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国際化検討会(第15回)議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり



1 日時
平成15年6月5日(木)10:30〜12:30

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委員)
柏木昇座長、ヴィッキー・バイヤー、加藤宣直、久保利英明、孝橋宏、下川真樹太、下條正浩、玉井克哉、道垣内正人、乗越秀夫、波江野弘(敬称略)
(説明者)
矢吹公敏(日本弁護士連合会国際室長)
大谷美紀子(弁護士)
(事務局)
松川忠晴事務局次長、古口章事務局次長、齊藤友嘉参事官

4 議題
弁護士(法曹)の国際化への対応強化について

5 配布資料
資料15−1 司法制度改革審議会意見書(抄)・司法制度改革推進計画(抄)
資料15−2 日本弁護士連合会提出資料
長島安治「国際弁護士業務の展望−日本の大型の国産ロー・ファームは
独立を保ち得るか」(省略)

6 議事

(1)弁護士(法曹)の国際化への対応強化について

 日本弁護士連合会から、資料15−2に基づいて説明がなされた。これに対して次のような質疑がなされた(○:委員、■:日弁連)。

○ 国際人権条約について、特にここで取り上げる理由は何か。条約の批准と弁護士の国際化との関係が良く分からない。

■ ここで述べた条約は、司法制度の国際化とは切り離せないものと考えている。これらの条約を批准することによって、司法制度を担う法曹が、日常業務において、国際人権についての理解を深めることができるものと考えている。

○ ただ今の説明では、一般的な問題提起がなされた程度であったが、日弁連としては、どのようなことに取り組んでいるのか。

■ 日弁連でも、専門研修や法科大学院のカリキュラムの作成などを行っているところである。

○ 外国法事務弁護士の人数拡大については、何か検討を行っているのか。そのための方策として、外国法事務弁護士の職務経験要件を緩和することについてどのように考えているのか。

■ 日弁連として、弁護士と外国法事務弁護士との共同事業の定着化を図るための環境整備をどのように行うかについて検討していきたい。職務経験要件の緩和については、その必要性があるとは考えていない。

○ 法曹に対する語学トレーニングや実務研修について、「公的なサポート体制」が必要とのことだが、それはどのような意味か。

■ 日弁連としてそれをサポートしていくのが良いのかどうか、現在のところ、具体的な考えはない。日弁連と国との役割分担の在り方も含めて、更に検討していきたい。

■ 日弁連においては、研修の効率化を図るために、研修センターを設立したところである。


 引き続き、弁護士(法曹)の国際化への対応強化等について、討論が行われた(○:委員、□:座長、●:事務局、■:日弁連)。

○ 弁護士の国際化だけではなく、司法制度の国際化についても進めていかなければならない。国際標準の仲裁法案がようやく出来上がったところであり、裁判制度についても、国際標準に近づけていかないといけない。

○ ロースクールについては、複数の視点を持つ法曹が養成されるようにすることが必要である。

○ 現状では、法曹が国際化されていないとの指摘は、そのとおりである。その現状を打破するために、ロースクールの役割は重要である。第二東京弁護士会では、米国のロースクールとの間で単位交換を行うことにより、3年間で日本と米国の資格の取得を目指すロースクールの設立を計画している。弁護士の国際化の観点からは、ロースクール構想をうまく活用することが重要である。

○ ロースクール設立の取組にあたり、弁護士の国際化を推進するための制度的な工夫について気づきの点はあるか。

○ 司法試験の選択科目の選定などについて、工夫の余地はあるのではないか。

○ 日本企業が海外に進出するに当たり、進出先での労働、知財、税務などの法務問題を米国のローファームに依頼するのが今までの流れであった。弁護士事務所の執務態勢の観点から、専門性を有する弁護士を育成するための仕組みを作っていかないと、海外には太刀打ちできないのではないか。

○ 弁護士の専門性の強化については、弁護士事務所内での取組で対処できる。国の方では、是非、日本法の英文化を進めてもらいたい。

□ 弁護士事務所の規模が大きくなればなるほど、弁護士の専門化が進んでいくということではないか。

○ 裁判所においても、裁判官の専門化に取り組んでいるが、専門化を阻むものとして裁判官の転勤がある。

○ 弁護士事務所の場合、専門性を有する複数の弁護士を抱えることができるので、専門化のインセンティブがあるが、裁判所の場合、転勤があるので、そのようなインセンティブはなく、専門化を進めるのは難しい。ただし、知的財産については、裁判官の専門化が進んでいる。

○ 国際交流については、日弁連としても、国際法曹協会(IBA)やローエイシアのメンバーになるなど、これを推進しているところである。国際交流の推進により、積極的に、海外からの情報を収集していく必要がある。

□ 国際交流を進めるに当たっての、日弁連のサポートについて、何か不足している面はあるか。

○ 海外のシンポジウムへの参加についてクレジットを与える制度などの仕組みを日弁連において検討してほしい。

○ 第二東京弁護士会では、弁護士研修の義務化を行っているが、シンポジウムや研修会への参加についてクレジットを与えるような仕組みがある。日弁連においても同様な取組がなされれば、国際交流の推進も現実性を帯びてくるのではないか。

○ 国際機関への弁護士の登用について、外務省としては、採用情報の提供を行うなどの一般的な取組をしている。更なる取組については、検討の余地はあるが、具体的な話がないとなかなか実現しないので、どの機関にどの程度の要望があるのか質問したい。

■ 国際司法支援活動に100名が登録するなど、国際機関で働くことを希望している弁護士は多い。具体的には、人権や難民といった分野では、国連人権高等弁務官事務所やユニセフなどの名前が挙がっている。希望する弁護士と国際機関との間の架け橋作りをしていただければと思う。

○ 子の奪取、国際動産売買、国際養子縁組に関する条約について、日本が早期に批准することを要望したい。

● 個別の条約の批准の是非について、この検討会で結論を出すことは難しい面があることをご理解いただきたい。

○ 弁護士事務所の執務態勢の強化について、事務所の規模を拡大する必要があるからと言っても、限度があるのではないか。

□ 欧米においても、事務所の規模に関連して、何か大きな問題が生じたという話は聞かない。事務所の規模の拡大と国際化との関係について、何か指摘はあるか。

○ 事務所の規模と弁護士の専門化との間には関連性はあるが、規模と事務所の国際展開との間には関連性はないと思う。

○ 弁護士の専門性の問題は、結局、リーガルサービスのコストを企業側と事務所側がどのように負担するのかという、コストパフォーマンスの問題ではないか。

○ 法曹人口の増大により、業務活動を活発化し、ひいては、法曹の質を高めることが、司法制度改革の流れであると思う。ご指摘の点には異論がある。

(2)今後の予定

 次回(7月23日(木))は、法整備支援の推進、弁護士(法曹)の国際化への対応強化等について、議論の整理を行うこととなった。

(以上)