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国際化検討会(第13回)議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり



1 日時
平成15年2月4日(火)11:00〜12:05

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委員)
柏木昇座長、ヴィッキー・バイヤー、加藤宣直、久保利英明、孝橋宏、下川真樹太、下條正浩、道垣内正人、乗越秀夫、波江野弘(敬称略)
(事務局)
大野恒太郎事務局次長、松川忠晴事務局次長、齊藤友嘉参事官

4 議題
弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働の推進について

5 配布資料
資料13−1 国際化検討会の議論の方向性
資料13−2 その他立案上の検討事項

6 議事

(1)弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働の推進について

 事務局から、資料及び立案作業の状況についての説明があり、これに対して次のような質疑応答及び意見交換がなされた(○:委員、□:座長、■:法務省、●:事務局)。

○ 資料13−1に「弁護士法人との共同事業」とあるが、この点につき、検討会での議論があったのか。

● 9月に一定の御議論をいただいている。その際には、弁護士法人と外弁との共同事業は認められるべきではない、との消極意見は特段なかったものと理解している。

○ 検討会がスタートしたときの論点にはこの問題はなかったように思うが、新しい論点として整理されていたということか。

● 規制を緩和する以上、当然弁護士法人との関係をどうするかが議論の対象になっていたのではなかったかと考えている。そういう観点からは、反対意見はなかったのではないかと思う。論点項目には掲げられていたものである。

■ 「弁護士と弁護士法人の共同事業」が許容されていないという考えがあるようだが、弁護士法にこれを禁止する規定があるわけではなく、法律上両者の共同事業は許容されていると考えられる。

○ 資料13−1は「結論」ではなく、「議論の方向性」というタイトルになっているが、1の雇用禁止規定の撤廃が項目の最初に掲げられていること、また反対意見が全く反映されていないことに違和感を感じる。2,3との関係で1が出てきたのではないか。また、1をもう少し弱く書くことはできないのか。これが他の検討会のまとめ方でもあるということなのか。

● 結論を集約してとりまとめたものではないが、事務局の立案作業の前提として検討会の議論の方向性を提示すればこうなるのではないかということを整理した。その意味からすると、議論の重みが十分に反映されていないというのはご指摘の通りかもしれない。いずれにしても、議論の過程を十分に斟酌して立案する所存であり、資料13−2にもその旨を反映をしたつもりである。

○ 資料13−1の1〜3に意見が全く反映されていないことは遺憾である。こうしたまとめ方には疑問を感じる。2月になっても要綱案が出せないのは事務局が無理な案を作っているからではないか。いずれにしても、私自身は単独雇用は反対であるし、特定共同事業の廃止の必要性はないものと考えている。これに加え、欧米のハゲタカファンドによる日本企業の食い荒らし、日本企業のコストの拡大、サービス貿易収支への悪影響といった問題も十分考慮して今後の方向性を決めていく必要があると考えている。

● 少数意見の趣旨を配慮して、弊害防止のために行為規制を設けることとし、これをできるだけ実効性のあるものにしたいと考えている。与党でも様々な議論がある中で、断定的な政策判断がすぐにできない難しい情勢にあったことは御理解いただきたい。

○ 事務局の努力は多としたい。ユーザーとしては賢い選択をしていくことが必要だ。与党調整中とのことだが、具体的にはどのような状況なのか。

● 主として1の雇用禁止の見直しについて、もう少し慎重にしてもよいのではないか、また、それとの関係で、弊害防止を強化すべきではないかといった様々な意見があるようだ。

○ 法案提出の見込みについて教えていただきたい。

● 3月上旬には法案提出できるようにと考えている。

○ 施行時期はいつ頃になるか。また、速やかな施行に向けた努力をお願いしたい。

● 速やかな施行が望ましいとは考えているが、日弁連の施行準備等を踏まえて今後、判断していきたい。

○ 今般の司法制度改革はユーザーのためのものと理解している。検討会の議論が資料13−1のように明快な形でまとめられたことは評価したい。規制が撤廃された後、選択をどのようにしていくかはユーザーとして適切に行わなければならないと考えている。
 施行時期については、周辺の制度整備や日弁連、外弁、ユーザーの事情等があり、単純には決まらないのではないかと思う。

