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国際化検討会(第6回)議事録



1 日 時
平成14年5月17日(金)10:00~12:15

2 場 所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委員)
柏木昇座長、ヴィッキー・バイヤー、加藤宣直、久保利英明、孝橋宏、下川真樹太、下條正浩、道垣内正人、玉井克哉、乗越秀夫、波江野弘(敬称略)
(説明者)
小島武司(中央大学法学部教授)(敬称略)
(事務局)
松川忠晴事務局次長、古口章事務局次長、齊藤友嘉参事官

4 議 題
弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働の推進について
 (1)小島武司氏からのヒアリング
 (2)論点整理について

5 議 事
○柏木座長 それでは、本日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございました。早速ですが、今回の議事予定につきまして事務局から御説明をお願いします。

○齊藤参事官 本日は、前回に引き続きまして弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働に関するヒアリングを行う予定でございます。
 本日は、中央大学法学部の小島武司先生からヒアリングを行います。小島先生は過去の外弁法改正の際に開催されました外国弁護士問題研究会の座長などを御経験されておりまして、過去の法改正に深く関わっていらっしゃいますので、そのような御経験も踏まえまして御説明をお願いしたいと考えております。
 そして、ヒアリングの後に弁護士と外国法事務弁護士との提携・協働の推進というテーマにつきまして論点整理を行いたいと思います。事務局の方から、論点項目案につきまして説明を申し上げます。その上で御議論をいただければと思っております。以上でございます。

○柏木座長 それでは、議事に入ります。まず、小島武司先生からヒアリングを行いたいと思います。

○齊藤参事官 その前に、配布資料の確認をしたいと思います。
 配布資料ですが、資料6-1が本日の小島先生からの説明資料でございます。レジュメでございます。
 それから、資料6-2が「弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働の推進に関する論点項目(案)」でございます。先に委員の皆様にお配りしたものを若干調整してございます。それも含めて、後ほど説明させていただきます。
 それから、お手元に議事録が第3回、4回、5回のものがあると思います。第3回のものは、確定稿でございます。第4回、第5回は未定稿でございますが、これから本格的な議論に入ってまいりますので、できるだけ早く、少しまだ未調整のものですが、お手元に配布させていただきました。
 それと、今後の国際化検討会のスケジュール表をお手元にお配りしてございます。
 以上です。

○柏木座長 ありがとうございました。それでは小島先生、よろしくお願いします。

○小島氏 小島でございます。よろしくお願いいたします。
 お手元にレジュメをお渡ししてありますけれども、これは昨夜4時ぐらいにつくりまして、今朝また少し手直しをしまして、その手直ししたものはちょっとお配りできないようなところがございますが、基本的な流れ等は変わっておりませんので、その点ではレジュメの役割を古いもので果たし得るかと思います。御迷惑をかけますが、よろしくお願いいたします。私は20分程度報告をせよというお話でございますので、その時間内にということで御報告を申し上げたいと思います。
 まずレジュメのIでございますけれども、現実においては社会生活や企業活動がグローバル化している中で、公的枠組みとしては国家試験を基礎に置く法的国境がそれぞれの新しい条約等の工夫、回路を別として、厳然たる壁となって存在しているということでございまして、そこにどうしても現実のニーズとの間にギャップが生じてくる。その問題にどう対処するかということになりますと、各国の弁護士が直接相互乗入れするということは相当の困難を伴い、またかえって問題を生ずることもございますので、一つの中心的な在り方としましては弁護士資格を部分的に接合する枠組みを設定するということになり、その結果、外国法事務弁護士という枠組みが導入され、これと同様の方向でいろいろな形の試みが各国によって導入されているのかと思います。フランスがちょっと特殊な地位に立っておりますけれども、先進国の中ではこういう枠組みが主流になっているかと存じます。
 ところが、このところグローバル化の進展とともに、この渉外弁護士に対する法的なサービスのニーズが非常に大きくなってまいりまして、何度か外弁法について我が国は諸外国の要望等にこたえる形で規制緩和を行ってまいりましたが、ここで最終的に最も困難な問題に我々は直面しているのではないかと存じます。
 司法制度改革審議会の最終意見書でもこの問題は、この国のかたちを変えるという大きな目標の一環として取り上げられておりまして、そこでは利用者の視点ということを強調して、そのような視点に立って既存の制度を再検討する必要があろうという指摘がなされております。この指摘は、問題の困難性ゆえにしばしば持続的なプロセスを前提とせざるを得ないと思いますが、恐らく今回の司法制度改革推進本部における作業というのは、そのマイルストンとして歴史に残る改革の分岐点となるのではないかと理解しております。
 それではレジュメのIIですけれども、利用者のニーズに対してどのようにこたえるかということになりますと、まずニーズとしては一体的な法的サービスの提供ということが要請されている。これは各方面からつとに指摘されているところでございます。このようなサービス形態によりまして、より効果的な法的サービスが提供できるであろう。それから、更にそれを通じて多角的な接触を通じて、依頼者と弁護士の間の信頼関係がより一層強くなるであろう。その結果、持続的な関係が成立し、この渉外的な法的サービスの分野におきましても長期的な顧問関係等によって紛争の予防、法的策定等まで踏み込んだサービスができるようになるのではなかろうかと思います。
 このようなニーズを踏まえまして、各国の政策がどのように展開してきたかということを図式的に見れば、その歴史的展開は閉鎖システムから折衷システム、そして開放システムへと移行しつつあると言えるのではないかと思います。現在はまさに第二フェーズから第三フェーズへの移行期にあって、困難な問題が直面しているということではなかろうかと思います。
 この問題を考えますときにしばしば見逃されやすいのは、我々がそれぞれ立場が異なったときに、弁護士という観念を違った意味にとらえて使っていることです。それが見えざるハードルとなって、議論がずっとズレ行き、帰結の面では数十度変わってくるということがあるのではなかろうかと憶測しております。
 そこで、弁護士職というものの再定義ということを考えていく必要があるのではないか。従来、我々がともすれば暗黙のうちに前提とし、またしばしば明言されてまいりました当然の考え方と言うべきものが、「日本の弁護士は弁護士である。外国の弁護士は非弁護士である」というカテゴリーの設定だろうと思います。ところが、新しい国際的な弁護士資格の部分的接合ということが行われてまいりますと、その考え方はやはりどうしても捨て去るべきことになるのではないか。そこで、内外の弁護士法同視論といいますか、そういう考え方に移行する必要があろうかと思います。
 そうしますと、「内外の弁護士はその法的知識や法文化的背景などを異にする弁護士である。弁護士という点では両者の間に差はない。ただ、そこにいわば個性の差がある」ということではなかろうかと思います。この異質な個性がミックスされることによって、法的サービスは格段にその内実を高めることになりましょうし、またこれを通じて文化的な一体化などもそこに進みますので、依頼者と弁護士へのアクセスもより向上、促進されるのではなかろうかと思います。
 そこでレジュメのIIIでございますけれども、渉外的法律問題は遍在する。つまり、世界各国に関連する同様の問題が提起されてくる。しかしながら、法的サービスの方は偏在、つまり偏って存在するという問題が生じてまいります。これが2つの、日本語の発言は同じ言葉ですけれども、異なる遍在=偏在がそこにあるということかもしれません。
 そこで、現在のこの枠組みでは日本法か、日本法以外の法律か、いずれが適用になるかが制度の基本的な分界となっております。ところが、その適用法というものの意味はどういうことなのかということを法的サービス、取り分け予防法務の場面において考えてみる必要があると思います。
 まず事実ないしその周辺ということが問題になってまいりますし、それから文化的な事柄が重要な要素になってまいりますし、それをベースにして経済的な目的等に即した法的な設計というものが考えられる。その上で、法選択ということがなされて、そしてそれが具体的に法の適用を通じていろいろな法的なスキームに具体化されていく。こういう法的サービスが複合的なプロセスとして存在するのではないか。
 そして最後の局面は法的サービスのプロセスの一部を成すにすぎない。その全部プロセスは非常に仮定的であり、多角的で、そして展望的なものであるということになろうかと思います。そして、取り分け、法の選択というところに焦点を合わせてみますと、そこでは一種の法比較の作業が行われて、この法比較の複雑な作業の結果として特定の法が選択されてくる。そして、むしろその選択までの作業というのは事実と複数の法の絡んだ非常にこみ入った作業になってくるのではなかろうかと思います。また、法選択は同じ一連の取引であっても、その法域によっては微妙に変化して異質な組み合わせになっていくようなこともしばしばあろうかと思います。
 そこで、最終的に選択される法的枠組みの多くは、異なる法的要素の合成ということが多く、そういう意味では創造的なサービス、法的サービスがそこで提供されることになろうかと思います。しかも、この渉外的な法律業務の文脈におきましては、法というのは相当浮動的な性質を有するのではなかろうかと思います。まず、法選択がいずれの法選択をするか、大変微妙なことになってきて、それの選択を決する場合の非常に多角的な作業の中で最終的な決断として法が選択されていく。しかも、その後の状況の中でこれは絶えず変動する動的な性格を持ってくるのではないかと思います。
 以上のようなことを前提として、一番の眼目であります共同事業の法規制の在り方ということを考えますと、幾つかの問題が既に議論されておりますが、1つは目的上の制限の問題ということでございますが、取り分け外国法に関する知識を必要とする法律事務という点に絞りをかけているというところから、日本の弁護士と外国法事務弁護士等とが単一の事務所を形成して有機的に機能することが難しく、ジョイントベンチャー的な段階にとどまるということが言われております。
 そこで、現在の枠組みはいささか形式的にすぎるのではないか、むしろ、より合理的な基準の設定が時代の要請でありますし、それについて基本的な枠組みを変えるのか、基準を変えるのか、あるいは基準は変えないにしても、もう少し外国法の実務のにおける法選択ないしは外国法の実務のありようから考えて、より明確な、そして関係者にとって予測がより容易なルールを形成することは不可能ではないのではないかと考えます。
 それから、いま一つの当事者の全部または一部が国内に在住する外国人である事件や、外国会社等が保有する株主の発行済み株式総数の2分の1未満である外資系会社の依頼による事件が除外されているという問題につきましては、これはある程度の緩和措置が可能ではなかろうかと思います。特に前者については、果たしてこれをそのまま維持する必要があるのかどうか、いささか問題であろうかと思います。それから、後者につきましては2分の1未満であっても、実際上1/3程度の株式を有していれば、支配的な地位を占めるということもございまして、そういう現実を考慮する必要もあるのではなかろうかと思います。
 それから(2)の「収益分配の点」でございますけれども、仮に外国法の適用法が結果的に日本法の場合ということを考えてみましても、これは仮定的な問題にはなりますが、分配自体が許されるか否かということよりも、その実質的合理性ないし正当性を問題にすることでも可能なのではないか。特に弁護士倫理上、日本及び外国に間接的にではありますが、報酬の分配に際しては若干一定の合理的なルールの設定を示唆するような規定もございますし、これからそういう問題をこの規制緩和の一環として定めていくということも可能なのではなかろうかと思います。
 次に3番目の「弁護士の独立性の問題」でございますけれども、これには個別的な事件処理の場面と、組織的な決定の場面と、少なくとも2つの局面があろうかと思います。この両者で、問題はある程度変わってこざるを得ないかと思います。ただ、弁護士及び外国法事務弁護士が共通に従うべき基本的倫理は確固として、いずれの国の倫理ないし弁護士法の中にも存在するわけでございまして、例えば我が国の弁護士倫理の6条では法令等の精通義務が定められておりますし、それからABAの旧規約、懲戒規程には能力外の事件の単独受任を回避すべき義務がございますし、その他CCBAにも同様な規程があります。こういうような規程を更に洗い直せば、いろいろな関連規程が出てくると思いますが、こういう規程が存在することできちんと懲戒機構が作動するということを前提とするならば、不当な介入、独立性の侵害という事態は相当程度避けられるのではなかろうかと思います。
 特に、日本の弁護士の雇用という場合、共同事業の局面において日本の弁護士と外国法の弁護士とが共同で弁護士を雇用するというものであれば、この外国法事務弁護士による日本法の取扱いについての濫用的な介入の頻度というのは、日本の弁護士が存在するということもありまして相当程度危険は低下する。両局面において格差があるということが言えるかと思います。
 それから、弁護士の雇用に際して、その契約中に独立保障条項のようなものを挿入することがいま一つ有効な抑止効果を持つのではないかと期待されます。特にそれについての罰則等の厳しさということが加われば、相当の抑止力を発揮するのではないかと思います。
 ちなみに、日本の弁護士法30条3項では営利企業が弁護士会の許可を得れば弁護士を使用人とすることが可能になっておりますが、従来、弁護士会の許可というのはばらつきがありまして相当厳しく運用されていたところもございますが、このところ相当緩和されてきているように仄聞いたしております。ましてそういう状況を踏まえるならば、外国法事務弁護士と日本の弁護士とが共同事業の中で雇用を行うのであれば、その雇主の方が公共的プロフェッションであるという点で、これらのリスクを抑制できる諸条件はより良好なものがあると思われます。
 以上で私の意見陳述はほぼ終わりでございますけれども、⑤のところは今後の基本的姿勢としてどういうことが考えられるかという要請点を列挙しただけでございまして、結論の方から申しますと、まず政策的選択の問題であるということです。余り論理的に、あるいは論理必然的に結論が出るというような考え方は抑制した方がよいのではないか。第2に、すべての制度にはメリットとデメリットがありますけれども、デメリットを指摘するだけではなくてやはりメリットと勘案して政策判断をしていくことが重要なのではなかろうかと思います。
 それから、仮にリスクが存在しても、そのリスクを回避しようとして逃げるのではなくて、やはりそのリスクはあってもメリットがあるものを取り込んで、その間に独自の新たなリスク制御装置を工夫していくということが大切でありまして、そのためにはいろいろなことが考えられると思います。今までは存在しませんでしたけれども、それぞれの場において周到な検討がなされれば、その安全装置を開発することは可能なのではなかろうかと思います。
 次に、国益としての開放政策でありますけれども、日本のような小さな国土に多数の国民が存するところでは、やはり開放的な共同事業なども含めて、法律制度の開放性を重視することは賢明な選択なのではないかと思われますし、また先進国の一員として全体として他の国が進まなければ制度をつくれないというものではなく、一つの先進的なモデルをつくって、それがよいものであれば実施していくということが一つの国際貢献につながるのではないかと思います。
 最後になりますけれども、国内において「正義への普遍的なアクセス」ということが言われておりますけれども、これはグローバルな舞台でも当然強調されなければならないことであろうかと思います。そして、それは我が国の弁護士法1条の精神に通ずるものであろうかと思います。また、規制緩和推進3か年計画においても、日本法及び外国法を含む包括的総合的な法律サービスを国民や企業が受ける環境を整備するというような視点が示されておりますけれども、これには別の角度から他の法律分野で確固として共有されている理念と連なるものがあるのではなかろうかと思います。
 いずれにいたしましても、現実に改革を実施する場合にどのような事態が生ずるかということは不確実な面がございますけれども、先進的なモデルが既になくなっている今日では、ある程度の混迷のリスクというものは受け入れて、勇気ある改革を行って、ただ、その弊害には目をつぶるべきではなくて、弊害があるならば直ちにそれに対する対処策を講じるというような柔軟、大胆でかつ慎重な態度が望ましいのではなかろうかと思います。そういうふうな姿勢を示すことで、関係者のいろいろな角度からの御心配や期待について、全体としては最大限にこたえることができるのではなかろうかと思います。
 少し長くなりましたが、これで終わらせていただきます。

