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国際化検討会(第13回)議事録



1 日 時
平成15年2月4日(火)11:00〜12:05

2 場 所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委員)
柏木昇座長、ヴィッキー・バイヤー、加藤宣直、久保利英明、孝橋宏、下川真樹太、下條正浩、道垣内正人、乗越秀夫、波江野弘(敬称略)
(事務局)
大野恒太郎事務局次長、松川忠晴事務局次長、齊藤友嘉参事官

4 議 題
弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働の推進について

5 議 事

○柏木座長 それでは、所定の時刻になりましたので、第13回国際化検討会を開会させていただきます。本日は御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございました。
 本日は弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働の推進につきまして、事務局より立案状況の報告を受けたいと思います。
 それでは、まず始めに事務局から配布資料の確認をお願いします。

○齊藤参事官 本日配布させていただきました資料は、資料13−1「国際化検討会の議論の方向性」と題するペーパーと、資料13−2「その他立案上の検討事項」と題するペーパーでございます。

○柏木座長 ありがとうございます。
 それでは、議事に入ります。弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働につきまして、事務局から立案状況の御説明をお願いします。

○齊藤参事官 それでは、資料13−1、13−2をごらんいただきながら、説明させていただきます。
 弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働の推進につきまして、立案作業の状況を御説明申し上げます。
 前回の検討会におきましては、それまでの議論を積み重ねた結果と、法制的な観点を踏まえて整理した案としての整理案1と整理案2について御議論をいただいたところでございます。
 そして、議論の結果、整理案1、すなわち弁護士と外国法事務弁護士との共同事業につき、目的制限、及び弁護士の職務経験要件を撤廃し、外国法事務弁護士による弁護士の雇用禁止規定につき、規制を撤廃する案につきまして、多くの委員から賛同の御意見が述べられたところでございます。
 事務局といたしましては、検討会の議論としては、本日の資料13−1のような方向性をお示しいただいたものと受け止めているところでございます。
 事務局といたしましては、このような検討会の議論の方向性を十分に踏まえて、立案ができるよう努力してまいりたいと考えておりますが、他方、与党調整が行われているところでございまして、外弁による弁護士の雇用禁止の見直しにつきまして、さまざまな議論が出され、現段階におきましては、なお調整中でございます。
 仮に検討会の議論の方向性に沿って立案をする場合には、資料13−2にお示しておりますように、外弁が権限逸脱行為を行うことの防止措置として、弁護士を雇用する外弁に対する行為規制や、弁護士等と共同事業を営む外弁に対する行為規制に関する規定を置くほか、届出や事務所の名称についても規定を置くことを考えております。
 事務局といたしましては、引き続き立案作業を進めてまいりますとともに、与党調整を進めてまいりたいと考えておりますので、検討会の委員の皆様方の御理解を賜りたいと考えているところでございます。
 以上でございます。

○柏木座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局の説明につきまして、御質問、御意見がございましたら、挙手の上どうぞお願いします。

○久保利委員 今、資料13−1をお示しになって、当検討会での議論の方向性として2番、とりわけこの中の弁護士法人との共同事業のことも含めておっしゃいましたが、弁護士法人との共同事業について、いつ、どのような議論がなされたのか。私、過去のことを忘れてしまったものですから、いつ、どれくらいの時間をこの問題に費して、どんな発言があったのか御紹介いただけますか。

○齊藤参事官 弁護士法人との共同事業の点でございますが、9月の検討会のときに、一定の御議論をいただいております。そのときの御議論では、外国法事務弁護士と弁護士法人との共同事業というのがそもそも認められていいのかどうか。それから、弁護士法人の社員弁護士に職務経験要件を要求すべきかどうか、この点も御議論いただいております。
 あとは弁護士法人と外国法事務弁護士の共同事業の場合の事務所の名称の在り方など、これは弁護士と外国法事務弁護士との共同事業でも共通の問題なんですが、名称の関連、この辺りを御議論いただいております。
 それで、9月の検討会のときには、弁護士法人と外弁の共同事業は、認められるべきではないという消極の意見は特段いただいておりませんでした。
 それから、弁護士法人の社員弁護士の職務経験要件を要求すべきかどうか、この点につきまして、必要とする、職務経験要件は要求すべきであるという御意見と、やはりそういった要件も要求する必要はないのではないかという御意見と、これは両論あったかと存じます。大体そんな状況で所要時間何分くらいというのは、今、正確には申し上げられませんが、大体そんな議論を一定程度していただいております。

○久保利委員 どなたから、どんな発言があったのか、私も記憶がないんですが、少なくとも当検討会がスタートしたときの論点として、弁護士法人とどういう提携関係というのが問題となるのかということは、論点の整理の段階ではなかったように思いますけれども、それは新しい論点としてお示しになって、それで議論がなされたんでしたか。

○齊藤参事官 論点整理の中では当然弁護士法人との共同事業の在り方も、内容的には含まれるという御理解で御議論はいただけたと思っているのですが。

○久保利委員 日本の弁護士と弁護士法人がそもそも共同事業ができるのかどうなのかという、そういう問題意識というのは日弁連にはなかったはずだと。それはむしろできないという頭でいたと思うんですけれども、それを含めた議論がこの検討会でなされたという印象がないんです。それについて一人一人の意見を開陳したとか、その問題点のありようというものの解説をペーパー等で受けたという記憶もないんですが、9月にそんなに議論をしましたか。

