首相官邸 首相官邸 トップページ
首相官邸 文字なし
 トップ会議等一覧司法制度改革推進本部検討会労働検討会

労働検討会(第30回)議事録



1 日時
平成15年11月26日(水)10:00~12:22

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委 員)
菅野和夫座長、石嵜信憲、鵜飼良昭、春日偉知郎、熊谷毅、後藤博、髙木剛、村中孝史、矢野弘典、山川隆一、山口幸雄(敬称略)
(事務局)
山崎潮局長、古口章事務局次長、松川忠晴事務局次長、齊藤友嘉参事官、川畑正文企画官

4 議題
(1)労働審判制度(仮称)の制度設計等について④
(2)労働委員会の救済命令の取消訴訟における新証拠の提出制限について
(3)労働訴訟協議会の検討状況について
(4)その他

5 議事

○菅野座長 それでは、ただいまから第30回労働検討会を開会いたします。
 本日は、お忙しいところ御出席いただきまして、ありがとうございます。
 なお、本日は所用により矢野委員が途中で退席される予定です。
 では、まず本日の配布資料の確認をお願いいたします。

○齊藤参事官 申し上げます。
 資料203は、「『労働審判制度』(仮称)の導入に関する主要な論点」、再配布でございます。
 資料204は、「労働審判手続(仮称)と訴訟の係属について」の再配布でございます。
 資料205は、「労働審判制度(仮称)の導入に関する主要な論点についての検討の概要〔改訂版〕」でございます。
 資料206は、「菅野座長提出資料」でございます。
 資料207は、「救済命令の取消訴訟における新証拠の提出制限に関する主要な論点」でございます。
 資料208は、「熊谷委員提出資料」でございます。
 資料209は、「石嵜委員提出資料」でございます。
 なお、参考資料といたしまして、ファイルにしております「中間取りまとめまでの主な検討状況」と、日本弁護士連合会労働法制委員会の「労働審判制度の制度設計について(骨子)」と題するペーパー、日本労働弁護団の「労働裁判改革を求める決議」のペーパーを配布させていただいております。
 以上です。

○菅野座長 それでは、本日の議題に入ります。
 本日は初めに、前回に引き続きまして、労働審判制度の制度設計についてさらに御検討いただきたいと思います。
 次に、労働委員会の救済命令の取消訴訟における新証拠の提出制限について御検討いただきたいと思います。
 なお、最後に、東京地裁労働部の裁判官と弁護士の間で協議を進めていただいています「労働訴訟協議会」の検討状況について、御報告をいただきたいと考えております。
 それでは、まず、労働審判制度の制度設計について御議論いただきたいと思いますが、前回までの検討の概要は資料205として事務局にまとめていただいておりますので、御参照いただければと存じます。
 また、本日は、これまでの検討会の議論を踏まえて、当検討会としての意見を取りまとめるために、労働審判制度の制度設計の骨子について、私の方で1つの案を整理しみました。資料206がその案です。もしよろしければ、本日はまずこの骨子案に基づいて御議論いただきたいと考えておりますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは私から、まず資料206の「労働審判制度(仮称)の制度設計の骨子(案)」について、説明させていただきます。
 労働審判制度の在り方については、9月以降、当検討会で集中的に御検討いただきました。その中では、①審判手続の進行を相手方の意向にかからせるか否か、②解決案の効力をどのようにするか、③訴訟手続とどのような連携を図るかという3点が、制度設計の根幹に関わる重要な論点として浮かび上がりまして、特に多くの時間を割いて御議論していただきました。
 そして、前回の検討会では、検討会としての意見集約を図る観点から、さらに議論を深めていただきまして、審判手続の進行、解決案の効力の点についてはおおよその方向性が見えてきたのではないかと感じているところであります。
 そこで、本日は、訴訟手続との連携の在り方も含めて、これまでの検討の中で御議論の分かれていた論点を中心として、労働審判制度の制度設計の骨子を固めていただく必要があるのではないかと考えまして、8月の「中間取りまとめ」、そしてこれまでの当検討会におけるさまざまな御議論を踏まえまして、座長として骨子案を提示させていただきました。ここに記載した3点を骨子として、今後の制度設計を行っていくこととしてはどうかと考えているところであります。
 まず第1の手続の進行についてでありますが、個別労働関係紛争について労働審判の申立てがあった場合には、相手方の意向にかかわらず労働審判手続を進行させ、原則として、調停により解決し、または解決案を定めるものとしてはどうかと考えております。
 ただし、事案の性質上、解決案を定めることが紛争の迅速かつ適正な解決のために適当でないと認められるときは、解決案を定めずに労働審判手続を終了させることができるものとしてはどうかと考えたところです。
 2の解決案の効力については、解決案に不服のある当事者が一定期間内に異議を申し立てることによって、解決案はその効力を失うものとしてはどうかと考えた次第です。
 次に、3の訴訟手続との連携についてでありますが、労働審判手続と訴訟手続との適切な連携に関しては、訴訟への移行をなるべく円滑で容易なものにする等の観点から、解決案に対して異議が申し立てられた場合には、労働審判の申立てがあった時に訴えの提起があったものとみなしてはどうかと考えております。
 そして、この場合においては、当該訴えの提起の手数料については、労働審判の申立てについて納めた手数料の額に相当する額は納めたものとみなすものとしてはどうかと考えた次第です。
 初めにも申し上げましたように、8月の「中間取りまとめ」以降、労働審判手続に関する論点全般について御議論いただいてきた中で、骨子案に挙げた3点が、相互に関連する最も重要な論点として浮かび上がって、委員の皆様にも特に熱心に御検討いただき、その結果、一定の方向性が定まってきたのではないかと考えたわけです。本日は、そうした点を固めていただきたいと思いまして、骨子案として提案させていただいたところです。
 まず、制度の骨子を固めていただいた上で、さらに必要な詰めの検討をしていきたいと思いますので、委員の皆様には何とぞ御理解を賜りたいと存じます。
 それでは、この骨子案について御意見や御質問がございましたら、御発言をお願いいたします。

○石嵜委員 この骨子案自体については、特別な意見があるわけではありませんが、希望としましては、労働審判を申し立てた申立人の中には労働審判手続までと、裁判まではという方もおられることは事実です。その手続でいけば、申立人が異議を述べられたときに、訴訟を希望しない場合は取下げという手続になると思いますので、定型的な取下げ書のようなものを用意していただいて、申立人の利便を図る準備をしていただければと思っております。これは希望です。

○矢野委員 入り口は厳しく出口は緩やかにという考え方のようですが、この手続の進行についてのただし書でございますが、紛争解決という趣旨から考えまして、担当裁判官と労使の審判官のそれぞれのケースに応じてよく相談し合って、ケース・バイ・ケースで決めていくことがいいのではないかと思います。訴訟手続との連携については、時効の中断とか、訴訟を望む当事者の便宜を図るものであるという理解はしておりますが、訴訟手続につきましては、専門家の手による公平な案づくりが必要なのではないかと思います。結論としてはこの骨子案は妥当なものであろうと思います。

○髙木委員 今お話がありました1項のただし書の「事案の性質上、解決案を定めることが紛争の迅速かつ適正な解決のために適当でない」云々ですが、これは大体どういうケースが例えば例示的にイメージされているのでしょうか。

○菅野座長 今までの議論の中でいろいろ出てきましたけれども、私としては、中間取りまとめの中でも出ましたが、簡易迅速に労使の専門家を加えて、権利義務も踏まえた調停による解決ないし解決案の提示によって解決していくという手続の性格からして、こういう紛争はこの手続にのせるのは難しいのではないかということがあるだろう、それを引き受けてやっていくことによって、本来の性格全体に影響を与えるようなことになっては元をなくすといいますか、そういうことがあるので、ただし書に書いてあるようなことを設けておく必要があるだろうと思うわけですが、具体的にどういうものかは、これからの運用の方針等を考える上では議論すると思いますが、最終的には裁判官と労使の審判官の三者に委ねて、しかし、第1項にある「原則として、調停により解決し又は解決案を定めるものとする」という趣旨は原則ですから、それを損なわないようにやっていただくということで今日のところはお答えしておきたいと思います。

○髙木委員 上に書いてあるものが原則で、「ただし」ということですが、解決案を定める云々のケースが運用の中とはいえ、多く出てくるようだとこの仕組みをつくった意義が大分減殺されるのかなと、そういう意味で判断は三者の合議でという御説明がありましたけれども、ただし書が広範囲に使われるようなことにならない歯どめといいますか、その辺をきちんとみんなが理解できるような表現がどこかで要るのではないかという気がしています。
 もう1点、3の訴訟手続との連携のところで、審判の申立てがあったときに訴えの提起があったものとみなすということですが、もちろん労働審判制度は非訟手続で、それを訴訟手続があったものとみなすということで、非訟と訴訟の手続間のつなぎ方というのでしょうか、とりわけ証拠をどのように扱っていくのか、そのことにここでは触れられておりませんので、お考えがあったらお聞かせいただきたいと思います。

○菅野座長 これは、最も中心的な論点3点について取り上げて、資料に書いてあるような限度で今日、まず皆様の合意を図った上で、なおその後の残った論点についてはこれから検討いたしまして、今おっしゃった点は残った論点としてさらに検討していけばいいと思いますが、それについてもいろいろな御意見を伺って工夫を加えたらいいかと思います。

