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裁判員制度・刑事検討会(第32回)

公的弁護制度検討会(第14回)議事録

(司法制度改革推進本部事務局)



1 日時
平成16年7月6日(火)16:45~17:05

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委 員) 井上正仁座長、池田修、浦功、大出良知、清原慶子、酒巻匡、四宮啓、髙井康行、土屋美明、樋口建史、本田守弘(敬称略)
(事務局) 山崎潮事務局長、大野恒太郎事務局次長、古口章事務局次長、松川忠晴事務局次長、辻裕教参事官

4 議題
「刑事訴訟手続への新たな参加制度の導入」、「刑事裁判の充実・迅速化」、「公訴提起の在り方」及び「公的弁護制度」について

5 配布資料
資料1裁判員の参加する刑事裁判に関する法律
資料2刑事訴訟法等の一部を改正する法律

6 議事

○井上座長 今回は、第32回の裁判員制度・刑事検討会と第14回の公的弁護制度検討会の合同会議という形で開催させていただきます。
 本日も御多忙の折、御参集いただきまして、ありがとうございます。
 御承知のとおり、前回の会議以後、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案及び刑事訴訟法等の一部を改正する法律案が国会に提出され、いずれも成立しております。本日は、この間の経緯について事務局の方から御報告いただけるとのことですので、お願いします。

○辻参事官 まず、事務的な御報告をさせていただきます。本日は、裁判員制度・刑事検討会と公的弁護制度検討会の合同会議という形で会議を開催させていただいております。従来、公的弁護制度検討会は、当事務局の落合が担当参事官として会議に参加させていただいておりましたが、先日、人事異動がございまして、落合が当事務局を離れましたため、本日は、私が両検討会の担当として参加させていただきます。
 それでは、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律及び刑事訴訟法等の一部を改正する法律に関しまして、法案提出及び成立の経緯について御報告いたします。
 お手元に、成立いたしました裁判員の参加する刑事裁判に関する法律と刑事訴訟法等の一部を改正する法律の条文と新旧対照表をお配りいたしておりますので、御参照いただきたいと思います。
 前回の検討会-第13回の公的弁護制度検討会と第31回の裁判員制度・刑事検討会ということになりますが-におきまして、公的弁護制度、裁判員制度、刑事裁判の充実・迅速化のための方策及び検察審査会制度のそれぞれにつきまして骨格案をお示ししたところですが、当本部におきましては、これらの骨格案を踏まえまして、法案の作成作業を進め、本年3月2日、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案及び刑事訴訟法等の一部を改正する法律案の2法案を国会に提出いたしました。
 両法案は、国会での審議を経まして、本年4月23日、衆議院において、政府提出法案が一部修正の上で可決に至り、同年5月21日、参議院において可決・成立いたしました。2法案は、5月28日に公布されているところであります。
 2法の概要について、簡単に御説明いたします。
 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律は、裁判員制度の導入を図るものでございまして、裁判所法及び刑事訴訟法の特則等を定めるものです。具体的には、合議体の構成、対象事件、裁判員の権限及び義務、裁判員の選任及び解任、裁判員の参加する裁判の手続、裁判員の保護のための措置や罰則等についての規定を設けております。
 個々の内容につきましては、骨格案を踏まえたものでございますので、皆さんよく御承知のところと存じますから、この場では説明を省略させていただき、修正について若干付言いたします。
 細かい修正もいくつかございましたが、大きなところとしましては、守秘義務違反に対する罰則の修正がございました。守秘義務違反に対する罰則の法定刑のうち、懲役刑の上限を引き下げるとともに、裁判員や補充裁判員であった者については、懲役刑の対象となる行為を一定の場合に限定するという修正がなされたところであります。
 それから、環境整備努力義務に関する規定が、附則第3条として設けられました。国は、国民がより容易に裁判員として裁判に参加することができるよう、必要な環境整備に努めなければならないというものであります。
 さらに、見直し条項が設けられておりまして、法施行後3年を経過した時点で、施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、所要の措置を講ずるというものでございます。
 次に、刑事訴訟法等の一部を改正する法律について御説明いたします。
 この法律は、両検討会の検討テーマで申しますと、刑事裁判の充実・迅速化、公的弁護制度の整備、検察審査会制度の拡充の3つの内容に関するものであります。
 このうち、刑事裁判の充実・迅速化のための方策といたしましては、公判前整理手続の創設、証拠開示の拡充・ルールの明確化、連日的開廷の確保、裁判所の訴訟指揮の実効性の担保、即決裁判手続の創設につき、刑事訴訟法を改正するというものでございます。
 国選弁護人制度の整備につきましては、改正法施行の当初は、死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件、改正法施行から3年程度を経過した後には、死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件について、起訴前の国選弁護制度を導入することとし、併せて、弁護人の選任要件や選任手続についての規定を整備しております。また、国選弁護人制度の整備に伴い、少年法についても所要の規定の整備を行っているところであります。
 なお、国選弁護人の選任が迅速かつ確実に行われる態勢の確保を図るために、総合法律支援法に基づいて設立される「日本司法支援センター」におきまして、国選弁護人の選任に関する業務を行うこととなっているところであります。
 最後に、検察審査会制度の拡充については、検察審査会の議決に基づいて公訴提起がなされる制度の導入等について、検察審査会法を改正するというものでございます。
 個別の改正の内容については、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律と同様に、骨格案を踏まえたものでございますし、修正もやや細かいところに及ぶところもございますので、説明は省かせていただきたいと思います。
 以上でございます。

