法務省法務総合研究所から、資料14−1に基づき説明がなされた。これに対して、次のような質疑がなされた(○:委員、●:説明者)。
○ ここは法整備支援の推進のための方策を実践に移すための場であることから、予算の額など、実践に移すためのもっと具体的な説明がほしい。
● 予算はよく分からないが、少なくとも言えるのは、法整備支援に必要な情報発信については、専門部署による法令の英語訳の整備が必要であり、その英語訳に外国人などがアクセスできるシステムの構築が必要ということである。
○ この検討会は、各論ではなく、大局的な見地から一定の方向性を議論する場ではないかと思う。この検討会での議論を追い風として、支援機関において支援を推進して欲しい。
● 法整備支援を推進するためには、人材の育成、すなわち支援の専門家と支援国の関係者に対する教育が必要である。また、法整備支援はあらゆる省庁にまたがるため、関係省庁間の連携が必要になる。
引き続き、日本弁護士連合会から、資料14−2に基づき説明がなされた。これに対して、次のような質疑がなされた(○:委員、●:説明者)。
○ 利益相反ガイドラインを検討中であるとのことだが、支援を通じて構築される人的関係は重要であり、その関係の構築を阻害するような不必要な規制は望ましくない。
● ガイドラインは作るべきか否かも含めて検討中である。支援国の中には、賄賂が横行しているところもあることが、ガイドライン検討の念頭にある。
○ 支援の内容によっては、民間の立場では限界もあるように思うが、この点は国で支援した方が良いというものはあるのか。
● 特にないと思うが、一般的には、お金が直ぐに必要で、規模が大きいプロジェクトは国で対応すべきである。
引き続き、竹下守夫氏から、資料14−3に基づき説明がなされた。これに対して、次のような質疑がなされた(○:委員、●:説明者)。
○ 知的支援になかなか力が入らないのは、支援に携わった人の評価が困難であるという問題があるからであるが、少なくとも、その支援の成果をアピールする努力をする必要があるように思うが、いかがか。
● 今回のジュリストの座談会も、こちらからお願いしたものである。ご指摘のようにマスコミなどを通じて、法整備支援の成果をアピールする必要があると思う。
○ カンボジア民事訴訟法の起草支援は、何年もの間、作業が週末に行われるなど、プロボノ的な活動であることに驚いた。
● 国際協力事業団JICAのサポートなどもあったが、活動の実態はご指摘のとおり。これまで支援を続けてこれたのは、最終的には使命感であったと思う。
引き続き、法整備支援の推進について討論が行われた(○:委員、□:座長)。
○ 日弁連より、任期付公務員制度を利用して弁護士の省庁への登用を推進すべきであるとの提言があったが、外務省としては、本年2名の弁護士を採用したところである。一般論としては、国内法を熟知するプロフェッショナルとしての弁護士のニーズは今後とも増大すると考えられ、法整備支援という分野に限らず、外務省において弁護士の活躍する機会が徐々に増えていくことが期待される。また、国際機関への登用については、空席ポストに関する情報提供や就職の側面的支援等を行っている。外務省としても出来る限りの協力を行っていきたい。
○ 一番感じたことは、国としての戦略を明確にして、それに従った体制整備をする必要があるのではないかということである。
○ そのように思う。法整備支援は、支援国のニーズに応えることと、我が国の国益との両方の側面があるが、どちらもなおざりにしてはならないと思う。
□ 法整備支援の意義や目的ははっきりしていると思うが、確かに2つの側面があると思う。
○ 私は、法整備支援に国益とか戦略は関係ないと思う。
○ 支援がプロボノ的に行われているところが気になった点であり、支援に携わる人を集めるようなシステムが未だに欠けているのではないか。
○ やはり、我が国の国益という基準で国を選ばざるを得ないのではないか。
□ 支援に関する限られたリソースを配分する、総合的にプランニングする必要がある。少なくとも、関係者間での調整は必要ではないか。また、支援の戦略についても、完全な経済合理性という観点だけではなく、善意も必要なのではないか。
○ 学者としての法整備支援の業績が評価されないとの話もあったが、その理由が理解できない。
□ 学者の評価は論文によることがその理由である。その評価システムを変えるのは、学者の文化を変えることに等しい。