トップ > 会議等一覧 > 司法制度改革推進本部 > 検討会 > 国際化検討会 | |||
国際化検討会(第1回)議事録
【齊藤参事官】第1回「国際化検討会」を開催させていただきます。
【山崎事務局長】事務局長の山崎でございます。よろしくお願い申し上げます。
【齊藤参事官】それでは恐れ入りますけれども、ここで一旦報道関係の方は退室願います。 (報道関係者退室) 【齊藤参事官】この後、議事の公開の在り方について御協議願います。その前にまず配付資料の確認をさせていただきます。
【バイヤー委員】ヴィッキー・バイヤーと申しまして、現在はモルガン・スタンレーという証券会社の法務部で働いており、以前は10年間学者の役割でオーストラリアの大学とアメリカのテンプル大学等で教えたこともございます。
【柏木委員】東京大学の柏木です。国際取引法を専門にしております。東京大学に移ったのは、今から約9年前でありまして、その前は商社の法務部におりました。その関係で世界各地を回りまして、たくさんの弁護士さんとお付き合いをさせていただきました。
【加藤委員】加藤と申します。私は根本特殊化学という中小企業に今在席しておりますが、それ以前は中小企業金融公庫という、今、新聞紙上をいろいろと賑しておりますが、特殊法人におりまして、中小企業を数多く見てまいりました。そういう立場で幾つかお話ができればと思っておりますが、基本的には法律については全く素人でございますので、お教えをいただきながら進めていただきたいと思っております。
【久保利委員】久保利英明と申します。弁護士でございます。約30年弁護士をやってまいりまして、企業法務を中心に、知的財産権を含めていろいろ仕事をさせていただきました。現在は日弁連の副会長という立場でございますが、これは3月末までのことでございまして、あと長いお付き合いは日弁連の役員としてではないお付き合いになるんだろうと思っております。
【下川委員】外務省のサービス貿易室長の下川でございます。外務省に入省いたしまして18年目でございます。去年の7月から現在のポストにございまして、WTOのサービス貿易交渉に関わることになりました。
【下條委員】下條正浩と申します。弁護士になって今年が30年目になります。経歴といたしましては、1979年から1984年に掛けて、アメリカで留学及び研修をしてまいりました。アメリカではミシガン大学ロースクールで1年学び、その後ロスアンゼルスに行って現地の法律事務所で働きつつ、カルフォルニアの資格を取りました。現在所属している事務所は日本の弁護士の数が約110名ということで、大手の法律事務所に所属しております。
【道垣内委員】東京大学の道垣内正人です。国際私法及び国際民事手続法を専門としております。国際民事手続法の中で外国法事務弁護士の問題に触れることができればいいんですが、なかなかそういう時間もございませんで、必ずしも専門家というわけではございませんけれども、外国法事務弁護士法につきましては、これまで2度ほど改正のための法務省と日弁連との研究会に参加させていただきまして、難しさは少しはわかっております。
【乗越委員】外国法事務弁護士の乗越と申します。もとは国家公務員で外務省で10年間過ごさせていただきました。その後イギリスに渡りまして、イギリスの資格を取りまして、現在、東京にありますリンクレーターズ外国法事務弁護士事務所ということで、主にイギリスの企業法務について仕事をしております。
【西委員】東京法務局訟務部長の西と申します。どうぞよろしくお願いします。
【玉井委員】東京大学の玉井でございます。やってくれないかという御依頼を受けましたときに、柏木先生もいらっしゃいるし、道垣内先生もいらっしゃるというので、余り貢献することはないのではいなかと思っておりましたけれども、余り角の立つことを申し上げしてもどうかとも思いましたので、やらせていただきました。
【波江野委員】最後になりましたが、小松製作所のコンプライアンス室の波江野と申します。
【齊藤参事官】どうもありかとうございました。
【山崎事務局長】山崎でございます。私、法曹になってから31年になります。もともと裁判官でございますが、最近17、18年はほとんど法務省の方に来ており、民事立法関係、司法制度関係あるいは訟務関係をやってまいりました。
【松川事務局次長】事務局の次長をしております松川と申します。
|
【齊藤参事官】私、参事官の齊藤でございます。私は弁護士なんですが、推進本部の事務局のスタッフとして仕事をさせていただいております。
