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行政訴訟検討会(第6回)議事録



1 日 時
平成14年7月11日(木)15:00 〜17:30

2 場 所

司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者

(委 員)
塩野宏座長、市村陽典、小早川光郎、芝池義一、芝原靖典、成川秀明、萩原清子、福井秀夫、福井良次、水野武夫、深山卓也(敬称略)
(事務局)
松川忠晴事務局次長、大野恒太郎事務局次長、古口章事務局次長、小林久起参事官

4 議 題

(1) フリートーキング
(2) 今後の日程等

5 配布資料

資料1 第6回行政訴訟検討会フリートーキング参考資料
資料2 行政訴訟検討会における意見の概要(第5回検討会まで)
資料3 行政訴訟検討会の論点整理に向けて(芝原委員作成)
資料4 行政訴訟検討会の今後の予定(案)

6 議 事

【塩野座長】それでは時間になりましたので、第6回行政訴訟検討会を開会いたします。お暑いところお集まりいただきまして、また遠くからお出での方もおられるかと思います、どうもありがとうございました。
 それでは、まず事務局側から先日行われました顧問会議におけるアピールについて、ご説明があるということです。よろしくお願いいたします。

【松川次長】それでは、皆様の席上に「国民一人ひとりが輝く透明で開かれた社会を目指して」、とする資料がございますので、これをご覧いただきたいと思います。
 これは、さる7月5日に開催されました顧問会議におきまして、このような内容のアピールが取りまとめられまして、司法制度改革推進本部長である小泉内閣総理大臣に提出されたところであります。このアピールは司法制度改革推進本部令第1条第2項に基づき、本会議が司法制度改革推進本部長に意見を述べたものでありまして、同時に国民に向けたアピールとしての趣旨ももつものと位置付けられております。
 このアピールの内容は、司法制度改革審議会意見の趣旨に従いまして、「21世紀の日本を支える司法の姿」として、「国民にとって身近でわかりやすい司法」、「国民にとって頼もしく、公正で力強い司法」、それから「国民にとって利用しやすく、速い司法」の3つを掲げた上で、推進すべき具体的な改革の内容を示したものとなっております。特に2年以内に判決がなされるように、制度的基盤の整備や人的基盤の拡充を十分に行う、との目標を掲げている点が注目されております。このアピールを受けまして、小泉内閣総理大臣は、資料の最後にところに挨拶要旨が出ておりますように、「全国どのまちに住む人にも法律サービスを活用できる社会を実現すること」、「裁判の結果が必ず2年以内に出るようにすること」などを具体的な目標として、改革を進めていく必要があるとし、改革に向けた強い決意を述べておられます。
 本検討会におかれましては、このアピール及び総理大臣の発言の趣旨も十分に踏まえまして、今後の検討を進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。

【塩野座長】それでは次に、事務局の方から本日の資料について、簡単にご説明をお願いいたします。

【小林参事官】資料につきましては、本日の次第の配布資料にありますように、資料の1がフリートーキング参考資料、それから資料の2が行政訴訟検討会における第5回検討会までの意見の概要、それから資料の3が行政訴訟検討会の論点整理に向けて、という芝原委員からの資料、それから資料の4が行政訴訟検討会の今後の予定の案、というものでございます。以上でございます。それから、その他に福井秀夫委員から税務経理という文献の資料をいただいております。それも配布しております。以上です。

【塩野座長】それでは早速、フリートーキングに入りたいと思いますが、どういうふうにやっていくかということについては、前回必ずしも細かな決めはいたしませんでしたので、皆様とのご相談によって、今日どういうふうに運んでいくかということを決めていきたいと思っておりますが、 何か特にご要望、あるいは今回こういうふうにやるべきだというご意見があれば、最初に受け賜りますが、主たる課題は私におまかせいただきました事務局の作成にかかる資料について、色々な角度からご議論をいただくという、それが主たる課題でございますけれども、順序等について特にご要望がございますでしょうか。
 (委員から特に意見なし)
 もしなければ、議事進行のことも考えまして、一応私が持っている腹案みたいなものがございますが、申し上げてよろしゅうございますでしょうか。
 それでは一応、こんなことを考えておりますということを申します。
 まず、最初に事務局からご案内しましたように芝原委員からペーパーが出ております。芝原委員にはこれまで、まとまったご意見を伺う機会がございませんでしたし、またご提出いただいたペーパーは今日のフリートーキングとも関係するところ、多いところがございますので、まず最初に芝原委員からペーパーに即して簡単にご説明いただき、ここに関して委員の方から質問があればお答えをいただく、というのがまず第一フェーズというものでございます。
 次に資料1、今、ご案内ありました資料1でございますが、この資料はこれまで検討会の審議の過程に出た意見を参考にしながら、事務局において作成してもらったものでございます。網羅的に拾ってあると思いますけれども、ご意見が非常に幅広く渡っていたものでございますし、またそれぞれにニュアンスがあるものでしたので、取りこぼし、あるいは意味の取り違いがあるということもあり得ます。これはあくまで、フリートーキングの参考資料ということのようでございますので、ご覧になって、この趣旨は明確でないとか、あるいはこういった意見があったのではないかとか、さらに新たにこういう点を付け加えてはどうかというご質問、ご意見があれば伺いたいと思います。これは必ずしもここで決めるということではございませんので、後々の方のフリートーキングの中で思い出したから、こういう点は付け加えたらどうかという、そういったご提案があってもよろしいかと思います。これが第二の議案というほどでもございませんけれども、第二の問題点でございます。
 本日、私から委員の皆様に是非、お伺いできればと存じている中心的な事柄は、今後検討を進めていく過程におきまして、その出発点で、どのような視点に立って検討をしていくか、という今後の検討の視点、あるいは基本的なスタンスといってもよろしいかと思いますが、それからそういった視点を踏まえまして、今後のスケジュールを含めた今後の検討の進め方の2点でございます。
 前者のその検討の視点というのはやや、中身に渡ることですので、本日ある一定の方向性を得るということでは全く、ございません。ただ、この視点についてこの段階で、皆様方の意見を交わしていただく、ということである程度情報の交換をしていただければ、というふうに存じているわけでございます。
 これにつきましては、資料の1の3ページの第1及び2の辺り、この辺りに既に皆様方から出たご意見が掲げられておりますので、この辺を見ながら、意見交換をしていただければ、というふうに思います。
 それから、今後の検討の仕方については資料4に簡単なタイムスケジュールが書いてございますが、こういったタイムスケジュールを見ながらどういうふうに議論を進めていけばいいのか、あるいは今後、検討を進めていけばいいのか、ということについて、これこそ自由な意見の交換をしていただければ、というふうに存じます。途中、折を見て休憩を取りたいと思いますが、そんなことを大体、考えておりますが、何か今のような私の腹案みたいなものについて、ご意見、あるいはご質問がありますでしょうか。
 (委員から特に意見なし)
 常識的な提案であるというふうにお認めいただいたということでよろしゅうございますか。
 それでは、芝原委員。私もペーパーを拝見させていただきまして、色々と教えていただくこともございましたので、是非、よろしくお願いいたします。

