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公的弁護制度検討会(第6回)議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり

1 日時
平成14年12月24日(火)13:30~16:53

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委 員) 井上正仁座長、池田修、浦功、大出良知、清原慶子、酒巻匡、髙井康行、土屋美明、平良木登規男、廣畑史朗、本田守弘(敬称略)
(説明者) 甲斐行夫(法務省刑事局参事官)
岡健太郎(最高裁判所事務総局家庭局第二課長)
羽倉佐知子(日本弁護士連合会子どもの権利委員会副委員長)
(事務局) 山崎潮事務局長、大野恒太郎事務局次長、松川忠晴事務局次長、落合義和参事官

4 議題
公的付添人制度について

5 配布資料
資料6-1 第6回公的弁護制度検討会における論点(案)
資料6-2 犯罪少年の身柄事件の流れの例(公訴提起に至る場合)
資料6-3 少年鑑別所における収容鑑別対象少年の鑑別の流れ
資料6-4 公的弁護制度検討会開催予定

【最高裁判所提出資料】
資料・最高裁6-1 少年審判手続の特徴及びその流れ
資料・最高裁6-2 少年審判手続における家庭裁判所調査官の職務について
資料・最高裁6-3-1 少年保護事件非行別新受人員(平成13年)
資料・最高裁6-3-2 少年保護事件少年鑑別所送致人員歴年比較
資料・最高裁6-3-3 一般保護事件受理時身柄付き人員歴年比較
資料・最高裁6-3-4 一般保護事件非行別終局処分別表(平成13年)
資料・最高裁6-3-5 一般保護事件非行別終局処分別表(平成13年)(うち観護措置あり)
資料・最高裁6-4-1 一般保護事件付添人選任人員歴年比較
資料・最高裁6-4-2 一般保護事件における非行別付添人選任人員(平成13年)
資料・最高裁6-4-3 一般保護事件のうち観護措置をとられた事件における非行別付添人選任人員(平成13年)
資料・最高裁6-4-4 一般保護事件における終局決定別付添人選任人員(平成13年)
資料・最高裁6-5-1 付添人選任に関する通知及び照会
資料・最高裁6-5-2 付添人選任に関する回答書
資料・最高裁6-5-3 国選付添人選任書
資料・最高裁6-6 付添人に関する規定

【法務省提出資料】
資料・法務省6-1 少年法改正の経緯について
資料・法務省6-2 少年法等の一部を改正する法律・新旧対照表(抜粋)
資料・法務省6-3 少年法の整備に関する諮問第43号に係る法制審議会少年法部会における審議経過について

【日本弁護士連合会提出資料】
資料・日弁連6-1 公的付添人制度について
資料・日弁連6-2 ある少年事件の審判手続における弁護士の付添人活動
資料・日弁連6-3 少年交通冤罪事件の附添人活動
資料・日弁連6-4 少年に弁護士付添人が選任される過程
資料・日弁連6-5 逮捕総数に対する当番弁護士受付事件割合に関する少年と成人の対比
資料・日弁連6-6 少年保護事件付添扶助の実績
資料・日弁連6-7 少年保護事件付添扶助に関する取扱要綱
資料・日弁連6-8 少年保護事件付添扶助実施要領
資料・日弁連6-9 法務総合研究所研究部報告(抜粋)

6 議事
(1) 関係機関からの説明

 公的付添人制度について議論するに先立ち、関係機関として出席している最高裁判所、法務省及び日本弁護士連合会から、現行の少年審判手続等に関し説明を受けることとされた。

ア 最高裁からの説明

 最高裁から、資料・最高裁6-1から6-6に基づき、現行の少年審判制度及び付添人制度の概要並びに統計資料について説明がなされた。
 この点に関する質疑等の概要は以下のとおり(○:委員、▲:最高裁。以下同じ。)。

○ 少年審判手続への検察官の関与は、具体的にどういう場合に認められているか。

▲ 検察官関与は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪及び死刑又は無期若しくは短期2年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪という比較的重大な罪名の事件について、非行事実に争いがあるという場合に考えられるが、具体的にどういうケースで検察官の関与が必要かについては、ケースバイケースで判断されている。

○ 最近では、家裁調査官が、少年・保護者との面接調査や雇用先・学校関係者への調査のほか、被害者に関する調査を行う傾向にあるとの説明であったが、どういう場合に被害者に関する調査が行われるのか。