【事務局(平瀬参事官補佐)】参事官補佐の平瀬と申します。どうぞよろしくお願いします。 【事務局(黒田参事官補佐)】同じく黒田と申します。よろしくお願いします。 【事務局(矢野主査)】主査の矢野と申します。よろしくお願いします。 【齊藤参事官】次、法務省お願いします。 【法務省(大塲参事官)】法務省大臣官房司法法制部参事官をしております大塲でございます。法務省は司法制度、弁護士制度、外弁制度と言った司法制度を所管しておりまして、この検討会でいろいろ司法に関わる国際化について検討されるということでありますので、国際化について皆さんの御意見を賜りながら勉強していきたいと思います。
【法務省(石山部付)】法務省司法法制部の石山でございます。よろしくお願いします。 【法務省(笠原補佐官)】同じく法務省司法法制部の笠原でございます。よろしくお願いします。 【外務省(大塚事務官)】外務省サービス貿易室の大塚と申します。よろしくお願いします。 【内閣官房(松永参事官補佐)】内閣官房副長官補室の松永と申します。どうぞよろしくお願いします。 【日弁連(奥村副会長)】日弁連の副会長の奥村と申します。併せて名古屋の弁護士会の会長をやっておりまして、少し国際の最先端の息吹を感じさせていただくために、担当ではございませんが、同席させていただきます。よろしくお願いします。 【日弁連(外山嘱託)】日弁連国際室というところの嘱託をしております外山と申します。よろしくお願いします。 【日本弁理士会(小倉副会長)】弁理士の小倉と申します。ただいま日本弁理士会の副会長をやっておりまして、弁理士会の中でも司法制度対策委員会という会議がございまして、その中でハーグ条約の関係であるとか、WTOの関係のGATS、こういった問題について取り組んで参りました。弁理士登録は25年が経ちます。
【齊藤参事官】ありがとうございました。
【波江野委員】僣越ですけれども、メンバーの中で柏木先生に座長をお願いしたいと思います。 【齊藤参事官】ありがとうございます。
(「賛成です」と声あり) 【齊藤参事官】よろしいですか。
(柏木委員座長席へ移動) (議事の公開について協議の結果、議事の公開について、次の取扱いとすることとなった。
(報道関係者入室) 【柏木座長】それでは、次の議事に移ります前に、座長として一言ごあいさつさせていただきたいと思います。
【松川事務局次長】それでは、私の方からこの国際化検討会におきます検討事項と、検討事項のスケジュールにつきまして、御説明申し上げたいと思います。
【柏木座長】ありがとうございました。具体的な検討は今後の検討会で行うことにしたいと思いますが、ただいまの説明につきまして、何か御質問がありましたら、お願いします。 【道垣内委員】具体的なお話に入る前に確認させていただきたいのですが、この検討会の位置づけについてもう少し御説明いただきたいと思います。法律、あるいは政令には特に根拠はないんではないかと思いますが、先ほどの御説明では、法案に参考になる意見をということでございましたけれども、最終的な法案の提出は内閣提出だろうと思いますが、それとの関係で、どれほどの影響力がある検討会なのか、その位置づけをもう少し明らかにしていただきたいと思います。 【山崎事務局長】まさにこの検討会の位置づけは、私のところの事務局の私的諮問的な形で設営されているという性格を持つものでございます。そういう関係から、通常の審議会とは違いまして、最終的に答申を出すとか、そういう性格のものではないということを先ほど申し上げましたが、それを基本に考えております。
【下條委員】先ほど事務局次長の方から御指摘がありました例のサービス貿易一般協定との絡みですけれども、昨年の11月にカタールのドーハで行われたWTO閣僚会議で宣言が採択されて、サービス貿易についてのスケジュールが決められたわけです。そのスケジュールによりますと、今年の6月30日までに各国が他の国に対してリクエストを出すと。それに対してリクエストされた方は、来年の3月31日までにオファーを出すというスケジュールになっております。
【下川委員】WTO交渉との関係では、ただいま下條委員から御指摘があったとおりでございまして、具体的に各国の関心事項というものを今のところは、マルチの場で提案という形で表明・議論しておりますけれども、各国に対しての具体的な要望というのは今年の6月になって出てくる。それに対する回答を各国がまた来年3月に行うということでございます。
