構でございますから、御説明いただきたいと思います。 【説明者(太田法規課長)】では、私の方から御説明させていただきたいと思います。お手元に検討事項に関する意見等ということでペーパーをお出しておりますが、Aにございますように、こういう納税者訴訟制度については、どういった影響があるかについてはまだ不明ということで、今回はBの点につきまして、訴訟制度に関する感想ということでお話をさせていただきたいと思います。 【塩野座長】どうもありがとうございました。どうぞ、委員の方から御質問をいただきたいと思います。 【説明者(遠藤広報室長)】お話の外部情報につきましては、窓口になっておりますのが渉外広報室でございますので、私の方から説明させていただきます。そういった外部の方からの情報提供というのが年間で約六百数十件ほどございますが、これにつきましては、内部におきまして外部情報の取扱要領というものを内規で定めておりまして、それに従いまして処理しております。大まかに申し上げますと、会計検査院の職責といいますか、権限というものをよく国民の方は御理解いただいていないところもあるのかもしれませんが、国費の関与がありませんと、会計検査院は検査ができません。その辺が御理解がなくて、検査院ができないというものがその中に相当、約二割程度はそういったものがございます。これは、大きくⅠ類、Ⅱ類というふうにして分けるのですけれども、Ⅱ類というのが大体二割ほどでございます、残りの八割ぐらいは、何らかの具体的な情報があるということですけれども、それを更にA、Bと分けまして、具体性がある、それから比較的事象が古いものですと、なかなか書類も残っておりませんので非常に難しいので、そういったところで、またA、Bという色分けをするわけですけれども、Ⅰ類につきましては、すべて担当検査課に送付いたしまして、そこにおきまして取り扱いと言いますか、活用方針というものを立てまして、これは全部局長決裁を得るというふうにしております。 【塩野座長】今の内部要領でしたか、それはホームページか何かに掲載されていますか。 【説明者(遠藤広報室長)】いえ、内部要領ですので、特にそういった形で公開はしておりません。事務取り扱い要領ですので、しておりません。ただ、これまでも情報公開の開示請求がございましたので、これにつきましては全面的に開示はしております。 【塩野座長】その制度化がどの程度可能かどうかはわかりませんけれども、独禁法の45条に、最高裁は不問処分だというふうに言っておりましたけれども、処分ではないということでしたけれども、こういった国民から何か情報を得たい人ならばどうぞというような形での制度化については会計検査院ではどうですか。 【説明者(遠藤広報室長)】独禁法のように、そういったものを受け付けて、その結果について通知するといった義務規定があると承知しておりますけれども、今のところ検査院におきましては、お手元にも配布しておりますパンフレットの中で、若干そういった貴重な情報になっておりますという記述はしておりますけれども、それを積極的にというところまでは今は至っておりません。もし、これを更に積極的に受け付けるという形をしてまいりますと、件数は当然増えてくると思うのですが、今の割合と言いますか、具体性のある非常に貴重な情報というものと、新聞情報とかに触発されたいろんな御意見的なものが増えてしまうという、それに従って検査課もいろいろマンパワーが取られる。先ほど言いました、Ⅰ類にしたものにつきましては、すべて検査課が何らかの形で対応するようにしておりますので、それに必要となるマンパワー、それを選別するための質的評価をするために、予備的調査とか、そういった制度的な受皿をもう少し整備するというのが将来的に検討すべきであるということはあるかと思います。今のところはまだそこまで至っていないというところであります。 【水野委員】マンパワーの点とか、そういうのはよく理解できるのですけれども、さっき冒頭でおっしゃった国民一人一人が検査の請求をするというのはおかしいと、国会を通じてとか、そういう趣旨のことをおっしゃったんですね。 【説明者(太田法規課長)】おかしいというふうには。 【水野委員】おかしいというとちょっと語弊がありますけれども、ただ現在の会計検査院法の35条には利害関係人からの審査の要求があったときには、これは審査しなければならない、そしてその結果を報告するという規定があります。利害関係人という縛りが当然あるわけですけれども、しかし、国の税金がいろんなところで無駄に使われているという事態があったとしますと、広く言えば、国民すべてが利害関係人だとも言えなくはないわけで、そういう意味からしますと、会計検査院法にも現在そういう規定があるわけですから、いわゆる国民からの審査というふうな制度を設けること自体は特に憲法上問題になるとか、国会との関係で問題になるということはないのではないかと思うんですけれども、いかがですか。 【説明者(太田法規課長)】35条の審査制度そのものは、いわゆる戦後GHQが強力に規定しなさいということで、アメリカの会計検査院のGAOの規定をそのまま持ってきたというふうに言われているんですが、実は、今はGAO自身は審査制度を持っていないのです。その中で制度があるわけですけれども、その後、行政不服審査法とか、あるいはアメリカでGAOが従来取り扱っていたようなもの、例えば中身としては公務員が給与が低いので、それを何とかしてくれとか、それから軍人さんの給与を何とかしてくれとか、あるいは国と契約を行った会社の従業員が最低賃金を守っていないので、それを払うようにしてくれとか、そういった請求が大体6,000件ぐらいアメリカであると言われているのですが、そのほとんどがそういったものなんです。それは、日本で言えば、行政不服審査とか、あるいは人事院とか、あるいは厚労省、そういったところが担っている制度になっておりまして、審査制度自身は、利害関係人の要件が厳しいからということではなくて、むしろ他の制度で救済の道が開かれているということで、こちらの方に請求がないというふうに考えていただいた方がいいのではないかと思います。 【塩野座長】実例がないのですか。 【説明者(太田法規課長)】実例はございます。 【塩野座長】どういうものがあるのですか、何件ぐらいありますか。もしあれでしたら、時間の関係もありますので、後日に。 【説明者(太田法規課長)】今まで要求があった件数というのは70件ほどあります。そのうち是正を要するとしたものが3件、それから要しないとしたものが17件、これは資料が古いとか、そういったことがありまして、なかなか判定し難いとしたものが1件、残りは大体、例えば会計経理に当たらないとか、それから利害関係人にならないとかということで却下等のものが49件ぐらいになっております。 【塩野座長】利害関係というのは、具体的に一番多いのはどういう類ですか。 【説明者(太田法規課長)】会計経理の取扱で落ちるのが多いかと思います。皆さん請求される方は、利害があるから請求されるわけで。 【塩野座長】利害があるというのは、どういう類の方ですか。 【説明者(太田法規課長)】最近の事例でいきますと、例えば補助金の交付決定を受けて道路を造るのですけれども、その道路が自分の家にかかると、そういうものを何とかしてくれということなのですが、実は交付決定自身は行政行為でして、行政行為に伴って会計経理が続くということでありまして、行政行為を是正しない限りは、そこも変わらないということで、いわゆる行政行為が争われても検査院としては答えようがないということで却下になるというようなことがあります。 【塩野座長】却下のお話ばかりされているのですが、入れた話をお願いします。 【随行者(山口官房法規課総括副長)】最近の例でございますけれども、ある私人の方が、国のある施設が私の土地まで入り込んで占拠をしているというような事例が幾つか寄せられまして、それは本来私の土地なんだから返していただけないかというようなものが、現在、複数件寄せられております。これはおそらく利害関係人ではないかと考えているものでございます。 【随行者(太田法規課長)】つまり国有財産の管理という会計経理行為で、いわゆる私人の土地が国に占拠されているということでは利害関係人かなと。会計経理にも当たるのかなと。結構、さっきもお話ししましたように、行政行為を争って来られる方が多くて、そこはなかなか検査院としてはお答えできない、いわゆる要件に当たらないというのが多いかと思います。 