○柏木座長 どうもありがとうございました。
 それでは、今の小島先生の御説明につきまして質問がありましたら挙手の上、御発言をお願いします。

○乗越委員 レジュメのIVの(4)に濫用的な介入というのが言及されておりますけれども、これはまずどういうふうなことを具体的にお考えなのかということ。それから、それが外国弁護士と日本の弁護士との間で交流関係があった場合に起こるけれども、日本の弁護士の間で交流関係があった場合に起こらないというのはどういう理由かということ。それから、そういうふうな介入があった場合にはいずれにしても倫理の問題として弁護士がそういうものを自らの問題として排除するということで解決できるのではないかという点についてはどのようにお考えでしょうか。

○小島氏 今のは、場所はどこでしょうか。

○乗越委員 「弁護士の雇用問題」について、でございます。共同事業に関する法規制の在り方の中で、最後の方でございます。

○小島氏 わかりました。これは、最初のところでこのような局面においてはリスクが他の場合と比べれば少ないのではなかろうかという指摘をしたわけでございまして、それで当然そのような場合についてもリスクはあるわけでございますから、それについては(3)の独立性のところで指摘されたことが同時に働いてくるということでございます。そういうことで、より具体的にはどういうことを考えているのかという御趣旨でしょうか。

○乗越委員 どういうふうな濫用が考えられるのかということと、それからそういう濫用が日本弁護士間の雇用関係では起こらないけれども、外国弁護士と日本弁護士の雇用関係では起こるというふうにお考えになる理由はどういうことですかということです。

○小島氏 これは、組織上の位置付けからして日本の弁護士との関係でも外国法事務弁護士との関係でも同様に起こってくることだと思います。そこに共通の問題があろうかと思います。それで、そういうことでありますから各国の弁護士倫理規定が相当効果を発揮するであろうということになると思います。
 ただ、この点で1つ違うのは、外国弁護士が直接雇用するような形態や外国法事務弁護士という国内の資格を得て雇用する場合とは、日本弁護士のパートナーがいないという形であれば(厳密にはパートナーは今のところいないという形ですけれども)、今のところコントロールの点で程度の差がある点です。つまり、共同事業体の中で雇用することに限ってみれば、弁護士倫理規定がより効果的に働くのではないかということでございます。

○柏木座長 ほかに御質問をどうぞ。

○下川委員 2つ質問がございます。1つは、適用法の選択というものが複雑な作業の帰結として決まっていく側面があるという御指摘がありましたけれども、その関係で今の特定共同事業の目的の関係で当事者の条件についての言及がございましたが、そもそも結果として非常に複雑なプロセスとして適用法が決まるということとの関係で、外国法の知識を要するという現在の要件についてどういうふうにお考えになっているか。その複雑さゆえに外国法の知識を有するという要件がどういうふうに作用しているか。それ自体の規制緩和についてどういう感じをお持ちかというのをお伺いしたいのが1つです。
 それからもう一つは今のお話とも関係するのですが、先ほどおっしゃった弁護士の雇用問題の3つの局面のうちの外弁事務所の単独雇用という問題について、多少よりコントロールが効きにくくなるということだろうとは思うのですが、そういう形態についてどういうお考えをお持ちか、その2点についてお願いします。

○小島氏 第2点の方は、比較的シンプルに考えてよい問題であろうかと思います。これは問題の性質上、制御装置がどの程度実効的に働くかどうかの問題であり、一つの政策的な決断の問題としてストレートに出てくることだと思います。段階としてはいろいろな問題をはらんだ事項でございますから、共同事業の中に限ってこれを許容するということも第1段ステップとして一つの賢明で慎重な方策ではなかろうかと思います。
 第1点の方でございますけれども、外国法ということがキーワードとして出てまいりますが、この弁護士の法的サービスのプロセスをながめると、外国法はたまたま結果、最終的な決断、決定として出てくるので、外国法が準拠法になる場合と、国内法が準拠法になる場合とでは、作業の数字で言うことはできませんけれども、相当部分はいずれによっても変わらない、同じような調査と検討を行っていくのではないか。そして、最後にどちらにしようかということで決断が決まる。その結果だけを見て仕分けをするというのはいささか形式的過ぎるのであって、もう少し最後の結論だけではなくてプロセス全体を踏まえた仕切りもあり得るのではないか。
 私も、それでは具体的にどういう規定が可能かをちょっと考えてみましたけれども、あまり思い付きを申し上げても何ですから、この場面でその点が一つの論点として重要であるということになれば、この会議で皆様にお考えいただければいろいろな可能性が出てくるのではないか。その程度にこの具体論の点はとどめさせていただきたいと思います。

