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国際化検討会(第17回)議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり



1 日時
平成16年6月30日(水)13:30〜14:10

2 場所
司法制度改革推進本部事務局共用第4会議室

3 出席者
(委員)
柏木昇座長、ヴィッキー・バイヤー、加藤宣直、久保利英明、孝橋宏、下條正浩、道垣内正人、乗越秀夫、波江野弘(敬称略)
(事務局)
山崎潮局長、大野恒太郎事務局次長、松川忠晴事務局次長、古口章事務局次長、齊藤友嘉参事官、笠井之彦企画官

4 議題
法令の外国語訳について

5 配布資料
資料17−1 法令の外国語訳に関する議論等の状況
資料17−2 法令の外国語訳について

6 議事

 事務局から、議題及び資料についての説明がなされた後、次のような意見交換が行われた(○:委員、□:座長)。

□ 法令の外国語訳は、国際取引の円滑化、法整備支援の推進、対日投資の促進などの面で重要な意味を有する。これについては、各委員とも必要であるという考えを共有しているという認識でよいか。

(委員賛同)

○ 最近、会社法の英訳を出版したところ、需要が非常に高いことが分かった。今後、外国語訳を推進するプロジェクトができて、その方針に従って作成が進められ、容易にアクセスできるようになればよいと思っている。問題となるのはコストである。外国語訳の作成には多大なコストがかかるにもかかわらず、法律改正が頻繁に行われるため、ペイしないのではないかという問題がある。そのような点についても検討する必要があるのではないか。

○ 法令の外国語訳の推進については、大賛成である。コスト面については、政府の支援があるとよいのではないか。またできるだけ早期に開始する必要がある。既存の外国語訳があるのであれば、すぐにでも使用したいというのがユーザの気持ちである。作成された外国語訳に対する権威付けの問題は別途議論すればよい。また、重要なのは継続性である。恒常的な組織がリードして、法改正にも十分対応できるようにしてほしい。

□ 継続性は重要である。最新の法令に対応した外国語訳でないと、ユーザーも安心して利用できないだろう。

○ このテーマが当検討会で取り上げられたことを評価している。ユーザーの立場から、これまで必要なときには自ら翻訳を作成したり、信頼できる訳を探すのに苦労した経験がある。この問題は国等が主導して進めるべきである。
 また、英訳を進めるに当たっては、日本語の法令用語の整理が必要になってくるのではないか。

○ 外国語訳の推進は重要である。ただ、外国語訳の際には解釈が入る場合があるので、あまりオフィシャルな権威付けを行うと、外国語訳されたものが公定解釈になるという誤解もされかねない。このような問題を防ぐために、法案作成の段階から、どのように外国語訳するかということを意識しながら進めていけば、法令から日本語のあいまいさを排除することもできるようになるのではないか。また、いずれは法令だけでなく判例についてもできるとありがたい。

○ 外国語訳の推進については大賛成である。中小企業は取引相手国の法制度を知る必要があるとともに、取引相手国にも日本の法令を知ってもらう必要のある場面が多々ある。経済法や基本法を優先してできるだけ早く実施すべきである。
 また、継続して行っていくための体制整備が必要である。

○ 外国語訳を推進すべきことについて、これまで知的財産戦略本部で意見を主張してきたが、このテーマが当検討会で取り上げられたことについて感謝したい。
 いつまでも体制や基本ルールの検討に時間を費やすのではなく、とにかく早急にスケジュールを作成し、実施していくべきである。既に各省が作成した試訳でもよいので、容易にアクセスできるような体制を整備してほしい。たたき台となる訳を関係機関から出させた上で、その整合性などを逐次チェックする体制を作っていくべきである。何でも国がやるのではなく、土台を作れば民間でもやっていくだろう。
 この問題は、対日投資を促進するための大きなプロジェクトでもあるので、国として十分な予算をつける必要があるのではないか。

□ 学者による外国語訳の作成は長時間を要する傾向がある。早急に作成して、その内容について、多くの人の意見を集めることが重要なのではないか。

○ 日本法令はもともと諸外国から輸入されたような性格を有しているので、正確性を追求するときりがないのではないか。直訳したものだけでも有益なのではないか。海外発信を進めていくためにも、外国語訳の推進は必要である。

○ 外国語訳の推進については、大賛成である。大きなプロジェクトを作り、できるだけ早急に進めてほしい。1つの用語に様々な訳語が存在することがあるので、ユーザーとしては、まずは統一的な訳語を収集し、辞書を作成することが必要であると考えている。

○ 最高裁判所のホームページには、最近の判例の英訳が速報的に掲載されている。
 外国語訳の作成に当たっては、スピードが重要である。また、例えば、同一の法律用語であっても異なった意味で使用されることもあるので、信頼性の確保や統一的なルールの厳格性を追求しすぎるとなかなか前に進まないのではないか。
 司法制度改革推進本部事務局のもとで行われた仲裁法の英訳の手法は大いに参考になるのではないか。

□ 委員の間では、早急に推進すべきとの意見が多いようだ。ところで、この問題の検討対象には専門技術的な事項が含まれている。また今後は、EU、国連、韓国などについての調査も必要になってくるだろう。さらに、コンピュータの活用という観点からIT関係の専門家に関わっていただく必要もあるだろう。そこで、学識経験者、実務家、関係省庁等が参加するワーキンググループを作ることとし、今後のスケジュールや全体の枠組みを検討し、その結果を当検討会に諮ることとしてはどうかと考えている。そのような形で進めてはどうか。

(委員了承)

・国際化検討会の下にワーキンググループを設置することとし、本年秋を目途に、統一的で信頼できる外国語訳を進めるための基盤整備の枠組みについて検討し、検討会に報告することとされた。また、ワーキンググループの人選については座長に一任することとされた。

(以上)