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公的弁護制度検討会委員による地方調査結果


(司法制度改革推進本部事務局)


  1. 調査日・場所
    (1) 平成15年9月1日(月) 北海道北見市(於:釧路地方検察庁北見支部)
    (2) 平成15年9月2日(火) 北海道旭川市(於:旭川地方・家庭裁判所及び旭川弁護士会)
    (3) 平成15年9月3日(水) 北海道旭川市(於:旭川地方検察庁)

  2. 第1日目の概要
    (1) 日時・場所
    平成15年9月1日(月) 14:40 ~ 17:30  釧路地方検察庁北見支部
     
    (2) 参加委員(敬称略)
    井上正仁座長、池田修、浦功、大出良知、酒巻匡、髙井康行、土屋美明、樋口建史、平良木登規男、本田守弘
     
    (3) 説明者
    北海道北見方面北見警察署
    佐藤親人(署長)、千嶋洋一(刑事・生活安全担当次長)、角田康夫(北海道警察本部刑事企画課)
    釧路地方検察庁
    木村泰昌(次席検事)
    釧路地方裁判所
    末永進(所長)、伊東顕(北見支部長)、福岡正美(刑事首席書記官)
    釧路弁護士会
    小笠原寛(会長)、中島和典(副会長)、今重一(弁護士)

    (4) 配布資料
    【北海道北見方面北見警察署提出資料】
    公的弁護制度検討会地方実情調査資料

    【釧路地方検察庁提出資料】

    資料表紙    資料一覧
    資料1    釧路地方検察庁管轄区域図
    資料2    釧路地検の管轄区域について
    資料3    釧路地検の組織・機構
    資料4-1    釧路地検管内事件受理・処理状況
    資料4-2    釧路地検管内事件受理・処理状況(庁別)
    資料5    少年事件受理処理件数調
    資料6    身柄事件受理処理状況調
    資料7    法定合議・必要的弁護事件数調
    資料8    弁護人選任状況調
     
    【釧路地方裁判所提出資料】
    北見支部における実情調査
    資料表紙    配布資料目録
    資料1-①-1   釧路地家裁管轄図
    資料1-①-2   住民基本台帳人口・世帯数
    資料1-②    管内支部・簡裁への交通機関等
    資料2    刑事通常第一審事件の処理状況
    資料3-①    通常第一審における弁護人が選任された人員 (釧路地裁管内本庁・支部 平成10年~14年)
    資料3-②    通常第一審における弁護人が選任された人員 (釧路地裁管内簡裁 平成10年~14年)
    資料4    勾留状発付人員数
     
    【釧路弁護士会提出資料】
    釧路弁護士会刑事弁護の現状について
    添付資料    釧路弁護士会 管内刑事事件統計
    添付資料    釧路弁護士会 公的弁護シミュレーション(身柄全件を対象とした場合)
    添付資料    釧路弁護士会 公的弁護シミュレーション(必要的弁護事件を対象とした場合)

    (5) 調査(議事)の概要

    ア 北海道北見方面北見警察署から、配布資料に基づき、同署の捜査体制、犯罪情勢、逮捕から検察官送致までの捜査活動の概要、分散留置の実情等を聴取した。説明の主な内容は、以下のとおり。

    • 逮捕時から検察官送致時までの捜査活動の概要は、配布資料のとおりであり、単に被疑者を逮捕するだけでなく、資料記載のような様々な資料を作らなければならない。その中心となるのは、夜間の事件の場合、2名の刑事当直員であるが、他の事件や事故が発生すれば、捜査を一時中断してでも、そちらにも対応しなければならず、いわば戦場のような状態である。
    • 配布資料の事例では、36時間くらいしか警察の手持ち時間がなく、仮に土日にかかると最短で24時間くらいしかないということもある。そのような状況の中で、被疑者をどこかに押送するとか、別の手続をとるということになると、非常に厳しい。
    説明に関する質疑の概要は、以下のとおり。
    • 感覚的なもので結構だが、逮捕中の被疑者の取調時間は、どのくらいか。
      《回答》夜間に逮捕した事例の場合、送致書類の一つとなる供述調書を作成するための本格的な取調べは、半日、4時間くらいである。
    • 書類作成で、もっと省略できる部分はないか。
      《回答》配布資料に記載した書類は、最低限これだけは必要というものであり、これ以上省略すると問題が出てくるのではないか。
    • 分散留置を行う場合には、近い警察署から依頼するのか。そうすると、最も遠距離にある警察署に委託留置するのは、共犯の数が多い場合か。
      《回答》近い警察署から順次依頼するが、留置場が満杯のため受け入れてもらえないと、最も遠距離にある警察署にも依頼することとなる。

    イ 釧路地方検察庁から、配布資料に基づき、同庁の体制、犯罪情勢、事件の受理・処理状況、捜査段階の弁護人選任状況の実情等を聴取した。説明の主な内容は、以下のとおり。