○齊藤参事官 9月の段階で、そもそも弁護士と弁護士法人との共同事業が制度論上許容され得るのかどうかといったことは確かに余り御議論ありませんでした。その点は所管の法務省からでも御説明いただけるかと思うんですが、よろしければ法務省の方から御説明を伺うことでよろしいでしょうか。

○久保利委員 結構です。少なくとも9月の段階では議論したとすれば、そういう問題意識ぬきに皆さん議論をされたのではないかと思います。日弁連の方でも、日本の弁護士が弁護士法人と共同事業ができないという前提を取っていると思いますけれども、にもかかわらず外弁はそれができるというのはどうしてかという議論が出てきたものですから、もし、その御用意があるのであれば法務省の方から御説明いただいて、日本の弁護士もできるんだという公的見解なら、そういう御見解をお示しいただければと思います。

○齊藤参事官 その前に、当検討会の論点項目の中で。

○久保利委員 9月12日の資料には1行あるということはそのとおりなんですけれども。

○齊藤参事官 弁護士法人との共同事業についてという1項目は一応入れさせていただいておりました。

○久保利委員 それを9月の段階で、そういう論点として御提示になって議論したのかというのはちょっと記憶があいまいなものですから、申し上げたんです。

○松川次長 今の点ですが、確かに明示的に、そもそも弁護士法人と個人との間に、共同事業が成り立つのかどうかを明示的に議論をしたことはないというのは御指摘のとおりですけれども、その辺の議事運営に対することについてであれば御意見として承りますけれども、過去の経過としてのお話だと思いますが、論点に掲げた以上は規制緩和について検討していく以上は、当然弁護士法人も現在は禁止の対象になっているわけですから、これを規制緩和する場合に、弁護士法人との関係をどうするかという問題意識を論点に掲げさせていただいた以上は、その辺も暗黙のうちに議論の対象になっていたのではないかと認識しておりまして、私どもは法律上の制限は特にないのではないかと認識しておりましたので、検討会の場で特に議論がないということは、意識がなかったというのはそのとおりかもしれませんが、逆に言うと、特にそういう観点から反対だという意見はなかったということではないかなということでございます。
 そうした議論の経過をも踏まえた上で、昨年の末の検討会で整理案1、整理案2という形で示された結果、御案内のような意見の分布になったわけですので、そのことを踏まえて今日御紹介しているという、事務局としての認識になっているという状況でございます。

○齊藤参事官 法務省から、弁護士と弁護士法人との共同事業がそもそも制度上許容され得ないものなのかどうかという点につきましては、御説明を承りたいと思います。

○法務省 法務省司法法制部参事官の大塲でございます。
 弁護士と弁護士法人との共同事業はできないというお考えがあるようですが、弁護士法を見ましても、弁護士と弁護士法人との共同事業はできませんという規定はありません。そういう意味で見ますと、弁護士同士の共同事業だとか、あるいは単一事務所の共同経営、これが弁護士法20条3項の規制を除いてはフリーなのだろうと考えられます。その20条3項と言いますのは、弁護士はいかなる名義をもってしても、2個以上の法律事務所を設けることはできないという規定です。ただし、他の弁護士の法律事務所において執務することを妨げない。これをいわゆる、複数事務所の禁止規定などと呼んでおります。こういった規制があることを除けば自由に共同事業はできる。なぜならば、ほかにそれを禁止する規定がないからです。
 現在の弁護士同士の実情を見ても、収支共同の事務所、あるいは経費共同の事務所等、いろいろな形でのつながりというのがなされていると思います。これについても、特に弁護士法で禁止しているということはないし、それを積極的に許容しているという規定もない。
 弁護士法人について見ますと、弁護士との共同事業を禁止する規定というのは勿論ないわけでありますので、考え方としては、弁護士法人と弁護士というのをイコールに考えていいのだろう。つまり、弁護士同士が共同事業を自由にできるのであれば、弁護士法人と弁護士についても、これを規制するものはないので自由であろうというふうに考えています。これはまた、弁護士と弁護士法人とのどういった形でのつながりを持つかというのは、私的自治の一つとして、自由に決められるものであろうと考えております。
 以上です。

○柏木座長 ありがとうございました。

○久保利委員 今のものは法務省の公式見解ですね。

○法務省 はい。

○道垣内委員 資料13−1のタイトルと、まとめ方なんですが、議論の方向性というのはよくわからない。英語で言うと何と言うのかなんですが、結論の方向性でもなく、結論でもなく、議論の方向性とお書きになっているんですが、私としては2と3は結構ですが、1については反対でございまして、要するに、ベクトルが逆を向いているわけです。方向性と言われても、多数意見がこうでしたという趣旨だろうと思うんですが、それでもそのベクトルが逆に向いている以上は強さと言いますか、こちらの方向という言葉にこだわっていると、この方向でいきましょうという強さは、2と3は少しは強いけれども、1つそれに比べれば弱いベクトルの強さじゃないか思うんですが、そのことは全く反映されていないです。かつ、雇用の問題が1番に出てきている。それはより根本的な問題だからと思うんですけれども、ここでの議論のまとめとすれば、2と3が先にあって、それとの関連で1が出てきたのかと。翻って考えればどうかということで、かつ1については、もう少しニュアンスとして弱い方向性ではないかと思うんですが、そのようなまとめ方の可能性はないんでしょうか。これが他の検討会でもやっているまとめ方なんでしょうか。その辺をお伺いしたい。