【芝原委員】それでは、思いがけない扱いになって、若干戸惑っているところもありますが、私のペーパー、資料3でございますが、今までの検討会の議論をお聞きいたしまして、本題といえば本題なんですけれども、行政事件訴訟法がらみがやっぱりかなり多くて、我々からするといきなり、個別具体論というか、各論に入っているという感じがいたしまして、もう少し意見書にもありますように総合多角的な視点というのがあまり議論されていないんじゃないかと思います。その辺に少し私としては重きを置いて、そういう目で見ればこういうことがもっと議論されてもいいし、あるいは認識した上で各論の議論をしてもいいんではないかということで、ちょっとペーパーを作ったら、こういう形になったわけです。まず1ページ目の総論の議論もそういう意味で、「軸足の再確認」ということで申しますと、やはり本来のこの検討会の命題と申しますか、そういうものが司法の行政に対するチェック機能の強化ということであった、ということです。この辺の認識を再確認してはいかがかなということで、この私のペーパーの後ろ2枚に参考で、意見書の抜粋を付けていますが、ここを見ますと、行政事件訴訟法そのものではなくて、かなり幅広に問題提起がなされているのではないかという感じがしておりまして、少しそういうことを書かせていただいたわけでございます。
 意見書で書かれております行政訴訟に対する問題意識というのは、具体的には現行の行政事件訴訟法に内在する行政庁の優越的な地位への疑問、という点。
 それから2点目が、行政計画等の新たなタイプの紛争に対する手当ての問題、それから行政事件の専門性に対応した裁判所の体制整備の3点が挙げられているのではないかというふうに思っているわけです。
 こういうチェック機能という意味で申しますと、あくまでも行政訴訟の提起というのは、主権者であります国民にとって当然の権利行使でもありますし、こういった行政活動の改善、向上というのができるわけですから、そのために不可欠な活動と積極的にもっと捉えてもいいんではないか、というふうに考えている次第でございます。
 2ページ目にまいりまして、「行政事件訴訟法等の意義・必要性の再検討」というふうに要旨に書いてございますが、そもそも以前の検討会でも少し出ましたが、こういった行政事件のためだけの特別な訴訟類型を置くという意義・必要性、この辺をもう一度、考えてみることも必要ではないかということでございます。
 それから、3点目に「トータルな法制度を踏まえた検討を」ということを書いてございますが、この辺が特に私の立場から申しますと、行政事件訴訟法だけで、果たして行政に対するチェック機能というのが十分、なし得るのか、という問題認識でございます。
 次のページに、少し、前々から俯瞰的、あるいはマッピング的と言ってまいりましたが、これを少しつたないレベルではございますが、形にしたのがこれでございます。行政のプロセスというのが法律、行政立法、行政計画、行政処分、あるいは指導というふうに流れる。これがさらに事前予防的にチェックされる、あるいは事後的に事後の是正、あるいは補償という形でなされる、ということです。行政に対するチェックとしても、行政自身による内部チェックのやり方、それから国会等を通じた民主的なチェックのやり方、それから司法によるチェック、というふうに縦横のフレーム枠があります。この中で、現状どういう形で具体なものがあるかというのが、太い枠囲いでしている部分でございます。
 行政訴訟はそういう意味で、右下に書いてございますが、事後の是正・補償の行政処分、行政指導、この辺りに位置付けられるのかなというふうに考えています。果たしてこれだけでできることがどこまでのものか。あるいはもう少し他の手段とリンクしながらチェックすればもう少し機能がアップするのではないかというふうに考えているところでございます。そういう意味でもう少し他のところで書かれているいろんなものとの連携を考慮しながら、行政訴訟の制度、在り方を考えてもいいのではないかということでございます。
 それにしましても少し気になるのが、事前予防の行政による内部チェック、あるいは民主的チェックのところの事前予防のところが、あまり十分な整理がまだなされていないのではないか、この辺りを行政手続法的なものでもう少し拡大をして、行政訴訟等で受け止める仕掛けをしてもいいんじゃないかなというような感じで考えているわけでございます。
 それから、その次の4ページのところでは「議論の基本的スタンス」ということで、基本的には行政活動もそういった意味で適法性確保の強化が必要ではないかという辺り。それから法的安定性の要請、あるいは行政の第一次的な判断権の尊重、あるいは政策的判断への不介入、そういったものが、今言われているわけでございますけれども、本当にそういったことの必要性、あるいは現状の妥当性といったものをもう少し厳しく吟味してもいいんじゃないかということでございます。
 それに続きまして、次から各論的なことを少し、書いてございます。
 まず、「行政立法、あるいは行政計画に対するチェック」ということでございますが、実務的、実態的に見れば行政立法、あるいは行政計画の段階で救済せずに、いきなり処分の段階で救済するという、現在の仕組みでございますけれども、これについては結果的にものによっては大きな社会経済コストを発生させているのではないかという感じがしているわけでございます。特に私どもから見まして、行政行為的には違法であるにも係わらず、その取り消しは認めないという事情判決というのが、本当にそういうことでいいのか、というのが非常に疑問な点でありまして、国民の権利実現を犠牲にしてそこまで行政活動を保護する、ということの意味がどういうものか。これはチェック機能以前の問題ではないか、というような感じが個人的にはしているわけでございます。もう少し、この前段階で何らかのチェックが入るべきではないか、あるいは入った方が社会経済的にもトータルではコストミニマムにいくのではないかという感じがしているわけでございます。
 そういう意味で、実務的に見ましても、実際の行政行為というのがほとんど行政立法のところで決まるわけですので、そこのところのチェック機能がどうしても要るのではなかろうかということでございます。
 それからそういった意味で、「事前の行政手続の整備と連動化した行政活動のチェック」ということで、少しその次に書いているわけでございます。これは行政が行政判断をするときに行政裁量という問題がありますけれども、一方で、裁判裁量といいますか、裁判所における裁量という問題ということを考えますと、なかなか難しい部分もあるのではなかろうかということで、そういう裁判的裁量が入らずに、純粋に法律的にチェックが可能なように前段のところで法的手続等を踏むことを前提にした判断をすることにすれば、かなり裁判所から見ても実務的にはやりやすいのではなかろうかというようなことで、ここは書いてございます。
 その次のページに、「行政活動の各レベルに対応した行政手続の現状」、ということで行政立法、計画、処分、指導ということで書いてまして、丸のところに現状あるものを書いているわけでございます。現在、まだ任意でありますパブリック・コメント、パブリック・インボルブメント、といったものも、できれば制度化できるのであればそういう方向に持っていって、法的な根拠になしうることもあり得る、ということでございます。特にパブリック・コメントは一応、表の下に書いてますが、閣議決定されているわけですが、パブリック・インボルブメントの方については政府全体としてはまだオーソライズされたものがないという状況でございます。
 それからその下の7番目のところでございますが、ここは内容面の決定基準の具体化ももう少し要るのではなかろうかということでございます。手続き的なチェックだけにとらわれずに、もう少し行政活動の内容が具体化、特定化していく各段階で、先ほど言ったような裁量的な判断をできるだけ上位の段階で規定していくと、こういうやり方もあるのではないか、ということでございます。
 行政手続法で、申請に対する処分については判断基準の定立と公開というのが義務づけられて、不利益処分については努力義務とされておりますが、いまだ基準が十分にできていないものもある、ということで徹底がまず必要ではなかろうかということでございます。
 ただ、ここにつきましてはそういう裁量の余地が大きな行政活動のチェック手段として、米印のところで書いてますが、違法だけじゃなくて不当性も審査できる行政不服審査、あるいは行政ADR、こういったものが適する場合もございますので、この辺の位置付け、あるいは住み分けをどうするか、ということがあります。 それから8番目の「行政の不作為に対するチェック機能の強化」。これは行政事件訴訟法とかいろんな処分の後ということで、事後的な問題を扱っておりますが、実際には行政が処分をしないという、不作為に対して、ではどういうチェックが働くのか。今現在は、なかなかそれが難しい。下の2つ目のところに書いてございますが、現在申請に対する処分、裁決の留保の場合にしか基本的には使えないのではないか。それも違法を確認した上でその何らかの応答を促すと、こういうレベルに留まっています。実体的な解決にはなかなか結びついていないのではないかなという感じがしているわけでございます。
 そういう意味で、無名抗告訴訟の一類型として、義務づけ訴訟というものもあるということになっておりますが、かなりその要件は厳しいのではなかろうかということでして、昨今の薬害エイズ問題、あるいはBSE等から見て分かりますように、行政の不作為というものが結果的には違法な行政活動に比べても決して小さくない問題を引き起こしている場合もありますので、この辺のチェックをいかにして行うのか、ということも十分に考えていいのではなかろうかということでございます。
 9番目の辺りは、これは従来も言われている間口を広げる、という話しは言われていますので、ここでは割愛させていただきます。
 それからその次、8ページの10番目の「行政訴訟の実情を踏まえた仕組みづくり」というところでございまして、これは私、一番最初の紹介のときに申しましたが、国民と行政、原告、被告の訴訟遂行能力の差が大きい。武器対等の原則になっていないのではないかと。ここはやはりきちんとしないと、実態としては効力を発揮しないのではなかろうかということでございます。一応、法律的には平等な扱いということにはなっておりますが、実態的にはかなり違う、というのもまさに事実でございまして、ここは何らかの形で、やはり武器対等の原則の実現をこの中で、検討できればなあというふうに思っております。
 その中には例えば、内部文書を含めましたいろんな関連行政文書の提出義務づけ、あるいは職権探知主義の導入、あるいは立証責任の転換、あるいは勝訴原告への報奨金制度等、色々ございます。
 私、さらに言えば、最後のパラグラフのところはちょっと大きな問題ですが、本当の意味で訴えられる被告の方が組織ということを考えれば、訴える方が一私人ではやっぱり難しいということもあり、訴える方にもやはり組織的な何か、ベースを持たないと難しいのではないかということで、例えば、会計検査院が行っていますような、あういう会計予算の執行のチェックというのは、組織対組織でやっているわけでございまして、そういった違法性の監査機能的な機関ができないかと、あるいは国民が行政訴訟を行う際にその前さばきをするような機関、あるいは訴訟追行過程での支援、というようなことができるような独立専任機関というのも、これはかなり先の話かもしれませんが、こういうことも十分、検討に値するのかな、という問題意識でございます。
 それからその次、9ページは「論点整理の手順」でございますが、ここまで書くと何か言い過ぎのところもありますが、そもそもこの検討会の最終アウトプットが一体何なのか、というのが私自身もまだ、よく見えていないというか、分かっていないし、議論もされていない。まさに今日から議論されるところだと思うのですが、一つは本当に現行の行政訴訟制度のどこが問題で、見直しの方向というのが、どういう方向で、具体的にはどういう方向で、見直し内容を骨子としてアウトプットすべきか、という辺りについての議論があってもいいのではないか。
 そういった意味で論点を明らかにした上で、国民にその過程を、分かりやすく説明しながら、やっていくことが重要ではないかということでございます。
 特に法律の専門家でなくて実際に使うユーザーとしての一般国民が理解できる、ということが重要ではないかということでございます。そのためには、例えばということで、10ページの表のところに書いてございますが、現行制度の課題・問題点というのが原告にとってこういうところがある、あるいは被告行政庁にとってはこういうことだと、一般国民にとってはこうだ。それに対して見直しの方向というのはこういうふうにいろいろありますと。それぞれについて、どう対応して残された課題、あるいは新たにそれによる副作用等はこういうことがあるということをもう少し、対比的に示していただくと、分かりやすいかな、という感じがしております。
 最後はこれは、行政訴訟と言いましても、対象とする行政行為は非常に幅広く挙がっている関係で、どこまで共通的な問題として言えるのか、あるいは個別的にどうするのか、というこのあたりの具体的なところをイメージした議論も必要ではないかということでございます。
 ちょっと部分的にははしょりましたが、以上でございます。

【塩野座長】どうもありがとうございました。9ページ以降の論点整理の手順についてはまさに、第2か第3のところで話しますので、その時にまた改めてご質問あるいはご意見を伺うことがあろうかと思われます。
 8ページまでのところ、既にこのペーパーの中に資料1の中に含まれているような論点もございますけれども、それ以外にもいろいろな幅広いご指摘を頂きましてありがとうございました。何か、今の芝原委員のご指摘につきまして、ご質問がありましたらば、いくらかの時間を割いて、よろしくどうぞ。どうぞ、福井委員。

【福井(秀)委員】基本的に私、ほぼ全面的に賛同申し上げたいのですけれども、若干ご質問です。行政のチェック機能の強化という観点で、計画統制訴訟を明示的に挙げて、少し国民訴訟にも触れておられますが、公金の違法支出とそれから計画、もう一つは環境統制というのがあり得るのかと思うのですが、こういったいわゆる客観訴訟グループについてどのように全体として考えられるか、ということをお聞きしたかったのですが。

【芝原委員】そこについては、外部的に見れる部分が少ないので、いかにしてそれを客観視させるか、あるいは外部的に見えるようにするか、という辺りはやっぱりある程度の手順が決まって、その手順をこういう形でクリアしている、ということを見せてもらうしかない、ということで私としては今、政策評価とかいろいろとありますが、行政手続法をもう少しそこら辺りに網をかければ、いやでも見える形になるので、そういう方向がいいのではないかということでございます。

【小早川委員】大変、バランスのいい捉え方されていると、私は大変評価しております。制度論でなくてですね、できるだけ行訴法の世界にとらわれずにもっと広い範囲で考えるあたりは賛成です。そのレベルでですね、8ページで独立専任機関、対等性を実現するためにどうすればいいかという一つの基本的な考え方でそういうふうに書いておられますけれども、私はそれよりは民間の個人が、それから企業の法務が能力を高めてですね、本当に民の側の訴訟遂行のポテンシャルを上げていく。それが大事であって、そういう方向をまず基本的に考えて、その上で訴訟制度、裁判制度も、そういう民の側からのパワーをちゃんと受け止められるような、そういうものにしていくということじゃないかと。もちろん、それを否定されるおつもりではないと思いますけれども、ちょっと官の側に頼っている感じがないでもないかなと。感想ですけれども。