    • 管内の犯罪情勢は、全体としては概ね平穏に推移しているものの、豊富な水産資源に恵まれた海域に臨むことから、かに等の密漁事件が多発しており、その犯行手段も悪質化、巧妙化の傾向を強めており、必ずしも楽観を許さない状況にある。平成14年は、全体の受理件数は前年より減少したが、身柄事件の件数は前年より増加しており、平成15年も現在のペースでは前年より増加する見込みである。
    • 身柄事件の捜査段階における弁護人選任状況は、資料のとおりであり、年々増加の傾向を示している。
    • 冬期は、積雪や路面凍結により交通に障害が発生することがあり、資料に記載した以上の時間がかかる。実際、平成15年3月、国道の一部が吹雪で通行止めとなったため、根室警察署からの身柄事件の送致が予定時刻より大幅に遅れたことがあった。このときは、鉄道が運行していたことから、制限時間内に送致、勾留請求できたが、地方の警察署の身柄事件の場合、天候によって送致手続等に苦慮することがある。
    説明に関する質疑の概要は、以下のとおり。
    • 勾留場所は、代用監獄を使っているのか。それは、最初に逮捕した警察署の留置場になるのか。
      《回答》そのとおりである。
    • 勾留請求は、送致を受けた日に即日行うのか。
      《回答》午前中に送致を受けた場合、午後1時過ぎに勾留請求する。午後に送致を受けた場合も、原則として、即日請求している。