○髙木委員 私は事件記録は手続上整理を要する面もあるのかと思いますが、原則としては、訴訟手続に引き継いでいく。それは訴訟経済という意味でも、その方が当然いい話だろうと思いますので、事件記録は原則として訴訟手続で引き継いでいくという方向で御検討いただきたいと思います。

○菅野座長 そのほかにございますでしょうか。
 それでは、この骨子案については、委員の皆様に基本的に御了解いただいたと理解してよろしいでしょうか。
 それでは、この骨子案については、当検討会として合意を得られたということで進めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 今後は、資料203、資料204の「主要な論点」等をもとに、これまで御議論いただいた点を踏まえまして、制度設計の詳細を詰めて、法案の作成作業を進めていく必要があります。資料203をごらんいただくと、この骨子によって、いわば解決したときというか定められた点もありますが、なお残っている点もございます。
 しかし、残された検討時間が限られております。そしてまた、法制上の技術的な論点もありますので、私としては、事務局にある程度具体的な制度案の検討を詰めていただきまして、次回の検討会までにあらかじめ委員の皆様にたたき台をお示しした上で、次回の検討会で御検討いただいてはどうかと考えますが、いかがでしょうか。
 ただし、具体的な制度案の検討を詰めるに当たりまして、特に御質問等があるという点は今日承っておきたいと思います。
 そういう進め方にしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、進め方は事務局にある程度具体的な制度案の検討の詰めをしていただいて、その結果をあらかじめ皆様にお示しし、委員の皆様の意見を聞いた上での案を次回の検討会で示して検討することにしたいと思いますが、今日特にこれから行うさらなる検討の内容について御意見があれば承っておきたいと思います。
 先ほども幾つか御希望が出されましたが、そのほかに何かございましたら伺っておきたいと思います。
 それでは、今申し上げましたようなやり方でさらなる検討を進めたいと思います。
 次回は労働審判制度のある程度具体的な制度案について御検討いただくことにいたします。
 それでは、労働審判制度についての本日の検討はこのぐらいにいたしまして、次に、「労働委員会の救済命令の取消訴訟における新証拠の提出制限」について、御検討をお願いいたします。
 この検討事項については、「中間取りまとめ」以降、大分時間がたっておりますので、まずこれまでの状況について簡単に振り返っておくとともに、この検討事項について本日検討いただくべき主要な論点を確認しておきたいと思います。
 事務局からの御説明をお願いいたします。

○齊藤参事官 それでは申し上げます。
 「労働委員会の救済命令に対する司法審査の在り方」につきましては、本年7月に厚生労働省の研究会において取りまとめられました「不当労働行為審査制度の在り方に関する研究会報告」等をもとに御議論いただきまして、8月の「中間取りまとめ」におきましては、「労働委員会における不当労働行為事件の審査の際に提出を命じられたにもかかわらず提出されなかった証拠が、救済命令の取消訴訟において提出されることに関して、何らかの制限を課するものとすることについて、引き続き検討することはどうか」とされたところでございます。
 その後、9月からは、厚生労働省の労働政策審議会におきまして、さらに検討が進められているところでございます。
 そこで、本日は、救済命令の取消訴訟における新証拠の提出制限につきまして御検討いただくため、資料207といたしまして、「救済命令の取消訴訟における新証拠の提出制限に関する主要な論点」と題する資料をお配りさせていただきました。
 この「主要な論点」では、8月の「中間取りまとめ」におきまして、さらに検討することが必要とされている事項を中心に整理してございます。
 まず、1におきましては、「中間取りまとめ」の第4の本文で、新証拠の提出「制限を課するものとすることについて、引き続き検討すること」とされておりますことから、新証拠の提出制限の措置を講ずることの当否として、そうした措置の必要性の有無等について、御検討いただければと考えております。
 続いて、2におきましては、「中間取りまとめ」の第4の(注2)で、「①労働委員会における証拠の提出を命ずる手続等の内容、②証拠の提出を制限することができるための要件」について「なお検討することが必要である」とされておりますことから、新証拠の提出制限の措置を講ずることとした場合におきましては、提出制限をすることができるための要件等を御検討いただくこととし、具体的には(1)としまして、新証拠の提出制限の措置の前提となる労働委員会における証拠の提出を命ずる手続の在り方について、(2)としまして、提出制限の具体的な要件について、(3)としまして、労働委員会において証拠の提出が命じられたにもかかわらず提出されなかった証拠であっても、取消訴訟の段階で提出制限の対象とならない場合があるかどうか、あるいはそれは具体的にどのような場合かということについて、御検討いただければと考えております。
 最後に、3におきましては、「中間取りまとめ」の第4の(注2)で、「③証拠の提出の制限の効果等について、なお検討することが必要である」とされておりますことから、新証拠の提出制限の措置を講ずることとした場合における、提出制限の効果について御検討いただければと考えております。
 以上でございます。

○菅野座長 ただいまの説明にありましたように、新証拠の提出制限については、現在、厚生労働省の労働政策審議会において検討が行われているところでありますが、その検討状況等について、熊谷委員から資料208を提出していただいております。そこで、熊谷委員から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○熊谷委員 それでは御説明させていただきます。
 資料208-1「想定される措置のイメージ(案)」を使いまして御説明させていただきます。
 この「想定される措置のイメージ(案)」という資料でございますが、これは厚生労働省の労働政策審議会にこの問題を検討するため設けられた部会に、11月14日に提出された資料でございます。労働政策審議会の部会におきましては、不当労働行為審査の迅速化、的確化という観点から、いろいろな改善措置について議論が現在行われているところでございますけれども、今後の議論をさらに深めるために具体的にどういう措置をイメージして議論するのかということが明らかになるように、このイメージ案を提出して御議論いただいたものでございます。
 証拠提出命令、それから新証拠提出制限の関係に重点を置いて御説明させていただきたいと思います。
 証拠提出命令の関係につきましては、1ページの「I 審査手続」の2の(1)からでございます。これは、労働政策審議会におきましては不当労働行為審査制度の問題点として、審査の遅延の問題と命令に対する取消率が高いことが認識されているわけでございますけれども、特にこの命令に対する取消率、これは一般の行政事件訴訟の2倍近い状況でありまして、こういうことでは不当労働行為審査制度への信頼が損なわれるのではないかという問題意識から検討が行われているものでございます。特にその背景には、労働委員会において事実認定に必要な証拠が提出されない場合があることが大きな原因の1つとして認識されているところでありまして、そういう観点から、この審査の的確化を図るために証拠を確保できるようにするような措置が議論されているということでございます。
 また、審査の迅速化という点もあるわけですけれども、証拠がきちんと迅速に確保されるようになれば、特に中央労働委員会におきましては多数の証人尋問を行うような必要性もなくなり、迅速化にも資するのではないかという観点でこの問題について議論が行われているところでございます。
 一般的に行政審判制度におきましては証拠提出命令は広く認められているわけでございますが、労働委員会におきましては、公労使の三者構成で労使紛争を解決する機能を果たしているわけですので、そういう点も十分考慮いたしまして、和解によっても解決せずに命令を出さざるを得ない場合に、証拠提出命令の範囲を限定して事実認定に必要な証拠の提出を命ずることができるようにすることとしてはどうかということで、この案が整理されているところでございます。
 具体的には、証拠提出命令の対象は不当労働行為事件に関係のある帳簿書類その他の物件でございます。
 権限行使の手続でございますが、当事者の申立てまたは職権によりまして、公益委員会議または小委員会、これは中労委で新たに設けることとしておりますし、地労委でも条例によって設けることができるようにすることと予定しておりますけれども、数人の公益委員によって今の公益委員会議にかわるものとして検討の主体となるものでございますが、これらが提出を命ずるものとするということでございます。
 また、提出を命じようとする場合には、所持者から事前に意見聴取をしなければならないという手続をつけているところでございます。
 命令の対象物件の限定でございますが、1つには事実認定に必要な範囲に限定するということでありまして、この命令は必要な限度を超えて行うことができないということでございます。また、労働者のプライバシーに配慮して提出を命ずるものとすることとされているところでございます。
 さらに、部分提出の許容でございますが、対象物件について取り調べる必要がないと認める部分があるときは、その部分を除いて提出を命ずることができるということでございます。
 次に対象物件の特定でございますが、この証拠提出命令の申立てに当たりましては、物件の表示、趣旨、所持者、証明すべき事実を明らかにして行うものとするということでございます。さらに、この命令につきましても、物件の所持者に対して物件の表示、趣旨、証明すべき事実を明らかにしなければならないということでございます。
 次に、異議申立て手続でございます。一般的には、行政の審判制度における証拠提出命令ではこうしたものはついていない例が多いかと思いますが、処分に不服があるときには、処分を受けた日から1週間以内に労働委員会に異議の申立てすることができるものとするものでございます。この労働委員会は、先ほどの公益委員会議または小委員会を指しているものでございます。
 提出命令に従わない場合の措置でございますが、正当な理由なく提出しない所持者につきましては、行政罰としての過料を科してはどうかということでございます。
 この制度を設けるに当たりまして、2ページの3でございますが、「公益委員の除斥、忌避」の制度を整備する必要があるということでございます。
 あわせまして、3ページに「III 審査体制」がございますが、労働委員会の審査の体制の充実を図ることも議論されておりまして、特に中央労働委員会につきましては、現在は非常勤ばかりですけれども、常勤の公益委員を配置すること。それから小委員会方式を導入することが議論されていますが、各小委員会には常勤委員、あるいは法曹資格者を配置することがあわせて盛り込まれているわけでございます。
 引き続きまして、新証拠提出の制限につきましては、同じく3ページのIIに掲げられております。新証拠提出の制限につきましては、不当労働行為事件に関して労働委員会に提出されなかった証拠が取消訴訟において新たに提出され、これに基づいて事実認定が行われた結果、命令が取り消される場合があるわけでございます。
 こうした中で、労働委員会から提出を命じられたにもかかわらず提出されなかった証拠を取消訴訟において提出することについて、1つは、紛争の早期解決のために労働委員会で主張立証を尽くした相手方との関係で信義則に反する場合があるのではないかということ。もう一つには、労働委員会の審査あるいは裁判所の審理の長期化を招くことから、正常な労使関係秩序の維持・確保を目的とする不当労働行為審査制度の機能が没却されるという問題が考えられるわけでございます。
 こうしたことから、労働委員会段階で提出されなかった証拠のうち一定範囲のものについて、取消訴訟においてこれを提出することを制限する制度を設けることとしてはどうかということが議論されているわけでございます。
 具体的な仕組みは資料にございますけれども、1つは、制限の要件であります。これは労働委員会の証拠提出命令を受け、かつ当該命令にかかる対象物件を提出しなかったということ、それからただし書にございますけれども、提出しなかったことにつき、正当な理由がある場合でないこと。この両者に該当する場合において、当該物件を制限の対象とすることとしてはどうかということでございます。
 この提出制限の効果でございますが、当該物件について取消訴訟において証拠の申し出ができない、とすることとしてはどうかということでございます。
 以上のような「想定される措置のイメージ(案)」というものをもとに労働政策審議会においては議論が進められているところでございます。
 まだ一定の方向が固まる段階には至っておりませんで、12月に入りまして2回ほど議論が予定されているところでありまして、年内の取りまとめに向けて議論が進んでいる状況でございます。
 以上でございます。

