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労働検討会(第31回)議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり

1 日時
平成15年12月19日(金) 14:00~16:10

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委員) 菅野和夫座長、石嵜信憲、鵜飼良昭、春日偉知郎、熊谷毅、後藤博、髙木剛、村中孝史、矢野弘典、山川隆一、山口幸雄(敬称略)
(事務局) 山崎潮局長、古口章事務局次長、松川忠晴事務局次長、齊藤友嘉参事官、川畑正文企画官

4 議題
(1) 労働委員会の救済命令の取消訴訟における新証拠の提出制限について②
(2) 労働審判制度(仮称)の制度設計等について⑤
(3) その他

5 配布資料
資料210 労働委員会の審査迅速化等を図るための方策について(厚生労働省労働政策審議会建議)
資料211 労働委員会の救済命令の取消訴訟における新証拠の提出制限について(案)
資料212 労働審判制度(仮称)の制度設計の骨子
資料213 労働審判制度(仮称)の概要(案)

6 議事

(1) 労働委員会の救済命令の取消訴訟における新証拠の提出制限について
  はじめに、厚生労働省の労働政策審議会の建議(資料210)の内容について熊谷委員から説明がなされた後、資料211について意見交換が行われた。(○:委員、□:座長、△:事務局)

○ 今般の改正の趣旨は、取消訴訟における労働委員会命令の取消し率の高さにかんがみ、できる限り労働委員会段階で証拠を提出させ、裁判に堪え得るような命令を出せる仕組みを整備することにある。使用者側としても、信頼のおける質の高い命令が出されることを願っている。裁判段階での意図的な証拠の後出しがあるとすれば適当でないが、裁判における新証拠の提出制限が妥当なものになるかどうかは、労働委員会の証拠提出命令が適正に出されることになるか否かにかかっている。今回の建議が労働委員会の手続を裁判所の手続に近づけている点、また、労働委員会の証拠提出命令についてプライバシーや営業秘密の保護に配慮している点については一定の評価をしたい。しかし、使用者側としては、特に地労委における証拠提出命令の濫用を危惧している。命令の濫用防止のためには、提出を命じる証拠の特定や、必要性の要件を厳格にする等、民事訴訟の文書提出命令に近いものにすべきである。また、公労使三者の協働により労働委員会の調整的機能を生かした紛争解決を図ることが労使関係の安定に寄与するものであり、証拠提出はまずは労使委員を通じた説得等により図られるべきであり、証拠提出命令の行使は例外的な運用とすべきではないか。また、証拠の摘示をせずに救済命令を出している労働委員会は、証拠による事実認定を重視していないと考えられる。そのような手続では、証拠提出命令に新証拠の提出制限のような強い効果を認めるべきではなく、救済命令については、証拠の摘示を行っていることが要件とされるべきである。新証拠の提出制限の規定の仕方については、裁判所は新証拠の提出を制限することができるものとするとともに、裁判所が正当な理由があると認めた場合には、提出を制限しないこととすべきではないかと考えている。基本的には建議に賛成だが、以上のような意見も述べておく。

○ 証拠提出命令についての不服審査は中労委で行うこととされているが、更に不服がある場合には証拠提出命令の取消を求める行政訴訟を提起することになるのか。

○ 証拠提出命令は取消訴訟の対象になるものと考えている。

○ 証拠提出命令をめぐり更に訴訟にまでなると、労働委員会ではその取消訴訟の結果を待つことになり、労働委員会の審査が遅延するのではないか。証拠提出命令をめぐる争いを可能な限り労働委員会レベルで収めるような工夫が考えられないか。

○ 証拠提出命令に対する取消訴訟が提起されることにより、その間の労働委員会の審査手続が中断され、審査の迅速性が阻害されることになることを危惧している。公害紛争処理制度においては、証拠提出命令の取消訴訟が制限されているようだが、可能であれば、これに類似した工夫を検討すべきではないか。それができないのであれば、新証拠の提出制限を新たに設ける意味が失われるのではないか。そうであれば、審級省略や実質的証拠法則を導入すべきだという議論になる。是非、司法制度改革審議会意見書の趣旨に沿った制度設計をお願いしたい。