【久保利委員】今お二方のおっしゃったのと、別の面からの言い方になるかもしれないんですが、要するに、外弁問題というのをこういうスピードで集中的に進めていって、逆にその分だけ弁護士の国際化であるとか、法整備支援というのが、ある意味で後回しになってしまう。だけれども、考えてみると、養成段階からの国際化の問題とか、例えばロースクールに留学生をどうするかとか、しかもロースクールに留学生を入れるということは、アジア地域から例えばロースクールへ留学生に来ていただくということになると、ある意味での法整備支援とも絡んでくるような問題だと。
【齊藤参事官】推進本部の事務局としましては、やはり明確に立案課題とされるものは、できれば優先的に検討を進めていただきたいと考えております。その意味で、国際化検討会では外弁法の改正問題というのは、明確に立案課題と考えられますので、やはりこの課題を中心的に検討のスケジュールは考えていきたいと考えております。
【波江野委員】今の事務局からのお話もよくわかるわけですが、一般ビジネスにたずさわるものとしては、何かやろうとする場合、目標と納期が重要と思います。その上で、できましたという達成感を得るというのは非常に大事なことでして、そういう点で法改正に取り組むという、それもスケジュールに合わせて実行されるというのは異論ありません。一方、弁護士の国際化ですとか、法整備の支援というものは、数値的とか定量的に評価をされるものではないですから、なおこういう場でいろいろな御意見をいただいて検討して取り組んでいくという方向づけというのは必要なのかと思います。先ほど久保利先生からお話がありましたが、テーマとして外弁法の改正ということを最優先で取り上げるということについては、勿論、異論はありませんけれども、国際化ですとか、法整備支援というのは、目に見えないようなことについても、この審議の中で必ず追い掛けていただきたいという感じがいたします。 【柏木座長】ほかに御意見ございませんか。久保利委員がおっしゃられたことについて、やはり中心課題は1番の「弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働の推進」なんだろうと思いますけれども、1−3の資料を見ていると、どうも2番、3番、「弁護士(法曹)の国際化への対応強化」「法整備支援の推進」が、余り文字として出てこないかなということなんだろうと思いますが、これは勿論2つとも非常に大事な問題なので、その辺はおろそかにしないで、是非検討したいと思っております。
【下川委員】検討事項のスケジュールというか、中身にも若干関わってくる話でございますけれども、今、議論ございましたように、意見書ではっきり方向性が打ち出されている話でございますので、「弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働の推進」が中心的課題になるということは全く同じ意見でございまして、特にその絡みで特定共同事業の在り方について議論するということが中心的課題だろうと思いますので、その面でやっていきたいと思っております。これまでのWTOでの議論、それから二国間のいろいろな規制等の流れを見ますと、この絡みで、例えばパートナーシップの問題であるとか、その他のこれに関連する問題もございまして、特定共同事業の在り方について議論していくということが中心にはなってくるんだと思いますけれども、それに関連するいろいろな諸般の問題についても、適宜必要に応じて取り上げる。特にヒアリング等の過程において、何かその要望がなされたりしている場合に、それは特定共同事業の推進ということと直接関係ないから、今回のヒアリング対象にはならないと、そういうふうな形で議論、意見交換の範囲が定められることが少なくともないようにしていく必要があるのではないかと考えておりまして、そういう意味で特定共同事業の在り方に関連する外国法事務弁護士関係、いろんな議論も必要に応じて時間の許す範囲でできるということでいければと思います。 |
【柏木座長】ありがとうございました。多分それは2番の弁護士の国際化への対応強化ということにすべて関連してくるんじゃないかという気がしますので、ヒアリングにおきましても、適宜そういう問題は是非取り上げたいと思っております。 【久保利委員】今の下川委員の発言とも絡むんですけれども、意見書を見ますと、国際化への問題というのは、何か所にも分かれて書いてあります。その中で53ページに国際化への対応第3というのがありまして、その中で書かれているものとしては、例えば知的財産権関係では、総合的な対応強化という、国際的な民事事件の増大に対応するためという記載もあるわけです。