○菅野座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明を踏まえて、資料207の「主要な論点」に沿って議論していただきたいと思います。
 どうぞ、御意見等がございましたら、御発言をお願いいたします。

○髙木委員 今日配られております労働弁護団の全国総会の決議の2にも書かれておりますように、司法制度改革審議会の意見書で労働委員会の関係については、審級省略の問題等まで含めて検討したらどうかという提起を受けているわけですが、実質的には審級省略に議論が進み得ず、実質的証拠法則等も詰めた議論にも入れず、労働委員会の側の改善努力が待たれるということで、その1つとして新証拠の提出制限、せめてこのぐらいはやろうという次元のお話ではないかと私には受けとめられるのですが、せめてこのぐらいはという次元ででも、ぜひこれはきちんとまとめていただきたいものだと、労働政策審議会の状況も聞いておりますけれど、そういう感想みたいな話です。

○矢野委員 質問ですけれども、この問題の最終決定はどこがやるのですか。ここでやるということなのでしょうか。

○菅野座長 この検討会としてきちんと取りまとめなければいけないと思います。

○矢野委員 この検討会としての意見を取りまとめるということですね。厚生労働省の審議会も意見を取りまとめますよね。それとの関係はどちらが優位に立つのでしょうか。

○菅野座長 労働政策審議会での検討を参考にして、私たちの意見を取りまとめるということを考えております。

○矢野委員 そういうことですね、それでは私から意見を述べさせていただきます。労働委員会という場に行きますと、使用者側はいつも被告なんですね。そういう命令を出される立場となるわけですが、私たちとしても、裁判所の審理に耐え得るような質の高い命令を出してほしいと願っているわけですね。決して後でひっくり返るものを望んでいるわけではありません。だからといって、今回出された案のように法律を改正してまで新証拠の提出制限をしなければならないのか、その措置の必要性があるのかということについては疑問を持つわけです。まず、証拠の後出しの問題ですが、地労委の段階から当事者は勝ちたいと思っているわけで、訴訟の段階までしまっておいて出さないというようなことは考えにくいわけですね。新証拠の提出を制限しなければならないほど、労働委員会の段階で証拠が提出されていないのかどうか不審に思うわけで、また労働委員会で証拠提出を強く要請したことがあるのか、そういう実態を知りたい。また、それに基づいて検討したいと思うんですね。
 今申し上げたこととも関連するのですが、労働委員会の命令が取り消される理由の重要な原因の1つとして証拠の後出しがあるという御説明があったのですが、本当にそうなのかという疑問を強く持っています。労働委員会の事実認定のやり方とか、不当労働行為の正否の判断の仕方、むしろそちらにより大きな問題があるのではないか。原因と結果の関係が正しい認識に基づいているのかどうかと思うんですね。ですから実態として、後出しによって、あるいは労働委員会に証拠を提出したけれど使用者が拒否することによって、あえて後で裁判段階で証拠を後出しで出したためにそれを理由に取り消された事案が、本当に法律改正を必要とするほどあるのかどうか。これははっきりと知りたいと思いますし、果たしそうなのかということについては強い疑問を覚えます。
 仮に合理的な理由がなくて、あえて証拠を出さないような場合があったとしても、訴訟の一般手続の中で信義則や時機に後れた攻撃防御方法の却下ということがあるわけですから、不都合はないのではないかと思うんですね。そうしたことを考えますと、論点の1にある当否についてはその必要はないのではないかと思います。もちろん、いろいろな実態をベースに厚生労働省の審議会でも論議がなされていると思いますので、その辺を大いに参考にしていかなければいけないと思います。
 今度は一般論ですけれども、労働委員会の判断が先にあって、裁判所であろうと、あるいは裁判所で下級審から上がってきたケースであろうと、それぞれの場で不十分と言われた部分をもう一度強化して説明するために証拠を出すことは当事者の権利として当然認められているのではないか。私どもが期待する裁判の一般ルールではないかと思うんですね。というようなことを考えますと、新証拠の提出制限はやるべきではないのではないかと思います。1が当否の「否」のほうですので、2というのも変なのですけれども、頭でいろいろ考えてみますと、どういう問題が起こるかということですが、要するに公益委員あるいは小委員会での公益委員の合議によって証拠提出命令を出せるようにしようというのが労組法改正案の骨子だろうと思うんですね。
 いろいろ考えて、いろいろな問題点があるんですね。プライバシーに関わる文書ということも資料に載っていましたが、それ以外に営業機密の文書もたくさんあるんですね。こうした規定が濫用されるおそれがないのかどうか。あるいは、提出命令をめぐって異議が出されて審査が遅延することはないのか。そもそも労働委員会は、事件を和解などで解決するなどの調整的機能を果たす場だと思うのですが、公益委員にこうした強制権限を認めるということは調整的機能を阻害することになるのではないか。
 こうして考えると、参与委員の位置づけ、役割ももっと法的に明確にした方がいいのではないかということになるし、これは弁護士の先生方からお伺いした方がいいと思いますが、労使委員がそれぞれの当事者に勧めるという話もあると思うんですね。
 こうして読んでおりますと、民訴の手続に近づけようということにも読めるわけですが、そもそも審問廷の秩序維持の問題をどうするのか。当事者として目に余るケースが多々ありまして、そういう面についての配慮の方がむしろ重要なのではないか。こういうことを考えるわけですので、この辺をむしろ審議会で議論していただいているので意見は留保しますが、今申し上げたようなことを考えただけでもいろいろな問題があるということだけは御認識願いたいと思います。

○鵜飼委員 矢野委員の意見に対する私の意見ですけれども、労働委員会制度は御承知のように、憲法、労組法に基づいて団結権侵害を迅速かつ的確に救済するという制度趣旨によって設けられたわけで、これはもう共通の認識になっていると思いますが、労働委員会の事件処理が非常に長期化している。さらに不服率は高い、取消率も高い。このように労働委員会制度がデッドロックに乗り上げているような状況になっている、何とか機能を回復させなければいけない。こういう問題意識はこの間の労働検討会におけるヒアリング等においても出されましたし、労働政策審議会においても共通の問題意識に基づいて今の制度改革が提言されているのであろうと思います。
 審問手続の長期化の1つの大きな要因が、特に不当労働行為の中の差別事件等で典型的にあらわれてきますけれど、会社側にある差別を客観的に明らかにできるようなさまざまな資料について、この資料の提出をめぐる攻防が労働委員会の中で相当長い時間をかけて行われまして、本当は資料等が提出されれば客観的な事実関係は早く確実に把握できるにもかかわらず、それがなかなか提出されない。提出できるような制度的な手当もない状況で、かなりの数の証人調べを行うということもありまして、これも労働委員会の長期化の原因になっていると思います。労働委員会は調整的機能を持っていることは間違いないのですが、やはり救済機能というか判定的機能も1つの大きな柱なわけですけれども、それがある意味では機能麻痺の状況になっている。その1つの解決すべき核になる部分について、いかに迅速かつ的確に証拠を審問廷の場に提出させることができて、そして正確な事実認定を早期にできるかということになると思います。
 したがって、提出命令についてはこれまで総会付議事項であって、それはほとんど機能しなかったわけですが、これを公益委員会議または小委員会で行うことができるのはかなり大きな前進だろうと思います。これはぜひ実現していただきたいと思います。必要な証拠が出されるようになれば、計画審理等もかなりできるようになりますし、証人調べ等も絞って行うことができると思います。
 新証拠の提出制限は、取消訴訟になったときに労働委員会での証拠提出命令という制度を前提として、それをよく機能させるためには、提出命令がかけられた証拠を出さなかった場合には、それを訴訟の段階において出すということは認められるべきではない。先ほど熊谷委員がおっしゃった2つの趣旨から言ってもそうだと思いますけれども、そういう意味では、新証拠提出制限は、証拠提出命令という制度を設けていて、的確迅速な救済命令を出して解決を図っていくこととパラレルといいましょうか、裏表と言いましょうか、訴訟手続においては新証拠提出制限を設けることによって、より実効あらしめることになりますので、これはむしろ車の両輪と考えるべきではないかと思います。私は、この基本的な方向についてはぜひ実現すべきであると考えています。