    ウ 釧路地方裁判所から、配布資料に基づき、管内の概況、国選弁護人選任手続の実情、公的弁護制度への対応の見込み等を聴取した。説明の主な内容は、以下のとおり。

    • 刑事通常第一審事件は、地裁で、平成13、14年は、新受人員が前年より減少したが、平成15年に増加傾向に転じ、6月末累計で、前年同期より3割近く増加している。簡裁は、釧路簡裁及び帯広簡裁が増加傾向を示し、網走簡裁及び北見簡裁はほぼ横這い、根室簡裁、本別簡裁、遠軽簡裁、標津簡裁は、ほとんど事件の係属がない。
    • 刑事通常第一審における弁護人選任状況は、配布資料のとおりであり、釧路地裁本庁及び帯広支部では、弁護人が選任された人員のうち、約20パーセントが私選弁護人、残り約80パーセントが国選弁護人である。弁護士ゼロワン地区である網走支部では、私選弁護人が選任されたのが9パーセント、国選弁護人が選任されたのがその余であり、弁護士数が少ないほど、私選弁護人の割合が減っていると言える。
    • 国選弁護人選任手続は、北見支部及び北見簡裁においては、裁判所が弁護士に個別に電話で照会するいわゆる一本釣り方式を採っている。釧路地裁本庁及び釧路簡裁においては、書面で弁護士会に推薦依頼している。
    • 被疑者段階における弁護人選任については、迅速に処理することが要求されるが、弁護士の所在地が釧路、帯広、北見、網走、根室に限られ、かつ、数が少なく、また、管轄区域の広さ、交通事情、冬季の気象条件等を勘案すると、迅速に弁護人候補者を常に確保することは困難ではないか。逮捕段階から公的弁護人を付することについては、それが理想的とは思うが、実際上、迅速に弁護人を付すことができるかとなると、当庁管内の弁護士会の実情からすると危惧を抱かざるを得ず、また、裁判所としても、書類に不備があった場合や被疑者に面接する必要がある場合への対応なども考えると、すぐに審査を行い、弁護人を付すことができるか疑問である。また、現在の当番弁護士制度においても、申出から接見まで、2、3日かかる例もあると聞いており、逮捕段階からの選任については、現実的な対応が極めて難しいと考える。
    • 裁判員対象事件においては、連日の開廷が要求されるところであり、そのためには、集中審理に対応できる弁護士の数を確保する必要があるが、当庁管内では、支部に重大事件が係属することも少なくなく、帯広に8人、北見に4人という弁護士数では不安があり、民事事件についても迅速化が求められているところであるので、何とか弁護士数を増やしてほしい。
    説明に関する質疑の概要は、以下のとおり。
    • 釧路管内で、少年鑑別所は、釧路だけにあるのか。
      《回答》そのとおりである。例えて言えば、近畿6県の広さの管内で、鑑別所が和歌山にあるという状態である。押送や家裁調査官の調査などに時間がかかり、非常に大変である。
    • 夜間の令状請求への対応は、どのようになっているか。
      《回答》翌朝回しにするということはなく、直ちに対応している。ただし、管内が広いので、書類の到着に時間がかかることがある。
    • 合議体による集中審理への対応態勢は、どうか。
      《回答》本庁は、民事部と刑事部が分かれているので、対応が可能だと思うが、支部では、3名の裁判官で、民事と刑事を両方やっているので、対応が難しい場合もあると思う。
    エ 釧路弁護士会から、配布資料に基づき、同会の現状、当番弁護士の運用状況、被疑者弁護援助制度の実情、国選弁護への対応の実情、公的弁護制度への対応能力、国選弁護の推薦準則の制定状況、公的付添人制度への対応の見込み等を聴取した。説明の主な内容は、以下のとおり。
    • 弁護士会の登録会員数は、28名で、釧路に14名、帯広に8名、北見に4名、網走、根室にそれぞれ1名と偏在している。年齢構成は、60代と70代が12名で、会員の40パーセント以上を占めている。
    • 平成14年の当番弁護士の出動実績は164件で、うち少年被疑者の事件は6件である。当番弁護士が出動し、私選事件として受任したのは25件であり、受任率は15パーセントと低い。
    • 平成14年の被疑者弁護援助件数は13件で、うち少年被疑事件は6件である。
    • 国選事件数は、配布資料のとおりであり、弁護士会は、地裁本庁から依頼を受け、国選登録弁護士に順番に割り振りを行うが、事実上期日が入りやすい若手弁護士が中心となって受任しており、その結果、一部の会員に集中している。
    • 公的弁護制度への対応能力について、全会員を対象として、年間受任可能件数をアンケート調査したところ、合計は、釧路で138件、帯広で94件、北見で46件であった。そうすると、公的弁護について、身柄全件を対象とする場合及び必要的弁護事件を対象とする場合のいずれも、対応できない数字が生じる。以上の現状を見ると、当会としては、平成18年の公的弁護制度のスタート時においては、その対象事件を限定し、近い将来に拡大して身柄事件全件を対象とする体制にすべきと考える。公的弁護を担うには、刑事事件を専門とする弁護士が新たに相当数定着する方法しかないと思われる。
    • 平成15年5月22日、「国費による弁護人推薦に関する会規」及び「国費による弁護人推薦停止手続きに関する会規」を制定した。
    • 少年保護事件を担当できる弁護士数は、当番・国選を受任する会員25名が対応できるが、鑑別所が釧路市にのみ設けられていることから、釧路以外の会員が担当するのは現実的には無理がある。これについても、刑事専門の弁護士が配属されることにより、対応可能と考えられる。
    説明に関する質疑の概要は、以下のとおり。
    • 当番弁護士の受付から出動までの時間の細かいデータはあるか。
      《回答》日弁連に報告している件数しかデータはない。ほとんどの事件では、その日のうちに接見できているが、少ない会員でやっているので、昼間は無理で、6時以降ということが多く、連絡を受けて2、3時間で接見するのは、無理な場合が多い。
    • 電話による接見という提案をされているが、電話による接見が導入された場合、どの程度、負担が軽減されると考えているか。
      《回答》当番弁護士で、1時間とか2時間かけて行ったときに、接見したら、「特に用事はない。」と言われることがあり、大変消耗感を覚える。例えば、権利の告知などは、電話でもよい場合がかなりあると思う。被疑者段階の弁護でも、直接接見する必要がある場合と、電話で簡単に済む場合とがある。行って無駄だったと感じるのは、1割か2割程度であるが、苦労して行くだけに大変消耗感を覚える。
    • 配布資料の「公的弁護シミュレーション(必要的弁護事件を対象とした場合)」は、「各地域の必要的弁護事件数」として、公判の必要的弁護事件数を使っているようだが、捜査段階はそれより多くなるので、不足数は更に多くなるのではないか。
    • 被疑者弁護援助の利用が少ないとのことだが、なぜか。
      《回答》当番弁護士として出動した場合、各弁護士は、そのまま受任をして帰ることは余りないのが現状である。当番弁護士として事件の内容を聴いて、大変きわどいという問題があれば、弁護士会に持ち帰って被疑者弁護援助の利用を検討することになるが、そうでない場合には、そうならない。会員が少ないので、余り負担を強いられたくないという気持ちがあると思う。
    • 会員の増加策について、日弁連とは具体的に話をしているか。
      《回答》地元出身の修習生や司法試験合格者を把握することが難しい。48期から修習生が来ているが、釧路に来る段階では、ほとんど進路が決まっていることが多い。毎年、日弁連では、修習生を集めて地方の弁護士会のシンポジウムを開催しており、当会も、ブースを出して勧誘している。また、道弁連が就職説明会を行う予定であり、これにも参加する予定である。

  3. 第2日目の概要
    (1) 日時・場所
    平成15年9月2日(火) 14:25 ~ 16:40  旭川地方・家庭裁判所
     16:50 ~ 17:20  旭川弁護士会

    (2) 参加委員(敬称略)
    井上正仁座長、池田修、大出良知、酒巻匡、髙井康行、土屋美明、樋口建史、平良木登規男、本田守弘
     
    (3) 説明者
    仁平総(旭川家庭裁判所首席家庭裁判所調査官)
    須田保幸(旭川弁護士会会長)
     