▲ 従前、調査のための情報を少年側から収集するにとどまっていたきらいがあるが、非行や少年の問題性の正確な把握のためには、被害者がどういう状態にあるのか、どういう気持ちを持っているのか、また、事件の経過に関する被害者側の認識はどうかなどをも踏まえることが必要ではないかという問題意識をもって、重大な事件を中心に被害者の調査に取り組んでいると聞いている。

○ 少年鑑別所の鑑別結果の報告と、家裁調査官の報告との違いは何か。

▲ 基本的に、少年鑑別所では心身の鑑別を行っており、心身の状況面を中心として鑑別所内での様子が鑑別結果通知書の主な内容になっている。

イ 法務省からの説明

 法務省から、資料・法務省6-1から6-3に基づき、少年法改正の際の付添人制度をめぐる議論の状況について説明がなされた。
 この点に関する質疑等の概要は以下のとおり(□:座長、◆:法務省。以下同じ。)。

○ 検察官関与事件について弁護士国選付添人を付けることの立法趣旨について詳しく説明願いたい。また、法制審議会の要綱骨子における検察官関与事件の範囲は、議員立法による改正法より広かったと承知しており、法制審議会の要綱骨子における検察官関与事件及び国選付添人を付し得る事件の範囲について説明願いたい。

◆ 基本的な考えとしては、検察官を付けているから弁護士付添人が必要だという発想というよりも、検察官及び弁護士付添人がいる場で事実認定をする方が適当だという整理であったと思う。また、内閣提出法案は法制審議会少年法部会で採択された要綱骨子に基づくもので、検察官関与事件の範囲が死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪の少年保護事件となっており、窃盗や業務上過失致死なども一応枠の中に入り、その上で必要なものにだけ検察官が関与するという考えでつくられていたが、それについて、国会において種々の議論があり、そこまでの必要はないのではないかとの議論もあり、最終的には現行法のようになったものである。

□ 非行事実を認定するための審判の手続に検察官が関与するとされ、それとの対応で弁護士である国選付添人を付けるということであるとすると、両者に期待されているのは、主に非行事実の認定について審判に協力するということか。

◆ そのとおりであり、検察官については、非行事実の認定のためだけに関与し、要保護性のみに関する審理になれば退席するとされている。もっとも、国選付添人については、要保護性のみに関する部分についても付添人として活動できるものとされている。

ウ 日弁連からの説明

 日弁連から、資料・日弁連6-1から6-9に基づき、少年に関する当番弁護士制度及び扶助制度について説明がなされた。
 この点に関する質疑等の概要は以下のとおり(△:日弁連。以下同じ。)。

○ 福岡で全件付添制度を設けているとのことであるが、ほかにそのような制度を設けている単位会はあるか。

△ 福岡では対象事件に制限を設けていないが、和歌山で、一部の事件に限り制度を導入している。また、鹿児島では、16歳未満の少年の全件付添制度の導入が弁護士会内の常議員会で決定され、1月から施行される予定である。また、東京でも導入を検討しているところである。

○ 日弁連では、全件付添制度を行っている福岡の単位会の活動について、評価をまとめているか。

△ 福岡では福岡家裁と協議の上で全件付添制度を設けたが、実際は、少年当番付添制度というべきもので、裁判官から少年に対し、初回接見は無料であり、弁護士と会ってみないかとの告知を行い、明示の拒否がない限り、家裁から弁護士会に連絡があり、弁護士が少年に会って受任するという形になっている。福岡の弁護士によれば、明示の拒否をする者が25パーセントあるが、その中に少年が自暴自棄になっている場合があり、潜在的には弁護士が付くべき事件があるのではないかという意見があり、福岡県弁護士会の弁護士の意見としては、少年の請求にかかわらず、全件に付添人が付く制度を導入してほしいとの訴えがある。

□ 法律扶助協会の付添扶助制度では、報酬が平均して10万円くらいとのことであるが、純粋な私選の場合と国選付添の場合の報酬は、それぞれどれくらいか。

△ 純粋な私選の場合にはケースバイケースであり、30万円の場合もあるが、持ち込みで扶助事件にする場合もある。

▲ 国選付添人の標準的な報酬額は、刑事事件の国選弁護人と同様、3開廷基準で、8万6400円という金額を最高裁から示しているが、個々の事件における報酬額については、おおむねその金額プラスアルファということだと思う。

○ 一般の刑事事件を担当する弁護士であれば、少年審判の付添人を担当することも難しいことではないのか、それとも、付添人としての責務を果たすためには、専門性や心構えが必要なのか。付添人を担当する弁護士の確保の見通しについて感触を教えてほしい。

