第2回配布資料一覧

資料2−3
別添2

サービス貿易に関する一般協定(GATS)
(基本構造と主要な権利・義務)

平成14年2月
外務省サービス貿易室



GATSの基本構造



II.全ての加盟国に共通の規定:協定の適用範囲及び基本的義務・規律

(i)適用範囲及び定義(第1条)
●GATSの適用範囲は、政府の権限の行使として提供されるサービス以外のサービスの貿易に関する、加盟国の措置(中央・地域・地方の政府・機関の措置の他、それらの委任を受けた非政府機関の措置も含む)。

(ii)一般的な義務・規律

(a)最恵国待遇義務(第2条1)

(原則)

●他の加盟国に対し、第三の加盟国の同種のサービス及びサービス提供者に与える待遇よりも不利でない待遇即時かつ無条件に与える。

●この義務は、特定約束表において約束を行っているか否かに拘わらず、全ての分野の、サービス貿易に関する全ての措置に適用される。

(例外)

国境隣接地域におけるその地域固有のサービスの貿易(第2条3)

地域内のサービス貿易自由化に関する協定への参加(第5条)
→但し、相当の範囲の分野について、内国民待遇に抵触する実質的な全ての措置を(合理的期間内に)撤廃することが必要。

労働市場統合のための協定(第5条の2)
→但し、協定相手国の国民に対しては、自国での居住・就労を制限しないことが必要。

他国における教育・免許・資格等の承認(第7条)
→但し、関心国に、承認に関する協定や取決めへの参加の機会を与えることが必要。

その他、附属書に従いMFN免除リストに登録した措置(第2条2)

→但し、

     
  • 免除期間は原則として10年を越えてはならない。
  • 免除期間が5年超の措置はサービス貿易理事会で審議される。
  • 免除登録した措置は特定約束交渉の対象となる。

(b)透明性(第3条)

●GATSの運用に関連し、影響を与える国内措置又は国際協定については、原則的にはその措置が効力を発生するまでに公表することを要する。

●約束を行った分野に関し、サービス貿易に著しく影響する法令又は行政上の指針の変更等は、速やかに少なくとも毎年サービス貿易理事会に通報を要す。

(c)国内規制(第6条)

●約束を行った分野において、サービス貿易に影響を及ぼす措置が合理的、客観的かつ公平に実施されることを確保する。

●免許要件、資格要件、技術上の規準は、必要以上の負担とならず、客観的かつ透明性のある規準に基づかねばならない。また免許審査手続き自体がサービス提供に対する制限とならないことを確保する。

(d)今後のルール策定に関する規定

●セーフガード措置(第10条)、政府調達(第13条)、補助金(第15条)に関するルールを策定するための交渉を行うことが定められている。

(e)GATS上の義務・規律の例外規定

GATS上の義務・規律に拘わらず、以下の措置をとることは妨げられない。

●国際収支上の困難の虞ある場合にサービス貿易を制限する措置(第12条)

●政府調達に際しての市場アクセス・内国民待遇に関する制限(第13条)

●一般的例外(第14条)
−公衆道徳の保護、公の秩序の維持、生命・健康の保護のための措置
−プライヴァシーの保護や安全等に関する措置、等

●安全保障のための措置(第14条の2)

(f)開発途上国に関する規定

GATSは開発途上国に関し、様々な規定を置いている。

●途上国の国内のサービスに関する能力強化や途上国が輸出関心を有する分野・モードの市場アクセスの自由化等を通じた、開発途上国の参加の増大(第4条)。

●自由化のためのラウンド交渉における適切な柔軟性(第19条.2)、等。

III.「各加盟国がそれぞれ行う約束・留保」に関する規定、文書など

(i)特定約束表

●各加盟国は、約束することを決めた分野(ポジ・リスト方式)と全ての分野に共通の約束を記載した約束表を作成(第20条。その修正については第21条)。

(a)市場アクセスの条件・制限(第16条)

●1)サービス提供者数の制限、2)取引総額・資産総額の制限、3)サービスの事業総数・総産出量の制限、4)サービス提供に必要な被用者数の制限、5)事業体の形態制限、6)外資参加の制限(限定列挙)に関する措置は自国の約束表に記載することを要す。但し、結果(マーケットシェア)の保証は求められない。

(b)内国民待遇の条件・制限(第17条)

●外国のサービス提供者に対し、自国の同種のサービス及びサービス提供者に与える待遇よりも不利な待遇を与える場合には、当該措置を約束表に記載することを要す。

(c)追加的約束(第18条)

●加盟国は、市場アクセス制限乃至内国民待遇制限に該当しない措置についても交渉し、その結果を約束表に記載することが出来る。

(ii)「漸進的自由化」の考え方

●ラウンド交渉を通じた自由化の漸進的推進を図る。途上国については自由化の前進、自由化交渉について適切な柔軟性を認められる(第19条)。

(iii)その他の文書

(a)各分野に関する附属書の主な規定(全ての加盟国に共通の規定)

●サービスを提供する自然人の移動
 −労働市場への進出を求める自然人に関する措置や、市民権・居住・雇用に関する措置はGATSの対象としない。入国管理措置をとることを妨げられない。  

●金融サービス
−信用秩序維持の措置をとることを妨げられない(プルーデンシャル・メジャーズ)。

●電気通信
−他国のサービス提供者による、自国伝送網・サービスへのアクセス・利用を確保。

●航空運送サービス
−運輸権及びそれに直接関連するサービスはGATSの対象としない(5年毎見直し)。

(b)電気通信及び金融サービス分野の追加的約束のモデル約束

●加盟国は、電気通信サービスの「参照文書」や「金融サービスに係る約束に関する了解」に従って約束することができる。

(了)