【松川事務局次長】ちょっとよろしいでしょうか。御趣旨は非常によくわかっておるつもりでありまして、いろんな先生方から御発言がありましたように、この問題はいろんな分野に関わりがあることでございますので、意見書の中で中心課題にはなっておりますけれども、その背景となる事項はいろんなところに置いておくという意味では、非常に関連するということで、議論としてはいろんな関連する事項を活発に議論していただくということは有益ではないかと思いますけれども、ただ、具体的な課題である関係上から、一応その中心課題になってくることは念頭に置いていただきたいということでありますので、外弁の問題のところだけを議論するということではなくて、中心課題であるということを認識していただいた上で、いろんな角度から御検討いただくというふうに御理解をいただきたいと思います。 【道垣内委員】久保利委員のおっしゃったことを私の角度から申し上げてみたいんですが、外弁法は大切ということはよくわかりましたけれども、法整備支援につきましては、日本法はしっかりしているけれども、そうではない国があるので支援をするという立場のようです。しかし、果たしてそれでいいのかどうか。国際化という観点から日本法を横に切って検討してみる必要があるのではないでしょうか。最近は特にいろいろな個別の法律は改正され、新規立法されて相当に国際化しつつあるように思いますけれども、そのような個別の対処ではなく、全体を横断的に検討してもっと国際化したらいいんじゃないかと思う次第です。そういった検討項目があってもよろしいんじゃないかと思うわけです。
【柏木座長】ありがとうございました。お話を聞いていますと、多々、問題がありまして、このスケジュールの中で収め切れるかというのは心配になってまいりますけれども、私も事務局と相談しながら、なるべく広い範囲の問題を取り上げるようにしたいと思います。 【下條委員】今、道垣内先生がおっしゃったことに全く賛成でして、現在、私、道垣内先生と一緒にほかの法制審で国際管轄条約のことをやっていますけれども、そういうことをやっていても、道垣内先生は勿論御専門ですけれども、やはり日本の民事訴訟法が余りにも国際化されていないとか、2番目に「弁護士(法曹)の国際化への対応強化」とありますけれども、いろんな法制度の国際化、こういったものも非常に大事じゃないかと思います。卑近な例を挙げれば、例えば、外国に対して訴状を出そうとすると、ハーグ条約か何かに従ってやるとなると、6か月か7か月かかる。これは今の時代に全くそぐわないというか、そういう面もあります。
【齊藤参事官】決して皆さんの御意見に水を差すつもりはないんですが、一応推進本部は3年間の時限で設置されておりまして、その間にもろもろの課題を措置しなければいけないという使命を負っております。したがいまして、検討事項として、確実に成果を求めるべきものと、それから議論というものをめり張りを付けて検討会を進めていく必要があろうかと考えております。
【柏木座長】私も国際取引法などをやっておりますと、日本の法律の国際化が非常に遅れている。一番基本的な民法ですら、外国人に示してわかっていただけるような英訳ができていないというのは非常に大きな問題だろうという気がするんです。まさに訴状の送達でも6か月か7か月掛かる。訴状の送達代理人を置けないとか、大変な問題があるんですけれども、これを全部やっていますと、大変な時間が掛かってしまうわけですがら、弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働の推進ということを中心に進めざるを得ないのではないかということを考えております。
【玉井委員】国際化というのは知的財産権にとっても大変重要な問題だと思っております。時代に即応した制度の整備ができませんと、企業は特許を取る際に重要なものであれば外国でも出願しますので、日本の法が整備されていませんと、真っ先にアメリカで取って、それを基にして英語から日本語に訳して日本の特許庁に出すということが普通に行われるようになります。裁判についても同様です。これでは法務サービスの空洞化がどんどん進むということになりまして、国際競争力にも関わることです。またそういう視点で、例えば弁護士の国際化につきましても、外国での経験がある人がロースクールに入りたいという場合に、3年間という修業年限が要るのかといったことも議論していくべきではないかと思います。 【久保利委員】意見書の54ページに「民事司法の国際化」というのがはっきりと書いてあって、ここに括弧書きで各ポイントがあって、そのうちの1つが、今、玉井先生もおっしゃった国際的な民事事件の増大に対応するため、知的財産権関係事件の総合的な対応強化を始め、民事司法制度を一層充実・迅速化すべきであるとなっていて、民事訴訟の充実・迅速化は国際的な民事事件の増大という意味で、国際化をにらんだ上での話なんです。