○ 公害紛争処理制度においては、裁定及びその手続に関してされた処分が全体として行政事件訴訟法の適用除外とされているが、これは行政処分について行訴法が適用除外とされている唯一の例であると承知している。それ以外の、公正取引委員会の行う処分等については、処分や証拠提出命令が行訴法の適用対象となっているため、これらとの並びを考えると労働委員会の証拠提出命令を行訴法の適用除外とすることは難しいのではないか。証拠提出命令の有効性が争われることによって、手続の迅速性が阻害されるおそれがあるとの御指摘はあろうが、ここでは審査の的確化という観点を重視することとした。労働政策審議会でも議論になったところであるが、最終的には、建議のような内容で公労使の御理解をいただいた。

○ 証拠提出命令に対して取消訴訟が提起された場合には、労働委員会の審査手続を中断せざるを得ず、審査手続を別途進めることはできないということになるのか。

○ 証拠提出命令が争いになるようなケースについては、当該証拠の重要性が高く、取消訴訟の結果を待たないと審査が進められないので、多くは中断せざるを得ないことになるのではないか。
 また、裁判の場合でも、文書提出命令に対する抗告の結果を待たないと手続が進められないことが多い。公害紛争処理制度以外の制度について、実際に証拠提出命令について取消訴訟が提起された例はどの程度あるのか。

○ 証拠提出命令が出されること自体が極めて少ない。

○ 労働委員会制度は、扱う紛争の特殊性等もあり、他の制度と性格が異なる部分もあると考えられるので、そのようなことも配慮の上、検討していただきたい。

○ 他の制度では、審級省略や実質的証拠法則が手当てされている一方で、労働委員会は5審制という状況は変わらない。今後、証拠提出命令に対して行政訴訟が提起されれば、手続は一層遅延する。迅速な手続を求めている審議会意見書のメッセージに応えられるような何らかの工夫をお願いしたい。

○ 個別の事案では審査が遅延するものも出てくるかもしれないが、制度全体としてみれば、証拠提出命令や新証拠の提出制限の効果等から、審査の的確化、迅速化が図られることになるといえるのではないか。

○ そのような意味からしても、証拠提出命令をめぐる紛争を労働委員会レベルでおさめるための工夫を考えるべきではないか。

○ 救済命令の取消訴訟において、証拠提出命令の当否の判断を行うようにする特別の規定を設けることはできないのか。証拠提出命令自体については、行訴法の適用除外を設けることはできないのか。

○ 御指摘の点についても検討したが、行訴法は行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為を取消訴訟の対象としており、今回新たに設ける労働委員会の証拠提出命令は、労働委員会による強制力を持つ処分であるので、特例を設定することは難しいのではないか。問題意識はあるので、実害が生じないような工夫は考えていきたい。

○ どのようなシチュエーションで実害が生じないような工夫が可能になるか考える必要がある。個別的な事案についてはケースバイケースだろうが、遅延するかどうかは、証拠提出命令が出されてその取消訴訟へ移行する場合と、全く必要な証拠が審査段階で出されない場合との比較で考えざるを得ないのではないか。

○ 公益委員の除斥や忌避も審査遅延の原因となりかねない。特に忌避は濫用されるべきでなく、その防止策を検討する必要がある。また、回避を入れなかった理由は何か。

○ 回避については他の制度との並びを考慮したものであり、民事訴訟法等においても法律上措置されているわけではないので、特に記載しないこととした。忌避は、安易に認められるものではなく、制度としては必要であるが、労働政策審議会においても、濫用防止に配慮すべきとの意見があった。その制度趣旨や民事訴訟における事例等を周知するなどして一定の濫用防止が図られることを期待している。