○石嵜委員 取消訴訟における新証拠の提出制限は、一に労働委員会の証拠提出命令にかかっているわけですね。これは証拠提出命令がなされたものについての議論ですから。そうすると労働委員会の証拠提出命令が実務で的確に運用されていくのかということにかかってきて、これが本当に労働委員会の救済命令が迅速で、かつ的確な内容に資するかという議論をきちんとしなければいけないだろうと思うんですね。
 実務家としての感覚だけで申し上げておくと、労働委員会の提出命令に関しては結局、異議申立てが出てくる。そうすると、この異議申立てで混乱するのではないかというのが実務家の感覚なんですね。的確化については意見を言えるような考えはないのですけれども、本当にこれが導入されて動き出したときに、迅速化に資するのか、提出命令をめぐった異議申立てで実務は混乱するのではないだろうか。裁判所の方で裁判官の証拠の提出命令がありますけれども、余り出されないその理由の1つは、それを出すことによって、それをめぐっての議論が出てくる。したがって実際上は、裁判所の方で代理人に出すようにおっしゃる。こういう形で実務運用される。ですから、地労委においても中労委においても、せっかく使用者側と労働者側の参与委員がおられて、公益委員との三者構造で和解も進めていく。これによって8割近い事件解決がなされていることを考えると、証拠の提出についても3人の説得で現実にやってきたし、この機能を高める方が、実際は迅速には資するかもしれないという気持ちを持っております。提出命令即異議申立ての関係について、本当に迅速にいけるという自信があるのかなというのが、実務家としてはちょっと気になるところですが。

○熊谷委員 先ほどの矢野委員のお話と今のお話と、若干補足的に御説明だけさせていただきたいと思います。
 先ほど実態面のお話がございましたが、本日の資料の中で資料208-2に平成6年から13年までの取消事案一覧がついております。これはこの間に30件の取消事案があったわけですが、新証拠の後出しが原因となるのは「○」がついている3つという認識でありまして、この資料で労働政策審議会の方でも御議論いただいているところでございます。問題は、先ほどもお話がありましたように、新証拠の提出制限の議論と証拠提出命令の議論とは2つあるわけですけれども、これ以外の30分の27はやはり事実認定をめぐってかなり取り消されたものがありまして、そういう意味で証拠提出命令ということを考えますと、後出しで取り消されたもの以外の方の事案について効果が上がってくる、つまり、的確な事実認定がなされて取り消されないような命令が出るようになると期待できるのではないかと考えられるわけでございます。
 なお統計的に、提出の要請があったけれども出さなかった例が何件あるかという数値はないわけですけれども、中央労働委員会なり地方労働委員会なり、関係者に話を聞きますと、そういうことがある程度見られるということでありまして、具体的な命令の中にも、提出を求めたけれど証拠が出されなかったということが書かれているものが幾つも具体的にあるわけでありまして、そういうことからすると、労働委員会において審査委員の提出要請があっても提出されないケースは一定程度あるのではないかと私どもは認識しているところでございます。
 個別的に5~6点の具体的な問題点の御指摘もございましたし、石嵜委員から御指摘のあった点も含めまして、検討すべき課題ということで現在、審議会その他の場でお示しいただいているところでございます。それらの問題点につきましても、どのように対応できるのかということも含めて、今後の労働政策審議会の中で議論されていくことになると考えているところでございます。

○髙木委員 ここで矢野委員と論争するのもどうかと思いますが、要は労働政策審議会で議論されているイメージというのでしょうが、資料を読む限りにおいては、所持者からの意見聴取だとか、暗闇でばっさりとこういうものを持ってこいなどというのではなくて、非常に丁寧な手続にする配慮がされているのだろうと思うんですね。そういうことで出してくださいと、出さない理由がどういうことなのかという理由の吟味ももちろんあるでしょうけれど、それで出さないでおいたものを取消訴訟にきたら、また別の論理で出すというのはちょっと論理一貫しないのではないかという感じがします。
 石嵜委員の、異議申立が出て混乱するというのは、こういうのをやるならやってみろと、異議をたくさん出してやるということなのか……

○石嵜委員 そんなことは言っていませんが。

○髙木委員 非常に挑発的な御発言ではないかなと。

○石嵜委員 いや、素直にそう思うから申し上げていまして……。

○山川委員 理論的な点ですけれども、ここで検討すべきことは新証拠の提出制限であるということですが、この問題は取消訴訟とか司法審査において準司法手続にどれだけ固有の意義を認めるかという点になるのではないかという感じがします。つまり、準司法手続を経たことに固有の意義を認めるかどうかということでありまして、もし固有の意義を全く認めないということになりますと、新証拠の提出は自由であるということになります。そうすると、例えば労働委員会が非常に不十分な証拠に基づいて命令を出した場合でも、後から補助参加人と被告である労働委員会がそれぞれ証拠を出して補充すれば、その命令は適法となるということで、認定における手続の誤りというか、そういうものは命令の違法事由になり得ない……極論なのですけれども、固有の意義を認めないとすればそういうことになるはずですね。
 逆に言うと、固有の価値を認めるとすると、そういった手続を経ることの利益が当事者双方にあるであろう、いわば特別の専門的行政機関を置いたことの意味、それによって審理をうける意味というものが両方の側にあるのではなかろうかという感じがします。
 そうなると、それを生かすことを取消訴訟においては考えることが理論上必要になると思います。逆に言うと、当事者という観点からすれば、一定の「前審」という言葉が妥当かどうかわかりませんけれども、準司法的行政機関により審理を受ける、そこで証拠の評価も含めて審理を受ける利益が当事者双方にあるはずで、新証拠の提出を無制限に認めると、言わば前審としての準司法的行政機関において判断を受ける利益が失われる。先ほど信義則ということをおっしゃいましたが、当事者にとって準司法的行政機関における審理の機会があるという意味で、一方に対して信義に反するということでもあるでしょうし、研究会報告の中で書かれている、労働委員会の存在理由が失われるというのは、手続固有の意義が取消訴訟上なくなってしまうはずではないかということになるのかなと思います。
 ただ、今回の研究会報告で打ち出したのは、言ってみれば、そういう固有の意味を持ち得るような形に労働委員会の機能を全体として強化するという、文書提出命令とか新証拠の提出制限を含めたパッケージの1つでありまして、準司法的機能を強化すれば、少なくともそのぐらいはできるのではなかろうかというスタンスで、恐らく研究会報告が出されたのではないかと思います。
 ですからほかの点でも、資料208-1にありますように、準司法的性格を強化するという提言をしているところであると思います。実質的証拠法則は、裁判官の事実認定における自由心証形成を拘束するというまた別の問題になりますので、そこまでは制限していないわけで、ほかの制度でも、例えば特許審判の取消訴訟では、実質的証拠法則の適用は制度上ないのですけれども、そこで一定の取消事由に限って主張立証ができるという扱いになっているのは、特許審判の準司法的性格を取消訴訟に生かしたのではないか。それは明文の規定がなくして最高裁が認めたものですので、解釈論でもそうなのですけれども、まして立法で準司法的性格を強化することを行う場合には、その一環として必要となるのではないかと、理論上の位置づけとしては思っております。
 文書提出命令との関係も、非常に広く考えれば、必ずしも必然的な結びつきはないわけで、実質的証拠法則がある場合ですけれども、アメリカでは文書提出命令と関係なく新証拠書類の提出を原則として認めない制度がとられていますので、要は行政機関の準司法的性格をどの程度強く認めるかという問題ではなかろうかと思います。ただ、何を出すべきかはっきりしないけれど、争点ないしは立証事項なりがはっきりしないのに後で提出制限がかかるのはおかしいと思いますので、文書提出命令という形で特定して、かつ出さないという形であれば、何を出す出さないは非常にはっきりしているという意味で、言わば限定しているという位置づけになるように思います。
 文書提出命令自体は労働政策審議会の検討事項なのでしょうけれども、1つは、先ほど矢野委員もおっしゃいましたが、実際に運用するときは、参与委員の意見を聴くことがないと審問は進まないと、経験は少ないのですが思いますし、そういうことを何とか制度上反映するという手もあり得るかもしれませんが、そういう形で実際上は提出の要請の段階で決着がつくことが多かろうと思います。逆に、裁判所においても異議申立て、抗告等の関係で余り文書提出命令は使われないということが運用として起きていますけれども、そういうことになるように、参与委員の協力を図ることがあろうかと思います。
 そういうふうに裁判所で運用ができるのは、伝家の宝刀のような形で文書提出命令という制度があるからではないかと推測しているのですが、実際に参与委員の関与との関係で、どのぐらい使うかということと、制度があることとは必ずしも直結はしないのではないかなと、まだ経験は薄いのですけれど予想はしております。

○石嵜委員 山川委員に1つだけ質問があるのは、準司法的性格の手続を経ることによって、双方に固有のメリットなり、その価値があるかとおっしゃったときに、山川委員は不当労働行為審査制度、もちろん調停は別ですけれども、救済申立ては労働側だけしかできない、使用者側はできないということとの関係ではどうお考えですか。

