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国際化検討会(第16回)議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり



1 日時
平成15年7月23日(水)16:00〜17:00

2 場所
永田町合同庁舎第4共用会議室

3 出席者
(委員)
柏木昇座長、加藤宣直、久保利英明、孝橋宏、下川真樹太、下條正浩、道垣内正人、乗越秀夫、波江野弘(敬称略)
(事務局)
山崎潮事務局長、松川忠晴事務局次長、齊藤友嘉参事官

4 議題
弁護士(法曹)の国際化への対応強化・法整備支援の推進について(議論の整理)

5 配布資料
資料16−1 「弁護士(法曹)の国際化への対応強化・法整備支援の推進等」について(議論の整理メモ)(案)

6 議事

(1)議論の整理について

 事務局から、資料16−1に基づいて説明がなされた。これに対して次のような質疑がなされた(○:委員、●:事務局、□:座長)。

○ この整理メモは、国の施策を提言するという面が弱い。弁護士(法曹)の国際化への対応強化については、弁護士だけでなく、むしろ法曹全般について取組が必要であるとの指摘もあった。法曹養成関連では、テンプル大学のような米国のロースクールの日本校においてJD(ジュリス・ドクター)の資格をとれるような施策があってしかるべき。しかしながら、関係者によれば、校舎の所有義務と文部科学省の教育基本方針が障害となって、日本におけるロースクールの設立をあきらめているとのことである。

○ この検討会は今後どのように進むのか。開催の予定があるなら、この整理メモは中間とりまとめということなのか、ペーパーの性格について伺いたい。また、法曹養成については、第二東京弁護士会が提携する法科大学院では、在学中に、日本と米国の両方の司法試験に合格できるようなカリキュラムを検討しているところであり、明るい見通しが出てきている。

● 整理メモは、法整備支援の推進と弁護士(法曹)の国際化への対応の検討課題について検討の区切りをつけさせていただくという趣旨である。

○ 国際化への対応については4つのテーマがあるが、振り返ってみれば、弁護士と外弁との提携・協働だけしか検討していないのではないか。それ以外のテーマについて、十分に議論を尽くしたと言えるのか。ここで議論の取りまとめと言われても、まだまだ司法制度改革は続くのであり、外弁問題にしても、WTOの交渉も含めて検討しても良いではないかという議論もあった。十分に議論を尽くしたとは言えない問題について、きっちり議論をした上で、とりまとめの作業が必要なのではないか。

□ 前半は、外弁問題の議論に時間が割かれたのは事実であるが、その他にも、法整備支援について十分に議論をしたのではないか、また、国際化全般について議論をしても切りがないのではないかという気がする。

● 当面開催予定はないが、国際化検討会は、司法制度改革推進本部の設置期限の来年11月末まで存続することにご留意いただきたい。

○ 日本における米国の資格の取得については、米国法で決めればよい話なのではないか。日本法がそれを妨害しているとは思えない。米国のロースクールが日本に進出してこないのは、別の理由があるのではないか。

○ サービス貿易交渉や日米投資イニシアティブにおいて、アメリカが、米国本土のテンプル大学において取得した単位は日本において認知されるのに対して、日本校における単位は認知されないということを問題にしていることは事実である。それを日本として認知する立場にあるのかどうかはよく分からない。

□ 検討会の議論は十分だったのか否かという点についてはどうか。

○ 今回の会合が事実上の最終回と思っていた。外弁問題と比較して、他の検討課題は総花的で言いっぱなしで終わっているということは否めないが。もう少し議論を続けることとしても結構である。

○ 具体的な検討課題としてどのようなものがあるのか十分に理解していないが、外弁問題の議論に時間が割かれたのは事実である。仮にあるとすれば、もう少し検討しても良いとは思う。私も今回が事実上の最終回とは思っていたが、議論を継続しても結構である。