【塩野座長】その点もおいおい議論の。要するに環境をどういうふうに見るかということだと思いますけれども、それについてはまた論点の中で議論していくということになるかと思います。さしあたり私なんかも弁護士さんがですね、行政訴訟を自分のものとするということが私、一番重要なことではないかと思うのですね。
 ここに国民に分かりやすくということで、一般国民ということがございますけれども、私が見るところでは六法全書みたいなものがあったり、いろんなものがあるのは日本だけなんですね。訴訟へのアクセスは弁護士がやるわけですね。まず、弁護士の所に持っていって、それで弁護士が訴訟にアクセスするわけですから。
 そのルートをもう少し、きっちりするということも重要かと思いますので、今日のご提案、なかなか面白いご提案で承りましたけれども、あるいはこれからもいろいろと議論あると思いますが、国民に分かりやすく、あるいは国民が訴訟へのアクセスを容易にするということの国民というものを、どういう国民として捉えるか、という視点も重要かと思います。小早川委員の言われたことと、私の意見が共通するような感じがしました。
 それではまずこういうことでお伺いいたしまして、ここに盛られていないところで論点の方に掲げるべきものがありましたら、それはまた掲げさせて頂くようにしたいと思います。それでは、もしよろしければ、今日盛りだくさんのことでございますので、次の段階に入ってよろしゅうございますでしょうか。
 次の段階と申しますのは、資料1のフリートーキング資料につき、趣旨が不明確であるとか、あるいはこういった意見があったのではないか、さらに今、芝原委員からもご提案のあったような形で新たな意見、提案があるのだけれども、というようなことがあれば多少時間を割いてお伺いするのがよろしゅうのではないか、というふうに思っております。
 もちろん今日で締め切りということではございませんし、また今日のフリートーキングの中で改めてお出しいただいても結構でございますが、せっかく事務局、一生懸命資料を作ったものですから一言ぐらいはちょっと言うべきではないかという気がいたしますが。福井さん、何か。

【福井(秀)委員】大変、丁寧に詳細にまとめていただきまして敬服申し上げております。基本的には大体の私の理解しているような論点は入ってると思いますので、あとはこの中からまた絞り込む、あるいは実質的に議論する段階で、まさに国民にとっての使い勝手という観点から機能的にアプローチしていただければと願っております。一つだけ、3ページの第1の1の②のア、イ、ウ、エ、オとあるのですが、イの機能不全は実体法の問題であり、行訴法の抜本改正は不要であるというのがあるんですが、実体法も抜本改正して行訴法も抜本改正した方がいいという選択肢がないような気がしたので、それも検討していただければと思います。私は個人的にはそういう説をとっているものですから、よろしくお願いします。

【塩野座長】水野委員、いろいろご意見あったと思いますが、大体取り入れられているというふうに了解してよろしゅうございますか。

【水野委員】はい、事務局には大変ご苦労いただいて非常に網羅的に整理していただいたと思います。それから資料2ですが、これは前回までの意見の概要をですね、これまた非常に丁寧におまとめいただいたということで、これで我々がこれから議論をしていく上で非常に大きな資料ができたということで喜んでおります。あえて申し上げれば、芝原委員が今日、冒頭に発言されました総論のうちの一番最初の部分ですね、審議会の意見書は司法の行政に対するチェック機能の強化、ということを言っておるわけでありまして、もう少し大きな議論の項目が、冒頭にもう少しあってもよかったかなという気がしないでもありません。もちろん、第1の行政に対する司法審査の在り方のところで触れてはあるわけですけれども、芝原委員のプレゼンテーションはもう少し大きな観点ではなかったかなあという気がいたしまして、それ以外のことは他にありません。

【塩野座長】他に何かございますか。はい、どうぞ小早川委員。

【小早川委員】最近気がついたことで追加ですが、これも行政事件訴訟法以前の話でですね、最高裁判所が時々、法律上の争訟とかですね、何かそういう話を常識と違った使い方をすることが最近、特にありまして、これはですから最高裁が憲法解釈をしたから、これは憲法を改正しないともうそれは改められないという、論理的にはそうなりますが、まあそこまでいかなくてもですね、そういう行政訴訟の前提となる憲法のルールは何なのか。それについていろんな議論があるけれども、どうなのか。その辺の議論というのも一つ付ける必要があるんじゃないでしょうか。

【塩野座長】それは、重要な指摘だと思います。これは実は我々に対する付託の文言の中に「法の支配」の理念の下にうんぬんという言葉があって、この「法の支配」が何であるか、一遍よく聞いてみたいと思っているんですけれども、ですからそれを他にいろんな表現の仕方もあろうかと思いますけれども、それは是非、深めていかなければいけない。ただ私はあまり抽象的にですね、そのルール・オブ・ローとここで言っている「法の支配」とはどう違うとかですね、法治主義とはどう違うとかそういったもの、あまり抽象レベルで議論するよりは、例えば、今ちょうど出たようなことで最高裁の法律上の争訟がですね、実は我々に付託されていると思われる法の支配という点から見ると少しずれているんではないかというようなことが具体的な場合で話題になればですね、それはぜひ挙げていきたいというふうに思っております。あえて、ここで「法の支配」とは何かというのを最初の項目に設けなかったのは、それをやりますとやや学者の間の概念論争になりかねませんので、むしろ今申し上げたような形で、具体的な事例に即して考えていければなあというふうに思っておりますので、重要なご指摘ありがとうございました。どうぞ、はい。

【小林参事官】今の水野委員、それから小早川委員からのご指摘の点についてはですね、あまり目立たないかもしれませんが、資料1の3ページの第1の1の①のところで司法の行政に対するチェック機能を強化するためには、どのような改革が必要と考えるかとか、資料1の第1の1の③、真ん中のところですね、司法による行政審査の在り方を考えるには、統治構造の中における行政及び司法の役割・機能とその限界、さらには三権相互の関係を十分に吟味する必要があるとされることについてどのように考えるか、といいながらまたさらにですね5ページのところに行政訴訟の対象という項目を作りましてですね、5ページの1の①のところに司法審査の対象となる行政作用の範囲・司法審査の方法ないし条件等の行政訴訟の対象に関する問題について、国民の権利救済を実効化する見地から見直すべき点があるかと。今までの検討会に出されてきた、そういう大きな視点からの議論もこういったところを念頭において作成したつもりでございますので、そういった検討もお願いしたいと思っているところでございます。

【福井(秀)委員】小早川先生の問題意識とおそらく共通じゃないかと思うんですが、一昨日の最高裁判決で、要するに行政上の義務履行を求める裁判は法律上の争訟じゃないから訴えられない、とされたのは大変面白い判決と思ったんですが、その解釈の適否はともかくとして最高裁がそう言ってしまった以上は、行政上の義務を行政代執行法以外のルートで求めるための特別の法律制度がないとそういうことができない、ということになります。そういう制度について検討することももしこの検討会、司法本部の役割に入るのであれば、具体的課題として意味があると思いましたものですから、問題提起したいと思います。

【塩野座長】それは付託の範囲にあるかどうかということで、これはやや法律問題でございますので、事務局に考えてもらいます。ただし、そういう個別の問題といいますか、今のそのフォーカスされた形が、一つの契機になりまして、法律上の争訟とは何か、あるいは「法の支配」の観点からもう一度、法律上の争訟について、最高裁の従来の判例を見ると、どうなんだろうか、というこれは私は入ると思うのですね。
 最高裁の判決が憲法に匹敵するのだといえても、それがおかしいならばそれはおかしいということを言わないといけない、と私は思っておりますので、あえてそこはあまり絞り込む必要はないと思います。ただ、当該事件が我が方の範囲に入るかどうかというのはこれまた、もう少し事務局で検討していただきたいと思います。
 それでは大体、よろしゅうございますでしょうか。何度も申していますように、実はこういう点が落ちていたんだ、ということは是非、ご指摘をいただいて、これからのご議論を実りのあるものにしていただきたいと思います。
 それでは次に、今後の検討の視点ということでございます。これは既に今日、冒頭、芝原委員からのご指摘があったことでございまして、どういうスタンスから、我々に付託された問題を考えていくか、ということは大変重要なことでございます。その辺りのことが資料1の3ページ、第1の1のところに行政訴訟制度の見直しの考え方について、既にいろんなご意見があったということの紹介が挙げられております。
 それから資料の次の2のところでは、行政訴訟制度の趣旨・目的についてのご意見が出ているところでございます。冒頭に申しましたように、今日で方向性を決めるというものではございません。また、私の理解ではいろんな問題を議論してまいりますと、実はこういった視点で整理したけれども、また別の視点、さらには視点のウェートの置き方も、やはり動いてくることがございます。ですから、この点はやや柔軟に考えていかなければいけないというふうに思うわけではございますけれども、やはり最初に申し上げましたように、皆様方、大体どういう意見を持っておられるのか、という点についての意見交換をこの段階でした方がいいというふうに思いました。どうぞ、資料1のですね、今申しました3ページ辺りのところをご覧なりながら、ご意見をいただければと思います。どなたからでも結構でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 はい、どうぞ福井委員。

【福井(秀)委員】たびたび恐縮ですが、2の行政訴訟の趣旨・目的なんですけれども、権利救済を重視するのか、適法性確保を重視するのかというのは、元々、行政法を勉強するときに非常に悩ましい点でなかったかと私自身も認識しているのですが、今の行政訴訟のシステムは、たまたま主観的利益の侵害、要するに権利侵害があった場合にだけ、原則として出訴できる。そのときに結果として、ついでに適法性も担保される。平たく言えば、こういう仕組みではないかと思うのですが、そこが先日の阿部先生のご報告でも非常に悩んでおられた点ではないかと思います。権利利益の救済なのか、適法性の担保なのか、は一応、目的が2つあるわけですから、通常目的が2つあると手段も2つある方が混乱がない。ある程度、兼ねられる部分は兼ねるにしても、適法性の是正のためであれば、例えば計画統制訴訟とか、国民訴訟のようなものが考えられるし、権利利益の侵害を是正するんだということであれば、これは私いつも申し上げるのですが、民事訴訟の救済との関係でどういう権利利益を守らないと、行政訴訟でもまずいのかというバランス論にも繋がってくるような気がいたしますので、この2つの目的からくる今の制度の問題点を観念的には分けて議論した方が混乱が少ないという気がしております。