○山川委員 紛争解決制度ということですから、運用の問題はともかくとして、労使の参与委員が参加した手続ですし、不当労働行為が認められた場合にも救済も労使関係の実態を考慮してなされるという点で、専門家が入っていることに伴う利益はあるのではないか。

○石嵜委員 実務上の利益はわかるのですが、制度上の利益として、使用者が今の説明を受けますと、我々は被申立人だけだということになって、制度としてのお話としてはどうか。アメリカであれば、使用者側も申立人になれるという部分がありますので、それはよくわかるのですが、今の説明の準司法的手続を経ることによる制度上のメリットとして考えたときに、山川委員のお話を聞いているとそれが使用者側にあるのかという議論になりそうな気がしたんですね。

○山川委員 アメリカでも労働側の不当労働行為は限定されたもので、全く対等に構成要件が作られているわけではありませんし、数としても少ないのですけれども、それはともかくとして、そういう手続の中で専門家の参与を受ける機会があり、和解によって解決する。少なくとも運用は別だとは言いましたが、実際上は和解の役割が大きい。そういう点も含めれば、さらにあるのかなと思いますけれども。

○村中委員 必ずしも使用者側が訴えられないということと、準司法的なものを経ることのメリットとはまた別問題だろうと私は思います。要するに不当労働行為が成立するかどうかということに関して、専門性が高い、そして迅速的確な解決が受けられるというメリットがある。だから使用者側にとっても、これは本来不当労働行為ではないにもかかわらず不当労働行為であると言われるようなことが少なくなるとか、そこでの審査の判断の的確さ、あるいは迅速さが確保されれば、それはそれとしてメリットだという御趣旨だと思います。

○石嵜委員 それを否定しているわけではないのですが。

○村中委員 今回のこの議論は、労働委員会は事件数も地労委ごとでアンバランスになってきていますけれども、事件数は少ないところでも審理には長い時間がかかったりもしています。そこで言われるのが、事件の処理が当事者の、これを言いたいのだ、この証人を出したいのだ、この証拠を出したいのだという形で、当事者主導とは言わないですけれども、それで流れてどこへいくかわからないような審理になっているようなところがある。そこはもう少し公益委員のリーダーシップを少し高めて、本来の迅速で的確な判断を確保していかないと、労働委員会の在り方としてはまずいであろうということが重要な問題だと思うんですね。
 そういう点から見まして、公益委員のリーダーシップを高めてもらうと言いますか、ある程度職権主義的なものをしっかりしてもらうところとして、証拠の提出命令ももう少し迅速に出せるようにできないかということが議論されたと思いますし、それと鵜飼委員は先ほど車の両輪とおっしゃいまして、車の両輪かどうかはちょっとあれですけれども、それとの延長線上の問題として新証拠の提出制限もあっていいのではないか。それは実際の機能としては、山川委員がおっしゃるように、それは伝家の宝刀という形で機能するのであって、そうそう頻繁にそれが盛んに出されるようなことには多分ならないだろうと思います。
 これは当事者に対する1つのメッセージであると同時に、こういうことを言ってはいけないのかもしれませんが、地労委に対するメッセージでもあるのだと思います。ですから、今の審査の在り方を本来の姿に戻さないといけないのじゃないかということだろうと思いますし、そのメッセージ性のようなものもある程度のものを出さないと、今の状況を打破できないということになるのではないかと思っております。

○山口委員 厚生労働省の方向性がまだ固まっていないときになかなか意見は申し上げにくいのですが、新証拠の提出制限は、ある意味では労働委員会の段階で出してしかるべきであった証拠を出さなかったのに、裁判所の取消訴訟の段階で出すのはおかしいという一種の信義則的な考え方なのだろうと思いますし、それはそれで理解はできるのですが、その前提となる証拠提出命令の枠組みがきちんと固まらないと、その後の議論はしにくいのではないかと思っています。
 証拠提出命令について、例えば先ほどの異議申立てとも絡むのですが、出してしかるべきなのに出さなかったことに対するペナルティという発想からしますと、出してしかるべきかどうかについて、労働委員会の方では最終的に労働委員会レベルで決着をつけるということのようですが、それに対して不服のある当事者はもはや不服は言えないのかどうか、それについてまた新たな行政処分取消訴訟のようなことができるのかどうか等の問題もあるような気がしますので、労働委員会限りでとめておくような形にするのか、それとも別の不服申立てを考えるのかということもあると思います。逆に、当事者の提出命令申立てを労働委員会で却下したような場合に、裁判所で同じ文書についてまた改めて提出命令が認められるのかどうかという問題も関連して出てくるように思いますので、そのことについても検討する必要があると思います。
 この厚生労働省の案では、要証事実の関連ということで証拠提出命令が出せるということになっているようですが、要証事実が違えば新証拠提出制限の枠には引っかからないのかどうかという問題もあり、要証事実の同一性をどの程度のレベル、範囲で考えていけばいいのかという問題もあるような感じがしますので、そういうことも労働政策審議会ではもう少し議論して詰めていただきたいと思います。

○髙木委員 山口委員のお話は、そもそも労働委員会のような準備司法手続機関の権能をどう理解するのかという本質論にかかわる話だろうと思うんですね。ただ、どういう判断をしてもすべて最後は裁判所で判断するのが全能なのだという発想で物をとらえるのですか。御意見を聞いているとちょっとそういう感じがしましたので。

○山口委員 私はそういうことを考えているわけではありませんで、例えば先ほど言った提出命令の関係で、労働委員会への異議申立て段階でとめるというのであれば、それは1つの発想です。ただ、ある意味では一種の行政処分だと考えれば、行政処分の取消訴訟がなければおかしいという考え方もあると思うので、その辺は結局ユーザー主義という問題ですから、ユーザーがそれでいいと言うのであれば、それでいいのだろうと思いますけれども、そういう問題があるので、そういう問題があることを認識して議論してほしいということを申し上げているので、何でもかんでも裁判所に持ってこいと言っているわけではありません。むしろ裁判所からすれば、そういう紛争は少ないにこしたことはないので、その辺のことも考えて議論していただきたいということを申し上げているだけですが。

○鵜飼委員 この手続は労働委員会内にとどめる、要するに行政処分という性格のものではない形で制度設計ができないかと考えています。団結権侵害は一種の公序にかかわる紛争ですので、労働委員会が専門的機関として職権的にやるということは認められるのではないかと思います。
 要証事実の同一性ですが、これは不当労働行為をどうとらえるか、どういう基準に基づいて不当労働行為を判断するかが、実は労働委員会の考え方と裁判所の考え方が必ずしも一致していない。それは裁判官によって考え方が違うのはわかりますけれども、基本的なところは一致させる努力はすべきではないかというのがかねてからの私の意見です。
 もう1つは熊谷委員に御質問したいのですが、髙木委員がおっしゃるように、もともと労働検討会に付託されたものは、審議会の意見書にありますように、5審制に象徴されているような利用者にとってみれば非常に利用しにくい状況になっているという現状は何とか改善しなければいけないのではないかというところで、「中間取りまとめ」で新証拠提出制限についてまず検討して、先ずこれを実現していこうということだったろうと思いますが、一方で、労働政策審議会で労働委員会の審査体制、審査機能の強化のためのいろいろな施策が今日御説明がありました。その実施状況を参考にしながら、私は「中間取りまとめ」にありましたように、審級省略とか実質証拠法則、要するに5審制をなくすような議論のための検討も、労働政策審議会の議論を踏まえて行う機会を設けるべきではないかと思います。新証拠提出制限は当然のことだと私自身は思うのですが、それだけではなくて、さらに5審制という、一般のユーザーからは理解できないような現状を改善するための議論は労働検討会でぜひ進めていただきたい。そのためにいつごろまでに労働政策審議会でこの審査体制の強化についての具体的な方向性を出すことができるのか。その辺の時期的な話も含めて御説明いただければと思います。

○熊谷委員 まず鵜飼委員の御質問でございますが、労働政策審議会の部会は12月に2回の日程が入っておりまして、最後は12月16日でございますので、12月16日までには取りまとめていただきたいと、事務局としてはそういう日程で考えているところでございます。
 先ほどの山口委員のお話に若干関連しますが、先ほど、3点をよく整理していただいた方がいいというお話がございまして、鵜飼委員からも1つございましたので、私、若干認識が違ったものですから申し上げますと、まず、今回どうするという決まったものがあるわけではありませんけれども、証拠提出命令は他の行政委員会の証拠提出命令と同様に行政事件訴訟法の適用を受ける。恐らくそういうものになるのではないかというイメージで、よその例を見てもそういう取扱いが通例であるということで私は考えておりましたけれども、鵜飼委員のような御指摘もございましたので、よく検討して、審議会でまた議論していただくようにしたいと思います。

○石嵜委員 その関連で、確かに労働委員会内にとどめるか、行政処分の取消しまでやるかは、恐らく権利行使手続の相手方の範囲、つまり当事者間に対するメッセージの問題の中で処理するのなら議論できるのですが、この所持者は今のところ第三者も該当するんですよね。第三者はそれについて正当な理由なく提出しないとすれば、過料の制裁を処せられるるという手続なら、労働委員会内にとどめるというのは無理な話で、根本的にこういうものを含んで、本当に第三者まで含めるのかまたは当事者の問題としてするのかも、議論を十分していただいた方がいいのではないかと思うのですが。

