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労働検討会(第20回)議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり

1 日時
平成15年5月30日(金) 10:00~12:30

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委員) 菅野和夫座長、石嵜信憲、鵜飼良昭、春日偉知郎、後藤博、髙木剛、村中孝史、矢野弘典、山川隆一、山口幸雄(敬称略)
(事務局) 齊藤友嘉参事官、松永邦男参事官、川畑正文参事官補佐

4 議題
(1) 論点項目についての検討   ・ 労働関係事件固有の訴訟手続の整備の要否について
(2) その他
  ・ 今後の検討の進め方について

5 配布資料
資料119 労働関係事件への総合的な対応強化に係る検討すべき論点項目(中間的な整理)[再配布]
資料120 今後の検討スケジュール
資料121 検討事項に関する主要な論点及び検討資料(固有の訴訟手続関係)[再配布]
資料122 労働関係事件固有の訴訟手続の整備の要否についての検討の概要(第15回労働検討会における主な意見)
資料123 民事訴訟関係法律案の概要
資料124 弁護士報酬の敗訴者負担の取扱いについて(司法アクセス検討会資料)
資料125 労働訴訟協議会の概要
資料126 鵜飼良昭委員提出資料

6 議事

(1) 論点項目についての検討

 労働関係事件固有の訴訟手続の整備の要否について、2巡目の検討が行われた(○:委員、□:座長、△:事務局)。

ア 裁判の充実、迅速化について

 裁判の充実、迅速化について、鵜飼委員より資料126に基づいて意見が述べられた後、次のような議論がなされた。

○ 裁判を迅速に進めるための方策を考える必要があるということについては労使間に異論はないと考えているが、現時点で、労働関係事件に固有の訴訟手続が必要かという点については、使用者側としては必要性を感じてはいない。
 計画審理を進めることについて異論はないが、企業規模や地域によっても使用者側や弁護士の対応力には格差があるので、一律にタイムターゲットについての指針を定めることは適当ではない。地方の一般民事事件を扱っている弁護士は通常100件以上事件を抱えており、その中で労働関係事件のみ迅速に処理せよと言われると受任できなくなるのではないか。
 裁判の充実、迅速化を図るためには、現実には、運用改善の努力を行い、労使間で共通認識を作っていくことが先決だと考える。裁判官と弁護士による労働訴訟協議会で十分議論していくことが必要である。
 証拠の収集については、今般の民事訴訟法改正で訴え提起前の当事者照会制度等が導入される予定なので、その活用状況を見て問題点を洗い出し、その上でその他の点についての法制化の要否を検討すべきである。

○ 労働訴訟協議会では、単に運用の在り方だけでなく、特別の訴訟手続の必要性の有無についても議論がなされるのか。

△ 労働訴訟協議会の立上げには事務局も関与してきたので、その経緯を申し上げると、協議会では東京地方裁判所における実務の運用上の問題点を議論するということになった。

○ 運用の改善を図ることも重要であり、協議会では労働裁判の運用上の問題点を議論して改善を進めていきたい。制度改正については労働検討会で検討していきたい。

○ 司法制度改革審議会意見書は労働関係事件固有の訴訟手続の整備の要否についても検討するよう提言しており、これは審議会が現行の訴訟手続に対して問題意識を持っていたからだと理解しているが、使用者側は特に問題点はないという認識か。実務の運用改善で対応できる部分はあると思うが、それだけで対応しきれるのか。運用は人によって判断に幅ができ、曖昧な点が出てくる。そうした曖昧さを回避するためには、特則を法令で定めることが必要な部分もあるのではないか。協議会では、運用の改善を中心に議論されるようだが、運用改善では対応できない部分の特則を定めることを否定すべきではないのではないか。
 労働者側としては、裁判の迅速化と真実の発見のために、特に証拠開示がより十分に機能するような制度が整備されるようにすべきである。
 また、労働関係事件に係る訴訟費用の低額化、弁護士報酬の敗訴者負担の取扱い、労働組合の専従の役職員に対する一種の訴訟代理権の付与についても、検討すべきである。

