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国際化検討会(第16回)議事録



1 日 時
平成15年7月23日(水)16:00〜17:00

2 場 所
永田町合同庁舎第4共用会議室

3 出席者
(委員)
柏木昇座長、加藤宣直、久保利英明、下川真樹太、下條正浩、孝橋宏、道垣内正人、乗越秀夫、波江野弘(敬称略)
(事務局)
山崎潮事務局長、松川忠晴事務局次長、齊藤友嘉参事官

4 議 題
弁護士(法曹)の国際化への対応強化・法整備支援の推進について
 ・議論の整理

5 議 事

○柏木座長 それでは所定の時刻になりましたので、第16回国際化検討会を開催させていただきます。
 本日は御多用の中、御出席いただきまして誠にありがとうございました。
 なお、バイヤー委員と玉井委員は所用により、本日の会合は欠席でございます。
 弁護士(法曹)の国際化への対応強化、法整備支援の推進の課題につきましては、昨年3月の第3回会合、本年5月の第14回会合及び前回の会合において、法務省や日本弁護士連合会などの関係機関や有識者からのヒアリングを行い、その結果も踏まえて、議論してまいりました。その議論の中で、委員の皆様から、様々な有益な御指摘をいただいたところであります。さらに、昨年10月の第11回会合におきましても、自由討論の場を設けさせていただきまして、御議論いただきました。
 これらの御議論の結果につきましては、既に、事務局の方から説明のありましたとおり、「議論の整理メモ(案)」という形で要約・整理させていただきました。
 本日は、この整理メモ案について、さらに追加的な御意見があれば、御指摘をいただき、その後、とりまとめをさせていただきたいと考えて考えております。何卒、よろしくお願いいたします。
 議事に入ります前に、この国際化検討会で御議論いただきました、弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働の推進の課題につきまして、事務局から、国会審議の結果の御報告をお願いいたします。

○齊藤参事官 申し上げます。外国法事務弁護士との提携・協働の推進につきましては、外弁法の一部改正案を盛り込みました「司法制度改革のための裁判所法等の一部を改正する法律案」を今通常国会へ提出させていただきました。この法律案は、衆参両院での審議を経まして、7月18日の参議院本会議におきまして可決・成立しましたので御報告を申し上げます。これまでの委員の皆様の御尽力に感謝申し上げます。どうもありがとうございました。

○山崎事務局長 ありがとうございました。

○柏木座長 それでは、まず初めに事務局から配布資料の確認をお願いいたします。

○齊藤参事官 本日の配布資料は、資料16−1でございます。

○柏木座長 それでは、事務局から、「議論の整理メモ(案)」の説明をお願いいたします。

○齊藤参事官 それでは、資料16−1につきまして説明申し上げます。資料16−1をご覧になりながら、お聞きいただければと存じます。
 冒頭に座長から御説明がございましたが、弁護士(法曹)の国際化への対応強化や法整備支援の推進等の課題につきましては、第3回、第11回、第14回及び前回の会合におきまして、関係者からのヒアリングを行いながら、そのあり方を議論してきたところでございます。そして、既に、御案内させていただきましたとおり、これらの課題の検討の結果といたしまして、この議論の整理メモ案を作成させていただいたところです。
 この整理メモ案は、検討の大まかな内容が把握できるようにすることを念頭に置きまして、基本的には、委員の皆様から出された御発言を適宜項目別に要約・整理したものでございます。
 なお、当検討会は、検討会としての意見ないし提言をまとめることを目的とするものではございませんので、この整理メモはそのような提言などのスタイルにはなっておりません。そのことと、対立的な御意見もそのまま盛り込まれていることを御了解いただければと存じます。さらに、御発言につきましては、その趣旨を踏まえつつ、第三者が読んで理解し易いように、言葉を補うなどさせていただいております。この点にも御留意いただきたいと存じます。
 それでは、以下、議論の整理内容をかいつまんで御紹介させていただきます。
 まず、1項目の「1.」では、弁護士(法曹)の国際化への対応強化について記述しております。これらに関する御発言は、1)弁護士事務所の執務態勢の強化・弁護士の専門性の強化、2)弁護士の国際交流の推進、3)法曹養成段階における国際化の要請への配慮、4)その他の項目に分けて整理しております。
 そこで、初めの1)の「弁護士事務所の執務態勢の強化・弁護士の専門性の強化」についてですが、2番目の「○」に、具体的な方策の1つとしまして、「日弁連等の研修に関して、いわゆるビジネスローや国際私法に関する研修の機会を増やすなど、その制度の拡充・強化を図ることは、弁護士の専門性(国際性)の強化に資すると考えられる」との御意見などを掲げております。
 2)の「弁護士の国際交流の推進」では、2番目の「○」で、「弁護士の研修制度に関して、日本での国際的な学会やシンポジウムなどへの弁護士の参加を促進するような仕組みを検討すべきである」との御意見などを掲げております。
 続きまして、3)の「法曹養成段階における国際化の要請への配慮について」では、1番目の「○」ですが、「弁護士の語学力、コミュニケーション力、ディベート力を向上させるために、法科大学院のカリキュラムの内容について創意工夫が必要である」との御意見などを掲げております。
 続いて4)の「その他」としましては、「外弁と弁護士との提携・協働に関する規制緩和と、国際的感覚を身に付けた弁護士の数を増加させることとあいまって、ユーザーのニーズが満たされると考えられる」との御意見、「弁護士の国際化への対応強化については、いわゆるビジネスローや国際取引実務に関するニーズのみならず、国民・市民が抱える国際的な法律問題に関するニーズについての視点も必要である」などの御意見などを掲げております。
 3ページからは、法整備支援の推進について記述しております。これに関する御発言は、1)法整備支援の目的・理念等、2)財政・人的基盤の整備、3)実施機関のあり方、4)その他の項目に分けて整理しております。
 まず、1)の「法整備支援の目的・理念等」のところでは、1番目の「○」のように、「国としての戦略を策定することが必要」との御意見に対しまして、3番目の「○」のように、「法曹の義務という面から支援を行うべき」との御意見などがありましたのでこれらを掲げております。
 続きまして、2)の「財政・人的基盤の整備」では、1番目の「○」のように、「法整備支援の一層の推進には、財政・人的基盤の拡充・強化が必要である」との御意見などを掲げております。
 4ページの3)の「実施機関のあり方」では、法整備支援を統一的かつ効率的に行うため、1番目の「○」、「少なくとも、各実施機関の相互の連絡協調体制を強化することが重要である」との御意見などを掲げております。 続きまして、4)の「その他」では、2番目の「○」、「支援活動の成果を公表、アピールすることにより、それを評価してもらう努力が必要である」との御意見などを掲げております。
 最後になりますが、日本の法令等の英語訳の整備につきましては、法整備支援に限らず、広く、司法制度の国際化への基盤整備という観点からの御指摘もありましたので、その下の「3.その他」のところでも取り上げて記載しております。
 さらに、「条約全般について批准を推進すべきである」との御意見。それから、今般、国際的な標準に沿って立法化が図られました仲裁制度に倣い、裁判制度についても国際的な標準に近づけるべきであるとの御指摘もございましたので、掲げさせていただいております。
 最後になりますが、この整理メモ案を御了承いただいた後の取扱いでございますが、司法制度改革推進本部のホームページに掲載するなどして、関係機関や国民にその内容を周知するほか、国際化検討会の検討状況を顧問会議へ報告する際にも活用したいと考えております。
 説明は、以上でございます。