○松川次長 今の御指摘は、ある意味では率直な御感想のような感じがいたします。と言いますのは、昨年の検討会でまとめとして、議論は十分にしていただいたと思いますけれども、一定の結論をこの検討会として集約をして、とりまとめられたものとは認識いたしておりません、さはさりながら、やはり立案作業をする上において、検討会の議論の大勢と言いますか、方向性は十分踏まえる必要はあろうかと思っておりまして、そのような趣旨のことを前回申し上げたつもりです。そういう意味において、非常に端的な形で整理をして、立案上の観点から整理をさせていただくと、資料13−1のようになるのではないかということで、事務局として立案作業の前提として検討会の議論の方向性を整理すればこういうものになるのではないかという意味で、非常にシンプルに記載させていただいたので、こういうことになったものですから、そういう意味では議論の中の重みが十分に反映されていないというのは御指摘のとおりであるという感じはしております。
 いずれにしましても、先般来申し上げておりますように、議論のすべての過程については、十分に斟酌しながら立案をしていくつもりはありますので、そういう観点からも資料13−2のように、その他立案上の検討事項の中には、この検討会でのいろんな議論の過程を反映する必要があると考えているところであります。なかなか明快には説明できないんですけれども、細かい点はともかくとして、大筋においては、勿論、検討会のすべての意見を反映しているということではないのは確かですけれども、議論の方向性はこうではなかったというふうに認識しています。

○下條委員 今の道垣内先生の意見と似た面もありますけれども、この方向性のまとめを見ますと、方向性の1、2、3において、私の意見は1ミリたりとも反映されていないわけです。ですから、そういう意味で非常に遺憾に思います。今、松川次長がおっしゃったように、ここは意見集約の場ではないということでありながら、なぜか多数というか、票を取るような形でもってまとめられて、その結果、少数意見が全然反映されていないようなまとめ方がされているのかについては非常に疑問に思っております。
 また、本来であれば、10月頃にも要綱案が出されるというはずだったのに、この2月になってもいまだに出されていない。それは事務局の方で無理がある案をつくられているのではないかという懸念がいたします。
 いずれにしても、私は単独雇用については、従前から申し上げておりますように、改革審議会のマンデートを超えるもので、これは認めるべきではないという意見ですし、共同事業についても、やはり原則は禁止して、5年以上の経験のある日本の弁護士とだけ認めるということにすべきではないか。そうでないと、1年生の弁護士と共同事業をやることによって、実質4条違反、その状況が起こり得るということがあるかと思います。
 そして、特定共同事業は何も廃止しなくても、当事者の間で、今と同じような目的を限定した特定共同事業をやっていくということも十分考えられるわけですから、特定共同事業も特に廃止する必要はないと考えております。
 以上の点は前に何度も申し上げておりますので、簡単に申し上げましたけれども、それ以後見聞したことをもって、ちょっと意見を申し上げたいと思います。
 まず1つは、今年の1月1日の日経新聞に、岡村さんというモルガンスタンレーの社内弁護士をされておられた方が、法務省の検事に転身されたという記事が出ておりましたけれども、その理由としては、モルガンスタンレー証券で、欧米のハゲタカファンドに手助けして、日本企業が食い荒らされていくというか、そういうことについて日本人として非常に疑問に思ったということをもって、給料が5分の1になるとか書いてありましたけれども、それにもかかわらず、モルガンスンタレーの社内弁護士から法務省の検事に転身されたという記事がありました。
 それから、先先週でしたか、NHKでヘッジファンド特集というのをやっておりまして、それを見たんですけれども、そこも特に印象に残ったのは、マレーシアのマハティール首相が、長年マレーシアの国民が積み上げてきた富をヘッジファンドによって持ち去られてしまうと、うめくように言っていたのが非常に印象に残りました。ですから、今回のような方向性でいくとなると、これからますます欧米のヘッジファンド、ハゲタカファンドなりが、欧米のプライベート・ローファームと協力しあって、日本企業の収奪というのが起こる、ますます加速するということで非常に懸念しております。
 あと1つは、日本企業の司法コストというのが非常に上がるのではないかと考えます。というのは、昨年私、ジョン・グリシャムの『サモンズ』という小説を読んだんですけれども、その中にキング・オブ・トーツ、トーツというのは不法行為ですから、不法行為訴訟の王様という、そんな弁護士が出てくるわけですけれども、これは言わばプロダクト・ライアビリティーと言いますか、特に薬害訴訟において、コンサルタントを雇って被害者をたくさん集めてくる。それによって製薬会社と交渉して、示談で大金をせしめるということでキング・オブ・トーツと呼ばれる弁護士が描かれておりましたけれども、まさにそういうような和解でお金をせしめるような訴訟が多発するということが考えられる。そうなると、会社としてもそれなりの体制を整えないといけない。法務部とかがない会社であっても、法務部とかを設けてやっていかないといけない。
 そうすると、法務部員一人が、例えば年間3,000 万かかって、10人集まれば3億円、1つの企業でそれだけかかるわけです。1,000 社あれば3,000 億かかるわけです。そういうような事態になっていく、そういうことを非常に懸念しております。
 また、今後は日本法の案件についても、欧米の事務所が請求していくわけですから、これはサービス貿易収支に非常に悪い影響を与える。
 以上の面も十分考慮して、今後、どういうふうに方向性を決めていくかを考えていく必要があるのではないかと考えます。