○熊谷委員 その点については、これまでも御意見をちょうだいしておりますし、これからそこは整理していくことになろうかと思いますけれども、確かに労働委員会の場合は第三者でどういう人がどういうものを持っている場合にということを想定し得るケースが多くないと思っております。全くないわけではないとも思っておりますが、それが今の状況でございますけれども、その辺をよく整理して、また議論の中できちんとしていきたいと考えております。

○菅野座長 ほかにいかがでしょうか。
 もしなければ、この議題の本日の検討はこのぐらいにして、本日の議論を踏まえて、労働政策審議会においてもさらに検討を深めていただければと思いますが、当検討会としても次回の会議で一定の意見の集約を図るべく努力したいと考えます。そういうことでよろしいでしょうか。
 それでは、ここで休憩を10分入れたいと思います。

(休 憩)

(再 開)

○菅野座長 それでは再開いたします。
 残りの議題は、東京地裁労働部の裁判官と弁護士の間で協議を進めていただいています「労働訴訟協議会」の検討状況について、現状の御報告をいただきたいという件であります。
 労働訴訟協議会は、労働関係事件の裁判の運用の改善に関する事項を協議する場として、東京地方裁判所労働部の裁判官、労働者側及び使用者側双方の弁護士等により、本年5月から開催され、鋭意協議を進めていただいていると伺っております。
 協議会の立ち上げから半年がたちましたので、これまでの経緯、現在の検討状況、今後の予定等について一度御報告をお願いしたいと思います。
 それでは、石嵜委員から御報告をお願いいたします。

○石嵜委員 資料209を見ていただければと思います。「協議会の設置経緯」については既に御説明済みですので、これは省かせていただきまして、「協議条項」としては「適正かつ迅速な裁判を目指し、労働関係事件の裁判の審理を円滑に行うための運用の改善に関する事項について協議」するという形で、裁判官と弁護士の方で合意いたしまして協議を重ねてまいりました。
 協議事項は別紙を見ていただければ幸いです。訴訟の流れを訴訟提起段階、タイムターゲットの設定、そして争点整理段階、人証調べの段階と4つに分けまして、各段階における問題点と協議事項を引き出しまして、この一つ一つの流れに従って協議してまいりました。
 もう一度、表に戻っていただきまして、今までの協議スケジュールは月1回のペースでやってまいりまして、今見ていただきました事項についての意見交換をほぼ終えました。
 今後の進め方としましては、12月1日に7回目が行われますが、ここでは、中労委も参加していただきまして、不当労働行為の取消訴訟をテーマとした話し合いをするつもりでおります。最終的に、この協議会で話し合った内容についてどういう形で外部に発表するかについては、現段階では法律雑誌等で座談会のような形をとって発表する形で一応の用意をしております。ただ、最終的にはまだ話し合いになるかと思いますが、今のところ、雑誌に発表する形で考えております。
 では、どういうところがイメージとして話し合われているのかと言われますと、確かに裁判官6人と弁護士7人の話し合いとはいえ、互いの意見交換で一致したものを、すぐにこういうものがありますというと、他の弁護士の先生とかいろいろな人に影響がありますので、労働法制委員会でもいろいろな意見があったものですから、それについては本書面からカットさせていただいたのですが、一応こういう話をしております。
 それは、ある程度、裁判官と弁護士の方でイメージが一致していると考えていただいても結構なのですが、まず訴訟提起段階で原告側は、訴状で基本的主張を記載して、あわせて所持する基本的書証も提出するとなっています。そして、要件事実を漏らさないようにするための工夫としては、訴訟類型に応じた代理人への協力要請文が有用である。したがってこういう訴訟類型に応じた訴状の形を広めていこうかというイメージを持っております。
 それに対して被告は、早期に積極的な認否及び基本的主張を行い、あわせて基本的な書証も提出する。特に解雇事件についても、具体的解雇理由を主張する。つまり使用者側が具体的解雇理由を主張しないと進みませんので、そして裏付書証も提出するように努力していく。その期日設定をどうしていくかという具体的な話もされておりますが、一応基本的にここまで話ができております。
 そして、各主張が出された段階では、裁判所と当事者は協力して当該事案に応じてできるだけ早い段階で争点整理をして、計画審理を行いたい。そして短期の解決に努める。事件の争点については、裁判所と双方代理人が積極的に意見を交換して、争点についての認識を共通にすることが重要である。したがって今後、裁判所と代理人の間でこういうふうに努めてもらうように啓蒙していく。こういうイメージの議論を今までしております。これが大体の概要であります。
 あとは証拠説明書の記載の仕方、証拠説明書はどういうものを書くと裁判所の方では利用しやすいかとか整理した争点のまとめ方、特に議論になりましたのは、迅速な裁判のために今後、陳述書の利用が進んでいくだろう、したがって、具体的に陳述書をどういう形で提出するのか、どういう内容が記載されるべきなのかというように陳述書をめぐっては、時間をかけて議論した記憶があります。
 こういうことが今の段階だということになります。私の報告はこの程度にさせていただきます。

○菅野座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御報告について質問等がございましたら、どうぞお願いいたします。

○山川委員 大変重要で意味の大きな結果ではないかと感動して拝聴していましたけれども、参考のために、労働委員会でもこういう議論が出てきているものですからお伺いしたいのは、タイムターゲットは事件類型あるいは個々の事件によるとか、どういう感じで決まっていくのでしょうか。

○石嵜委員 事件類型ごとにタイムターゲットは違うだろうと、それは確かにそうだと思うんですね。まず、複数の訴訟当事者がいれば、それについてどうするかとか。ですから、それについては最初の段階で先に主張を出して、争点整理のときに一緒に、そうしたらどういう形で人証をするか、これもすべてそこで打ち合わせて計画審理的に整理するというふうにイメージして議論していますけれども、具体的には鵜飼委員からお話しいただきます。

○鵜飼委員 複雑で争点が多岐にわたる事件は一応除外いたしまして、平均的な事件を想定して、第1回の訴状の段階でどういうところを注意して記載し、証拠を出すのか。被告側は、第1回または第2回までにどういう準備をすべきなのか。そして、争点整理、証拠整理をどの段階までやるべきなのか。それは、こちらはこういう事情があるからできないとか、でもしかしそれはやるべきではないかというような議論をいたしまして、そういう争点整理、証拠整理をきちんとした上で、集中的な証拠調べをしようということについてはおおむね意見は一致していると思います。集中的な証拠調べはできれば1日とか時間をかけて、その前に陳述書を出して、陳述書とプラス主尋問も30~40分程度という意見がかなり多かったと思いますが、その上で反対尋問を有効的に行う。
 こういう議論をしておりまして、事件類型ごとにどうこうということではありませんが、基本的には審理計画を立てることは大体の流れとして共通のコンセンサスになっているのではないかと思います。その審理計画を立てるということは、まさにタイムターゲットを立てていくことになると思いますので、あとは判決の期日をどうするかという議論もありますので、これも裁判所にとっては大変なことなのですけれども、そういう議論をしております。
 私がこの協議を通じて思いましたのは、そもそも労働事件は対立が激しくて、労使の双方代理人がお互いに意見を交換すること自体が今まで困難だったわけですが、やっと日弁連の労働法制委員会でそれが実現できるようになりまして、さらに裁判所と意見交換ができるとも私は思っていなかったのですが、これまではまさに闘う相手という感じだったのですが、裁判官を含めて、本当にフランクに議論ができるようになりました。これは利用者のニーズに応えたいという改革審の意見書を踏まえて我々に共通のものができまして、いかに利用する人たちに応えていくのかということで議論ができるようになったのではないかと思います。特に、争点整理は非常に重要なのですが、争点整理の段階で裁判所もこうだという固まったことを初めから出すのではなくて、裁判官は今こう考えるのだけれどもどうだろうかということで投げかけて、労使がそれぞれそれに対してコミュニケーションをとっていく中で、争点整理を行いそれを通じて共通の認識を持っていく。そして争点向けて集中的な証拠調べを行っていく。まさに裁判におけるコミュニケーションができるというのが、この協議を通じて自分なりに実感して確信を持ったところですね。

○石嵜委員 少し手続的なお話ですと、解雇事件で使用者が仮に被告になったとした場合の答弁書の在り方等については、1回目の期日に出せというのはなかなか難しいのではないかという議論をして御理解いただきました。それは1つは、最初の時期に弁護士を探す期間として当事者が動いていることがありますので、1回目についてはある程度早くてもいいから、とにかく弁護士を早く見つける期間というイメージをしたらどうだろうという議論が出ました。そして、1回目にできる限り代理人の出頭を確保する。そうすると、2回目には具体的な答弁書で具体的解雇事実の主張にどのぐらいの時間がかかるのか。その弁護士の意見も聞いて2回目を決める。しかし、その2回目にはきちんとしたものを出してもらう。こういうことは具体的実務の話だったのだろうと思っておりますし、加えて、地労委もそうなのだと思いますが、証人尋問する場合に証人の数によって時間が変わるという話については、裁判所として証人尋問の時間はこういう形で計画審理の中で決める、時間は決めるけれど、その時間に何人調べてほしいか、どういう時間の割り振りかは、決めた時間内ならば当事者の弁護士の意向についても十分配慮している。
 今まではどうしても時間に限定されて少人数の限定という議論で、弁論のときも裁判官とやりとりが多かったのですが、その時間を決めれば迅速にタイムターゲットが決まっていきますから、その中の人数はこちらに任せてもらう、これでいかがかと、ここが完全に一致しているわけではありませんが、イメージとしてはそういうことを内部で議論しております。