○柏木座長 ありがとうございました。ただいま事務局から、議論の整理メモ案の説明がございましたが、さらに、この整理メモ案に盛り込むべき、追加的御意見や、御質問がございましたら、挙手の上、発言をお願いいたします。いかがでしょうか、下條委員。

○下條委員 本来この検討会というのは、国の施策を提言していくというか、そういうことにあると思うのですけれども、いただいたメモでは、なかなかそういう面が弱いのではないか。1つは、1番目の「弁護士(法曹)の国際化への対応強化」ですけれども、これは、私も申し上げましたし、座長も言われたと思うのですけれども、弁護士だけではなくて法曹全般、裁判所・検察官、むしろ括弧に入れるべきは弁護士の方で、むしろ法曹全般の国際化への対応強化、そういうことが必要なのではないかということが意見として言われたと思います。一応裁判制度の方は、一番最後の「その他」のところに書いてありますけれども、法曹とか裁判制度、そういったものの国際化が弁護士だけでなくて、そういったものの国際化が必要ではなかろうかということが言えるかと思います。
 それから、今まで出なかったのですけれども、弁護士の国際化というか、法曹の国際化に向けて、前回のとき、久保利委員から、テンプル大学と組んでやるというお話がございましたけれども、むしろ、それよりも、例えばテンプル大学みたいなところが日本に出てきて、J.D.のディグリーを取れるような、そういったロースクールができるようになれば、日本にいながらにしてそういったJ.D.のディグリーが取れるわけですから、そういう方面の国の施策というか、そういうのがあってしかるべきではないかと思います。
 それでちょっとテンプル大学の関係者に聞いてみたところ、2つの障害があってできないのだということをおっしゃっていました。1つは、何法というのでしょうか、法律によって、大学は自分で土地・建物を所有してないといけないという規則があるそうなのです。それが1つのネックになる。もう一つは、文部科学省の教育基本方針に従わないといけない。ですから、それが非常にがんじがらめで、アメリカのロースクールはそういうものにしばられたくないという面がありまして、その2点からロースクールの設立をあきらめているということで、現在学校と言えないような、そういう状態で日本に出てきているという話を聞きましたので、ぜひ、そういう面は国の施策として、今後改良していただきたいと、そのように考えます。

○齊藤参事官 ちょっとよろしいですか。

○下條委員 はい。

○齊藤参事官 外国の大学が日本において何を取得できるようにとおっしゃったのですか。

○下條委員 J.D.のディグリー、法学博士というんですか、普通ロースクールを3年やりますと、J.D.のディグリーが取れると。大体90単位ぐらい取って、Juris Doctor(J.D.)と言っていますけど。