【芝池委員】省の名前を挙げるのを差し控えますけれども、ときどき金の使い方がおかしいというふうなことが社会問題になりますけれども、そういう場合は、そういう社会問題になったからというので、それだけの理由で調査をされるということはないのでしょうか。 【説明者(太田法規課長)】それは例えば外務省の問題とか、当然マスコミ等で話題になり、かつ国会でいろいろ問題になったものについては、検査院の判断としてやるべきだということで実際にもやっておりますし、マスコミ情報というのは非常に貴重な情報でありまして、それらも加味しながら検査テーマを毎年考えていくということにしております。 【塩野座長】それでは最後になりますけれども、先ほどちょっと言葉尻をとらえるようで申し訳ありませんけれども、違法性だけの問題であれば、会計検査院を通さないで裁判所にさっさと持っていってくれればいいではないかと言われたわけですけれども、それは会計検査院としては、そういう制度が望ましいというふうにお考えなんですか、要するに会計検査院が迷惑がかからなければ、それはどうでもいいというお話なんでしょうか。 【説明者(太田法規課長)】今の公表されている法案では、検査院に配慮されているということなんですが、ただ、違法性だけであれば、いわゆる住民訴訟制度から言えば、いわゆる検査機関、監査機関については、不当性を判断させるために前置しているというふうな、それがその制度の趣旨だということであれば、他の人にやってくれということではありませんが、検査院が違法性だけやるということはどうなのかなということで申し上げたということです。 【塩野座長】もう少し考えてみてください。どうもありがとうございました。よろしゅうございますか。どうも今日は御苦労様でした。 【公正取引委員会】 【塩野座長】それでは次に、公正取引委員会からのヒアリングを行いたいと思います。御説明は徳力徹也官房総務課審決訟務室長です。よろしくお願いいたします。 【説明者(徳力審決訟務室長)】審決訟務室長の徳力と申します。座ったままで失礼いたします。本日は、行政訴訟制度の見直しに関連しまして、公正取引委員会の業務にどういう影響を与えるのかを御説明する場と理解しております。まず、公正取引委員会が行う行政処分につきまして、簡単に御説明させていただきます。公正取引委員会の処分を審決と申すのですが、その審決取消訴訟につきましては、独禁法上特則が定められております。したがいまして、その特則がある部分につきましては、行政訴訟制度の見直しが直接的に公正取引委員会の業務に何か影響を与えるということは少ないのではないかとは思いますけれども、本日は、まずそのような特則的な扱いにどのようなものがあるのかという点を御説明させていただこうと思っております。また、特則がない部分につきましては、行政事件訴訟法が一般に適用されることになりますので、その部分に関しましては、今回の見直しが私たちの業務に影響を与えるという可能性がございますので、簡単に御報告をさせていただきたいというふうに思っております。 【塩野座長】どうもありがとうございました。それでは、どうぞ委員の方から御質問をお願いいたしましょう。今の御説明の確認ですが、特則が既にあるものはいじらないだろうという前提で、それはそれでいじらなければそれで結構だというお話。 【説明者(徳力審決訟務室長)】今の独禁法の体系というのは、審判制度をまず根本に据えて、それを前提とした上で制度設計がなされておりますので、その審判制度との関係で、先ほど申し上げた実質的証拠法則の適用がどうなるかとか、そういう審判との関係で問題が出てくるだろうというのが主たる問題だろうと思います。 【塩野座長】どうぞ何かあれば御質問いただきたいと思いますが。 【水野委員】今、いろいろ御説明があった特則があるわけですけれども、これは今回行政事件訴訟法の改正という議論をしているわけですけれども、今回の改正に関わりなく、やはり全部について特則は維持する必要があるのか、それとも行政事件訴訟法が変われば、場合によっては、この特則も一部変えると言いますか、原則に戻していいというふうな部分があるのか、どうなんでしょうか。 【説明者(徳力審決訟務室長)】特則が変わらないという前提で内部では議論しておったものですから、その部分について詰めた議論というのは申し上げていないのです。公正取引委員会のような行政委員会という特殊性を前提とした制度かとは思いますので、おおよそ変えられないということはないですけれども、そういう行政審判制度に関してどういう訴訟の仕組みをつくるのかというのは、かなり大きな話になるのではないかなとは思いますので、仮にそういう話になるとすれば、それは十分検討させていただかないといけないなと思っております。 【水野委員】例えば、東京高裁の専属管轄とか、出訴期間なんかも決められておるわけですけれども、これなども変えるというふうなことは全然お考えにならないのですか。 【説明者(徳力審決訟務室長)】今のところ具体的に検討しているというのはないですけれども、ただ理屈の上でおよそ考えられないかということはないかとは思います。ただ、東京高裁に専属管轄になっているというのは、先ほど申し上げた審判が前提になっているということが1点と、独禁法に関する事件をできるだけ1か所に集中して専門的に処理した方が効率的ではないかという立法時の考え方があったようですので、そういったものについて、今、現状が変わったのかどうかとか、その辺も少し考えなければいけないかなと思っております。 【塩野座長】私から1つですが、義務付け訴訟で、例の45条ですが、あれは要するに行政訴訟をどう変えようと、実体法上の請求権を与えていないというのであれば、関係ないようにも思いますが。 【説明者(徳力審決訟務室長)】そこは誰に請求訴訟提起を認めるかという話になってくると思うのですけれども、仮に実体法上の請求権がない者には、およそそういう義務付け訴訟の提起の余地がないということであれば、全くこれまでの業務と変わることはないと思います。確かに極端なケースかもしれませんけれども、非常に広めて義務付け訴訟を何か行政に対して申請をしたものに対して認めるということであれば、こういう申告のようなものも含まれるというようなことであれば、若干問題が生ずるということでございます。 【塩野座長】わかりました。要するに、予防線をできるだけ広くきちん張っておきたいと、そういうお気持ちの表われというふうに理解をしましたが、よろしいですか。 【説明者(徳力審決訟務室長)】今後また具体的な検討があるかと思います。 【塩野座長】他に義務付け訴訟はないですかね。ちょっと余りわかり過ぎている例を出されたので、ちょっと我々も考えなければいかんというのがあれば、考えますけれども。もしあったら後で。 【説明者(徳力審決訟務室長)】また御報告するように致します。 【小早川委員】請求権がなければ義務付け訴訟はないだろうというのは、そのとおりなのですが、むしろ問題は、47年最高裁判決の、非常に関係者からは関心の持たれる不問決定なり何なり、それを取消訴訟というかどうかはともかくとして訴訟の対象にすべきではないかという、そういう点についてはどうですか、それはやはりどうしても困るということですか。 【説明者(徳力審決訟務室長)】仮に義務付け訴訟ということで、先ほど申し上げたのは、非常に広げた場合です。公正取引委員会に対して談合を調査しろと、調査するよう義務付けを求めるという訴訟を提起したと。ところが、談合の審査というのは、非常に内々でやっておるわけですので、そういう訴訟がぼんと出てきてしまうと、せっかく内偵していても、それですべておじゃんになってしまうということになりますので、そういう調査の密行性というものを考えると、申告者が、一定期間置いてということだと思いますが、申告者が訴訟を提起するというのは、ちょっと業務に支障を生ずる可能性があるというふうに考えます。 【小早川委員】それは、不問決定がされて、申告者に通知がされたものに対して、取消訴訟を起こされるのはまずいと。 【説明者(徳力審決訟務室長)】不問決定がなされたというのも、その時点において、とりあえず違法性の可能性が低いということですので、当該事件について引き続いて監視をしていくとか、注意していくというのは、そういうケースはたくさんございます。