    (4) 配布資料
    【旭川家庭裁判所提出資料】
    司法制度改革推進本部地方調査における説明事項
    資料表紙    公的弁護制度地方実情調査配布資料
    資料1    少年保護事件の新受、既済、未済人員歴年比較、少年保護事件少年鑑別所送致人員歴年比較
    資料2    少年保護事件非行別新受人員
    資料3    一般保護事件非行別終局処分別表
    資料4    一般保護事件非行別終局処分別表(観護措置あり)
    資料5    一般保護事件付添人選任人員歴年比較、道路交通法違反保護事件付添人選任人員歴年比較
    資料6    一般保護事件における非行別付添人の有無の状況、一般保護事件のうち観護措置をとられた事件における非行別付添人の有無の状況
    資料7    一般保護事件における終局決定別付添人選任人員

    (5) 調査(議事)の概要

    ア まず、旭川家庭裁判所において、少年審判手続に関するビデオを視聴した後、同裁判所の少年審判廷、科学調査室等を視察した。

    イ 続いて、同裁判所において、仁平首席家裁調査官から、配布資料に基づき、家裁調査官制度の概要、少年保護事件の統計、家裁調査官による調査及び処遇選択の実情、家裁調査官と付添人の役割分担の実情等を聴取した(長島孝太郎同裁判所長同席)。説明の主な内容は、以下のとおり。

