事務局から、
- 今後の議論の進め方として、年内の検討会で、大きな骨組みに関するものと思われる論点についてひととおり議論し、年明けころからは、それまでの議論を踏まえて、細かな論点についてより精緻な検討に入り、又はそれまでに提起された新たな論点について議論する
- 公的弁護制度と公的付添人制度との検討順序として、公的付添人制度については、少年を含めた被疑者に対する公的弁護制度の制度内容の検討が前提となるものと考えられ、また、場合により公的弁護制度の議論に必要な範囲で少年審判における付添人制度の種々の問題に触れられる場合もあろうが、少年事件の特殊性を考慮すると、公的付添人制度はそれ自体として集中的に議論するのが適当であると考える
旨の事務局の考え方を説明した上で、資料2-1記載の当面の論点及びスケジュールの案について説明を行った。
この点に関する協議等の概要は以下のとおり(○:委員、□:座長、●:事務局。以下同じ。)。
○ 司法制度改革審議会意見書は、特異重大事件についての充実・迅速化策を強調しており、弁護人の受任の希望者が得にくい事件や弁護活動に危険が伴う案件についてのセーフティーネットについて検討する必要がある。これを第3回の弁護士の確保方策の中の小柱の一つという形で議論するのでは若干軽いのではないか。連日的開廷による充実かつ集中した審理を実現するための弁護体制の整備という項目の検討時間の予定枠の拡大や再配分を検討願いたい。
● 本検討会で検討すべき論点及びその検討のスケジュールを見ると、裁判の充実・迅速化に特定して複数回開催することはやや困難かと現在は考えているが、各検討会で検討される論点や制度設計の議論の必要に応じ、刑事裁判の充実・迅速化の観点からの公的弁護制度の必要性について議論が及ぶこともあり得るものと考えているし、第5回の運営主体のところで、それまでの議論を踏まえてまた議論されることもあると考えている。
○ 意見書によると、被疑者・被告人の弁護人の援助を受ける権利を実効的に担保するというのが大前提であり、まずその観点から公的弁護制度をどういうものにすべきか考えるべきである。その議論が終わった段階で、刑事裁判の充実・迅速化の観点からの公的弁護制度の問題について議論すべきではないか。
○ 現行国選制度は、報酬が安いということを含めて考えれば、基本的には一種のボランティア弁護で、非専門性であることは別に問題にせず、ほかに民事もやり、顧問もやり、いろいろな仕事をしながら、合間をみて刑事弁護をやる。弁護活動の中身をいうのではないが、時間的配分という面からいうと、弁護士活動の時間の中のごく一部を割いて刑事弁護をやっている片手間弁護というのが基本的な構造だと思う。公的弁護もそういう実質を前提にしたものとして考えていくのか、そうではなくて、弁護人の選任・解任は裁判所がやるということだけは確定しているが、あとは全部ゼロから考えるという発想なのか、基本的な発想の在り方を聴きたい。
□ 審議会の意見ではそこはオープンになっており、取り組み方としては、現行の国選弁護の実態をご破算にして体制を考えるということもあれば、現行の国選弁護の中身を充実していくという対応の仕方も当然あると思うので、そこのところは、オープンに議論いただきたい。
○ 第3回で予定されているのは、極端な言い方をすれば、量的な点を専ら問題にしているように思うが、先ほど指摘されたのは、特異重大事件での対応である。公的弁護の量的な体制や範囲についても大変な議論を要する問題であるが、それにとどまらず、これまでの国選弁護の運用の継続で果たしていいのかどうかという重大な指摘であり、第4回の弁護人の選任の問題には、単に弁護人の選任ということにとどまらず、もっと付随する本質的な問題が多々あるのではないか。第3回や第4回の相互の関連の中で、こうした指摘についても十分検討すべきではないかと思う。
□ 当面の論点・スケジュール案も、各回にこういうものを取り上げてそれで終わりという趣旨ではなく、ひととおり順序を整理して議論した後、もう一度全体を見直してみるという構成になっていると思う。第3回の充実かつ集中した審理を実現するための弁護体制の整備というところには、当然量の問題だけでなく、少数であっても特異重大事件を受任し得る弁護士を確保するということも当然含まれているだろうと思う。第4回の私選弁護と公的弁護の関係というところもこれに密接に関係してくるし、第5回の運営体制とはまさに切り離せない関係にある。順序を追って議論しながら、第4回でも第5回でも当然議論し、全体としてもう一回見直してみる機会がやってくるのではないか。第3回についても、趣旨を踏まえて、実質的な議論ができるような時間配分を検討したい。
以上の協議等を踏まえ、当面、資料2-1の形で検討を行うこととなった。