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裁判員制度・刑事検討会(第1回) 議事録

(司法制度改革推進本部事務局)



1 日時
平成14年2月28日(木)10:15~11:30

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委 員)池田修、井上正仁、大出良知、清原慶子、酒巻匡、四宮啓、髙井康行、土屋美明、中井憲治、平良木登規男、廣畑史朗(敬称略)
(事務局)山崎潮事務局長、大野恒太郎事務局次長、松川忠晴事務局次長、辻裕教参事官

4 議題
  1. 座長の選任等
  2. 検討事項の説明
  3. 今後の開催予定
  4. その他

5 配布資料
資料1:裁判員制度・刑事検討会名簿
資料2:司法制度改革審議会意見(抜粋)
資料3:司法制度改革審議会審議経過
資料4:司法制度改革審議会議事録(抜粋)
資料5:裁判員制度・刑事検討会での主な検討事項
資料6:裁判員制度・刑事検討会開催予定

6 議事
(□:座長、〇:委員、●:事務局)

(1) 事務局長挨拶

● 「裁判員制度・刑事検討会」の開催に当たり、一言ごあいさつ申し上げたいと思います。
 皆様方には大変お忙しい中、当検討会の委員をお引き受けをいただきまして、大変ありがとうございます。心から御礼を申し上げたいと思います。
 司法制度改革推進本部は、昨年の12月に立ち上がりまして、司法制度改革審議会の意見の趣旨の実現を図るべく、今、邁進しているところでございまして、3年以内を目標に、これを行うということでございます。
 立ち上がりまして、3か月になりますが、事務局一同、元気に頑張っております。
 この検討会でございますけれども、具体的な法令案の立案作業は、私ども事務局が中心になって作業を進めるということになりますが、その際には、この検討会を始め主要なテーマごとに有識者等による検討会を開催いたしまして、意見交換を行いながら、事務局と一体となって作業を進めるという方式を採らせていただいているところでございます。
 すなわち、この検討会では、審議会の答申のようなものをおまとめいただくということをお願いするわけではございませんけれども、審議会意見の趣旨にのっとった制度設計に向けて、忌憚のない活発な御議論をお願いしたいと考えております。
 この裁判員制度・刑事検討会におきましては、刑事訴訟手続への新たな参加制度の導入、刑事裁判の充実・迅速化等について御検討をお願いしたいと考えております。刑事訴訟手続に国民が参加することにより、刑事司法に対する国民の理解・支持が深まり、司法はより強固な国民的基盤を得ることができるようになると考えられますので、刑事訴訟手続に国民が参加する制度を導入することの意義は極めて大きいものと思われます。
 また、我が国の刑事司法がその目的を十分、かつ適切に果たすことによって、国民の期待に応えていくためには、刑事裁判の充実・迅速化等を図ることが喫緊の課題でございます。
 刑事裁判の充実・迅速化は、同時にまた刑事訴訟手続に国民が参加する制度を構築する上で不可欠の前提でございます。両者は一体的に検討されるべきテーマであると考えているところでございます。
 なお、公的弁護制度の整備も、刑事訴訟手続への新たな参加制度及び刑事裁判の充実・迅速化等と密接に関連する問題でございますので、当検討会におきましても、公的弁護制度検討会での検討状況についても御留意をいただきながら、御検討いただきますようにお願いを申し上げます。
 検討事項は少なくございません。また、それぞれが重要なものが大変多いわけでございます。皆様方には大変お忙しいとは存じますけれども、是非御協力いただけるようお願い申し上げます。
 これで私の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

(報道関係者退室)

(2)座長の選任
 委員の互選により、井上委員が座長に選出された。

(3)議事の公開
 協議の結果、議事の公開について、当面、次の取扱いとすることとなった。

  • 毎回の会議の議事概要及び議事録を作成し、公表する(発言者名は記載しない。)。
  • 報道機関に会場における議事の傍聴を認める。
  • 関係者の名誉・プライバシーの保護や捜査の秘密の保護が必要な場合などには、公開を停止し、報道機関の傍聴を制限したり、その部分について、議事概要及び議事録への記載を避けることもありうる。  
(報道関係者入室)