○柏木座長 それはアメリカのJuris Doctor、日本の法学博士ではないわけですね。

○下條委員 そうです。

○柏木委員 今の下條委員の御意見に対していかがでしょうか。

○久保利委員 今の下條委員の意見とも関係もあるのですが、1つは、座長にお伺いしたいのは、この検討会は、今後どういうふうに進むのか。要するに今日で終了ということなのか、あるいは今後まだやっていくが、とりあえず中間取りまとめみたいなことで、このペーパーをご用意になっているのか、まず、進行とこのペーパーの性格についてお伺いしたいというのが1点です。
 もう一つは、下條委員がおっしゃっているとおりでありまして、多分学校教育法か、そういう問題だと思いますが、少なくとも大学の設置認可等々を取ろうというと、なかなか大変な不動産の取得というのが必要になってきて、そのこともあって、私ども第二東京弁護士会も、自ら学校法人を取得して大学をつくろうと思ったのですが、大変困難だということで、今、大宮法科大学院というものを学校法人と提携をしてやっているわけですけれども、そういう意味で言うと、今の下條委員のおっしゃった第1の問題は非常に大きなネックではないか。
 第2については、これは物の考え方というところがあると思いますので、日本でやる以上は、文科省の言うことを聞けというのは1つの方法かもしれませんけれども、そもそも物理的になかなかつくれないというところが非常に大きな問題ではないかと思っております。
 したがって、我々としてはテンプル大学、それ以外の大学もありますが、アメリカに留学をして、それは法科大学院にいる在学期間中でも、法学部出身者ですと、向こうではLLMのコースに入れますので、そこでLLMを習得し、ある意味では3年ないしは3年ちょっとぐらいで、日本の司法試験も受かり、アメリカの弁護士試験にも合格ができるというコースがつくれないかというのを今検討していまして、かなり明るい見通しができてきているというところではありますけれども、日本にいながらという要件は国際化の中では非常に大切な要件ではないか。アメリカに行かなくてもできるという、今の下條委員の御指摘は大変重要な指摘ではないかと思っています。
 まず、第1の点については、いかがでございましょうか。

○齊藤参事官 これは事務局から答えさせていただきますが、まず、議論の整理ペーパーの性格ですが、これは「弁護士(法曹)の国際化への対応強化・法整備支援の推進等」、これらの検討課題についての議論の取りまとめをしたということで、検討の区切りをつけさせていただくという趣旨でございます。
 したがいまして、今回をもちまして、この2つの課題についての検討も一応終了したという形をとらせていただきたいと考えております。

○久保利委員 わかりました。そうだとすると、実は、私、昔の資料を1回目からずっと、そもそもの成り立ちからひっくり返してみたのですが、そしたら、審議会事務局がおつくりになった「司法制度改革」という立派なパンフレットが出てまいりました。このパンフレットを見ておりますと、まさに「国際化への対応」というのがちょうど見開きのところに、左右2ページ、非常に立派な図があるわけです。ここには、民事司法の国際化、法整備支援の推進、刑事司法の国際化、弁護士(法曹)の国際化という4つのテーマがあるのですが、いずれも重要なテーマですが、どうも振り返ってみると、この中の一番左隅の下の方に書いてあった「外国法事務弁護士等の提携・協働を推進します」というところだけしか、我々はまだやってないのではないのか。それ以外の部分について、議論の取りまとめというお話はありましたけれども、今、下條委員がおっしゃったことも含めて果たして十分議論を尽くした、すなわち検討会として、本来の職務を十分果たしたと言えるのかどうか。もちろん我々の能力不足という点もあるとは思いますけれども、ここで最終的な取りまとめだと言われると、まだまだ司法改革というのは、もう少し時間があるはずでございますし、そもそも外弁問題にしても、WTOでのいろんなやりとり等も含めて検討してもいいではないかというところもあったくらいで、一体、今、あちらがどうなっているのかわかりませんが、その部分だけ非常にスピーディーに、法案までできて、参事官から、お礼は言われましたけれども、そういう問題でおしまいというのもいかがなものだろうか。まだ、十分まとめきれていない、この多くの問題についてきっちり議論をして、その上で取りまとめるという作業が必要なのではないかと私は思います。

○柏木座長 昨年1月にこの会が始まりまして、16回を経ているわけですけれども、その前半はかなり外弁問題に使われたわけですが、国際化全般の問題について議論をしても、私はあまりきりがないのではないかという気がするのですが、久保利委員が今お話になりましたけれども、かなり外弁問題については突っ込んで議論し、法案ということにまで至ったわけでありまして、そのほか、法整備支援等につきましても、私はかなり議論したような気がするのですけれども、ほかの委員の方、いかがでしょうか。

○齊藤参事官 一言、補足させていただけますか。

○柏木座長 はい。

○齊藤参事官 国際化検討会は、推進本部事務局が来年の11月まで存続しますので、そこまで、国際化検討会自体は存続するという考え方です。ただ、当面、次回の検討予定というのはないわけですので、言ってみれば、事実上休眠状態になる。したがいまして、今回で名実ともに解散あるいは消滅という意味ではございません。そのこともちょっと御留意いただきたいと思います。

○柏木座長 道垣内委員、いかがですか。

○道垣内委員 その方針をどうするかという、議論がされているか、されていないかは、先ほどの第2点の方のロースクールの話ですが、日本の資格を取らなければ、アメリカの資格を取れないのでしょうか。そこがちょっとわからないのですが、要するにアメリカ法から見て、日本で物理的に授業してもアメリカのJ.D.はありますと。アメリカ法が決めればできる話のような気がするのですけれども、そちらがどうなっているのかというのはまだわからない。アメリカだけではないのでほかの国がどうなのかということで、それをさらに妨害するような日本法があるのでしょうか。ですから日本の大学の資格を取る必要は必ずしもないように思うのです。アメリカ法でよいと言えば、それで終わりのような気がしますけれども、ですから進出して来ないのは別の理由のような気もしますが、その辺の法律はどうなっているのかがわかりませんので、そういう意味では、今の議論はすぐには解決できない話かと思います。
 そういう点では、なお、いくらでもテーマはありそうではあります。

○柏木座長 今の問題は、1つは大学設置基準の問題も絡んでくるのかなと。それは日本の法制度に基づいた、例えば法科大学院をつくろうとすると文科省が絡んでくるわけですけれども、純粋にアメリカの大学が日本の法制に関係なくアメリカのJ.D.を与える学校を日本でつくることについて、何か外資法上の規制があるとも思えないし、ちょっとその辺はよくわかりません、おっしゃるとおり。