申告があって、その時点では黒だとまでは言えないので、とりあえずは取り上げないことになったけれども、いろんな情報を集めているというケースというのはございますので、その段階で、例えば訴訟が提起されるということだと、もしかするとその後支障が生ずる可能性があるというふうに考えます。 【小早川委員】いろいろ手の内が。 【説明者(徳力審決訟務室長)】ええ、関心を持っているんだなと、公正取引委員会がこれを調査するかもしれないぞというのが明らかになってしまうという可能性がございます。 【市村委員】私は記録の関係でちょっとお伺いしたいのですけれども、公開等の書面の中で、独占禁止法の78条で、現行法でも公正取引委員会の審決取消訴訟が提起された場合には、当該事件の記録が送付されてくるということになっているという前提の中で審判をされているのだろうと思いますが、そういうふうに記録が後日裁判所に送付されるという前提があるということによって、審判そのものの審理が窮屈になっているとか、本来ならもっとここまで率直に出せるというもの、それが出されていないとか、そういうふうなお感じというのをお持ちになられることはないのかと、そこはどうでしょうか。 【説明者(徳力審決訟務室長)】率直に申し上げて理屈の上ではあり得るような気がしますけれども、実態として、だから審判の場で主張ができないとか、そういうことは余りないのではないかと思います。将来的に訴訟が裁判所に行ってしまうかもしれない、だから審判廷にはできるだけ証拠を出さないようにしようというようなインセンティブが働いているという感じは持っておりません。 【芝池委員】送付された記録の範囲というのは、どの程度なのでしょうか。 【説明者(徳力審決訟務室長)】審判を行いますけれども、その審判廷に出てきた記録一切というふうになっています。条文上、一切のものというふうに書いてございまして、私どもの方で何か選んでということはできないような形になっていますので、審判記録として審判廷に持ち出された記録はすべて裁判所に行く仕組みになっております。 【塩野座長】確認ですが、例外はないのですね。書類全部出してしまうと。 【説明者(徳力審決訟務室長)】はい、何かマスキングするとか、これは例えば事業者の秘密に関わるものだから出せないとか、そういうものはございません。条文上、一切のものを出すというふうに規定されております。 【塩野座長】よろしゅうございますか、それではどうもありがとうございました。また、後日、別の質問があればそれに答えてください。どうもありがとうございました。 【財務省】 【塩野座長】それでは、次に財務省からのヒアリングを行いたいと思います。御説明は、河野一郎大臣官房文書課業務企画室長です。よろしくお願いいたします。 【説明者(河野業務企画室長)】文書課業務企画室長の河野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、説明させていただきます。最初に財務省でございますが、所掌事務につきましては、もう御案内かと思いますけれども、主計局が国の予算、決算関係、主税局は国税制度関係、関税局では関税関係、理財局は国庫関係、財政投融資、国有財産、たばこ事業等、国際局におきまして、外国為替国際通貨制度、国際経済協力開発、海外投融資などを所掌しております。また、地方支分支局としまして、財務局、税関がございまして、あと外局としまして内国税の賦課徴収等を所掌しております国税庁があるところでございます。 【塩野座長】どうもありがとうございました。それでは、財務省、幅広いので大変かと思いますが、もし補充的な説明が必要であれば、後ろの方どうぞ、説明者の許可を得て発言していただいて結構ですので、肩越しにやらないでください、一応整理をしてください。 【福井(良)委員】4ページの「出訴期間等の教示」のところですけれども、必ず所定の時期までに裁決が行われるということを前提に書いておられると理解してよろしいですか。要するに、裁決が何らかの都合で延びて出ないとか、そういう場合はないという前提ですか。 【説明者(河野業務企画室長)】所定の時期までに裁決が行われないということはございます。 【福井(良)委員】最初の処分のときに不服申立ての教示をするわけですね。裁決のときに訴訟の教示をするという御意見ですね。 【随行者(久米国税庁国税不服審判所審判官)】国税不服審判所の久米でございます。ただいまの質問でございますけれども、当然裁決が出ないという場合がございますので、その折には例えば審査請求がなされてから3か月経過したときに教示するとか、そこの部分についてはまた新たに、裁決のとき以外に教示しなければいけない場合が生ずると考えられます。 【水野委員】7ページの義務付け訴訟と、8ページの差止めを求める訴え、これはいずれも同じようなことが書いてあるのですが、つまり減額更正を求める義務付け訴訟を提起した場合に、調査ができなくなって問題がある。滞納処分の差止めを求める訴訟もそうだという御趣旨ですね。だけど、これは減額更正を求める訴訟ではなくて、今のように更正の請求の取消訴訟をした、それから滞納処分の取消訴訟をした、という場合でどう違いますか。 【随行者(上斗米国税庁課税部審理室長)】国税庁課税部の審理室長でございますけれども、今、減額更正につきまして申し上げますと、ここで書いてあるケースは、減額更正の請求をしないまま、いきなり義務付け訴訟という形で行われるということです。 【水野委員】更正の請求をしない場合ですね。 【随行者(上斗米国税庁課税部審理室長)】まずそれがあった上で、我々の方は調査・審理を行いますので、このプロセスを経ることなく、いきなり訴訟というプロセスに入りますと、我々としては減額更正を求める内容が適正なものかどうか判断する機会も与えられないということになりかねませんので、それが問題であるということを申し上げているわけでございます。 【水野委員】後の滞納処分の場合は。 【随行者(深井国税庁徴収部課長補佐)】国税庁徴収部の深井でございます。差押えの取消訴訟と滞納処分の差止訴訟がどう違うかというお話なのですが、差押えの取消訴訟ですと、既に差押えがされているわけです。これは取消判決があって初めて差押えの効力がなくなるのですが、差押えがされる前に差止訴訟がされると、それ以後、実際差止訴訟がされている間に差押えをすると、これはいかにもおかしいじゃないかという批判を浴びますので、どうしても滞納処分を差し控えざるを得なくなります。そうすると、時効との関係も考えなければいけないのでしょうけれども、どんどん時効が進んで、だんだん長引くと、徴収権の消滅時効が完成してしまって、国庫に入るべき税金が入ってこないということにもなりかねないということを心配しております。 【水野委員】前の議論は、更正の請求の制度を残すという前提であれば問題ないという趣旨ですね。 【随行者(上斗米国税庁課税部審理室長)】更正の請求をしていただきまして、請求のあった内容につきまして十分な調査をした上で、それが適正かどうかというのが確保されれば、その段階において訴訟をしていただくのは、全く我々として問題は生じませんが。 【水野委員】だから、更正の請求を経た上で義務付け訴訟をやることについては何の問題もないと。 【随行者(上斗米国税庁課税部審理室長)】現在の制度におきましては、前置主義がございますけれども、いずれはそういうことになりますので、我々としては申告納税制度の下で十分な資料情報というのをこちらの方に得られている状態が確保されれば、ここで申し上げているような問題というのは生じないと考えております。 【水野委員】不服審査を経ないで、いきなり減額更正を求める義務付け訴訟とか、あるいは税金返せという裁判をやられたら、調査の期間がないので困るという御趣旨ですね。 【塩野座長】一般理論としてあれですか、訴訟が動くと調査権限はその間停止するという理解でよろしいですか。 【随行者(上斗米国税庁課税部審理室長)】法律上停止するというところまでは明確になっておりませんが、現実問題といたしまして、既に訴訟のプロセスに入っている中におきまして、質問検査権を行使して、その方々、あるいはその周辺の方々に対して調査を行うというのは、執行上極めて容易ではないというのが実態であると我々は認識しております。 【塩野座長】そうですか。私はかねてから調査権限は常に残ると。調査権限を行使しないのは職務怠慢だと思っています。 【水野委員】それは一言申し上げます。訴訟が起きてからでも、調査権は出てきます。 【塩野座長】少なくとも学説上の議論としては、通用しないと。 