△ 個人的な意見としては、付添人活動は、それほど難しいものではなく、少年の言い分をよく聴くということが基本だと思う。子育ての経験を踏まえ、少年と話し合いを続けることはだれにでも可能であり、刑事弁護の経験を有する者が付添人として活動することは十分に可能だと思っているが、少年独特の表現能力のなさなどの特殊性もあるので、一定の研修は必要であろうと考えている。弁護士としては、観護措置期間が短く、また、実際には家裁からの依頼が審判期日に切迫した段階で来るので、ほかの事件を延期するなどスケジュール調整が必ず必要となり、また、雇用主を探すなど積極的な活動の負担があるので、今のところ担い手は少ない。

○ 家裁調査官による環境調整と弁護士付添人による環境調整との違いを具体的に説明願いたい。

△ 重なる部分も多いが、付添人が付いている場合の調査官の活動に限って言えば、とにかく忙しいので、実際には少年の心理を観察・分析するところまでで終わることが多く、また、調査官は親に問題点を指摘するだけで、どう変えていくかという将来に向けてのプログラムの構築は、付添人がやっていることが多いように思う。謝罪と被害回復・賠償については、弁護士でなければできないものである。また、従前の雇用先への復帰の依頼は調査官もできるが、新しい雇用先を見つけることは調査官には難しいように思う。

(2) 公的付添人制度の意義、必要性、留意点

 事務局から、資料6-1「第6回公的弁護制度検討会における論点(案)」のうち「1 公的付添人制度の意義、必要性、留意点」に関する説明とともに、資料6-2及び6-3に基づき、犯罪少年の身柄事件に関する手続の説明が行われ、続いて、公的付添人制度の意義、必要性、留意点について議論され、主として、以下のような意見が述べられた。

○ 少年事件の特殊性について、捜査の立場から見ると、少年事件も千差万別ではあるが、概して成人よりもグループによりなされる場合が多く、また、ひったくりやオヤジ狩りなどに典型的に見られるように、どこかでストップがかからない限り、反復継続されていくことが多い。グループのメンバーが少しずつ入れ替わりながら反復継続されるため、当該事件でだれがメンバーであったかの事実認定が難しい場合が多く、また、身柄拘束の制限により限られた時間の中で複雑な共犯関係を明らかにしなければならないため、必ずしも余罪の全容が解明できているとは限らない。さらに、7割強の事件は審判不開始又は不処分となるので、一部には徒労感を感じる者もあるというのが実情である。

○ 家裁送致前の捜査段階では少年を支援する者が必要だと思っているし、家裁係属中の段階でも、特に家庭に問題があり、保護者が保護者の責務を果たしていない場合や保護者がいない場合には付添人の必要性はあると言えると思うが、被害者の視点に立ったときには、少年には付添人が付いて弁護人的活動をするのに対し、被害者や検察官はその場にいられないとなると、そのアンバランスを不公正と見る人も多いかもしれない。特に家裁係属中の段階は、一般の成人の刑事裁判と違って、特殊であるがために、付添人が付くべきであるというときには、必要な場合の要件を明示しておくなどしないと、多角的な立場に立つときに不公正と受け取られはしないかという論点を指摘したい。

○ 犯罪の被害者の中でも、少年事件の被害者は特殊な立場にあって、傍聴する権利がないなど、成人事件の被害者であれば認められる権利が認められておらず、また、家裁で、ここは被害者のことを考える場所ではなく、少年をいかにして更生させるかを考えるところであると、けんもほろろに追い返されたという経験を持つ被害者もいる。少年事件の特殊性という場合には、加害者側で、うその自白をしやすいという特殊性だけではなく、被害者側から見た特殊性も十分に考慮された制度でなければならない。少年についても一定の条件で捜査段階でも弁護人が付くことになり、公的付添人制度を認めない場合には、家裁送致後、付添人が付かないことになるのに対し、成人についてはそのまま国選で弁護人が付くことがバランスを欠くという考え方はあるかもしれないが、成人事件の公判は科刑手続であるのに対し、少年審判の制度の趣旨は、いかにして少年を健全に育成するかというところにあるのだから、少年について、捜査段階で国選弁護人が終わってしまうということはあっても当然だと思う。ただし、捜査段階から否認している事件、特に犯人性を否認している事件について、少年審判であるから公的付添人は不要であるというのはいかがかと思うので、極めて限られた場合については、公的費用で付添人を付けるという場合があり得るだろうと思うが、その場合には、対審構造に近いことになるので、検察官の関与ができるという制度とすべきではないか。