    • 旭川家庭裁判所管内における少年保護事件の基本統計については、配布資料のとおりであるが、旭川では、少年人口の減少に伴い、一般保護事件の新受件数は減少傾向にある。非行の内容としては、窃盗や傷害、恐喝が多く、覚せい剤事犯が少ないという特徴があり、また、女子の非行が少ない。
    • 家裁調査官は、裁判官から調査命令を受け、非行のある少年に対する処遇を定めるため、社会調査を行う。社会調査は、少年自身と少年を取り巻く環境の問題点、要保護性を明らかにして、再非行を防ぐための手立てを考えることが目的である。
    • 社会調査においては、少年との面接調査のほか、保護者との面接調査を行い、少年の生活歴、交友関係、行動傾向や生活態度、家族の状況や家族の中での位置関係などを明らかにしつつ、少年に対し、非行の結果・責任の大きさを自覚させるとともに、監護環境を調整する。
    • 重大事件を中心として、被害者に対する調査を行い、被害者がどのような状況にあるか、被害をどのように受け止めているかについて情報を得て、調査に活用している。
    • 事実に争いのある事件については、非行の有無を判断する法的調査が行われるが、これは、裁判官が行い、家裁調査官は関与しない。
    • 原則検察官送致の対象事件においては、その制度趣旨を踏まえ、検察官送致を前提としつつ、なお保護処分とすべき必要があるかについて調査を行っている。重大事件では家族関係が複雑な場合などがあるので、複数の家裁調査官が共同で調査を行い、精度の高い調査を行うよう努めている。
    • 家裁調査官は、非行の社会的影響に重点を置いた検察官等の送致機関の意見や、少年の資質に重点を置いた少年鑑別所の鑑別結果等を参考にしつつ、非行の動機や態様、被害の態様、少年の生活状況、監護環境などのほか、被害者の被害感情や非行の社会的影響なども踏まえ、最も適切な処遇が何かを考え、意見を述べている。
    • 付添人は、少年を理解し、適切な処遇を求めるという点で、家裁調査官と同じ目的を持つが、弁護人的役割と裁判所の審判協力者の役割を併せ持ち、裁判所職員である家裁調査官とは異なる独自の役割を有する。付添人は、非行事実に争いのある事件のみならず、非行事実に争いがない事件であっても、要保護性の審理に当たり、少年を補足・代弁して、少年の主張を明らかにするなどの役割を果たしうる。
    • 家裁調査官も、社会調査を行う中で、中立性に反しない範囲で、学校の受入態勢の整備や復職、少年及び保護者に対する精神的援助などを行っているが、それらについても、家裁調査官がなし得ない部分があるし、さらには、新たな勤務先を探したり、暴力団からの離脱、被害弁償などを行うことは家裁調査官にはできず、付添人がそのような役割を果たすことが期待される。
    • 旭川では、家裁と法律扶助協会との間で、付添人扶助に関する申し合わせはなく、保護者の所在が不明であるとか、保護者が非協力的で審判に出頭しないことが予想されるなど、可能であれば、扶助付添人を依頼するような事案で、民間のボランティアに付添人を依頼したことがあるが、少年との対応などで荷が重いこともあるようである。
    説明に関する質疑の概要は、以下のとおり。
    • 保護者がいる事案で、付添人が必要だと考える場合はあるか。
      《回答》例えば、両親がそろっていて、経済的に豊かでも、父親がワンマンで、少年や母親を抑えてしまっていて、少年などが十分に話をできないような場合に、付添人が付いて、少年の立場で、少年を代弁することができれば、より適切な審理ができるのではないかと思う事案がある。
    • そのような事案では、家裁調査官が職責を全うして少年の声を聴き取ればよいのではないか。
      《回答》家裁調査官なりに努力しても、限度があることは否定できない。付添人が、少年の思いの丈を聴き取り、また、法律的な面から少年や親に考えさせることが望まれる。
    • 家裁調査官制度があるところで、どういう機能を付添人に求めているのか。
      《回答》審判廷で少年が何を言いたいかを代弁することや家庭内の調整を行うことなどは、家裁調査官も行うが、家裁調査官は、社会調査の報告書を出し、処遇選択に関する意見を述べる点で、判断者であり、ケースワーカー的機能を徹底することができないという限界がある。そのような家裁調査官の役割の限界を補い、また、示談交渉や暴力団からの離脱など家裁調査官にはできない部分を担当するという役割を付添人が果たすことが望まれる。公的付添人がそこまでの活動をやるべきかどうかは更に検討すべき問題であるが、そのような部分で付添人が果たしうる役割がある。示談交渉などで対外的交渉が必要な部分があるので、その点では、弁護士に適しているのではないか。
    • 従来、家裁調査官は、そのようなケースワーカー的な機能をやってこなかったのかどうかという問題があり、実際には、単に調査を行い、審判の判断資料を作成するというだけでなく、ケースワーカー的機能を担ってきたし、また、そのような機能を担っているのだと強調されていたと思うので、そのために、付添人に期待する役割とが不分明になっているのではないか。
      《回答》親を審判廷に連れてくるのに苦労する事案や、審判廷に連れてきても、親が自分の問題点を理解できない事案もあり、家裁調査官がどんなに努力しても分かってくれない場合がある。そのような場合には、裁判官が親を叱って自覚を求める努力をするが、付添人が親に働きかけることで、親を変えることができ、それによって少年を変えることもできるような場合があると考える。
    • 家裁調査官から見て、弁護士付添人が付いたことが有益だったと思われるような具体例があるか。
      《回答》検察官の意見が長期の少年院送致であったという事案で、弁護士付添人が被害者に対する謝罪や治療費の支払、暴走族仲間からの離脱に尽力したほか、伯父の協力を得て、家庭環境を調整した結果、4か月間の試験監察を経て、保護観察となった例がある。
    • 弁護士付添人が付いていない場合に、弁護士付添人が付いていれば、審判に資すると思われたケースがあるか。
      《回答》親が確信的で強い意見を持っている場合に、法律的知識のある弁護士が助言を行うなどできれば、よかったのではないか、と思われた事例がある。
    • 弁護士ではないボランティアの方に付添人を依頼した事例が紹介されたが、旭川の弁護士の付添人活動の実情や対応力について、どのように見ているか。
      《回答》旭川では、裁判所から扶助付添人を依頼するシステムがなく、当番弁護士から扶助付添人になる事例しかないので、弁護士がどのくらい対応できるかは分からない。ただ、保護者がいないとか、保護能力がない、審判廷に来ない、又は来られないという場合に、友の会のボランティアの方に付添人を依頼している。率直に言って、旭川では、弁護士の公的付添人制度への対応は、非常に困難ではないかと思われる。ただ、若い弁護士の中には、熱意を持って付添人活動を行っている人はいる。
    • 保護者がいない少年について、少年院送致にしたり、検察官送致した事例は、どのくらいあるか。
      《回答》親がいない事例が1件くらいあり、また、実質的に保護者に保護能力がないような事例が数例あったと思う。
    • 弁護士である付添人がいると、家裁調査官の活動がやりやすいということは分かったが、弁護士である付添人がいないと、適切な処遇決定ができない、必要な環境調査ができないという事情があるか。
      《回答》我々は、与えられた範囲内でやるしかなく、時間的な制限などの制約の中で、適切な処遇決定を行うよう努力しているところである。しかしながら、もっと中身の濃いものをやれたらよいと思っているということである。
    • 資料5の「付添人あり」の「その他」は、どのような人か。また、平成13年に弁護士付添人が15人と他の年より多いのは、何か事情があるのか。
      《回答》「その他」は、すべて友の会の人である。平成13年は少年法の改正があった年なので、弁護士会の対応に変化があったのかもしれない。

    ウ 続いて、旭川地方裁判所において、法廷、訟廷事務室、勾留質問室等を視察した。

    エ 次に、旭川弁護士会において、須田保幸会長から、国選弁護人の推薦及び当番弁護士の派遣に関する事務等について説明を受けた。

  4. 第3日目の概要
    (1)日時・場所
    平成15年9月3日(水)  9:55 ~ 12:10  旭川地方検察庁
     
    (2) 参加委員(敬称略)
    井上正仁座長、池田修、浦功、大出良知、酒巻匡、髙井康行、土屋美明、樋口建史、平良木登規男、本田守弘
     
    (3) 説明者
    北海道旭川方面旭川中央警察署、同稚内警察署
    山崎政幸(旭川中央署長)、小南一盛(稚内警察署刑事・生活安全担当次長)、角田康夫(北海道警察本部刑事企画課)
    旭川地方検察庁
    遠藤浩一(次席検事)
    旭川地方裁判所
    長島孝太郎(所長)、井口実(刑事部総括判事)
    旭川弁護士会
    須田保幸(会長)、辻本純成(刑事弁護センター委員長)、中村元弥(弁護士)