○ 共同事業に係る届出の内容は、目的に沿い必要で合理的なものとしていただきたい。また、事務所の名称については、何をやっているか分からないものにならないようにお願いしたい。これらについてどのように考えているか。

● 現行の特定共同事業の届出事項と類似のものを考えている。いずれにしても必要以上の規制とならないように配慮したい。事務所の名称については、業務の実態をうまく反映したものになるよう検討しているところである。

○ 外弁の権限逸脱行為の防止は必要な措置である。
 雇用禁止規定の撤廃や外弁と弁護士法人との共同事業には反対ではあるが、検討会の「議論の方向性」に沿って立案されるのであれば、外弁法の事前規制のかなりの部分がなくなることになる。事前規制から事後規制へという基本的な方向性は支持できるが、事前規制の撤廃は事後規制の強化とセットである必要がある。よって、外弁法4条違反については刑事罰で臨むという方向性、あるいは弁護士法人との共同事業における弊害や事後規制の在り方の問題を議論しないと片落ちになると思うが、事務局の考えを教示いただきたい。

● 明確な形での事後規制が必要だというのは御指摘の通りであり、現行の外弁法4条だけでは不十分ではないかという問題意識から、権限逸脱行為を明確化し、行為規制を課そうとするものである。罰則ではなく、まずは行為規制を明確化するとともに、その違反を懲戒その他で規制することを図ったものである。

○ 行為規制の違反に対して刑事罰を考えているということか。

● 行為規制の違反の限度では懲戒の対象となるにとどまるが、結果として4条違反になれば、罰則の適用はあろう。4条違反ではあるが63条には該当しない行為についての罰則の適用は慎重に考えている。

○ 外弁に雇用された弁護士の違法行為に対する罰則はないのか。また、雇用禁止規定の撤廃によって、4条違反ではあるが63条には該当しない行為が発生する可能性があることを否定する人はいないだろうが、規制を緩和した上で、これに対する刑事罰を考えなくてよいという理由はないのではないか。

● 弁護士には職業倫理の維持が強く期待されており、その違反に対して、懲戒に加えて刑事罰を科すことには慎重にならざるを得ない。資料13−2にある外弁への行為規制のほかに、現在事務局では、外弁に雇用された弁護士についても何らかの行為規制を設けることを検討しており、それにより懲戒の対象がより明確になるのではないか。

○ 外弁に対する行為規制の趣旨は分かるが、規定は4条で十分であり、行為者、被雇用者の権限逸脱についてそこまで議論しなくてもよいのではないか。弁護士は解雇されても弁護士としてやっていけるのであり、職業倫理については自信を持って対応するべき。

● 事前規制を完全に撤廃し、事後規制をするためには、4条だけでは内容が必ずしも明確でないのではないかと考えている。今後、雇用や共同事業という関係を利用して4条違反の状態が生じるおそれを回避するため、それにつながる行為を明瞭な形で規制しておくことは意義があるのではないか。なお、これについての制裁は、申し上げた通り、懲戒を念頭に置いている。

○ 事後規制の制裁として懲戒を念頭に置いているということだったが、現実問題として懲戒は日弁連の任意調査に委ねられおり、実効性には疑問がある。事前規制を緩める以上、強制捜査が可能なように罰則を強化すべきである。

○ 刑事罰の創設について要望したい。

○ 現在、罰則がないから4条が機能していないというなら分かるが、事前規制がなくなったからその代わりに罰則強化しろというのは立法的な論理から問題ではないか。

○ 非常に些細なことまで規制の対象にすることで共同事業ができなくなるようなことは避けていただきたい。

□ この問題については、事務局から説明があったとおり、現在与党と調整中とのことだが、今後も鋭意、調整及び立案作業を進めていただきたい。

(2)今後の予定

 次回の議事及び日程は未定である。

(以上)