【水野委員】今日、芝原委員から報告ありましたけれども、私も全面的に共感をした。とりわけ、総論については、私が言いたいと思っていたことをきっちりと言っていただいたと思っております。今回の検討会ではやはり、司法制度改革審議会の意見書を出発点としているわけですから、意見書を基にして、そこから議論を進めなければならない。意見書は先ほど、芝原委員がおっしゃってくれましたけれども、司法の行政に対するチェック機能の強化ということを言っておるわけですし、それが現状では極めて不十分だ、という問題意識を前提にしていますね。そして、本格的な検討をすべきだと、そこまで言っておるわけでありまして、私、冒頭のときにも申し上げたと思いますけれども、行政事件訴訟法のですね、処分性を拡大するとか、原告適格を拡大するとか、といったふうな言ってみれば小手先といいますか、そういう改正だけでこの検討会が終わってはならない、というふうに思っておったわけでありまして、まさに審議会の意見書を出発点とすべきであろうと思っております。従って、この改革の全体像をこの検討会では具体的に示していくべきであろうというふうに思っているわけであります。いうまでもなく憲法は三権分立でありまして、三権のチェックアンドバランスの上に成り立っているわけですけれども、司法の役割というのは、やはり憲法適合性あるいは法適合性、そういったものを判断するというのはこれは本来、司法に与えられた役割だろうと思っておりまして、その役割を特に行政面で強化する必要がある、というふうに意見書は言っております。
 これまでも議論されておりましたように、行政訴訟といわれている中で一つは国民の権利利益が侵害された場合の救済。この面においては、これは要するに 100%十分な制度でなければならないわけでありますけれども、これが極めて不十分であるということがあります。
 それからもう一つは、今、福井委員がおっしゃいました適法性の是正ですね、行政統制の強化といいますか、要するにいわゆる国民の権利利益に係わらない分野における違法な行政を誰が是正するのか、といったときに、これはやはり司法が是正する以外にないわけでありまして、司法にはそういった機能が与えられるべきであると思います。これは要するに客観訴訟の拡大ということになりまして、例えば国民訴訟といわれていますような客観訴訟を拡大することによって違法な行政のチェック機能を強化するという面、これは非常に大きな面だろうと思っております。訴訟という点では、そういった点を検討していくべきだろうと思っております。
 それから次に、訴訟制度についてでありますけれども、どういった訴訟制度を設けるかというのは、いわばその国のですね、法文化の成熟度を示すものだというふうに思うわけであります。これは人間が作る制度でありますから、どんな制度でも可能なわけでありまして、どういう制度が本来の司法の役目としてふさわしいか、あるいは裁判制度としてふさわしいのか、ということを考えましたときに、どれだけの制度を持っているかというのが、その国の法文化の成熟度を示すものというふうに思うわけであります。
 まずその点で、第1点目はですね、その訴訟制度を利用できるのかどうか、という利用の可否の問題、方法の問題、これがあろうかと思います。ところが行政訴訟については、これが極めて曖昧であります。私が担当いたしました大阪国際空港の事件でありますが、これは昭和44年12月の提訴でありまして、昭和56年12月に最高裁の大法廷の判決が出ています。12年間かかっておりますね。12年間、最高裁まで審理した結果、あなたの訴えはそもそも訴えがだめよ、という判断を示されたことになるわけであります。最高裁判所に上告したのは昭和50年の11月でありますから、最高裁判所だけでも6年間の審理がされました。その間に第一小法廷で1回、大法廷で2回の口頭弁論が開かれました。2回目の大法廷の口頭弁論は、議論がまとまらないうちに最高裁判所の判事がどんどん定年で退職していく。メンバーが替わってきたので、もう一回口頭弁論を開いた、というのが実情であります。もちろん、この事件は損害賠償とか、他の論点もありましたけれども、最高裁判所の合議がなかなかまとまらなかったのは、まさに差し止めについてどういう判断を下すか、ということだったと聞いております。最高裁判所で6年間もかかってですね、ようやくその裁判ができるのかできないのか、ということが判断されるといったふうなことはですね、これは他の国の人が聞いたらどう思うだろうか、というふうに思うわけでありまして、そういった利用ができるかできないか、といったことについて、あるいはどういう方法でやるのか、ということについては、これは誰が見ても分かるような形で、さっき芝原委員がおっしゃいましたけれども、別に法律の専門家でなくても、こういう訴訟ができるんだ、ということが分かるような形でなければならない。それがこういった現状ではですね、いかにも、我が国の法文化が未熟であるかということを示すものである、というふうに思います。
 それから訴訟制度というのは、当事者が対等でなければならない、というのが訴訟の大原則であります。しかしながら、行政訴訟については対等でないということはこれまた言われているとおりでありまして、審議会の意見書におきましても「行政庁に対する信頼と司法権の限界性の認識を基礎とした行政庁の優越的地位が認められており、その結果として抗告訴訟が制度本来の機能を十分果たし得ていない」というふうに指摘されているところでありまして、当事者対等の訴訟制度にしなければならないと思います。それから訴訟制度はやはり実効性のあるものでなければならないと思います。今の行政事件訴訟は非常に広範な幅広い裁量権が認められているわけでありまして、裁量権の壁に阻まれている。あるいは訴訟をやっていくうちにすべての事業が終わってしまって訴えの利益が無くなったとして却下されるとか、あるいは訴訟の形式が非常に複雑、技術的なために紛争が一回では解決しないといった問題があろうかと思います。要するに訴訟がやはり実効性のあるものでなければ、これは我々が英知を働かせてそういった制度にする必要があるだろうと思います。
 最後に、民事訴訟との関係でありますけれども、私は以前にですね、抗告訴訟があることによって、国民が何か利益があったのかという思いをしていると申し上げたことがございます。率直な感想でございますけれども、私も行政訴訟を全部廃止してしまって民事訴訟一本でやる方がいいとまでは考えていないのであります。しかしながら、こういった二つの訴訟制度を認めるときには当然のことながら選択の問題というのが生じるわけでありまして、これを排他的に捉えますと今のですね、いわゆる抗告訴訟の排他的管轄といったことが言われて、これが利用者にとって極めて使い勝手の悪いことになるわけであります。従いまして、私は、行政訴訟を残すとしても、民事訴訟と行政訴訟のどちらを選ぶか、ということについては、これは当事者に任せるべきである。行政訴訟がやれるから民事訴訟は駄目である、といった議論はですね、これは二つの訴訟制度を設ける以上は、そういった議論はこの際決別すべきだろうというふうに思っております。したがって、両訴訟を併存させる形で、民事訴訟で必ずしも十分でない部分を行政訴訟でやる。しかし、行政訴訟でやれるからといって、逆に民事訴訟はできないといった議論はしない、ということは大前提になるだろうと思います。そうなると公定力の問題が出てくるわけでありますけれども、これはやはり公定力というのは認めるべきではないし、認める必要もない。これは民事訴訟の場合、私法上の法律関係と比較してみましても、公定力というような議論を行政側だけに認める必要は全くない。これは詳しい議論は今、言いませんが、私は以前からそう思っているわけでありまして、そういう意味では公定力を認めない、ということによってですね、民事訴訟以外に行政訴訟を認めて、そして両方の選択を認めるという方向での改革が必要でないのだろうか。総論的なところでは、そんなふうなことを考えております。

【塩野座長】どうもありがとうございました。今の最後のところは各論の一番核心のところであります。そこにいく前にもう少し一般的なご意見をお聞きしたいと思います。どうぞ、小早川委員。

【小早川委員】私は公定力というのは、交差点でお巡りさんの整理の仕方が間違っていたときにどうしますか、というようなことではないかと、そういう話しも学生にはしているのですが、そういう議論はまた後でします。ただその前提としてですね、今日の芝原委員のプレゼンテーションの中でこれも共感を持ったところなんですが、この行政訴訟改革というのを単に行政事件訴訟法の改正問題だけでなくて、要するに行政全体がいかに、これは座長がいつもかぎ括弧付きでおっしゃいますが、「法の支配」、行政をいかに「法の支配」の下に置くか、というそういう大雑把に言ってですね、そういう立場からものを考えるべきであろうと。従来から行政手続法なり何なり、行政そのものをいかにきちんと位置付けるかどうか、という努力はされてきたわけなので、この行政訴訟の問題というのもそれと切り離さないで、考えるべきであろう、というふうに思っております。そういったからといって、これは司法制度改革審議会の意見書の立場と違うことには多分、ならないだろうと思います。審議会意見書でも司法改革というのは従来の行政改革なんかとすべて根っこは同じで、全体として日本社会の在り方を変える、この国の在り方を変える、というふうな位置づけをしていまして、今のように考えていきたいと思っているわけであります。さしあたりはそれだけです。ただそうなりますと、これは前に私自身の意見を申し上げたときに言ったことと繋がりますけれども、やっぱり行政のプロセスと訴訟のプロセスといかに合理的に繋げていくかということが大事ではないかと。そうすることによって、一方では行政の、これはまさに強調されていますが、行政の中身まで立ち入って、的確に司法がチェックしていくという、そういう仕組みを作るべきであると思います。ただ、他面で最初に言ったことと重なりますけど、行政そのものは何らかの意味で、公共的に必要だからある。有りすぎて、本当は要らないものまであるというところがあったので、それが問題なんですが。しかし、社会にとっては必要な部分というのはあるわけで、そこは単に自由、平等の原理だけではやっていけないところがあるかもしれない。行政にそういうものがあるとしますと、それは行政訴訟の制度のコンセプトを考える場合にも、そういう意味での行政の特別扱いというのは、ある程度はしょうがないのかもしれない、という気はしております。さっきの公定力の話しもそういう話しなんだろうと。