○柏木座長 ありがとうございました。今、幾つかの論点が提示されたわけですけれども、まず、下條委員意見の、少数意見が全く反映されていないということ、かなり遅延があったということ。下條委員の今までの主張の確認。それから、幾つかの案が提出されたわけですけれども、下條委員が自らおっしゃられましたけれども、今、3番目に述べられた御意見は過去に何回か出ていることなので、その確認と了解します。
 それから、4番の、これも私も非常に面白い御意見だと思いますけれども、ここでまたこれを議論しますと、振り出しに戻るおそれがかなりありますので、1番の少数意見が全く反映されていないということと、かなりの事例があったけれども、それは難しいことが非常に多いからではないかという御指摘につきまして、事務局から御説明願えますでしょうか。

○齊藤参事官 とりあえず私の方から説明させていただきます。
 少数意見が反映されていないではないかという御指摘は、主として雇用禁止規制の在り方等との関係かと思いますが、議論そのものとしましては、雇用の禁止規制を撤廃する意見もあれば、共同雇用までにとどめるべきだという御意見、あるいは雇用は全面禁止のままでいいのではないかという御意見。こういった議論がなされていた中で、雇用禁止規制をどのような方向で規制緩和していくかという結論を事務局としては最終的には判断していかざるを得ないという場面ですので、これは少数の御意見を踏まえた形で立案していくわけにはまいらないということに尽きるのかなと思います。
 ただし、少数意見の御趣旨などを全く無視しているというふうに御理解いただくのは、こちらもちょっと不本意でございまして、できる限り規制撤廃に伴う弊害のおそれというものに対しても、配慮しなければいけないということでの努力は事務局としても必死にしているつもりでございます。
 その意味で、資料13−2の項にも指摘させていただいていますけれども、行為規制の在り方などは合理的、かつ実効性のあるものをできるだけ用意したいということで今、努力しているところでございますので、決して少数意見の趣旨なり、御意見を無視しているということではございませんので、そこは何とか御理解いただけないかなと思います。
 それから、なかなか事務局の方で立案の方針につきまして明確な態度表明ができないでいたのはけしからぬと、こういう御指摘でもあろうかと思いますけれども、この点も政策判断というのが、例えば政府、与党内におきましても、さまざまな御議論があるくらいで、なかなかある時点で断定的に事務局として判断を下すということが非常に難しい情勢にございました。
 そういうことで、現在も与党の調整のために努力している次第でございますけれども、そういう経過を踏まえて現在に至っているというところも是非御理解いただけないかなと存じます。
 私の方からは以上でございます。

○柏木座長 ありがとうございました。加藤委員、どうぞ。

○加藤委員 事務局でおまとめになったものを今、御説明いただいたわけですが、多数意見を中心にして、その方向性に沿った方針をお出しになり、その実現に努力をしておられるということでした。口幅ったい言い方で恐縮ですが、その御努力を多としたいと思います。
 我々は、今下條委員の御指摘にもありましたように、これからユーザーとして、より賢い選択をしていくことが必要だと自覚したところです。
 お尋ねしたいのですが、今与党の中で調整中だというお話でございました。もし、お聞かせいただけるようでしたら、どの辺が、どのように調整中であるのかお聞かせいただきたいと思います。

○松川次長 なかなか調整中ですので、具体的に申し上げるのは一定の限界があることをお許しいただきたいと思いますが、主として1の検討会の議論の方向性、1の雇用の禁止規定の見直しに関連して、もう少し慎重な議論があってもいいんじゃないかという意見も一部には出されていることは事実でございます。それとの関連で、弊害があり得るとすれば、弊害の防止というのをもう少しきちっとすべきではないかとか、それに関連したさまざまな議論が出されているということで、その調整の体制はどうかというのは、現時点では申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。

○孝橋委員 スケジュールの関係で、今までの事務局の御説明では、今年の通常国会に法案を提出するということで、スケジュールを立てておられたというふうに理解しているんですが、既に通常国会は始まっているわけですけれども、今国会での法案の提出の見込みというか、その点についてどのように、今の時点でお考えかということをお聞かせいただければありがたいです。

○齊藤参事官 外弁法の改正につきましても、今通常国会に法案提出の予定でおります。ここは方針は変わっておりません。予算関連の法案ということではございませんので、一応、3月上旬くらいまでには、法案提出にこぎつけたいということで今、鋭意努力しているところでございます。