【水野委員】だから、訴訟提起後何年も経った平成15年7月何日付けの供述書とか、そんなのいっぱい出てくるじゃないですか。 【塩野座長】ということもありますので、その前に申し訳ありませんが、5ページのところで、これは各省からのいろいろな御説明もあるのですけれども、情報公開とか、もう一つ個人情報保護法が今度は施行されることになりますと、そちらの方の面から個人情報がごっそり出てきますね。まだ余り出したくないようなものでも請求の対象になりますが、そちらの方との関係はどうお考えになっているのでしょうか、特に税務訴訟。まだ、余りお考えになっていませんか。 【説明者(河野業務企画室長)】そういった情報公開ですとか、個人情報保護の方で請求してもらって、そこで役立ててもらう分にはいいのではないかと思っております。 【塩野座長】そちらで嫌なものも出てきますよ。 【説明者(河野業務企画室長)】それは、情報公開の制度で出すことになっておりますので、その制度に乗って請求してもらえれば、その制度に従って資料を出すという形になります。 【塩野座長】それはおおらかな御返事で、大変結構だと思います。それでよろしいですか。 【説明者(河野業務企画室長)】ただ、個人情報保護法については、これからまだ政令等を定めることになっていますので、そこを見て検討する必要があるかと思います。 【塩野座長】ちょっと気になるところですので、そこはよろしくお願いいたしたいと思います。はい、どうぞ。 【小早川委員】6ページの内閣総理大臣の異議の制度がなくなると、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれのある執行停止はできないことを実効的に担保する制度がなくなってしまうとお書きいただいておりますが、これは公共の福祉要件を残して裁判所に判断させるのでは、やはりまずいというお考えか、そしてまたそういうことが財務省の所管の行政の中で、具体的に何かおありなのか。 【説明者(河野業務企画室長)】懸念しておりますのは、ここに書いてありますように、経済制裁国への海外送金停止といったことを、国際的に協調するということでやっている場合に、裁判所の方でこの送金についてはやっていいよということが認められますと、国際的に問題になりますので、そういった場合に行政府の長たる内閣総理大臣が、そういったことを止めるような方策が必要ではないのではないかと、あるいはそういうのをやめるのであれば、行政府としてそういったことを止めることができなくなってしまうのではないかという懸念を持っているということでございます。 【小早川委員】勇敢な裁判所が勝手なことをやられては困ると。 【説明者(河野業務企画室長)】こういった制度が最近使われてないというのはよく承知しておりますけれども、ただそういう危機的な事態に対処するときに、全く制度としてなくしてしまっていいのかどうかということでございます。 【塩野座長】外国にはこういう制度はないので、にもかかわらず国際関係は動いていますから、日本だけどうしてこういうのが必要かという点はどうお考えですか。 【説明者(河野業務企画室長)】海外についてはよく承知しておりませんが、要はその後立法府に対する報告を行うこととなっておりますので、三権分立の中でどう考えるかという問題ではないかというふうに思っております。 【塩野座長】私の質問の性質がよくないのかもしれませんけれども、外国は何も内閣総理大臣とかが出てこなくても、別にいろいろやっているものですから、その点もちょっとお考えいただきたいと思います。それから今の6ページのところで、もう一つ、仮の救済の方で、処分ごとに検討するべきであるというのは、処分ごとにそれぞれ仮の救済制度を置けというお考えなのですか。 【説明者(河野業務企画室長)】ここの影響のところで申し上げましたような形のものについて、いきなりこれを認めるということになりますと不都合がございますので、そういった事案ごとに検討するべきもので、一律に仮の救済制度をどうするかということを決めるというのは問題ではないかということです。 【塩野座長】個別法で書けという御主張ですか。 【説明者(河野業務企画室長)】個別法というよりも、むしろ事案ごとに考えるということです。 【塩野座長】事案ごとに対応できるような制度を仕組んでほしいと。 【説明者(河野業務企画室長)】はい、そういうことでございます。 【塩野座長】わかりました。 【水野委員】11ページですが、取消訴訟の排他性と出訴期間の制限を廃止すると行政の円滑な遂行が困難になる、行政行為の相手方始め、関係者の立場を著しく不安定なものになるとおっしゃっているのですが、ここは具体的にどんなことが出てきますでしょうか。 【説明者(河野業務企画室長)】これはここで書いておりますように、義務付け訴訟のところで提起したような影響ですとか、あるいは出訴期間のところに挙げた問題をまとめて書いているという趣旨でございまして、それ以上のものを書いているということではありません。 【水野委員】ですから、行政が困るとおっしゃっているわけですね、円滑・効率的な遂行が困ると。それから、いろいろ不安定になると。財務省の関係で、例えば具体的にこんなケースで困るということを教えていただきたいと思います。 【説明者(河野業務企画室長)】それは14ページの「出訴期間の延長」で書いていますように、免許について新たなものを与えるときに躊躇するといった問題ですとか、そういう形で行政の円滑的な運営に支障が出るということです。 【水野委員】もう一つ、重ねてお尋ねしますと、14ページは、今は3か月ですから、3か月内に裁判を起こしたとしますね。裁判を起こした場合には、新たな免許は付けないのですか。 【説明者(河野業務企画室長)】事例によりますけれども、普通はしないことになるのではないかと思います。新たな免許をその時点で付けますと、不法な状態になる可能性がございますので、そういった訴訟が出ると、そこは新たな免許は出さないということです。 【水野委員】そうすると、訴訟を起こされた場合には、もうまさにおっしゃるとおり、そういう不安定だと。 【説明者(河野業務企画室長)】訴訟が起こされるとそうですけれども、訴訟が起こされなくても、出るかもしれないということで新たな免許を出すことについてちょっと躊躇をしてしまうということです。 【水野委員】だとすると、訴訟が起こればもう出さないのですね。本当にそうですか。訴訟が起きれば3年や5年はかかりますよ。その間出しませんかね。 【随行者(能勢理財局総務課課長補佐)】理財局の能勢と申します。たばこの免許の関係で、今、御質問がございましたので、代わりましてお答えさせていただきます。たばこの免許について通常訴訟を起こされますのは、不許可の方でございまして、そういった方は裁判等を起こされますと、当然そこはたばこの免許というのは既存のたばこ屋さんからのある一定の距離を持ちまして、町場と田舎では若干違うんですが、その距離基準を満たしておれば免許をあげましょうということになっております。したがいまして、訴訟を起こされますのは、たばこの免許を不許可になった方が起こされるわけですから、当然そういった方は裁判を起こされましても、既存店から不許可になられた方というのは距離基準を満たしておらないところにたばこ屋さんをやりたいという御申請があるわけですから、したがいまして通常でしたら。 【水野委員】あなたが出している例を尋ねているわけです。許可の取消処分を受けたと、そうすると例えばその隣で許可申請した人があると、それは距離制限にかかるから新たな処分はできないということでしょう。 【随行者(能勢理財局総務課課長補佐)】微妙なところがございまして、距離基準に引っかからないと。 【水野委員】この人はだめだと、取消理由があるので取消処分を受けたと。 【随行者(能勢理財局総務課課長補佐)】取消しというよりも、免許の不許可処分を。 【水野委員】取消処分と書いてあるじゃないですか。 【随行者(能勢理財局総務課課長補佐)】はい。 【水野委員】Aという業者が取消処分を受けたと、そうすると取消しですから、隣のBという人が申請してきたと。ところが、Aが訴訟を起こすかもわからないから、3か月間はBに許可できないよという御趣旨でおっしゃっているわけですね。ところが、Aが3か月以内に訴訟を起こしたら、訴訟が3年、5年かかるじゃないですか。その間はBには絶対許可を下ろさないんですかということです。 【随行者(能勢理財局総務課課長補佐)】そういうことはないと思います。 