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国際化検討会(第4回)議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり



1 日 時
平成14年4月11日(木)10:00〜12:30

2 場 所

司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者

(委 員)
ヴィッキー・バイヤー、柏木昇、加藤宣直、孝橋宏、下川真樹太、下條正浩、玉井克哉、道垣内正人、乗越秀夫、波江野弘(敬称略)

(説明者)
茅野みつる(伊藤忠商事(株)法務部コーポレート・カウンセル)
トーマス・ヴィッティ(外国法事務弁護士)
何連明(外国法事務弁護士)
吉田孝司(中小企業総合事業団調査・国際部国際事業課長)
太田泰雄(中小企業総合事業団調査・国際部国際事業課・中小企業国際化支援アドバイザー)

(事務局)
山崎潮事務局長、松川忠晴事務局次長、古口章事務局次長、齊藤友嘉参事官

4 議 題

  1. 茅野みつる氏からのヒアリング
    「日本企業から見た弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働について」
  2. トーマス・ヴィッティ氏からのヒアリング
    「ドイツ弁護士から見た弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働について」
  3. 何連明氏からのヒアリング
    「中国弁護士から見た弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働について」
  4. 中小企業総合事業団からのヒアリング
    「国際化支援事業から見た中小企業の海外投資・国際取引の現状等について」
  5. ヒアリングについて(自由討論)
  6. 米国通商代表部(USTR)の外国貿易障壁報告書について

5 配布資料

資料4−1 国際化検討会名簿
資料4−2 茅野みつる氏説明資料
資料4−3 トーマス・ビッティ氏説明資料
資料4−4 何連明氏説明資料
資料4−5 中小企業総合事業団説明資料
資料4−6 米国通商代表部「外国貿易障壁報告書(2002年)」について

6 議 事

 (1) 茅野みつる氏からのヒアリング

 伊藤忠商事(株)法務部コーポレート・カウンセルの茅野みつる氏から、日本企業から見た弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働について説明がなされた(資料4−2)。これに対して、次のような質疑がなされた(○:委員、●:説明者)。

○ 合弁事業の例は、日本における合弁会社の設立の案件であるので、本来、日本の渉外事務所に依頼をすべきところ、外国法事務弁護士事務所に依頼したのは奇異に感じる。この案件では特定共同事業を営む弁護士がアドホックにしか関わらなかったとのことだが、これは日本法の法律事務を外国法事務弁護士が取り仕切っているという、現行の特定共同事業の問題点を指摘しているのではないか。

● この合弁事業の例で当初外国法事務弁護士に依頼したのは、英語による契約書のドラフティングなど英語が特に重要な案件であったためである。この案件で、日本の弁護士がアドホックにしか関わらなかったことは大変残念である。我々が一番望んでいるのは、日本弁護士と外国法事務弁護士とが同じチームのメンバーとしてサービスを提供するということである。この件で外国法事務弁護士が日本法を取り仕切ったという事実はない。

○ 当初日本の法律事務所に依頼しなかったのは、日本弁護士と外国法事務弁護士がパートナーシップを形成できないという問題に起因することなのか、それとも、日本の弁護士の数が少なくて需要に応えられていないという問題に起因することなのか。

● 依頼した特定共同事業事務所では、日本の弁護士の数が少なく、弁護士と外国法事務弁護士に一体感がなかったことで、総合的なサービスが提供されなかった。振り返って、当初日本の法律事務所に依頼しなかった理由を考えてみると、渉外弁護士の数が少ないという問題とパートナーシップの問題の両方があったのではないか。

○ 案件の依頼先を変更するのは大変だと思うが、何か問題はなかったのか。

● 商社特有なのかも知れないが、弁護士が提供するサービスの質についてはかなりシビアに見ている。

○ この合弁事業の例は、渉外案件とはいっても実態としては日本法が適用される案件であったと思うが、当初外国法事務弁護士に案件を依頼したのは、海外との交渉に外国法事務弁護士を利用し、日本法については法務部門で十分に処理できるという判断があったということなのか。

● 米国でのソフトウエアに関する法律問題に重点を置いていたということである。

○ 中小企業の渉外案件については、日本の弁護士に依頼するケースが大半であると思うが、御社でもそのようなケースはあるのか。

● ビジネスモデル特許のような知的財産権関連の案件については、日本の弁護士事務所へ依頼している。

○ 案件の依頼先を外国法事務弁護士事務所から特定共同事業事務所に変更したのは、当初依頼した外国法事務弁護士の資質の問題があったということなのか。それとも、外国法事務弁護士単独のプラクティスと特定共同事業のプラクティスに違いがあったということなのか。

● 我々が期待していたのは、外国法事務弁護士事務所が外の日本の渉外事務所と共同で案件処理をするというサービスではなく、一つの事務所に依頼したらその事務所で全ての処理を行うというサービスであった。当初の依頼先に問題があったということではない。

○ 最近は渉外弁護士が増えていることなどを考えると、トータルとして日本の渉外弁護士の数が少ないという説明には実感が湧かない。

● これは、英語のドラフティングなどについてリアルタイムでサービス提供を必要とする案件であった。このようなリアルタイムにサービスを提供できる渉外弁護士事務所があまり思い浮かばないというのが正直なところである。