○乗越委員 今のに関連してなんですが、私どもの知り合いとかに聞きますと、この制度が実際に施行されて、いわゆるパートナーシップが日本の弁護士の方と組めるようになるのであれば、できるだけ早くやりたいという人たちも非常に多うございまして、来年の1月1日くらいからそれはできるのかというふうな質問などもときどき受けるんですけれども、施行についてはどのような見通しをお持ちでしょうか。

○齊藤委員 もしも法案が国会で可決された暁には、それはできるだけ速やかに施行することが望ましいとは考えております。
 ただし、外弁法の改正に伴っての新しい制度の施行ということになりますと、ある程度日弁連内の施行準備なども必要になりますので、そういった状況なども踏まえて、今後判断していかざるを得ないと思います。ですから、現時点で施行時期は具体的にいつごろになりそうかなということの御説明はちょっと控えさせていただきたいと思います。

○乗越委員 これまで御努力くださって、その御努力について非常に敬意を表すると言いますか、非常にありがたいと思っているんですけれども、一定の政策判断が取られて、法律も成立すれば、残りの施行というのは、今まさに参事官がおっしゃったように、なるべく早くすべきだと思いますので、どこまでが事務局の責任で、どこからがほかのところの責任かというのは私もよくわかりませんけれども、なるべく成立した以上は早く施行する方向で引き続き御努力をいただくようにお願い申し上げたいと思います。

○柏木座長 ほかに御質問ありますか。波江野委員どうぞ。

○波江野委員 先ほど加藤委員もおっしゃいましたが、今回の司法制度改革というのは、ユーザーの立場に立って、ユーザーの使いやすい制度をつくるということで、審議会の意見書もまとめられ、それに基づいてこういう国際化検討会というところで議論がされていると私は理解しております。
 そういう観点で行きますと、今回の資料13−1に、極めて明快な形で方向性がまとめられたことは非常にありがたいことだと思います。
 と申しますのは、前から申し上げていますように、形は整っていても、それにおいていろいろな制約があったりして、そうすると、クライアントの立場からすると、本当に相談していいかどうかいうのははっきりしないという問題もありますので、こういう形で明確になっておれば、規制が撤廃されたところで、あと、どういう形で、どの弁護士に相談するかというのは、ユーザーとしてきちんと選択をしてやっていかなければいけないと思っております。
 一方、今、乗越委員からお話のございました、施行期日をなるべく早くということについては、法律ができた以上、早くやっていただきたいというのは当然ですけれども、周辺のいろいろな制度の整備とかもあると思いますので、今の御意見が、例えば外弁サイドからの要望ということで出てきているとすれば、それについては、やはり受益者であるユーザーの立場に立ってきちんとするということで、日弁連の内部でも制度を整えなければいけないだろうし、外弁の方でも整えなければいけないのでしょうから、しかるべき施行期日というのは、そう単純には出てこないのではないかという感じがいたします。

○柏木座長 ほかに御意見、バイヤー委員、いかがですか。

○バイヤー委員 ありません。

○乗越委員 細かい点になりますが、よろしゅうございますか。資料13−2に関して、下の2つの○について、お伺いしたいところなんですけれども、届出なんですが、何を届出するのかということについて、若干心配する向きもありまして、当然のことながら、目的に沿って、必要な合理的な限度内においての届出項目というのが当然だと思うんですけれども、何かその点について御議論があるのかという点をひとつお伺いしたい。
 それから、その下の○についてですけれども、まさに最初、この検討会の議論の最初からのテーマとして、ユーザーにとってはそもそも外国法事務弁護士は何をやっているのか、特定共同事業というのは何かよくわからないという意見がありましたけれども、共同事業を解禁していただいたとしても、名称が何をやっているのかわからないということが起こりますと、非常に使い勝手が悪いということになりますので、その点について、何か名称について、検討のどういう段階にあるかというのは教えていただけますでしょうか。

○齊藤参事官 届出制度のことですが、現行では特定共同事業についての届出制というものがございます。大体その制度と同様のものを新しい制度の下での雇用、共同事業について考えているということでございます。したがいまして、届出事項としましては、雇用している弁護士の氏名や事務所、それから共同事業につきましては、共同事業の相手方である弁護士や弁護士法人の氏名、名称、事務所、それから共同事業の対象となる法律事務の範囲、こういったものが主たる届出事項になろうかと思います。
 いずれにしましても、届出事項等の中身いかんで届出制度自体が必要以上の規制になってもいけないと思いますので、その辺のことは十分配慮してまいりたいと思います。
 それから、共同事業の場合の事務所の名称ですが、この検討会でも事務所の名称を1つにすることとしたい。その場合に事務所の名称の一般名称部分、これを法律事務所という名称を使うのか、それとも第3類型の名称を考えて使うのかといったことを御議論いただいたと思います。
 今の乗越委員から御指摘のように、事務所名称が業務の実態をうまく反映したものであるということが望ましいとは考えておりまして、そのためのいろいろな知恵を絞っているところです。ただ、ネーミングの場合、一長一短がございまして、これがベストだという案はなかなか難しい面かございますが、いずれにしましても、いろんな方の御意見なども取り入れながら、最終的に決めてまいりたいと考えています。