○ 資料126-Ⅲ-2-第4-2(文書の提出)の趣旨は、釈明権の行使ということか、それとも職権で提出を求める新たな制度ということか。後者の場合、現行の文書提出命令との関係はどうなるのか。
 また、提出の対象となる文書の範囲を広げると、証言拒絶事由に該当する文書等をどのように保護するかが問題となり、さらに提出されない場合に一定のサンクションまで与えるとなると、一律に文書の提出を求めることができるようにすることは適切ではないのではないか。民事訴訟法との整合性を欠くおそれはないか。

○ 文書の提出を求めることについては、釈明権の行使として考えている。提出しなかった場合の効果としては、当該文書に係る主張を削除することや弁論の全趣旨の中で斟酌する等、いろいろとバリエーションがあり得ると思う。

○ 文書の提出自体が争われて、訴訟手続の中でさらに紛争が生じる事態は好ましくなく、提出できる資料は当事者間で出し合うことが望ましい。
 また、労働関係事件の訴訟も民事訴訟の一環であると考えると、弁論主義が適用されるのであるから、文書の提出は当事者の申立てを待って行うべきではないか。裁判官は補助的に関与すべきであり、裁判官が職権で文書提出を求めるというのは職権主義的である。

○ 当事者の申立てのみに係らせることでもよいかも知れない。ただ、本人訴訟の場合についてどのように考えるかといった問題もある。現行の文書提出命令はその当否が争われると裁判が長期化するので、釈明権の行使という形での対応を考えるべきである。

○ 強制的に文書を出させるには、結局は文書提出命令によらざるを得ない。特別な釈明権を規定しても、あまり意味がないのではないか。

○ 現在、釈明権の行使に関しては、それに違反しても制裁はないが、労働関係事件については何らかの制裁を考えることができないかという提案である。

○ 釈明権の行使に従わない場合に制裁を課するとすると、民事訴訟の基本を変えることになるのでなかなか難しいのではないか。

○ 労働法は市民法を修正するものであり、実体法の中でも解雇ルールを明確化しようという動きがあるところであり、訴訟手続に関しても特則を考えることが必要である。
 釈明権の行使に従わない場合については、強力なサンクションまでは不要で、弁論の全趣旨の中で斟酌していけばよいのかも知れない。

○ 労働関係事件について特別の訴訟手続を設けるのであれば、労働関係事件か否かの仕分けを行うことが重要となる。中には労働関係事件か否かが明確でないグレーゾーンの事件もある。また、労働関係事件と一般の民事事件が併合して提起された場合はどうするのかといった問題もあり、労働関係事件に特則を設けることは、そう簡単ではない気がする。
 計画審理を進めるべきことはそのとおりであり、実務家として努力が必要であると考えている。しかし、仮に資料126-Ⅲ-2-第3のように法令で期日指定等の在り方を規定した場合に、労働関係事件を担当する弁護士は実際に対応できるのか。また、本人訴訟の場合や期日間際に弁護士が受任する場合もあり、ケース・バイ・ケースで対応する必要がある。指針として謳うことがどこまで効果的か疑問である。
 解雇事件の優先処理義務についても、実際上可能なのか。仮処分事件で2~3週間ごとに期日を入れる場合でも対応が大変なのに、本案訴訟でも同様のペースで対応できるのか。まずは、その点について弁護士側で共通認識を形成することが必要と考えられ、実際にできないことを法制化することには無理がある。

○ 労働関係事件の定義については、当面は個別紛争が中心となると思うが、明確にする必要がある。個別に事件類型を列挙していく考え方や、労働契約の締結、変更、終了に関する紛争、契約上の債務不履行や不法行為に関する紛争といったように包括的に規定する考え方が考えられる。
 また、弁護士側の体制を整備することは重要であるが、弁護士の都合だけでなく、利用者のニーズを考える必要がある。ケース・バイ・ケースで柔軟な対応は必要であるが、努力目標となる指針を設けることが必要である。
 現状では、第1回期日に相手方が欠席して空転するというむなしい場合がある。互いに努力して改善することが必要である。
 さらに、仮処分の在り方についても、地裁間の運用の違いや本案判決との判断の違いといった混乱を是正することが必要である。