【水野委員】そうでしょう。それは一緒じゃないですかということです。だから、そういう意味では説得力ないじゃないですかということを申し上げているのです。まあいいです。だから、11ページの行政の円滑・効率的な遂行が困難になるとか、行政行為の相手方をはじめ、関係者の立場を著しく不安定なものとするおそれがあるということについては、具体的にどういうふうに困るというのが、もう一つ行政官庁からのヒアリングであまり出てこないのですね。 【説明者(河野業務企画室長)】そこはちょっと。 【水野委員】例えば、1年とかどうですか。 【説明者(河野業務企画室長)】そこはいろいろ議論があったところですが、期間は連続的なものですから、ここまでならいい、ここまでなら悪いと期間を区切って答えるのは、なかなか難しゅうございます。 【水野委員】大幅なということをあなたの方で書いておられるから、大幅なというのはどれぐらいのことをイメージしているのか。 【説明者(河野業務企画室長)】部内の議論では、1年についてどうしても困るという特段の異論は出ておりませんでした。 【水野委員】わかりました。 【塩野座長】今の関係であれですけれども、事務処理との関係で出訴期間内である場合と、それから出訴期間が終わったということになると、書類の管理や何かは変わってくるのですか。そこはどういうふうになっているんですか。 【説明者(河野業務企画室長)】法律で決まっておりますものは、その期間保存することになります。また、情報公開法の関係で、この書類につきましては何年間保存するという規定がございますので、それに従って処理をしているということでございます。出訴期間が変わってきますと、そこの辺りをどうするかというのはまた考えなくてはいけなことが出てくるかもしれませんけれども、現在は情報公開法の関係でそれぞれの書類の保存年限を決めているということです。 【塩野座長】国税局の関係では、常に大量処分性と専門性が問題になるのですが、それとの関係で出訴期間について、国税はこういう事情があるというようなお話は内部でしておられますか。 【随行者(上斗米国税庁課税部審理室長)】国税について若干申し上げますと、一部研究会の議論におきまして、除斥期間との関係で考えたらどうかという議論があったというふうに承っております。ただ、若干出訴期間と除斥期間は異なりますのは、出訴期間の始まるところは、通常であれば課税処分後に異議申立てを行い、不服審判所の裁決が出た後の3か月ということでございます。一方、除斥期間というのは申告が行われてから3年とか7年とか決まっているわけでございますので、ちょっと土俵が違うということはございます。そこはそういった2つの異なる制度を、同じ形で捉えるとやや我々としては混乱してしまうという感じがございました。以上です。 【塩野座長】では、ちょっと立ち入ったことを伺いますが、我々の方ではA案からC案まで出しているのですけれども、検討の主な事項の23ページのところです。これについて、何か御意見があって、これは困ると。現状維持ならば現状維持ということでも、また1つの説明かと思います。そのときに、国税の場合はこういう理由がある、あるいは別のたばこの営業免許のような場合はこうだ、というようなことで多少議論されたのでしょうか。 【説明者(河野業務企画室長)】議論はしておりましたけれども、必ずしも詰まっておりません。 【塩野座長】そうですか。最後になって、財務はここはどうしても承服できないなんていうことを言ってももう、それこそ時機に遅れた抗弁になりますので、適時適切に。というのは、我々は何も自分の意見をこのまま推し進めるということではなくて、できるだけ的確な情報をいただきたいということなのです。ですから、この出訴期間の点でも、国税はこういう理由があるということ、あるいはおよそ一般的に行政処分はこういうことが重要だというふうに、かつての大蔵省のように、日本の全官庁を背負っているような立場から、およそ行政処分とは、というような議論でも結構ですから、我々が今まで気付かなかった論点を出していただくと大変ありがたいと思います。 【説明者(河野業務企画室長)】この案につきましては、どの案で困るといった意見は省内から出ておりませんけれども、ただここに書いておりますように、関税につきまして贋ブランドの場合廃棄を今、3か月置いておりますので、またどうするかというような問題は出てくるかと思います。 【水野委員】例えば、1年ということについては、特に部内では異論がなかったということで、それはもう一つ言うと、今、異議申立てが60日ですね。これは前置ですから60日間出訴期間みたいなものなんですね。これについても1年ぐらいだったら延長してもいいという御趣旨ですか。つまり異議申立期間がですね。 【随行者(上斗米国税庁課税部審理室長)】基本的に、今、水野委員の方から具体的に1年ならば大丈夫とか、そういった形、どの期間であれば我々が対応できないとかいう議論に関しましては、我々としても定量的な議論というのは非常に難しかったところでございます。ただ、幾つか問題となるものはございまして、先ほどの原告適格の拡大であるとか、あるいは後ほど出てまいりますけれども、現在租税訟務におきましては、いわゆる総額主義という形で争われているのがほとんどでございますけれども、例えば争点主義というような形になりますと、訴訟期間がどんどん延びていくと、また新たな訴訟を起こされるということになります。そして、1つの訴訟が終わったタイミングで、たまたま除斥期間が切れてしまい、したがってもう更正処分が打てなくなるというような事態もございますので、ある意味でこちらの行政訴訟手続全体の改革の中で、そういった適正な課税を確保する観点から、必要なる手当を是非御配慮いただきたいと、そういった議論は部内でいたしました。けれども、今、委員の方からお話ありました、1つの期間を捉えてこれをどこまで延ばしたら支障が生じるとか、そういうような議論というのは我々の方も具体的に行っておりません。 【随行者(深井国税庁徴収部課長補佐)】国税の徴収の立場から、出訴期間について若干申し上げさせていただきますと、国税徴収の流れというのは、督促があって差押えをして、公売公告をして、売却決定をして、換価代金の受入れをして、配当という手続でずっと流れていくわけなのですが、差押えをしても、実務上は今の異議申立期間内は公売にかけることはなく、仮に債権の差押えでも、すぐに履行期限、取り立てられる期限が来ても、一応ある程度の期間、不服申立てが出るかどうかという様子を見守っております。そういう意味で、実際に不服申立ての利益を奪うことのないように配慮はしているのですが、これが出訴期間を延長したときに、待つ時間というのがどうしても長くならざるを得ないのですけれども、財産によっては段々と価値が減価する、あるいは陳腐化するといったようなものもありますので、その辺を考えると国税徴収の立場から、6か月程度にしていただければありがたいなというふうに。 【水野委員】それは今のたばこの小売りの議論と同じなんで、まず異議申立てが出た、訴訟が出たという場合には、ずっと最後まで公売手続を進めないかといったら、そんなことはないじゃないですか。つまり公売手続はどんどん進むわけで、最後の換価の制限だけがあるだけでしょう。ですから、現実にはそれでやっておられるわけだから、今の議論は反論にはならないと思います。 【随行者(深井国税庁徴収部課長補佐)】換価制限は働いていますので、それまでずっとやっていっても、無に期する可能性が高いとなれば、それは実際にムダな手続をやらないということになります。 【水野委員】だけど、手続は進めるでしょう。それは60日だけ待って、異議の申立てが出れば後もずっとやりませんというんだったらわかりますよ。 【随行者(深井国税庁徴収部課長補佐)】深井課長補佐)実務上やっていません。 【水野委員】だって、手続は進めるでしょう。異議の申立てが出たら、まず差押えしませんか。 【随行者(深井国税庁徴収部課長補佐)】深井課長補佐)差押えはともかく、差押えに対する異議の申立てが出た場合には、公売手続ができません。 【水野委員】だから、制限があるのは、最後の換価だけでしょう。 【随行者(深井国税庁徴収部課長補佐)】深井課長補佐)法律はそうなっています。 【水野委員】だから、手続は現に進めているじゃないですか。 【随行者(深井国税庁徴収部課長補佐)】深井課長補佐)いや、それはやっていません。 