○柏木座長 ほかに立案作業の状況につきまして、御質問はございますでしょうか。ございませんようでしたら、まだ、ちょっと時間は早いですが。

○久保利委員 ちょっと待ってください。この後でもうちょっと具体的な御説明があるかと思っていたんですが、まず第1のテーマかと思ったんですが、すなわち資料13−2のディテールとも絡むんですけれども、要するに権限逸脱行為を防止するということで、これは必要なことだと思います。今までのものは基本的なスタンスで言いますと、規制を緩和し、事前規制を取り外していこう。これは今の大きな議論の流れだろうと。私は単独雇用の問題と、弁護士法人との共同事業については反対をはっきり申し上げておきますけれども、そのことはさておき、かなりの部分が変更されます。例えば特定共同事業制度というのはなくなる。少なくとも共同の場合には雇用はできる。もし、事務局のお考えによる、検討会の議論の方向性だと言われるものが、単独雇用を許すということになってくる。そうなってくると、外弁法の言わば事前規制とも言える部分がかなりすっ飛んで行ってしまって、49条とか、49条の2、3、4がなくなるわけです。
 ということはどういうことかと言うと、事前規制から事後規制へというのは、確かに今の規制緩和の流れでありますし、私も基本的な方向性としては支持できると思っています。
 そうなると、果たして今の事後規制の在り方がこれでいいのかと。事前規制は取り外します。しかし、事後規制の方は変えませんということであれば、多分、いろんな弊害が出てくるのではないか。したがって、弊害の防止措置という観点の中で、4条違反に対して現在の事後規制がどうなっているかということを考えてみると、実は罰則の方の63条、これは4条違反そのものをストレートに禁止しているのではないのではないか。そうなってくると、4条違反を侵す可能性がありますということを私は再三、特に単独雇用の場合にはその危険性が高いということを申し上げているわけですが、もしそうなってきた場合には、その63条のような規定ぶり、例えば63条の1号を見ると、国内の裁判所における訴訟事件等に事件の手続について代理をするとか、刑事に関する事件の手続についての代理だとか、付き添い人をやるとか、幾ら何でもそんなばかなことをやる人はいないと思うんです。それはもう当たり前の話なんで、むしろかなり境界線上とも言える部分で、例えば自分が単独雇用をした日本弁護士を使って、さまざまなアクションを起こすというようなことは、ここに書いていない。63条で刑事罰をもって臨んでいないような事案で、しかし、ユーザーから見ると、そういう事後規制はやはり必要だというようなものが全くこの議論から抜け落ちているのではないか。その意味で私はストレートに4条違反についての罰則を定めることとするとか、何らかの事後規制の強化というものがセットにならないと、事前規制の廃止ということだけですべて足れりというのは、国際化検討会の役割としていかがなものかと思います。事前規制の縮小化、撤廃化、これは賛成でございますが、事後規制の規制の強化とセットにならないと、むしろ弊害が防止できないということになるのではないか。よって4条違反は刑事罰をもって臨むという大きな流れになるべきでございます。具体的な文章をどうするかは別でございます。そういう方向性です。
 あるいは弁護士法人と共同した場合に、どういう弊害があり得るのか。例えば弁護士法人というのは、支店を持っているわけですけれども、一人の外弁が弁護士法人と組んだときに、複数の事務所に同時に自分がいるというわけにはいかないわけですから、そうなってくるときにどういう弊害があり得るのか。その弊害に対してはどういう事後規制をかぶせるのか。ある意味では届出の問題と同時に、届出というのは事態を把握するための端緒にすぎないと思いますが、それが4条違反等々をした場合に、どういうペナルティーがどんなふうに課されるかという事後規制の問題をしっかり議論し、それを立法化するのでないと片落ちだと私は考えるので、是非この点についての事務局のお考えをお聞かせ願いたい。かように考えます。

○松川次長 今の点はごもっともな面があろうかと思います。事後規制を中心にするという考え方がこの検討会の議論の大勢であったかと思いますが、そのためにはしっかりわかりやすい明確な形での事後規制の在り方が必要だというのは御指摘のとおりだと思います。
 そういう意味では、現状の4条だけでは十分実行的な形ではないのではないかという問題意識を持っておりまして、そういう問題意識からその他立案上の検討事項ということで、権限逸脱行為を行うことに結び付きやすい行為について、一定の、してはいけないことを明確化することによって、事後規制を万全ならしめる必要があるのではないか。
 今の罰則云々のことでありますが、現行法についてもし必要があれば法務省に補足していただきたいと思いますが、やはり4条の形は非常にシンプルな形になっておりますので、罰則で担保すべき部分と、罰則以外の手段、すなわち日弁連による懲戒という手続、それによって担保すべき部分の役割分担をしたものと理解をしておりまして、この役割分担はどうするかというのは今後も議論をしないといけませんが、私どもとしては、罰則そのものの強化というものも必要が生じてくれば検討をしなければいけませんが、まずは罰則というよりは、行為規制を明確化するとともに、そのことが懲戒手続その他で実効的に働くような措置が必要ではないかと考えておりまして、そういった次第から行為規制の明確化と、届出というのは、必要最小限度にとどめるとしても、きちっとやっておく必要があるのではないかと考えております。