○久保利委員 テンプル大学・日本校というのはありますね。あそこに行けばテンプル大学の資格、要するにアメリカのJ.D.は取れるわけではないのでしょうか。

○下條委員 ないようですね。

○下川委員 その点に限って申し上げると、サービス交渉とか、日米の投資対応などでも議論にはなっておりまして、アメリカが問題にしているのは、米国本土のテンプル大学において取得できるものが、全く同じ教授陣、全く同じカリキュラムで物理的に日本国内で提供された場合には認知されないということをアメリカは問題にしているということです。ただ、それを日本として認知する立場にあるのかどうか必ずしもよくわからないところなのですけれども、いずれにしても学校法人としての資格が取得できないと。それは1つにはカリキュラムが文科省の基準に従ってない。それから、物理的に校庭の広さとかいろいろと不動産を所有してなければいけないということがあり、それをクリアーすることができない。そういうような理由で、学校法人としては認知されない。
 したがって、それを米に戻って資格を認めるということはできるのかもしれませんけれども、例えば4年制の大学を、テンプル大学の本土で卒業して、日本に帰ってきたら大卒同等ということで、例えば大学院に行くときに卒業資格で認められるのですけれども、それを日本校でやってしまうと、同等性を認めないと、そこが問題視されていると。
 だから、日本政府として資格を認知するという行為が入ってきたときに、外国でやったら、全くコントロールないところで認められているものが、日本国内でやったら認められなくなるというのは何かおかしいのではないか、そういう議論があるのは事実だと思います。
 それから、あとはそういう単位の認知という話以外に、テンプル大学・日本校においては、学割が認められないとか、通学定期が認められないとか、事実関係として、そういう学校法人格がないがゆえにいろいろな問題も指摘されている。

○柏木座長 アメリカのロースクールが日本で活動できるかどうかという問題も大きな問題ですけれども、久保利委員が提起されたもう一つの大きな問題は、我々の議論が果たして十分だったのかどうか。このテンプル大学というか、むしろ国際的な法学教育の面の検討においてもしかりですし、ほかの面においても十分だったのかどうか。これから、さらに、また議論を深めていく必要があるのではないかという点が非常に大きな問題だろうという気がするのですけれども、その点については、乗越委員、どうでしょうか。

○乗越委員 私、今の今まで、今回が事実上の最終回というつもりでいたのですけれども、久保利委員がおっしゃることもわかるように思います。議論の仕方が非常に難しいという面もあるのですけれども、外弁の議論をしていたときに比べると、若干総括的に、何か言いっぱなしで終わっているかなという感じは私としても否めません。
 今後、続けていくかどうかというのは、皆さんの総意に基づくことで、それから事務局の方の対応の問題もあるのでしょうけれども、私、個人的にはもう少し議論を続けることもやぶさかではないという気はいたします。

○柏木座長 加藤委員、いかがですか。

○加藤委員 具体的にどういうテーマがこれから先あるのかについて、私自身十分には理解しておりませんけれども、今までの検討会の流れからして、外弁法に関連する議論が非常に時間が割かれ、議論も非常に精緻にされたのに対して、それ以外の問題について、仮にあるとすればということになりますが、議論が十分とはいえないように思い、もう少し議論をしてもいいのではないかという気はいたします。
 私、個人的にというか、私の立場で言いますと、この検討会が始まった当初にお話をしましたとおり、意見書の中にもあります知財に関連する議論を「国際化」という観点から議論していただくということも1つのテーマとしてはあり得るのではないかと思います。
 もう一点は、先ほど乗越委員もおっしゃいましたように、私も今日が事実上の最後かというように思いながら来ましたけれども、事後、仮にこの検討会が継続されるということであっても一向に差し支えはありませんし、ぜひ参加はさせていただきたいと思います。

○柏木座長 久保利委員、いかがですか。これから議論を続けるとすれば、どのようなテーマがまず考えられますでしょうか。

○久保利委員 いろんなふうに考えられると思いますが、例えば、今回の取りまとめを見ても、例えば、前回、大谷弁護士が来られて、いわゆる国際人権の話をいろいろしました。そのときには、確かに我々はお話を承って、若干の質問があったりはいたしましたけれども、その問題について、具体的にどういうふうに我が国は動くべきなのか、日本の法曹はどういう対応をとるべきなのかということについての詰めた議論はしていないわけです。
 ですから、取りまとめの中に人権、「国際人権」という言葉1つ出てきていないわけでありまして、それはいわば説明者が言っただけであって、我々が言わなかったから書いていないのだということだとすれば、逆にそういう部分をちゃんと議論しましょうねということになれば、当然これだけのメンバーがいらっしゃるわけですから議論はなされるはずであります。
 という点からすると、今までの議論の進め方が、ある意味で言うと、話を聞いてわかってしまいますと、それでおしまいということになっていた。むしろ反論がないので議論がなかった。それはある意味で言うと、説明者に説得をされているわけですから、それがある意味で言うと、この検討会の結論になってもいいわけですけれども、そこまではいってない。よってもって、このまとめにはクリアーに書かれてこないということになったら、もう一遍、このたたき台というものを中間報告として考えて、それをベースにもう少し前へ進むための議論をそれぞれのテーマで、別に国際人権だけに限るわけではありませんけれども、今のロースクールの問題も含め、あるいはビジネスローの問題も含め、仲裁の問題についても、新しい仲裁法等々システムができてきているわけですが、それをどんなふうに活用してやっていくのかという議論は全然なされていないわけで、そういう点からすると、恐らく道垣内委員の専門の分野でもたくさんのテーマがあるはずだと。
 もし、ことしの8月でここの任期はおしまいだというなら、これはもうそれでやむを得ませんねということになるのですが、今、参事官もおっしゃったように、来年の11月まで任期があるということであるならば、開催の頻度や時間は工夫するにしても、もう少し議論をして、ある程度方向性を打ち出すその機会があってもいいのではないか。
 私が、今ここで、では具体的にこの問題を次回やりましょうというところまで準備をしていませんでしたけれども、皆さん方の大方の賛同が得られるのであれば、座長を中心にして、以後、どういうふうに運営していくかということについて協議をすることにやぶさかではないと、こう思っているわけであります。

