・ 労働審判員の選任について
最高裁判所事務総局から、労働審判員の選任の仕組みについて説明がされ、髙木委員及び矢野委員から、労使双方の対応について説明がされた。
・ 労働審判員の研修について
山川委員から、資料215に基づき、労働審判員の研修に関する基本的な考え方について説明がされた。最高裁判所事務総局から、裁判所における研修について説明がされ、髙木委員及び矢野委員から、労使双方の対応について説明がされた。
・ 労働審判制度の広報宣伝について
鵜飼委員及び最高裁判所事務総局から説明がされた。
引き続き、労働審判制度の施行準備に関して、次のような意見交換が行われた。
○ 4点ほど質問したいことがある。
1点目は、労働審判法の施行期日に関してであるが、具体的な作業スケジュールの目途について、例えば、労働審判員の推薦リストの作成や研修はいつごろまでに終えればよいのかということをお聞きしたい。
2点目は、広報の関係で、これから説明会を順次実施していくことになるが、その際に使えるような一般的な説明資料はつくっていただけるのかということである。
3点目は、公務員の労働紛争についても、少なくとも非常勤の短時間勤務職員の場合には、個別労使紛争と捉えて、労働審判制度の対象と考えてよいのかということである。
4点目は、労働検討会は今回を最終回とした場合、今後新たな問題が生じたようなときはどうすればよいのかということである。
△ 委員御質問の3点目については、行政事件として切り分けられるような紛争は対象にはならないと考えているが、公務員であるという属性から当然に対象外になるというわけではなく、御質問のような場合については具体的な検討が必要である。
4点目については、推進本部は今年の11月末までは存続しているので、連絡をいただければ、制度の実施主体である最高裁判所とも連携して対応させていただきたいと考えている。
● 委員御質問の1点目についてお答えする。最高裁としては、仮に平成18年4月から施行されることを想定して逆算すると、平成17年の秋から初冬ころまでに労働審判員の推薦リストをいただければと、現段階では考えている。
委員御質問の2点目については、現段階では法律の解説程度しかない。最高裁規則ができれば、規則の解説を出すことになると思われる。
○ 少なくとも制度の仕組みについては、統一的なテキストが必要ではないか。
● 裁判所としても、労使の労働審判員推薦向けのパンフレットについては、今年度中のなるべく早い時期につくっていこうと考えている。
○ 労働審判員の推薦基準は何か設けられるのか。
● 推薦基準等については、最高裁規則で細かく定められることはないと思われるので、その点については、労使の推薦母体の方々と是非相談させていただきたいと考えている。
○ 広報活動については、裁判官にも講師をお願いできるのか。
● 場所、時間等がうまく合えば、基本的に協力させていただきたい。
○ 弁護士会は研修に協力してもらえるのか。
○ いろいろ課題はあるが、個人的には、各弁護士会できちんと協力していく必要があると考えており、地域に対する弁護士のサービスという意味でも、研修等に何らかの形で参加できるようにしていきたいと考えている
□ 労働審判員の研修については、非常に重要であり、いろいろな課題も出てくると思われるが、関係者の間でよくつめていただきたい。
○ 各裁判所ごとの労働審判員の割当てのイメージはできているのか。
● 具体的な数字を労使の団体に示して相談させていただこうと考えている。
□ 労働審判法の施行に向けては様々な課題があり、主なものについては御説明いただき、現時点での取組みの状況についても御説明いただいた。本日のの御説明、御意見も踏まえて、関係者の方々には、施行準備に、今後も一層の御尽力をいただくようお願いする。
○ 労働訴訟協議会における協議では、平均的な労働事件について、早い段階で争点整理をし、計画的審理を行うということで基本的なコンセンサスが得られたことに大きな意味がある。協議会での成果物についてさらに検証していただき、東京だけではなく、地方にも広がっていけばと考えている。
「労働事件審理ノート」については、東京地裁は専門部でありながら裁判官の引き継ぎが必ずしも十分ではなかったこと、また、あまり労働事件になじみのない裁判官にも利用しやすいものを作ってほしいという要望がかねてからあったことなどから、事件類型別に作ってみることにしたものである。連載が終われば一冊にまとめて出版したいと思っているので、これも参考にしていただきたい。
○ 労働訴訟はこれで大分変わるのか。
○ 協議に参加したメンバーの間では、かなり共通認識が進んだ。さらに多くの人の意見も聴いて、多くの人に広めていくことが次のテーマである。別のテーマではあるが、労働審判制度を機能させるためにも、このような協議の場は必要だと思う。
○ 変えていかなければいけないという意識が、協議を通じて関係者の間で共通化できたということが一番の財産だと思う。今までの訴訟のやり方ではいけない、十分な争点整理をした上で、お互いに認識を共通にした上で手続を進めていこうということで一致し、それをやっていこうという思いは共通している。これからの努力を見守っていただきたいと思っている。
○ 今までは、法曹内部でしか通用しない議論が多かったが、協議会では、社会のニーズに応えたい、そのためには何ができるかという議論ができた。そういうものは次につながっていくと思っている。
□ 労働訴訟協議会の成果については、今日の御説明等も踏まえて、弁護士会をはじめ関係の皆様においても十分に周知を図っていただくなど、今後の労働関係事件の訴訟実務の運用改善に向けて一層の御尽力をいただくようお願いする。