    (4)配布資料
    【北海道旭川方面旭川中央警察署、同稚内警察署提出資料】
    公的弁護制度検討会地方実情調査資料(旭川中央警察署)
    公的弁護制度検討会地方実情調査資料(稚内警察署)

    【旭川地方検察庁提出資料】

    資料表紙    公的弁護制度地方実情調査検察庁説明資料
    資料1    旭川地方検察庁管内図
    資料2    本庁から支部・管内区検までの距離と所要時間
    資料3    事件受理・処理状況
    資料4-1    身柄事件受理・処理状況
    資料4-2    弁護人選任状況調べ
     
    【旭川地方裁判所提出資料】
    旭川地裁本庁における実情調査
    資料表紙    公的弁護制度地方実情調査刑事事件配布資料
    資料1-①-1    旭川地家裁管轄図
    資料1-①-2    住民基本台帳人口・世帯数
    資料1-②    管内支部・簡裁への交通機関等
    資料2    刑事通常第一審事件の処理状況
    資料3-①    通常第一審における弁護人が選任された人員 (旭川地裁管内本庁・支部 平成10年~14年)
    資料3-②    通常第一審における弁護人が選任された人員 (旭川地裁管内簡裁 平成10年~14年)
    資料4    勾留状発付人員数
     
    【旭川弁護士会提出資料】
    旭川弁護士会刑事弁護の実情
    添付資料    旭川地裁管内警察署 自動車での片道所要時間
    添付資料    旭川地裁管内人口

    (5) 調査(議事)の概要

    ア 北海道旭川方面旭川中央警察署及び同稚内警察署から、配布資料に基づき、両署の捜査体制、犯罪情勢、逮捕から検察官送致までの捜査活動の実情等を聴取した。説明の主な内容は、以下のとおり。

