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国際化検討会(第6回)議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり



1 日 時
平成14年5月17日(金)10:00〜12:15

2 場 所

司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者

(委 員)
柏木昇、ビッキー・バイヤー、加藤宣直、久保利英明、孝橋宏、下川真樹太、下條正浩、道垣内正人、玉井克哉、乗越秀夫、波江野弘(敬称略)

(説明者)
小島武司(中央大学法学部教授)

(事務局)
松川忠晴事務局次長、古口章事務局次長、齊藤友嘉参事官

4 議 題

弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働の推進について
 (1)小島武司氏からのヒアリング
 (2)論点整理について

5 配布資料

資料6−1 小島武司氏説明資料
資料6−2 弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働の推進に関する論点項目(案)

6 議 事

 (1) 小島武司氏からのヒアリング

 小島武司氏から、弁護士と外国法事務弁護士(以下「外弁」という。)等との提携・協働について説明がなされた(資料6−1)。これに対して、次のような質疑がなされた(○:委員、●:説明者)。

○ 「弁護士の雇用問題」のところで、外弁による日本法の取り扱いについて濫用的な介入が行われるとあるが、濫用的な介入とはどういうことか。日本弁護士が日本弁護士を雇用した場合にはその介入が起こらず、外弁が日本弁護士を雇用した場合には介入が起こるというのはなぜか。そのような介入は、倫理で解決できるのではないか。

● 濫用的な介入は、組織上の位置付けによって、弁護士が弁護士を雇用した場合でも同様に起こるのではないか。弁護士と外弁が共同で弁護士を雇用する場合には、倫理規定が効果的に働くと考えられる。

○ 外弁法49条の2第1項1号の「外国法に関する知識を必要とする法律事務」の要件緩和については、どのように考えているのか。

● 結果的に日本法が準拠法になろうとも、事件処理の過程における調査・検討等の作業は変わらない。結果的にどこの国の法律が適用されるのかということで、特定共同事業の目的にできる法律事務を制限するのは、いささか形式的過ぎるのではないか。事件処理のプロセス全体を踏まえた設計もあろうかと思う。

○ 資格制度に基づくと、特定共同事業の目的の制限を撤廃することは困難であると考えるが、この点についてはどのように考えているのか。

● 外国弁護士は非弁護士であるという前提でこの問題を考えるのは疑問である。特色のある弁護士同士が集まってチームを組むということが、それ程ラディカルであるとは思わない。

(2) 論点整理について

  事務局から、弁護士と外弁等との提携・協働の推進に関する論点項目(案)について説明がなされた(資料6−2)。これに対して、次のような質疑がなされた(○:委員、□:座長、■:事務局)。

○ 事務局案の論点の組立てには疑問を感じる。司法制度改革審議会の意見書で実現すべきであるとされた課題について、この国際化検討会で議論するのではないのか。特定共同事業の問題を検討することはそのとおりであると思うが、「外弁による弁護士の雇用禁止との関係」と「弁護士と外国弁護士との提携・協働」については、意見書で実現すべきであるとはされていないので、今期の問題としては議論するものではないのではないか。

■ 事務局としては、これらの問題は、「特定共同事業の要件緩和等」と密接な関連性を有しているので、整合性のある議論を尽くさざるを得ないと考えている。

○ 事務局案は、特定共同事業の枠組みが残るということを前提として書かれているように感じる。4(4)についても、重要な項目であるので、他と同じ様な検討をするべきである。最初に、特定共同事業の問題を検討していくに当たっては、何を基準にするのかを考えるべきであり、ユーザーの視点が最大の基準であるべきであるというコンセンサスを決めて、それを基準にして進めていくできではないか。

■ 特定共同事業の枠内での方策と共同事業の自由化のそれぞれについて、十分にご議論していただきたいと考えている。

○ 変数がたくさんあるので、どの論点をどのような前提で議論するのかが良く分からない。まず、雇用禁止を前提にして共同事業の問題を議論するのか。

○ステップ・バイ・ステップの議論をするのか。どういう流れで議論をするのかが不明である。

■ 議論の要領については、明確に決まっていないが、一応、外弁との提携・協働、雇用禁止、外国弁護士との提携・協働と順序だてて検討し、また、差し戻って議論することを考えている。