○ 証拠提出命令をめぐる紛争を労働委員会限りでとどめるように整理できる方法はないか。裁判を受ける権利との関係で何か問題があるのか。

○ 制度として裁判手続を排除することは難しいが、証拠提出命令の出し方について工夫を検討したい。

□ 労働政策審議会としては、証拠提出命令が取消訴訟の対象になるとしても、こうした証拠提出に関する制度を導入すべきとの結論になったということか。

○ そのような議論となった。

○ 今回の建議の内容に沿って労働委員会の審査体制が整備されていけば、その実績を踏まえて、審級省略や実質的証拠法則について検討する必要が出てくるだろう。これらについて、更に検討を行う見通しをつける必要があるのではないか。

□ 審級省略等については中間取りまとめの段階で、「今後の労働委員会における不当労働行為審査制度の改善状況等を踏まえ、さらに検討されるべき重要な課題」とされた。現在の新証拠の提出制限についての議論がまとめられた後に検討すべき事項になるのではないか。

□ 裁判所が新証拠の提出制限をするかどうかを判断できることとすべきという意見についてはどうか。

○ 審議会からは、裁判所の判断で新証拠の提出を制限できることとするのではなく、労働委員会で提出されなかった証拠について裁判での証拠の申し出をすることができないこととすべきという建議をいただいている。

○ 取消訴訟における新証拠の提出制限については、「正当な理由がある場合を除き、労働委員会の命令に対する取消訴訟において・・・証拠の申出をすることができない」とされている。正当な理由があるかどうかの判断は裁判所が行うことになるので、実質的な相違はないのではないか。

○ 「正当な理由」の判断を裁判所で行う際に、ある程度裁量が入るのはやむを得ないだろう。最終的な判断権限は裁判所にあるのではないか。

○ 「正当な理由」の内容としては、天災地変、物件の所在不明といったものを考えているが、限定列挙することにはならないだろう。

○ 「正当な理由」の有無は、制度趣旨に照らして判断することになるのではないか。行訴法で職権証拠調べが除外されていないことから、裁判所の裁量が完全に排除されるわけではないが、正当な理由がなくても裁判所が裁量で証拠を採用できるということではないのではないか。

○ 「正当な理由」は不確定概念なので、その内容は制度趣旨に照らして判断されるべきだということは分かるが、裁判所で一義的に判断することは難しいので、判断基準をもう少し具体的に明らかにしてほしい。

○ 法律に明記することは難しいが、御指摘のような観点から解釈をなるべく具体的に整理し、周知を図ることとしたい。

○ 労働委員会の証拠提出命令の妥当性が確保できるかが問題である。「命令の対象物件の限定」をすることとされているが、可能な限り具体的にし、齟齬が生じないように配慮すべきである。命令が漠然とした根拠のもとで出されるようなことになってはならない。事例の列挙は難しいと思うので、重要なポイントを示しておくことが重要であり、そうすれば当事者も判断しやすくなるのではないか。

○ 証拠提出命令には、その理由や必要性等を、裁判所にも分かるような形で記載してもらいたい。

○ プライバシーや営業秘密等への配慮を欠いた証拠提出命令が一旦提出された場合、その命令の有効性は、提出命令の取消訴訟で争われることになるが、それが提出命令の取消訴訟で争われずに、救済命令の取消訴訟で争われることになると、新証拠の提出制限の話になったときに、正当な理由の判断として、営業秘密等にかかわって出さなかったということを許すと、本来、提出命令について争わなかったことを救済命令を争う段階で争えることとなり、一貫性を欠くことになる。「正当な理由」の内容は、天災地変や客観的な理由等に限定してとらえておくべきではないか。

□ 証拠提出命令に対する行政訴訟の提起による審査遅延のおそれという問題意識が指摘されたが、労働政策審議会では、それでもなお行政訴訟の提起を前提として運用上工夫する等して証拠提出命令や新証拠の提出制限を設けるべきだとの判断がなされたので、この問題意識に配慮していただくとともに、「正当な理由」の内容を明確にしていただくこととし、労働検討会の意見等を参考にしつつ、厚生労働省において立案を進めていただきたい。その上で「労働委員会の救済命令の取消訴訟における新証拠の提出制限について(案)」のとおり取りまとめたい。