○柏木座長 孝橋委員、いかがですか。

○孝橋委員 私はこの検討会に途中から参加したわけですけれども、第1回目の検討会の議事録を見ますと、いろいろ取り上げるべきテーマはたくさんありますけれども、全部の問題を議論しても無理があるということで、大事なテーマを取り上げて、それが解決できれは、バイヤー委員の御発言だったと思うのですけど、1つの問題が解決できれば、それに伴って付随的・周辺的な問題は解決していけるのではないか、そういう発言もあったかと思うのですけれども、そういう発想で今までずっと流れてきたのかなと思っておりまして、それで、この検討会では、外国法事務弁護士の問題がメインとして取り上げられてきたということで理解しております。
 この検討会というのは、ここだけではなくて、ほかの検討会も行われているわけですけれども、全体として1つの方向性というか、到達点を目指しているという、そのスキームの中の話だと思いまして、やはり国民の側に立った司法制度がどうあるべきかということをいろんな角度から検討していくと。
 そういう中で、とりあえずこの検討会では外国法事務弁護士の問題を取り上げながら、ユーザーのための制度改革をやっていこうということで、この法案が成立したことは非常に大きな成果ではなかったかと私は思っておるわけです。そのほかの問題についても若干御議論がされまして、それはそれで意義があったことだと思うわけですが、今後どういうことを取り上げるかということについては、いろいろ皆さんお考えがあって議論したい点はたくさんおありだと思うのですけれども、それがどこまでいったら到達点になるのかということが、先ほどの委員の皆さんの御発言でもよくわからないという率直な感じは持っております。
 最初に下條委員から法曹の国際化という、裁判所も含めて国際化の問題の取りまとめをすべきだという御発言がありました。その点についてだけ一言発言させていただきますと、全くおっしゃるとおりで、裁判所自体も国際化を考えないといけないということであろうと思っています。ですから裁判所の方でも、裁判官を留学させたり新たに法整備支援にも参加させるとか、そういうことをやっているわけですが、恐らく弁護士さんからご覧になって、裁判所の国際化が遅れていると思われるのは、裁判の内容の問題で、いま一つ国際的な問題に裁判官が明るくない、もう一つ信頼できない、とそういう部分だと思うのですけれども、それは私は国際的な案件が裁判所に持ち込まれるケースが余りにも少ないことにもよると思います。これは裁判所が信頼されてないからそうなっているのかも知れませんけど、ただ、今後、法曹人口が増えて、また国際的な案件が裁判所に持ち込まれることが増えてくれば、自然にそういう問題は改善される部分があると。ここで一生懸命議論したら改善されるというよりは、むしろそういう時間の経過を経て改善されていく部分があるのではないかと思っておりまして、そういう意味では、一応ここらあたりで1つの到達点がこの検討会としては見えてきたのではないかと私は認識しております。
 以上です。

○柏木委員 ありがとうございました。波江野委員、いかがですか。

○波江野委員 私もこの検討会に参加しておりまして、最初のころの方向付けのときにも申し上げたかと思いますが、外弁法については法律の改正ということで1つの成果が確認できます。それに対して今日のペーパーの場合ですと、言いっぱなしになってしまうとか、総花的になるというような問題もありまして、どういう形で議論を進めれば、この司法制度改革推進本部の中の1つの検討会としての意味を果たすかという問題があるのではないでしょうか。今日いただきました論点整理メモで、これも拝見しますと、法律改正などに直接的に結び付くとか、行政あるいは司法・立法に対して影響力を及ぼすというようなインパクトのあるような形にはなってないなという感じがしております。そういう観点から申しますと、先ほど各委員からお話がありましたように、私自身も、当初は今日で終わりだというようなつもりで出てきてはおりましたけれども、この論点整理メモについては、先ほど齋藤参事官おっしゃったように、公表することによって、どういう意見が出てくるのか、そういったもののフォローみたいなことは少なくともやる必要があるのではないかと考えます。法律のパブリックコメントなどについて、どれぐらいの意見が集まって、どういう影響力を及ぼすかわかりませんけれども、司法制度改革推進本部として、こういう形で出すものについては、ほかのものよりは関心も高いだろうし、いろいろな意見が出てくるのではないのでしょうか。
 そうすると、2月か3月経過したときに、そういう意見を集約して議論するといったことも意味があるのではないか、そんな感じはいたします。

