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国際化検討会(第12回)議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり



1 日時
平成14年11月21日(木)14:00〜16:30

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第2会議室

3 出席者
(委員)
柏木昇、ヴィッキー・バイヤー、加藤宣直、久保利英明、孝橋宏、下川真樹太、下條正浩、玉井克哉、道垣内正人、乗越秀夫、波江野弘(敬称略)
(事務局)
松川忠晴事務局次長、古口章事務局次長、齊藤友嘉参事官

4 議題
弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働の推進について

5 配布資料
資料12−1 弁護士と外国法事務弁護士との提携・協働についての議論の整理

6 議事

(1)弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働の推進について

 座長より、これまで積み重ねてきた議論と法制的な観点を踏まえて整理した案として、資料12−1が提示されるとともに、事務局より補足説明がなされた。これに対して、次のような質疑があった(○:委員、□:座長、●:事務局)。

○ 今回の議論が何を目的にしようとしているのか良く分からない。まず、検討会の方向性を確認する作業がないとおかしいのではないか。

○ 基本的には、単独雇用に大方の委員の賛同が得られたものと理解している。それを確認して欲しい。そもそも、なぜ2案が出てきたのかが理解できない。このような案が出てきた背景を教えて欲しい。

○ 改革の方向性について、7月の段階で各委員の意見が述べられた。7月以降のプロセスはどのように進められたのか。7月の意見集約は何だったのか。

● 7月には、部分部分の意見が述べられたところである。その後、これまでの議論と法制的な観点を踏まえて整理した、全体のパッケージとしての案を議論する必要があると判断した。意見分布についてはご案内のとおりである。7月以降の作業にここまで時間がかかったのは、事務局の努力不足である。弊害防止については、弊害が何かの議論に時間がかかったのは事実である。共同事業と雇用の形態を通じて外弁の権限外の法律事務を行うことをどのように防止するのか。それは事後規制で割り切れば良いならば、整理案1となる。一方、雇用の関係は共同事業とは質的に異なるという意見があり、この意見を踏まえ、弁護士の指揮監督により弊害防止するとともに、ある程度実効的な担保が必要となる結果、職務経験要件が必要となる、これが整理案2である。

○ どちらかの案を決めてから、その後のステップに進むということなのか。また、事務局案は今頂けるのか。この場は、条文を書き起こす手前の段階でのお手伝いをするとものであると理解しているが、今後の作業の行方が多少心配になる。

● 心配をかけて申し訳ないが、ここまで議論が進んでいるので、おっしゃる意味での議論をしていただくことになるのではと思う。作業の経過は説明させていただきたい。

○ 大多数の委員の意見に沿った案が出てくるのだろうと思っていたが、この整理案のブレが大きく、検討会の方向性がきちんと伝わっているのか疑問に思う。今日の議論の後、フォローアップの機会を作っていただきたい。

● 今までの議論の経過を踏まえる必要があるのはもちろんのことだが、必ずしもこれまでの議論が整理されていなかったことにもご理解いただきたい。

○ 弁護士と外弁とのコラボレーションは、共同事業で行って行くことに反対する人はいない。この検討会は共同雇用から単独雇用に踏み込む能力はあるのだろうか。ここで単独雇用の弊害について議論をしてみても、かなりの部分は想像の域を出ない。それよりも、コラボレーションが必要なのではないか。既に検討の素材提供はされており、それを踏まえ、どういう形態になるのかは様々な判断があるだろう。GATSとの関係など問題の微妙性があり、この場では、ある程度感想を述べてから事務局で議論を引き取っても良いのではないか。

○ 単独雇用で意見集約をして、法改正を行って欲しい。百年に一度の司法改革なのに、共同雇用ではスケールが小さい。せっかく、検討会を設けてユーザーや素人を入れて議論をしてきたのは、大きな司法改革をやれということである。単独雇用の弊害は、実行してみなければ分からない。やってみて目に余る弊害があるのなら、その時に規制をかければ良い。

○ 私は共同雇用に反対したので、整理案3がないのが残念である。検討会は意見を集約する場ではないことは明確であり、検討会の議論をみて推進本部が良かれと思う案を採れば良いと思う。ここで最後に議論する場を設けたのだと理解している。雇用については将来の課題とされており、推進本部や検討会の権限を超えるものである。単独雇用の弊害については、弁護士の独立性への侵害が重要ではないのか。著名な外弁事務所が日本の著作権法に関するレターを送りつけたという悪い事例もあり、外弁が4条違反を冒すのは多くあることである。そこは事前規制していくべきである。事後規制で良いじゃないかという議論は役に立たない。問題を起こした外弁が本国に帰ってしまったら、十分な救済が得られない。また、韓国は日本の動向に注目している。日本が制度をオープンにすると頼りにするところが無くなってしまう。日本は英米の代弁者になるべきではない。なお、大勢が整理案2であれば、それでも良いのではないか。