○道垣内委員 今の必ずしも明確なお答えをいただけなかったところを重ねてで申し訳ないんですけれども、今、下川委員のおっしゃった第1の方の問題で、外国法が準拠法になるか、日本法が準拠になるかは国際私法を通じて決まるわけで、国際私法は日本法でございますね。そうしますと、資格国法のサービスなのか否か、そのことをどう判断するかが前提になっているはずです。そうしますと、ここはもともと私は大きな問題かなと思っていたんですが、資格国法になるのかどうかも日本法である国際私法である法例を通じて決まる話なので、いつも日本の弁護士と一緒でなければできないのではないか。そこまでいくのかどうかを、まずお伺いしたい。そうであるとすると、49条の2の方だけの問題ではないように思うのですが、いかがでしょうか。

○小島氏 おっしゃるとおり、準拠法の決定というのは国際私法ないし各国の手続のルールでどこでも決定されていくということ、これは基本として否定しようのない事実です。
 しかし、仮にその国際私法の枠の中で考えるにしても、実際に国際的な契約などを結ぶ場合には、当事者の意思でどうにでも動かされ得るという部分が、明確な合意さえあれば動かされるという部分がございますので、契約をこれから締結する際にどういうふうな法的スキームをつくるのかということになれば、その合目的的な法的スキームをつくるにはどこの国の法律がいいのかという形から実は決まっていく。ですから、国際私法が縛っているように見えて、実は当事者が決定していくという側面が大きいのではないか。紛争が起こってしまって、交渉とかという場面になると国際私法的なルールが非常に働く。そして、明確な合意がなければ働いてくるけれども、これから展望的な法的業務の場合には、国際私法とは異なる局面で相当自由を関係者に与えているのではないかと思っているのですけれども、いかがでしょうか。

○柏木座長 大分時間が遅れておりますので、短くお願いいたします。

○下條委員 皆さんからの質問が続いてちょっと発言する機会がなかったものですから。
 2番目のところで、先生の方で弁護士職の再定義ということをおっしゃっていますけれども、私はやはり弁護士職というのはそれぞれ各国の資格制度があって、かつ法律というのは非常に文化的、歴史的背景もあって非常にローカルなものであるのではないかというふうに思っておりまして、例えば私はアメリカのロースクールで勉強しましたけれども、アメリカの不動産法などというのはルール・オブ・パーペチュイティとか、何度聞いてもわけのわからないような理論があったり、もっと簡単な例で言えば日本で質権がありまして、質権は普通プレッジと訳されていますけれども、質権とプレッジは同じかといったらそれは絶対違うわけで、それぞれの国で要件が違う。そういう意味から言って、法制度というのはものすごくローカルなもので、かつそれにのっとって資格制度があるということから見て、やはり先生は今まで峻別しているけれども、これは捨て去らなければいけないとおっしゃいましたが、その辺はやはりそういった資格制度、それに基づく法制度、そういったものから見て、それはちょっと難しいのではなかろうかと思っていますけれども、いかがでしょうか。

○小島氏 今、御指摘になった事実は全くそのとおりだと思います。私の申し上げたいのは、だからといって一方は弁護士であり、他方は非弁護士であるという発想にいってしまうのは問題ではなかろうか。やはり特色のある、それぞれのバージニア法ならばバージニア法に通じた人間はそういう一つの特色がある弁護士ですから、そのバージニアで何か仕事をするとすれば、それはその専門家が入らないとうまくいかないであろうということは当然で、そういう案件に応じて特色がある、つまり法域ということもその一つだと思いますけれども、その特色ある弁護士がチームを組んで活動をするというのが望ましい。そのような柔軟なシステムを用意するのが緩和された共同事業の枠組みではなかろうか。ですから、そんなにラディカルなことを申し上げているのではなくて、非常に現実的なことを理論的に整理すると、私が述べたようなことになるのではないかという程度のことでございます。

○柏木座長 それでは、どうも小島先生ありがとうございました。
 次に、論点整理の議題に移りたいと思います。まず、論点項目案につきまして事務局から説明をお願いいたします。

○斎藤参事官 それでは、資料の6-2をごらんください。この6-2の論点項目(案)は、従前委員の皆様にお配りした論点項目(案)を若干調整したものでございます。従前のものは論点項目をいわば網羅的、羅列的に摘示しておりましたが、それを司法制度改革審議会の意見書の提言部分の趣旨に即して、やや論点相互間の関係性などに着目して少しく調整させていただいております。そういうものとして、これから具体的な中身を御説明させていただきます。
 本日の資料6-2の論点項目(案)は、弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働の推進に向けての議論の範囲及びポイントを把握するために論点項目を整理したものでございます。各論点項目につきましては、さまざまな角度から議論を尽くしていただきたいと考えております。
 それでは、各論点項目につきまして概略を御説明いたします。司法制度改革審議会意見書の提言の中でも、特定共同事業の要件緩和等を行うことが主要な検討課題と見られますので、この課題を中心に論点を摘示しております。
 現行の特定共同事業制度の問題点を分析、確認し、その上で問題点を解消するための具体的方策を十分に御検討いただきたいと考えております。具体的方策につきましては、現行の特定共同事業制度の枠組みを維持しつつ、例えば特定共同事業の相手方である弁護士の職務経験要件や、外弁法49条の2第1項各号のいわゆる渉外性の要件を部分的に緩和する方策と、それから共同事業を原則的に自由化する方策とがあり得ると考えられますので、いずれの方策についても御検討いただきたいと存じます。
 要件緩和策を検討する際には、我が国の資格法制上の問題点を幾つか御検討いただく必要があると考えられます。
 まず現行法では、外弁法49条2項前段で共同の事業を禁止し、例外的に49条の2以下で特定共同事業を規定して、このような形態での共同の事業を許容しております。そこで、共同の事業がこのように規制されてきた根拠はどういうものであるのかを御議論いただく必要があると思われます。
 次に、特定共同事業制度につきましては49条の2第1項の1号から3号まで、いわゆる渉外性のある法律事務の要件を規定しております。すなわち、1号は知識が必要とされる法律に着目して、外国において効力を有し、または有した法に関する知識を必要とする法律事務としております。また、2号及び3号は当事者に着目し、2号は当事者の全部または一部が外国に住所または主たる事務所、もしくは本店を有する者である法律事件についての法律事務というふうに規定し、3号は外国に住所または主たる事務所もしくは本店を有する者が総株主または総社員の議決権の2分の1以上の議決権を保有する会社の依頼による法律事件についての法律事務というふうに規定しております。
 そして、法はこれらのいずれかに該当する法律事務を目的とする場合に共同の事業を営むことができるとしております。つまり、現行法は共同事業の目的の範囲を渉外性のある法律事務に限定しているわけですが、このような規制の合理性につきましてユーザーの立場あるいは実際に特定共同事業を営む立場の両面からよく吟味していただきたいと存じます。
 それから、弁護士と外国法事務弁護士との間の収益の分配につきましては、現行法上、原則的に49条2項後段で禁止しつつ、特定共同事業においては弁護士と外国法事務弁護士とが収益を分配することができると考えられています。これに関連し、外国法事務弁護士が弁護士と報酬の分配をすることにより、必然的に外国法事務弁護士がその職務範囲を逸脱して日本法を取り扱うことになるのかどうか。弁護士の業務への干渉といった現象に結び付くのかどうか。この辺りを御議論いただきたいと存じます。
 外国法事務弁護士は、純粋な日本法の適用案件であっても、その業務上の経験やノウハウ、語学力等に基づいて弁護士を補助したり、あるいは弁護士と協力したりする形で関与する分野が拡大しているのではないかと見られますので、そのような場合に合理的な報酬分配が行われること自体は問題はないのではないかという議論もあり得ると思われます。
 それから、要件緩和に伴い、外国法事務弁護士が日本法に関する法律事務へ不当に関与することも想定される。このような議論もあり得るところでありますので、そのおそれの程度や対応の在り方を御検討いただきたいと思います。
 続きまして「要件緩和等に伴う問題点・弊害」につきましても幾つか御検討いただきいと存じます。弁護士の独立性への影響につきましては、そもそも弁護士の独立性というのはどのような意味で使われているのかといった具体的中身を明確にしつつ、要件緩和等を行うことにより、弁護士の独立性にどのような影響を及ぼすのかについて具体的に検討する必要があろうと思われます。
 指導監督の強化の要否につきましては、特定共同事業の要件緩和等を進める場合、外弁制度が潜脱されたりするおそれはないかどうか、その関連でどのような防止措置が適当かを検討する必要があるのではないかと思われます。
 弁護士法人と外国法事務弁護士との共同事業につきましては、本年4月から弁護士法人制度が施行されるに至っております。両者の共同事業も許容されるべきかどうか、御検討いただきたいと存じます。両者の共同事業は、法律的にはどのような制度設計の下で許容することが適当かといった立法技術的な問題もあると見られますが、この点は主として事務局の方で検討してまいりたいと考えております。
 共同事業が自由化されますと、弁護士と外国法事務弁護士が1つの事務所を共同経営するという形態が想定されますが、その場合、事務所の名称その他、必要な手当てについて検討する必要があると思われます。特定共同事業の点については、このような論点について検討する必要があるのではないかと考えております。
 続きまして、外国法事務弁護士による弁護士の雇用禁止との関係について御説明します。これまで、雇用を認めることは雇用された弁護士を介して外国法事務弁護士が日本法を取り扱うことにほかならないこと、弁護士の日本法の取扱いに外国法事務弁護士が不当に介入するおそれがあることなどの理由で全面的に雇用は禁止されております。
 しかしながら、共同事業の在り方についての検討を進めていく過程におきまして、雇用禁止の規制につきましても共同事業の規制と同じく、外国法事務弁護士が職務外の行為に及ぶことを防止するための手段であるという重要な共通性がありますので、両者の整合性を保ちつつ検討を進める必要があるものと考えられます。
 そこで、まず規制根拠を再確認した上で、外国法事務弁護士が弁護士を雇用するニーズを正しく理解するとともに、雇用禁止の規制が過剰規制になってはいないか。規制の方法として相当かといった現行の問題点について御議論いただく必要があると考えます。
 そして、雇用禁止の規制緩和の在り方との関係につきましては規制の在り方等、規制緩和の要否ないし方向性を検討する必要があろうと考えます。規制の在り方に関しましては、外国法事務弁護士が自己の業務の範囲内において活用する限度で弁護士を雇用するならば、当然には外国法事務弁護士が業務範囲を逸脱するという現象と結び付くことにはならないのではないかという考え方があり得ると思いますが、いかがでしょうか。
 それから、企業が社内法律家として弁護士を雇用することや、隣接法律専門職に関する法律におきましては、弁護士を雇用することを禁止する明文規定がないこと。これらとの比較により、どのようなことが参考になるか。また、外国法事務弁護士による弁護士の雇用の在り方をどのように整合的にとらえたらよいかといった点を御検討いただければと存じます。
 雇用に関し、規制緩和の要否ないし方向性につきましては、依然として全面禁止維持と、規制緩和の2つの方向性があり得ると見られますけれども、規制緩和の方向では弁護士と外国法事務弁護士との共同事業がより広く容認された場合には、両者が弁護士を共同雇用することを認めるべきではないかという問題が出てまいります。また、外国法事務弁護士に雇用される弁護士の業務活動の在り方自体も十分検討されるべきかと存じます。外国法事務弁護士の業務範囲は限定されており、外国法事務弁護士が雇用した弁護士を介してその業務範囲を逸脱するようなことがあってはならないことと裏腹の関係にありますので、重要な論点であると考えられます。
 更に、引き続きまして弁護士と外国弁護士との提携・協働の点につきましては、外国法事務弁護士の登録をしていない外国弁護士一般との提携・協働の問題でございます。特に弁護士と外国弁護士との共同事業あるいはインターナショナル・パートナーシップとも言われますが、これを容認すべきかがまさに問題になろうかと存じます。このような共同事業の内容とはどのようなものか、我が国の制度としてこれを容認することの必要性、メリットあるいはデメリット、それから我が国の資格法制上の整合性などが御議論の対象になるのではないかと考えております。
 最後に、第2の「その他」としておきましたところは、特定共同事業の要件緩和等を検討する上で、関連して議論の必要な事項などがございましたら適宜御議論いただけるように項目を設けてございます。
 以上が本日の資料6-2の論点項目(案)でございます。