【塩野座長】どうもありがとうございました。どうぞ、萩原委員、何かございましたら。

【萩原委員】個別のことについて、それほど意見を申し上げる力もございませんので、やはり全般的に検討すべき課題といいますか、あと、進め方ということですが、今日、芝原委員の意見を聞きまして、非常に共感をやはりしております。発想的に非常に似ているなというふうに思っておりまして、そこでも出てまいりましたが、司法制度改革審議会で出てきました司法の行政に対するチェック機能の強化の(1)、(2)と2つありまして、いわゆる行政訴訟制度の見直しの必要性とそれから司法及び行政の役割を見据えた総合的多角的な検討と、それは非常に重要だと思いますが、そもそもですね、この改革の審議会で出てきた司法の行政に対するチェック機能を強化するとは何のためか、というふうに私はもうちょっとまた引いてみてみたんですね。要は国民がこれはいろんな表現がありますけれども、経済的な要因を言えば、国民の厚生水準の向上のために、ということ。それが目的であって、そのために行政がどのような役割を果たしているのか、というそれをチェックすると。ですから、最終的にはやはり国民の厚生水準が向上するということが、一番の目標になるかなと思います。そういうふうに考えたときに、非常に今までも何回か検討会がございましたけれども、非常に細かい議論が出てきまして、やはり芝原委員や水野委員あたりがおっしゃったような広い観点からの議論が必要かな、というふうに思いました。その進め方ということなんですけれども、前に芝原委員がおっしゃったんですが、訴訟類型というようなことを先に考えるのはちょっとおかしいと、私もやっぱり法律の世界ではそうなのかもしれないなと思いましたけれども、やはり私なんかも様々な国民の厚生水準を上げるためにいろんな問題がある。その問題がどういうパターンなのかという、そこのところで真剣に考えておりまして、例えば、それはこの改革審議会の報告書に出ているように現代型の紛争の例である環境とか、都市計画の話しとか、そういうようなところに関連した具体の問題がパターンで出てきたときに、それを国民の厚生水準の向上という目的から考えたときに、どう検討していったらいいのかと、そういうふうな視点で見ることが必要なんじゃなかろうかと。一国民の立場からすれば、訴訟はしたくないんです。しないで済むんであれば、しないで自分の厚生水準が高くなればいい。そういう意味でいうと、やはり訴訟に至るまでの様々な行政のプロセスの明確化、そういう意味では情報公開とかそれから、パブリック・インボルブメントみたいな、まだ出来ていないもの、それから政策評価とか、そういう事前の段階での制度の充実、それから様々な環境関連、それから都市計画法制なんかでの実体法での充実化、そういうふうなことがもしうまくいっていれば、訴訟まで至らない。ただ、それでもなおかつ訴えなければいけないときにどうすればいいのか、ということなんですが、あとは進め方ということなんですけれども、これは今後の予定もありますけれども、この年度ということでいうと、それほど時間がないんですね、ですからその一つの考え方としては行政訴訟制度以外の様々な周辺のそういうようなことの整理がある場合に、行政訴訟制度としてどのような改革が考えられるのか、ということと、それらがない場合、これはより現実的だと思うのですが、その場合の改革と、ある意味で2本立てで見ていくと。実際はより現実的な方で考えたときに改革はどうあるべきか、というそういう提言を実際はしていくことになるのかと思うのですけれども、結果としては最終的に現実的なアプローチで、結論を出したにしても、大枠の外側のところに必ず明記してほしい、それが最終的な段階での要望です。総論以外のところはちょっと申し上げられませんので、一応以上でございます。

【塩野座長】どうもありがとうございました、貴重なご意見を頂きまして。今のご意見の後の部分については、今後の検討のスケジュールということとも関係をいたしますが、ありがとうございました。はい、どうぞ成川委員。

【成川委員】私もあまり各論は意見、言えるかどうか分かりませんので、総論のところで。司法改革の中でやはり行政訴訟が取り上げられている、というのは私はやはり今の日本の行政自身がやはり大変不透明性がある、あるいは非常に肥大しておりまして、行政で何でもやるというのに対してやはりしっかりした法律に基づく行政をどう確立していくのか、こういう意識が行政改革意識にもあったと思います。その一つにやはりこの司法による行政のチェックということが課題になり、また具体的にも司法の場自身においても国民がなかなか権利利益の判決がなかなか時間がかかるとか、門前払いされるとか、というふうなことがあってですね、この改革が課題として出てきたと、こう理解しております。そういう意味で行政訴訟制度の趣旨・目的に書いてありますように、国民の権利利益の救済は当然しっかり確立していかなければならない課題。同時に今の行政が本当に法律にのっとってですね、やられているのかどうか、この点についてやはり広く国民からチェックをするという機能をやはり司法に期待するという面が大変大きいと思うんです。それは、今具体的にどの程度できているのか、行政手続法などでですね、ある程度チェックできているという面もあると思いますけれども、やはり国民の法律立法過程で、国民の望んだ立法趣旨に沿ってですね、行政がしっかり行われているかどうかということについて、何らかのチェックをやる。要するに行政自身で内部的にやるということは、やっぱり無理があるわけで、外からのチェック機能がどこまでちゃんとある意味で納得でき、公正な形で、国民が納得できるような形で行われているか、というチェックシステムをやはりしっかり考える必要がある、こう思いまして、二つ目にある行政の適法性の担保というこの観点でですね、これも大変重要である、ということで、あれかこれかということなしに、私は両面できちんと見てですね、その中で本当に行政のこの適法性というのがしっかり担保されているかどうか、その中で国民の権利利益がしっかりそこで確立しているかどうか、というチェックシステムとして司法の現状を分析し、それに沿うような形で改善課題があるということで、この検討会の中で改善課題を、これは訴訟法の改正は当然だと思いますが、その他の点についても是非ご検討して頂きたいと、こう思っております。

【市村委員】行政に対する司法のチェック機能の強化というその言葉は、司法制度改革審議会の意見書の中に強く出てきているわけで、我々もそれがまず具体的に与えられた命題だというふうに理解していることは、皆さん共通だと思います。それはどういう目的のためにやるのか、今二人の委員が発言された、これはまさにそういう目的についての意識をはっきりされたことだと思うのですが、ただ一点私がちょっとさっきから伺っていて気になっていますのは、審議会の意見書の中では、どういう意味で行政の作用をチェックすべきだと言っているのかということは、一度確認しておくべきだと思うのです。その中で例えば、一番冒頭で見直しの必要性について言った部分について、まず「裁判所は、統治構造の中で三権の一翼を担い、司法権の行使を通じて抑制・均衡システムの中で行政作用をチェックすることにより、国民の権利・自由の保障を実現するという重要な役割を有している。」こういうふうに確認した上で、その審議会の議論の中でそうしたことが果たせているかどうかという点について、問題があるという指摘をされて、そして司法の行政に対するチェック機能を強化する方向で、行政訴訟制度を見直すことは不可欠である、というふうに言われているわけですし、もう一回行政に対するチェック機能の強化という意味で出てくるのは、一番最後のところですけれども、「国民の権利救済を実効化する見地から、行政作用のチェック機能の在り方とその強化のための方策に関しては、行政過程全体を見通しながら、「法の支配」の基本理念の下に、司法と行政それぞれの役割を見据えた総合的多角的な検討が求められるゆえんである。」というふうに言っているわけです。少なくともこの中で言われている裁判所にチェック機能を強化せよ、ということはまず国民の権利救済の実効性を上げるんだ、ということを強く求められているんだ、というのは私の認識だったわけでございます。もちろん法の適法性確保というのが重要な役割だということは、私も全く異存ございません。ただ審議会の中での「チェック機能の強化」というのはどういう意味で使われたかということについては、ちょっと今までの委員とは、私はその受け止め方において、異論があります。以上でございます。

【芝池委員】いろんな方のご意見があったのですが、要するに国民のために行政訴訟制度をよいものにしようという点では、一致できるわけでありまして、私としてはそのために下請けの仕事を含めて最後までやりたいと思います。福井委員とそれから水野委員が内容にわたる発言をされました。権利の保護とか、適法性統制、それから公定力の問題ですね、その点については私は意見を留保します。また具体的な段階で議論することがあるかと思いますけれども、要するに国民の権利充実のためにそれに見合う行政訴訟制度を作る、そのためにみんなで努力したいというふうに考えます。

【塩野座長】どうもありがとうございました。先ほどから私の方で申し上げておりますように、こういった問題は何も今日決めるとか、という問題ではございませんで、個別の問題を議論していくときにこちらの角度から見るとこうなると、しかしそれで果たしていいのであろうかということで、別の角度からも見直すということで、進めていきたいと思います。どうぞ、深山委員。

【深山委員】皆さんの言われることで特に異論がある、ということを申し上げるつもりはないんですが、一つはどなたか先ほど言われた中で触れられたと思うのですが、これは私自身も仕事柄新しい訴訟制度の在り方をいろいろ考える、というときに大前提として、当たり前といえば当たり前ですが、憲法上の枠組みがどうなっているのかということは、前提として考えざるを得ない。司法による行政のチェックというのも元はもともと憲法に由来するシステムですから、もちろん憲法自体について色々な解釈がありますし、ここで憲法論で司法権の内容を詰めるとか、そういうことをする必要は一切ないと思うのですが、しかしながら新たな制度なり、制度の改正を考えるときには現行憲法がどういう枠組みを設定しているか、それは理解の仕方は色々、あるだろうけれども、おおむねこんなところかな、という辺りのことは検討の最初でもありますし、こういう作業をする際には念頭には少なくとも置くと。そこばかり議論しても何も進まないというのもそのとおりだと思います。それともう一つは、制度の在り方について問題があるから直すんで、従前の制度の在り方に固執しては何も意味がない、それはそのとおりだと思いますが、ただ全く類例のない制度を新しく作るわけではなくて、現在、行政裁判制度、訴訟制度があって、それにはもちろん問題があって見直す、というわけですから変える前提としての現行制度との連続性といいますか、先ほどどなたかが言われた法文化の在り方、どういう制度を持つか、まさにそのとおりで既に色々とご批判があるからこそ、こういうフォーラムが設けられたわけですが、一つの法文化としての行政裁判制度を持っているわけで、それに問題がある、だから全部革命的に一から白紙に絵を書くようなことをしようということは、実際に制度を新しくして国民に定着するかとか、裁判所の方での運用が円滑に進むかどうか、ということを考えると私自身は、そうせざるを得ないような大きなものであるなら、そうするべきであると思いますが、そうでない限りは従来の制度との連続性なり、それこそ法文化の承継みたいなことも考える。いいところは、生かすことも考えるしかない。そこらあたりが、チェックされる側ゆえにそう思うかもしれませんが、見直すことは当然のこととしてそういう点も留意する必要がある、その一点だけ申し上げます。

【福井(良)委員】私の方で発言漏れがあるといけませんので。今議論の入り口として間口を広げてですね、幅広く議論するというふうなことは重要なことだと思いますが、ただやはり、限られた期間、時間もあるようですので、ある時期では議論の土俵は絞っただいてですね、関連制度を検討するにしても間口が変わるので、なかなかそこは、ある段階で行政訴訟検討会としてのミッションというものを確認していただきたい。
 もう一点、先ほどありましたように行政改革の根っこは司法制度改革と一緒であると思います。ただちょっと、申し上げたいのはやはり行政改革の場合は行政コスト、ということもかなり意識いたしますので、是非、それだけにとらわれるといけないのかもしれませんが、行政コストという面もあるので、意識をして議論をしていただきたいと思います。その2点です。

