欧州ビジネス協会のメンバーであるアイエヌジー証券会社のジョン・ハウランド−ジャクソン氏から、弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働に関して次のような説明がなされた。
・ 我々のような国際的企業が望んでいるのは、主要な管轄区域にまたがる継ぎ目のない法律サービスである。理想的には、管轄区域にかかわらず、取引全体にわたる全ての法律的要素について責任を取る統一したロイヤーのチームを望んでいる。
・ 国際的に経験を積んだ日本の弁護士が少ない。主要なM&A取引においては、経験のある弁護士が少ないために、利益相反の問題が発生する可能性がある。弁護士数の増加によって現状の問題は改善されるであろうが、日本の法律事務所と外国のローファームとの間の自由な提携が認められれば、問題はもっと早く解決される。
・ 単一の取引のために複数のローファームを利用しなければならないことは、結局のところ非効率である。時間もコストもかかる。
・ 日本は世界第二位の経済大国であり、国境をまたがる活動においては著しい増加が見られている。そして、G7の中で法律サービスの近代化に失敗している事実上唯一の国である。
・ 米国、英国、ドイツのような国において、ローカルのローファームと外国のローファームとの自由な提携の壁が取り払われたことにより、ローカルのローファームが、質の低下や大規模なビジネス上の損失といった不利益を被ったことはない。反対に、双方のローファームにとって新たなる成長のチャンスを与えられるとともに、市場を国際的企業にとって魅力のあるものにしたのである。
・ 法律事務所と外国ローファームとの自由な提携は、外国ローファームの一方的な陰謀なのではなく、法律事務所と外国ローファームの双方が、日本と外国のクライアントの利益のためにプロフェッションを近代化するチャンスなのである。
・ 日本の法律事務所にとって、海外のローファームと自由に提携する選択肢が増えることに何ら不利益はないのではないか。
これに対して、次のような質疑がなされた(○:委員、●:説明者)。
○ 現行の特定共同事業の制度のどこが悪いと考えているのか。
● クライアントの立場からすると、法律事務所と外国のローファームとの提携に出来るだけ障壁がない方が良いということである。