○村中委員 具体的な数字は……。

○石嵜委員 何カ月で終わるかとか、そうなると事案ごとにやはり違うのではないかという意見が出てきて、ただ少なくとも仮処分は、東京地裁だと3カ月を目処にしていますし、本訴でも特別なことがない限りは大体1年前後、そういうイメージが議論の中ではあるような気はしますけれども、こうなると使用者側と労働者側と正面から月数を決めることにはなかなか……。ただ、そういうイメージでスケジュールの議論をしたと思います。

○鵜飼委員 基本的には自分たち法曹のレベルだけの事情で決めるのではなくて、やはり利用者の置かれた状況を踏まえて、なるべくそれに応えていこうという議論はできているのではないでしょうか。ただ、どうしても自分たちの手持ちの事件とかいろいろあるので難しいという議論はありますけれども、何とかそれに応えていかなければいけないということはあるのではないかと思います。

○石嵜委員 ここでこういうことを言っていいのかどうか分かりませんが、心配なのは、この協議に出ております弁護士は労働事件を中心にやってきていますので、今の個別労使紛争は一般民事の先生たちもやっておられて、この先生たちのイメージがありますので、そこまで……。ですから、この協議会はあくまでも労働事件を多く取り扱っている東京地裁管轄の弁護士の意見だと、ここは外さないように用心しております。

○山口委員 お2人の言われたことと基本的に同じなのですが、少なくとも出席された方々は、現状の労働訴訟の在り方についてこのままではいけないのではないかという問題認識は共通していたように思います。お互いにもう少し率直に改善点あるいは疑問点等を出し合って、そこで議論し合って共通の認識を深めて具体的な改善策を考えていこうというスタンスは、出席された方々には共通していたように思います。そういう前提で、個々の手続の段階に応じていろいろな問題点、あるいは当事者側の事情、裁判所側の事情をお互いに共有化し合って、そういう事情があるならこの程度でどうかという話をしたので、かなりフランクな議論、本音のところは大体議論ができたと思っています。
 石嵜委員から幾つかお話がありましたが、それ以外の多数の点について基本的な了解ができていることはあるわけで、それも先ほど言ったように、何らかの形で公表したいと考えておりますが、問題はどの範囲の方々まで協力していただけるか、具体的な中身はかなり努力目標的なところが多いので、それを実際にどのようにきちんと実行していくのかがこれからの課題ではないかと思っておりますが、そういうことがきちんと実行されて、なおかつ広範囲な方々にも理解していただけるのであれば、労働訴訟の現状はかなり改善されていくのではないかという期待を持っております。

○鵜飼委員 最後に1点、今後もこれで終わらせないで何らかの形で続けさせていただきたいと思っております。それと、次の12月1日は中労委の方がいらっしゃって三者で話をすることになりますが、できれば労働委員会、中労委と裁判所の意見交換の場を設けることも私は非常に有益ではないかと、弁護士と裁判所の間の協議をやってみましてつくづく思いましたので、それはぜひ実現していただきたいと思っています。

○髙木委員 内容についてではないのですが、労働訴訟協議会の性格はどういうものなのですか。資料を拝見すると、「法律雑誌等で発表する等して」という世間への結果のあらわし方ととらえていますが、労働訴訟協議会で検討された結果は、雑誌で公表することでオーソライズするということなのか、我々はここに丸投げしたのかと。そういう意味での労働検討会の関与の仕方……具体的には協議された事項について項目のみ今日御報告いただいたわけですが、それぞれどういう内容で、努力目標的だというお話も今ありましたけれど、この検討会にフィードバック、報告書のような形にしていただけるのか、していただけないのか。我々は、審議会の意見書では労働事件固有の訴訟手続の要否について議論しなさいと。運用の中でかなりできるのではないかという御議論があったから、運用に実際にかかわっておられる裁判所と弁護士でやっていただいたら結構じゃないか、その議論をしていただいたらどうかと。その結果を踏まえて、例えば訴訟手続自体を変えるニーズがあるやなしや。もうそのニーズはなしと丸投げして、運用だけでという結論を出したという認識は私にはないのですが、そのあたりについて、単に雑誌等で御発表いただくことで、確かに運用の面から検討してくださいというお願いを我々がしたことは事実で、こういう場をつくっていただき、大変多くの御議論をしていただき、そのことについては御苦労を多としているわけではありますが、協議会の性格なりオーソライズの仕方なり、最終的に労働検討会として労働事件固有の訴訟手続の要否についてどういう出口の出方にするのかということにかかわる話だろうと思いますので、雑誌というのはどういう雑誌か、多分、法律専門の雑誌で、座談会等の形でいろいろなやりとりがされているものを見ることもありますけれど、ユーザーの立場等の観点からどういう御議論をされたのかとか、少しは吟味検証させていただかないといかがなものかなと思いますが、どうされるのですか。

○齊藤参事官 まず、労働訴訟協議会の性格は有志の裁判官と弁護士との間の協議ということで、あくまでも東京地裁の実務を中心に有用な議論をする場を設けていただいたということだと思います。こちらの検討会の中間取りまとめでは……。

○髙木委員 その性格はフォーマルなものですか?

○齊藤参事官 ある意味ではフォーマルなものとは言いにくいと思います。ただ、労働訴訟協議会で議論された成果は、労働検討会のほうに何らかの形で御報告いただくなり、そういう連携は工夫の余地があると思っております。そして、労働検討会の中間取りまとめにおきましては、まず労働関係事件固有の訴訟手続の整備の要否の点につきましては、結論からいきますと、訴訟実務における運用の改善にまずは努めるものとすることはどうかということで取りまとめになっておりますので、労働訴訟協議会の方の議論の成果などを踏まえて、さらに何らか検討するなり、今後の工夫の余地はまだ残されているのだろうと思います。

○髙木委員 労働訴訟協議会に議論をお願いしたと、つくられ方は皆さんがいろいろお考えになって、裁判所と弁護士会でやられたのかもしれませんが、石嵜委員のお話を聞いていたら、弁護士仲間でもオーソライズされたものかどうかはまた用心しているということもあったりして、運用改正でどうかという最終的な判断は、この内容をお聞きした後、本当に運用だけでとりあえず仕方がないのか。場合によっては、いわゆる法改正も含む、あるいは新法も含む制度改革まで及ぶのか。その辺はこの中でどういう御議論をされたのか、1から4まで多数の項目が書かれておりますが、その内容が皆さんの議論でどういうことになっているのかによって、私は実務のことはほとんどわかりませんから、私ごときに判断ができるとは思いませんけれど、もう少し私どももその議論の内容を、私どもなりにお付き合いいただいている専門の方にも一遍見てもらったりしながら、そういう意味では雑誌で発表してという話につながるような協議会だったのですかと。
 要は、報告書をつくっていただけるのか。そして、ここへフィードバックがあるのですか。

○鵜飼委員 私自身の理解なのですが、私は労働訴訟についての固有手続が必要であると言い続けてまいりましたし、現在でもそう思っています。しかし残念ながら、中間取りまとめではああいう取りまとめになってしまったのですが、労働審判制度の骨格が固まりましたので、その中では私がるる言いましたところをぜひ生かしていただきたいと私は切に思っておりますけれども、依然として労働訴訟についての固有手続は必要だと思っています。と同時に運用面の改善も必要ですから、弁護士と裁判所の間の協議の場を設けることは重要だと思って発言してきました。このたび推進本部の御協力もあってこれがスタートしたのは、意見書の中にも関係機関の連携、協議ということがうたわれておりまして、利用者のために労働裁判をよくするための、特に法曹双方の関係機関の協力関係は絶対に必要だという認識が共通のものになったからだと思います。そういうものが今までなかったという意味では、そういう場をつくることによって、コミュニケーションをより円滑にし、問題がどこにあるかというところで何とか資することができないかということで参加したわけです。
 そのスタートの段階の仕切りは、基本的に制度問題は労働検討会でやる。この協議会の場では、有志の裁判官と弁護士が集まって運用の面においてどういう実情があり、それをどういうふうに改善できるかということを議論しようではないかということで一応区分けしたと私は思っております。したがって、この協議会の議論そのものは制度論ではない、制度改革という問題はテーマになっていませんので、ただ現在の運用についてどこまでやれるのか、どういう改善ができるのかという議論に絞っています。それについては検討会の場に反映させなければいけないと私は思います。しかし、固有手続の整備の要否の議論にとってそれは1つの参考になるかもしれませんが、それはそれとして労働検討会の独自の課題ではないかと思っています。

○髙木委員 運用を改善すれば、今の労働事件訴訟が持っている手続上の問題点はなくなるという報告をあげてくださるという意味ですか。

○鵜飼委員 いえ、そういうふうには思っていません。私自身これまで制度改革が必要なものは制度改革が必要だという意見を出しておりますが、なかなかそれについてコンセンサスができない現状の中で、運用でどこまでできるかという点も非常に重要なテーマだろうと思っていますので、それは現状はどうあって、法曹三者でどこまで協力してその運営を改善できるのか。それによって良きプラクティスができれば、場合によってはそれが制度改革につながるであろうという長期の展望はありますけれども、私は制度改革の問題と運用の問題とはレベルがちょっと違うのではないかと思って参加してきたのですけれども。