○柏木座長 どうもありがとうございました。それでは、弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働テーマの論点について御議論願いたいと思います。ただいまの事務局からの説明に対する御質問や御意見などでも結構でございます。議論の順番ですけれども、どこからでもということになるとあるいは混乱してしまうかもしれませんから、問題の少ないといってはおかしいですが、今日の資料の6-2の順番に従って検討を進めたいと考えます。
 第1が「特定共同事業について」、第2が「その他」で、「その他」は何もないということですので、第1の「特定共同事業について」との議題の下に記載された内容をこの順番に従ってやっていくことになるだろうと思います。まず「弁護士と外国法事務弁護士(以下「外弁」という。)との提携・協働の推進の必要性」、それから「現行制度の問題点」、「上記問題点解消のための具体的方策」ですが、この辺は1、2、3の辺りはそれほど論点として問題はないのではないかと考えますがいかがでしょうか。

○久保利委員 その前に、この論点項目の6-2に関して、一つひとつの中身ではないんですけれども、全体の組み立てについて1点私なりの御意見を申し上げたいと思います。
 要するに、第1の特定共同事業について、今まさに座長がおっしゃったように、第1の項があって第2の「その他」は何もないわけです。ところが、第1の4の(3)(4)というところを見ると、これは明らかに雇用禁止の問題と、それから外弁ではない外国弁護士との共同の問題についてお出しになっている。そもそも今日お出しになっている論点項目の位置付けですけれども、基本はやはり推進法に基づいてつくられたこの検討会で、国際化検討会という名前の中で取り上げる中の一つである外弁問題について議論をすべきテーマを事務局でおまとめになったたたき台とういう理解をしておりますが、これはこれでいいですね。
 そこで、そのときにほかの検討会でもそうなんですけれども、何を検討するかというときに、冒頭たしか山崎局長もおっしゃったと思うんですけれども、審議会意見においても決められている問題について具体化を図っていく。それは場合によっては法律をつくるということかもしれないし、それ以外かもしれないということで、意見書の55ページを見ると外弁問題の中で特定共同の問題はそのとおり、まさに要件緩和等を行うべきであるとされているテーマなので、これはそのとおりだと思うんです。だから、雇用禁止等の見直しは国際的議論もにらみつつ、将来の課題として引き続き検討すべきであると書いてあって、将来の課題として引き続き検討すべきというテーマはほかの検討会でもたくさんあるわけで、当然我々が担当すべき部分でもないわけではないと思います。
 それで、この第1の4の(3)と(4)というのはどう見てもその部分、要するに意見書がこうすべきであると言っているのではない部分に該当するのではないか。そうだとすると、むしろ1項目ずつこれはいいかという話ではなくて、そもそも組み立てとして何でそれが第1の特定共同事業の中の4の(3)で出てくるのか。別の話じゃないか。やるのならばこれを第2とか第3とかというふうに書くべきではないか。そうだとすれば、逆にどこの検討会でもそうですが、例えば刑事の方でもアレインメントについてこれをどうするかというと、これも将来の問題として更に検討とか、それからクラスアクションはどうするかというのも、これも今はやらないというふうなことになっていまして、多くのところでこの種の将来問題というのは今期の検討会では議論はしないということになっているのではないか。
 中身について別に賛成、反対を言っているのではないので、雇用というのもあり得るのではないか。中身については考えるところはありますけれども、そうではなくて組み立ての問題としてこれを4の(3)(4)という形で論点に入れられた理由は何なのか。それは、意見書の出している意見の枠を超えて検討会で議論をしようとするものではないのか。私はいずれも、それはそういう意味において不適切な論点ではないかと、こういうふうに枠組みの問題として思うのですが、いかがでしょうか。

○柏木座長 最初から最後の一番微妙な問題に移ってしまいましたけれども。

○久保利委員 これがはっきりしないと、ほかの部分に入れないので。

○柏木座長 わかりました。事務局からお願いします。

○齊藤参事官 確かに改革審の意見書の提言の中で、雇用の問題は将来の課題というふうに指摘されています。それで、一応将来の課題を直ちに検討するのかどうかという点については、そのこと自体問題がございます。
 しかし、少なくとも意見書で特定共同事業の要件緩和等について行うべきであると、この中心的な課題は十分に議論を尽くそうとすると共通の規制、趣旨を持っている雇用禁止の問題とどうしても密接に関連せざるを得ませんし、十分に整合性を保った議論をせざるを得ない。その意味では、特定共同事業について議論を尽くすべき、その一環として雇用禁止の問題も取り上げざるを得ないという整理を一応してみているわけです。そのことによって、共同事業という中心的な検討課題を十分にスムーズに議論していけると、そういう趣旨を表すべく、この議論で項目を整理してみたということでございます。

○久保利委員 要するに私が今、引っ掛かったのは、参事官が御説明になるときに2ページの上から4つ目の丸の「その他」まで終えて(3)に入るときに、以上で特定共同の問題は終わりますとおっしゃって、それから(3)が雇用だとおっしゃったので、それならば何でこれはちゃんと第2とか第3がないんだ。終わっていないんだと、さっきは言い間違えたので、特定共同の問題を考える上で議論をした方が議論をする重要性があると思われる、その問題について特定共同の見直しとの絡みにおいて議論をしたいというふうにもしおっしゃったのであれば、それはこのペーパーの趣旨と非常に沿うなというふうに理解をしたんですが、御説明が違っていたものですから申し上げたわけです。

○齊藤参事官 そこは申し訳ありません。私の説明の流れがいささか不十分でした。特定共同事業のある意味で固有の論点についての説明をしたところで、そこでちょっと区切りを入れたかったというところが、説明がうまくつながらなかったというところで、そこはあくまでも特定共同事業の関連、一環としてこれらの問題も議論せざるを得ないという流れで御理解いただきたいと思います。

○久保利委員 後の御説明が真意であったという理解ですね。わかりました。

○柏木座長 それでは、乗越委員からお願いします。

○乗越委員 私もちょっと枠組みの問題として申し上げたいんですけれども、2点ございます。
 1つは、特定共同事業について第1と書いてあるところを拝見しますと、特定共同事業がそのまま枠組みとして残るということを前提に書かれているように思われまして、私が申し上げたいのは一番最後の4の(4)に「弁護士と外国弁護士との提携・協働について」というふうにある点については、特定共同事業の今後の在り方、あるいは廃止とかも含めて今後どうあるべきかということを考える上において重要な一つの項目だと思いますので、この4の(4)についてもそれまで上に書いてあったような諸点について同じような検討をしていく必要があるのではないかという点が1点です。
 それからもう一つは、そういう検討をしていくに当たって我々が何を基準にして考えていくべきかというところの考察がまず最初にあるべきではないかと思うんですけれども、私の感じからいたしますと、報告書を見ても、それからいろいろな説明者の方の説明を聞いても、ユーザーの視点というものがまず最大の基準であるべきであるというところのコンセンサスをまずこの検討会の中で最初に決めて、そこを基準にしてやっていくべきではないかという気がいたします。