○ 被害者のケアの問題は、少年審判手続や刑事手続とは別の観点でなされるべきであり、少年審判手続に公的付添人制度を導入するかどうかという問題と一緒にされると問題が混乱するのではないか。担当した少年事件の経験でも、子どもは接するたびに変わっていくもので、可塑性に富み、両親が子どものために一生懸命にやってくれているということで手紙を書くなどして立ち直っていく姿が見えた。家族との調整や少年との対話により理解を求めていく過程が重要であり、少年の目線で事件を見ていくという存在がぜひ必要だと感じている。少年たちが立ち直る姿を見て、熱心に少年事件を担当している弁護士も増えてきていると言ってよいと思う。少年事件について、事実認定だけでなく、処分に弁護士がかかわり、かつ、少年の目線で問題点を解きほぐす作業は、弁護士の仕事として重要だと思っている。被告人段階になれば成人については国選弁護人がいるのに、少年については、国選の付添人がいないというのはバランスを失しているし、保護処分といっても不利益処分であることに変わりはなく、それに対し、弁護士が付いて弁護活動をやることが必要であり、そのためには、広く公的付添人制度を認める必要があり、少なくとも家裁で観護措置決定を受けた少年については、すべからく公的付添人が認められる必要があると思う。

○ 少年事件における被害者の立場は非常に微妙であり、いろいろな意味で問題が出ていることは理解できるが、そこと公的付添人制度とは結び付かないだろうと考えている。また、少年が公的弁護の対象となる犯罪を行った場合には、弁護人を付けるのが筋であろうが、問題は、非行事実が認められるとして、刑事処分相当ということになり、検察官に送致され起訴された場合に、真ん中が抜けたような形になるが、それがいいのかどうかということであり、少なくとも少年が公的弁護の対象となる犯罪を行った場合には公的付添人を付けるというのが一つの考え方ではないか。

○ 少年審判手続における付添人の役割を考えてみる必要があり、弁護士である付添人は、やはり法律的な立場からのアドバイスを行うことが期待されており、争いのある事件と争いのない事件とでは、必要性が違ってくるであろう。争いのない事件では環境調整や社会調査が主となり、それは家裁調査官という制度が機能する場面であろう。争いのある事件に付添人を付けるということになれば、やはり検察官の関与が必要となるのではないか。先般の少年法改正における検察官関与の立法趣旨は、検察官及び弁護士付添人の双方が関与した場で事実認定を適正に行うというものであり、もし検察官がいないとすると、少年・付添人対家庭裁判所という対峙構造を生じさせてしまい、少年審判の構造を根本的に変えるような問題になり、検察官を関与させて対峙構造を緩和させる必要が出てくるであろうし、そのような構造の変更がいいのかという気がする。また、中抜けになるのではないかという議論があったが、家庭裁判所の審判中は、家裁調査官制度、資格制限のない付添人制度、国選付添人制度があり、むしろその前後に、そのような少年の保護のための制度がないわけであり、そこに公的弁護制度を設けるということでバランスが取れることになるのであって、中抜けになるというのは違うのではないか。

○ 家裁調査官も、要保護性については、法律家である裁判官には分からない自分たちの領域の問題であるという責任感と自覚で調査をしており、付添人がいない事件でも試験観察になることも少なからずある。調査官が忙しいというのは指摘のあったとおりだと思うが、だからといって、やるべきことをやっていないとは思っていない。要保護性の範囲の問題について、付添人が付く必要はないと言うつもりはないが、公的費用を投じて要保護性だけが問題になる事件にすべて付添人を付けなければならないとは思えない。

○ 現在の少年審判は職権主義的審問構造であり、先般の少年法改正の際、検察官関与及び弁護士国選付添人という対審構造的なものを事実認定に争いがある場合に持ち込んだことは確かであるが、あくまで全体の構造を変えたわけではなく、裁判官と審理の対象となっている少年が向き合っているという形は維持されており、付添人も検察官も対向しているわけではなく、建前の上では両方とも審判の協力者である。もともと裁判所と少年が向き合っており、また、私選で弁護士付添人が付いている事件も多数あるわけだから、弁護士付添人が付くのであれば必ず検察官がいないとバランスが取れないということはないのではないか。