【バイヤー委員】私も久保利先生が言っていることには賛成しますけれども、やはりコモンローヤーの立場から見ると、1つの問題を直せば、あとの問題は自動的に少しずつ直ってくると思っています。私にとって外弁問題は、その言葉は余り好きじゃないけれども、問題がある。日本の弁護士と外国の弁護士がもうちょっと協働ができることになったら、日本の弁護士でも考え方が少し国際ビジネスの考え方になるから、当然に民事問題も民法問題も少しずつ直ってくると思う。その分析のやり方が変わるから。だから、今、やっている3つのポイントは、フォーカスをすれば、後のものは自動的に直ってくるんじゃないかと思っています。 【柏木座長】楽観的と言ってはいけませんが、中心問題を解決すれば、国際化というのはもっともっと推進されるんではないかという御意見だと伺いました。 【下條委員】今、バイヤーさんがおっしゃったのは、何か日本の弁護士と外国の弁護士の協働ができていないようなことをおっしゃったんですが、それは大きな誤解だと思います。もう既に外国法事務弁護士として登録されている方で180名近くおられますし、特定共同事業の数も約20あります。そういうことで非常に協働化というのは進んでいると思います。特に最近は特定共同事業でも、大型の特定共同事業が進んでいますので、今おっしゃったのは、まるで協働化ができていないようなことは、ちょっと私としては異議があります。 【バイヤー委員】そこまでは言うつもりはありませんでしたが、うちの会社の目から見ると、足りていない部分がありますので、私が外弁問題という言葉は好きじゃないけれども、問題がまだ残っていることは確かです。今のうちでは、15年前に比べると、よくなっているんですけれども、まだまだ完璧ではありません。 【下條委員】それはまた後ほど。 【久保利委員】誤解があってはいけないんで、私、外弁問題をやるなと言ったわけじゃないんです。これは重要なポイントとしてやるんですが、ほかにもと言って、3つのフォーカスの中、分けてもその中で知的財産権の問題等もありますよということを申し上げているだけですから、そんなに違いは私はないと思います。 【柏木座長】外弁問題に話が移ってきましたけれども、リンクレーターズにおられる乗越委員、いかがですか。 【乗越委員】私自身が外弁だからというわけではないんですけれども、バイヤー委員がおっしゃったように、ある程度私は楽観しておりまして、例えば外弁問題について話す過程で、恐らく日本の弁護士の専門性の問題でありますとか、執務体制の強化の問題でありますとか、そういう話というのは、議論の中でかなりの程度出てくるのではないかと思います。
【西委員】私は元裁判官なんですけれども、裁判をやるときに、裁判の迅速化というのを非常に意識してまいりました。これに対しては、弁護士さんの方が非常に抵抗しまして、余り早く裁判を進めていいのかどうかという議論があった。ただ、新民事訴訟法が施行されて、今の裁判は物すごく早くなった。今、裁判の迅速化ということに対して異論を唱える方は恐らくいないんだろうと思います。
【柏木座長】おっしゃるとおりだと思うんです。やはり、1年も2年もというか、時間に限りがないんであれば、いろんな問題、非常に興味ある問題ですし、重要な問題ですし、それを深く討議するというのは全く問題がないことだろうと思うんですが、やはり時間が限られているということと、その中でどう時間を配分していくかということが問題になるんだろうと思います。やはり久保利委員がおっしゃられたこともよく考慮して、事務局と打ち合わせしながら次回検討しようと思っております。
【加藤委員】まずユーザーとして私は今参加しているんだと思いますけれども、この国際化検討会というのがあって、先ほどの意見書を読ましていただいて参加した、あるいは事前にオリエンテーションもございましたけれども、そういう中で外弁法をまず取り上げるんだということについては、かなり抵抗感があったことは事実で、これだけの国際化の指摘がある中で、なぜ真っ先に外弁法を取り上げなければならないかというところに抵抗感があったことは事実でございまして、むしろ我々実務を行っていて、国際的な問題として非常に切実な問題は、先ほど久保利委員からもございました知的財産権の問題、これは海外における問題でもありますし、我が国の中での、先ほどの裁判の問題も含めてございまして、それをどういうふうにこの検討会の中で取り上げていただけるか、あるいは議論がどういう場面でできるのかということについて関心がございまして、久保利委員のおっしゃるようなことに、どちらかと言えば私自身は賛成でございます。