○ 労働関係事件に特有な迅速化のための工夫については、法制化すべきか運用で足りるかはともかくとして、その余地はあるのではないかと考える。それが実現できるかどうかについては、まず、弁護士側の業務量、期日指定の問題があるが、今後は法曹養成制度が変わっていくので、必ずしも現状を前提とする必要はないのではないか。また、微細な主張立証がなされるといった労働関係事件自体に内在する迅速化の阻害要因については、長期化の原因を探り、それを取り除いていくことが必要である。

○ これまでの労働裁判は、十分な証拠が入手できない中で、労働組合の支援がある等のいわば選ばれた事件が中心的に訴訟で争われてきており、いろいろの主張立証を五月雨式に行う等、時間もかかり、書類も膨大なものとなっていた。こうした事件は今後もあるだろうが、現在は、解雇され労働組合のバックもない個別紛争が増加してきた。こうした事件は早期に争点整理を行い、短期間に処理することが必要である。

○ 弁護士の業務量については、今後個別紛争が増加し、一般民事事件も増加する中で、法曹養成制度が変わるからといって十分とは言えないのではないか。
 また、解雇事件の性質も変化しており、これまでは従業員が重大な企業秩序違反を行ったことによる解雇事件が中心であったが、今後は能力主義・実績主義の下で、成果の出ない従業員の解雇事件が増えてくる。こうした事件では、能力の有無、労働契約の内容、執務態度、人間関係や意欲、病気の有無、私生活上の問題点、会社側の対応等を全体的に議論することが必要となり、このような複雑な事件を迅速、適正に処理しようとすると、書面も厚くなりがちになる。今後はこうした議論も避けられなくなるのであり、したがって、少なくとも弁護士の都合で弁論の期日が入らないといった事態ぐらいはなくしていくべきだと考えている。

○ 資料122-2(3)で、解雇理由の後出しが認められることが審理の遅延等の原因であるとの意見があるが、企業側も裁判で資料等を出し惜しみして得になることはないのであり、証拠を出さないというのは例外的な事件ではないか。
 また、同じ資料に、使用者が第1回口頭弁論期日までに解雇理由を提出することは過大な負担とまでは言えないとの意見があるが、証拠資料等を集めることは大企業でも大変なことであり、まして中小企業ではスムーズにはいかないのではないか。

○ 東京地方裁判所民事19部の昨年の平均審理期間を調べてみたところ、労働事件全体では10.5か月であった。そのうち、解雇無効を求める事件に関するものは16.3か月であった。この期間のさらなる短縮化を図るべきことはもちろんであるが、極めて長期化しているとまでは言えないと思われる。
 解雇事件では、解雇の有効性については様々な事項を総合的に判断すべきこととされており、いろいろな主張立証が出されてくることとなる。解雇事件に内在する本質的な要素として、審理が長期化しやすい傾向があるのではないか。
 また、裁判ではなるべく主要な基本的争点に主張を絞ってもらうように努力しているが、当事者の力関係として大企業では多くのスタッフを擁して訴訟に臨んでいるため、労働者側は反論が大変になることがある。審理期間を短期間に限定すると、むしろ労働者側が十分に反論できるのか疑問である。一律に期間を区切るメリットがあるのか。必要な主張立証を尽くさせないと、裁判に対する納得が得られなくなるおそれがある。
 また、弁護士が忙しすぎるということもある。弁護士が証拠を集めるのにある程度の期間がかかってしまうとともに、一人がいくつもの事件を同時に抱えている。さらに、多くの弁護士が付いている事件では、そのうちの一人に差し支えがあると、期日の指定が延びてしまうことがある。