○ 整理案2が良いと思う。結論よりは理由が大切であり、整理案1については、雇用禁止についての従来の理由がどのように変わったのか、なぜ単独雇用が必要なのかをまとめるべきではないか。

○ 今般の司法制度改革は、従来のサプライサイドの改革ではなく、様々な視点で議論して方向性を出して行くべきであるところ、整理案1の単独雇用については、サプライサイドは落としてくれと言っており、正に視野を広げたことによる論点となっている。これまでの議論では単独雇用まで解禁すべきとの意見が大勢を占めていたところ、今回2案が提示され、これまでの議論は何だったのかとの残念な気持ちである。内容的には、収益分配禁止規定を残すのか否か明らかではなく、以前提示されたA〜D案よりも簡素化されている。また、共同事業が原則禁止となるのか否かも明らかではなく、これまでの議論が集約されているのか疑問である。

○ 検討会の位置付けは承っているが、これまでの検討会の議論とは、かなり違和感のある案が出てくると、検討会の位置付けを考え直さないといけないのではないか。雇用の見直しについては、弁護士と外弁等との提携・協働の積極的な推進の中に含まれるものであり、この検討会で検討をしてはいけないのか疑問を覚える。単独雇用の解禁により、外弁が4条違反を冒す危険性が大きいと言うが、ユーザーの利益を害するような弊害は本当に起こるのだろうか。

○ ポイントは、外弁が権限外の法律事務を行うおそれはどの程度なのかということである。4条違反による外弁の懲戒事例は一件もなく、日本の弁護士と比較して、外弁に重い規制を課さないといけないという議論には、検討会ではなっていないと理解している。ユーザーの視点は重要であり、外弁が日本に入ってくることによるユーザーのメリットも考慮すべきである。整理案2について、ややこしい仕掛けを作ることは、ユーザーから見てもいかがなものか。弊害防止の手当ての中身は何か、職務経験要件が5年以上であるならば間違いがないのかなど、整理案2には疑問を持っている。

○ パートナーシップが自由になるのに、あえて雇用することには、4条違反を行うという合理的な疑いがある。外弁が被雇用弁護士に日本法をやらせたいと思うのは当たり前のことではないか。

○ 繰り返しの議論になっている。未だに何をやろうとしているのか分からない。検討会の方向性のとりまとめをしないと、議論はできない。

○ 今日勉強させていただいたのは、弊害を防止するために、弁護士と外弁を徹底的に分離すべきという意見である。実は、弊害を防止するためには、ユーザーが多少不便でも、特定共同事業のような曖昧な形は許さず、弁護士と外弁を徹底的に分離するとの考え方が第3案としてあって、この案か、弊害を上回る利益があるので、ユーザーの声を聞いて自由化を進める案のどちらかであって、整理案2のような中間的な案はないのではないか。整理案2はないことを確認すべきではないのか。

○ この検討会には消費者サイドの人間はおらず、ユーザーが良いと言っているから規制緩和すれば良いと言うのは、どうかと思う。この問題はWTOサービス貿易交渉のテーマであることから、一旦このような制度を作ってしまうと、最恵国待遇によって、WTOの加盟国に対してあまねく執行しなければならないが、国によっては金で判決を買えるところもあることを念頭において、制度を作っていかないといけない。

○ 外弁のユーザーは法人であり、個人レベルの話で外弁を利用するのはあり得ない。外弁制度は、全国民に適用されるものではないのではないか。

○ 共同事業で足りると言うが、雇用をアプリオリに禁止するのが良いのかどうか議論もあった。弁護士が海外へ進出するという観点を踏まえれば、提携の形態は当事者に委ねれば良いのではないか。

○ 海外で現地の弁護士と提携する場合、彼らに現地法のサービスを期待するのは当然であるから、必ず現地の弁護士とパートナーシップを組むだろう。現地の弁護士を雇用するだけでは意味がない。逆に雇用するだけの人は、おかしい人であると思う。また、国際離婚など、外弁に対するニーズのある個人の問題はある。