【水野委員】そうですか。 【塩野座長】それは水掛け論ですので、いつまでも議論しても仕方ありません。他の方に進みましょう。 【芝池委員】24ページになりますが、Aのところで書いておられることは、要するに、不服申立前置はなくなっても差し支えがないということでしょうか。 【随行者(久米国税庁国税不服審判所審判官)】再び審判所の久米でございます。おっしゃるとおり、ここの意見書で触れてあるとおり、国税に関して記述されている不服審査前置は、大量・反復性、技術・専門性を踏まえて設けられているものであり、仮に不服申立てを経なくても、訴訟提起ができることとしていた場合でも、簡易・迅速な権利救済の手続である不服審査制度は、従来と同様の役割を果たしていくものと考えており、現在のところ特に目立って困る点が生じるとは考えてございません。しかし、2番目でいずれにせよ、我々国税不服審判所だけの立場でものを申すわけにもいきませんし、利用者である国民にとっての利便性、あるいは不服審査機能の意義、それからこれも大きいと思いますけれども、裁判所の対応能力、こういうものを踏まえて検討する必要があるとは考えております。 【芝池委員】だから、2のところはそうなのですけれども、1のところで書いておられるのは、仮にという文章のところですが、これは不服申立前置義務、前置強制がなくなっても。 【随行者(久米国税庁国税不服審判所審判官)】仮に不服前置がなくなってもということでございます。 【塩野座長】今のところの関係でちょっと気が付いたところを申し上げますと、不服審査前置は個別法の問題ですから、これは個別法で出てまいります。そうすると、国税の方ではやめても差し支えないということであれば、他の制度がどうなっているかというのは無関係に、これは先ほど芝池委員が指摘されたように、不服審査前置を廃止しても構わないと、そういうことになりますが。 【随行者(久米国税庁国税不服審判所審判官)】ただ、これは専ら一般的に行政訴訟検討会で検討している事項でございまして、国税の部分だけ、そもそも不服審査の話でございますので、そこを国税だけに限って個別法なり何なりを手当することについては、今のところ余り考えてございません。むしろ、不服申立前置はいろいろ他省庁ともあると思いますので。 【塩野座長】わかりました。あまり言葉尻を捉えるつもりはありませんけれども、このままだと芝池委員のような疑問が出てくるし、他省庁を見ながら不服審査前置を考えるというのもいささか問題があるというふうに思いました。 【小早川委員】国税の方から御覧になって、あるいはここで言っているように裁判所の対応能力ということまで視野に入れて考えてということかもしれませんが、不服審査前置に何らかのメリットはある、しかし、なくしても何とかやっていけますよというのが①の方の御趣旨なんでしょうか。もしそうだとすれば、不服審判所のパフォーマンスがいいのであれば利用者は裁判所よりまずそちらへ行くだろうということが考えられるわけですが、それとは別に前置強制をやはりした方がいいという一番の理由は何だろうか。 【随行者(久米国税庁国税不服審判所審判官)】横並びというのはちょっと、私はそういう意味で申し上げたわけでもございませんし、具体的に法律となればどうなるかということをちょっと考えただけでございまして、他省横並びでということではございません。不服申立制度が国民にとって十分に魅力のあるものであれば、例えば自由選択主義をとっても、何ら弊害は生じないという考え方は傾聴に値すると考えております。ただし、国税という行政分野において、大量・反復性や技術・専門性という不服審査前置を設ける意義が従来よりあったことは、おそらく争いのないところだと思います。ですから、これを取るというのは、一種の社会的実験になるだろうと思います。また、現在においても審査請求がなされたときから、3か月を経過すれば、裁決を経ずして訴訟提起できることから、現状においても納税者が訴訟提起する権利を不当に制限する仕組みにはなっていないと言えるのではなかろうかと思います。だから、むしろ不服申立前置が今まで置かれていたというのは、それだけ我が国税不服審判所が、それだけの働きぶりがあったということだと思います。 【塩野座長】わかりました。いずれにせよ、先ほどおっしゃったように、行訴法の中では自由選択肢を取っていて、あとは個別法の問題になるというのが今までのあれですので、あなた方の守備範囲ではないでしょうというふうに口走られると、それはそのとおりだと思いますけれども、しかしやはり効果的な権利救済ということの全体のスキームの中で、この不服審査前置というのは、非常に重要な問題ですので、我々としても何とかこの点は必要があると思っております。その点で資料を提供していただいたということですが、どうぞ。 【随行者(上斗米国税庁課税部審理室長)】今、審判所の方から話がございましたが、むしろ私は課税部ですので課税方サイドから申し上げますと、やはり税務につきましては、大量・反復性、専門性、これは座長の方からもお言葉がございましたけれども、そういった極めて大きな特殊性がございますので、課税の公平であるとか、またできるだけ一律な、適正な税務執行を行う観点から結論が非常に早い形で出てきていただけることが、税務行政の安定性の観点から極めて望ましい、また公平・適正な課税の観点からも望ましいと思っておりますので、前置主義の如何を問わず、今、申し上げましたように、早期に確定がなされると、そういった安定した状態というのが我々にとって、課税庁サイドからすると極めて望ましいということだけ一言付け加えさせていただきたいと存じます。 【小早川委員】大量・反復ということが、今言われた、公平性・統一性を確保する必要があるんだとおっしゃるのか、それとも裁判所が迷惑するでしょうということなのか、そこはどうですか。 【随行者(上斗米国税庁課税部審理室長)】課税庁サイド、まさに課税するサイドから申し上げれば、それは場所の問題ではなくて、そういった状態が早期に確保されると、これが極めて重要な問題であると考えております。 【塩野座長】どうもありがとうございました。他に何かございますか。それでは、ちょっと時間が超過して申し訳ありませんでしたが、いろいろどうもありがとうございました。 【人事院】 【塩野座長】それでは、最後になりましたが、人事院からのヒアリングを行いたいと思います。御説明は、石川善朗総務局企画法制課長、それから、井原文孝公平審査局調整課長でいらっしゃいます。よろしくお願いいたします。 【説明者(石川企画法制課長)】石川でございます。座って御説明申し上げます。人事院でございますが、これは御案内のように国家公務員法に基づきまして設置されております、独立の第三者機関ということで、国家公務員法が公務の民主的かつ能率的な運営を保障するということを目的として定められているものでございまして、その3条で任免、分限、懲戒、苦情の処理、その他職員に関する人事行政の公正の確保と職員の利益の保護のために設けられているという位置づけにございます。そのことから、人事院規則の定立ということと、不利益処分に対する審査、準司法的な機能を持っているという位置づけでございます。 【塩野座長】どうもありがとうございました。それでは、委員の方からの御質問を承りましょう。どうぞどなたからでも結構です。ちょっと大雑把な質問で申し訳ないですが、今の人事の問題は民間企業でもあるわけですね。民間企業だってそれぞれ玉突きみたいにくることがあり得るのですけれども、公務員の場合、あるいは公務員法制の場合には、民間企業と比較して、こういう点で制度上今の民間のようなことが起こるのは具合が悪いという御説明はなかったと思いますが、そこはどういうふうにお考えなのでしょうか。 【説明者(井原調整課長)】確かに民間の人事にもあるかと思うのですけれども、公務員の場合はそのポストにいる者が、やはり何らかの意味での権力的な関係というか、仕事と言うのでしょうか、国民の皆さんにいろいろ影響を与える行為を行えるわけですから、端的に言いますと、ある何らかの権限を持っているポストに誰が就いているのか、2人就いているのか就いていないのかと、そういった状況が生ずるというのは、非常にまずいということだと思います。ですから、先ほど石川の方から御説明しましたように、例えば仮処分のようなことを考えたときに、あるポストに2人の人間が就いていると、どちらの命令が正しいのか、あるいは処分が正しいのかといったような、これは非常に一般的な心配と言えば心配なのですけれども、そういう関係にできるだけ陥らないように、短い期間で確定させていくということがやはり必要なのではないかと思います。 