○久保利委員 そうしますと、この資料13−2権限逸脱行為を行うことの防止措置、行為規制というのがありますけれども、この行為規制というのは、規制をして違反をした場合に刑事罰のケースもあるし、懲戒等々の自主的な日弁連の手続の場合も含むと、両方を含めてお考えなのか、刑事罰は考えていないというお考えなのか、どっちになるのでしょうか。

○齊藤参事官 行為規制の規定、そのものに違反した限度では、懲戒の対象足り得るにとどまると考えています。
 行為規制に違反して、その結果として、外弁法4条に違反しているというところまでいけば、当然懲戒の対象のみならず、罰則の適用もある、とこのような構造で考えています。

○久保利委員 しかし、4条違反については、罰則は今ストレートにはないわけです。4条全部をインクルードした罰則というものは。ということは、今、参事官がおっしゃったように、そういうケースについては罰則の検討もなさると理解していいわけですか。

○齊藤参事官 今、久保利委員が指摘された部分、現行の罰則の63条で補足されている部分、以外の部分で、なおかつ4条違反の部分ということですね。その部分について、罰則を設けるかどうかというのは、かなり慎重な判断を要するのではないかなと思っています。ですから、必ずそういう部分についても罰則を設けるという形でのある意味での事後規制の強化というところまでは必ずしも必要なのかどうかについては慎重に対応せざるを得ないと考えています。

○久保利委員 例えば、4条の問題、ストレートではありませんが、4条というのは外弁に対する規制です。ところが、外弁が日本弁護士を仮に単独雇用したという場合について考えてみると、4条違反の外弁を日本弁護士がその命令を受けて処理をすることによって共犯ということになるのか、幇助ということになるのかわかりませんが、少なくともそういうケースについては今のところ日本弁護士を罰するという罰則というのはないものと理解しているんですが、それはあるのですか。

○松川次長 明示的な明文の根拠はありませんが、当然刑法の一般理論において、共犯に該当する場合というふうに認定されるのであれば、当然罰則になるのだろうと思いますが、そのための明示的な規定がないというのは御指摘のとおりです。

○久保利委員 そして、4条違反であっても、63条の1号から4号に書いてあることをすれば、多分そちらの罰則はあるのでしょうけれども、そうでない限度の場合には、日本弁護士に対する刑事罰も外国法事務弁護士に対する刑事罰も現状ではない、という理解でいいですね。

○齊藤参事官 はい。

○久保利委員 それを雇用という問題があることによって、そういう事態が発生するという可能性は恐らくどなたも否定しないと思いますが、そのことは今まであり得ないというふうに思っていたから、多分、そこの刑事罰がなかったのではないか。そこまで規制を緩和してきた以上は、そういう事後的な規制というのは緩和によって発生し得る可能性のある犯罪行為なり、違法行為なり、規制されている行為に対する刑事罰を考えないでいいという理由は何もなくて、検討したけれども、そこまで可罰的な犯罪をどこまで抑制するかという可否を考えてお外しになるということはあり得ると思うんですけれども、そこを検討しないというのはどういうことかなと思うんです。

○大野次長 先ほど御説明しましたように、63条に該当するような犯罪行為については、現状でも日本の弁護士について、刑法の共犯理論によって犯罪が成立することはあり得るわけです。

○久保利委員 現状では日本の弁護士が国内で裁判所に行って、63条違反だと言ってペナルティーが科されることなどはそもそもあり得ないでしょう、今は雇用がないんですから。

○大野次長 現状でも理論上はかかり得るということを申し上げているだけのことです。今、委員の御指摘になった雇用が解禁されることによって、現実に、そうしたおそれが増えてくる。日本の弁護士に対する制裁行為も考慮すべきではないかという御指摘でしたけれども、基本的にはそこは懲戒で対応すべきだろうと考えております。
 やはり、弁護士の場合には、職業倫理というものが非常に強く期待されているわけでありまして、その職業倫理違反に対してこれを防止するために有効だからといって直ちに、刑事罰をもって臨むということについては慎重に考えるべきだろうと考えております。
 ただ、この資料13−2に記載しておりますところは、いずれも外弁に対する行為規制という形で記載しておるわけですけれども、現在、事務的に検討をしておりますのは、外弁に雇用された弁護士についての何らかの行為規制も考えなければいけないだろうということです。そうした行為規制を設けることができれば、それに違反した場合には明らかに法律違反であるということで、弁護士も懲戒の対象になるということがより明確になってくると考えております。