・「労働委員会の救済命令の取消訴訟における新証拠の提出制限について(案)」が座長の提案のとおり了承された。

(2) 労働審判制度(仮称)の制度設計等について
 事務局から「労働審判制度(仮称)の概要(案)」(資料213)について説明がなされた後、これについて意見交換が行われた。

○ この概要案は全体的に妥当だと考えるが、今後の課題として2点ある。1つ目は、紛争当事者の利便に供する観点から、簡裁の調停制度も運用によって充実を図るべきである。簡裁の調停委員に専門的な知見を有する人を補充し、簡易な紛争は簡裁の調停でも処理できるようにし、また、パンフレットを発行する等してこれを周知すべきではないか。
 2つ目は、労働審判員の人選については、労使団体の作成する推薦リストに基づいて、裁判所が選任するという方法がよいのではないか。労使団体が中立公正な審判員を推薦すべきことは当然である。また、研修については、公的な研修も必要だが、労使それぞれの団体においても実施していく必要がある。

○ この概要案においては、労働審判手続の対象は、「個別労働関係に係る権利義務関係をめぐる紛争」とされているが、この定義のもとでは、個別労使紛争であって不当労働行為の性格を有する事案の扱いはどうなるのか。
 手続の指揮については、訴訟法上の手続のプロである労働審判官が行うこととされているが、労働審判員も手続の進行に関して発言したり、意見を述べたりすることができるのか。
 手続の公開に関しては、調停的な部分は別として、事実審理の部分は傍聴を許される対象者が厳格に制限されるのでなく、公開に近い形で運用されるべきである。
 労働審判手続の記録の取り扱いに関しては、審判と訴訟の連携の観点から、文書送付嘱託の活用等も考えられるのではないか。また、必要な証拠等を選択して裁判所に提出するとのことだが、記録の閲覧のタイミングや方法はどのようになるのか。特に証人の証言については調書やテープを入手できるのか。この点は攻撃防御の問題とも関わってくるので、記録の取扱いのイメージについて、もう少し具体的に明らかにしてほしい。
 労働審判員については、人材を確保する必要があるが、そのイメージやボリュームについて、シミュレーションや予測を検討する場が必要ではないか。
 また、郵便局の短時間労働者その他の公務員の紛争については、行政事件という性質をもつことになるのかもしれないが、どのように取り扱われることになるのか。
 法案要綱については検討会にも示していただきたいと思うかどうか。

□ 労働審判手続の対象となるのは、個々の労働者と使用者の間の労働関係に関する権利関係の紛争である。解雇事件は、労働契約上の権利義務関係の存否に関わる典型的な紛争であり、その理由の中に不当労働行為が出てくることも予想される。不当労働行為にかかわる解雇事件のみを労働審判手続の対象から除外することは難しいのではないか。個別労働紛争であれば、不当労働行為にかかわる事案も労働審判の対象になるのではないか。

△ 手続の指揮に関しては、労働審判員が適宜意見を述べることを妨げるものではないが、手続上の権限の整理を行うために、このような記載としている。
 手続の公開については、運用に際して、個別のケースごとに、審判体において制度趣旨に沿って判断されるべきものと考えている。
 文書送付嘱託については、できるだけ円滑に活用されることが望ましいのではないか。労働審判を行った裁判所に訴訟移行することになるので、容易に記録を閲覧できるよう工夫することができると思う。
 証人尋問のテープ等の入手については細部にわたる事項なので、今後よく詰めさせていただきたい。
 公務員の紛争については、行政事件として切り分けられる場合には対象にならないが、一般民事事件であれば、労働審判手続の対象になることが考えられる。

○ 労働審判手続には労使の審判員も評決権を持って参加することになるので、手続の指揮については、そのようなニュアンスを入れられるような工夫ができないか。

□ 労働委員会においても手続の指揮は公益委員が行っているが、重要な問題については、労使委員とも相談している。同じような運用になるのではないか。

○ 概要案についてはこれでよいと思うが、労働審判員は、労働委員会の参与委員と異なり、評決権を有し、自ら心証形成する立場にある。運用面では、裁判の合議体の陪席裁判官が、裁判長の許可を受けて質問するようなイメージになるのではないか。