○柏木座長 ありがとうございました。

○齋藤参事官 担当の参事官としましては、一応当初この検討会で論点の整理というものをいたしました。そこでは外弁制度の問題、弁護士(法曹)の国際化、法整備支援の推進、さらにその他という項目を掲げておりまして、その当初掲げた論点につきましては、今日までに一通り議論は尽くせたのではないかと考えていたわけです。
 本日、久保利委員から、まだまだ本来の国際化検討会の使命としてやるべき課題が残されているのではないか、あるいはそのあたりのことをもう一度根本に立ち返って考え直した上でこの検討会の今後のありようを考えてみたらどうかという御趣旨の御発言だと思うのですが、そのあたりのことも事務局としては、この検討会が具体的にどういう措置に結び付け得る課題があり得るのかということについては、それなりに悩んで検討はしてきたつもりなのです。その意味では、これ以上に何か明確に措置あるいは立案課題に結び付け得る適当な課題が当面見当たりにくいことから、本日この残りの2つの課題についての議論の整理をするということで一応のまとめをできるのではないかと考えていたわけです。 したがいまして、そのあたりの趣旨は、できればお酌み取りいただいて、特段この場で明確に一定の立案、あるいは措置に結び付け得る明確な目標があればともかく、それがなければ、一応一たんは区切りをつけさせていただくということで御了解いただけないものかなという気はいたします。
 それから、前回の議論で、国際人権についてのプレゼンテーションがかなりのウエイトのものとして言及されたわけですが、その取り上げかた自体は、今日の議論の整理メモのあり方の問題としていろいろ御議論いただいた上で、取扱い方は何らか適当な方法を見出したいと思います。ですから、この議論の整理メモのあり方について、本日ぜひ十分な御議論をいただきたいと思っているのです。
 今日は冒頭からすごく大きなテーマになってしまいましたので、議論の整理ペーパーの中身それ自体の御議論がまだほとんどなされていない状況なので、まずはそちらも十分していただければと思うのですが。

○柏木座長 久保利委員の提示された問題が、おっしゃられたように非常に大きな問題なので、この中身の問題、2つ大きな問題が出てきまして、時間も足りないわけですけれども、皆さんの御意向としては、多数は、私の印象としては、どうもこのまま終わるのは忍びないというような御意向が多いのではないか。さりとて一体何をこれからやっていくのかということについてもどうも明確な御議論はないような気がいたします。
 今後の問題につきましては、例えば明確な議論アイテムがあるのであれば、これは確かに、これだけのメンバーの方にお集まりいただくチャンスというのは非常に少ないわけですから、それを議論することは非常に有益だろうという気はするわけです。
 ここは1つの思い付きなのですが、議論の事項につきまして、今から議論しても始まらないので、皆さんから事務局あてにアイディアを出していただいて、私と事務局で打ち合わせをして、さらに議論を深める事項があれば、また御参集いただくというようなことではいかがですか。

○山崎事務局長 皆さんも了解されているものと思って参ったわけですけれども、そうではないということが、わかりました。かといって、具体的に何を検討するということはまだ定まってないという状況でございますので、一たんはこの問題は締めますけれども、確かに、今、座長が言われましたように、皆様方からいろいろあるならば、忌憚のない意見をお寄せいただいて、ある程度まとまりになって必要であるならやろうということになる。それから、状況によっては、WTOの状況報告とか、そういう問題も出てくる可能性もあるということで、必要な案件が生じたらお集まりいただいて御報告いただく、あるいは報告する、御議論いただくというような形でおさめたらどうかという感じはいたしますけれども、座長のお考えと大体同じでございますので、もし皆様方、それで御了承いただけるなら、そういう仕切りにさせていただければと思っています。

○柏木座長 よろしゅうございますでしょうか。

(「はい」と声あり)

○柏木座長 ありがとうございます。
 それでは、今後のこの検討会の開催につきましては、今、山崎局長から御提案のあったような方向で進めたいと思います。
 もとに立ち戻りまして、今日のこの整理メモの内容につきまして、御意見はございますでしょうか。

○道垣内委員 非常に細かいことですけど、一番最後にある仲裁制度ですが、一昨日頃の段階ではまだ法案は参議院を通っていなかったのですけれども、「立法化が図られた」と書いてしまって、今の段階ではよろしいのでしょうか。

○齊藤参事官 その点は、事務局で案を出しておきながら不手際で恐縮ですが、現時点では、まだ仲裁法は確かに法案は可決・成立しておりませんので、「立法化が図られた」という部分は、その趣旨を踏まえた修文をさせていただきたいと思います。
 ただ、この整理が何時かの時点で公表されることになると思うのですが、その時点で、仲裁法案が可決・成立していれば、その状況を踏まえた記述にさせていただきたいと思います。

○山崎事務局長 実は、明日仲裁法案の審議があります。ただ、終わるかどうかは全く決まってないという状況でございまして。

○山崎事務局長 非常に微妙な話でございまして、どうなるかは不透明というのが正しいところでございます。国会の審議、来週の月曜日まででございます。そういう意味で、我々一生懸命議了になるように頑張っておりますけれども、そのあかつきには、法制化されたというふうに表現は変えさせていただくということになります。いずれにしても、今日の時点では不正確であったことは間違いございません。

○柏木座長 ほかに御意見ございますでしょうか。下條委員。

○下條委員 今、道垣内委員がおっしゃった1つ上の「○」なのですけれども、「条約全般について批准をすべきである」ということなのですけれども、これはこの検討会に提出しましたように、条約全般といいますと、何百とありますので、これだと、さっき波江野委員がおっしゃったようにインパクトが非常に薄いので、私が最後のときに申し上げました3つの条約、これを名指しでもって特定して書いていただきたいと思います。これはすなわち国際動産売買に関する国連条約、それから、子の奪取の民事面に関する条約、養子縁組に関する法及び協力に関する条約、この3つについては可及的速やかに、これは法務省に対する要望になると思うのですけれども、審議会をスタートさせて、条約批准に向けた動きを早急に開始していただきたいと訂正していただけたらと思います。