【塩野座長】どうもありがとうございました。一当たり、ご意見を伺いましたが、先ほど来、繰り返しておりますように、ここでまとめるというものではございません。ただ、今日のご議論を伺っておりまして、私も共感することがあります。芝原委員に最初にプレゼンテーションしていただいたことに対して、委員の皆様、大体ご賛同の向きが多いかと思います。特に法律家だとなかなかポンチ絵が書きにくいんですけれども、3ページの中身の正確性はともかくとして、やっぱりこういう視点が重要だと思うのですね。自分が、今何をどの辺のところを議論しているのか、といった全体を見る。そのときに法律家は大体、頭の中で一生懸命、論理的に入れているんですけれども、なかなかそれが一般の方には逆に言うと分かりにくいということで、こういう形で整理していただきまして、ありがとうございました。そこで後半ですが、芝原委員は行政に対するチェック機能の位置付けとやっておりまして、司法によるというのをわざと外しておられるのですが、我々に与えられた課題は司法による行政に対するチェック機能という位置付けというところで、司法がこのスキームの中で、どこまで出ていくかという問題があるわけですね。そのときにこの司法によるというのを、割り合い厳密に考えて、まさに司法制度改革審議会のプレゼンテーションでもそこにやや結論が国民の権利救済に重点を置いているところがございます。しかし司法によるといった場合に表題だけを見た場合には司法とは何をするのか、というのはなかなか、一概に決められないところもあります。この点は、実は外国法制研究会でも大体、司法はどの程度やっているのか、特にそういった点も含めて検討しておりますので、例えば国民訴訟というふうにいったときに、それは司法に入るのかね、というのが外国のグローバルスタンダードではどういうふうなのか、ということについてはある程度の報告ができるかと思います。それはともかく我々に与えられた課題はこのポンチ絵のここの部分で大いに議論する。ここの部分についてどういうふうに考えるか、という問題であろうというふうに思うわけであります。そのときに、大きく2つの意味があると考えます。一つは権利救済と行政統制の問題をどういうふうに組み合わせていくかという問題だと思います。今一つは国民サイドから見てどういうふうにアクセスすればいいのかと、つまり日本だと弁護士のところに行ったってだめだよ、ということになるのかですね。それとも弁護士のところもいいけど、まずこういうところに行った方がいいとかですね、国民から見た選択ですね。こういった視点を国民に置いていただいた絵が書けないか、ということです。それはつまりどういうことかというと、今日の話しに出ていましたけれども、国民が司法でのチェックを求めるアクセスポイントがどこなのか、あるいはそのアクセスしやすいようにするにはどういうことなのか、ということだと思うのです。先ほど水野委員からお出しになった具合で、最後に蹴られるとかどっちに行っていいか分からない、というのも私、広い意味でのアクセスだと思いますね。せっかくアクセスしたのに、きちんと扱ってもらえない。そういった点が既に今日の中にも出ておりましたので、国民から見たアクセスバージョンがあるということだと思うのです。我々の課題の一つは司法に対するアクセスをピンポン玉と申しますか、いわゆるたらい回しをできるだけ、少なくするという意味での国民の司法に対するアクセス、というのが今までの中で出てきたもう一つのご議論であろうかというふうに思っております。
 そこで10分間休憩をいたしまして、このままの議論に引き続きでもよろしゅうございますし、それから、今もう既に萩原委員からも出ていましたけれども、検討の在り方、それから芝原委員からも出ておりましたけれどもそういったものについて、自由にご意見を交換していただければと思います。
 それでは10分間、休憩に入ります。

(休  憩)

【塩野座長】それでは時間になりましたので、会議を再開いたします。今後の検討の視点につきましては、さしあたり各方面からご意見も伺いました。休憩時間に思いついたという点もあるかと思いますけれども、最後のフェーズである今後の検討のスケジュールを含めた詰め方ということの中でも、またご発言いただければと思います。そういうわけで予定としては5時20分ぐらいまでを考えておりますが、資料4とそれから、今読んでいただいております、資料1を見ながら、色々ご意見をいただきたいと思います。この点につきましては、全く皆様方のご意見によって進めていくことでございますので、今日全部決まるというわけのものではありません。どなたからでも結構でございますが、はい、どうぞ。

【芝池委員】今後のスケジュールと言われたのですが、この検討会の最終的な結果、それを答申といたしますと、答申はどういうものを予定しておられるのか、塩野座長のお考えがおありでしたら、お伺いしたいのですが。

【塩野座長】その点は座長としては皆様のご意見を承って、皆様検討会委員の意見としてとりまとめるのが私の役割でございますので、今の段階で私としてこう思っていることにはならないと思います。

【芝池委員】そうしますと、法案の形にするということもあり得る、ということですか。

【塩野座長】今のご意見について、私の今までの経験から申しますと、法制審議会は時々、法案そのものみたいなものを出すということですけれども、通常の、私今まで関与してまいりました審議会では、一番固まった形として要綱案ということがございます。しかし、そこのところは議論のまとまり方ということにもよるかと思います。それから、あり得べき形としては要綱案も要綱案であるけれども、そこに盛り切れなかった事項については、こういった点が大事だというようなことを書いた記憶がございますので、そういった選択肢もあろうかと思います。ですから、そこのところはまだいろいろ選択の余地はありますが、ただこれは皆様方のご意見を、それこそ待つことでございますけれども、できるだけここで我々の意見でまとまるものはまとめて、是非実現したいということであれば、そういった方向でご議論をいただきたいと思います。

【福井(秀)委員】スケジュールは基本的にはお示しいただいた線と思うんですが、欲張った言い方をすれば、短期間でできるだけ大量で密度濃く検討するというのがベストなわけですから、基本的にはそれを目指す。だけど、前回の行訴法改正でも7年ぐらいかかっているということですから、今回のように1年強でやるというのはかなりアクロバティックなことを要求されているという制約もあると思います。もちろんできることを1年ぐらいでまとめることは重要ですが、それで行訴法改正が全部終わりということでなくて、とりあえずまとまったものはこれだけだが、例えば第2便以降にこういう課題はいずれ来るべきというものを示す。10年先とか20年先というのではなくて、例えば3年とか5年先ぐらいまでに、もし必要なら別の機関に引き継ぐような課題というところまでは是非、整理していただければと思います。できるだけたくさん、密度濃く、が望ましいと思うのですが、もし時間との戦いということがあるとすれば、2段ロケットのような形も是非、検討会として考えていただければと考えています。
 そのスケジュールあるいは前半の議論にも関連することを今日、配っていただきました税務経理の私のエッセーにも書かせていただきました。是非訴訟類型や訴訟の技術的事項というよりは、今の行政訴訟制度には、行政庁にとっても、国民側にとっても、こういった点で落とし穴が多いとか、こういう点で間違えやすい、こういう点で不自由しているなどという実際上のニーズが、水野先生からもご指摘ありましたように、一杯あると思うのです。私自身も被告の立場でいうと、本当に落とし穴を一杯掘らせていただいて、勝たしていただいたという事件が、多いものですから、武器対等の観点での問題意識はあってよいと思うのです。ここが不自由だから直すという意味での機能的アプローチを取っていただけると、あとはある意味で法制局の職人さんたちがやるべきことですから、この制度のここが使い勝手が悪いとか、民事訴訟はこういう場合に排除されていて本当にいいのか、というような問題の立て方を、当面是非やっていただければと思います。

【塩野座長】どうもありがとうございました。後半部分は私、先ほどアクセスという、ちょっと横文字で申し上げたところですけれども、その中に入ると思います。どうぞ。

【小林参事官】どのくらいになるかというのは、今後の検討の進め方、皆さんのご意見等を承りながら、決めていくことになるんだと思うのですが、計画上は本部設置期限までにというのがこの行政訴訟の見直しの計画になっております。

【塩野座長】一段ロケットを飛ばした後、どの程度の時間があるかという、そういった問題もあります。一段ロケットを早く飛ばせば、後は時間が取れるというような、そこでごちょごちょやっていれば、いつまでたっても終わらない。はい、どうぞ。

【市村委員】今日、お配りいただいたこの参考資料を見せていただいても、確かにここで色々、議論が出たって必ずしも、特定の方だけがおっしゃっているわけではなくて、複数の方からご指摘のあったところで十分、どれもが議論するべき事項なのだというふうに思います。ただ、やはり前々から、私と、皆さんが懸念しておりますように、時間の制約ということを考えております。そして、こうした中で設けられた審議会で、何らかの成果というものに繋げられないということは、この審議会全体の責任だろうと思いますので、できるだけ結果を出したい、とういうふうに委員の一人としては思います。
 それで一つ、ご提案なんですが、今日出していただいた目次で言いますと、まず「第6の訴訟費用等について」というここの中身は、先ほど塩野座長がおっしゃられたアクセスの問題ではありますけれども、同じアクセスでも民事訴訟とその他の訴訟と共通するアクセスの問題だと思います。本来的な行訴固有のアクセスというのは先ほどの個々の色々な場面において出てくると思いますので、この第6については、この他にアクセスの委員会がおありになると思いますので、そちらの方で主に議論していただいても足りることでなかろうかというふうに私は考えます。
 それから、後の7、8というのは、「他の法令との関係とそれ以外の個別法の課題について」ということですが、その個別法の問題で処理するのか、一般法の中で処理するのか、というのは当然、一般法の議論の中でやるときに絡んで出てくる問題だろうというふうに思います。 従いまして、これはそれより前の検討をするときに併せてやっていただくという形で、独立の論点としてやるのではなく、並行的にやればいいんじゃないのか、というふうな気がいたしております。
 それから、第9の「基盤整備上の諸課題」ですけれども、これも非常に重要なことで、大事なことだと思いますが、ただ制度をどうするかということの大枠についての議論が済まないと、前提がなかなか固まらないという意味でなかなか議論がしにくい問題であろうと思います。そこで、順番とするとですね、第1から第8までの議論が済んだ後に、やっていただく方が望ましいんじゃないかというふうに考えております。そういうことで私としては、第2から第5までにまとめていただいた部分というのがいわゆる具体的な形の問題であろうかと考えています。もちろん第1の部分というのは非常に大きいことですので、これはどの部分でも出てくると思うのですね。それは縦糸横糸みたいなもので、どこでも制限しないということにして、具体的な提案としては、第2から第3、第4、第5というところ、個別的にずうっと順次、検討していく、ということを柱に進めていただくのが、一番効果を得やすいのではないかというふうに考えております。以上でございます。