○ 訴訟が長引くと、労働者側に対応するだけの余力がなくなってしまうので、迅速化を図ることが重要であるが、紛争解決の適正性と迅速性を両立させることは難しい。確かに、特に解雇事件では、労働者が原職復帰を求めている場合にはさらに迅速性が必要であるが、他方、解雇事件は難しく時間がかかりがちである。したがって、タイムターゲットを一律に設定することは困難であろう。
 ドイツでは一定の場合には解雇された労働者に就労請求権を認めているが、我が国では就労請求権が認められていないので、仮処分手続で職場復帰を命ずることができないため、訴訟期間中のリスクの分配が偏っているように思われる。本案訴訟の適正、迅速な処理を諮ることは重要であるが、仮処分手続を実体法の在り方と絡めて改善することはあり得るのではないか。

○ 仮処分を改善するとの意見は考えられるが、仮処分については本案で判断が異なってしまうといった問題がある。当事者は紛争の本来的な解決を求めており、この際、対症療法的な措置ではなく、もっと先を見通した抜本的な検討をすべきである。
 計画審理に基づく裁判の迅速化を図るという考え方は、当事者相互の協議で進めていくという日本的なものである。その際の指針となる指導理念を法律で定めていくことが必要である。
 解雇事件が難しいのは確かだが、その点については、キャリア裁判官のみでの裁判では不十分であり、労使が関与する労働参審制の導入が不可欠である。
 労働事件では迅速性は生命線であり、先ほど平均審理期間が10.5か月との話があったが、まだ期間として長い。当事者の協議の下で計画審理を進め、迅速な解決を図っていくことが必要である。

○ 解雇にも、整理解雇や一般解雇、また、懲戒解雇や諭旨解雇等様々なものがある。解雇がどれだけなされていて、そのうちのどの程度の件数が裁判所に提起されてくるのかを議論する必要がある。
 また、解雇事件では、裁判所に提起される前に、ADRその他で長ければ6か月程度期間がかかっていることもある。そのことを念頭に置いて議論する必要がある。

○ 各種の相談窓口には相当の件数の相談が寄せられていると考えられ、訴訟にまで至るのは圧倒的に少ないだろう。
 また、解雇事件の中には、「明日から来るな」というような思い付きのような解雇が結構多い。解雇にはきちんとした手順が必要であるとのルールを作り、思いつき解雇を抑制するためにも、解雇理由は一定期間内に出すようにしていくのが、企業の社会的な責任であると思う。

イ 裁判へのアクセスについて

 裁判へのアクセスについて、鵜飼委員より資料126に基づいて意見が述べられた後、次のような議論がなされた。

 ○ 定型訴状については、賃金や解雇予告手当の不払い事件についてのものが、簡易裁判所で用意されているが、解雇事件では、総合判断が必要となるので、本人が簡易訴状に記載するよりも、専門家である弁護士がついて法的に整理した訴状を作成した方がよいのではないか。むしろ、弁護士へのアクセスを拡充することが重要ではないか。

○ 弁護士へのアクセスは重要であるが、他方、個人で訴えたいというニーズもあり、それへの対応も必要である。裁判への入り口はなるべく敷居を低くする必要があり、定型訴状でも訴えとして受理し、その上で、第1回期日までの間での争点の整理等が重要となる。簡易に訴えられるようにするため、定型訴状を作成することが必要である。

□ 本人訴訟を念頭に置くと、訴状は簡単にした場合、その後の裁判手続も簡単にできるようになるのか。

○ イギリスでも、訴えの提起後に弁護士がつくことが多くなってきたとのことである。しかし、訴えの提起について難しく考える必要はないのではないか。

○ 資料126-Ⅲ-2-第6-1で「紛争の要点」を記載することを提案しているが、このようにすると相手方が迅速に答弁することは困難となり、14日以内に答弁書を提出させること(同・第3)とするのは困難ではないか。法律上、両者を規定することは難しいと考えられる。

○ イギリスでは、裁判所が当事者からよく事情を聴いて、訴状の補正を命じることもあるようだ。第1回期日までの間の当事者や裁判所の役割を工夫することが重要ではないか。