○波江野委員 この資料13−2の行為規制の話でございますが、加害者、被害者というのはちょっと変な表現ですけれども、外弁が行為者であって、雇用されている日本人弁護士が被行為者であるということで、その外弁による権限逸脱行為を防止しようという趣旨はよくわかりますが、4条で「やってはいけませんよ」と書いてあれば、先ほど御説明があったように弁護士倫理もあるので、そんなに事細かにやらなくても、被行為者というのは弁護士という日本国の法律に基づいて資格をお持ちの方ですから、権限逸脱ということについて議論しなくてもいいのではないでしょうか。これは私が弁護士というものを美化し過ぎているのかもしれませんが、外弁が違法な指示、命令、この資料13−2の1つ目の○にも、不当関与、不当と言うべきかわからないんですが、権限外について関与してきたというときに、それに対して、「それはできません」と、断るというのは、やはり日本の弁護士として当然やるべきことであって、そこまでやられてから、「すみません」ということは極めておかしな話で、外弁がここまでしかやってはいけません。これ以上やってはいけませんというところまで決めてあれば、私はそれでいいのではないかと思います。ちょっと趣旨がはっきりしませんが、日本の弁護士が外弁の命令によって無理矢理やられてしまって、立ち行かなくなるといことを考えて、日弁連がおっしゃっているとすれば、それはちょっとおかしいなという気がいたします。この検討会の最初のときに「雇用とは何か」という話もいろいろありましたけれども、弁護士というのは、雇用されているところから首になったとしても、弁護士として堂々とやっていけるわけで、一般のサラリーマンとは違うわけですから、職業倫理に基づいて自信を持って対応されるべきではないかという感じがいたします。

○松川次長 今の御指摘ですが、まずは職業倫理で対応すべきというのはおっしゃるとおりだと思いますが、完全に事前規制をなくしてしまった場合の在り方としてはということを考えました場合には、現行の4条だけだと外縁が必ずしもはっきりしないので、懲戒という形で事後規制を実施する上でも、必ずしも十分ではないのではないかという問題意識を持っておりまして、外弁そのものが直接4条違反の行為をする場合は、明確ではありますけれども、雇用という関係、あるいは共同事業という関係を利用して、悪用してと言うべきかと思いますけれども、4条違反の状態を導き出すということは回避しないといけないわけでありまして、それにつながるような行為はしてはいけないということで、行為規制として明瞭な形で規定しておくことは意味があることではないと思っております。
 それにつきまして、罰則をかけるかどうかというのは、政策上の判断として、先ほど来申し上げているようなところでありまして、一応懲戒を念頭においているということでございます。

○下條委員 今、懲戒があるからいいのではないかとおっしゃられましたけれども、現実問題として、今まで外弁法違反でいろいろ取り調べようと思っても、日弁連がやるのはあくまでも任意調査ですから、相手方が知らぬ存ぜぬを通せばどうしようもないわけです。これは何度も経験しております。したがって、事前規制を緩める以上、事後規制で罰則の網にかけて是非検察の強制調査が可能なような手立てを用意することによって、それがディターラントと言いますか、4条違反を防止することになると。そういうことを是非考えていただきたいと思います。

○久保利委員 私は刑事罰のことは要望いたします。

○柏木座長 ほかに御意見はございますでしょうか。

○乗越委員 私がそう言いますと、それみろ、やっぱり悪いことをしようと考えているからそう言うんだと言われるかもしれませんが、4条違反をしたときに、どういう制裁を科すかという問題と、それから雇用禁止を撤廃するという問題と、直結する理由がよくわかりません。もしも、現在の状況において4条がしっかりと働いていない、それは何となれば罰則がないからだという現実があるのであれば、それは4条違反についての罰則をどうするかということについて議論されて当たり前だと思うんですけれども、事前規制がなくなったらその代わりに罰則を強化するというのでは、立法的な論理としてそういうのが成り立つのか非常に疑問があります。

○加藤委員 私は立法論について皆目わかりません。今までの議論の中で、私は、事前規制を撤廃することによって齟齬を来すおそれがあるのならば、事後規制を多少強化することでこれを補正するのが適当ではないかという意見を申し上げてまいりました。4条の罰則である63条を更に強化するというか、中身を明確にしていくということが適用なのか、あるいは懲戒に任せるのが適当なのかということについて、明快にどちらが良いのかわかりません。
 ただ、言えることは非常にささいなことまで規制の対象にしてしまうと、せっかく、共同で事業をやれることができなくなってしまう。そのような規制の仕方だけは是非避けていただきたいということです。

○柏木座長 ほかに現在の立案作業についての事務局の説明に対して御質問、御意見はございますでしょうか。この問題につきまして、冒頭事務局から御説明がありましたように、与党内での調整中だということなので、今後も事務局におきまして、鋭意その調整、及び立案作業を継続していただきたいと思います。
 それでは、次回以降の予定について事務局から御説明をお願いします。

○齊藤参事官 次回以降の検討会のスケジュールにつきましては、現時点では申し訳ないんですが、未定でございます。予定が固まり次第御連絡させていただきます。
 本日、弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働につきまして、立案作業の状況の御報告をさせていただきましたが、現在、与党調整を進めていることもございまして、必要に応じて今後の状況は御報告させていただきたいと存じます。
 なお、当検討会の残りの課題でございますが、法整備支援の件と、弁護士の国際化の課題につきましては、現在、立案作業に担当ラインとして集中せざるを得ない状況にございますので、この残りの2つの課題につきましては、準備に今しばらくお時間をちょうだいしたいと思います。
 4月以降にできれば検討会の予定をセッティングさせていただいて、残りの2つの課題についてできるだけ集中的、合理的に検討をしていただけるように準備をさせていただければと考えております。
 以上でございます。

○柏木座長 ありがとうございました。それでは、第13回「国際化検討会」をこれで終了させていただきます。本日はお忙しいところどうもありがとうございました。