【深山委員】今の市村委員のご提案、それ自体私も全くそういう感じがしますが、私はちょっと別のことで、それぞれのこれだけある論点を議論するについて、事務当局は非常に大変でしょうけれども、先ほどの芝原委員のペーパーにもありましたけれども、分析をした資料をきちっと作って、その上で議論をする、そういうことが非常に重要ではないかと思います。ここの論点は非常に簡潔に書いてあって、これこれこういう制度はどうか、と書いてあるんですが、そのどうかという考え方は一体どういう考え方で、何を主張しているのか、それはどういうメリット、デメリットがあるのか、あるいは既存の制度とどういう点で矛盾抵触があり得るのか、というようなそれ自体は客観的なその問題状況みたいなことが比較的、分かりやすい形で全員に示された上で、じゃそれは皆さん共通の認識として、決めとしてはどういうふうな方向にいたしましょうか、という議論をする、という方が議論の時間が短縮できると思います。それから私も同じようなことを毎回、法制審議会でやっておりますが、今回は20ページ程の資料ですけれども、私が実際にやっているところではもっとたくさんの資料、30ページ、40ページの資料を毎回、事前にお配りします。当然のことながら、1週間はないと読めません。週末を挟んだような日程で事前に配布をして、それにはこの論点についてこれまで学説・判例で言われてきた議論、この考え方を取った場合の長所、短所、あるいは他の制度との関係ということは事務局の説明資料として全部書いて、特にこういう点は皆さん是非、議論しましょう、ということまで整理したものを、まあどうしても分厚くなりますが、そういうものを事前に時間を置いていただければ、具体的な論点の検討として7回一応、予定されていますが、この7回で今、市村委員が言われた2から5までですかね、一当たり議論するだけでも、そういうような準備をしていただかないと、私なぞはとても日頃から行訴法を研究しているわけでもありませんし、本業をやりつつ、週末に一生懸命資料を読んで、考えるということにならざるを得ませんので、それは是非、大変だというのは同業者としてよく分かりますが、夏休みもあることですし、お願いしたいと。あと、それからそういうようなもので議論をすると、時間がですね、3時から5時半でこれまでずうっときていますが、これは自分の首をしめる話しでもあるんですが、午後一杯使うと。私自身はいつも1時から5時まで、場合によっては5時半、6時まで月1ぺん、多いときには月2へんやっていますが、法制審議会でもそれぐらいやっております。従って、ここでも2時間半でやるというのはちょっと難しいのではないか。回数を増やすのはいろんな関係で難しいということもあるでしょうから、だとすれば今度は時間を少し延長することを、個別論点の検討についてはお考えになった方がいいんではないかと思います。

【塩野座長】まだ事務局は直ぐに答えは…。私が引き受けますというわけにはいかないので。

【小林参事官】検討会の皆さんの総意であれば、対応することになると思いますが。

【塩野座長】そのときにですね、注意しなければいけないのは最初に事務局できちんとした資料を作ってしまうと、事務局主導ではないかというご批判があるといけないと思います。そういうことの批判がないように適宜目配りの効いた資料を作っていただきますけれども、後になってからですね、あの資料は事務局主導で、自分の知らないところで作ったんだから、それは検討するに値しない、というようなことは言わないでいただきたい、というふうに思いますが、そういうことを前提にしてこの会議の議論の密度を上げるために、できるだけの資料を事務局に作ってもらう。ただ、その作成の過程ではいろんな形で委員の皆様方にご意見、あるいは場合によってはむしろ資料の提出をお願いする、ということで事務局だけに資料集めというのはあれですから、例えばこういったご提案があるんだけれども、提案についてはどうもよく分からないから、もう少し資料を下さい、というようなときには是非、応援をしていただきたいと思います。
 それから3時開会というのは、京都、大阪からお出での方のことを考えてのことでございまして、これは委員の遠方の方の皆さんに大変、ご足労かけることになると思いますが、どっちかというと、私も2時間半では短いと思っております。そのときに早めにお越しいただいた方がいいのか、夜、最終の新幹線でお帰りいただくのがいいのか、どちらかのご選択は、色々ご予定もあるかと思いますから、大体どちらの方がよろしいですかね。

【芝池委員】3時というのは中途半端なんですね。私は1時からでも結構です。水野先生は。

【水野委員】私も何時からでも結構です、1日空けておりますから。10時から5時までやってもらっても結構です。私は深山さんと同じ意見ですから。

【塩野座長】では時間のことについては本当にありがとうございました。ご協力いただければ事務局もそれなりに対応すると思います。ありがとうございました。

【福井(秀)委員】塩野先生にまとめていただいたとおりで、まったく異存ございませんが、特に論点の補強資料を作るときに、誰かが言っていることが中心だと思いますので、よく事務局の方でその言っている方とよくご相談いただいて、問題提起の趣旨が過不足なく現れるようにご配慮いただけるようにお願いしたいと思います。

【塩野座長】それからこれも人に頼んでいて、私一人できばることはできないんですが、後ろにおられる研究者の方々に外国法制について密度の濃い議論をしていただいて、ペーパーが出る予定でございます。そうしますと、この問題については外国法制はこうなっているという資料が、9月にプレゼンテーションを簡単にしていただきまして、そのことを織り交ぜた形で外国法制の資料は付けることができるということも申し上げます。
 それから今のようなご提案もございましたので、ちょっと私の方からも技術的なことで、お伺いしたいんですけれども、つまりここは漏れがあってはいけないということで、一生懸命事務局が拾い出したものでございます。そういたしますと、並べ方、あるいは論理過程を辿っていくと、必ずしもこういうふうな形ではなくて、もしご議論いただくとなると、こういう並べ方があるとかですね、あるいはこの項目はこちらの項目で議論した方がやりやすいとか、そういうことがいくつか出てくると思います。そういうことも含めて、事務局の方で資料を作ってもよろしいかどうかということでございますが、その点は如何でございますでしょうか。例えば、最初のところの民事訴訟との関係で、先ほど水野委員が言われたように取消訴訟と民事訴訟は常に並行でなければいけないということをこの段階でやられたのでは一向に進まないと思います。それが前提で一歩も引かないなんて言われると、別の方で引きようのない人もいますので、そういった点は取消訴訟のところで、どういうふうに考えていくかというような形で議論をするというようなことだと思いますが。特に1,2,3のところは基本的なものの考え方ということで、今日大分伺いましたし、先ほど市村委員からのお話しでもここは全体に、第1のところは全体にどこでも顔を出すことがあるというようなご指摘もございましたので、そういうことで第2の点から段々に行くということになろうかと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。第2の中でもここで並べた形とちょっと違う形で、お見せするということもあろうかと思います。はい、どうぞ、小早川委員。

【小早川委員】質問ですけど、予定で10月はフリートーキングになっておりますが、今のような具体的に、例えば第2、第3、これを検討するのが11月からという感じでしょうか。そうしますと10月はどういうことをやるのか。

【小林参事官】事務局として、一応の案としてここにフリートーキングを1回入れて、意見募集の結果とか、外国事情調査の結果報告もありますので、その後、すぐ個別の論点に入るのがいいかどうかというのは若干、疑問があったものですから、こういうスケジュールを一応、案として作っておりますが、具体的にどうしたらよろしいかはまたこの検討会でのご検討の結果、お考えいただければと思っているんですが。

【小早川委員】それは9月のときに最終的に決めればいいと思うのですが、あまり仕切りに時間をかけている必要はないかなと。立ち上がりを早くした方がいいと思って。

【塩野座長】ご意見有り難く承りたいと思いますが、できれば9月のときにこの10月に予定されているであろうフリートーキング、今後本当にどうしましょうかね、というようなところである程度、ここで固まれば10月から今の論点についての検討1を始める、ということももちろん可能ですので。意見募集の結果がどういうものが出てくるか、ちょっと見当がつきませんものですから。

【小早川委員】それと絡むかもしれませんが、ここでの議論の有様は公開されるわけですけれども、やはりある程度のところで何を主要論点と検討会としては考えて、こういう観点から議論をすると、いう程度のですね、要綱案を作るかどうかはそれはともかくとしてですけれども、そういう形で国民に対して審議の現状、問題の提示をする、というようなことをお考えなのかどうか。

【塩野座長】ここはちょっとよく資料を見てみないと私、今のところ何とも言えないところがあるのですけれども、さしあたりですね、今皆様方のご感触では、第1は常に頭におくとして、第2から入っていくということになると思います。そのときにその個別の項目で、これは第1段ロケットでは無理だとかですね、あるいはこれは行政訴訟とは関係のないことではないか、というようなことで論点が落ちていくというのがあると思うのですが、ただこういう形で、毎回上からずうっと降りてきますとあらかじめ第2から第5までのうち論点はこれこれでございますというのを早めに出すことはどうも困難ではないかというふうに思います。私も最初の頃は主要な論点だけでどんどんやるということもちょっと考えたこともあるのですが、しかしこれだけいろんな方からご意見が出たときに最初の段階でこのご意見は主要ではございませんので、もうあきらめなさいというのもこれもいささか問題があります。それから国民の皆様からも幅広いご意見を承るということでございますので、論点を逐次議論していく段階で、この論点はどうしますか、ここで取り上げて、あるいは要綱案、あるいは第1段ロケットの中身まで立ち入るのはこういう論点だ、ということはおそらく毎回場合によっては決まってくるのではないかというふうな感じはもっております。

【小林参事官】多分、座長が今お話しのような流れになっていくのではないかと、ただ小早川委員からのご指摘のようにある程度の段階では、この検討会としてこういう点を重点に検討するんだよという国民への発信は必要になるのではないかというふうに事務局としても考えているんです。それがどの時点がいいのかというのはもう少し、検討を進めながら、お考えいただきたいと思っておりますので、それはいずれそういったことは必要ではないかというのは念頭においていただきたいとは思います。

【芝池委員】この目次で見る限りですね、第3の取消訴訟についてのところが割合と詳しいですね。これは現在の行政事件訴訟法の取消訴訟中心主義を無意識的かもしれませんけど、反映しているのではないでしょうか。例えば、行政訴訟の類型のところに、義務づけ訴訟が入れられています。しかし、義務づけ訴訟を法定するという意見が割合と多いですね。そうしますと、この検討会では義務づけ訴訟を導入するかどうかをまず検討しますけれども、それに加えて、義務づけ訴訟についての原告適格とか、出訴期間とか、仮の権利保護などの問題があるわけです。そういうものも考える必要が出てくるわけでありまして、そういうふうに考えますと、目次どおりにはいかない、という気がいたします。