(4)座長挨拶

□ それでは、恒例のようですので、一言ごあいさつさせていただきます。
 先ほど図らずも座長に選ばれてしまいまして、より適任の方々がおられますのに、お引き受けすることにためらいもございますけれども、皆様の御意向ですので進行役を務めさせていただくことにいたします。何分、こういうがらっぱちな性格ですので、行き届かないところが多々あると思いますが、皆様の御協力、御指導を得まして、何とか役目を果たしてまいりたいと存じますので、くれぐれもよろしくお願いしたいと存じます。
 当検討会の検討課題は、冒頭に事務局長の方からお話がありましたように、刑事訴訟手続への新たな国民参加の制度の導入ということと、刑事裁判の充実・迅速化等々であります。
 お手元の資料、司法制度改革審議会の意見の抜粋をごらんになってもおわかりのとおり、この検討課題についての審議会の提言は非常に多岐にわたっております。中でも裁判員制度の導入というものは、戦前の一時期に、これは四宮委員、平良木委員もお詳しいですが、旧陪審法に基づく制度があったと言いましても、それが昭和18年、1943年に停止されてから、既に60年を経過しておりまして、現在の日本に生きている我々としては、ほとんど実体験のない制度を創設していくという大事業であります。
 そういうこともありまして、この検討会で検討すべき論点は多方面、かつ多数に及ぶと考えられるわけでありますけれども、他方、我々に与えられた時間というのは限りがございますので、一回一回の議論をできるだけ充実して実りの多いものにしていくということが何よりも大切ではないかと存じます。
 私は法曹養成の検討会にも参加しておりまして、その経験などから申しますと、そのためには、次の点に御留意いただくのがよろしいのではないかと考えます。
 その第1は、審議会意見書の提言そのものにつきまして、皆さんそれぞれ個人的には御不満を感じられたり、あるいは御批判もおありになるかもしれませんけれども、この意見書は、さっきの分厚い資料ですが、その議事録をじっくりお読みいただければおわかりのように、極めて多様な、さまざまな立場や角度から意見を闘わせ、検討を重ねた末にまとめられたものであります。
 しかも、この検討会の役目というのは、その審議会の提言を実現し実施に移すための具体的な制度設計に協力するということでありますから、この検討会では、審議会の提言に至るまでの議論の蒸し返しになるようなことはなるべく避けて、あくまでその提言を前提として、具体的な制度設計に資するような建設的な議論をするということが何よりも肝心なのではないかということです。
 その第2は、これは細かなことなのですけれども、ここに参加しておられる法律家の方々のバックグラウンドもかなり多様ですし、それ以外の方もせっかく参加していただいているわけですので、委員のすべてが実質的に議論に参加して、お互いの意見を踏まえながら発展的に議論するというか、議論を発展させていくということができるように、お一人お一人の発言はできるだけ簡潔で要を得たものにしていただく。これは特に、私など大学関係者が心しないといけないことなのですが、つい講義調、演説調になってしまうものですから、それは互いに控えようということでございます。ちょっと差し出がましい物言いに聞こえたかもしれませんが、それらの点に御留意の上、あとはいろいろ忌憚のない御意見をいただいて、活発な意見交換ができればと存じております。
 また、事務局長のお話にもありましたように、この検討会では事務局と一体となって議論をするということになっておりますので、この検討会におきましても、事務局の方からも積極的に議論に参加していただいた方がいいのではないかと考えております。
 最後に繰り返しになりますけれども、皆様の御協力によりまして、この検討会が充実し、実りの多いものにいたしたい。私も微力ながら、そのように努力したいと存じますので、よろしく御協力のほどお願いいたします。

(5)主な検討事項

□ それでは、議事に入らせていただきます。
 お手元の議事次第によりますと、当検討会の主な検討事項や今後の開催予定について説明をしていただけるようですので、事務局の方からお願いいたします。