○井上座長 ありがとうございました。特に何か御発言がございますでしょうか。
 よろしいですか。
 ただ今御説明がありましたとおり、この2つの検討会の検討テーマについては、いずれも関連する法律が成立したということで、検討会としては一応の結果を出すことができたと考えております。この機会に、座長として一言申し上げさせていただきたいと思います。
 私どもの2つの検討会は、いずれも平成12年2月28日に第1回の会合を開いて以来、裁判員制度・刑事検討会は、昨年9月の集中審議を含めて32回の会合を行い、公的弁護制度検討会は、14回の会合のほか、3日間にわたる地方実情調査を行うなどしまして、それぞれ長い時間をかけて検討を進めてまいりました。それを踏まえて、先般、推進本部事務局が新しい制度の骨格案をまとめられた上、それをもとに、ただ今御紹介のありました法案が国会に提出され、このほど成立をみたということは、実に感無量のところがあります。
 ここに至るまでには様々な曲折があり、その折々におきまして、各委員において苦渋を味わわれたこともあったと思いますし、内容的に個々的には御不満なところもなお残っているかと存じますが、今回の法案の成立による裁判員制度の導入、公判前整理手続や証拠開示手続を含む諸制度の整備、検察審査会制度の強化、公的弁護制度の拡充というものは、改めて申すまでもなく、1948年の刑事訴訟法の全面改正による変革以来の大改革であります。ここに至って振り返ってみますと、このような刑事司法制度の歴史的変革に参画し、この検討会としても一定の寄与をすることができたことは、私どもにとって大きな喜びであり、また、誇りとするに足りることではないかと存じます。
 この間、私の不手際で議論が混乱したり、時には-「しばしば」かも知れませんが-不用意に失礼なことを申し上げたこともあり、誠に不適任の座長であったと思いますけれども、それにもかかわらず、皆様の御海容と御協力によりまして、ここまで辿り着くことができました。この点、厚く御礼申し上げたいと存じます。
 また、事務局の方々には、様々にサポートしていただき、しかも、私を始め委員の様々な我が儘に適宜適切に対応していただき、本当にありがとうございました。
 御承知のように、今回成立した各法律は、1年半後から5年後にかけて何段階かに分けて順次施行されていくことになっておりますが、この新たな制度をしっかりと根付かせ、さらに成長させていくためには、法曹三者を始め関係方面において、相互に連携を取りながら、運用上様々な工夫をし、きめ細かな手当てを行っていただけなければなりません。特に裁判員制度については、国民の皆さんの理解がまだ十分得られているとは必ずしも言えない状況のように思いますので、今後時間をかけて関係方面において、国民のより一層の理解と協力を得,責任分担をしていただけるよう努力をしていただかなければならないと存じます。私どもも、個々それぞれの立場で、これらの活動に協力していかなければならないと思いますし、協力していきたいと考えているところであります。
 本当にどうもありがとうございました。

○山崎事務局長 それでは私のほうから、御挨拶を申し上げます。
 両検討会のメンバーの皆様方には、長期間にわたり、かつ、長時間にわたり御議論をいただきまして、本当にありがとうございました。心から御礼を申し上げます。
 この両検討会は、先ほど御案内がございましたけれども、32回と14回、大変な回数にわたるわけでございますし、しばしば時間も相当延長して白熱した議論をしていただきました。これも皆様方の本当に熱心な姿勢のおかげであると感謝しております。
 この両検討会が検討の対象としたテーマは、いずれも大変重要な問題でございまして、各方面からの関心も高く、様々な意見が述べられておりまして、本部といたしましても、一定の結論を出すのは非常に難しいということが当初から予想されたわけでございます。そのような困難が当初から予想されたテーマについて御検討をお願いしたわけですから、メンバーの皆様には大変ご労苦をおかけしたことと思います。そういう中で、皆様方には、法律分野のみならず、それぞれの専門のお立場からいろいろな御意見を賜り、また、幅広い観点から極めて多くの論点につきまして詳細かつ熱心な御討議、御議論をいただいたところでございます。
 そのような御議論を踏まえまして、私ども事務局といたしましては、大変困難な作業ではございましたけれども、何とか国会に法案を提出することができました。また、国会において一部の修正を受けたことはございましたけれども、与野党の大部分の御理解を得て、各法律が制定されるに至りましたが、これも皆様方の御努力のおかげであると、改めて心から感謝を申し上げたいと思います。
 また、井上座長におかれましては、その御見識とお人柄をもちまして、個性あふれるメンバーの皆様による非常に熱心で活発な御議論を的確に整理していただき、まとめていただきました。それからまた、座長ペーパーをおまとめいただくという大変難儀な作業もお願いしたわけでございます。節目節目において事務局の作業をお助けいただきまして、その御労苦に対しまして、特に御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 裁判員制度の実現のためにはまだまだ時間がかかると思いますけれども、両検討会で御議論いただいたテーマにつきましては一定の成果を挙げるに至りまして、その役割を十分に果たしていただいたということになり、あとは、法曹三者にきちんとやっていただくということになろうかと思います。我々本部といたしましてもまだまだ残された期間で必要な作業は続けなければならないものもありますけれども、基本的なものは法曹三者にボールが投げられたということになるわけです。仏は作りましたけれども、その中にどうやって魂を入れるかという作業は、これから一番大事な作業として残されているところでございます。私どもも、法曹三者の一角をなしているわけでありますので、頑張っていきたいと思います。今後ともいろいろと御支援を賜りたいと思っております。
 最後にもう一度繰り返させていただきますけれども、本当にありがとうございました。心から感謝をいたしております。

○井上座長 それでは、これで第32回の裁判員制度・刑事検討会と第14回の公的弁護制度検討会を終了させていただきます。
 

(以上)