【塩野座長】おそらくそうですね。ただ、取消訴訟のところで一緒に議論をするか、例えば取消訴訟で執行停止、仮の救済のところで、当然、わざわざ仮の救済と書いてあるのは、執行停止以外のことを考えているわけですから、そうするとそれは義務づけ訴訟のお話しというようなことに、一応含んではいます。決して取消訴訟中心主義でこれが出来上がっているものではないので。これは皆様の意見を集めただけですので、整理されているわけではない。
 今日は先ほど、芝原委員から今後の進め方についてのご意見を先ほど承りましたが、その点との関係で、何か芝原委員、付け足しあるいは強調したいという点がございましょうか。進め方、例えば要綱でいくかどうかという話しは一応はしてはありますが。

【芝原委員】先ほど、深山委員の方からも課題等をきちんと整理するのが必要ではないかということは私もやっぱりそう思っています。何が問題で、どうやっていくかということが議論の前提として共通認識がないと、あるいは国民の方にも示されないと、やっぱり議論の深みが足りないのではないかと思います。是非、そういう方向でお願いできたらと思います。

【塩野座長】それからできればですね、このせっかく色々な形での幅広い検討をすべきだというご意見も出ましたので、土俵の仕切りをあんまり繰り返すと、あれかと思いますので、今まで出たご意見、それから芝原委員のポンチ絵も含めてですね、国民の皆様方に分かりやすいような、絵を是非、書いてみたいというふうに思っております。事務局はどうしてもやっぱり条文でしか頭が考えられませんから、芝原委員、萩原委員、ちょっとお助けいただいて、こういうふうに書くと分かりやすくなる。フローチャートでもですね、というようなことはお願いしてよろしゅうございますか。それを9月ないし10月に披露して、それぞれもう一度共通の認識を高めたいと思いますので、よろしくお願いします。芝原委員、萩原委員にまずお願いして、福井さん、どうぞ、一緒に考えていただいて。ということをお願いしてよろしゅうございますでしょうかね。それは是非、お願いしたいと思います。そこで、そういたしますとやや技術的なことになりますが、今後の進め方について、もう少し細かなことで、事務局の方から、まず9月、10月のことについて、ご説明をいただきましょうか。私の方から場合によっては補足いたします。

【小林参事官】先ほど、資料4のところに第7回、9月24日でございますが、国民への意見募集の結果の報告と外国法制研究会の報告をする、ということをしてはどうかと思っております。国民への意見募集の状況でございますが、先ほど休憩時間中にお手元にお届けいたしました広報資料という形で、既に7月の1日からインターネット等を通じて、広報を図って、意見募集をしております。既にいくつか届いております。8月23日まで、という形で今後ともなるべく広く、広報をしていきたいと、様々な媒体を使って、広く意見を聞けるような広報体制を作っていきたいと思っております。その結果について要旨にまとめて、報告をしたいということでございます。
 それから外国法制研究会につきましては、夏休みの間にもこれをもう一回開いた上で、準備をして、9月24日のときには報告をしたいと思っております。ですから、先ほど小早川委員からご指摘のありました10月、フリートーキングと書いてあるんですが、場合によってはそれを踏まえて、ここで今後どうするかというような意見を伺う時間も取った方がよろしいでしょうかね。
 (委員から特に意見なし)

【塩野座長】そうするとじゃ、9月から4時間コースということで。ご予定は大丈夫ですか。もう9月の予定、入っているとあれですが。では1時半から5時半までという形で。深山委員、どうもありがとうございました。

【水野委員】10時からというのがありましたね、1回だけ。

【小林参事官】これは委員のご都合が合わなくて、午前しか入らなかったときがあったのです。

【芝池委員】それで、それに関連してでございますけれども、これ日程はもう動かせないということですか。

【小林参事官】これはかなり厳しく日程は調整したものですから、相当、1日でも動かすと、出られない方がどっと出てくる可能性がありますから。

【水野委員】12月ですか。

【小林参事官】12月の予定は非常に厳しかったですね、確か調整が。

【芝池委員】これは私、講義が入っておりまして、出れるかどうか。

【小林参事官】12月17日ですか。ただ、12月の話しですから、もう一度検討してみます。

【塩野座長】この日、1時半から始めると都合の悪い方はございますか。

【芝池委員】私はそもそもその日は都合が悪いです。

【小早川委員】私は夕方、演習があります。

【塩野座長】1回ぐらい休むことはできますか。それではこの日は1時半からということで、芝池さんも何とか。

【芝池委員】調整します。

【塩野座長】ではよろしゅうございますか。じゃ17日も1時半から、あるいは場合によりましては1時からの方がいいやということであれば繰り上げますが、1時半から5時半まででよろしゅうございますか。それでは日程も決まりましたので、何か特に今の段階で、ご発言があれば、承りたいと思います。成川委員、どうぞ。

【成川委員】9月24日に外国事情調査結果と、ご報告いただけるということですが、先ほど座長もおっしゃいましたけれども、これについては是非、行訴訴訟制度のみでなしに、行政と司法の関係についてですね、諸外国ではどんな形になっているのか、日本との違いなんかも是非、触れていただいてご報告いただけたら、と思いますのでよろしくお願いいたします。

【塩野座長】分かりました。時間との兼ね合いもございますので。

【福井(秀)委員】今のご指摘とも関連するのですが、是非、外国法の論点は、今日のまさにフリートーキング資料の論点のようなことが外国でどうなっているのかという観点で、対比ができるような形でお出しいただければと思います。可能な範囲でもちろん結構ですが、こういう論点については外国ではそもそも論点としてあるのかないのか、あるとしたら日本と違ってこう処理されている、というようなこともご披露いただければと思います。よろしくお願いします。

【塩野座長】外国法の研究で、私が研究者にお願いいたしたのは、外国法そのものはご紹介いただくには及ばない。ものの見方として、日本人がこう考えているのだけれども、外国人はどう考えているのだろうか。つまり、義務づけ訴訟は三権分立から問題だと日本人は言っているけれども、本当にそうなのか。あるいは公定力はなきにした方がいい、ということを言う日本の方もおられるけれども、じゃ取消訴訟の排他的管轄みたいなものは外国にはないのでしょうか。あるけれどもこうだとかですね、ないけれども実際はあるんだとか、そういった議論を進めています。ただ、それぞれ研究者の方も色々とお忙しいと思いますので、あまり幅広くお願いできないということもございまして、例えば第6の訴え提起の手数料、これはお願いしておりません。勘弁していただきたいと思います。それから、後のところは大体は拾われているというふうにお願いをしていると思いますけれども、若干漏れるところがあるかもしれませんので、そのときにはですね、9月に是非、この点はもう少し後でもいいから調べていただけないか、というようなお願いが検討会から出されれば、それはまた個別に対応していただくかどうかという、そういうことになるかと思います。今のところはこの資料の第1を前提にしながら重要な論点を拾っていただいているところでございます。

【水野委員】当日、あるいはそれより前に資料をいただけるかと思うのですが、今まで公表されておる外国の法制度の紹介の文献があると思うのですが、夏休みに勉強する意味で、これが一番適当だと、古いものは読んでもしょうがない。これだけ読んでおいたらいいというものをご紹介頂けませんか。

【小林参事官】主要な論点についてですね、各国の論文というのをまとめたのがですね、ファイルの1冊ぐらいになるのですが、それは今事務局で作っていますので、日本語のものをですね、その写しをお届けいたしますか。

【塩野座長】ではご希望に応じてということで。

【小林参事官】少なくとも今、お二人の発言がありましたので、基本的にはお届けするということで。

【塩野座長】他に何かございましょうか。それともう一つこれは私からのお願いでございますが、今後段々問題が、厳しい問題が出てくると思います。そのときに是非、双方の意見を聞いてできるだけ、先ほど市村委員もおっしゃりましたけれども、できるだけ成果物をきちんとしたものを出して、まずこれだけは外国に見劣りはしないようなものを、あるいは国民のアクセスが容易になるにはこれだけのものは是非とも必要だという点については、意見の一致を見た形で取りまとめていきたいと思います。もちろん自由にまずご意見を交わしていただいて、しかしまたそこは色々な意見が出るということを踏まえた上で、ご意見をまたまとめていただければというふうに思いますので、この点は座長から勝手なお願いでございますけれども、よろしくお願いいたします。

【福井(秀)委員】意見募集なんですが、この期間が終わったあと、各個別論点を議論するような公開議事録等を見て、意見を出してくることが可能なのかどうか。それからこういう意見募集を、今後ある程度熟した段階でまたまとまった形でされることになるのかどうかという2点をお伺いしたいのですが。

【小林参事官】第1点の方はですね、その意見募集以外にも一般的な意見募集の項目が首相官邸のホームページにございますので、いつでもいただけるということになっております。それから第2点の点については先ほど小早川委員がおっしゃっておられたことと同じようなところでですね、ある一定の段階で、検討会でこういった点について国民の意見を聞きたい、というような形でご意見を、基本的な論点をまとめていただいてですね、本当はやった方がいいのではないかというのが今の事務局の、担当者の意見でございます。

【福井(秀)委員】今の意見募集はホームページだけなんですか。それとも個別に大学法学部とか学会とかに。

【小林参事官】大学にもご案内をしております。

【福井(秀)委員】弁護士会とか。

【小林参事官】はい、こういう形でやっておりますので、皆さんからご意見下さいという形でご紹介しております。

【塩野座長】途中の意見募集で、正式に意見募集をするときに、ちょっと問題になりますのは、これは正式なパブコメではありませんけれども、1ヶ月間ぐらい期間が要りますのですね。それからさらに機関決定が必要だというようなご意見の場合もあるのですね、そうするとその機関は1ヶ月に一遍しか、集まらないので、それは無理だというそういう形がありますので、果たして正式なですね、意見募集という形で構えてやった方がいいのかどうか、これは特に期間が狭まっておりますので、場合によってはもうインターネットにどんどん出る世の中ですので、この議論の議事録が正式にできる前に、あるいは議事要旨みたいなものをどんどん出して、ご意見がある方はどうぞ、とそういう柔軟なやり方もインターネット時代にはあり得るのかなというふうに思います。その辺は色々ご経験のおありな方も多いかと思いますので、意見募集の集め方についても、また色々良い知恵を出していただければと思います。

【福井(秀)委員】そうしますと今日の資料1とかその他の配布資料、非常に意見募集を提出する方にとって参考になると思いますが、資料はもうホームページに今日から掲載になるんでしょうか。

【小林参事官】議事要旨を数日以内に急いでまとめましてですね、議事要旨と一緒に載せることになります、通常。ですから数日以内には。

【福井(秀)委員】そうですね、是非急いでいただいた方が、今、塩野先生がおっしゃった意味でも有益だと思います。

【小林参事官】かしこまりました。

【塩野座長】それでは本日の会議、もし特にご発言なければ終わらせていただきたいと思います。どうも色々ご意見、いただきましてありがとうございました