○齊藤参事官 では、関連しているところで全部お答えになるかどうかはわかりませんが、特定共同事業について議論していって、その方向性としてはこの論点整理にも挙げてございますように、特定共同事業制度の要件緩和策、言い換えれば現行の特定共同事業の制度の枠組みの範囲内で要件の緩和を図っていくという方策、これが1つあり得るだろう。それと、そもそも共同事業を原則的に自由化するという方策もあり得るのではないかということが2つ目です。そのことも摘示してあるつもりでございます。
 そして、更に外国弁護士一般との提携・協働の在り方というのも更に大きな枠組みとして検討の余地はある。御議論はいただいて結構だという意味で、更に第1の4の(4)で挙げてあるわけです。それぞれ議論は十分に尽くしていただきたいというふうな考え方で整理はしてあるつもりでございます。

○道垣内委員 私の質問事項は久保利委員がおっしゃったのと同じ問題だったんですけれども、ただ、議論の仕方として今までのものを全部変数化してすべてを動かせるという状況で議論するとどこを議論するかわからなくなるので、やはり特定共同事業の最初の議論においては雇用は禁止である、という前提で議論するということでしょうか。つまり、回りの部分は全部現行法のままで、49条とそれ以下のところについてどう動かせるかという議論をする。そうしますと、そこにおいては雇用は禁止だからというのは十分理由になるという前提で議論をした方がいいと思うんです。
 しかし、そうやっていっていろいろな議論をしていくと、ある落としどころが見えてくるか、あるいは幾つかの選択肢を見えてきたところで、前提としていたことがはたしてそれでいいのかという問題が出てくることがあり得て、それの一つが雇用禁止で、必ずしも雇用禁止だけではなくて、さっきもおっしゃった職務範囲の問題だってもしかすると今のままでいいのかどうか、更にわからなくなるかもしれません。
 ですから、議題の書き方として、4の(2)(3)について、(2)の次はすぐ(3)に続いていいものかどうかは疑問がございます。そこで一たん前提を崩すといいますか、前提について再検討するという項目を立てて、その中に雇用の問題もあるし、ほかの問題もあり得るという構成の方が分かりやすいのではないでしょうか。その代わり、ある前提のもとでの議論においては、前提を崩すべきだといったことはそのことは言わない、前提を動かすということはしないということにしないと、議論が乱れるように思います。

○柏木座長 前提が難しいですね。変数がたくさんあるから、おっしゃるとおり一つの変数を固定して最後にある変数だけを動かそうとするというと、また前に返って議論をもう一回全部蒸し返さなければいかぬかということもありますね。

○道垣内委員 すべて最初から議論するのであれば、話としては雇用禁止といった問題の方が先の話ですね。ただ、そちらから先に議論するかというと、それではこの検討会の趣旨に合わないと思います。

○柏木座長 おっしゃるとおりですね。ただ、論点の中で時々雇用禁止が問題になれば、この変数を動かしたらどうなるかということを少しずつそこで議論しなければいけないかもしれません。これはちょっと議論の流れを見ながら考えなければいけないと思います。
 ただ、道垣内委員がおっしゃったことはよくわかります。変数を全部同時に議論し出すと本当に収拾がつかなくなると思うので、一応雇用禁止、それから外国弁護士との協働・提携は一応禁止という前提で議論してみて、それで議論がうまく回らなくなったらそのときに応じて少しずつ議論をする。それで、最後に共同事業との絡みで雇用禁止と、それから弁護士との協働・提携を議論するということでいかがでしょうか。

○齊藤参事官 論点項目の整理自体で、もう少し工夫の余地もあるのかもしれません。と同時に、あくまでも今、道垣内先生が御指摘のところは議論の要領の問題かもしれませんので、その辺をもう少し考えてみたいと思います。

○道垣内委員 雇用禁止を理由にできるかという段階での議論は、それ自体おかしいじゃないかという議論が始まるともう違う話になってしまいますね。

○柏木座長 それは最後ですね。

○孝橋委員 ちょっとイメージがよくわからないのですが、結局各項目ごとに一応何か区切りというか、まとめをつくっていって、それから次に進むというような形で審議が行われるんでしょうか。それとも、ステップ・バイ・ステップというか、そういう形での審議になるのか。それとも、何となくだんだんコンセンサスを形成していくという流れになるのか、その辺りはどのイメージか、先ほどの道垣内先生の話を聞いて思ったのですけれども、どういう辺りからスタートしていって、どういう流れで、どの辺りで山場をつくるといいますか、その手順というか、日程表だけいただいたのですが、その辺りは事務局の方でどういうふうにお考えかということ。今お尋ねしていいのかどうかわからないのですが。

○柏木座長 事務局の方からイメージはどうですか。

○齊藤参事官 そういう点も、ある程度皆さんで御議論いただきたいとも思っていました。
 ただ、中心的な検討項目、検討課題は特定共同事業の要件緩和等ということだと思いますので、それを一通り議論し、そして雇用の問題等にも議論の共通項みたいなものを、共通の理解にしながら関連づけて雇用の問題、それから外国弁護士一般との提携・協働の在り方とか、そういうふうに一応はある程度順序を立てて議論をして、それでまた全体を見直す。関連性などを正確に見直していくと、大体こんな要領なのかなとは思っています。

○乗越委員 私は今、事務局の方でおっしゃられたことに賛成でございます。話の進め方として、もちろん総花的にならないようにこういう論点ごとに議論をしていくのはいいと思いますけれども、この論点はもう終わったから後は議論しないというのは、そもそもこの検討会とか審議会の方向の趣旨に全く合わないやり方だと思いますので、そこは手続きといいますか、順番の問題として今日はこの論点、今日はこの論点というのは結構ですけれども、もちろんすべてをカバーした後でもう一度振出しに戻って全体を見るという作業は必要だと思います。

○柏木座長 それから、先ほど乗越委員がおっしゃられた、ユーザーの視点を確定するという提案についてはいかがでしょうか。

○玉井委員 全く賛成です。

○下條委員 ユーザーの視点というものは一つの視点ですけれども、それはいろいろな視点がありますから、それは一つの視点として考えるのはもちろんですが、資格制度の問題もありますし、それからGATSの問題もありますし、いろいろな面がありますので、幾つかの論点の視点の一つということであればもちろん賛成ですけれども、ほかの視点も忘れてはならないと思います。

○柏木座長 ほかに御意見ございませんか。
 この改革審議会の意見書を見ますと、いろいろなところにユーザーの視点ということが出ておりまして、これにウェートを置くべきことは多分間違いないんだろうと思います。ただ、下條委員がおっしゃったように、この視点からだけということに限定しますとちょっと問題が起きるような気がしますので、ユーザーの視点に力点を置きつつ多角的に検討するということになるのではないでしょうか。

○久保利委員 意見書にも国際的議論をにらみつつというのがあるので、多分主権の争いというふうな部分も弁護士の資格という中にはインターナショナルに見れば当然あり得るわけですから、それもユーザーとして今すぐ便利な弁護士を使いたいというユーザーもいる一方で、果たしてそれ以外の視点を持つユーザーはいないかどうか。同じ利用者といってもいろいろな利用者があり得るわけです。ですから、そういう意味での利用者のことは十分配慮をして、ワン・オブ・ゼムと言う下條さんの言い方だとちょっと小さ過ぎるのではないか。もう少しウェートを利用者に与えてもいいのではないかと思いますが、しかし、同時にGATSの問題の主権の争いの部分もあります。そしてまた、日本国に住んでいて、場合によったら外弁のお世話にはずっとならないかもしれない国民の一般的な市民の利用者というものもあるので、それらをバランスよく考えながらやっていく。
 ただし、弁護士が自己の権益とか利益とか、そういうことを言う場にしてはなりませんねと。これは外弁であれ、日本国弁護士であれ、皆同じなので、そういう意味での利用者ということであれば全面的に賛成です。

○乗越委員 今のことに関連しますけれども、やはり特定共同事業というのはGATSのコミットメント、約束表ですね。そこで認められているものですから、前から申し上げておりますように優れてGATSの問題であるわけですね。それと今、久保利委員が引用されたように国際的議論をにらみつつと、意見書も言っているわけです。そういう意味で、そういう視点がこの論点項目ではすぽっと抜けてしまっている。それは私にとっては非常に不満があります。

○玉井委員 私は今の乗越委員の御意見に全く賛成だと申し上げます。その趣旨は、もちろんGATS等の交渉で国益を大いに損なうといったことがあれば、もちろんそれは考慮すべきことであるし、このメンバーの人選の段階で下川委員が入っておられること自体、これを考慮するんだという趣旨だと思うんですけれども、ユーザーサイドの視点を重視すべきだという司法制度改革審議会の趣旨は、サプライサイダーの狭い職業的利益にとらわれてはならないということが原則だと思います。そういう意味で、私は乗越委員の御意見に全面的に賛成をいたします。

○柏木座長 ありがとうございます。下條委員は具体的には何かこういうアイテムを入れるということは。

○下條委員 そうですね。第2は「その他」ではなくて、第2として国際的議論との関係とかですね。それで、「その他」は第3にするとかですね。

○齊藤参事官 GATSの関係とかWTOの関係が、引き続き留意すべき重要な問題であるということは全然こちらとしては変わっておりません。
 ただ、論点項目としては、例えば特定共同事業の問題を議論すべき、その内容そのものとはちょっと違うのかなという印象がありましたので、この論点項目にはあえて摘示はしていなかったのですが、そういった問題を十分配慮しながら検討を進めなければいけないということ自体は当初からの考えと変わっておりません。ですから、あえて論点項目にそのことを注意的にでも盛り込むというようなことは、検討の余地はあるのかなと思います。○柏木座長 具体的には今の国際的議論との関連で下條委員はおっしゃったと思うのですが、私の理解もまさにGATSの交渉は念頭には置かなければいけないということです。それを念頭に置きつつ、第1に書いたようなことも検討していくんだという理解だったんですが、そうではなくてそれ以上に何か特定の議論のポイントというのがありますか。

○下條委員 前にも申し上げておりますように、今は外務省中心になって、まさに我が国のリクエストを作成している段階なんです。それで、今年の6月30日までに我が国のリクエストを出す。ということは、ほかの加盟国も我が国に対するリクエストを今、作成しているという状況です。そして、こういったリクエストに対して我が国はどういう評価をするか。それは来年の3月31日までに出すというスケジュールになっているわけです。ですから、そういうスケジュールをすぽっと忘れて、これを議論するというのはちょっと筋違いではないかというふうに思うんです。