□ イギリス等では、労働事件の大量迅速処理のために定型訴状が導入されているように思うが、我が国では精密な司法手続が行われており、諸外国のシステムとの違いを考慮する必要がある。

○ 本人訴訟は地方裁判所ではどの程度あるのか。

○ 感覚的には2割程度ではないか。

○ 労働事件には弁護士がつくことが最も望ましい。本人訴訟にならなくてもすむように弁護士へのアクセスや法律扶助、労働組合の補助等の在り方を考えることの方が重要ではないか。

○ ヨーロッパでは、労働組合のリーガル・サポートの在り方が、どの組合に加入するかを検討する際の大きな選択基準であると聞いている。日本では、リーガル・サービスの観念がまだ薄く、本人訴訟は一定程度出てくるだろう。
 労働組合も組合員へのサービスとして訴訟の支援をしているので、弁護士と同等ではないかも知れないが、専従職員等が訴訟をサポートすることができるようにしてはどうか。また、法律扶助の対象になっている労働事件は少ないと聞いている。

△ 労働組合と弁護士との提携によって、訴訟へのアクセスの改善を図り得るのではないか。

○ 結構提携している。全ての都道府県で行っているわけではないが、いろいろの弁護士の方にお願いしている。
 また、ドイツの労働組合では、多数の弁護士が勤務しており、労働組合の中で弁護士に働いてもらうことも考えていきたい。

○ 弁護士の体制作りは重要である。しかし、本人訴訟の選択肢を排除することなく、なるべく訴訟の敷居を低くすることが必要である。

○ 労働関係事件が増えてくると、本人訴訟の場合に限らず、専門性の十分でない弁護士が労働関係事件を扱う場合も出てくるので、そうした弁護士のためにも定型訴状が必要となるのではないか。基本的な要件事実を整理することができるような最低限定型化した訴状が必要ではないか。

○ 最近は、一般民事事件を担当している弁護士が個別労働紛争を扱うことが増えてきている。
 また、解雇されてから提訴されるまでに、3~6か月程度時間がかかっている例が見受けられる。これは、労働局等への相談や合同労組による交渉もあるが、弁護士による訴状作成に時間がかかっているという事情もあると思う。
 使用者側は、答弁書に解雇理由を記載するなど、事実上は解雇の正当性を主張立証しなければならないので、定型訴状の活用は、個人的には裁判へのアクセスにとって一定の意味を持つのではないかと思う。

○ 労働関係事件の場合、訴えを提起するのはほとんどが労働者側であり、その費用負担能力を考えると、弁護士報酬の敗訴者負担制度については、訴えの提起を萎縮させ、泣き寝入りを増やすことになるのではないかと思うので、導入すべきではない。
 また、訴訟費用の低額化を一層図ってほしい。

○ 労働関係事件は特に勝敗の見通しが立ちにくく、敗訴者負担制度は訴え提起の抑止力となるおそれがある。
 また、労働法の分野では判例法理の果たす役割が大きいが、判例の存在しない事項では、敗訴を覚悟で訴えを提起することも多く、その判例の積み重ねがやがて法制度化されていくこともあるので、敗訴者負担制度は導入すべきではない。

○ 弁護士報酬の敗訴者負担の取扱いについては、1巡目の議論で述べたところと意見は変わらないが、導入する場合には負担額が予測可能な額であることが必要であると考えられるので、この点を特に付け加えておきたい。

○ 労働関係事件では勝敗の見通しが立ちにくいというが、労働参審制を導入した場合、勝敗の見通しはどうなるのだろうか。

○ 勝敗の見通しが立ちにくいので、労働関係事件に参審制度を導入すべきである。

(2) 次回の日程等

 今後の3巡目の検討の進め方について意見交換を行った。
 次回(第21回)は、平成15年6月20日(金) 13:30~16:30に開催することとし、労働関係紛争の解決のための専門的知見の導入の在り方について、3巡目の検討を行うこととされた。