【塩野座長】1ポストに2人ということは、制度上はあり得るわけですか。昔、水産庁長官が2人いた時代がありましたけれども。 【説明者(井原調整課長)】普通はありませんね。 【塩野座長】ないという前提で議論をしておられるということですね。どうもありがとうございました。 【水野委員】今、座長がおっしゃった点が、まさに問題点だと思います。つまり民間でも同じことがあるわけです。そのときに、行政だけ特に違うと言えるのかどうかという問題で、この3ページの仮の救済のところで、いろいろと書いておられるのですけれども、これはまさに民間でも同じことが起きるのです。もしも分限とか懲戒処分が正しければ、確かに困るということになるのです。だから、これは民間と一緒。ところが、これ逆に、処分が間違っていると、違法であると、裁判所によって1年後に審理した結果取り消されるという事態だってあり得るわけですから、人事院はどちらかというと個人の公務員の味方の役所ですから、違法な処分がなされたときには、その人の立場を最大限守らなければいけないという立場です。そうしますと、これ発想を変えまして、2つ書いてあるこのケースで、処分が違法だという場合、1年後に裁判所で取り消されるという場合を考えたときに、どうしたらいいと思われますか。 【説明者(井原調整課長)】万が一違法な処分であったということであれば、それは勿論人事院ができる限り早く取り消すか、あるいは裁判所ができる限り早く取り消すことによって、元に戻すということになるかと思います。 【水野委員】ただ、被処分者の公務員の立場からすると、やはり仮の救済という制度が適用されないと困るということになりませんか。 【説明者(井原調整課長)】そこはやはり任命権者という、人事に責任を持つ人が、彼はこういう非違行為があったという判断をしているわけですから、それを一応どちらを取るかということなんですけれども。 【水野委員】だから、間違った場合という前提で話しているのです。間違えるという場合があり得るわけですから。 【説明者(井原調整課長)】ですから、間違っている場合は、済みません繰り返しになりますが、できるだけ早くそのことを見付けて、指摘して、修正させるというところが限度ではないかと思います。 【水野委員】それだけではやはり救済としては不十分なので、だから裁判所もどの場合だって全部出すわけじゃないわけです。民間会社の労働事件だって、どんな場合だって地位を回復するわけではない。やはり本案で勝てるという見込みがあって、初めて出るわけですね。だから、やはり両方あり得るわけで、どうも処分は正しいというケースについて、これは出ない。しかし、どうも処分が間違っていると、現に1年後に取り消されるというケースを想定しますと、やはりそういう仮の救済という制度がないと、その当該公務員にとってはたまったもんじゃないということにならないでしょうか。 【説明者(井原調整課長)】ですから、人事の場合にどういう状況があるかというのは、わかりにくいかと思うんですけれども、むしろそういう状況にあればもう取り消せる状況ではないかと思うんですけれども、つまり怪しいと、その任命権者がやったことがどうも怪しいと、しかしまだ確定させるには事実調査をしなければいけないという状況というのが、果たしてあるのかなと。結局は行為があったかなかったか、あるいはその行為が非常に違法なものなのかどうなのか、非違行為として見るべきなのかという、そこら辺の判断の話になってきますので、それについてはやはり人事権者の判断というのをまずは尊重せざるを得ないのではないかと、それが公務員法の世界じゃないかと。 【塩野座長】そこは、私が説明する必要ないと思うのですけれども、公権力の行使に当たって、その人がもし何か不始末を起こしたとすると、任命権者の責任になると、裁判所の責任は取れない状況だという、そういった問題もあろうかと思いますので、その辺はしかし水野委員の質問に的確に答えるように、いろいろ考えていただきたいと思います。 【市村委員】2ページのところで、迅速化の関係での開示の場合に不利益処分の不服申立てを行った者等の個人に関する情報、公務員が職務上知り得た秘密に関する情報等も含まれることから例外が認められないとすると、プライバシー、守秘義務等の点から問題となるという御指摘がございました。ここでいうプライバシーというのは、やはり中心的なものというのは、その不服申立てを行った者、当該人のプライバシーというものでしょうか。 【説明者(井原調整課長)】そうですね。それは一応議論になって、証拠の面でもその辺りについての情報が一番たくさん多くございますから、それが中心でございます。ただ、勿論証拠の中には申立人だけではなくて、第三者の情報も入ってまいります。 【市村委員】そうしますと、例えばこうした制度の中に、本人の方から、同意のようなもの、その了承を取るというようなものを仕組んだ場合には、この辺は大幅に解決してしまうと考えてよろしいでしょうか。 【説明者(井原調整課長)】プライバシーということだけを見るとそうかもしれませんね。 【市村委員】おそらくそういうことになると思うのですが、そうすると、例えば次に考えなければいけない問題というのは、どういう点でしょうか。つまりこうした事件の核心というのは、自分がどういう基礎的な事実を認定されて処分されたかというところに非常に関心があって、訴訟でもそういうことが中心になります。そうすると、むしろどんな認識を持って、あるいはどんなふうな情報があって自分にこういう判断が下されたのかということが大前提になろうかと思うのですが、本来ならそういう当事者は、そういうことがないと主張するのが普通ですから、あるいはその評価が著しくおかしいと、そういうふうな争い方になるのが通常なものですから、むしろそこら辺が全部出てきてしまった方が、原告にとってもすっきりするはずだということが多いわけですね。そうしたやり方をするときには、本人が同意していれば出してしまう方がいいのではないかとも考えがちですが、そうすると行政にとっては、例えばニュースソースの点とか、そういう点で次から困るとか、そういうものがあったらそういう点を具体的に教えていただければと思います。 【説明者(井原調整課長)】この問題は、私のまさに裁決に出てきている記録ですので、人事院がまさに原処分について審査請求を受けて、裁決を出しているときの証拠の話ではあるのです。ですから、通常であればAさんが人事院で証言しているわけですから、それは裁判所では証言しないという理由は普通は考えらないのです。ただ、それを私どもが、まさに私どもから見れば裁判所がそういう状況があるんだから、Aさんに証言を求めればいいのであって、人事院をそういうプライバシーの問題、あるいは守秘義務に関わる問題を、できるだけ早く確定した方がいいからという理由で、あるいは理由だけで、持っているものをごそっとまず裁判所が見てしまうという制度はちょっとどうなのかなという感じがしております。やはりあくまでも、Aさんは人事院で証言してもいいと思って証言したわけですから、裁判所の方からAさんに証言をさせればそれで済みますし、まさにこのプライバシーの問題も起こりませんし、職務上知り得た秘密の問題についても、それぞれの省庁が裁判所にこれはこの問題を解決するために、しゃべってもいいかなと考えたらしゃべるわけですから、そういう形で処理、要するに、本来のパターンで処理すればいいのではないかなという気がしておるんです。人事院から、持っているものをごそっとまずもらうという便法をあえてつくらなくてもいい、あるいはこういうプライバシーの問題、守秘義務の問題があるのに、制度として仕組むまではしない方がいいのではないかと感じているのでございますが、如何でございましょうか。 【芝池委員】5ページの「原告適格の拡大」のところですけれども、ここで原告適格の拡大について消極的な意見を述べておられるのですね。この検討会で、原告適格の拡大という場合問題になりますのは、処分の相手方以外の第三者なのです。ところが、公務員事件の場合、第三者がある公務員に対する処分を争うということはあるのでしょうか。家族というのは考えられないことはないのですけれども、それ以外。 【説明者(井原調整課長)】率直にいいますと、余り考えられないという気がします。