○柏木座長 それはスケジュールの問題であって、論点の問題ではないように思いますが。

○下條委員 それは、やはり絡んでくるのではないでしょうか。よその国は、例えばどういう要求をしてくるか。それは論点に絡んでくるわけですね。

○柏木座長 ということは、6月30日を過ぎてみるとそういうことがわかってくる。ということは、それを見ながら「その他」に入れておくということですね。

○下條委員 そうですね。

○玉井委員 むしろそういう外国交渉上、国益を損ねるようなことがあってはならないというのはすべての論点について言えることであって、この上に全部薄く広くかぶさっているので、それだけを特別に取り上げて論点にするのは適当ではないのではないかという気がいたします。

○柏木座長 いずれにしても6月30日に外国の反応を見て、あるいは「その他」に何か付け加えるべきことが出てくるかもしれないという留保と了解してよろしいでしょうか。
 それでは、ここで10分間の休憩を取りたいと思います。32分から再開したいと思いますので、よろしくお願いします。

(休 憩)

(議 事 再 開)

○柏木座長 それでは議事を再開します。
 枠組みにつきまして御議論をいただきましたけれども、枠組みにつきましてそのほか御意見ございますでしょうか。
 なければ、この論点項目案の各項目についてこれで十分かどうか、付け加えるべき点がないかどうか。あるいは、削除すべき点がないかどうかを検討したいと思います。1の(1)はいかがでしょうか。1の(1)について御意見をいただきたいと思います。

○加藤委員 これからは、それぞれの項目の中身についての議論になっていくのだと思いますが、各個別の項目ごとの議論となりますと、少し論点が違ってくる私なりの意見がございますので、冒頭に4点ほど、ユーザーサイドの意見として申し上げたいと思います。
 まず第1点は、これまでのユーザーのヒアリング等々からしますと、大型プロジェクトへの対応とか、ワンストップサービスというニーズがあることは事実でございましょうし、日本経済の空洞化とか、あるいは国際化とかの観点からも、そういうニーズに対して何らかの対応をすることが必要だろう。環境整備をすることは必要なのではないか。と考えます。そういう観点でいいますと、この問題には積極的に、前向きに具体的な検討を進めるべきだということをまず指摘したいと思います。
 第2点目は、大ローファーム、あるいは巨大会計事務所に席巻されるとの危惧が出されましたが、これにつきましてはユーザーの視点が欠けているのではないか。何を申し上げたいかといいますと、ユーザーはユーザーで弁護士事務所、外弁あるいは外国の弁護士を選択するに当たってはやはり賢い選択をしているのでして、弁護士サイドでいろいろ配慮をしていただくのはもちろんありがたいことですが、ユーザーサイドが賢い選択をしているんだということを是非御理解いただきたいと思います。これは大企業はもちろんでございますけれども、我々中小企業でありましても弁護士当を選択するについて、どういう弁護士か、どういう弁護士事務所であるのかということを知った上で選択をするのであって、ともかく何でもかんでも大きければよいとか、あるいは外国系のものを選択するというようなことは決してない。そういう実態であることを是非お考えいただきたいと思います。
 我々特に日本の中小企業の場合ですと、日本人の物の考え方を理解している弁護士を選択するのは当然のこととして大いにあり得るのですから、余り過大な危惧を持つことはいかがかということでございます。ただし、これは情報の公開ということが大前提になるわけでして、チョイスをするための情報がどう公開されるのかということが大きな論点の一つになるのではないかと思います。
 3点目は、いずれにしましても規制緩和等によりまして選択肢が増えるという観点からは、ユーザーとしまして、基本的に要件緩和の方向に全面的に賛成であるということを申し上げておきたいと思います。
 4点目は、1つだけ懸念の部分でございます。今、選択肢が増えるということには賛成だと申し上げましたが、大ローファーム等の席巻の危惧が現実の問題になって、結果として選択肢が狭められてしまうというリスクが全くないとは言えないだろうと思います。どうそのリスクを回避していくかということについて、私自身は十分な意見は持っておりませんけれども、配慮をしながら議論を進めていかなければいけないのではないかと考えております。以上でございます。

○柏木座長 ありがとうございました。これからの論点項目を考えるに当たってのベースになるお考えをユーザーの立場から表明していただいたわけです。それでは、次に進んでよろしゅうございますでしょうか。
 では、まず1の(1)の「弁護士と外国法事務弁護士(以下「外弁」という。)の提携・協働の推進の必要性」ということです。これはかなり抽象的なことが書かれているので、それほどの問題はないかと思いますが、いかがでございましょうか。

○下條委員 これはこれでいいと思うんですけれども、ヒアリングの結果も入れてもう少し詳しくするというか、細かくするというか、例えば長島弁護士の御説明にもあったと思うんですけれども、渉外的案件だけではなくて、純粋国内的な事件も増えているという発言があったと思うんです。つまり、最近商法等が変わりまして、会社分割ができるとか、株式移転ができるとか、いろいろな新しい制度ができたために純粋に国内事件でありながら大規模なケースも増えている。つまり、日本の企業がそういうふうにリストラクチュアリングといいますか、そういうことをするということに絡んで、やはり大規模な純粋国内マターの案件が増えているということもあるのではなかろうかということです。

○齊藤参事官 長島先生のヒアリングで、総合的法律サービスというような用語もキーワードのようにしておっしゃられていたような気がするんです。渉外性があるなしで国際的な弁護士の需要があるわけではなくて、むしろ総合的なサービスの需要にこたえていくという観点の御指摘だったようにも思いますので、需要とか供給とかということの中身として、渉外性という切り口よりももう少し広目にとらえておいた方がいいのかなという気はします。

○柏木座長 渉外の範囲の問題ですね。純粋に全くの国内問題であればこれは問題にならないわけで、例えばM&Aなどというのはアメリカの手法を利用するというようなことで、渉外性がないとは言えないわけですね。そういうことで、渉外をかなり広く理解するということでよろしいのかなという気がいたしますが、いかがでしょうか。

○波江野委員 その点ですと、この丸の1番目にある「社会・経済活動の国際化、グローバル化の進展」の項目では、先ほど下條委員のおっしゃった商法の関係でも、日本国商法の中にアメリカの考え方などを取り入れた制度が最近は入ってきています。今、柏木座長がおっしゃったように、日本で何かをやろうとしたときにも、商法そのものの考えもあるし、場合によっては、例えば金融的な問題の場合にはアメリカ的な考え方を取り入れるということもあります。従って、この2つ目、3つ目の丸は各論として書くとしても、私の感覚ではこれは1番目に今のようなことが包含されているのではないかという感じがいたします。社会、経済活動だけではなく法的な問題についてもグローバル化が進んでいるという問題意識で考えればよろしいのではないかと思います。

○柏木座長 わかりました。これは限定する趣旨ではなくて、かなり広く渉外的とかグローバル化、国際化を考えるということで対処できるという整理でよろしゅうございますでしょうか。
 それでは、次の2番の「現行制度の問題点」に移ります。これは3つの論点を掲げてありますけれども、これについてはいかがでしょうか。特に異論はございませんか。
 それでは、3番目の「上記問題点解消のための具体的方策」ということで(1)の「特定共同事業制度の要件緩和策」、「弁護士についての職務経験要件の緩和」、「目的の制限の各要件の緩和又は撤廃」、「その他」ということになっていますけれども、いかがでございましょうか。特にこの論点についても付け加えたり、あるいは外したりする必要はないと考えてよろしゅうございますか。
 それでは、(2)の「共同事業の自由化」ということで、これは要件を完全に撤廃してしまうということだろうと思います。これも、それがいいかどうかは御議論いただくわけですが、論点としてはいいのではないかと思いますが、いかがですか。

○玉井委員 順序の問題なんですけれども、もし「共同事業の自由化」がよろしいということであれば、(1)の論点はそれで議論する必要がなくなるという関係ではないかと思うんですが。

○柏木座長 むしろ(1)を議論した結果、共同事業を自由化することがいいということになれば(2)を議論する必要もないということになるかなという気もしますけれども。

○玉井委員 お任せいたします。

○柏木座長 では、次に4にいきまして「要件緩和等についての検討」ということで「(1)資格法制上の考察」は「共同事業の規制根拠について」、「特定共同事業制度における目的の制限について」、「弁護士と外弁との間における収益の分配について」、「外弁による日本法の取扱いまたは日本法に関する法律事務への不当な関与のおそれについて」という4つの細かい論点が列挙されておりますけれども、ここら辺についてはいかがでしょうか。

○久保利委員 この点ですけれども、3と4との関係が論点としてどうもよくわからないんです。要するに、3の方策を考えていく上で資格法制上の要件をどう緩和していくか。3の方がある種の結論めいていて、それを検討していくテーマといいますか、区分けしていく考え方というのが4なのかなと思ったのです。
 だとすると、むしろ3と4というのはセットで考えていかないと、3を議論するときに多分4のような考え方を入れて考えましょうということなのかなと。3と4のまとめ方について3、4というふうにいくのではなくて、もう少し違う切り分けがあるのか。あるいは、4を先にやってこれらを議論した結果、3の具体的方策がこういうふうになると3、4を逆転させるのか。よくわからないんでけれども、どうも整理の落ち着き具合が3と4では悪いなという感じがするんですが、どうでしようか。

○乗越委員 私も同感でございます。恐らく、例えば「共同事業の自由化」という3の(2)を議論するに当たって、共同事業を自由化すべきでしょうかという質問を皆さんに投げ掛けても議論のしようがないので、例えば資格法制上どういう問題があるからこうしなければいけないというふうに議論すると思うので、3と4を一緒に議論するというのが合理的なのではないかという気がいたします。