【齊藤参事官】第2回に日本の外国法事務弁護士制度、法整備支援、こういった観点の実情を検討会の場でよく関係者から説明いただくというところから入っていくつもりでおりますので、まず問題点というのを事務局主導というだけではなくて、問題意識も委員の方々からお出しいただいて、それも十分参考にさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。 【柏木座長】例えば知的財産権の問題とか、具体的な問題の指摘はあったような気がするんですけれども、そういうところも配慮しながら、まさにやっていかなければいけないと思います。
【波江野委員】既に議論が尽くされていると思いますが、国際化というときに、外弁問題のみが出てくるのは、やはり違和感がありまして、先ほどからお話がありましたように、全体をやる中で1つの具体的な方法論、切り口として、最後に外弁問題というのが集約するところで出てくるんでしょうけれども、本来の検討の流れは、久保利さんおっしゃったように意見書にある民事司法の国際化とか刑事司法の国際化というのがあって、それを実現するための1つのところに外弁問題が出てくるだろうと思っております。これは非常に議論しやすいテーマなのか、昔からやっているテーマでもある。
【柏木座長】ありがとうございました。国際化の問題につきましては、多角的にいろんな問題にわたって検討する必要があるというのが多分大勢ではないかという気がいたします。これにつきましては、先ほどの繰り返しになりますけれども、事務局と打ち合わせながら、広い問題にわたって、外弁問題に限らず検討するようにしたいと考えております。
【乗越委員】先ほども指摘がございましたけれども、実務をやっておりまして、私どもの日本国外におりますクライアントから大きな疑問が提示されますのは、そもそも日本法というのはどういうことかわからないという非常に基本的な苦情と言いますか、質問が非常に多うございます。
【柏木座長】確かに日本法がわからないというのは、私は比較法政国際センターというところに所属しております。法学部の中の付属機関ですけれども、そこで外国との学問の交流を推進しているわけですけれども、少なくとも法律の面においては圧倒的な輸入超過でありまして、輸出がほとんどないんです。これは多々理由があるんですけれども、言い訳を言ってもしようがないんで、少なくとも日本の法律に関しては輸出促進というのが非常に重要なんじゃないかということを感じております。
【道垣内委員】今の点、輸出という表現がよろしいかどうかわかりませんが、日本法が準拠法にされないということでは、幾ら弁護士が国際化してもどうしようもないですね。日本法のサービスしか日本の弁護士はできないわけですから。日本法が国際化してはじめて弁護士も国際化するという関係にあるのだという認識で御検討いただければと思います。 【柏木座長】確かにそうなんです。国際ファイナンスになりますと、大きなファイナンスはニューヨーク、あるいはイギリス法が準拠法という傾向が非常に強いですし、外国の人たちと付き合いますと、やはり先ほど乗越委員がおっしゃられましたように、日本の法律がよくわからない。わからないから準拠法は日本法にないんだということ、交渉の過程でそういう意見をよく聞きます。
【バイヤー委員】さっき先生が言いましたとおり、場合によって翻訳ができないから、やはり国際的な分析ができる弁護士が解釈すべきだと私は思います。今は結構渉外弁護士で国際の経験がある方は結構いらっしゃられるんですけれども、経験によって制限があると思います。その制限は国際的なビジネスの考え方をまだ理解していないから、国際的な相談をやろうとするときには、ちょっと足りないと思います。
【柏木座長】ちょっと外れるかもしれませんけれども、国際取引などを教えていますと、法律を教えているのか取引自体を教えているのか、ちょっとわからなくなることがありまして、取引自体、例えばプロジェクト・ファイナンスを教えますと、プロジェクト・ファイナンスの仕組みから日本の学生に教えないとどうにもならないということがありまして、ビジネスも国際化しないと法律も国際化しないという、これまた厄介な問題が入ってきます。多分ここまでは議論しないだろうという気がするんですけれども、そういう因果関係も念頭に置きながら議論はしなければいけないとは考えております。
【齊藤参事官】既に御案内だと思いますけれども、第2回は2月25日月曜日の午前10時から12時30分を予定しております。
【柏木座長】それでは、これで第1回の国際化検討委員会を閉会させていただきます。本日は御協力どうもありがとうございました。 |