 (2) トーマス・ヴィッティ氏からのヒアリング

 外国法事務弁護士のトーマス・ヴィッティ氏から、ドイツ弁護士から見た弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働について説明がなされた(資料4−3)。これに対して、次のような質疑がなされた(○:委員、●:説明者)。

○ 自由化によって、自国の法律サービス市場が英米のローファームに席巻されるとか、自国の弁護士の独立性が害されるといった弊害が生じるということが言われているが、これらの点については、ドイツの経験に基づいてどのように考えているのか。また、英米法に関する取引について、ドイツにおける英米のローファームのマーケットシェアはどの程度なのか。

● ドイツ弁護士は独立についての考え方が強い。特に金融関係の仕事については、ノウハウがある、サービスの質が高いということで、これまで英米事務所に流れていたという経緯がある。ドイツ事務所は顧客へのサービス提供という面で遅れていた。もっと早く英米事務所と提携ができれば良かったと思う。ここ5,6年でドイツ事務所の規模も大きくなっており、また、英米事務所との合併だけでなく分割も盛んに行われており、今後の動向を見る必要がある。全てのドイツ事務所が英米事務所の傘下に入るということはない。

○ ドイツでは10大事務所のうちいくつかの事務所が英米事務所の傘下に入っていると理解しているが、英米事務所の傘下に入ったドイツ事務所においてもドイツ弁護士の独立性が保たれていると考えて良いのか。

● 傘下に入ったドイツ事務所においては、英米の事務所からマネージング・パートナーが派遣されるが、そのパートナーがドイツ事務所の全てを支配するということはない。傘下に入った事務所であっても、ドイツ弁護士がパートナーになるということもあり得るので、ドイツ弁護士の独立性がなくなるということはないであろう。

○ 自由化が進むと外国弁護士が自国(受入国)の法律を取り扱うという懸念があると言われているが、ドイツではそのような懸念はあったのか。

● それはない。ドイツ法の仕事は、当然ドイツの事務所に任されている。

 (3) 何連明氏からのヒアリング

 外国法事務弁護士の何連明氏から、中国弁護士から見た弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働について説明がなされた(資料4−4)。これに対して、次のような質疑がなされた(○:委員、●:説明者)。

○ 中国においては中国弁護士と外国弁護士とはどのような提携が認められているのか。

● 日本の特定共同事業のような制度は存在しないが、中国の法律事務所と外国の法律事務所が提携することは認められている。提携は認可制であり、数量制限がある。数量制限については、WTO加盟により今後撤廃されることとなっている。外国弁護士が中国弁護士を雇用することは認められていない。

○ 今後のWTOサービス貿易交渉において、中国はどのような対応をとることになるのか。

● 中国弁護士と外国弁護士とのパートナーシップを認める方向にいくのではないか。日本の特定共同事業のような制度を設けるということにはならないであろう。

 (4) 中小企業総合事業団からのヒアリング

 中小企業総合事業団から、国際化支援事業から見た中小企業の海外投資・国際取引の現状等について説明がなされた(資料4−5)。これに対して、次のような質疑がなされた(○:委員、●:説明者、□:事務局)。

○ 法律アドバイスはどのように行われているのか。また、特定共同事業については、どの程度の理解があると考えているのか。

● 基本的には、業務体験をしたアドバイザーから法律要素も含めた情報提供を行っているのが実情である。アドバイザーの立場から見ると、中小企業では法律アドバイスの必要性があまり認識されていないように思う。実際にトラブルに巻き込まれてから、どうすればよいでしょうかと相談に来るケースもある。

○ 中国関連のアドバイスについては、どのような対応をしているのか。

● アドバイザーとして中国の外国法事務弁護士を登録している。現地の弁護士が必要な場合には、中国ではどのような人脈を持っているのかが問題解決のポイントとなるので、中国の特定の地区に強い弁護士に依頼することにしている。

□ 外国法事務弁護士制度について、中小企業はどの程度の認識があると考えているのか。

● 認識はほとんどないのではないか。

 (5) ヒアリングについて(自由討論)

 弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働に関するヒアリングについて、次のような質疑がなされた(○:委員、□:事務局、■:座長)。

○ これまでに7名の人からヒアリングをしてきた。いずれも、現行の特定共同事業制度については否定的な意見であった。肯定的な意見を持っている人からもヒアリングすべきではないのか。

□ 次回には2名の弁護士からヒアリングを行う予定にしている。

○ 7対2ではアンバランスではないのか。また、ヒアリングを行う予定の弁護士が現行の特定共同事業制度に肯定的な意見を持っているか否かは不明である。

□ 人数のバランスについては、あまりこだわる必要はないと考えている。重要なのは意見の内容である。ヒアリング対象者の人選については、ご意見にも配慮したい。

■ 弁護士からのヒアリングを追加するか否かについて、事務局で更に検討してもらいたい。

 (6) 米国通商代表部(USTR)の外国貿易障壁報告書について

 下川委員から、米国通商代表部の外国貿易障壁報告書について説明がなされた(資料4−6)。

 (7) 今後の日程等

 次回(4月22日(月)10:00〜12:30)は、引き続き、弁護士と外国法事務弁護士との提携・協働について関係者からヒアリングを行うこととなった。

(以上)