○柏木座長 今、下條委員から具体的な条約名をここに入れて、もっとインパクトを強くという御意見がありましたけれども、いかがでしょうか。

○久保利委員 たしかグロンディン氏も子の奪取の条約の批准については非常に強くおっしゃって、なるほどというふうに私も思ったので、逆に言えば、反対の議論があるならば、何べんでも反対の議論と賛成の議論と闘わせたらいいと思いますが、特に反対の議論がないなら3つ書くことについて、恐らく大方の賛同は得られるのではないでしょうか。

○乗越委員 実は、特にその3つの条約に反対するという趣旨ではないのですけれども、3つの条約をあえてここに取り上げて書く理由がよくわかりませんで、条約の中身について、ここでいろいろ教えていただいて納得すればともかく、今の段階で3つの条約だけ名指しというのは若干抵抗があります。

○山崎事務局長 こちらの所管ではございませんで、おそらく法務省の民事局になるのだろうと思うのですが、法務省から、現在どういう状況かということをきちんと議論してお聞きになった上で決めないとどういう支障があるかどうか、ちょっとわかりませんし、それを聞かないでいきなり決めるというのもいかがなものかという感じはいたしますので、今日の段階では、もう少し議論をどこかでするならばするという形ではいかがでしょうか。
 国際動産売買については随分前からの懸案であることはわかっておりますけれども、今、どういう事情にあるか、それは私どももつかみきれないところがございますので。

○下條委員 今、申し上げました3つについては、昔、NBAや法律雑誌に、法務省の方が、早急に批准に向かうべきであるというのを、10年以上前に書かれていることですので、あまり抵抗はないのではないかと思います。

○柏木座長 ちょっと私が疑問があるのは、何百という条約が今ペンディングになっているわけで、それこそ国際民事訴訟法でもたくさんあるわけですね。その中で、なぜ、この3つがプライオリティーがあるかというようなことを議論を尽くさないといけないのだろうという気がするんですね。ですから久保利委員のように、この検討会を続けるということに結び付く・・・。

○久保利委員 私はやりたいわけではないんです。ただ、これで本当に国民に対する義務を尽くしているのかという批判に耐えられるかということを言っているだけでありまして。

○柏木座長 具体的な条約の3つの問題を挙げるかどうかという問題につきましては、そういう問題もある。それから、今、山崎局長がおっしゃられたような事情もあるのではないかと思うわけであります。ということで、これは私と事務局で打ち合わせをさせていただいて、どの程度、これを具体的な表現に直すかということはできれば御一任いただければという気がいたしますけれども、よろしゅうございますでしょうか。

○久保利委員 基本的に、要するにこの検討会というのは、何かを取りまとめて、ああせい、こうせいという、そういうものをつくる第二審議会ではないと、それはそのとおりなんですね。けれど、例えば知的財産権の検討会などもどんどん枠を広げていろんなことを議論して、しかも知的財産戦略本部というものが一方であるけれども、それとまた違う考え方もぶつけながら、同じ政府の中でやり合っているということがあるわけで、もうちょっとオープンに議論をしていいのではないか。
 したがって、局長のおっしゃっているのはそのとおりなので、話も聞かないで、突然この3つだけやれというのもいかがなものか。私はそのとおりだと思います。聞いたらいいわけでありまして、しかも、そのときに3つだけというのか、3つを含めというのか、それ以外のものも含める、4つになるのか、あるいは3つのうちの2つはそうだけれども、そうならないのか、これは大いにやったらいい話であって、とにかくこれだけのメンバーが集まって、検討会をこれだけ一生懸命やっていて、それで外弁法の改正だけしかないというのは、どうも私は納得できないということです。もうちょっと何か貢献・寄与ができるのではないかということで申し上げているわけですから、早く終えよう終えようというふうに思わないで、参事官も初め、これは3年の任期でございまして、要するに3年はやるのだという趣旨のスピーチをちゃんとしていらっしゃいますから、その意味で言うと、3年いかないで、今締めてしまうのはどうも早仕舞いみたいな気がするということを申し上げているわけです。

○齊藤参事官 条約の問題も、例えばいろんなお立場の方それぞれにとって早急に批准してもらいたいという条約がいくらでもあるかもしれません。そういうことをすべてここで取り上げて、個々の条約の持っている外交マターとしての中身だとか性格、あるいは政治課題としての大小、軽重、そういったものをすべてこの検討会でうまくこなせるのかどうか。そこであまり出口のない議論をするよりも、ある意味で条約全般についてでも批准が滞っているのを改善すべきだというメッセージをまず発すると。そこで、まずコンセンサスが得られないのかという提言だと御理解いただければと思うんですね。
 もしも、個々の条約の取扱いについて、突き詰めた結論を得ようとすれば、これはこれで非常に難しい問題に陥りかねないと、そういうことも心配しているのだということも御理解いただきたいと思うのです。

