第2回配布資料一覧

資料2−3
別添6

主要国のGATS約束表の概要(法律サービス)




 95年1月に発効したWTOサービス貿易一般協定(GATS)におけるの各国の約束の概要は次のとおり。尚、各国に於ける実際の法制度については、95年以降に種々の改正が行われており、新ラウンド交渉によって各国の約束表も改訂される予定。

1.米国
(1)母国法に関する法律サービスについては、19州・区が外国弁護士受け入れを認めている。これら全州・区が職務経験要件を課しており、年数については、3年が2州(ニューヨーク、ミシガン)、4年が2州、5年が15州・区であり、経験地については、第三国での職務経験の参入をも認めているのは2州(ニューヨーク、インディアナ)、その他は原資格国における職務経験を求めている。第三国法の取扱いについては、4州・区が許容し、6州が原則不可としながらも、書面による等一定の条件を充たす場合には許容し、9州が原則不可としている。外国弁護士による米弁護士の雇用、パートナーシップ形成については18州が許容。
(2)米国弁護士資格を取得した弁護士による米国法に関する法律サービスについても約束を行っている。
(3)最恵国待遇(MFN)免除登録は行っていない。

2.EC
(1)母国法に関する法律サービスについては、第1モードでフランス、ポルトガルが法律文書作成を除外し、第3モードでドイツが法律協会加入を要件とし、フランスが事務所(SEL)又はパートナーシップ(SCP)によるサービス提供のみを許容し、デンマークも一定の要件を課している他、第4モード(横断事項のみ約束)で、一部の国が条件を課している。
 尚、フランス及びルクセンブルグは、一定の条件付きで、自国法及び国際法に  関する法律サービスについて追加的約束を行っている。
(2)受入国法に関する法律サービスについては約束していない。
(3)最恵国待遇(MFN)免除登録は行っていない。

3.カナダ
(1)母国法及び国際法に関する法律サービスでは、第3モードで、単独事務所かパートナー形態を条件として課し、一部州は定住要件、ケベック州は市民要件を課している。
(2)受入国法に関する法律サービスについては約束していない。
(3)最恵国待遇(MFN)免除登録は行っていない。

4.オーストラリア
(1)母国法及び国際法に関する法律サービスでは、外弁は現地事務所の被雇用者又コンサルタントとなる要件を課し、外弁による現地弁護士とのパートナーシップ、現地弁護士雇用を禁止し、外弁事務所のパートナーの最低一人が定住(NSW、ヴィクトリア)又は年180日以上滞在する要件を課している他、一部州で、外弁事務所と現地事務所との共同事務所設置を許容している。
(2)受入国法に関する法律サービスについては約束していない。
(3)最恵国待遇(MFN)免除登録は行っていない。

5.ニュージ−ランド
(1)ニュージ−ランド法業務(CPC861)及び国際法に関する助言(CPC861)を約束。
 市場アクセス及び内国民待遇について、第4モードで各分野に共通の約束における記載を除くほか約束しないとしている他は制限なし。
(2)母国法に関する法律サービスについて約束していない。
(3)最恵国待遇(MFN)免除登録は行っていない 

6.スイス
(1)原資格国及び国際法(CPC861の一部)を約束。
 市場アクセスについて、第4モードで各分野に共通の約束における記載を除くほか約束しないとしている他は制限なし。内国民待遇では、第3モードでサンクト・ガレン州がスイス国籍を要件として課している。
(2)母国法に関する法律サービスについて約束していない。
(3)最恵国待遇(MFN)免除登録は行っていない。

7.タイ
(1)刑法に関する法的助言及び代理サービス(CPC86111)、他の法律分野の法的手続における法的助言及び代理サービス(86119)、準法的手続における法的助言及び代理サービス(86120)、法的文書作成及び証明サービス(86130)、その他に法的助言及び情報サービス(86190)を約束(法律サービスの対象については、母国法、受入国法、第三国法のいずれを扱えるかについては、何も規定していない)。
 市場アクセスついて、第1モードで約束せず、第2モードで制限せず、第3モードで各分野に共通の約束における記載を除くほか制限せず、第4モードで約束せず。内国民待遇について、第1モードで約束せず、第2モードで制限せず、第3モードで外国の資本参加率が49%を超えないことを求めており、第4モードで約束せず。
(2)最恵国待遇(MFN)免除登録は行っていない。

8.マレイシア
(1)原資格法、国際法及びマレイシア・オフショア企業法についての助言及び相談に関する法律サービスのみを約束。
 市場アクセスについて、第1、第2モードで制限せず、第3モードで、ラブアン域内で設立された法人による同域のオフショア市場企業を対象とすることが条件とされ、第4モードで各分野に共通の約束における記載を除くほか約束せず。内国民待遇で、第1、第2、第3モードで制限がなく、第4モードで市場アクセスで許容したもの以外約束です。
(2)受入国法に関する法律サービスについては約束していない。
(3)最恵国待遇(MFN)免除登録は行っていない。

9.中国 (1)中国法を除く法律サービスにつき約束。第1、第2モードについて制限なし。第4モードについては、各分野に共通の約束における記載を除くほか約束しないとしている他制限なし。
 第3モードの市場アクセスについて、加盟後1年間は外国法律事務所は、代表事務所を1カ所しか設置することができず、かつ、法律サービスを提供できる地域を19都市に限定。また、両者が合意する契約により、外国の代表事務所は、中国法律事務所の弁護士に直接指示できる。尚、外国法律事務所の職員は、WTO加盟国の弁護士会に所属し、中国以外で2年以上の実務経験が必要であり、事務所長はWTO加盟国の法律事務所とパートナーであり、かつ、3年以上の実務経験が必要である。第3モードの内国民待遇に関しては、外国の代表事務所の職員は1年の内6ヶ月以上中国に居住することが義務づけられている。
(2)最恵国待遇(MFN)免除登録は行っていない。

(了)