○ 審議会意見書には、外弁制度の見直しについて臨機かつ十分に検討すべきであるとされており、雇用の見直しをここで検討してはならないとすることには無理がある。整理案2の中身によっては、現行制度よりも使い勝手の悪いものとなるという指摘はもっともである。弊害防止の手当てについては、その中身が分からない限り、議論ができないのではないか。

○ 法制的には、整理案1でなければ整理案2を選択しなければならないということなのか。

● 事務局として、これまでの議論の経過と法制的な観点を踏まえて、これらの整理案が選択肢であると判断した。整理案2の弊害防止の手当てについては、実行性を担保するために必要であると考えているが、その内容は詰める必要がある。

○ 共同雇用しか認めない上に、弊害防止の手当てが必要というのは、この場の議論ではない。私としては、整理案2の場合、弊害防止のためには共同雇用で十分であると受け止めた。5年要件も不必要である。

○ 共同事業の規制は撤廃するのが検討会の大勢であったのに、5年要件が蒸し返されたのは違和感を覚える。

○ 法務大臣が務まるような人でも、弁護士としての職務経験が5年未満だから、共同事業を営むことはできませんというのは、いかにも過剰規制である。ご再考いただきたい。

○ 整理案2は、単独雇用を認めると外弁が権限逸脱行為に及ぶ危険性が大きいことを前提にしているが、その弊害を防止するための手当てが十分なのかと疑問を呈する人も出てくるのではないか。

○ 整理案1を支持する。整理案2であっても、弊害防止の手当ては全く不要である。弁護士の職務経験要件についても、実態に照らして、それを課す必要はない。

○ 整理案のどちらかと言われれば、整理案1しかない。これまでの議論を踏まえた整理案は、整理案1だけであり、整理案2は出てくるべきではなかった。この場では5年要件について十分に議論しておらず、共同雇用における弊害防止の手当てについても議論がなされていない。仮に、事務局が整理案2を採用するのであれば、それは検討会の意見に基づくものではないことを明確にしていただきたい。

○ 賛成である。

○ 賛成である。

○ 反対である。私は5年要件を維持すべきであり、弊害防止措置は必要でその中身は今後検討すべきであると一貫して言ってきた。少数意見であっても有力意見はあり得る。

○ 整理案2を支持する。

○ 整理案2を支持する。

○ 整理案1を支持する。

○ 整理案1を支持する。

○ 整理案1を支持する。

○ 司法制度改革審議会は設置法に基づいたものであって、海外視察まで行った。そして、この審議会の意見書においては、雇用禁止の見直しは国際的な議論をにらみつつ将来の課題として引き続き検討すべきであるとされているのである。一方、この検討会は法令を根拠に置いたものではなく、私的に設けられたものである。また、審議会と異なり、検討会のメンバーには労働者や消費者は入っておらず、国際的議論も見に行っていない。したがって、この意見書の記載を覆すことは、推進本部の行うことではない。

○ 整理案1を支持する。この場においても、国際的議論の動向は紹介させていただいた。海外視察が行われていないことをもって、国際的議論を踏まえていないというのは、若干乱暴な意見である。

□ 本日は、過去に議論されていない点についても議論がなされ、事務局としては大変参考になったのではないかと思う。今日の議論を取り入れた事務局案ができることを期待したい。

○ 今後のスケジュールを確認したい。検討会として事務局案を吟味する機会が与えられるのか。

● 事務局としては、本日の議論を踏まえて更に検討したいと考えている。次回のスケジュールについては、固まり次第、お知らせしたい。

○ 議論を踏まえて検討するのは、当たり前のことである。条文の基本はどんな姿なのか。次回の検討会で事務局案について審議されるのか。具体的な日程を示して欲しい。

● 日程は決まっていないが、15年度通常国会に法案提出が予定されているので、出来る限り早急に基本方針を固めたい。

○ どのように基本方針を固めるのか。

● 委員の方々の意見を尊重して行いたい。

○ 次回検討会で議論をしても、日程的に法案提出が間に合うのか。

● 間に合うように努力したい。日程について確定的なことは申し上げられないのは大変恐縮だが、ご理解いただきたい。

○ せっかくここまで議論を尽くして来たのだから、少なくとも方向性は検討会として確認したい。

○ 賛成する。

○ 賛成する。

□ 今回も様々な意見が出されたことやこの検討会の性格を踏まえ、今日、検討会としての方向性を明確に出すことについては留保させていただきたい。ご不満はあろうが、ご理解いただきたい。

(2)今後の日程

 次回(12月19日(木)10:00〜12:30)の議事は未定である。

(以上)