○ 少年審判手続が少年の健全育成を理念として成り立っていることは間違いなく、それが有効に機能し、改善更生の実をあげられれば、社会全体にとってのメリットであるということで、この手続が維持されているわけである。少年審判手続が有効に機能するために家裁調査官だけでは難しい問題があるということは付添人を経験されている人たちから言われており、付添人がいるということが有効に機能している場面があることは間違いなく、それが社会に還元されているということであれば、私選に任せておけばよいというものではない。公的資金を提供することによって更に最終的に少年の更生の機会が増えることが分かっている以上、この問題は、被害者との関係でバランスを失するということだけで論じられる問題ではないと思う。

(3) 少年の被疑者に対する公的弁護制度の在り方

 事務局から、資料6-1「第6回公的弁護制度検討会における論点(案)」のうち「2 少年の被疑者に対する公的弁護制度の在り方」に関する説明が行われ、続いて、「公的弁護制度下での弁護人の選任要件」及び「公的弁護制度下における弁護人の選任の効力の終期」につき議論された。

ア 公的弁護制度下での弁護人の選任要件(「資力が十分でないなど」)

主として、以下のような意見が述べられた。

○ 少年の親族の資力を要件化するのがいいのかどうかは具体的に考えてみる必要がある。親に資力があり、子どもに配慮している場合には、私選になるということもあるだろうが、親との関係が複雑であるという場合もあり、償還ということはあり得るとは思うが、当初の選任の段階で、それを実体的要件にすることはやめた方がよい。

○ 考慮する親族にどこまでの範囲を含めるか、具体的にどのような要件を設定するかという問題は検討の必要があると思うが、親族の資力を考慮しないと、資力要件の意味がなくなってしまうのではないか。

○ 親が金を持っているが、親の言うことを聞かないから、この際お灸でもすえてもらおうと思って、弁護士は付けたくないと考えている場合に、国が税金を使って付けるというのではどうかという感じを持つので、一切親族の資力を考慮しないという選択肢は難しいように思う。

○ 親の資力も調べずに公費を出すということには、国民一般には抵抗があるであろうから、親族から何らかの形で費用を出してもらえるのであれば出してもらうという方向を考えた方がいいと思う。

○ 資力要件には親を含めた一定の親族は考えざるを得ないと思う。

○ 審理の過程で親に資力があり支払意思もあるということであれば、当然徴収すべきだと思うが、当初の段階で要件とすることは、急速を要する被疑者段階では無理ではないか。

○ 実際の運用としては難しいと思うが、納税者意識が高まってきている現状の中で、表面上無制約の形で税金が支出されることについては、世論の納得は得られないのではないかと危惧する。

イ 公的弁護制度下における弁護人の選任の効力の終期(家裁送致された場合)

主として、以下のような意見が述べられた。

○ 基本は、捜査段階の手続が終わった段階で終わりと考えるべきではないか。

○ 制度設計としてはいろいろ考えられるが、弁護士を付ける以上は効果も考える必要があり、捜査段階からの弁護人が継続して弁護活動・付添人活動に当たることができるということが有効な活動を行う上での大きな条件となると思うので、法的な選任の効力は切れるとしても、継続して同一の弁護士が担当できるような仕組みを検討しておく必要があるのではないか。

○ 現在の扶助制度では、家裁から検察官送致された後の10日間は扶助の対象となっておらず、無償の被疑者弁護人となっており、公的弁護制度において、その部分の費用をどうするかという問題は出てくると思う。

○ 成人の公的弁護の場合、捜査の段階から公訴提起以降まで連続して担当するという考え方があるとすれば、少年の場合、検察官送致・公訴提起まで通して担当するということは一つの考え方であると思う。

(4) その他

・ 事務局から、本検討会における議論の対象となっている当面の論点について、平成15年1月10日から3月20日までの間、広く国民から意見を電子メール又は郵送の方法により募ることを検討している旨説明がされた。
・ 今後の検討の参考とするため、次回(第7回)の検討会において、法務省、最高裁判所、日本弁護士連合会、警察庁のほか、刑事に関する法律扶助制度を担ってきた財団法人法律扶助協会からヒアリングを行うこととされた。
・ 協議の結果、次回以降の会議の議事録については、当面、発言者名を記載する取扱いとすることとなった。

(5) 次回以降の開催予定

 次回以降の開催予定は、次のとおりとなった(資料6-4)。
  第 7回 平成15年2月28日(金)13:30~
  第 8回 平成15年4月 1日(火)13:30~
  第 9回 平成15年5月23日(金)13:30~
  第10回 平成15年6月10日(火)13:30~
  第11回 平成15年7月 8日(火)13:30~

次回(2月28日)は、ヒアリングを行う予定である。

(以上)