○齊藤参事官 3は言ってみれば方向性とか、ある程度決断についてどういう選択肢があるかということを見据えるという趣旨なんです。そのことを議論する具体的な中身として、4の要件緩和等についての検討ということがあります。ですから、ここはオーバーラップするといいますか、関連づけて御議論いただくという場面かと思います。それで、論点の整理の仕方として、ではどういうふうにしたらいいのかということは方法論としてはもっと工夫の余地があったのかもしれませんが、趣旨は大体乗越委員がおっしゃったようなことなんだろうと思います。

○柏木座長 確かに、議論の進め方が難しいですね。お互いにオーバーラップしている。あるいは目的手段というのか、そういう関係にありますので、確かに3を議論して、それから4というステップ・バイ・ステップの議論の仕方にはならないんだろうと思います。
 ただ、論点項目としてはこれでいいんだろうと思いますけれども、議論の進め方については考慮の余地があるというのは確かにおっしゃるとおりだと思います。これはまた事務局と打ち合わせながら、論点をどう議論するかというのはこれから組み立てるということですか。

○齊藤参事官 そうですね。そういう準備もこの後させていただいて、次回の検討会の前にある程度議論の要領の案をお示しするというような作業を入れたいと思います。

○孝橋委員 現行法の枠組みについて、私どもは必ずしも理解が十分になっていないものですから、例えば4番の1の「共同事業の規制根拠について」などというのは、先ほどから話が出ているようにもっと前の段階で、現行制度の基になっている基本的な考え方というのを頭に入れるということは早い段階で、この4の(1)よりももう少し前の段階でやっていただいた方がよいのではないかと思います。
 ですから3、4が一緒になるとした場合に早い段階で現行制度について再認識する、これは私どもの委員が自分でやるべきことなのかもしれないんですけれども、ただ、この辺りを再確認してから次に進むというのはいかがでしょうか。

○柏木座長 それも含めまして、事務局の方で考えていただくということでよろしゅうございますか。

○齊藤参事官 それと、共同事業の規制根拠といった現行の基本的な御理解というのは、これは必要に応じてレクにも伺いますし、この検討会の場で一応法務省からプレゼンテーションは既にしていただいていますし、あとは議論する上での共通認識のようなものを形成していただくという意味では必要に応じて御説明にも伺いますし、あるいはそういった規制根拠の整理のようなものを目に見えるような形でお示しするとか、そういったことも工夫したいと思います。

○柏木座長 では、論点項目としては、3はとりあえずこれでよろしいのではないかと思いますけれども、議論の仕方については今、御議論がありましたように事務局の方で4番との関連を考えながらどういう議論の進め方をするかということを考えていただくということでよろしゅうございますでしょうか。
 それでは、その次の4の「要件緩和等についての検討」の(1)が今、終わりました。(1)はほかに何か御意見ございませんか。
 では、(2)の「要件緩和等に伴う問題点・弊害」で、「弁護士の独立性への影響」、「弁護士法人と外弁の共同事業について」、「弁護士と外弁との共同事業事務所の在り方(事務所名称その他)について」、それから「指導・監督の強化の要否」、「その他」と出ておりますけれども、この点についてはいかがでございましょうか。特に御意見ございませんか。
 では、先ほど枠組みで少し議論をしましたけれども、特定共同事業との絡みでの「外弁による弁護士の雇用禁止との関係について」の論点ですが、「雇用禁止の規制根拠について」、「雇用禁止(現行)の問題点」、それから「雇用禁止の規制緩和の在り方との観点について」、「規制の在り方」、「規制緩和の要否ないし方向性」の問題ですけれども、これはいかがでしょうか。

○久保利委員 これはどこに入るのかわからないんですが、要するに国際的に雇用というのがどういうふうに現状はなっていて、国際的な議論も踏まえながらという意見書もあるので、議論をする上ではそういうデータをお示しいただいた方がわかりやすいのかなという感じがするので、その論点という意味ではないのかもしれませんが、資料等の作成に当たってその辺りを根拠のところ、規制根拠で、諸外国の現状とそこでの議論の現状がもしわかりましたら御説明いただければありがたいと思います。

○齊藤参事官 それは、法務省とも協力しまして準備したいと考えております。

○道垣内委員 (3)のところの「との関係について」というのは共同経営、共同事業との関係であるというのはわかりますが、3つ目の丸の「との関係について」は何と何との関係なのかよくわかりません。これは「規制の緩和の在り方」でいいんじゃないかと思うんですけれども、何か意味があるのでしょうか。

○齊藤参事官 一応こちらで考えたのは、共同事業の在り方についてこれから制度設計をしていくときにどういう中身になるかはともかくとしまして、それが雇用禁止の規制緩和の在り方と整合性を保っていかなければいけないんだというところを念頭に置いて、ここでも関係性のことを念頭に置いて御議論いただきたいというニュアンスを出したかったんですが。

○柏木座長 あくまでもインディペンデントの問題ではなくて、共同事業の在り方「との関係で」という趣旨ですね。

○齊藤参事官 (3)の大くくりで「関係について」とありますから、ちょっとくどいのかもしれませんが。

○柏木座長 よろしゅうございますか。それでは、同じように共同事業との絡みでの「弁護士と外国弁護士との提携・協働について」という論点でございますけれども、これはいかがでしょうか。
 では、そういう限定付きでこの論点もOKと了解いたします。
 「その他」のところは議論しようがないんですけれども。

○久保利委員 1点確認しておきたいのは、これは意見書には全く出ていない表現だということですね。(3)の方の雇用の問題は将来的には考えていくということを書いてありましたけれども、外国弁護士と日本弁護士が直接提携・協働する問題については意見書では触れられていないということだけは確認をいただきたいと思います。

○齊藤参事官 その点は弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働の在り方という表現になっておりまして、その読みようにもよるというところは御留意いただきたいと思います。その辺の形式的なことにそんなにこだわる必要はないと思うんですけれども。

○久保利委員 そういう御理解だと承りました。

○柏木座長 それでは、今まで御意見をお伺いしたところでは、枠組みとしましては先ほど強調いたしましたけれども、4の(3)と(4)の外弁による弁護士の雇用禁止、それから外国弁護士との提携・協働について、これはあくまでも共同事業との絡みであるという前提を置くということ。それから、GATSとの関係を常に念頭に置きながら議論をする。また、6月30日の各国のリクエスト、プロポーザルの提出の結果を見ながら、あるいは第2の「その他」のところに新しい検討項目が加えられることがあり得るべしという理解で、この事務局案の論点項目はこれでよろしいということだと思いますが、乗越委員どうぞ。

○乗越委員 申し訳ございません。今ちょっと座長のおっしゃったことで若干気になったんですが、この3と4について、あくまでも共同事業との関係とおっしゃったという趣旨でございます。共同事業との関係を外れた弁護士と外国弁護士の提携・協働についての議論というのは、つまりどういう点は話し合わないというふうに座長はお考えなわけでしょうか。

○柏木座長 これを、特定共同事業を離れて独立の問題として外国の弁護士とのパートナーシップを認めるべきかどうかということでは議論しないという趣旨です。

○乗越委員 それはちょっと自己矛盾ではないでしょうか。特定共同事業というのは今、外弁と日本の弁護士との間の事業ですから、4を入れておいて外弁以外のことは話さないということをおっしゃっているのであれば、ちょっと矛盾しているような気がするんです。私は、特定共同事業という今の制度があって、それを今後どういうふうに改善していくかということの一つのオプションとして特定共同事業というのを解消してしまう。そういう制度ではなくて別の制度に置き換えるということも踏まえて考えるという趣旨で、ここに4に入っているんだと理解しておりますが。

○齊藤参事官 事務局のイメージとしては、弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働の在り方、この基本的なテーマを検討していく一環として幾つかの規制緩和の段階があると思うんです。それで、現行の特定共同事業の枠組みの中での要件緩和、それからその枠組みを超えて外国法事務弁護士との間の共同事業の緩和、自由化、その更なる規制緩和の段階としては外国弁護士一般との提携・協働の在り方、そういう提携・協働の在り方を規制緩和によってより広範に実現していくという方向性の一環が関連性ということで、留意しながら議論をしていく必要があるのではないかと、そこを考えているんですが。

○乗越委員 それは私も同じ趣旨でして、まさに弁護士と外国法事務弁護士等というところに私は昔から重きを置いているんですけれども、別にいわゆる外弁、狭い意味での外弁との関係についてだけ議論してほかは議論しないということであれば、それについては非常に大きな留保があります。つまり、今、参事官のおっしゃったように、その程度の規制をどういうふうにしていくかとか、緩和していくのかということの程度の問題として今おっしゃったように3つの大きな枠組みがあって、その3つ目の枠組みを議論しないという趣旨でさっき座長がおっしゃったのであれば、それはちょっと。

○齊藤参事官 そういう趣旨ではないんだと思います。当然議論は尽くしていただいて結構だという前提です。ただ、一足飛びに外国弁護士一般との提携・協働の在り方に集中して検討するという関係性ではないんだろうと思うんです。

○久保利委員 その点についてですが、要するに外弁というのは外国法事務弁護士という資格ですね。その意味で言うと、日本国が認めた資格者というのが外国法事務弁護士であり、それとの提携・協働云々はどういうふうにしていくかというのを日本法で今、考えている。これを規制緩和していきましょうということだと思います。
 ところが、4番の話は、外国弁護士というのは外弁のことを言っているわけではなくて日本国が何ら関与できない外国の弁護士と何を日本国でさせますかという話になるので、日本国がコントロールもしていないような外国の弁護士と直ちに日本国弁護士がこうする、ああするというところまで規制緩和をしなさというふうに意見書が書いてあるとは私は読み切れない。したがって、もしそういうことも含めて考えるとすれば、今の外国法事務弁護士という日本国が認めている資格者との間での特定共同というのはどこまで認めてもいいんですかということを考える上で、全く資格を認めてもいない外国弁護士との共同の問題を考えてみますかと。それを考えることによって、こちらの枠の広さとか広がりというものが理解されるのではないですかという意味で、座長は(4)としてこれも議論をしましょうというふうにおっしゃったんだろう。
 そのことが外弁に対して、外弁制度をやめるというならば話は別ですけれども、まさかそんなところまで考えていないはずですから、私としてはやはり外弁との特定共同の話をどこまで広げていくのかという議論をする上で一つのある種の逆モデルというか、規制型ということで(4)というのも議論をしましょう。その結果として、いや書くのがいい、全部やめてしまえという議論はあるかもしれないけれども、それはしかし意見書の話とは全然違います。意見書の巻き直しをやるわけではないというのが検討会の役目だとすれば、結論はそうなったとしても、この検討会としてはそれはちょっと出過ぎたことになるのかもしれない。
 しかし、そのことを議論することが無駄だとは私も思いませんので、そういう議論をする中で特定共同の在り方について更に実りのある成果が得られるのではないかというふうに座長はお考えになって、そういう趣旨でのおっしゃり方だったのではないか。だから、議論はもちろんするのだろうと思うし、それは大いに結構だと思っています。