    • 旭川中央警察署における逮捕時から検察官送致時までの捜査活動の実態は、配布資料のとおりであるが、更に引き当て捜査などを行うこともある。事件発生後、刑事当直員4名で対応することになるが、検視や他の事件などが発生すれば、それへの対応も必要となり、多忙を極めることになる。
    • 夜間に逮捕した場合、翌日の午前中は被疑者を休ませることになるので、翌日の午後と翌々日の午前しか被疑者を取り調べることができず、取調時間が少ない。そのような時間帯の中で、被疑者を他へ押送したり、現行の制度と違う手続を行うことには無理がある。また、土日、祝日にかかると、場合によっては、逮捕・任意同行の翌日に送致することもあり、更に手持ち時間が短くなる。
    • 稚内警察署における逮捕時から検察官送致時までの捜査活動の概要は、配布資料のとおりであるが、稚内から旭川地検本庁に送致する場合、手持ち時間が24時間ちょっとということもある。夜間に身柄事件が発生した場合、刑事当直員1名では対応できず、刑事課員を招集して対応することになるが、正に戦争状態になる。そのような中で、被疑者の身柄を他に移し、他の用務をこなす余裕はない。さらに、被疑者の押送は、被疑者1名につき警察官3名で行うので、複数の被疑者がいる場合には、交番勤務の警察官を動員し、空き交番をつくって押送することもあるという実情があり、被疑者の押送を実施することは簡単ではない。稚内に検察官・裁判官がいる場合でも、時間的に厳しい状況にあることは、旭川中央警察署の場合と同様である。
    • 稚内では、ロシア船の入港が多いこともあって、外国人による事件が多く、領事館通報などが必要になるほか、通訳を介して取調べを行うことになるので、単純に言って取調時間が2倍かかる。また、現行犯逮捕されても、否認することも多く、捜査事項が多くなりがちである。
    説明に関する質疑の概要は、以下のとおり。
    • 逮捕中に弁護人が接見する場合には、どのような対応になるか。弁護人が接見に来ることで支障を生じることはあるか。
      《回答》通常のとおり、接見させている。接見が長時間になると、捜査が滞ることにはなる。
    • 当番弁護士の告知の実情は、どうなっているか。
      《回答》弁護士を頼みたいという希望を述べた者には、当番弁護士制度があることを説明している。また、留置場に、旭川弁護士会の弁護士の名簿を掲示している。
    • 被疑者を押送するのは大変だということだが、資力申告書を作成させることについては、どうか。
      《回答》被疑者がそういう書類の作成に慣れていればよいが、現場の見取図や上申書を作成するのにも時間がかかる者も少なくない。時間がかかるかどうかは、被疑者によるのではないか。
    イ 旭川地方検察庁から、配布資料に基づき、同庁の管内状況、犯罪情勢、事件の受理・処理状況、捜査段階の弁護人選任状況の実情等を聴取した。説明の主な内容は、以下のとおり。
    • 平成15年の7か月間の身柄事件数は、平成14年1年間の身柄事件数の約7割に達している上、8月も例年を上回ることが確実であるので、本年の身柄事件数はかなりの増加が見込まれる。
    • 弁護人が付いた事件数や付いた時期については、配布資料のとおりである。なお、稚内及び紋別では、それぞれの地元の弁護士が弁護人となっていることが多い。
    • 勾留請求の時刻は、おおむね午前中に送致を受けた事件については午後の早い時間に、午後に送致を受けた事件については、午後4時ころである。
    説明に関する質疑の概要は、以下のとおり。
    • 法定合議事件は、地検本庁に送致させているとのことだが、被疑者の勾留場所は、各警察署になるのか。その場合、検察官の取調べは、どうしているのか。
      《回答》各警察署に勾留しており、取調べは、検察官に出張させている。
    • 否認の事件数は、どうか。
      《回答》少ない。逮捕段階で否認するというものはあるが、否認のまま起訴することは、ほとんどない。
    • 弁護人の選任がなされるのが、勾留請求後に多いのは、当番弁護士の影響があるのか。
      《回答》当番弁護士が受任する数は、それほど多くないのではないか。
    ウ 旭川地方裁判所から、配布資料に基づき、管内の概況、国選弁護人選任手続の実情、公的弁護制度への対応の見込み等を聴取した。説明の主な内容は、以下のとおり。
    • 刑事通常第一審事件は、地裁の管内全体で見ると、平成10、11年当時は、新受人員が400人前後だったものが、平成12年以降、450人程度で推移している。さらに、本年の6月末累計は、263人であり、このままのペースだと500人台になり、増加傾向にある。簡裁は、ここ3年間で見ると70~80人で、ほとんどの事件が旭川簡裁に係属している。
    • 刑事通常第一審における弁護人選任状況は、配布資料のとおりであり、地裁では、近年はほぼ全被告人に弁護人が選任されており、その8割以上が国選弁護人である。簡裁では、弁護人が選任される割合は地裁より低いが、9割以上は弁護人が選任され、その8割以上が国選弁護人であることは地裁と同じである。
    • 国選弁護人選任手続は、旭川地裁本庁では、まず期日を指定し、弁護士会に書面で依頼する。まず例外なく、当日又は翌日に弁護士会から回答があり、弁護人が見つからないという事態はない。管内の支部・簡裁においては、弁護士のいない名寄・留萌支部では、事前に裁判官が出張する予定を弁護士会に伝え、弁護士の推薦を受けている。弁護士がいる紋別及び稚内では、事前に裁判官が出張する予定を当該弁護士に伝え、国選弁護人の選任に支障がないよう協力してもらっているが、利害相反などで受任できない場合には、弁護士会に推薦してもらっている。
    • 旭川弁護士会では、国選弁護人名簿に登録している弁護士は20名であり、その中には実際には受任していない者もいる。そのような弁護士の数、管轄区域の広さ、交通の便、冬季の厳しい気象条件などを考えると、特に迅速な選任を求められる被疑者段階の公的弁護については、選任数が一定数を超えると、適時に弁護人を確保することには相当な困難を伴う可能性がある。逮捕時から弁護人を選任することについては、選任請求があれば、直ちに要件審査を行う必要があり、事件によっては、被疑者と面接して選任の意思を確認したり、選任要件の認定のために必要な事項を質問する必要が生じる場合が予想されるところ、そのためには裁判所に被疑者の身柄を押送するほかないが、逮捕段階には厳しい時間制限があることから、そのようなことは非現実的であると言わざるを得ない。また、弁護士会の態勢からしても、逮捕段階で対応することは甚だ困難であろう。結論として、逮捕段階からの選任ということは採り得ない。