ですから、関係ないじゃないかというのがあるのかもしれませんが、ただもし心配することがあるとすれば、そこまで検討されている中で範疇に入ってくるのかどうかわからないのですが、処分が軽過ぎるというような訴えを認めるのだとすれば、これはかなり問題と言いますか、別の問題になってくると。 【芝池委員】そうすると、例えば納税者としての立場でのということですね。 【説明者(井原調整課長)】この場合は、処分は非違行為を問題にしますので、例えば同僚を殴ったと、そうするとそれに対して減給だったけれども、それはけしからんという議論はあると思うのですが、それは認めるべきではないと思います。この国家公務員の制度は、やはりあくまでも職員の保護のための制度でございますし、今の例で言いますと、本人が減給が不満であるということで訴えるのは、それは受け止めるべきだと思いますが、第三者であるとか、あるいは国民の方からそういうことを受けるという仕組みは、今の制度を根底から覆してしまうということになると思います。 【小早川委員】先ほどの市村委員とのやり取りの、裁決に関する記録の問題なんですけれども、先ほどの御答弁は、裁判所で調べることは裁判所でやればいい。人事院は人事院として、裁判所とは別の空間をつくって、そこで人事行政上望ましい審理のやり方を自由にやり、証人もそういう雰囲気の中で証言をすることがいいという御趣旨だったと思うのですが、ですからそこは国家公務員法は実質的証拠法則を取ってないから、これが独禁法ですと、むしろ公正取引委員会の事実認定を裁判所が尊重するためにこそ、公正取引委員会の審決の記録を全部もっていくわけです。それでもって審理をするわけです。方向が全く逆だという感じがするのですが、人事院の場合にはむしろ裁判所はもう人事院の審理とは別に自前で審理をして、それで全然違った事実認定をしてもそれはいいですよという、そういうお考えかと思うのですが。 【説明者(井原調整課長)】人事院が責任を持ってやったものが、違う認定をされるとは思いませんが、ただ事柄の性格といたしましては、おそらく公正取引委員会などと違うのは、公正取引委員会の場合はひょっとすると公正取引委員会の判断を第一義的に見て、それを裁判所が審査をするという仕組みなのかもしれないのですが、人事院の処分の場合は、一番よく知っているといいますか、あるいは非違行為についての証明ができるのは、やはり処分者、各省の長なのです。ですから、やはりあくまでも原処分主義というのか、裁判においても裁判所がその処分者に証明をさせて判断していくという仕組みが今とられているし、それはそれで1つの妥当な制度なのかなという気がしております。勿論人事院の判断を裁判所が判断するというのも、1つの立法論としてはあろうかとは思いますが、かえって現行の仕組みを変える必要はないかなという気がします。 【小早川委員】私、昔、労働委員会にいたときに、労働委員会はむしろ自分たちは、今ので言えば人事院風ではなくて、公正取引委員会風になりたいと、そういうふうに裁判所に扱ってもらいたいという雰囲気だったものですから。 【福井(秀)委員】今の論点なんですが、要するに裁判所で独自に認定した方がいいという結論はわかるのですが、なぜそうすべきかということは、先ほどの市村委員の質問に戻りますが、結局処分された人のプライバシーなり秘密ということが主たる理由なわけですね。 【説明者(井原調整課長)】そうですね。 【福井(秀)委員】だとすると、まさに市村委員が言ったように、その人が合意しているときに守るべき価値というのは消滅するわけですから、それでなおかつ何に、一体だれが支障を感じるのかというのがよくわからないのですけれども。 【説明者(井原調整課長)】まさにその人、申立人だけの問題であればそうだと思うのですけれども。先ほども言いましたように、人事院が持っておる資料、証拠というのは、申立人だけではなくて、他の方々の。 【福井(秀)委員】他の方々の秘密が確保されていてれば、逆に言えば本人のプライバシーや秘密に関する部分は同意があれば要らないわけでしょう。隠す必要はないわけでしょう。 【説明者(井原調整課長)】それはそうかと思うのですが、その場合に同意という仕組みをつくるのか、おそらく裁判所が先ほどAさんと言いましたけれども、Aさんの証言を求めれば済むのではないかというような気がしますが。 【福井(秀)委員】それは別に人事院に心配していただく必要はなくて、要するに現実に何か同意があって出すことに、人事行政の上で支障があるのかどうかということを端的に教えてほしいのです。 【説明者(井原調整課長)】プライバシーの観点だけから言うと、先ほど言ったようにないかもしれませんが、ただここにありますように、守秘義務の問題も実はございますので、その両方を考えますと。 【福井(秀)委員】守秘義務というのは、例えばどういう場合ですか。 【説明者(井原調整課長)】それは各省の秘密に関わるものもありますので、例えば各省の電話の記録などのようなものも、私どもの方に出てまいりますので、それをやはりぼろっと出すかどうかというのは、あくまでも各省の判断で、それはやはり裁判所から各省に聞いていただいて。 【福井(秀)委員】もう一回整理しますが、本人の処分された人にとっての秘密なりプライバシーの領域以外のところは、それはそれで配慮するという前提でお答えいただきたいのですが、その場合に本人に関することのみのプライバシーや秘密に関して、本人が了解しているときにそれが裁判所に当然に出ていくことに関して、人事行政の上で具体的な支障はあるのですかということです。 【説明者(井原調整課長)】ただいまの非常に限定された条件であれば、今すぐそれはまずいというのは思い付きません。 【塩野座長】わかりました。私もかねて不服審査のことで、原処分主義について疑問があるのですが、人事院として裁決主義をやってみようかというお気持ちはないのですか。これからだんだん公務員法制がいろいろ問題になっているときに、不服審査は俺のところだということで頑張る気概はないのですか。 【説明者(井原調整課長)】内部の議論としては、ないわけでもないのですが、ただ先ほど言いましたように、人事ですので、やはりかなり裁量に関わる部分の判断、人事行政に関わる部分ですので、やはりその処分が正しい、行われている現状の状況が正しいのかどうかということを、誰から裁判所に対して主張させるのが適当かということを考えると、仮に裁決を経たとしても、やはり原処分庁にやらせる方が、ある意味で論点も明確になりますし。 【塩野座長】そうすると、不服審査前置は要らないと。 【説明者(井原調整課長)】そういう議論になってしまうと困るのですけれども。この不服審査前置の関係で申しますと、やはり人事院も勿論人事行政の1つの専門家として、第三者機関として、あるいは不当性の判断まで議論できるということで仕組みとしてはありますので、3か月経てば裁判の方にいけるという規定等も併せて考えれば、まずそこに私どもの方に来ていただいて審査していただくのが、非常に適当ではないかと考えております。 【塩野座長】どうもありがとうございました。どうぞ、最後の質問にいたします。 【芝池委員】最後のページの最後の2行なのですが、不服審査前置を課していることによって職員に特段の不利益を強いていることはないものと考えるというふうに書いておられるのですけれども、これは何か根拠があっての話でしょうか。 【説明者(井原調整課長)】一応ここで書きましたのは、仮に私どもが非常に長くとどめておいたときに、問題が起こるかもしれないけれども、そんなことはありませんと、規定として3か月を経過して裁決がないときには、提起することができるのでという規定がありますので、人事院の方に経由してもらうことが特段の不利益を強いているのではないという趣旨で書いております。 【芝池委員】それは推測ということですね。もうちょっと強い根拠がありますか。 【説明者(井原調整課長)】推測というか、少なくとも私どもの方に来たくないと、すぐ裁判に行きたいのだけれどもという声は聞いたことはありません。 【芝池委員】私はそういうふうには受け取っているんですけれども、一般に。何か確たる根拠があれば教えていただきたいと思ったんです。 【塩野座長】どうもありがとうございました。人事院の方、お待たせした上で、時間が経過して失礼をいたしました。今日はどうもありがとうございました。それから、委員の皆様方も所定の時間をちょっと超えた長時間、どうもありがとうございました。 |