○柏木座長 私の趣旨は、例えば特定共同事業のこういう検討をしたときに、幾ら緩和してもどうにもならない問題があるんだ、それだったらいっそのこと、例えばアメリカにいるアメリカのローファームと直接パートナーシップを結べるようにしてみたらその問題は解消するのかどうかというような限度で議論をするのは全くこれは適当なことだろうと思うんですけれども、今この場でアメリカのローファームと直接パートナーシップを日本の弁護士が結べるかどうか、これを独立の問題として議論をするのは、久保利委員のようにちょっと時期尚早か、時期尚早というよりも、この意見書からずれるのかなという気がしていたわけです。
 ですから、そういう意味であくまでも共同事業との絡み、共同事業がうまくいかないんだったら、直接の提携も検討してみて、それを比較考量してみようという程度と了解していたわけですけれども、いかがですか。

○乗越委員 その件については、審議会の意見書の解釈の問題について、私は審議会の意見書がそういう外国弁護士との提携・協働についてスコープに入れていないというふうには読めません。
 久保利委員のおっしゃった点で1つ私の方から申し上げたいのは、確かに外弁制度というものは今あります。それで、外弁と日本の弁護士との間の共同の在り方というものについて議論をしていくのはそうなんですけれども、久保利委員がおっしゃったように外弁というのは日本で得られた資格であるというのもそのとおりです。
 ただ、その資格の問題と、弁護士と、それからほかの資格を持っている人の間の協働の作業をするという問題というのはちょっと同じ問題ではないんじゃないかという気が私はしております。ですから、その点はこの議論の過程でもう少し私の御意見を伝えようと思ったんですけれども、そこのところを一緒にして外弁は存続する。それは私は個人的にはいいと思うんですけれども、それだから提携・協働についても外弁との間だけで考えるというのはちょっと問題が違うんじゃないかという気がしております。

○波江野委員 この辺の話はかなり専門的な、技術的な話なのかもしれませんが、私自身、民間企業の立場として、先ほど加藤さんのおっしゃったユーザーの視点で検討をする。即ち、この特定共同事業について今回の意見書に基づいて検討をし、その規制緩和をすることは重要だと考えます。これはユーザーの希望としての規制緩和の問題もあるだろうと思います。
 それから、(4)の外国弁護士との直接の提携・協働ということになると、ある面で外圧みたいなものでそういう要求があるのかとも思われますが、今、乗越委員のおっしゃったような観点で素直に考えると、外国の弁護士の方たちは外国法事務弁護士になることについては、原資格国で資格を持っていて実務経験があれば日本の日弁連に登録をして資格を取れるわけですから、何らそれ以上の資格要件ではないはずだと理解しています。日本の国内で活動をしたいならば、外国法事務弁護士になればいいのではないかと思われますが、それはしないで原資格国の方だけで日本の外弁にならずに協働・提携をしなければならないというのは何か特別な要請というか、ニーズがあるのでしょうか。

○乗越委員 それは恐らく私がお答えしなければならないのだと思いますが。

○柏木座長 中身の議論に入ってきてしまうので、今日は論点整理の論点としましてはその議論の範囲の広い狭いで意見の食い違いがありますけれども、外国の弁護士と日本の弁護士との提携・協働をインディペンデントな議題として取り上げるかどうかということだろうと思います。私の理解は、今までの議論はあくまでも特定共同事業との関係でのみ取り上げるというのが議論の流れだったように思ったんですけれども、今、乗越委員からちょっと別の意見が出されましたので、それについてどうぞ。

○下川委員 WTOの方の交渉はまだ本格的に始まっていないわけですけれども、日米、日EC等とのバイのいろいろな議論の中ではどういう協力、それから国際化があり得るのかという議論があって、その過程の中で特定共同事業の自由化だけではなくて、むしろそれでは不十分であって弁護士と外弁ないしは弁護士と外国の弁護士一般との提携・協働こそが重要なんだという議論がなされているのも事実であります。
 したがって、確かに司法制度改革審議会の議論の方向性からいきますと、やはり特定共同事業という枠組みの中でまず自由化はどうあるべきかということを議論するのが先決だろうとは思いますけれども、それとの関係でまさに国際的な議論においてはもっと幅広い分野での提携・協働という議論があるのも事実なので、これは密接に関連している事項ではありますので、それについてもそれなりの議論を、まさにどういうリクエストが出てくるかというようなことも踏まえてやっていく必要があるのではないかと思います。
 ただ、議題の項目の立て方としてはこういう形でまさによろしいのではないかと思いますし、議論の過程で場合によっては外国法が、ではなぜ特定共同事業ではだめだと考えているのかということを特定共同事業を議論する中で議論していけば、実質的に(4)にその点もある程度余地が出てくるかもしれませんので、具体的な流れといいますか、立て方としてはこういうことでよろしいのではないでしょうか。

○柏木座長 ありがとうございます。私も下川委員の意見に賛成で、まさに特定共同事業をやったときにどうしてもうまくいかない問題がある。それで、外国弁護士と直接の提携をすればもっとクライアントにいいサービスが提供できるじゃないかという絡みで議論は十分できるんじゃないかという具合に理解していますけれども、よろしゅうございますでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、今のような了解で一応事務局の用意いたしました論点項目は。

○下川委員 もう一点だけよろしゅうございますか。最後に「その他」のところで、これはまた連携・提携の話とはちょっと違ってくるんですが、国際的な議論の動向ということで申し上げますと共同事業そのものではないんですけれども、外弁の第三国法の扱いの問題とか、それから外弁の職務経験要件の話というようなこともいろいろな交渉の場で提起されておりまして、場合によってはそういう問題についてもこの場で議論してもらえるのではないかという期待も私どもは過去にございまして、直接提携・連携という話に入ってくるのか、入ってこないのか。特定共同事業そのものの話ではないと思いますけれども、これも先ほどの国際的議論の動向も踏まえということで、必要に応じて取り上げる可能性も残しておいていただければと思います。議論の立て方を変えてくださいということではございませんけれども。

○齊藤参事官 それは留意したいと思います。

○柏木座長 そういうことで、第三国法の問題、職務経験の要件の問題は「その他」で扱う可能性を留保しつつ、この論点項目案はひと通りこれでよろしいだろうということだと了解いたします。
 それでは、どうもありがとうございました。

○波江野委員 1つ御質問をさせていただきたいのですが、よろしいですか。弁護士と外国法事務弁護士との提携・協働の論点項目はこれで良いわけですが、この国際化検討会全体としてのまとまりのときには、これはどういう位置づけになるんでしょうか。各論点毎に、その都度で出ていくのか、それとも検討会が終わったときに最後の意見書か報告書で、その1、2、3の2番目として出てくるのか。でき上がりのフォーマットというのはどのようなイメージでしょうか。

○齊藤参事官 今般の司法制度改革推進本部事務局の設けている検討会では、当然には意見書とか何らかの一定の検討を集約したようなものを必ず作成するということは予定していないわけです。
 ただし、ここで御議論いただいたことが最終的には一定の法改正に結び付いたり、あるいはその他の措置に結び付くと考えていますので、そこのところの取りまとめというのは事務局の作業を最終的に委員の皆様にも御了解いただくというような場面がいずれはくると思いますので、そういうところで議論した成果と、立案等の措置ということの関係性を明らかにしたいと考えているわけです。
 それで、具体的にではどういう手法になるのか、どういう形になるのかということを今はそんなにつまびらかには説明し切れませんので、そこは御容赦いただきたいと思います。

○波江野委員 当初から出ているほかの論点が幾つかありましたが、それについてもこういうものができるのですか。場合によっては、取り纏めをせずに、言いっ放しで終わりということになると考えてよろしいのですか。

○齊藤参事官 ほかの論点、例えば法整備支援でありますとか弁護士の国際化、そういった点についてもとりあえず外弁制度についての議論を終えた後、また必要に応じて論点を整理したり、十分に御議論を尽くしていただくということは当然予定しているわけです。

○柏木座長 それでは、提示いたしました事務局案につきましては了解事項は幾つかございますけれども、異論、追加すべき論点はなかったように思いますので、この議論は了解事項を前提としてこの事務局案で進めていきたいと思います。
 それでは、次回以降の予定につきまして事務局から御説明をお願いします。

○齊藤参事官 まず、次回は6月13日に予定してございますので、次回以降本格的な議論を進めさせていただきたいと思います。
 それから、ひと通りの議論を何とか7月中までに終えたいと考えております。そうしますと、当初予定されていた検討会が6月13日、7月12日と残り2回しかありませんので、7月の下旬に臨時で検討会を予定させていただければと思います。それで、委員の皆様から大体スケジュールをお伺いした結果、最も欠席者の少ない、委員の出席の確保できる日取りとしましては7月25日の午後ということになりましたので、ここに臨時で検討会を入れさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 それから、9月以降の日程も本日のスケジュール表のとおりに決めさせていただきましたので、よろしくお願いいたします。

○柏木座長 それでは、これで第6回国際化検討会を閉会させていただきます。お忙しいところをどうもありがとうございました。