    • 弁護士は、民事事件を含めて多数の事件を抱え、数か月先まで予定が決まっているのが通例である。裁判員事件では、連日的開廷による集中審理が必要であるが、現体制においては、調整を図ることが極めて困難なことが予想される。したがって、集中審理に対応できる弁護士を確保するため、公的弁護制度の運営主体において、弁護士会の協力を求めながら、常勤弁護士及び契約弁護士を確保することが必要不可欠であると考える。
    説明に関する質疑の概要は、以下のとおり。
    • 現在の国選弁護人の選任に当たっては、被告人に直接面談していないのだから、選任の意思や資力が分かる書面が捜査機関から来れば、逮捕段階での選任が可能になるのではないか。
      《回答》被告人の場合、期限付きで照会しているが、それに時間がかかっている。捜査段階は、そのような時間がないという問題がある。
    • 勾留審査をしていて、弁護人が付いた方がいいと思われる事件はあるか。
      《回答》勾留の段階では、正直申し上げて、分からない。公判の段階で、弁護人が付いていたらよかったのにという感想を持つ場合はある。
    • それは、事件の軽重からか、又は被疑者の特性からか。
      《回答》一般的には、嫌疑を受けている場合に、防御できる能力が備わっていないという場合には、それをバックアップする必要があるということは感じる。他方、否認しているから弁護人が必要かというと、そうとも言えず、どういう事件で弁護人が付いてフォローしてもらうと、後で裁判所で審理する場合に問題点が解消されるかというところは、勾留段階では、なかなか想像しにくい。
    エ 旭川弁護士会から、配布資料に基づき、同会の現状、当番弁護士制度の運用実態、刑事被疑者弁護援助制度の運用実態、国選弁護制度の運用実態、被疑者段階の公的弁護制度への対応能力、公的弁護制度に対する基本姿勢、国選弁護人推薦準則の対応状況、公的付添人制度の対応能力等を聴取した。説明の主な内容は、以下のとおり。
    • 登録会員数は、旭川市に28名で、うち実働は26名であり、稚内及び紋別が各1名である。
    • 当番弁護士制度は、市内当番と市外当番の2つに分かれている。平成14年の受付件数は217件で、受任件数は36件、そのうち法律扶助協会の刑事被疑者弁護援助制度を利用したのは20件である。
    • 平成14年の国選事件数は280件で、選任された20名のうち、最も件数の多い会員は35件、少ない会員は1件である。
    • 公的弁護制度については、担当者一人当たり年間10件として、旭川本庁150件、稚内支部10件、紋別支部10件程度が対応可能な件数と考えている。会員は、当番弁護士や国選弁護以外の任務も負担しており、公的弁護制度に振り向ける余力はない。したがって、平成18年4月の時点で、どこまで対応できるかについては、そのような数字で答えるしかなく、身柄事件全件とか必要的弁護事件全件というのでは、非常に厳しく、限定的な実施にとどまらざるを得ないと考える。
    • 平成15年5月26日、「国費による弁護人の推薦等に関する準則」を制定した。
    • 公的付添人制度については、なかなかそこまで手が回らないのが実情である。付添人事件を年1件でもやる弁護士は10人近くいる。ただ、いかんせん法的な制度としてやるとなると、そのために時間を確保する必要があるが、なかなかそのための時間を見つけることは難しいと思う。
    説明に関する質疑の概要は、以下のとおり。
    • 釧路弁護士会では、公的弁護制度の対応能力を整備するために、刑事専門弁護士がこれくらい必要であるという話があったが、旭川弁護士会では、そのような数を考えているか。
      《回答》日弁連の国選シンポジウムのシミュレーションがあるが、必要的弁護事件を対象とした場合、300件くらいなので、旭川では150件不足することとなり、一般の弁護士であれば15人、50件やる刑事専門弁護士であれば3人ということになる。いずれにしても、それは数字合わせであり、そういう人が何人来てくれるかという問題もあるし、そもそも刑事専門弁護士というものは、現実には存在していないので、そういうものが何人必要かということについてはお答えしづらい。
    • 国選事件を35件くらい受けている人がいるということであるが、他の事件もやりつつ、そのくらいは可能という数字なのか。
      《回答》今の国選弁護では、選任されてから記録を閲覧して被告人に接見し、その後、1、2回接見して公判に臨むということで済むので、35件という数字は過重な負担ではない。被疑者段階が入ってくると、大変さは倍以上になるだろう。
    • 国選事件を担当するのは、若手の弁護士か。
      《回答》全体的な傾向としては、若手の方が国選を熱心にやっているが、年35件をやった2名は、ベテランと中堅である。
    • 弁護士会において、付添人にどのように対応する考えか。
      《回答》個人的な意見としては、当番弁護士をしっかりやって、この少年には弁護士が必要だという事案があれば、それに対応するということしかないのではないか。家庭裁判所と付添人となるための特別の協定を結んで、ある程度の件数を継続して受けるというようなそこまでの余裕はない。
    • 被疑者弁護援助で現実に被疑者から費用の返還を受けるのは、年1件から数件程度とのことだが、償還について、何か特則があるのか。
      《回答》現実に償還できそうな被疑者はほとんどいないので、取立ての手間と回収の可能性との関係で、ほとんど回収できていない。
    • 当番弁護士の日当が遠距離だと5万円ということだが、資力のある者には有料とすべきではないかという意見はないのか。
      《回答》有料にした場合、当番を頼む人はいないのではないか。有料にすることを検討したことはない。
    • 対応能力の強化は、日弁連全体の問題として取り組むべきであるとの意見だが、日弁連と何か相談していることがあるか。
      《回答》現時点では特にない。ひまわり基金の制度ができたが、まだ弁護士を各地に配置するシステムができているわけではないので、リーガルサービスセンターのように、弁護士を雇って弁護士を配置していくという制度が必要になるだろうと思っている。
    (以上)