○ この論点が終わったからもう議論しないということはないようにして欲しい。全てを議論した後で、また差し戻って議論すべきである。

○ 国際的な議論との関係についても議論すべきである。これはすぐれてGATSの問題でもある。事務局案ではこの点が抜けている。

□ ユーザーの視点を重視しつつ、多角的に検討を進めることになろうか。

○ ユーザーの視点はワンオブゼムとまでは言わないが、それと国際的な議論との関係とをバランスよく検討するのではないか。

○ 司法制度改革審議会の意見書は、ユーザーの視点から検討すべきであると言っている。

○ 論点項目の第2を「国際的議論との関係」とし、第3を「その他」とするのはどうか。

■ GATS等との関係については内容的な論点ではないので、事務局案では敢えて摘示していないが、その点についても十分にご議論いただきたい。

□ 論点の枠組から個々の論点のサブジェクトに議論を進めたいが、何か意見はあるか。

○ その前に4点ほど申し上げたい。1点目は、ワンストップサービスについて、ユーザーニーズに応えるべく前向きに検討をするべきであるということ。2点目は、大ローファームに法律サービス市場を席巻されるなどの議論はユーザーの視点が欠けているということ。ユーザーは賢い選択をしており、あまり過大な危惧をするのは如何なものかと思う。ただし賢い選択をするための前提として、情報公開を進めるべきである。3点目は、規制緩和により、ユーザーの選択肢が増えるのは結構なことであること。4点目は、規制緩和が逆にユーザーの選択肢を狭める結果になるのが懸念されるということ。

○ 「弁護士と外弁との提携・協働の推進の必要性」においては、渉外的な法律サービスという切り口で論点が摘示されているが、最近は、純国内事件でありながら、大規模なケースも増えている。

□ 「渉外的」という言葉を広く捉えるということでいいのではないか。この論点はあまり限定的に考えないこととしたい。

○ 具体的方策の検討の順序としては、「共同事業の自由化」が先ではないのか。

○ 3の「具体的方策」と4の「要件緩和等についての検討」との関係が良く分からない。3は結論めいている。3と4をセットで考えるべきではないのか。

○ 同感である。3と4を一緒に議論すべきである。

■ 3はある種の方向性を打ち出す論点であるが、3と4とは関連付けて議論すべきではないかと考えている。議論の進め方については、追ってお示ししたい。

○ 「規制の根拠」については、早い段階で示して欲しい。

■ 必要に応じて説明に伺うなど、議論の進め方を工夫したい。

□ 議論の進め方については事務局で検討して欲しい。

○ 諸外国ではどのような規制がなされているのかについても、示して欲しい。

■ 法務省とも協議して準備したい。

○ 外国弁護士との提携・協働については、司法制度改革審議会の意見書には触れられていないということを確認しておきたい。

■ 「弁護士と外弁等との提携・協働」の「等」に含まれ得ると理解している。

□ WTOサービス貿易交渉において、6月30日までに各国からの自由化の要望が提出されることとなっているので、その結果を見ながら新しい検討項目があり得るのではないか。

○ 確認をしたいが、外国弁護士との共同事業のどの点について、議論がなされないと考えているのか。

□ 外国弁護士との提携・協働は、独立のイシューではないということである。

○ (4)で「弁護士と外国弁護士との提携・協働について」を論点として掲げてあるのに、外国弁護士との共同事業について議論をしないというのはおかしい。

■ 提携・協働の規制緩和については、まず特定共同事業の部分的要件緩和、次に外弁との共同事業の自由化、さらに外国弁護士との共同事業という関係があり、一足飛びに外国弁護士との共同事業を検討するべき関係にはないと考えている。ただし、十分議論はしていただきたい。

○ 「等」の中に外国弁護士が含まれているからと言って、その点についても直ちに規制緩和しなさいと意見書が言っているとはとても思えない。特定共同事業の枠組みをどこまで広げていくのかという検討をするべきである。議論をすること自体は大いに結構ではあるが。

□ 特定共同事業の要件緩和等をしても不十分な面があるのだから、いっそのこと外国弁護士と直接パートナーシップを結べるようにしたら、その問題を解決することができるというような議論をするのは一案だと思うが、今この場で、外国弁護士とのパートナーシップを認めるのかどうかということを独立の問題として議論するのは、意見書の範囲とずれるのかなと考えている。

○ この問題をスコープに入れていないとは考えていない。外弁という資格の問題と提携・協働の問題とは異なる。外弁との提携は考えて、外国弁護士との提携は考えないというのはおかしい。

○ 外国弁護士との提携については外圧があるのかも知れないが、素直に考えるとなぜ禁止されなければならないのかが分からない。何かそれを禁止するニーズはあるのか。

□ 中身の議論になってしまったが、独立の論点としては取り上げないとの理解だった。

○ 国際的にはこの問題が取り上げられているのは事実である。ただ、論点項目の立て方としては事務局案で良いのではないか。

□ 特定共同事業の要件緩和等の検討を進めて行き、それでは不十分な面があるとすれば、外国弁護士との提携・協働の良い面を参考にすることになるのではないか。

○ 特定共同事業の問題とは異なるが、外弁による第三国法の取扱いや外弁の職務経験要件についても、その他の論点として議論する余地を残して欲しい。

■ 了解した。

○ 弁護士の国際化や法整備支援の推進といった、外弁以外の検討課題については、どのように議論をまとめることになるのか。

■ 検討会の性格上、検討会としての意見書を取りまとめるということは予定していないが、議論の整理をすることは考えている。

□ 次回からは、事務局案の論点項目に沿って、議論をすることとしたい。

(3) 今後の日程等

 次回(6月13日(木)14:00〜17:00)は、弁護士と外弁との提携・協働の推進について検討を行うこととなった。

(以上)