○髙木委員 いずれにしても、労働訴訟協議会ができる契機がこの議論の中にあったとすれば、きちんと御報告していただかないといけないのではないかと思います。雑誌の座談会などでオーソライズされたら、納得されないと思いますよ。

○菅野座長 労働関係事件の固有の訴訟手続の要否というのは、今日お出しいただいた日本労働弁護団の総会の決議にもありますが、我々の検討会の「中間取りまとめ」では、労働事件固有の訴訟手続は訴訟事件の運用の改善を図るとして制度改革の提起をせずとなっていますが、そういう取りまとめだったと思います。7月から8月にかけての「中間取りまとめ」では、残った時間で来年度の通常国会でどのぐらいの事項に重点を置いて制度改革を取り組むべきかという観点から、一定の事項を「中間取りまとめ」の中で法制度の改正を要する点として選び出した上で、ほかのテーマは見送らざるを得なくなったということがあると思います。
 そこで、この点については「訴訟実務における運用の改善に努めるものとすることはどうか」というというを取りまとめしたわけでありまして、それについて協議会の検討を参考にしながら、制度改革の検討が終わった後で何ができるかということが残るわけですけれども、それはまたどのぐらいのことが、協議会の検討等とにらみながら、こちらの方で検討させていただきたいと思います。

○髙木委員 菅野座長がおっしゃることをそのままいただくにしても、運用の改善を図る、どういう運用を改善したら、問題点として指摘されていることがどの程度、どのように改善されるのかということは少なくとも検証しないと、世間に対する責任を果たせないのではないでしょうか。

○齊藤参事官 髙木委員が御指摘の点は、私どもも十分検討させていただきたいと思います。労働訴訟協議会での検討の成果を私どもが、何も無関心でいるということは当然考えていないわけですし、その成果をこちらの検討会でも、言葉は少し語弊がありますけれども、どのように活用させていただけるかということはこれからよく検討させていただきたいと思います。

○髙木委員 運用の改善でまだまだ不十分なところが残るのなら、制度改革まで突っ込まなければいけないという筋道もありかなと私自身は認識しておりましたので。そういうことを言っても時間がないではないかと思いまして。

○齊藤参事官 まさにそのあたりの絡みが微妙であったということもありまして、中間取りまとめのような形になったという事情もあろうかと思います。

○鵜飼委員 率直に言って、協議会で大体了解できた事柄が本当に実現できるのかと、それは強制力も何もありませんし、有志が集まって実情を話して、そういうことをやろうではないかと言っているにすぎないわけで、それは何の強制力もないわけですね。しかし、それが合理的であり、ユーザーにとっても支持されるものだというコンセンサスができれば、それは裁判所と我々も協力して何とか実現していく。了解事項が不十分であれば、さらにそれをいいものにしていこうということになっていくだろうと思いますし、そのためにも制度としてきちんとしたものをつくらなければいけないと私自身は思っているのですが、裁判所を含めてそういう理解が共通のものになれば、制度改革の機運も盛り上がってくるのではないかという望みを持っているわけです。
 いずれにしても、我々がこれが了解事項というのは、強制力のない有志の間での議論でして、これが望ましいのではないかということで合意できた意見にすぎませんから。しかし1つの指標にはなっていってほしいという願いはもっていますが。

○髙木委員 法律やら、裁判所の内部ルールやら規則やら、いろいろおありになるのだろうと思いますが、運用の改善という意味でそういうところにもイメージ的に、御議論いただく内容が活用されていくというか、具体的にルール化されていくことが求められるものも、これを拝見するとたくさんあると思うんですね。目次だけなのでよくわかりませんけれども。
 ともかく丸投げしたということだけにならないように、いろいろな意味の御配慮をお願いしていただかなければいけないのではないかと思います。

○菅野座長 協議会の関係でそのほかの御意見はいかがでしょうか。
 協議会の件はこのくらいにしまして、あとは事務局から次回の日程ということになるのですが、その前に何かございますか。

○鵜飼委員 弁護士費用の敗訴者負担の問題が、11月21日に司法アクセス検討会が開かれて、私が聞いた情報では、基本的には各自負担、ただし訴訟における共同申立で敗訴者負担という方向の議論が大勢を占めたと聞きました。その中で実は消費者事件と労働事件が1つの論争になったわけですが、労働事件について事前に労働契約の中で裁判になった場合は、負けた側が勝った側に対して弁護士の費用を負担するという合意があった場合にその効力如何という議論があったようで、既に企業間の話では、知財問題等を含めて弁護士費用の敗訴者負担についての合意をうたった契約書があるということも検討会の中で報告され、それは有効であると。消費者とか労働とか、要するに当事者間の非対等性といいましょうか、資力などについて圧倒的に差がある契約類型において敗訴者負担を契約書にうたったときに、裁判において合意ができなくても、労働契約の条項に基づいた弁護士費用の請求ができるのではないか。あるいは、その訴訟手続の中でも条件付将来請求としてできるのではないかという議論があったという報告を受けました。
 ただ、11月21日の検討会でも、いや労働契約については労働基準法16条(賠償予定の禁止)があるから、この条項に基づいてそれは制限されるのではないかという御議論があったと聞いております。消費者については消費者契約法の9条、10条が言われたようです。そして、そういう弊害は除去できるのではないかということですが、少なくとも労働基準法16条で、敗訴者負担についての合意が賠償予定の禁止に当たるとはとても考えられないわけですね。立法趣旨からいっても、法の文言解釈からいきまして、16条があるから事前の合意が制限されることはあり得ないと思いますので、仲裁のときと同じような問題が実は急きょ起こってきたのではないかという感じがいたします。
 実は、司法アクセス検討会の場でも、これまで消費者事件と労働事件については対象外にするということが議論されて、それは大体コンセンサスを得たと聞いていたのですが、急きょ新しい制度が提案されて、事前の労働契約について議論されたということですので、私は、これは仲裁の場合と同じように、労働検討会の意見をアクセス検討会の場に出し、そして適正な判断をしていただくように、何らかの取組みをすべきではないかと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

○齊藤参事官 鵜飼委員からの問題の提起はこちらもある程度理解しますので、対応は検討したいとは思いますが、まずは敗訴者負担制度の問題は司法アクセス検討会が本籍の検討会で、そちらを中心に検討は進めていただきたいと考えています。労働法ないし労働問題という観点からの御意見あるいは御指摘があれば、それをまずはアクセス検討会に伝えて、十分検討していただくようにしたいと思います。
 それだけでは対応として何らか足りない部分があれば、その点は私も今は確たることは申し上げにくいのですが、そういう問題意識は持って、本籍も司法アクセス検討会と相談してみたいと思っております。

○鵜飼委員 16条で制限されるということは私はとても理解できないので、菅野座長を初めとして労働法の先生がいらっしゃいますので、少なくともそういう議論自体が労働法的には成り立たないのではないかと思いますが。

○松川事務局次長 司法アクセス検討会の検討状況ということで補足させていただきますけれども、最近の議論の内容を踏まえて、御案内のように、合意を基準として原則は各自負担であるとしても、訴訟の場で合意があった場合に限って敗訴者が負担するという整理ではどうかという議論で、大部分の意見がそういう方向になりつつあることは御指摘のとおりです。
 その場でも、敗訴者負担の合意取決めがあった場合について約款上懸念があるということで、御案内のように労働基準法の解釈や消費者契約法の解釈の議論もなされたわけですが、それとは別に懸念の払拭の仕方として、訴訟上の合意とは何かということを明確に規定することが大事ではないかという議論も同時になされておりまして、さらにこれから議論を詰めることになりますが、その過程で約款で合意したからということではなくて、改めて双方が合意した形を申し立てることを訴訟の場で合意することにしてはどうかという方向で議論しておりますので、詳細は司法アクセス検討会で議論が煮詰まった結果を御紹介するなどして、問題がないようにしていきたいと思います。その辺も含めてまだ議論の途中ですので、御意見は何らかの形でおつなぎいたしますけれども、そこは誤解が生じないようにしていきたいと思います。

○鵜飼委員 ただ、12月25日に最終的取りまとめという話ですね。そうすると、あと1カ月しかないようですね。その辺は、ぜひ労働分野についての意見は反映させていただきたいと思っていますので。

○松川事務局次長 その辺の意見があったということはよく伝えるなどして、十分議論していただきたいと思っています。

○菅野座長 ほかに御意見はありますか。
 それでは、最後に事務局から次回の日程をお願いします。

○齊藤参事官 次回は12月19日(金)午後2時から5時を予定しております。よろしくお願いいたします。

○菅野座長 ほかによろしいでしょうか。

○髙木委員 次回はそういうことで、その後にどういう仕事が残っているのか、どういう論点がまだけりがついていないのか、それを次回までに整理していただいて、国会との関係やら日程的にもいろいろあるでしょうから、できれば次回に、来年になってどういうことになるのか、ここでやることも余りないのか、私どもとしては、こういうものもまだあるのではないかというのもまだ二、三あるものですから。

○齊藤参事官 来年以降の日程は、こちらの事務局としてのいろいろな具体的な日程との絡みなどがありまして、今の時点で明確な予定を立てることはできかねる状況でございます。したがいまして、そのあたりの点はできるだけ早めにご相談させていただきたいと思います。ただ、今日の時点では、日程について何か予定を入れるとか、来年以降の具体的な日程についての御説明あたりまでは準備ができかねておりますので、御容赦いただきたいと思います。

○菅野座長 ほかによろしいでしょうか。
 それでは、本日の検討会をこれで終わります。ありがとうございました。(了)