○ 検討すべき問題としては、色々なものが考えられるのではないか。国際人権問題については、日弁連のプレゼンテーションで言及があったのにもかかわらず、整理メモには何も触れられていない。このペーパーを中間報告として、さらに、この問題について法曹がとるべき具体的な対応という点について詰めた議論はなされるべきではないか。国際人権に限らず、ロースクール、ビジネスロー、仲裁などに関しても様々な論点が考えられる。この夏で司法改革が終わりならば仕方ないが、まだ議論の時間はあるのであれば、もう少し議論をして、ある程度方向性を打ち出すのが良いのではないか。次回の具体的な検討テーマについて準備はしていないが、委員の大方の賛同が得られるのであれば、座長を中心として、今後の進行について協議をすることにやぶさかではない。

○ 第1回の会合でも発言があったように、大事なテーマを解決できればその周辺の問題も自然と解決できるのではないかという発想でこれまで議論してきたと思っている。ユーザーのための司法制度改革を行うに当たり、この検討会では外弁問題を主要な検討課題として取り上げ、一つの到達点を目指してきたと理解している。その意味で、今回の法案成立は大きな成果ではないか。その他の問題については、今までの議論を聞いていても、到達点がよく分からない。裁判所の国際化については、その必要性は理解されており、裁判官の留学や法整備支援の活動への参加などの一定の取組が行われているところである。弁護士の側からみて裁判所の国際化が遅れていると言われるのは、国際的事案についての判断が信頼できないということではないかと思うが、今後、法曹人口が増え、多数の国際的案件が裁判所に持ち込まれれば、時間の経過を経て、自然と解決されるのではないかと思う。

○ 外弁については法律改正が一つの成果である。その他の課題については、この整理メモは、法律改正に結びつくとか、行政、司法、立法に対して影響を及ぼすというインパクトのある形にはなっていないという感想を持っている。少なくとも、この整理メモに対するパブリックコメントをフォローする必要があるのではないかと思う。

● 当初掲げた検討項目について、一通り議論は尽くせたのではないかと考えている。事務局としては、この検討会での議論がどういう具体的な措置に結びつきうるのかを検討してきたが、これ以上に、明確な立案課題は見当たりにくいことから、本日、残りの課題について、このような形で議論の整理をすることでいかがかと考えている。この場で明確な目標がなければ、一旦は議論に区切りをつけることをご理解いただきたい。国際人権問題については、この整理メモの在り方として、ご議論いただければと思う。

□ これまでの議論を聞いていても、具体的な検討課題について明確なご意見はないような気がする。今後の問題については、明確な議論の事項があるのであれば、そのアイデアを出してもらい、それを私と事務局で検討した上で、ご参集いただくということではどうか。

● 一旦はこの問題の議論を閉めさせていただきたいと思うが、今後の議論していく事項については委員から忌憚のないご意見をいただきたい。また、WTO交渉の状況など報告事項が出てくる可能性がある。必要な案件が生じたら、検討会を再開するということでご了承いただければと思う。

□ 今後の検討会についてはこのような方向で進めたい。

○ 条約の批准については、原案のように条約全般とするとインパクトが弱いので、前回申し上げた3つの条約を特定して書いていただきたい。これら、国際動産売買に関する条約、子の奪取に関する条約、国際的養子縁組に関する条約については、可及的速やかに、審議会を立ち上げ、条約批准に向けた動きを開始していただきたい。

○ 3つの条約をあえて取り上げる理由が良く分からない。この段階で3つを特定するというのは抵抗がある。

□ これら3つの条約に関する事情が明らかではない段階で、この整理メモに特定するというのは如何なものかと思う。条約の批准の記述をどの程度具体的な表現に直すかということは、一任をいただければと思う。

● 条約の問題については、個々の条約それぞれについて、外交マターとしての内容や性格は様々であり、政治課題としての大小軽重もある。このような個々の条約の取扱いについて、この検討会で出口の明確でない議論をするよりは、条約全般について批准を推進すべきというメッセージを発することの方が意味があるのではないかということをご理解いただきたい。

□ 条約の点についてはペンディングとさせていただき、その他の点についてはご了承いただいたものとさせていただきたい。この整理メモについては、司法制度改革のホームページに掲載するなどして、関係機関や国民に周知するほか、検討会の検討状況を顧問会議に報告する際に利用させていただきたい。

(2)今後の予定

 今後については、検討すべき事項があれば随時開催することとなった。

(以上)