● それでは、手元に配布してございます資料2から、順次御説明をいたします。
 まず資料2でありますが、これは司法制度改革審議会の意見書の抜粋であります。意見書のうち、この検討会の検討事項に関連する部分を抜き刷りにしたものでございます。具体的に申しますと、大きく2つがこの検討会に関連しておりまして、1つは、刑事司法制度の改革の部分であり、もう一つは、国民的基盤の確立の部分ということになるわけでございます。
 それから、資料3、資料4は、ファイルになっておりますけれども、資料3は、司法制度改革審議会の審議経過であります。11年7月の審議会の第1回から昨年6月の最終意見のとりまとめに至るまでの審議の概要を記載したものでありますけれども、これは、これから御説明申し上げます資料4の議事録を参照していただく際の目次としていただければと考えております。
 そして、資料4が大変大部なもので恐縮でございますけれども、これが審議会の議事録の抜粋であります。ここに抜粋いたしましたのは、当検討会の検討事項が主たる議題として取り上げられた回の議事録ということになります。先ほどの資料3を見ていただきますと、この審議経過の記載の中に議題という欄がありますけれども、この議題のところで、刑事司法あるいは国民の司法参加が取り上げられている回の議事録を抜粋したのがこの資料4ということになります。資料4の冒頭にありますように、第17回から第55回まで、14回分がこれに当たります。
 ただ、この目次の部分の下のところにも書いてありますように、このほかにも主たる議題ということではありませんけれども、刑事司法や国民の司法参加について、議論が及んでいる回が9回あります。その部分につきましては、議事録の抜き刷りはここに添付しておりませんけれども、その回と開催日を目次のところに明記させていただいておるということでございます。
 審議会意見の全文、あるいはこの抜き刷りの中に入っていない部分の議事録につきましては、司法制度改革のホームページでアクセスができますので、御参考までに申し上げさせていただきます。以上が資料3と4でございます。
 資料5でありますが、これが当検討会での主な検討事項を記載したレジュメであります。当検討会で検討をお願いしたい事項は、このレジュメにもございますように、大きく申し上げて3点、1つは、刑事訴訟手続への新たな参加制度の導入。
 2つ目が、刑事裁判の充実・迅速化。
 3つ目が、公訴提起の在り方ということになります。
 この中の1番の刑事訴訟手続への新たな参加制度の導入でありますけれども、これが申すまでもなく、いわゆる裁判員制度についての検討ということになるわけであります。裁判員制度につきましては、その基本的な方向が、お配りしております審議会の意見の中で明らかにされております。したがいまして、この検討会ではそうした方向を踏まえて、具体的な制度設計のための検討をお願いしたいと考えております。
 次に、刑事裁判の充実・迅速化のところでありますけれども、刑事裁判の充実・迅速化を図るための方策につきましては、具体的には審議会意見を踏まえまして、ここに4つの小柱を立ててございます。
 1番目が、充実した争点整理のための新たな準備手続の創設及び証拠開示の拡充、
 2番目が、連日的開廷の確保のための関連諸制度の整備、
 3番目が、直接主義・口頭主義の実質化を図るための関連諸制度の在り方、
 4番目が、裁判所の訴訟指揮の実効性を担保する具体的措置ということになるわけでありますけれども、これらの点につきまして、御検討をお願いしたいと考えております。
 こうした刑事裁判の充実・迅速化は、先ほども局長のごあいさつにもございましたように、1番の刑事訴訟手続への新たな参加手続の導入を実現していく上で不可欠の前提になりますので、1の裁判員制度の問題と一体的なものとして御検討いただきたいと考えております。
 3番目が公訴提起の在り方でありまして、具体的には検察審査会の一定の議決に対し法的拘束力を付与する制度の導入についてであります。
 以上が当面、この検討会での主な検討事項と考えられるものについての説明でございます。

(6)今後の開催予定

●資料6でございますけれども、これは本年中の今後の検討会の開催予定を記載したものであります。次回は4月23日を予定しております。そして、今回を含めまして、本年中に10回の開催を予定させていただいております。
 この関係で付け加えて申し上げたいと思います。それは司法制度改革推進計画についてであります。3月中に、政府が司法制度改革に関して講ずべき措置についての司法制度改革推進計画が閣議決定される予定であります。この推進計画の中で関係の法案の提出予定時期も定められる見通しであります。
 そこで、推進計画におきまして、法案の提出予定時期等が決定されますので、次回の検討会におきましては、そうした全体の作業の枠組み、具体的には、例えば、本検討会における検討を終えていただくべき時期ということになるわけですけれども、こうした点について御説明したいと考えております。
 そうした全体の司法制度改革作業の枠組みを前提とした上で、当面の検討の在り方につきまして、次回御意見をちょうだいしたいと考えております。
 以上でございます。

□ どうもありがとうございました。
 具体的な中身についての検討は次回以降ということにいたしたいと思いますけれども、ただいまの説明について、何か御質問がありましたら、どうぞ。
 よろしいですか。
 それでは、大体予定した事項はこれで終了したようですので、本日はこれまでにしたいと思います。先ほどお話がありましたように、次回におきましては、全体の作業のスケジュールのようなものを御説明いただいた上で、ここでの当面の検討の進め方について議論をするということを中心に、行わせていただければと思います。
 次回まで少し時間がありますけれども、その間にエネルギーを蓄積されて、10回もの会議というのは、皆さんお忙しい中でこれだけ集まるのは、大変なことだと思いますので、是非この間に充電をされて、4月以降は白熱したというか、充実した議論ができればと思っております。
 それでは、本日はこれで終了させていただきます。

(以上)