○柏木座長 ほかにきょうのこの議論の整理メモの内容につきまして、御意見ございますでしょうか。

○道垣内委員 1点だけよろしゅうございますか。

○柏木座長 道垣内委員、どうぞ。

○道垣内委員 参事官の最初の御説明の中で、いろんな発言を取りまとめたので、矛盾する点も入っているとおっしゃったような気がするのですが。

○齊藤参事官 対立的な意見もそのまま取り入れられているということです。

○道垣内委員 具体的にどの部分で、あまりに違っていると整理メモになってないおそれがあるので、私が読んだ限りではあまりよくわからなかったのですが。

○齊藤参事官 例えば、1ページ目から2ページ目にかけまして、「弁護士事務所の執務態勢の強化・弁護士の専門性の強化」というところで、弁護士の事務所の大型化、専門化というのは、コスト・パフォーマンスの問題でもあるのではないかというような御意見と、一方で、そのすぐ下の「○」では、今次の司法制度改革というのは、競争原理との関係で、法律サービスの質の向上とコストの逓減を図ることに主眼があると。この辺を突き合わせると、場合によっては、法律事務所の大型化、専門化ということで、当然にユーザーにとってのコスト高になるということについては反論めいた意見でもあり得るかなという気がします。
 それから、法整備支援の目的、理念のところあたり、このあたりは国としての戦略を策定して法整備支援をどの程度の力を持って行うかどうかを明確化すべきだと。国としての戦略というところにウエートを置いたとらえ方と、他方で3つ目の「○」などは、ここは法曹の義務という面から支援を行うべきであるというふうに、ここは「法曹の義務」という言葉ではなくて、直接には“ノーブレス・オブリージュ”という言葉が使われていたのですが、こういった視点から法整備支援は行われるべきだといった意見があったり、そういうふうに必ずしも同一の方向性を目指したような意見ばかりを揃えているということではなくて、異なる意見、そういう意味で、見方によっては対立的な意見もそのとおり盛り込んでいますということを申し上げたかったのですね。

○道垣内委員 その例えであれば、見方の違いというか、同じ結果を違う面から説明するということになると思いますので、結構だと思います。

○柏木座長 そのほかに、御意見はございますか。
 それでは、時間も参りましたようですので、この整理メモは大体この案のとおり、先ほどの条約のところはペンディングでございますけれども、また修文を考えさせていただきたいと思いますけれども、その他の点については大体御了承いただいたものとさせていただきたいと思います。
 この整理メモにつきましては、先ほど事務局からお話がありましたように、司法制度改革推進本部のホームページに掲載する、関係機関や国民に周知する、あるいは顧問会議に報告する際に利用するということで扱わせていただきたいと思います。
 先ほどの久保利委員の意見により、この検討会は、今後検討すべき事項について検討し、検討すべき事項があれば、また随時開催するということになろうかと思います。いずれにしましても、とりあえずは一種の中締めということで、一段落はついたものだという気がいたします。昨年の1月以来、16回にわたりまして皆様方の熱心な御議論をいただきまして、あまり上手ではない座長のリードでございましたけれども、御協力を本当にありがとうございました。今後とも、任期は来年の11月まであるそうでございますので、それから随時またこの検討会も開催されることになる可能性もございますし、また、よろしくお願いいたしたいと思います。
 それでは、山崎事務局長から一言お願いいたします。

○山崎事務局長 ご挨拶をさせていただきます。皆様方には、大変お忙しいところ、この検討会でいろいろ御尽力をいただきしてありがとうございます。御礼を申し上げたいと思います。
 この国際化検討会、2つ大きなテーマがございまして、外弁問題と国際化法整備支援の推進、この問題を議論してまいりまてし、去年の1月から16回を数えるということでございます。
 外国法事務弁護士と日本の弁護士との提携につきましては、委員の皆様方からいただきました貴重な御意見を踏まえまして、国会に法案を提出させていただいたということでございます。先ほど参事官から報告ございましたが、やっと成立をしたというところでございます。
 委員の皆様方、それぞれ個人個人の思いは違うかと思いますけれども、それはさておき、委員の皆様方の御尽力に感謝を申し上げたいというふうに思います。
 私も個人的に申し上げれば、法務省の司法法制部長のときに、平成10年、外弁法の改正をやりまして、もう二度とはないと思っていたところ、二度目もやったということで、個人的にも非常に思いは深いものがあるというふうに思っております。
 また、弁護士を含めた法曹の国際化への対応強化、法整備支援の関係の点につきましても、法務省、日弁連をはじめとする関係機関において、改革を推進する上での参考となるいろいろ忌憚のない御意見を賜りまして、これを参考にしながらやっていきたいと考えているわけでございます。
 司法制度改革全般を考えますと、ちょうど今半ばを過ぎたところでございまして、もう残り期間は半分ないところまで来ております。今後は、来年に向けての仕込みが急ピッチに進むということになります。ざっと挙げても裁判員制度、司法ネット、知財の問題、労働訴訟、行政訴訟、それからADR、これ以外に細かいものを入れると実はもっとあるんです。全体を合わせると戦後先送りしてきた問題がすべて出てくるというような状況でございまして、ヘビー級なんていうものではなく、メガトン級のものが目白押しになるということで、これを本当に短時間でこれからまとめていかなければならない。それから、来年の通常国会では御承認を得るということで、我々も気を引き締めて、もう一度、再度新たな気持ちでラストスパートにかかっていきたいというふうに思っております。
 いろんな点で、またお知恵を拝借する点もあろうかと思いますけれども、また、御支援を賜りますようにお願いしたいと思っております。
 先ほどこの会のあり方については、中締めというふうに座長がおっしゃいました。そういう形でさせていただきたいと。今までは意見書にあるものを順次やっていったということでございますが、今後はフリートーキングタイムというふうに性格は変わるかもしれません。ですから皆様方からいろいろ提示があるものをやらせていただく、あるいはこちらからも報告しなければいけないものはやらせていただくと、そういう性格のものとして存続期間まではずっとやっていきたいと思っています。また、今後ともよろしく御協力のほど賜りたいというふうに思います。
 誠にありがとうございました。

○柏木座長 どうもありがとうございました。
 それでは、第16回国際化検討会をこれで閉会させていただきます。本日はお忙しいところありがとうございました。