△ 手続の指揮を労働審判官が行うこととしたのは、その権限を裁判官である労働審判官に付与することと整理したのであって、審理の際にどこまで実質的に参加できるかということは、手続の指揮とは別の問題ではないか。

○ この概要案でよいと思うが、実際には、証人尋問等では、労働審判員が労働審判官に断わって質問することになるのだろうから、この表現に違和感はない。

○ 3回の期日で審理を完了することとされているので、実際には事前に審判体で十分話し合わないと手続は進まないだろう。その意味では、労働審判官の行う指揮は、労働審判員の意見も反映された形で行われていくだろう。何でも労働審判官が決めて、労働審判員の意見を聴かないということにはならないのではないか。十分に意思疎通を図りながら手続を進めていくことになろう。

○ 手続の公開に関して、調停の場面については非公開でよいが、事実審理の部分については、原則公開とすべきではないか。

△ 調停手続と事実審理が輻輳して進められることもあるため、制度設計上明確に切り分けるのは難しいことから、原則は非訟事件手続に従い非公開とし、相当と認められる者については傍聴を許容することとした。このように両者のバランスをとっていくことが適切ではないかと考えている。

○ 労働審判制度は調停をビルトインしたものであり、互譲によって問題解決を目指すところに妙味がある。概要案の考え方にしたがって、適切な運用を図っていくこととすべきではないか。

○ 民事調停では、証人調べの内容を調書にすることになっているが、労働審判制度でもこれと同じ扱いとし、異議があれば調書を作って、訴訟手続で利用できるようにすべきではないか。
 細かい論点がいくつか残っているので、今後、法案要綱を検討する機会を与えていただきたい。

△ 細部の論点については、別途検討させていただきたい。今後、事務局で立案作業を進めていくことになるが、法案要綱の取扱いや報告の仕方等については、座長ともよく相談の上、適切な対応を検討させていただきたいと考えている。

○ 労働審判に記載する「理由の要旨」とはどのようなものか。理由を簡単に記載すれば足りる部分はあるだろうが、単に「理由」ということでよいのではないか。

○ 手続のイメージとしては、1回目は争点整理にウエイトが置かれ、2回目は当事者等からの審尋が主体になっていくのではないか。調書にすべきかどうかはケースバイケースだと思う。
 理由の要旨を記載させることについては、民事保全法にも同様の条文があること、簡単な記載で足りるようなものも含まれることから、適切なのではないか。
 審判官、審判員にどのような人を選任するかは重要な問題であり、労働審判制度にふさわしい人材を確保していくことが必要であり、人材を確保する具体的方策を十分議論してほしい。
 制度スタート時には、一定の人数の確保が見込めるように、地裁の本庁レベルで行うことが適当ではないか。
 また、事件によっては、1つの事件で多数の当事者が申し立てたり、1人の当事者が多数の事件を申し立てたりするなど、様々なケースが想定されるので、事件の分離・併合を柔軟にできるような制度とすることが適当ではないか。
 3回の審理が原則になるので、申立てについては、できるだけ弁護士が関与する方が、手続がスムーズに進むのではないかと思う。弁護士会等においても労働事件を市民紛争の一環ととらえ、十分にPRしていただき、弁護士に代理していただけるような方向性を検討していただきたい。
 また、労働審判制度や簡裁の調停の充実をPRすることも重要である。関係機関等を通じて、具体的な手続の内容を分かりやすい形で周知し、十分に制度が理解されるようにして、利用が促進されればよい。

○ 事件の分離と併合については、あった方がよいのではないか。

○ 労働審判を行わない場合にも、書面を作成することになるのか。労働審判を行わないという判断自体は争えないので、行わない理由を記載する意味はないと考えられる。

△ 細部については検討させていただきたい。

・ 概要案について指摘された意見の取扱いについては、座長に一任の上、「労働審判制度(仮称)の概要(案)」が了承された。

(3) その他
 弁護士費用(報酬)の敗訴者制度について委員から意見が述べられた。